2026年3月2~6日(教養講座:カーニー・カナダ首相のミドルパワー演説)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年3月2日号(転送禁止)~~~
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***デイ・ウォッチ(27~1日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎アメリカとイスラエルがイランに攻撃 イラン側は報復 衝突の拡大懸念 | NHKニュース 最高指導者ハメネイ師死亡 イランではインターネット遮断も | NHKニュース →米国とイスラエルがイランを攻撃、ハメネイ師を殺害した。中東覇権の野望を持つイスラエルを米国が全面的に支援して体制転換を公言。米国は「世界の警察官はやめる」と言っていたが、ベネズエラズ攻撃に続いて「狙撃手(スナイパー)」になった。警察官は手続きが必要だが、スナイパーなら米議会も無視して勝手にできるかのようだ。世界の独裁者は米国の諜報力とピンポイントの殺傷力に恐怖しているだろう。イランは中東全域の米軍基地中心に反撃しているが、どこまで余力が残っているか。双方で多くの血が流れている。
◎日本の原油輸入に打撃 ホルムズ封鎖なら、空路にも影響:時事ドットコム →現時点で最大の焦点は、短期で終わるか、長期の泥沼になるか。平和志向から武力の虜になったトランプ大統領の判断とイランの国内情勢にかかっている。日本への影響はまず原油。ホルムズ海峡の航行不能が続けば、原油高と円安でインフレが進む。金融市場の動揺も予想される。長期化すればトランプ大統領は日本にも参戦を求め、高市首相は断れない。「存立危機事態だ」と積極的に参戦し、国内引き締めのタカ派政策を強引に実行するかもしれない。戦後の世界秩序は完全に崩壊する。
◎米ニューヨーク・タイムズ紙社説がトランプ大統領を痛烈批判 – Yahoo!ニュース あえて戦争を選択、米とイスラエルは得難い好機をつかみに行ったか – BBCニュース →ルールより力を重視するアメリカの無法ぶりは極まった。欧米メディアは暴挙と激しく批判している。高市首相はベネズエラに続いて邦人保護を強調するばかり。「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」を目指すというなら、骨太で見識あるコメントを発信すべきだろう。
◎トランプ氏 アンソロピックのAI技術 政府機関使わないよう指示 | NHKニュース →AI新興企業アンソロピックと米国防総省が対立、トランプ首相は同社の技術を使わないよう指示した。同社は国民監視や兵器に使わないように条件を出したが、国防総省はすべての用途での使用を求めていた。同省はオープンAI社と新たに契約した。意に沿わない会社を排除する政権の姿勢を示している。
◎消費減税、今秋の法案提出目指す 「国民会議」立・公に呼び掛け―首相:時事ドットコム →衆議院の予算委員会が3日間の日程で始まった。消費減税は秋に法案提出を目指すとしたが、給付付き税額控除も話し合う国民会議の行方ははっきりしない。予算委は一問一答なので、首相の真意も垣間見える。3万円のカタログギフトは結婚式の御祝儀を参考にしたというが、冠婚葬祭と政治は違うはず。
◎名鉄百貨店が閉店 71年の歴史に幕、再開発時期未定:時事ドットコム →名古屋駅前の顔だった名鉄百貨店が閉店、71年の歴史に幕を閉じた。一帯を再開発する予定だったが、昨年12月に人材不足などを理由に入札が宙に浮いている。名物として親しまれている巨大なナナちゃん人形は、再開発の中断でそのまま存続することになった。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
曽野綾子(小説家。2025年2月28日死去、93歳)
「いい人をやめると楽になる」 「人間は誰でも、自分の専門の分野を持つことである。小さなことでいい。自分はそれによって、社会に貢献できるという実感と自信と楽しさを持つことだ。そうすると不正確で取るに足らない人間社会の順位など、気にならなくなる」 「理想どころか、平均値も求めないことだ。平均とかいう表現は慎ましいようでいて、時々人を脅迫する」 「友達をいい人か、悪い人か、に分けているうちはだめなのですね」 「努力家は、自分は正当なこと、立派なことをしていると思い込んでいるから、他人も自分と同じようにすること、他人が自分に感謝と称賛を送ることを必ず心の中で要求している」 「最悪の人間関係は、お互いに人の苦しみには関心がなくて、自分の関心にだけ人は注目すべきだと感じることである」 「貧困こそ、我々の中の卑怯さと残忍さを露呈し増幅する」 「誰でも最後はひとり。私たちは、この寂しさとどう向き合えばよいのか」
*** 今週の教養講座(カナダ・カーニー首相のミドルパワー演説①)
イラク攻撃で世界秩序が激しく動揺しているが、カナダのカーニー首相が今週、来日する。カナダは、隣国アメリカのトランプ大統領から圧迫を受けている。世界の有識者らが集まる今年1月のダボス会議で、同首相は「原則と現実―カナダの進む道」と題して演説し、強い関心を呼んでいる。ルール中心の国際秩序はもう戻らないと指摘、ミドルパワー(中堅国)が連携して新たな秩序をつくるべきだと提言した。イラン攻撃で演説の重要性は増している。首脳会談でも話題になるだろう。演説の世界全体に関わる部分を中心に紹介する。
第1回 世界秩序の断絶と虚構の維持という構造
本日私は、私たちが直面している現実を率直に語りたいと思う。私たちはいま、世界秩序の崩壊、そして快適な物語の終焉のただ中にいる。国際政治は、かつてのように制約された枠組みの中で動いてはいない。大国間の競争は激化し、地政学はほとんど制限を受けずに展開されている。ルールに基づく秩序は衰退し、強者は可能なことを行い、弱者はそれに耐える。これは抽象的な予測ではなく、私たちが日々目にしている現実である。
このような環境の中で、多くの国は摩擦を避けるために従順を選び、波風を立てないことを優先する。妥協し、問題を起こさず、迎合することで安全を得ようとする。しかし私ははっきり申し上げたい。それは安全を保証しない。むしろ私たちは、現実の本質を見誤る危険に近づく。
ここで私は、ヴァーツラフ・ハヴェル(元チェコ大統領)の洞察を思い起こす。彼は、なぜ体制が存続するのかを問い、八百屋の例を示した。店主は信じてもいない標語を掲げ続ける。誰も信じていない。だが彼は掲げる。なぜなら、従順であることを示し、トラブルを避け、体制の中で生きるためだ。そして他の人々も同じことをする。だから体制は続く。
ここに重要な真実がある。制度の力は真実から生まれるのではない。真実であるかのように振る舞う意思から生まれるのである。だが同時に、その力は極めて脆い。たった一人でも演技をやめれば、幻想は崩れ始める。
私はいま、この比喩を私たちの世界に向けて語っている。国家も企業も、秩序が理想通り機能しているかのように振る舞い続けてきた。理念と現実の隔たりを知りながら、儀式に参加してきた。しかしその時代は終わりつつある。私たちは看板を外さねばならない。そこからしか、新しい選択は始まらないのである。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年3月3日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(2日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎イラン攻撃続行、死者550人超 反撃で米兵も死亡―戦線拡大、情勢悪化の一途:時事ドットコム トランプ大統領 “軍事作戦 4~5週間以上かかる可能性も” | NHKニュース →イランをめぐる戦闘は激化している。イラン側の死者は550人を超えたが、湾岸諸国の米軍基地を中心に反撃を強化している。トランプ大統領は今回の作戦は4~5週間以上かかると言明しており、早期終結は望み薄だ。エプスタイン疑惑隠しの観測も根強い。
◎イラン情勢、外交解決訴え 高市首相「エネ供給に万全」:時事ドットコム →高市首相は予算委員会でイラン情勢について「交渉を含む外交的解決を」と答弁した。国際法違反と非難される米国の攻撃には論評せず、「イランの核開発は許されない」と強調。外務省の想定問答をなぞっている印象で、安全運転に徹している。英独仏の3カ国首脳はイラン非難の声明を出し、カナダのカーニー首相も米国支持をいち早く表明した。理念よりトランプ大統領を刺激したくない思惑が先立っている。
◎東京 大田区 無効票水増し問題 職員4人書類送検 不正が慣例か | NHKニュース →東京・大田区で選挙の無効票水増しが明らかになった。去年7月の参院選では5000票を超え、10年以上前から繰り返されている疑いがあるという。4人の区職員が書類送検されたが、他の自治体でもありそうだ。あってはならいないことだが、深夜の開票作業を取材している実感ではありそうな事態だ。
◎保護司殺害事件 “生命を軽視” 被告に無期懲役判決 大津地裁 | NHKニュース →滋賀県で保護司が殺された事件で、大津地裁は無期懲役を言い渡した。保護司制度を根底から揺るがしかねない事件だが、弁護側は「責任能力が十分になかった」と有期刑を主張。判決は「下見をするなど計画性が高く、責任能力はある」と判断した。保護司の動揺は続いていないだろうか。
◎WBC日本代表 オリックスとの強化試合 敗れる 大谷 鈴木 村上は無安打 吉田はホームラン | NHKニュース →WBCの強化試合に大谷翔平らメジャー組が出場し、盛り上がった。試合はオリックスに3対4で破れ、大谷、鈴木、村上は無安打。吉田が本塁打で気を吐いた。本番は6日の台湾戦からだが、ネットフリックスの独占中継で、地上波では見られない。熱狂は続くのだろうか。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎前田利家(加賀藩主。1599年3月3日死去、60歳)
「自ら天下人になるな。天下人は必ず滅ぼされる」 「差し出がましい者は取り立てず、控え目なる者を登用せよ」 「古参者は、新参者より信用できない」 「戦では、やられる前にやれ。絶対に自分の領域に踏み込ませてはならない」 「いったん戦場に出たら、自分の思うように行動し、人の言うことを聞き入れないのが良い」 「武門とは信義を守る番兵であり、人の生涯は心の富を蓄えるためにある」 「借金の取り立てを催促してはいけない」 「人間は不遇になったとき、初めて友情のなんたるかを知る」 「ともかく金を持てば、人も世の中も恐ろしく思わないものだ。逆に一文なしになれば、世の中も恐ろしいものである」 「合戦するとき、兵力が1万と3千では、その大将の考えで3千の軍が度々勝つものだ。そのわけは、小勢の方は勝って生きるか、負けて死ぬか、と兵士は覚悟しているからである。大軍の大将こそ、油断してはならない」
*** 今週の教養講座(カナダ・カーニー首相のミドルパワー演説②)
第2回 ルールに基づく秩序の有用性とその終焉
数十年にわたり、カナダのような国々はルールに基づく国際秩序のもとで繁栄してきた。私たちはその制度に参加し、その原則を称賛し、その予測可能性から恩恵を受けてきた。制度は私たちに空間を与え、価値観に基づく外交を可能にした。国際機関、貿易体制、協力枠組みは、安定の土台となった。
しかし私たちは同時に、その物語が完全な現実ではないことも知っていた。強大な国々は都合の良いときにルールの適用を免れ、貿易ルールは非対称に執行され、国際法の適用は当事者によって異なった。それでもこの仕組みは有用だった。特に覇権国は公共財を提供し、海上航路を開放し、金融の安定を支え、集団安全保障を支援した。だから私たちは儀式に参加した。制度の理念と現実の隔たりを指摘することを避けた。それは取引だったのである。
しかしその取引はもはや機能しない。金融危機、医療危機、エネルギー危機、地政学的緊張が、極端なグローバル統合のリスクを露呈させた。さらに大国は統合そのものを武器として利用し始めた。関税、金融インフラ、サプライチェーンが威圧の手段となった。
統合が相互利益ではなく従属を生むなら、その虚構の中で生き続けることはできない。多国間機関は弱体化し、各国は戦略的自律性を求め始めている。しかし要塞化された世界は貧しく脆い。私たちが問うべきは、閉じるか開くかではない。どのような現実を受け入れ、どのような秩序を築くのかである。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年3月4日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(3日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎トランプ大統領 対イラン大規模攻撃を示唆 米職員に退避勧告 | NHKニュース →米国がイランへの大規模攻撃を示唆しているが、出口戦略がはっきりしない。トランプ大統領は政権転覆を目指すと公言していたが、政権内では否定する声もある。イスラエルに引きずられているのか、トランプ大統領が気まぐれなのか、エプスタイン疑惑隠しが主目的か。アフガニスタンやイラクで手痛い失敗をしたのに、イスラム社会への本質的理解が不十分にも見える。宗教戦争にもなりかねず、世界に止め役となる有力人物もいない。かなり危うい道をたどっているのではないか。
◎東京株、連日の大幅安 中東緊迫、2日で2500円超下落:時事ドットコム →東京株は2日連続で大幅に下落した。中東危機の長期化に対する警戒感が急速に高まっている。トランプ政権の出口戦略がはっきりしないことが拍車をかける。日本企業の業績は好調で、市場の底流では経済と政治の綱引きが渦巻いている。3日のNY株が下落し、きょうの東京株も下がる見通し。不安定な相場が続きそうだ。
◎経産省「核のごみ」最終処分地 東京 小笠原村南鳥島で文献調査申し入れ | NHKニュース →これまでの候補地は北海道と佐賀県で人家と近かった。南鳥島なら一般住民はいないのでより有望と言えそうだ。原発を稼働している以上、最終処分地は必要になる。近くではレアアースも見つかった。新しい戦略的な投資拠点か。
◎ニデック、減損2500億円も 「永守氏が会計不正容認」第三者委報告 – 日本経済新聞 →ニデックは創業者の永守会長がパワハラをしていたような状態だった。第三者委員会が報告書を発表、「永守氏の強いプレッシャーがあり、永守氏は会計不正を容認した」と指摘した。資産の過大評価や費用の過小計上があり、結果的に2500億円の減損処理をする。永守王国のあっけない崩壊だ。
◎自民 防衛装備品の海外移転めぐる5類型撤廃 与党提言案を了承 | NHKニュース | 防衛 →自民党が殺傷能力のある武器の移転を認める方針を正式決定した。防衛産業の強化が狙いだが、かつて宮沢喜一首相は「日本はそこまで落ちぶれていない」と言っていた。平和国家の看板を捨てて、日本はどこへ行くのだろうか。その先がよく見えない。
◎高市首相「批判あれば慎む」 自民議員へのギフト配布:時事ドットコム →高市首相がカタログギフト問題で反省の弁を述べた。支持者には「社会的慣習で問題ない」という声もあるが、政治の世界は一般社会より簡素であるべきだ。政治資金は非課税で優遇され、ギフトが政治活動かという疑念もある。支持・不支持を超えて「簡素でクリーン」を政治に求めるのが有権者のスジだ。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎成瀬仁蔵(日本女子大創始者。1919年3月4日死去、60歳)
「信念徹底、自発創生、共同奉仕」(危篤の病床で揮毫した教育三標語) 「聴くことを多くし、語ることを少なくし、行うところに力を注ぐべし」 「女子の主要な天職は賢母良妻であるべきといわれるが、その一生は必ずしも妻母としての境遇だけにとどまらない。寡婦として、娘として、個人として働く、国民として何かを行う境遇もある。女子もまた人である」 「優秀な品性を備え、充実した活力を有する高尚で偉大な人物を養成するための教育の基本的方法は、青年の自発的な動力を開発培養し、その効果を実地に生かす生活法を自得させることにある。これを自学自動主義の教育とする」 「実業的社会教育とは、実業に直接に役に立つ、いわゆる実業教育ではなく、学校そのものが工場的、社会的、家庭的な要素を備え、文学、商工、手芸、さらには音楽、美術もこれに加わり、これによって知育、徳育、情育、体育を完成させようとするものである」 「我々には神性、仏性がある。これによって互いに共同し、大生命に到るという信念を持ち得るのである。我々の信念生活の経験とは、神と我々のその二者が一体となることを意識し、直接にその感化を受け、同一生命になることを意識する境地に入ることをいうのである」
*** 今週の教養講座(カナダ・カーニー首相のミドルパワー演説③)
第3回 価値観に基づく現実主義と国家の力の再構築
この新しい現実に直面して、私たちは過去の前提を見直さなければならなかった。長い間、カナダを含む多くの国は、地理的条件や同盟関係が自動的に安全と繁栄を保証するという前提のもとで行動してきた。だがその前提は、もはや有効ではない。世界秩序の断絶が進むなかで、私たちは環境の変化を受け入れるだけでなく、戦略そのものを再構築しなければならない。
そこで私たちが採用したのが「価値観に基づく現実主義」である。これは単なる理想主義ではないし、単なる現実主義でもない。原則を維持しながら、現実の条件のなかで行動するという姿勢である。私たちは主権と領土保全、人権の尊重、国連憲章に基づく武力行使の制限といった基本原則を放棄しない。しかし同時に、利害は分岐し、すべての国が同じ価値観を共有しているわけではないという現実を認める。進歩は多くの場合漸進的であり、政策は理想ではなく現実の条件の中で形成される。
したがって私たちは、理想の世界が訪れるのを待たない。現実の世界に関与する。広範かつ戦略的に関係を構築する。影響力を最大化するためには、まず関与の幅が必要だからである。この姿勢は、国内の力の再構築と不可分である。もはや価値観だけでは国家を守れない。価値観を支える物質的基盤が必要だ。だから私たちは国内の強さを築く。税制を見直し、投資を促進し、州間の貿易障壁を撤廃し、エネルギー、AI、重要鉱物、新たな貿易回廊に巨額の投資を行う。防衛力を強化し、それを国内産業の育成と結びつける。
同時に私たちは対外関係を多様化する。戦略的パートナーシップを拡大し、貿易と安全保障の協定を広げ、地域ごとに協力の網を築く。課題ごとに異なる連合を形成し、必要に応じて協力の形を変える。これは制度への盲目的依存ではない。機能する協力を選び取るということである。
私たちが追求しているのは、孤立ではない。要塞化でもない。現実を直視しながら、原則を維持し、実行可能な協力を構築することである。中堅国が影響力を持つためには、価値観と能力の双方を備えなければならない。これが私たちの戦略転換の意味である。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年3月5日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(4日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎旧統一教会に解散命令 東京高裁 清算の手続き始まる | NHKニュース →山上被告の1発がここまで事態を進展させた。ただ、税制優遇を受けられる宗教法人の解散であり、布教活動はできる。問題の本質は戦後政治の構造にある。岸元首相が反共団体として重用したが、旧統一教会は「日本は罪を犯した国。韓国に尽くすべきだ」として日本で資金を集めて韓国に還流させた。岸派・安倍派は保守派を名乗りながら、選挙で教団の力を借り、反日活動にお墨付きを与えた。岸田首相らは教団の罪を追及したが、高市首相は教団に近かったり、裏金で問題になったりした安倍派議員の復権を図っている。戦後保守勢力の深層まで目を凝らしたい。
◎東京株急落、2033円安 中東の戦闘長期化懸念―下げ幅は史上5番目:時事ドットコム →東京株が史上5番目の下げ幅となった。イラン戦闘の出口が見えないのが最大の理由。いずれ実態経済への影響も懸念される。事情は米国も同じだ。4日のNY株は上昇、きょうの東京株も急騰の見通し。ベッセント財務長官が「大統領、一時停戦しましょう。世界経済がおかしくなります」とでも言わない限り、乱高下か。
◎新年度予算案 与党側は土曜日審議を提案も 野党側は一斉に批判 | NHKニュース →予算の年度内成立をめぐり、与野党の溝が深まっている。審議を早めるため野党の反対を押し切って8日の地方公聴会を議決、7日土曜日の審議も提案している。与党は国民生活やイラン対応を大義名分とし、野党は熟議の国会審議を掲げる。高市国会の象徴的な光景だ。
◎社民党首選、13年ぶり選挙戦 大椿・ラサール・福島氏出馬:時事ドットコム →目立たないが、社民党の党首選が始まった。福島瑞穂氏の私党のようなイメージだが、3人が立候補した。かつて自民党と対峙した社会党。その後継政党がどんな論戦を展開するのだろうか。
◎山の上ホテル、27年夏に新装開業 竹中工務店が保存改修 – 日本経済新聞 →文化人ホテルとして知られた東京・御茶ノ水の「山の上ホテル」が、27年夏に新装開業する。隣接する明治大学が所有し、竹中工務店が改修作業をしている。1937年建築で、川端康成や三島由紀夫らが定宿とした。東京の新名所になるだろう。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎ヨシフ・スターリン(ソ連共産党書記長。1953年3月5日死去、74歳)
「愛とか友情などというものはすぐに壊れるが、恐怖は長続きする」 「投票する者は何も決定できない。投票を集計する者がすべてを決定する」 「たった一つの死は悲劇だが、百万人の死は統計に過ぎない」 「死がすべてを解決する。人間が存在しなければ、問題も存在しないのだ」 「正直者の外交官など、乾いた水や木でできた鉄のようなものだ」 「圧制者の骨の上にのみ人民の自由は築かれ、圧制者の血のみが人民の自治のための土地を肥やす」 「教育とは、効果を誰が手にするか、誰に向けられるかによって決まる武器である」 「強制収容所の理念は素晴らしい」 「社会民主主義は、客観的に見てファシズムの穏健派である」 「思想は銃よりもはるかに強力である。我々は国民に銃を持たせない。なぜ彼らに思想を持たせる必要もあるのか」 「神はあなたの味方か?それとも神は保守派なのか?悪魔は私の味方だ。悪魔は、優秀な共産党員だ」 「私はもうおしまいだ。誰も信用できない、自分さえも」
*** 今週の教養講座(カナダ・カーニー首相のミドルパワー演説④)
第4部 中堅国の選択と「真実の中で生きる」という政治
いま私は、中堅国が直面している根本的な問題について語りたい。大国間の競争が激化する世界において、その間に位置する国々には選択肢がある。互いに恩恵を求めて競い合うのか、それとも結束して影響力を持つ第3の道を築くのかである。
大国は単独で行動できる。市場規模、軍事力、影響力を持つからだ。しかし中堅国にはそれがない。もし私たちが覇権国と個別に交渉すれば、弱い立場から条件を受け入れるしかない。提示された条件を個別に受け入れ、互いにより多く譲歩する国になろうと競い合うことになる。それは主権ではない。従属を受け入れつつ主権を演じているにすぎない。
だから私は強調する。ハードパワーの台頭に目を奪われてはならない。正統性、誠実さ、ルールに基づく力は依然として強力である。ただしそれは、共同で行使されるときにのみ力を持つ。
ここでハヴェルの言葉に戻る。「真実の中で生きる」とは何か。第1に、現実を正確に呼ぶことである。ルールに基づく秩序が宣伝どおり機能しているかのように呼び続けるのをやめる。現実をあるがままに認識する。すなわち、大国が経済統合を威圧の手段として利用し、利益を追求する競争の時代であると。第2に、一貫した行動を取ることである。ある方向からの威圧だけを批判し、別の方向からの威圧には沈黙するなら、私たちは依然として看板を掲げ続けているにすぎない。同じ基準をすべてに適用すること、それが誠実さである。
第3に、自ら信じる制度を実際に築くことである。古い秩序の復活を待つのではなく、機能する制度と合意を創り出すことだ。言葉どおりに機能する枠組みを構築することだ。そして第四に、威圧に耐える能力を持つことである。国内の経済的基盤を強化し、多角的な関係を築き、報復への脆弱性を減らす。多角化は単なる経済政策ではない。原則に基づく外交を可能にする条件である。
これらすべてが、「真実の中で生きる」ということの意味である。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年3月6日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(5日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎米国防長官“イラン海軍艦艇を魚雷攻撃 制空権を完全掌握へ” | NHKニュース →イランをめぐる戦闘で米国側から楽観的な情報が増えている。イラン軍艦隊を魚雷で撃沈し、近く制空権を掌握できるという。魚雷で相手艦船を沈めたのは第2次世界大戦後、初めて。トランプ大統領は「10点満点で15点」とアピールする。これらが本当なら、早期終結のシナリオになるはずだが・・・。
◎ハメネイ師の後任に次男のモジダバ師浮上、反米の保守強硬派 : 読売新聞 →イラン側の情報が極端に少なくなっているが、ハメネイ師の後任に次男のモジダバ師が浮上している。かねて後継者とされているが、政府の要職を務めたことはない。革命防衛隊と緊密な関係にあり、反米強硬派という。一方、イランには穏健派もいて、モジダバ師に反対して米国と交渉を求める勢力もあるという。
◎米裁判所が関税還付命令 初判断、政権に大打撃:時事ドットコム →アメリカの国際貿易裁判所が関税の還付命令を出した。対象は輸入した時に関税額が決まっていなかった物品。初めての判断で影響は小さくない。一方的な関税引き上げはもともと無理があった。政権の柱だったトランプ関税に国内からの異議が高まっている。
◎カイロス打ち上げ、3度目の失敗 70秒後に飛行中断措置―スペースワン:時事ドットコム →宇宙ベンチャー・スペースワンの小型ロケット「カイロス」の打ち上げが、また失敗した。発射70秒後、自律飛行安全システムが作動し、飛行中断措置が取られた。再度挑戦する。日本は失敗に厳しい。「失敗は成功のもと」と考え、再起を期待したい。
◎中国 全人代 経済成長率の目標「4.5%~5%」去年から引き下げ | NHKニュース →中国の全人代が始まり、これまで5%だった経済成長率の目標を「4.5~5%」に引き下げた。不動産不況に代表される国内経済の低迷を認めた形だ。経済力は国力の大きな要素で、米国との覇権争いにも影響する。今月末からの米中首脳会談を経て、両国のパワーバランスはどうなるか。国防費は7%増。
◎名古屋 27年前の女性殺害事件 69歳の被告 殺人の罪で起訴 | NHKニュース →高校の同級生の妻を殺した名古屋市の女性(69)が殺人罪で起訴された。焦点は動機。同級生について「女性や子育てに関する考えが嫌いだった」と供述しているが、詳細は不明だ。刑事責任能力の有無を調べる鑑定留置が行われ、能力を問える結論になって起訴に至った。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎ルイーザ・メイ・オルコット(米の小説家。1888年3月6日死去、55歳)
「雲の向こうは、いつも青空。信じるものは強く、疑いを抱くものは弱い。強い信念があって始めて、偉大な行動がなされる」 「火を起こすには火打ち石が2つ必要だ」 「母への信頼が揺るぎなく残っている息子は幸せだ」 「人生とは私にとっての大学です。うまく卒業できれば、いくらかの名誉を手に入れることができるでしょう」 「自分が分かっていることを行いなさい。そうすれば、知る必要のある真実を学べるでしょう」 「ほめられ甲斐のある方からほめられるようになることが大事ですよ」 「進み方がどんなにゆっくりでもいい、徹底的に勉強していこうよ」 「人格こそは、金よりも階級よりも知性よりも美よりも、優れた持ち物である」 「田舎で生まれ、田舎で育ったということは、教育の最良の部分だと思う」 「人間の顔は、彼の持っている徳の一部である」
*** 今週の教養講座(カナダ・カーニー首相のミドルパワー演説⑤)
第5回 断絶の時代における使命と未来
最後に私は、この断絶の時代において私たちが担うべき使命について語りたい。私たちはいま、単なる変化の時代ではなく、根本的な断絶のただ中にいる。これまで当然と考えられてきた前提は崩れ、制度は揺らぎ、国際関係の基盤そのものが再編されつつある。この状況のなかで問われているのは、私たちが何を持っているかではない。何を認識し、どのように行動するのかである。
私は明確に申し上げたい。資源や制度や価値観を持っていること、それ自体が未来を保証するわけではない。最も重要なのは、現実を認識し、それに応じて行動する決意である。私たちは起きていることを直視しなければならない。私たちはすでに理解している。この断絶は単なる適応では足りない。これまでの延長線上に解決はない。
より深い認識と、より明確な行動が求められている。その第一歩が、私たちが長く掲げてきた「看板」を外すことである。秩序が元の形に戻ることを期待し続けることはできない。古い均衡が自然に回復すると考えることはできない。私たちはすでに知っている。古い秩序は戻らない。
では何をすべきなのか。世界が要塞化に向かうとき、多くの国は閉じることを選ぶかもしれない。だが要塞化された世界は、より貧しく、より脆く、持続可能性に欠ける。特に中堅国にとって、それは最も多くを失う道である。
しかし同時に、真の協力が成立する世界では、中堅国こそが最も多くを得る。なぜなら私たちは規模の力ではなく、連携の力によって影響力を持つからである。私たちは大国ではない。だが私たちは無力でもない。私たちは共に行動する能力を持つ。共通の利益を見出す能力を持つ。機能する制度を築く能力を持つ。
私はここで強調したい。スーパーパワーにはスーパーパワーの力がある。だが私たちにも力がある。偽りをやめる力がある。現実を直視する力がある。国内の力を築く力がある。そして共に行動する力がある。これらは目立たない力かもしれない。しかしそれは持続的な力であり、構築的な力であり、共有可能な力である。
だからこそ、これがカナダの道である。私たちは現実を正確に認識し、その上で原則を維持し、国内の基盤を強化し、国際的な協力を築く。この道はカナダだけのものではない。共に歩む意志を持つすべての国に開かれている。偽りをやめ、現実を見据え、力を築き、共に行動する。その意志を共有するなら、この道は誰にでも開かれているのである。
