2026年4月6~10日(教養講座:筑摩書房の高校国語教科書から)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年4月6日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(3~5日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

“アメリカ軍の戦闘機など2機 イランの攻撃で墜落 1人行方不明” 報道 | NHKニュース  米軍、イランから乗員救出 トランプ氏、攻撃強化警告:時事ドットコム →F15など米軍機2機がイランに撃墜された。トランプ大統領は、イランの防空体制を破壊したと言っていたが、反撃能力は残っていた。米軍は乗員の救出作戦を実行し、成功した。一方で、空爆によるイラン人の犠牲者は相当な数にのぼっている。人命の価値が違う不条理。週末から戦闘激化のニュースばかりが流れている。

商船三井LNG運搬船 ホルムズ海峡通過 軍事作戦後 日本関係で初 | NHKニュース →日本のLNG運搬船がホルムズ海峡を通過した。フランスの船も通過し、イランが通行料を徴収している情報もある。イランは全世界を敵に回すか、敵を選別するかの岐路にある。日本政府に対しては、イラン政府と交渉して通過を働きかける圧力が強まりそうだ。

高市首相、報道に不満あらわ ナフサ供給、国会出席巡り:時事ドットコム →高市首相が最近の各種報道に不満を示し、Xに投稿した。首相が直接こうした不満を示すのは異例。本人や周辺の取材対応の不十分さとも言えるが、自衛隊派遣をめぐって安倍元首相の秘書官だった今井参与と確執があり、「退陣」を口にしたと月刊誌「選択」に報じられ、永田町で大きな話題になっている。本当に退陣を口にしたのであれば、空気が一変するのが永田町だ。首相のXはかなり細かな内容も含まれ、違和感もある。政変の予兆かどうか。

アルテミス2の飛行士が初めて撮影した地球の驚くべき画像、NASAが公開 – CNN.co.jp 「アルテミス2」の宇宙飛行士を悩ますトイレ問題、「袋」に用を足す事態に (1/2) – CNN.co.jp →アルテミス2の飛行士が地球の画像を送ってきた。当然だが、国境はない。人間が境目をつくって、争っている。トイレの故障で相当大変だったようだ。宇宙飛行とトイレの歴史がわかる記事だ。米国CNNならでは、か。

エプスタイン問題、幕引き見えず 司法長官解任も根強い批判―トランプ政権:時事ドットコム 米商務長官に解任論浮上か トランプ氏、さらなる閣僚交代も―報道:時事ドットコム アメリカ陸軍参謀総長、任期途中で退任 ヘグセス国防長官と対立か – 日本経済新聞 →トランプ政権で閣僚や幹部が次々と解任されている。エプスタイン問題担当のボンディ司法長官、イラン攻撃に関係する陸軍参謀長が退任し、ラトニック商務長官らの解任情報も浮上している。政権の引き締め策か、末期症状か。

ドジャース 大谷翔平 今シーズン初ホームラン  | NHKニュース アストロズ 今井達也 大リーグ移籍後初勝利 | NHKニュース →日本人大リーガーの活躍が続いている。開幕7試合目で、大谷に待望のホームランが出た。アストロズの今井が6回途中無失点で初勝利。ホワイトソックスの村上が逆転の2点本塁打を放った。イラン関係の暗いニュースが多いが、にぎやかだ。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎ヘンリー・フォード(米国の自動車王。1947年4月7日死去、83歳)

「財産はやって来るものだ。自ら作るものではない」 「ほとんどの人が、成功とは手に入れるものだと考えている。だが、成功とは与えることなのだ」 「大抵の人は、問題を解決しようとするよりも、問題を回避するためにより多くの時間とエネルギーを費やしている」 「粗探しをするより、改善策を見つけよ。不平不満など、だれでも言える」 「見返りを期待しなくなったとき、倍の報酬がやってくる」 「障害物が恐ろしいものに見えるのは、目標から目を離すからだ」 「あなたができると思えばできる。できないと思えばできない。どちらにしても、あなたが思ったことは、その通りになる」 「大抵の成功者は、他人が時間を浪費している間に先へ進む。これは私が長年、この眼で見てきたことだ」 「成功の秘訣は、何よりもまず、準備すること」 「まだ始めてもいないことで、名声は築けない」 「小さな仕事に分けてしまえば、むずかしいことはない」

*** 今週の教養講座(高校国語教科書から①)

高校の国語教科書は、日本語の宝庫です。評判が高い筑摩書房「精選国語総合 現代文編」(2015年)から、評論文を5つ選んで紹介します。文章の中核的な部分を抜粋しているので、全文ではありません。関心のある方は原文で味わって下さい。

◎「境目」 川上弘美(1999年刊『あるようなないような』から)

境目とは、そもそも何なのだろう。

境目があるところには、区別がある。わたしたちはものを認識するために、区別ということをするにちがいない。そこには、好きも嫌いもない。ただ、区別を行うために、境目を設定する必要がある、というだけのことである。

もともと、認識のためにつくられた「境目」である。しかし、ときに境目というものがほんらいの目的から離れ、ものごとの「区別」だけでなく、「差別」や「暴力」を呼び寄せることがある。くやしく悲しいことである。悲しくくやしいが、珍しいことではない。ごくごく、ありふれたことである。世界の、どこにでも起こりうることである。自分が「差別」や「暴力」にまったく関係ない、と知らんぷりすることは、とうていできない。いつだって、自分がそのような物に寄り添ってしまう可能性は、あるのだ。

境目を引く行為は、非常に困難なものを呼び寄せる可能性を持つ行為である、ということにもなろう。

境目とはかのごとく困難を呼び寄せる可能性を持つものだから、ときに、境目をつくらないようにしようという考えも、きざす。外を見て境目をつくるまいとするうちはまだいいのだが、内を見て境目をつくるまいとすると、じきにそれは「みんな一緒がいいね。」という方向になってしまう。保護色をまとって隠れる昆虫のように、「みんなの中に隠れよう。」という気分になってくる。それは、とても楽なことであろう。ただし、楽、必ずしも楽しからず。

外国でチャイニーズと言われたとき、私は悲しかったろうか。そうではなかった。ふーん、わたしは違うんだ、と思ったのだ。それはどうやらあんまり「いい」違い方ではないらしいけど、でもまあいいか、と思ったのだ。わたしはわたしだもん。人にとって「いい」ものではなくても、わたしにとってわたしは「いい」ものなんだもん。

七歳ほどの子供の、恐れを知らぬ「だもん」だったことだろう。しかし、いまでもわたしはそのときの「わたしにとってわたしはいいものなんだもん。」という気分を、忘れない。その気分は、爽快この上ないものだった。

わたしはあなたではなく、あなたは彼ではない。夏は春ではなく、秋は冬ではない。それはなかなかに味のあることなのではないだろうか?

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年4月7日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(6日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

トランプ大統領 軍と共同で記者会見【ノーカット動画】 | NHKニュース →トランプ大統領が会見し、イランとの交渉期限について、米東部時間7日午後8時(日本時間8日午前9時)だと明らかにした。これまで再三延期してきたが、「期限を過ぎれば、彼らは橋や発電所を失うことになる。石器時代だ」と述べた。イランは停戦案を拒否しており、原油は1バレル115ドルを超えた。

長期金利 2.4%超まで上昇 1999年以来の高水準に | NHKニュース  →長期金利が1999年以来となる2.4%超まで上昇した。原油の先高感を受けて、物価上昇が続くという見方が強まった。日銀も利上げに動きやすくなり、住宅ローンの金利上昇が予想される。イラン情勢が落ち着かない限り、金融市場の右往左往は収まらない。

福島氏が社民党党首に再選、問われる党勢回復 大椿氏が抗議の場面も [社会民主党(社民党)]:朝日新聞 →決戦投票になっていた社民党党首選で、福島瑞穂氏が再選した。福島氏2364票、前参院議員の大椿氏1792票。記者会見には大椿氏も同席したが、記者が大椿氏に質問すると、司会者の党職員が認めず、福島氏も「きょうは私の就任の会見なので」と同調。大椿氏は「それはひどい。候補者は平等に扱われるべきだ」と抗議し、途中退席した。対立が活力につながれば党勢も拡大しそうだが、そうでもないようだ。

天皇ご一家 福島の「東日本大震災・原子力災害伝承館」を訪問 | NHKニュース  →天皇ご一家が福島第一原発被災地の双葉町と浪江町を訪れた。両町訪問は初めてで、災害伝承館を見学した。愛子さまは「国民と苦楽をともにすることが役割」と会見で発言し、女性天皇就任を望む声も出ている。国会の皇室典範改正議論が遅れ気味で、期待や憶測が今後高まりそうだ。

新名神高速6人死亡事故 身元判明 静岡の家族5人と埼玉の男性 | NHKニュース  →三重県の新名神高速で先月起きた交通事故で、亡くなった6人の身元が判明した。5人は静岡県袋井市の両親と子ども3人で関西方面に観光で向かう途中。もう1人は埼玉県の男性で、帰省途中だった。改めて痛ましさが募る。

「お土産」から貴重なセミ全身化石 約30万年前、小学生姉妹が大発見:時事ドットコム →小学生の姉妹が母から贈られた岩石に、30万年前のセミの化石が含まれていることがわかった。化石産地として知られる栃木県那須塩原市の博物館「木の葉化石園」から、土産用として販売していた岩石で、専門家の鑑定でわかった。小学6年の姉は「とても驚いて、大興奮しました」。将来の夢は古生物学者で、「ゴビ砂漠で恐竜の卵を探してみたい」と話している。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎聖徳太子(飛鳥時代の摂政。622年4月8日死去、48歳)

「和を以て貴しとなす」 「いさかいを起こさぬことを根本としなさい」 「上の者も下の者も協調、親睦の気持ちをもって論議するなら、自然と物事の道理にかない、どんなことも成就するものだ」 「真心は人の道の根本である。何事にも真心がなければいけない」 「嫉妬の気持ちを持ってはならない。自分がまず相手を嫉妬すれば、相手もまた自分を嫉妬する。嫉妬の憂いは果てしない」 「聖人・賢者と言われる優れた人材がなくては国を治めることはできない」 「部下に仕事を任せる者は、任せる仕事を熟知していなければならない」 「怒りを抑え、表に出してはならない。人が自分と違ったことをしても怒らないように。考え方は人それぞれである。自分が良いと思うことも相手にとって嫌なこともあるだろうし、その逆もある」

*** 今週の教養講座(高校国語教科書から②)

◎「センス・オブ・ワンダー」を追いかけて  福岡伸一(『コトバ 2010年秋季号』から)

昆虫少年だったかつてのわたしにとって、センス・オブ・ワンダーは、まぎれもなくルリボシカミキリという小さなカミキリムシの青さだった。(略)自然の精妙さに目を見張ること。その美しさに打たれること。それはとりもなおさず、この世界が、私の思考を越えたところに実在していることを確認する感覚である。そして、センス・オブ・ワンダーとは、実はそういうことなのだ。

デカルトは、我思う、ゆえに我あり(コギト・エルゴ・スム)と言ったと伝えられる。自分の存在を立証することは不可能である。しかし自分が考えるそのことだけは否定できない。だから私は存在しているのだと。

しかし、むしろ私はこう言いたい。センス・オブ・ワンダーを持ちうることが、この世界のありようをさし示すのだと。自然の細胞に宿る美しさに目をみはれることが、世界の実在性を立証している。つまり、センス・エルゴ・スムである。(中略)

ミクロな目で見ると、地球上のすべてのものは、生物にしろ無生物にしろ、物質はみな炭素、酸素、水素、窒素など、さまざまな元素から成り立っているといえる。そしてそれらの元素それぞれの総量は昔から変わらずほぼ一定である。しかし、それは絶え間なく結びつき方を変えながら、循環している。

その循環の、直接のエネルギー源は太陽だが、元素を次々と集め、あるいはつなぎかえ、それをバトンタッチするもの、つまり循環を駆動している働き手は、一体誰だろう。それは、この地球上に少なくとも数百万種あるいは一千万種近く存在すると考えられる生物たちである。彼らがあらゆる場所で、きわめて多様な方法で、絶え間なく元素を受け渡してくれているから地球環境は持続可能=サステナブルなのだ。

つまり、生物は地球環境というネットワークの結節点に位置している。結び目が多いほど、そして結ばれ方が多岐にわたるほど、ネットワークは強靭でかつ柔軟、可変的でかつ回復力を持つものとなる。すなわち地球環境という動的平衡を保持するためにこそ生物多様性が必要なのだ。(略)

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年4月8日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(7日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

トランプ氏、戦争犯罪「懸念せず」 発電所攻撃は国際法違反―米専門家:時事ドットコム →トランプ大統領のイラン攻撃の期限が、日本時間のきょう午前9時に迫った。発電施設への攻撃は、国際法違反とされているが、トランプ大統領は「懸念していない」と言明した。いつも通り、最後は断念するのか(TACO)、狂気で突っ走り泥沼化するのか。米・イスラエル軍がカーグ島や鉄道などを攻撃し、パキスタン首相が2週間の延長を要請したという情報もある。

今年度予算が成立 一般会計の総額 過去最大122兆円余  | NHKニュース  →新年度予算が成立した。高市首相は年度内可決を模索したが、少数与党の参院では思惑通りに進まなかった。予算は衆院通過から1か月で自然成立するが、参院は自らの意志を明確にする狙いから与野党とも採決を容認した。衆院での強引な審議が、今後の国会運営にどう影響するか。しこりは小さくないだろう。メディアとの関係も悪化している→高市首相、自衛隊派遣と今井尚哉氏巡る報道否定 「完全な誤報」 | 毎日新聞 高市首相「国民に伝える手段、多様化」 取材対応の少なさ指摘に | 毎日新聞

イラン、拘束邦人を保釈 NHKテヘラン支局長か:時事ドットコム →イランに拘束されていたNHKテヘラン支局長が保釈された。イランから日本への何らかのメッセージかどうか。政府もNHKもテヘラン支局長とは断定した表現を使わない。何に配慮しているのだろうか。どこか変だ。

「アルテミス計画」人類が地球から最も離れた距離に到達 56年ぶりに記録更新 | NHKニュース  →人類がもっとも地球から離れた地点に到達した。地球からの距離は40万6700キロで、1970年に打ち上げられたアポロ13号の記録を6600キロほど上回った。地上から通信できず、運用には高度な技術が必要とされる。無人探査機では中国が2019年に月の裏側に軟着陸している。

再審制度見直し 政府案めぐり 自民“修正含め検討求める方向” | NHKニュース →再審制度の見直し案が、自民党の反対にあい、修正の方向になった。法制審の答申を与党が修正するのは、極めて異例。再審が遅れる要因になっている検察の不服申立てを認めるかどうかが焦点。袴田さんの例をみるまでもなく、認めるべきではないというのが世論だろう。最終法案に注目だ。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎マーガレット・サッチャー(英国の元首相。2013年4月8日死去、87歳)

「リーダーは好かれなくてもよい。尊敬されなくてはならない」 「私はコンセンサスを重要とは思わない。時間の浪費の原因のようなものだ」 「私が戦わなかった日など、1日たりともない」 「政治家は後戻りしてはならない。前進した時こそ、未来が約束される」 「懸命に働かずしてトップに立った人など、私は1人も知らない」 「お金持ちを貧乏にしても、貧乏な人はお金持ちにならない」 「お金は天から降ってこない。地上で稼ぎ出さねばならない」 「政治において、言ってほしいことがあれば、男に頼みなさい。やってほしいことがあれば、女に頼みなさい」 「女性運動を声高にやる人は嫌いです。男女の別に関係なく、人間は能力で決まる」 「ヨーロッパは歴史によってつくられ、アメリカは哲学によってつくられた」 「民主主義の根幹は、率直で力を込めた討論である」 「強者を弱くすることによって、弱者を強くすることはできない」

*** 今週の教養講座(高校国語教科書から③)

◎失われた両腕  清岡卓行(1966年刊『手の変幻』から)

ミロのヴィーナスを眺めながら、彼女がこんなにも魅惑的であるためには、両腕を失っていなければならなかったのだと、ぼくはふとふしぎな思いにとらわれたことがある。つまり、そこには、美術作品の運命という制作者のあずかり知らぬなにものかも、微妙な協力をしているように思われてならなかったのである。

パロス産の大理石でできている彼女は、19世紀のはじめごろメロス島で、そこの農民により思いがけなく発掘され、フランス人に買い取られて、パリのルーヴル美術館に運ばれたと言われている。そのとき彼女は、そこの両腕を、故郷であるギリシャの海から陸のどこか、いわば生ぐさい秘密の場所にうまく忘れてきたのであった。いや、もっと的確に言うならば、彼女はその両腕を、自分の美しさのために、無意識的に隠してきたのであった。よりよく国境を渡っていくために、そしてまた、よりよく時代を超えていくために、このことは、ぼくに、特殊から普遍へのたくまざる跳躍であるように思われるし、また、部分的な具象の放棄による、ある全体性への偶然の肉迫であるようにも思われる。

ぼくはここで、逆説を弄しようとしているのではない。これは僕の実感なのだ。ミロのヴィーナスは、いうまでもなく、高雅と豊満の驚くべき合致を示しているところの、いわば美というものの一つの典型であり、その顔にしろ、その胸から腹にかけてのうねりにしろ、あるいはその背中の広がりにしろ、どこを見つめていても、ほとんど飽きさせることのない均整の魔がそこにはたたえられている。

しかも、それらに比較して、ふと気づくならば、失われた両腕はある捉えがたい神秘的な雰囲気、いわば生命の多様な可能性の夢を深々とたたえている。つまり、そこでは、大理石でできた二本の美しい腕が失われた代わりに、存在すべき無数の美しい腕への暗示という、ふしぎに心象的な表現が思いがけなくもたらされたのである。

それは、確かに、なかば偶然の生み出したものだろうが、なんという微妙な全体性への羽ばたきであることだろうか。その雰囲気に一度でも引きずり込まれたことがある人間は、そこに具体的な二本の腕が復活することを、ひそかに恐れるにちがいない。たとえ、それがどんなにみごとな二本の腕であるとしても。(略)

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***デイ・ウォッチ(8日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

アメリカとイラン 2週間 停戦合意 ホルムズ海峡 安全な航行可能にとイラン外相投稿 終結に向け10日に協議へ | NHKニュース →トランプ大統領は、やはり「TACO」だった。人命を材料にしたディールは許されない。延期した2週間で永久停戦に持ち込めるかが焦点。イスラエル以外はもう戦いたくないし、世界は停戦を望んでいる。10日にイスラマバードで協議する。完全な停戦になれば、パキスタン首相はノーベル平和賞か。イスラエルはなおレバノンを攻撃している。

東京株、2878円高 史上3番目の上げ幅、停戦合意を好感:時事ドットコム 東京原油急落、1カ月ぶり安値 米イラン停戦で:時事ドットコム→日本株が過去3番目の上昇を記録した。日本株の寄り付き直前に「米国が攻撃延期」の情報が入り、その後、2週間停戦のニュースが流れた。原油市場は急落した。金融市場を見るまでもなく、世界経済のかく乱要因となる戦闘をだれも望んでいない。

高市首相 イラン大統領と電話会談 ホルムズ海峡の航行の安全確保を強く求める | NHKニュース  →高市首相がイラン大統領と電話会談をした。「世界の真ん中で咲き誇る外交」を標ぼうする首相だけに遅すぎる感はあるが、やらないよりいい。米国・イランの両国にしっかり話をできる国は少ない。ニュースになるような会談内容は公表されていないが、関係を維持することが重要だ。

東京大学 汚職事件など不祥事受けて“附属病院は本部直轄に” | NHKニュース  →不祥事が相次ぐ東大が附属病院を直轄にする。制度改革は重要だが、意識・風土改革が本丸だ。藤井輝夫総長は会見で「社会の常識とかい離した閉鎖的な組織風土を放置した」と謝罪した。飲食の接待や手土産を受け取っていた計21人を処分し、さらに調査を進めている。再生はこれからだ。

25年度倒産、12年ぶり高水準 1万505件、「人手不足」は最多―商工リサーチ:時事ドットコム →2025年度の倒産が、前年度比3.5%増の1万505件と12年ぶりの高水準になった。人手不足倒産は過去最多の442件。この段階で管理を強化して在留外国人を減らそうという与党の動きは、時代に逆行していないか。当然、明白な違法行為は別だが・・・。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎井上ひさし(小説家、劇作家。2010年4月9日死去、75歳)

「むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く、面白いことを真面目に、真面目なことを愉快に、愉快なことはあくまでも愉快に」 「一番大事なことは、自分にしか書けないことを、誰にでもわかる文章で書くということ」 「核兵器の存在自体が人間の精神にマイナスの強い影響を与えるものなのです。自分たちは今どういう環境を生きているのか、今後どんな地球を創りたいのか、ともに考えられればと思っています」 「被爆国がこれから増えないという約束はどこにもない」 「一つのいい芝居で人間の精神の根幹を変えられるんです」 「日本人を動かしているのは、空気です。一人一人が自立していないから、空気が変わるとみんな付和雷同して意見や態度をコロコロ変える」 「世界には自分が正しいということを信じて、他国に強制しようという原理主義的な態度を持った人たちがいますが、人は矛盾の塊だし、人であれ国であれ、良いところもあれば悪いところもある。お互いの良いところを認め合うようにしないといけません」

*** 今週の教養講座(高校国語教科書から④)

◎感性の考古学――赤い花と紫の貝 見田宗介(2006年刊『社会学入門』から)

色彩にもまた近代の解放があった。柳田国男は、「明治大正史世相篇」でこのように記しています。柳田はまず、近代以前の人々の感覚を知る手がかりとして、

手向くるやむしりたがりし赤い花

という一茶の句を記しています。この一句は、現代人であるぼくたちには、理解のできないものとなっています。言葉としてはむつかしい言葉はひとつもない。「手向くる(たむくる)」は最近あまり使いませんが、仏さまに「供える」ということです。あとは「むしりたがった」「赤い花」ということで、簡単明瞭です。

しかしこの句は、何を言おうとしているのだろうか。この句は一茶がとてもかわいがっていた、幼い女の子が病気で死んでしまったときに、悲しみを抑えてよんだものです。それが分かってもぼくたちにはそれほど「意味」が伝わらない。世界のあり方、存在するものに対する感覚が、現代とは全く異なっている世界を前提としているからです。

ハナという日本語には、花・華/鼻・岬/初・端など、たくさんの意味があります(初・端は「しょっぱな」「ハナ初めから」等々の語に使います)。華は花の抽象化、岬は鼻のように出っ張ったところ、ということで、それぞれ同じ語であることはすぐわかりますが、/で区切った三つの系列(花と鼻と初)は、現代人には全然別の、たがいに無関係なコンセプトのように見えます。偶然の同音異義語に過ぎないと。

けれどもほんとうは、これらはみな同じ原義で、古代の日本語のハナ(正確にはFanaと発音しました)という、ものごとの「気の集中する先端」みたいな部分や現象を指し示す言葉の用法たちです。「初」がなぜそうであるかというと、原始の時代の人々の時間や空間、世界についての感じられ方を前提として初めて理解できます。(略)

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***デイ・ウォッチ(9日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

アメリカとイラン 停戦合意の内容めぐり相違 イスラエルがレバノンに大規模攻撃 | NHKニュース  →停戦合意後、イスラエルがレバノンを攻撃した。合意のあいまいさが問題になり、今後の交渉を危ぶむ声が高まっている。米国の交渉担当は、イラン攻撃に慎重だったバンス副大統領になり、トランプ後継をにらんだ野心にも注目が高まっている。イランに対しては中国が説得しているという情報もある。2週間の停戦は政治的な分水嶺になる可能性もある。

東京電力との資本提携、米ブラックストーンやソフトバンクなど名乗り – 日本経済新聞 →東京電力との資本提携に米国のファンドやソフトバンクなどが名乗りを上げている。原発事故で魅力があるとは思えないが、首都圏という基盤や膨大な顧客データを狙っているのだろうか。被災者や被災地の利益になるのならメリットはある。異例の大型投資案件だ。

日本学術会議の文書訴訟 開示命じた2審判決を不服 国が上告 | NHKニュース  →政府がメンツを気にしているのか、開示されたら本当に都合が悪いのか。意に沿わない学術会議委員を任命せず、その理由も言わないのは不誠実極まりなく、異論封じ込めと言われても仕方ない。その後、問題を学術会議改革にすり替えたのだから、罪はさらに重い。速やかに司法の判断に従うべきだろう。

伯乃富士を2度殴打、元横綱照ノ富士の伊勢ヶ浜親方を「平年寄」へ降格処分 : 読売新聞 →元横綱照ノ富士の伊勢ケ浜親方が、委員待遇年寄から平年寄への降格と3か月報酬10%減額の懲戒処分を受けた。弟子の伯乃富士が後援者の女性の太ももを触ったため、顔面を2回殴打した。暴力に常習性がなく、協会に行為を自主的に申告したことなども考慮されたという。やれやれ。

本屋大賞に朝井リョウさん「イン・ザ・メガチャーチ」 日経連載小説 – 日本経済新聞 →注目の本屋大賞が決まった。受賞作はファンダム経済(熱狂的なファンコミュニティーがつくる経済圏)を題材にした長編小説。ファンダムを構築する者、のめり込む者、かつてのめり込んでいた者、三者の視点から「今の時代、人を動かすものは何なのか」を掘り下げる。注目が集まるか。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎孔子(中国の思想家、儒家の始祖。紀元前479年4月11日死去、74歳)

「過ちて改むるに、憚ることなかれ。過ちを改めざる、これを過ちという」 「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」 「己(おのれ)の欲せざるところは、人に施すことなかれ」 「巧言令色鮮し仁(心にもないおべっかを使ったり、顔色をつくろったりする者には、本当に他人に誠実な者は少ない)」 「人格者は過ちがあるとまず自分を反省し、そうでない人は必ず他人のせいにしようとする」 「どんな人の意見でも、よい意見なら採用する。善くない人だからということで、正しい意見まで採り上げないことはしない。誰が言ったかは重要ではない」 「仁者は、難しくて骨の折れる仕事を自ら進んで引き受け、それによる利益は問題にしない。これを仁という」 「自分の利益になる三種類の友と、正直な人、誠実な人、そして多くの見聞がある人である」 「知っていることは知っていると認め、知らないことは知らないと認める。それが真の知識というものだ」 

*** 今週の教養講座(高校国語教科書から⑤)

◎マルジャーナの知恵 岩井克人(2000年刊『二十一世紀の資本主義論』)

情報の商品化――それは、差異の商品化と言いかえることができる。すなわち差異そのものを売ることによって利潤を得る――それが現代の資本主義の中心原理として機能しているのである。

資本主義とは、資本の無限の増殖を目的としている経済機構にほかならない。資本の増殖のためには利潤が必要である。そして、利潤とはつねに差異から生まれる。なぜならば、安く買って高く売ることこそ利潤を生み出す唯一の方法であり、それは、詐欺や強奪といった手段に訴えない限り、二つの異なった価値体系の間の差異を媒介することによってしか可能ではないからである。

差異から利潤を創りだす――これが、基本資本主義の基本原理である。だが同時に、この原理は、いままでの資本主義においては、あるいは外部的な関係として、あるいは隠された構造としてしか作用してこなかった。たとえば、資本主義のもっとも古い形態である商業資本主義とは、海を隔てた遠隔地との交易を媒介して、国内市場の価格との差異から利潤を生み出してきた。また、産業革命以降の資本主義の支配的な形態であった産業資本主義は、いまだ資本主義化していない農村における過剰人口の存在によって構造的に創り出された、労働力の価値(実質賃金率)と労働の生産物の価値(労働生産性)とのあいだの差異から利潤を生みだしてきた。

だが、遠隔地も農村の過剰人口も失いつつある現代の資本主義は、もはや商業資本主義的な差異からも産業資本主義的な差異からも利潤を生み出すことが困難になってしまっている。資本主義が資本主義であり続けるためには、いまやその差異そのものを意識的に創りだしていかなければならないのである。そして、それが、情報の商品化を機軸として、われわれの目の前で進行しつつある高度情報社会、脱工業化社会、あるいはポスト産業資本主義と呼ばれる事態にほかならない。

情報の商品化――それは、まさに差異が利潤を創りだすという資本主義の基本原理そのものを体現している現象である。いわばそれは、もはやだれも聞き逃しようのない、資本主義の秘密に関する「開け、胡麻」であるのである。