2026年3月30日~4月3日(教養講座:企業不祥事史)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年3月30日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(27~29日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎アメリカ軍がイランへの圧力強化 イランでは犠牲者増加 仲介役のパキスタンが外交の動きを活発化 | NHKニュース →米軍の地上戦の準備が着々と進んでいる。長崎・佐世保基地配備の強襲揚陸艦「トリポリ」が中東海域に到着。空母や空挺部隊も配備されており、あとはトランプ大統領の判断にかかっているはずだが、本人はすでに関心を失い、バンス副大統領に任せたという見方もある。地上戦なら狙いは石油基地で、カーグ島を奪取して終結するという報道もある。これまでの対応をみれば、思惑通りにいかないだろう。
◎センバツ決勝は智弁学園-大阪桐蔭 近畿対決は4年ぶり | 毎日新聞 →球春が日米で満開だ。高校野球はあす31日、智弁学園(奈良)と大阪桐蔭の近畿決戦。プロ野球が27日に開幕し、セでは広島とヤクルト、パではソフトバンクが3連勝で、スタートダッシュに成功した。大リーグも開幕。村上と岡本が早くも4番にすわって活躍している。大谷の本塁打が待ち遠しい。
◎4月電気料金、全社値上がり 393円以上、補助金終了で―10社:時事ドットコム →4月から電気・ガス料金が全国で値上がりする。補助金の打ち切りが理由で、電気料金は前月比393~463円、都市ガス大手4社の料金も148~195円上昇する。原油高はまだ反映されておらず、先行きはさらに厳しくなっている。
◎円安、為替介入警戒水準に 原油急騰で加速、160円台に:時事ドットコム →原油高騰もあって円安が進み、160円台になった。2024年に政府・日銀が介入を繰り返したラインを超えた。円安が進めば物価高がさらに進むことになる。週明けの為替市場は介入警戒感が高まりそうだ。30日の東京株は暴落の見通しで、イラン戦闘の長期化で金融市場の混乱が続く。
◎しずおかFGと名古屋銀が統合合意 28年めど、総資産22兆円で地銀4位:時事ドットコム →静岡銀行を傘下に持つ静岡FGと名古屋銀行が経営統合をする。名古屋銀行が完全子会社になり、「東海道銀行」といえる存在になる。総資産は22兆円で地銀4位。地銀を取り巻く環境は厳しさを増しており、規模で「20兆円クラブ」が業界標準になりそうだ。
◎陸自えびの駐屯地を家宅捜索 中国大使館敷地に侵入容疑―警視庁:時事ドットコム →自衛隊員の中国大使館侵入事件で、警視庁が陸上自衛隊えびの駐屯地を家宅捜索した。大使館の敷地は受入国でも勝手に立ち入れない不可侵性がウィーン条約で認められている。刃物を持った自衛隊員の侵入はそれだけ違法性が強い。高市政権は「遺憾の意」を表明しているが、謝罪はしておらず、批判する声が出ている。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎坂本龍一(作曲家、ピアニスト。2023年3月28日死去、71歳)
「良いメロディーは、気がついたら目の前にあることが多い」 「一生かかっても会うことがないだろうルーマニアの小さな村のおばちゃんが、僕の音楽を耳にして、『ああ!』と思ってくれる音楽を作ることができるのか。そこが僕の基準です」 「100年後にも人々に聴かれている音楽をつくること。自分を漱石と比較する気はないけれど、漱石が死んだ年をとっくに過ぎてしまったことに忸怩たる思いがある」 「日本は個人のオピニオンを求められない社会。むしろ言わないことが是とされる。はっきりしたことを言うと煙たがられる。西洋社会はまったく反対で、曖昧だと、『こいつバカなんじゃないか?』って思われる社会ですよね」 「息苦しい社会に対しては、引きこもるか、アウトローになるか、外国に出るかが有効な手段だ」 「声を上げる。上げ続ける。あきらめないで、がっかりしないで、根気よく。社会を変えるにはそれしかないのだと思います」 「自分の思い通りに生きたがどうかが大事。長さではない。どう生きるか、どう死ぬかっていうのは個人が責任を持って選んで下さい」
*** 今週の教養講座(企業不祥事史①)
カリスマ経営者・永守重信氏に率いられたニデック(旧日本電産)の不正会計が問題になっている。永守氏は世間に説明することなく引退した。企業経営でコンプライアンスが脚光を浴びて久しいが、主に社員向けの教育が中心だ。しかし、トップこそが法令順守を問われ、倫理観や道徳観も厳しく試されている。トップの不祥事は企業の存廃に直結する。過去の企業不祥事を振り返り、トップの不祥事の教訓や社員としてどうすべきかをまとめてみた。
◎東芝の不正会計問題と経営混乱
東芝は1875年創業、日本の近代化とともに歩んできた総合電機メーカーだ。白物家電から発電設備、半導体、原子力まで幅広い事業を展開し、日本を代表する名門企業と見なされてきた。しかし2015年、不正会計問題が発覚し、長年積み上げてきた信頼は大きく揺らいだ。
問題の核心は、2008年度以降の複数事業で利益が過大に計上されていたことだった。第三者委員会の調査によれば、約1500億円規模の利益水増しが確認された。直接的な粉飾というよりも、「チャレンジ」と呼ばれる高い利益目標が上層部から繰り返し求められ、現場がそれに応える形で原価計上の先送りや見積もり操作を行った構図が浮かび上がった。
ここで注目すべきは、特定の部署の不正というより、組織文化の問題である。歴代経営陣は短期的な業績改善を強く迫り、達成できない場合の説明は許されにくかった。中間管理職は板挟みとなり、最終的に数字を合わせる方向へと傾いた。目標が現実から乖離しても修正されず、「できない」と言いにくい空気が固定化していた。
2017年には、米原子力子会社ウェスチングハウスの巨額損失が発覚する。原子力事業の拡大戦略が裏目に出て、数千億円規模の減損を計上。債務超過に陥り、主力の半導体メモリ事業(後のキオクシア)を売却せざるを得なくなった。成長分野への大型投資が、リスク管理の甘さと相まって経営を圧迫したのである。
その後も経営体制を巡る混乱が続いた。海外ファンドとの対立、株主総会運営を巡る問題、社長交代の連続。2023年には投資ファンド主導で非公開化され、上場企業としての歴史に幕を下ろした。名門企業が統治構造の不全によって揺らいだ事例として、国内外に大きな影響を与えた。
東芝の教訓は3つありそうだ。第1に、過度な数値目標は不正を誘発するということ。目標は挑戦的であっても、現実的な修正機能を持たなければならない。第2に、心理的安全性の欠如は組織リスクであること。異論や懸念を安心して表明できる環境がなければ、問題は地下に潜る。第3に、大型M&Aや新規事業投資には、最悪シナリオを想定した厳格なリスク評価が不可欠である。
社員にとって重要な教訓は「自分の現場で無理な目標が出たとき、どう対応するか」という視点だ。数字は結果であって目的ではない。短期的な達成のために信頼を損なえば、組織の存続そのものが危うくなる。東芝の事例は、優れた技術や長い歴史があっても、ガバナンスと文化を誤れば企業は揺らぐことを示している。歴史を学ぶ意味は、過去の失敗を他人事にしないことにある。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年3月31日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(30日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎京都 南丹 小5男児不明 電車やバスに乗った形跡は確認されず | NHKニュース →京都府南丹市で小学校5年生の男児が23日から行方不明になり、3キロ離れた山の中からリュックサックが発見された。ふだん人がほとんど行かない場所だという。電車やバスに乗った形跡はなく、事件の可能性が強まっている。
◎予算年度内、政権が断念 「暫定」成立、審議継続へ:時事ドットコム →自民党が予算の年度内成立を断念した。高市首相が総選挙を実施したことで、不可能と見られていた。首相がネジを巻いて自民党がこだわってきたが、少数与党の参院では思惑通りにいかなかった。野党に強いボールを投げる高市スタイルが如実に出た。豪速球を見せたのか、大きくつまずいたのか。
◎株価 大幅な値下がり イラン情勢長期化で世界経済への打撃懸念 | NHKニュース →不透明なイラン情勢が金融市場を直撃している。東京株は一時、2800円も下げ、5万円割れも視野に入った。終値は1487円安だったが、あいまいな米国の出口戦略、トランプ大統領の揺れる発言のあおりを受けて、乱高下が続く。
◎ネットで学長名の印鑑調達か 田久保・前伊東市長を在宅起訴―大学卒業証書偽造の罪・静岡地検:時事ドットコム →伊東市長が書類送検された。卒業証書はネットを通じて学長名の印鑑を調達して偽造していた。最初から「卒業はしていません」と謝っていれば、刑事被告人になることもなかった。支持者の弁護士と組んでの過剰な法律対応が墓穴を掘った。刑事被告人ではタレントにもなれない。
◎東京・清瀬市長選で共産勝利 現職首長4人目、自民破る:時事ドットコム →東京都清瀬市で、50歳の女性共産党市長が誕生した。図書館建設問題などが争点になり、自民・公明推薦の現職を破った。共産党によると、党籍を持つ現職首長は埼玉県蕨市、長野県中川村、大阪府忠岡町に次いで4人目。国政に関係する何らかの潮流を示唆しているのかどうか。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎志村けん(タレント。2020年3月29日死去、70歳)
「俺はいつでも『個性は変人、常識は凡人』でいたい」 「非常識なことをするためには、まず常識を知らなきゃいけない」 「人になにかを伝えたいなら嘘をついちゃいけない」 「みんなと同じだったら、一番楽だろう。不安もなくなる。でも、その代わり個性もない。あいつは変わってると言われるのは光栄なことだ」 「好きなものが一つあるって、人生の中ですごく幸せなこと」 「最初から全力でいかない奴は、その時点で先がない」 「ずっと恵まれて見える人は、みな必ず努力している、例外なくね」 「あの頃の僕はただ無我夢中で、なんでも一生懸命やろうとして力が入り過ぎていた。後になってわかったことだけど、本当はその逆で、楽しく遊んでいるように見せるのがお客さんを笑わせるコツだ」 「古今東西、いつの時代も、自分が楽しいと思わない仕事からよい結果は生まれない」
*** 今週の教養講座(企業不祥事史②)
◎山一證券の破綻(1997年)
山一證券は、1897年創業の四大証券の一角として長く日本の資本市場を支えてきた名門企業である。だが1997年11月、自主廃業を発表し、戦後日本経済を象徴する企業の1つが歴史の幕を閉じた。背景には、バブル崩壊後に膨らんだ巨額の損失と、それを長年隠し続けた「簿外債務」の問題があった。上層部の一部しか知らなかった。
1990年代初頭、バブル経済が崩壊すると株価と地価は急落し、証券会社は多額の含み損を抱えた。山一も例外ではなかった。本来であれば損失を計上し、資本を増強し、経営を立て直す道を選ぶべきだった。しかし同社は損失を子会社などに付け替える「飛ばし」と呼ばれる手法で帳簿外に移し、表面上の業績を保とうとした。これにより、最終的に約2600億円とも言われる簿外債務が積み上がった。
当時の日本の金融行政は護送船団方式と呼ばれ、競争よりも安定を重視する体制だった。証券会社同士の横並び意識も強く、「名門が潰れるはずはない」という空気があった。社内でも、上層部の判断に異を唱えにくい文化があり、不都合な情報は共有されにくかった。損失を早期に開示すれば市場の信頼を失うという恐れが、逆に致命傷を深めていったのである。
1997年は日本の金融不安が連鎖した年でもある。北海道拓殖銀行や三洋証券が破綻し、市場の警戒感が高まっていた。そうした中で山一の簿外債務問題が明るみに出ると、資金繰りは急速に悪化した。最終的に自主廃業を決断し、約8000人の社員は職を失った。
記者会見で当時の社長が「社員は悪くありませんから」と涙ながらに語った姿は、多くの国民の記憶に残る。現場の社員は必ずしも不正に関与していなかった。しかし、組織として損失を認めず、先送りを続けた経営判断が企業を崩壊に導いたのである。
山一證券の破綻は、単なる一企業の失敗ではない。日本の金融システム全体にガバナンス改革を迫り、時価会計の導入や金融監督体制の強化など、大きな制度改革へとつながった。教訓の第1は、損失や不都合な事実を早期に開示する透明性。第2に、異論を許す組織文化。第3に、成功体験に依存しないリスク管理である。
中堅社員の立場で考えれば、「問題を抱えたとき、上にどう伝えるか」「不都合な情報を握りつぶしていないか」という問いに直結する。山一の失敗は、巨大な不正というより、小さな先送りの積み重ねが招いた結果だった。組織は突然崩れるのではない。静かに、しかし確実に信頼を失いながら崩れていく。そのプロセスを理解することこそ、歴史から学ぶ最大の意義である。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年4月1日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(31日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎「反撃能力」の柱と位置づける長射程のスタンド・オフ・ミサイル初配備 : 読売新聞 →射程1000キロ以上の長射程スタンド・オフ・ミサイルが、熊本県と静岡県の自衛隊基地に配備された。敵のミサイル基地を攻撃できる。安保環境の悪化を理由に軍備増強が進むが、本当に抑止力になるのだろうか。「これでは日本にかなわない」と矛を収めるのだろうか。軍拡競争の方が、リスクが大きいのではないか。「ノウテンキなお花畑だ」という声も聞こえそうだが、軍拡派は軍拡の先をあまり語らない。「対決の地獄」より「お花畑」の方がいいだろう。
◎KDDI社長ら報酬返納 架空取引、売上高2461億円水増し―子会社社長ら辞任、社員2人解雇:時事ドットコム →KDDIの不祥事で子会社社長ら6人が辞任、社員2人が解雇された。社員2人が、業績が想定を下回ったことで焦りが生じ、赤字補填や売り上げ目標達成のために始めたという。焦った現場社員が本当に悪いのか。企業風土も無縁ではないだろう。
◎浜岡原発データ不正処理問題 中部電力 社内調査など報告書提出 | NHKニュース →中部電力が浜岡原発不正の報告書を提出した。地震の大きさを過小評価するデータが提出され、2018年以降、部内でも不正が問題になったが、対応は変わらなかったという。早期再稼働を目指す社内の空気が大きく影響したのだろう。不祥事に共通する思考停止だ。第三者委員会も調べている。
◎国旗損壊罪、自民に賛否 4月集約目指し議論開始:時事ドットコム →国旗損壊罪の議論が自民党で始まった。外国国旗は外交上の配慮から損壊罪があるが、「日本国旗にないのはおかしい」というのが高市首相ら右派の主張。「刑法の器物損壊罪で対応でき、現実に国旗損壊は問題になっていない」が慎重派の意見。表現や思想の自由に関わる法律は拡大解釈されて異論封殺に利用されることもある。多様性のある社会こそ強い。
◎大阪桐蔭が優勝 4年ぶり5回目 春夏通算10回目 智弁学園破る | NHKニュース →大阪桐蔭が智弁学園を破って優勝した。春夏通算10回目。11回の中京大中京に次ぐが、大阪桐蔭はすべて平成以降で、うち9回は2008年以降。強さの秘密を部活動運営や学校経営の視点から書いた記事も読んでみたい。ビジネスなど他分野でも応用できそうだ。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎スティーブ・ウォズニアック(アップル共同創業者。1976年4月1日、アップル創業)
「ジョブズとは親友だったため、一度でいいから自分たちの会社を作りたかった」 「我々のコンピューターの1号機は、普通の人々が最高に高性能のマシンをもって立ち上がるのを助けたいという革命的精神により生まれた」 「古い問題を解決するため、新たな方法を考えてみてほしい。自分が持っているものをよく見てもっと上手くできるはずだと考えるのです。それがイノベーションです」 「世界には偉大な発明家が必要だ。あなたも自分のしていることを愛し、必要なことを進んでやるなら、望むものは手の届くところにあるはずだ。あなたが夜に独りで過ごし、何を構築したいのかを思案することは十分な価値があることだ」 「アーティストとは単独で作業するものであり、独りのときに最もよく働ける」 「私が出会ったほとんどの発明家やエンジニアは、私に似ていた。彼らは恥ずかしがり屋で、頭の中で生きている。彼らのなかでも最高のものはアーティストだ。アーティストは一人でいるときに最もよく働ける」
*** 今週の教養講座(企業不祥事史③)
◎日本航空の経営破綻と再生(2010年)
日本航空(JAL)は1951年創業。長く「ナショナルフラッグ」として日本を代表する航空会社であり、国際線網と高いブランド力を誇っていた。しかし2010年1月、会社更生法を申請し、戦後最大級の企業倒産となる。負債総額は約2兆3千億円。名門企業がなぜ破綻したのか。
背景は複合的である。第1に、高コスト体質の固定化。路線網の拡大と機材の多様化により、整備・運航コストが膨らんだ。政治的配慮から地方不採算路線を維持し続けたことも、収益構造を圧迫した。第2に、需要変動への脆弱性。2001年の同時多発テロ、2008年のリーマン・ショック、燃油価格の高騰など、外部環境の悪化が直撃した。
しかし決定的だったのは、経営の先送り体質である。業績悪化のたびに部分的な合理化は行われたが、抜本的な構造改革は遅れた。組織は肥大化し、意思決定は重層的でスピードを欠いた。企業年金や退職給付の負担も重く、固定費が高止まりした。危機は徐々に進行していたが、抜本策は打たれなかった。
2010年、政府支援のもとで会社更生手続きに入り、経営再建を担ったのが稲盛和夫氏である。大胆な人員削減、不採算路線の整理、機材の統一、企業年金の見直しなど、痛みを伴う改革を断行した。全社員の意識改革も重視し、「全員参加型経営」を掲げた。現場一人ひとりが収支を意識する仕組みを徹底し、採算管理を細分化した。
その結果、わずか2年8か月で再上場を果たす。営業利益率は航空業界でも高水準に改善した。再建は成功事例として語られることが多いが、重要なのは「なぜ一度破綻したのか」という前段である。
教訓は3つある。第1に、固定費の硬直化は企業を静かに弱らせる。好況期でも構造を点検する必要がある。第2に、政治的・情緒的判断が経営合理性を上回ると、収益力は損なわれる。第3に、危機は突然ではなく、長期的な先送りの積み重ねで生まれる。
中堅社員の立場で考えるなら、自部門の「聖域」はないか、不採算案件を惰性で続けていないかという問いに置き換えられる。改革は外圧ではなく、内部の自覚から始まる。日本航空の歴史は、規模や伝統が安全を保証しないこと、そして組織は本気で変われば再生できることの両方を示している。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年4月2日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(1日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎イラン情勢 トランプ大統領 日本時間あす 国民向けに演説 | NHKニュース →トランプ大統領が日本時間のきょう午前10時、国民向けに演説をする。常識で考えれば、イスラエルに迫られてイランを攻撃したが、硬軟のディールを持ちかけてもうまくいかない。どうしようもなくなって、「偉大な我々は勝利した」と宣言し、取っ散らかしたまま撤退するのだろう。現地時間では4月1日午後8時。さすがに「エイプリルフールだ」とは言わないだろうが・・・。いまこの瞬間も、血を流したり、苦しんだりしている人がいることを忘れてはならない。
◎日仏首脳会談 イラン情勢 引き続き緊密に意思疎通で一致 | NHKニュース →日仏首脳会談があった。高市首相は国会での憮然とした態度と違って、外交では際だってにこやかだ。イラン情勢を受けて緊密な意思疎通をすることで一致した。鉱物、科学技術、原子力での協力も確認した。表に出てくるのは外交辞令だけで、ちょっと寂しい。トランプ大統領をめぐってどんなやりとりがあったのか。
◎製造業景況感、4期連続改善 先行き悪化、中東緊迫が重し―3月日銀短観:時事ドットコム →日銀短観は4期連続の改善だったが、先行き関しては、製造業も非製造業も悪化を見込む。エネルギー価格上昇によるコスト増が収益を圧迫し、サプライチェーンの混乱も懸念材料となる。ガソリン価格の上昇、ナフサ不足による品不足が表面化している。
◎サッカー日本代表 強化試合でイングランドに勝利 三笘薫が決めた1点を守る | NHKニュース →サッカー日本代表が、世界4位のイングランドを4回目の対戦で初めて破った。カウンターから三笘がきれいに決め、この1点を守りきった。6月のワールドカップに弾みをつける歴史的な1勝だ。そのW杯で、第3戦の相手はスウェーデンに決まった。
◎ドジャース 大谷翔平 今季初の二刀流 6回無失点の好投で初勝利 | NHKニュース →ドジャース大谷が今年初の二刀流で登場。6回無失点で初勝利を飾った。打撃はいまひとつで、ホームランが待ち遠しい。村上と岡本は、開幕戦からの連続ヒットを5試合に伸ばした。好調だ。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎高村光太郎(詩人。1956年4月2日死去、73歳)
「僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる」 「智恵子は東京に空がないという。ほんとの空が見たいという」 「進歩は実に遅く不確かなものです。やがて出しぬけにそれがひらかれます。人は前に出ます。けれども暗中模索の幾年かあとのことです」 「時々、内心おどろくほど、あなたはだんだんきれいになる」 「悪魔に盗まれそうなこの幸福を、明日の朝まで何処へ埋めて置こう」 「わがこころは、いま大風の如く君に向かえり」 「人を信じることは人を救う」 「牛は急ぐことをしない。牛は力いっぱいに地面を頼って行く。自分をのせている自然の力を信じきって行く。ひと足、ひと足、牛は自分の道を味わって行く」 「前後のわからないような、むつかしい考えに悩んだりすることがある度に、父さんはまず足のことを思ってみる。自分がほんとにしっかり立って、頭を上にあげているかしらと思ってみる」 「土壌は汚れたものを恐れず、土壌はあらゆるものを浄め、土壌は刹那の力をつくして進展する」 「お前の第一のなす事は、何をおいてもよく眠ることだ。眠って眠りぬくことだ。自分を大切にせよ」 「一生を棒に振りし男此処に眠る。彼は無価値に生きたり」
*** 今週の教養講座(企業不祥事史④)
◎オリンパスの損失隠し事件(2011年)
オリンパスは1919年創業。顕微鏡やカメラ、医療用内視鏡で世界的な評価を受け、日本を代表する精密機器メーカーとして成長してきた。特に内視鏡分野では世界トップクラスのシェアを持つ優良企業だった。しかし2011年、長年にわたる巨額の損失隠しが発覚し、企業統治の根幹が問われる事態となった。
問題の発端は、1990年代のバブル崩壊後に発生した有価証券投資の損失である。本来であれば早期に損失処理すべきだったが、同社は「飛ばし」と呼ばれる手法で損失を簿外に移し、表面化を避け続けた。2000年代に入ると、M&A(企業買収)を通じて巨額の「のれん代」を計上し、その過大な買収額を通じて過去の損失を穴埋めする手法が取られた。結果として、隠された損失は1000億円規模に達していたとされる。
転機となったのは2011年。英国出身の社長マイケル・ウッドフォード氏が、不透明な買収案件に疑問を呈し、調査を求めた。しかし逆に解任される。この解任劇が海外メディアで大きく報じられ、第三者委員会の調査により長年の損失隠しが明らかになった。国際的な信用は一気に失墜し、株価は急落。歴代経営陣が逮捕・起訴される事態に発展した。
この事件の本質は、会計技術の問題というより、閉鎖的な企業文化にあったとされる。長期政権を築いた経営トップの影響力が強く、取締役会の監督機能は十分に働かなかった。社内で異論を唱えることが難しく、不都合な事実は共有されなかった。ガバナンス(企業統治)の形骸化が、20年近い不正の温床となった。
一方で、同社はその後、大規模な経営改革を実施する。社外取締役の増員、指名委員会等設置会社への移行、事業ポートフォリオの見直しなど、統治体制を抜本的に再構築した。カメラ事業から撤退し、医療分野に集中する戦略を明確化。信頼回復には長い時間を要したが、再建への道筋を描いた。
オリンパスの教訓は三つある。第一に、損失の先送りは問題を拡大させるだけであること。第二に、取締役会や監査機能が実効性を持たなければ、形式的なガバナンスは意味をなさないこと。第三に、外部の視点を排除する閉鎖性は重大なリスクであること。
中堅社員にとって重要なのは、「おかしい」と感じたときに声を上げられるかどうかである。小さな違和感を共有できる環境があれば、組織は自浄作用を持つ。オリンパス事件は、技術力や市場地位があっても、統治と文化を誤れば企業は揺らぐことを示した歴史的事例である。
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◎トランプ大統領 イラン情勢で“今後2~3週間 激しい攻撃行う”【ノーカット動画も】 | NHKニュース →トランプ大統領が国民向けに演説したが、評判が悪い。一方的に戦果を強調したが、根拠はあいまいで、停戦に関する新事実もない。株は下落、石油は値上がりし、市場の評価も低い。ホルムズ海峡は関係する国で対応すべきだと主張し、NATO離脱を検討するとしている。国際社会でアメリカの威信と信頼の低下は著しい。
◎イラン大統領が米国民に公開書簡 攻撃は「破壊的選択」「米国民の利益に資するものか?」 →イラン大統領がアメリカ国民向けに声明を発表した。アメリカによる攻撃を「破壊的な選択。アメリカ国民の利益に資するものなのか。長年にわたって続く恨みの種をまくことになる」と警告した。政府と国民を分けて考えていると強調し、米国民の良識に訴えた。トランプ大統領よりはるかに真っ当に映る。
◎有人宇宙船打ち上げ 月探査で半世紀ぶり―アルテミス計画・米NASA:時事ドットコム →1972年のアポロ計画以来の有人月探査船が打ち上げられた。米国NASAのアルテミス計画で、月を周回して10日後に戻ってくる。人類が地球からもっとも遠い地点に行くという。NASAは、トランプ政権の登場で人員を削られているが、月と火星探査は優先事項になっている。
◎「国家情報局」新設置するための法案 衆議院で審議入り | NHKニュース →高市首相肝いりの行政組織の変更だが、部外者には必要性や効果が見えにくい。運用次第では、国民の権利やプライバシーが侵害される可能性がある。国旗損壊罪ならイメージもわくが、秘密性の高い組織新設で、国民的議論も盛り上がりにくい。与党が多数で押し切るのか。
◎国連事務総長の後任選ぶ動き本格化 これまでに4人が届け出 | NHKニュース | 国連 →今年いっぱいで退任するグテーレス国連事務総長の後任に4人が届け出た。これまでの事務総長はすべて男性だが、今回は女性2人が候補になっている。9月の国連総会で任命される。常任理事国が大きな影響を持っているといわれている。違法状態の戦闘を実行しているロシアやアメリカはどう動くのか。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎マーティン・ルーサー・キング(米の牧師、公民権活動家。1968年4月4日暗殺、39歳)
「私には夢がある。いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である」 「最大の悲劇は、悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙である」 「愛は敵を友人に変えられる唯一の力である」 「非暴力は強力で正当な武器だ。傷を追うことなく切りつけ、それを用いる人が尊敬される歴史上唯一の武器である」 「人の真価がわかるのは、喜びに包まれている瞬間ではなく、試練や論争に立ち向かうときに示す態度だ」 「真の平和とは単に緊張がないだけではなく、そこに正義が存在することだ」 「ほとんど常に創造的でひたむきな少数派が世界をより良いものにしてきた」 「正しいときは過激になりすぎてはいけない。間違っているときは保守的になりすぎてはいけない」 「人間は、個人的な狭い関心事を越えて、人類全体に関わる広い関心事に向かうようになって初めて本当の人生を歩み始める」 「自由は決して圧制者から与えられることはない。虐げられている者が要求しなくてはならない」 「最も罪深いことは、正しいことだと知りつつ、そうしないことだ」
*** 今週の教養講座(企業不祥事史⑤)
◎ニデックの急成長と統治課題
ニデック(旧・日本電産)は1973年、永守重信氏が創業した精密モーターメーカーである。HDD用スピンドルモーターで世界シェアを握り、その後は車載・産業用モーターへと事業を拡大。積極的なM&Aを繰り返し、売上高2兆円規模のグローバル企業へと成長した。日本企業の中でも「攻めの経営」の象徴とされてきた。
同社の特徴は、徹底した業績志向とスピード経営にある。買収した企業に対して短期間で収益改善を求め、赤字部門は大胆に立て直す。永守氏の強烈なリーダーシップのもと、「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という実行力が企業文化を形づくった。この経営手法は、停滞しがちな日本企業の中で際立った成功例と評価された。
しかし急成長の裏側には、いくつかの構造的課題も見えてくる。第一に、創業者依存の問題である。トップの強い指導力は成長を加速させる一方、後継体制の確立を難しくする。実際に社長交代と復帰が繰り返されるなど、経営体制の安定性が市場で議論となった。カリスマ型経営から組織型経営への移行は、多くの成長企業が直面する壁である。
第二に、M&A拡大に伴う統合リスクである。買収企業の文化や人材をどう融合させるかは、短期的な収益改善以上に難しい課題だ。統合コストや減損リスクが顕在化すれば、業績は大きく振れる可能性がある。近年はEV向け事業への先行投資も進めており、市場環境の変動が業績に与える影響は小さくない。
第三に、短期利益目標と中長期投資のバランスである。高い収益目標は組織を活性化させるが、過度になれば現場に過剰な負担をかける。急拡大期ほど、内部統制やガバナンスの整備が追いつかなくなるリスクがある。
ニデックは不祥事による破綻事例ではない。しかし、「成功企業がどの段階で構造的リスクを抱えるか」を考える上で重要なケースである。創業者型企業が持続可能な組織へ転換できるか。買収拡大型モデルが安定的収益へ結実するか。そこに歴史的教訓がある。
中堅社員の視点で見れば、強い目標設定と心理的安全性の両立、スピードと統制の均衡をどう保つかという問いに置き換えられる。急成長は常にリスクを伴う。成功の勢いの中でこそ、冷静な自己点検が必要になる。ニデックの歩みは、攻めの経営と持続性の両立という現代企業の課題を映している。
