3月31~4月4日(教養講座:ギリシア哲学の古典)

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***デイ・ウォッチ(28~30日)
◎ミャンマー大地震 “約1700人が死亡” 軍発表 日本人1人と連絡とれず 隣国タイでも少なくとも9人死亡 | NHK | ミャンマー →ミャンマー大地震の被害が広がっている。死者はかなりの数に上りそうで、日本人1人と連絡が取れない。軍事国家で内戦状態にあるが、大災害が政治や社会を変えることもある。軍事政権は海外の支援を求め、国内では停戦の動きがある。多少でも開かれた国になれば、災い転じて福となる。長周期地震動でタイでも大きな被害が出ている。中国共産党系企業が関与しているバンコクのビルが一瞬で倒壊し、関心を集めている。
◎石破首相 硫黄島訪問 日米合同追悼式出席 平和への誓い新たに | NHK | 安全保障 →日本の首相と日米の防衛相が硫黄島を訪問した。歴史的な出来事だ。東京での会談で米国防長官は「日本がどう戦争への抑止力を強化し、自由な未来を確保するため防衛力に投資するのか、深く知ることを楽しみにしている」と述べた。自分の国は自分で守れということだろう。米国は孤高化しているが、それで中国とどう対峙するのだろうか。
◎カナダを「51番目の州」と発言のトランプ氏、カーニー首相と電話会談…「非常に良い会話を交わした」 : 読売新聞 →トランプ大統領の本質に関わりそうなエピソードだ。カナダの新首相カーニー氏は「米国は信頼できるパートナーではない」と厳しく批判したが、トランプ大統領は電話会談で友好を演出した。ブラフに対して強く出れば、それなりに折れる。しばらく要観察だ。
◎日本郵政、増田社長が退任 後任に初の元郵政官僚:時事ドットコム →日本郵政が岐路にある。不祥事頻発もあり、増田社長が退任。後任に初めて元郵政官僚が就任する。小泉改革で民営化に踏み切ったが、郵政事業はネットの普及で低迷。過疎地の郵便局維持に政治が動く。唯一無二のいびつな経営形態を軌道に乗せるのは難題だ。元官僚にできるだろうか。
◎選抜高校野球 横浜高校が優勝 19年ぶり4回目 智弁和歌山に勝利 | NHK →大リーグに続いて、日本のプロ野球が開幕し、野球シーズンは満開。センバツ高校野球は、東の名門・横浜が、西の名門・智弁和歌山を11対4でねじ伏せた。負けない強いチームだった。公式戦20連勝で、松坂世代に続いて春夏連覇を目指す。夏の甲子園は「打倒・横浜」で盛り上がりそうだ。
*** 「今日の名言」
◎志村けん(タレント。2020年3月29日死去、70歳)
「俺はいつでも『個性は変人、常識は凡人』でいたい」 「非常識なことをするためには、まず常識を知らなきゃいけない」 「人になにかを伝えたいなら嘘をついちゃいけない」 「みんなと同じだったら、一番楽だろう。不安もなくなる。でも、その代わり個性もない。あいつは変わってると言われるのは光栄なことだ」 「好きなものが一つあるって、人生の中ですごく幸せなこと」 「最初から全力でいかない奴は、その時点で先がない」 「ずっと恵まれて見える人は、みな必ず努力している、例外なくね」 「あの頃の僕はただ無我夢中で、なんでも一生懸命やろうとして力が入り過ぎていた。後になってわかったことだけど、本当はその逆で、楽しく遊んでいるように見せるのがお客さんを笑わせるコツだ」 「古今東西、いつの時代も、自分が楽しいと思わない仕事からよい結果は生まれない」
*** 今週の教養 (ギリシャ哲学①)
今週は、論理的思考を確立し、西洋思想の基礎となったギリシャ哲学の古典から5冊紹介する。最初はやはり、ソクラテス。アテネの堕落を批判して権力者から危険視され、紀元前399年に死刑になった。その裁判での弁明である。弟子のプラトンが書いた。冒頭を掲載する。
◎プラトン著「ソクラテスの弁明」(光文社古典新訳文庫から)
第一部 告発への弁明 前置き アテナイの皆さん、皆さんが私の告発者たちによってどんな目にあわれたか、私は知りません。ですが、私のほうは、あの人たちのおかげであやうく自分自身を忘れるところでした。それほど説得力をもって、彼らは語ったのです。しかし真実は、あの人たちは、いわば何一つ語りませんでした。
語られたたくさんの偽りのなかで、一つ、とりわけ驚いたのは、私が手強い言論の語り手なので、皆さんが私に騙されないように注意すべきだ、と言ったことです。私が手強い語り手などではないことは、どのみち明らかになるものですから、その事実でもってすぐに私に論駁されてしまうのも恥には思わないことが、私には、彼らの最も恥知らずな点だと思われたのです。もしもこの人たちが、真実を語る者のことを「手強い語り手」と呼ぶのでなければ、の話ですが。そういう意味で言っているのなら、彼らとは違う意味で私が「弁論家」であることに同意しましょう。
さて、この人たちは、今言ったように、真実はほとんどなにも語りませんでしたが、あなた方は、私から真実の全てを聞くことになります。でも、ゼウスの神にかけて、アテナイの皆さん、皆さんがお聞きになるのは、この人たちが語ったような美辞麗句で飾り立てられた言論でも、多彩な語句や表現で整えられたものでもなく、思いついた言い方でテキトウに語られるものとなるでしょう。それは、私は自分が語る中身が正しい、と信じているからです。ですから、あなた方はどなたも、これ以外の語り方を期待しないでください。おそらく、皆さん、若い連中のように言論をでっち上げてあなた方の前に進み出るのは、こんな歳になった者にはふさわしくないでしょうから。
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***デイ・ウォッチ(31日)
◎フジテレビ 第三者委員会が調査報告書 「業務の延長線上の性暴力」 | NHK →フジテレビの第三者委員会が「業務上の性暴力」と認定し、日枝氏の影響力やハラスメントに寛容な体質も指弾した。BSフジの反町キャスターのセクハラも指摘した。「面白くなければテレビじゃない」は真摯な姿勢に支えられてこそ意味があるはずだが、高視聴率の成功体験によって、いつの間にか会社全体が勘違いし、おかしくなった。日枝氏は権力者となり、報道機関にも関わらず、政界と過度に密接になった。社風の改革には強い自覚と長い時間が必要だろう。
◎株価 一時1500円以上下落 追加関税でアメリカの景気減速への懸念強まり 全面安に | NHK | きょうの株価 →関税ショックが株式市場を直撃している。前週末のNY市場の下落を受け、東京株が暴落した。「世界の誰も得しない」と言われているが、トランプ氏は気にしないようだ。関税の暗雲が晴れない限り、市場は迷走を続け、実体経済への悪影響が心配になってくる。
◎25年度予算が成立 教育無償化、「壁」見直し―過去最大、参院で初の修正:時事ドットコム →新年度予算が可決され、通常国会前半のヤマ場を越えた。衆参両院で修正する初めての事態。少数与党の国会で、「熟議」と「迷走」の間で評価は揺れるが、与野党が真剣に議論したことは国会の本来の姿でもある。企業・団体献金、選択的夫婦別姓、参院選への対応などが後半の焦点になる。
◎南海トラフ地震、あなたの周囲では何が起きる? 被害シナリオ初公表 [南海トラフ地震]:朝日新聞 →南海トラフ地震の被害シナリオが公表された。想定死者は29.8万人。「天災は忘れたことにやってくる」と警告した寺田寅彦は「文明が進むほど損害の程度も累進する。平生から防御策を講じなければならない」(「天災と国防」から)と指摘している。被害の多くは、便利な生活と裏腹である。
◎極右ルペン氏の被選挙権停止 次期大統領選に出馬困難か―仏:時事ドットコム →EUから不正な資金を受け取ったとして、フランス極右ルペン氏の被選挙権が停止された。欧州では移民や格差への不安から極右勢力が台頭しているが、どう影響するか。曲折はありそうだが、フランスで極右は衰退するのか、別の人物が出てくるのか。世界に政治潮流に影響を与える。
*** 「今日の名言」
◎高村光太郎(詩人。1956年4月2日死去、73歳)
「僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる」 「智恵子は東京に空がないという。ほんとの空が見たいという」 「そんなにもあなたはレモンを待っていた、かなしく白くあかるい死の床で」 「予約された結果を思うのは卑しい。正しい原因に生きること、それのみが清い」 「時々、内心おどろくほど、あなたはだんだんきれいになる」 「人間のからだは、さんぜんとして魂を奪うから、裸という裸をむさぼって惑溺するのだ」 「わがこころは、いま大風の如く君に向かえり」 「土壌は汚れたものを恐れず、土壌はあらゆるものを浄め、土壌は刹那の力をつくして進展する」 「お前の第一の為す事は、何を措いてもようく眠ることだ。眠って眠りぬくことだ。自分を大切にせよ」 「私は老人の首すじのシワを見るときほど、深い人情に動かされることはない。なんという人間の弱さ、寂しさを語るものかと思う」 「一生を棒に振りし男此処に眠る。彼は無価値に生きたり」
*** 今週の教養 (ギリシャ哲学②)
◎プラトン著「国家」(岩波文庫から)=ソクラテスの処刑をきっかけにプラトンは、正義の実現のために国家を原理的に問い、哲人統治の思想にたどりついた。書き出しを紹介する。
第一巻 一 ソクラテス きのうぼくは、アリストンの息子グラウコンといっしょに、ペイライエウスまで出かけて行った。女神にお祈りをささげるためだったが、もう一つには、そのお祭りが今度初めての催しだったので、どんなふうに行われるものか、見物してみたいという気持ちもあった。
お祭りの行列は、町の人たちもなかなか見事だと思ったが、しかしそれに劣らずひときわ見栄えがしたのは、トラキア人たちが行った行列だった。お参りもすませたし、見物も終わったので、ぼくたちは都(アテナイ)へ向かって引きあげ始めた。するとケパロスの息子ポレマルコスが、家路を急ぎ始めたぼくたちの姿を遠くから見つけて、召使いの子供に、走って行って自分を待つようにお願いしなさいと言いつけた。やがてその子が、後ろからぼくの上着をつかまえて言った。
「ポレマルコスがあなた方に、お待ちになってくださいと言っています」。ぼくはふり向いて、ご主人はどこにいるのか、とたずねた。「あそこです」と召使いの子供は言った。「あとからこちらにやってこられます。どうかお待ちになってください」。「よろしい、お待ちしましょう」とグラコンが答えた。ほどなくしてポレマルコスがやってきた。グラコンの兄のアデイマントス、ニキアスの息子ニケラトス、そのほか何人かの者もいっしょで、みんなお祭りの行列を見物した帰りと見えた。
ポレマルコスが言った。「ソクラテス、お見受けしたところ、どうやらあなた方はここを引きあげるおつもりで、都のほうへ向かい始めたようですね」。「そうお察しのとおり」とぼくは答えた。「われわれがここに総勢何人ひかえているか、あなたの目に入っているのですか?」と彼が言った。「むろん」。「それならあなた方は」と彼は言った。「ここにいる我々よりも強くなるか、それができなければここにとどまるか二つに一つですよ」。
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***デイ・ウォッチ(1日)
◎アメリカの相互関税、日本時間3日午前発表…財務長官「世界の貿易を米労働者にとって公平にする」 : 読売新聞 →トランプ政権は自己矛盾に陥っている。相互関税の詳細を日本時間3日未明に発表するが、世界経済は停滞に陥り、自らの足場が揺らぐ。米国は中国を標的にしているが、これまでは西側の盟主だから対峙できた。西側の崩壊によって、単独で対抗せざるを得ない深刻なジレンマに陥る。ウクライナなどの平和交渉では最近、前向きなニュースはない。何事も詰めが甘く、事態を散らかして何も成果をあげず、野垂れ死にする可能性もあるのではないか。
◎フジテレビ CM再開は? 日本生命 トヨタ 花王 NTTなど各スポンサーの反応 “慎重に検討” の企業も | NHK | テレビ局 →フジテレビは、第三者委報告を受けて改革に乗り出すが、スポンサー企業にCM再開の動きは鈍い。企業は消費者にどう思われるかを重視している。フジは戦略的に考え、日枝氏の釈明会見や関係者をテキパキ処分し、視聴者に「頑張っているなあ」と思ってもらう必要があるが、のんびりしている。CM再開のメドは早くて7月か、秋か・・・
◎韓国憲法裁、尹氏罷免の可否を4日宣告 失職なら60日以内に大統領選:時事ドットコム →ユン大統領に対する弾劾の可否が、4日に宣告される。弾劾となれば、60日以内に大統領となる。親日派なので日本への影響は大きく、トランプ大統領の登場で揺れる東アジア情勢にも関わってくる。
◎4月から値上げ ビール 食品4000品目超 住宅ローン 変動金利引き上げ相次ぐ 借り換え相談も | NHK | 物価高騰 →値上げの4月が始まった。春闘で大幅賃上げを勝ち取っても、逃げ水のように物価が上がる。実質賃金は引き続き減少か。初任給が上がっているので、新入社員は耐えられるか。
◎【動画】名古屋 栄で車が歩道に乗り上げ歩行者はねる 7人けが 74歳ドライバー逮捕 | NHK | 愛知県 →名古屋市で74歳が運転する車が歩道に乗り上げ、7人がけがをした。動画が衝撃的だ。駐車場の坂を登ってきたのでアクセルを踏みすぎたという。高齢者という事情も関係しているのだろうか。
*** 「今日の名言」
◎マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(米の牧師、公民権運動指導者。1968年4月4日暗殺、39歳)
「私には夢がある。それはいつの日か、私の4人の幼い子どもたちが肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である」 「最大の悲劇は悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙である。結局、我々は敵の言葉ではなく、友人の沈黙を覚えているものだ」 「問題になっていることに沈黙するようになったとき、我々の命は終わりに向かい始める」 「愛は敵を友人に変えられる唯一の力である」 「非暴力は強力で正当な武器だ。傷を追うことなく切りつけ、それを用いる人が尊敬される歴史上唯一の武器である」 「真の平和とは単に緊張がないだけではなく、そこに正義が存在することだ」 「疑わずに最初の一段を登りなさい。階段のすべて見えなくてもいい。とにかく最初の一歩を踏み出すのだ」 「私たちは、失望を受け入れなければならない。しかし無限なる希望を失ってはならない」
*** 今週の教養 (ギリシャ哲学③)
◎アリストテレス著「形而上学」(岩波文庫)=アリストテレスは「万学の祖」と言われ、千数百年にわたって西洋の世界観に決定的な影響を与えた。本書は西洋哲学の多くの基本概念を生み出したといわれている。冒頭を紹介する。
第一巻 第一章 すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する。その証拠としては感覚知覚(感覚)への愛好があげられる。というのは、感覚は、その効用を抜きにしても、すでに感覚することそれ自らのゆえにさえ愛好されるものだからである。しかし、ことにそのうちでも最も愛好されるのは、眼によるそれ(すなわち視覚)である。けだし我々は、ただ単に行為しようとしてだけでなくまったく何事を行為しようともしていない場合にも、見ることを、いわばほかの全ての感覚にまさって選び好むものである。その理由は、この見ることが、ほかのいずれの感覚よりも最もよく我々に物事を認知させ、その種々の差別相を明らかにしてくれるからである。
ところで、動物は(1)自然的に感覚を有するものとして生まれついている。(2)この感覚から記憶力が、ある種の動物には生じないが、あるほかの種の動物には生じてくる。そしてこのゆえに、これらの動物の方が、あの記憶する能のない動物よりもいっそう多く利口でありいっそう多く教わり学ぶに適している。ただし、これらのうちでも、音を聴く能のない動物は、利口ではあるが教わりを学ぶことは出来ない。例えば蜂ごときが、またはその他何かそのような類の動物があれば、それがそうである。しかし、記憶力の他にさらにこの聴の感覚をあわせ有する動物は、教わり学ぶこともできる。
さて、このように、他の諸動物は、表象や記憶で生きているが、経験を具有する者は極めてまれである。しかるに、人間という類の動物は、さらに技術や推理力で生きている。(3)経験が人間に生ずるのは記憶からである。というのは、同じ事柄についての多くの記憶がやがて一つの経験たる力をもたらすからである。
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***デイ・ウォッチ(2日)
◎トランプ 関税 発表 日本への相互関税は24% 影響は?【速報】「相互関税」とは【ライブ配信】 | NHK | トランプ大統領 →世界から総スカンをくっている関税引き上げが発表された。すべての国に一律関税10%、日本には相互関税24%をかける。日米貿易摩擦が激しかった1980年代、不均衡の理由として「ISバランス論」というマクロ経済学の理論が盛んに語られた。投資(I)と貯蓄(S)のバランスが本質で、日本の貿易黒字は、投資不足と貯蓄過剰が理由とされた。米国は過小貯蓄で、背景には過剰消費があると指摘された。貿易不均衡は「搾取」ではなく、関税で是正できるものではないことは経済学の常識だ。
◎国民民主党 古川代表代行 “自民党・公明党・国民民主党だけでなく幅広い合意を” 企業・団体献金めぐり | NHK | 国会 →後半国会の焦点となった企業・団体献金。3月末までに合意できず、延長戦になっているが、自公案に国民民主が賛同した。可決しようと思えばできるが、立憲や維新との協議を呼びかけている。最終的にどうなるか。まとまれない野党の現状も象徴している。
◎1分おきに中傷メール3190通 兵庫の元百条委員が被害届を検討 [兵庫県]:朝日新聞 →兵庫県の百条委員会メンバーに信じられないほど大量の中傷メールが届いている。SNSやメールの中傷投稿は現代社会の深刻な病理だ。警察が一つ一つ摘発し、背景を公表することが最大の抑止力になる。
◎マスク氏支援の候補敗北 「代理戦争」民主に軍配―米州判事選:時事ドットコム →米国の共和党と民主党の代理戦争となったウィスコンシン州最高裁の判事選挙で、民主党支持の候補が勝った。共和党支持の候補には、イーロン・マスク氏がテコ入れしていた。トランプ政権は大した得点を稼いでいないので、支持の陰りとも言えそうだ。
◎演説25時間、68年ぶり記録更新 トランプ氏への抵抗呼び掛け―米上院議員:時事ドットコム →アメリカにはいろいろな人材がいるものだ。ブッカー上院議員は議会で25時間4分も連続で演説し、最長記録を更新した。トイレにも行かず、食事も取らず、トランプ政権を批判し続けた。55歳で、元アメフト選手、元ニューアーク市長。民主党の有力大統領候補になるのだろうか。
*** 「今日の名言」
◎北条時宗(元を撃退した鎌倉幕府執権。1284年4月4日死去、31歳)
「人間の最大の誘惑は、あまりにも小さなことに満足してしまうことだ」 「忍耐は苦しい。けれども、その実は甘い」 「意欲ある者のほうが、能力のある者より多くの事を為す」 「人生とは、信念そのものである」 「決して落胆しないこと」 「精神の高邁さとは、非礼を平然と耐えること」 「へりくだった心をもって、互いに相手を自分より優れた者としなさい」 「マイナスをプラスに変えることができるのは、人間だけが持っている能力だ」 「チャンスは自らの中にある。境遇や運や他人の援助の中にはない。ただひたすら自らの中にある」 「人間は磁石である。自分が望むものを惹きつける磁石だ」 「やって見せ、言ってきかせて、させてみせ、誉めてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
*** 今週の教養 (ギリシャ哲学④)
◎アリストテレス著「ニコマコス倫理学」(NHK出版) 歴史上初めて書かれた倫理学の書で、「よく生きるための実践」を徹底的に考えた。「徳」に関する考察を紹介する。
徳には、思考に関するものと性格に関するものの2種類がある。思考の徳は、その生まれと成長とを主として「教示」に負っており、経験と時間を要する。性格の徳は、習慣から形成されるのであって、ここから「性格の(エーティーケー)」という呼び名も「習慣(エトス)」という言葉を少し変化させて作られたのである。
性格の徳はどれひとつとして自然によって我々に備わるものではない。なぜなら、自然によって存在するどのようなものも、ほかのあり方をするように習慣づけられることはありえないからである。例えば自然によって下方に落ちるようになっている石は、たとえ人が1万回これを上方に放り投げて習慣づけようとしても、その方向に動くように習慣づけることはできないのである。もろもろの性格の徳が我々に備わるのは、自然によってではなく、また自然に反してでもなく、むしろそれらの徳を受け入れる資質を我々が持っているからであって、習慣を通じて我々は完全なものになるのである。
徳は、さまざまな技術と同様、われわれはまずその行為を現実化することによって身につける。例えば、人は家を建てることによって建築家になり、竪琴を弾くことによって竪琴奏者になるのである。まさにこれと同様に、正しいことを行うことによって、我々は正しい人になり、節制することによって、節制ある人になり、勇気あることを行うことによって、勇気ある人になるのである。さまざまな国家で行われていることも、この点を示す証拠となる。立法家たちは市民を習慣づけて善き人々にするのであり、そのことがあらゆる立法家の望むところであって、この作業をうまく行わない限り、彼らは自分たちの仕事に失敗する。このような習慣づけにおいてこそ、優れた国と劣悪な国との違いが出てくるのである。
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***デイ・ウォッチ(3日)
◎トランプ大統領が相互関税 日本24%、EU20%、中国34%・・・ 各国が反発 | NHK →トランプ関税に世界が反発、中国やEUなどは次々と対抗措置を打ち出した。「脱米国」が進みそうだ。関税の引き上げ競争がブロック経済、第二次世界大戦を招いたという反省から、戦後、米国主導で関税貿易一般協定(ガット)体制をつくった。関税の一方的引き上げは安保など一部例外を除いて禁じ、多角的交渉(ラウンド)で決めることになり、世界貿易機関(WTO)に引き継がれた。米国が担った戦後秩序をトランプ政権が乱暴に破壊した。今や自由貿易を熱心に訴えるのは中国。巨大市場を持ち、影響力を高めるのではないだろうか。
◎東証株価、今年最大の下落 相互関税で | NHK NYダウ 2020年6月以来の下落幅に | NHK →トランプ政権の暴走を止める第1候補は支持者だが、今のところ望み薄。次が金融市場とみられ、東京、NYと大幅な株安連鎖となった。関税をどこまでディールの材料にするか不明で、不透明感が高まっている。先が読めない現状は、企業活動に大きなマイナスだ。市場も立ち直りにくい。
◎“イーロン・マスク氏がトランプ政権から身を引く 米メディア 本人は “フェイクニュース” | NHK →予想された事態だが、意外に早くやって来た。政府職員の強引な解雇に加え、幼い子どもをホワイトハウスの会見に同席させるなど公人の良識にも欠けていた。在野で活躍するのがふさわしいが、「官の蜜の味」を知ってしまい、テスラ社のEVも販売減だ。真っ当な企業人に戻れるのかどうか。
◎吉本芸人6人を書類送検 オンラインカジノで賭博容疑―「罪に問われると思わず」・警視庁:時事ドットコム →問題化している海外のオンラインカジノ。警視庁が吉本の芸人6人を書類送検した。「オンラインカジノは違法」という啓発が必要だったが、吉本の芸人なら若い人に広く周知できる。警視庁は当然、抑止効果を狙っているだろう。
◎すき家、24時間営業見直し 異物混入対策で1時間清掃 – 日本経済新聞 →ネズミなどの混入で休業していたすき家は、24時間営業を見直す。午前3時からの1時間を清掃業務にあて、23時間営業にする。きょう午前9時から営業を再開する。信頼回復は地道な努力しかない。
*** 「今日の名言」
◎アイザック・アシモフ(米のSF作家。1992年4月6日死去、72歳)
「幸運は、望むものにしか訪れない」 「大胆に立ち向かったとき、困難は消え去るというのが私の人生哲学だ」 「君に才能があれば、ある程度の成功を手にすることができるだろう。ただしそれに固執すれば、の話だ」 「あなたが学ぶことをやめる日。それは、あなたが衰え始める日だ」 「未来を予測する必要はない。選択すればいいだけだ」 「成功するためには、計画だけでは不十分だ。必ず臨機応変の対応が必要になる」 「どんな教育も、突き詰めていけば独学につながる。独学が唯一の教育である」 「問題を解決する最も簡単な方法は、その存在を否定すること」 「暴力とは、無能者にとっての最後の拠り所である」 「群衆の行動は1人の行動よりも容易に予測することができる」 「もし医者からあと6分しか生きられないと告げられたとしても、私はくよくよ悩んだりしない。タイピングの速度を少し上げるだけだろう」
*** 今週の教養 (ギリシャ哲学⑤)
◎エピクロス著「教説と手紙」(岩波文庫) 人間にとって最高善としての快楽は、ぜいたくな生活や目先の快楽ではなく、自らに満足して心の平静な境地を楽しむ精神的な快楽主義であると説いた。「主要教説」から紹介する。
- 至福な不死のものは、彼自身、煩いごとを持たないし、他のものにそれを与えもしない。したがって、怒りだの愛顧だのによって動揺させられることもない。というのは、このようなことはみな、弱者にのみ属することだから。
- 死は我々にとって何物でもない。なぜなら死は生物の原始的要素への分解であるが、分解したものは感覚を持たない。しかるに感覚を持たないものは我々にとって何ものでもないからである。
- 快の大きさの限界は、苦しみが全く除き去られることである。およそ快の存するところ、快の存する限り、肉体の苦しみもなく、霊魂の悩みもなく、これら二つが一緒にあることもない。
- 苦しみは連続的に肉体の内に存するものではない。かえって、極度の苦しみは、極めて短い時間しかそこには存せず、肉体の快を単に超過するだけの苦しみも、幾日となく続くわけではない。長期にわたる病気の場合には、肉体において、快の方が苦しみをさえ凌駕するものである。
- 思慮深く美しく正しく生きることなしには、快く生きることもできず、快く生きることなしには、思慮深く美しく正しく生きることもできない。快く生きるということのない人は、思慮深く美しく正しく生きないのである。
- 煩いを受けないように人々から自分を守るためには、およそこの目的を達成する手立てとなり得るものはすべて、自然的な善である。