2026年4月27日~5月1日(中満泉国連事務次長の講演)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年4月27日号(転送禁止)~~~
◎速報→ 【地震速報】北海道十勝中部で震度5強 津波の心配なし | NHKニュース | 地震、北海道 →北海道・東北でまた地震があった。
***デイ・ウォッチ(24~26日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎トランプ大統領が参加した夕食会で銃撃事件 容疑者拘束で捜査 | NHKニュース →まさかの銃撃事件が起きた。男はすぐに取り押さえられた。31歳でロサンゼルス近郊に住み、教育関連会社の非常勤講師やビデオゲームの開発者として働いていた。一昨年の大統領選挙でハリス副大統領陣営に25ドルを寄付した記録があるという。一昨年もトランプ氏への暗殺未遂があったが、改めてアメリカ大統領ポストの過酷さを感じる。ただ、映像を見ると犯行は稚拙で、陣営の自作自演ではないかと思ってしまうのは、常識外れのトランプ政権への偏見か。
◎【中継】岩手 大槌町山林火災 北側の山に広がる あす午後雨か | NHKニュース →岩手・大槌町の山火事は5日目に入ったが、延焼が続いている。消失面積は1373ヘクタールで、昨年2月の大船渡市の3370ヘクタールの4割に達している。現地は災害が続いている。きょうは雨が予想されており、鎮火に向かって欲しい。
◎サウェ、史上初の1時間台 従来の男子記録を1分超更新―ロンドン・マラソン:時事ドットコム →1969年のアポロ11号の月面着陸で、「人類月に立つ」は流行語になったが、今回は「人類2時間を切る」。ケニアのサウェ選手の偉業で、従来の記録を1分以上縮めた。トラック出身の31歳というから、「中年の星」には早いが、ベテランの部類。AIの進歩が著しいが、人間も負けていない。
◎国連 中満事務次長「核軍縮議論 各国は合意形成に柔軟姿勢を」 | NHKニュース →今週の教養講座で取り上げている国連の中満泉事務次長が、27日からのNPT会議を前に記者会見をした。「核軍縮の成果が失われ、逆行の始まりを目にしている」と各国に合意形成に向けた柔軟な姿勢を求めた。日本は前回、岸田首相が出席したが、今回は国光外務副大臣。核軍縮に高市政権の熱量は低く、国旗損壊などに関心が高い。
◎科学者「連続失踪」に注目 核・宇宙分野、関連の証拠なし―米:時事ドットコム →アメリカで核や宇宙・UFO分野の科学者が連続して失踪し、関心を呼んでいる。NASAや米軍関係者ら10件以上の「事件」が報告されている。関連性や事件性のある情報はまだないが、トランプ大統領は記者団に問われて「無関係な出来事であってほしいが、調べていく」と説明している。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎堤康次郎(西武グループ創業者、国会議員。1964年4月26日死去、75歳)
「全員が賛成したら、その計画は危ない」 「すべて成功するには、失敗の原因を外に求めず、己れに求めることが大切である」 「事業に役人の古手を連れて来ることは最もよくない。役人気質で事業は成り立たない。役人気質は日々生死の境を行く真剣な事業家のなすところではない」 「景気の良い時は抑えろ、不景気の時に動け」 「(20歳で事業を失敗したとき)体の格好は一人前だが、判断力は5歳ぐらいの子どもにすぎなかった」 「私は30歳になるまで、何をやっても成功はおさめなかった。だます人間をあまりにたくさん相手にしたからである。しかし、今になると、これが私のたいへんな得になった。それまでに経験した失敗は、人生観を見出すための月謝と思えば、安いものだ」 「日本が発展すれば中産階級が台頭し、リゾート地の需要が大きく高まる。だから中産階級が使えるリゾート地を開発することは、国のためになるのだ」
*** 今週の教養講座(中満泉・日本記者クラブ講演①)
きょうから、核不拡散条約(NPT)運用検討会議が開かれます。それに先立って国連事務次長で、軍縮担当上級代表の中満泉さんが来日し、日本記者クラブで講演し、東京大学大学院入学式であいさつをしました。その内容を各2回に分けて紹介にします。
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4月月27日から始まるNPT運用検討会議を前に、今の核軍縮をめぐる状況と課題について、お話ししたいと思います。
最初に申し上げたいのは、今の安全保障環境は、非常に厳しい状況にあるということです。冷戦後に私たちがある程度前提としてきた国際秩序は、すでに大きく揺らいでいます。ウクライナでの戦争、そしてイランをめぐる緊張、こうした状況の中で、核兵器の役割がむしろ強調される方向に動いています。核兵器の近代化や数の増加といった動きも見られ、軍縮ではなく軍拡の傾向が強まっていると言わざるを得ません。
さらに懸念しているのは、核兵器の使用を示唆するような発言、いわゆる「核の脅し」が常態化しつつある点です。こうした言説が繰り返されることで、核使用の心理的ハードルが下がってしまうのではないかという強い危機感を持っています。AIやドローンといった新しい技術が戦争のあり方を変えており、それが核兵器の運用システムと結びついた場合のリスクについても、まだ十分に議論されていません。
今回のNPT運用検討会議ですが、正直に申し上げて、簡単な会議にはなりません。非常に難しい交渉になるという認識は、ほぼすべての加盟国で共有されています。特にグローバルサウスの非核兵器国の間では、「NPTに参加していて何の意味があるのか」という不満や不信感が強まっている状況があります。
NPTは、本来、核不拡散、核軍縮、そして原子力の平和利用という3つの柱から成る、国際安全保障の基盤となる条約です。これまでは、この枠組みがすべての国にとって利益をもたらすものだという共通認識がありました。しかし現在は、そのバランスが崩れつつあり、特に核兵器国による軍縮の進展が見えないことに対する不満が高まっています。
もし今後、運用検討会議で成果文書が出せない状況が続けば、条約が実質的に空洞化してしまうリスクがあります。存在はしていても、信頼されず、機能しない枠組みになってしまう可能性があるということです。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年4月28日号(転送禁止)~~~
◎あす29日は祝日のため、長谷川塾メルマガは休みます。
***デイ・ウォッチ(27日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎首相肝いり「安保3文書」改定議論開始 政府の有識者会議が初会合 [高市早苗首相 自民党総裁]:朝日新聞 →高市首相がリードする安保3文書改定の有識者会議が初会合を開いた。継戦能力の向上を求めており、まさに戦争に耐えられる国を目指している。どんな世界や国を目指そうというのだろうか。24日の日経新聞1面コラム「春秋」は、「軍事力に重きをおくリアリズムは常に現状追認に陥る危うさを伴う」と書いている。軍事だけみていると、足りないものばかり気になりがちだ。首相は人とあまり会わず、1人で考えることが多い。有識者会議は多角的でオープンな議論が不可欠だ。
◎東京株、初の終値6万円超え 戦闘終結期待で大台突破:時事ドットコム →不安定なイラン情勢にもかかわらず、東京株が終値で史上初の6万円台に乗せた。イランの提案を好感したというが、だらだら停戦を織り込んで、企業業績重視の相場になっているようだ。半導体やAIが引っ張っているが、その他の株に波及するかどうか。決算発表シーズンを迎え、活発に動きそうだ。
◎大槌町の山林火災 消防「おおむね制御下」 夕方から雨の見込み | NHKニュース | 岩手県、火災 →岩手・大槌町の山火事は、雨が降った影響で火の勢いは衰え、消防は「おおむね制御下」としている。鎮火には至らないが、最悪の事態は脱している。きょうも夕方から雨の予報だ。
◎トランプ氏夕食会銃撃、対イラン軍事作戦など批判「怒りがこみ上げてくる」…容疑者が家族に犯行予告 : 読売新聞 →トランプ大統領の夕食会銃撃で逮捕された容疑者が、イラン攻撃などで政権批判をSNSに投稿していたことがわかった。政治家の暗殺は絶対に許されないが、「1人殺せば殺人、100万人殺せば英雄」というチャップリンの言葉も思い出す。不条理。
◎再審制度見直し 高市首相“与党で十分議論し最適な改正案を” | NHKニュース →タカ派政策には熱心な高市首相だが、再審制度見直し法案では、積極的に動くつもりはないようだ。検察の特別抗告をめぐって、継続の法務省と廃止の自民党が激しく対立している。政府のトップである首相が決断すれば、廃止の流れができる。再審見直しは「左翼」のテーマと考えているのだろうか。
◎韓国へ「医療観光」、過去最多 美容など、日本人が3割―25年:時事ドットコム →美容目的の韓国観光が過去最多になった。前年比71.9%増の約201万人に上り、国別では、約62万人の中国人に続き、日本人が2位。前年比36.0%増の約60万人で、全体の29.8%を占めた。日韓交流はいろいろなレベルで進んでいるようだ。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎松下幸之助(パナソニック創業者。1989年4月27日死去、94歳)
「商売とは、感動を与えることである」 「誠実に謙虚に、そして熱心にやることである」 「世のため、人のためになり、ひいては自分のためになるということをやったら、必ず成就します」 「才能なきことを憂うる必要はないが、熱意なきことを恐れなくてはならない」 「人がこの世に生きていく限り、やはり何かの理想を持ちたい。希望を持ちたい。それもできるだけ大きく、できるだけ高く。こけたら、立ちなはれ」 「失敗すればやり直せばいい。やり直してダメなら、もう一度工夫し、もう一度やり直せばいい」 「万策尽きたと思うな。自ら断崖絶壁の淵に立て。その時初めて新たなる風は必ず吹く」 「失敗の多くは、成功するまでに諦めてしまうところに原因がある。最後の最後まであきらめてはいけない」 「逆境もよし、順境もよし。要はその与えられた境遇を素直に生き抜くことだ」 「10のサービスを受けたら11を返す。その余分の1のプラスがなければ、社会は繁栄していかない」
*** 今週の教養講座(中満泉・日本記者クラブNPT会合講演②)
具体的な課題としては、いくつか重要な点があります。まず1つは、核兵器国のコミットメントをどう担保するか、つまり説明責任、アカウンタビリティの問題です。これまでの約束がどの程度履行されているのか、それを検証し、フォローアップする仕組みが十分ではありません。
2つ目は、核兵器国同士の対話の不足です。現在、核兵器国の間で実質的な軍縮交渉が進んでいるとは言い難く、共通認識も十分に形成されていません。この分断が、NPT体制全体の弱体化につながっています。
3つ目は、不拡散体制そのものへの新たな挑戦です。たとえば、核開発の疑いがある国に対して軍事力で対処するという動きが見られるようになっていますが、これはNPTの枠組みの外で問題を解決しようとするものであり、条約の信頼性に影響を与えかねません。
さらに、核施設への攻撃の問題や、北朝鮮の核・ミサイル開発といった具体的な地域課題もありますし、AIや宇宙、サイバーといった新しい領域でのリスクも無視できません。
ただ一方で、少しポジティブな点もあります。それは、こうした危機的状況に対する認識が、多くの国で共有されているということです。どの国も、このままではいけない、何とかしなければならないという思いを持っています。
今回の会議では、非常に野心的な合意を目指すというよりは、現実的に達成可能な成果を積み重ねることが重要になると思います。場合によっては、これまでよりも簡潔で、優先順位を絞った成果文書になるかもしれませんし、形式についても柔軟に考える必要があります。
プロセスそのものも重要です。特に非核兵器国が、自分たちの声がきちんと反映されたと感じられるような、インクルーシブで透明性の高い議論を行うことが、結果として条約への信頼を維持することにつながります。
最後に申し上げたいのは、私たちは決して諦めてはいけないということです。状況は確かに厳しいですが、それでも対話を続け、合意点を探り続けることが必要です。NPTは依然として、核をめぐる国際秩序の中核にある枠組みです。この枠組みを維持し、強化していくために、今回の会議を何とか意味のあるものにしていきたいと考えています。ありがとうございました。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年4月30日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(28~29日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎“日本関係の大型タンカー ホルムズ海峡を通過” イラン報道 目的地は名古屋か | NHKニュース →出光興産系の大型タンカーが、ホルムズ海峡を通過した。米国のイラン攻撃以来、日本関係の船が同海峡を通過したのは初めて。高市首相が「X」に投稿し、外務省は「通行料は払っていない」とコメントした。出光は1953年、イギリスの経済封鎖を突破してイラン原油を日本に輸出し、イランが大歓迎した日章丸事件の当事者。長い友好関係もあるようだ。これまで日本の政治家の姿が見えなかったが、今回は外交の成果とも言える。まだ41隻も海峡内にいるので、外交力を発揮したい。
◎日銀、金利据え置き 総裁、利上げ「後手に回らず」―3委員反対、原油高で物価リスク:時事ドットコム →日銀は28日の会合で金利を据え置いた。ただし、3人の委員が利上げを主張する異例の展開。物価の上昇懸念が高まっているが、利上げによる景気後退を心配する見方が今回は強かった。利上げに否定的な高市首相の意向も影響しているという見方がもっぱら。
◎UAEがOPECとOPECプラスから脱退へ 国営通信報じる 協調体制に打撃か | NHKニュース →アラブ首長国連邦がOPECを脱退した。サウジアラビア主導の石油生産体制に不満を持っていた。米国のイラク攻撃は直接関係ないようだが、アラブや湾岸諸国の協調体制に影響を与えることは確実。中東秩序がさらに地殻変動している。
◎5月電気料金、9社値上がり 最大24円、中東影響は6月以降:時事ドットコム →関西電力を除く電力9社が、5月の電気料金を値上げする。発電用LNGの値上がりが理由。大手ガス4社も値上げする。イラン情勢の本格的な影響が出るのは、6月以降という。高市首相は節約を呼びかけようとしないが、民間からは影響の大きさを心配する声が高まっている。
◎JR西、りそなと資本業務提携へ 傘下銀株20%取得、金融事業に参入:時事ドットコム →JR西日本が、りそなHDと資本業務提携をし、金融業に参入する。商業施設の拡充で顧客が増えており、金融サービスを提供する。交通各社は利用客の減少で対応を迫られており、他社に波及する可能性もある。合理的な方向に思えるが、本当にどじょうがいるかどうか。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎立花隆(ジャーナリスト。2021年4月30日死去、80歳)
「人生における最大の悔恨は、自分が生きたいように自分の人生を生きなかった時に生ずる」 「誰かにできることは自分にもできると思って間違いない。頭がいい人と悪い人がいても、チンパンジーと人間ほどの差はない」 「若いときは、何をさしおいても本を読む時間を作れ」 「学で得た知識など、いかほどのもではない。社会人になってから獲得し、蓄積していく知識の量と質が決定的に重要である」 「いい文章が書けるようになりたければ、できるだけいい文章をできるだけたくさん読むことだ。それ以外に王道はない」 「ネットで最先端の情報に辿り着き、わかるためには、評価が定まった基本的な本をまず読んでおかなければならない」 「人間は、進歩という概念を盲目的に信じすぎている」 「その時代の人類社会全体が時代を超えて受け渡していく知の総体がどうなっているのか。どういうふうに自分たちの世界が構成されていて、どういうふうに世界は動いていくのか。その全体像の把握が教養です」
*** 今週の教養講座(中満泉・東大大学院入学式講演③)
今回からの2回は、東大大学院入学式でのあいさつです。
◆
新入生の皆様、東京大学大学院入学おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
私がアメリカのジョージタウン大学院に入学したのは40年近く昔の1987年です。その年の12月にはアメリカのレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長が中距離核戦力全廃条約(INF)に署名し、冷戦が終結に向かいつつあることを肌で感じ、まさに歴史の転換期にあることに若い学生として興奮を覚えたことを記憶しています。世界中から集まった様々なバックグラウンドを持つクラスメート達と、新たな国際関係とこれからの歴史がいかに進展するのかといった議論の輪に、当時はまだあまり流暢でなかった英語で参加して大いに刺激を受けたものです。そして私が国連に奉職した1989年の終わりに冷戦が正式に終結し、ポスト冷戦期が始まりました。
皆さんが大学院での研究生活に入る今、私たちは再び歴史の大きな転換期にあります。冷戦が終結した時以上の、地球人類にとっての重要な分岐点とも言えるかもしれません。
ヨーロッパや中東での戦争のニュースからも明白な、軍事大国の地政学的な競争・緊張関係が再来しただけではありません。世界は多極化し、より複雑になり、大きなパワー・シフトの只中にあります。同時に世界中のデータを保有しデジタル・インフラを支配し、実質的に社会インフラも運用するような、国家権力を超える大きなパワーを持つ民間企業が存在するようになりました。そして国際社会が長い時間をかけて、大きな悲惨な戦争の教訓をもとに作り上げてきた国際法に基づく国際秩序そのものが弱体化し、いくつかの大国の攻撃もあって根本的に揺らぎ始めています。これらの複雑で困難な環境の中で、とてつもないスピードで科学技術の進展が進み、私たちの社会の全ての側面が根本的に変わろうとしています。日常生活から教育、医療、経済や雇用・労働、そして戦争の戦い方まで。
私たちが存在する現在の世界の「デュアリティー=二元性」に注意を払わなければなりません。1つの事象について、相反する異なる側面が存在しているということです。この相反する側面の両方を理解することは、未来に向けた分岐点にある私たち人類が、正しい選択をするために必要なことです。いくつか簡単な例を挙げてみましょう。
例えば、全世界の資産は21世紀を通じて増加を続けています。世界全体で見れば、私たちはより豊かになっているわけです。特に、世界のビリオネアの富は2020年以降で81%も増加しました。しかし富裕層上位10%が世界の富の75%を保有し、同時に世界にはいまだに7億人ほどの人々が1日を2.15ドルで暮らす極度の貧困状態にあるのです。このような格差・不平等の拡大は、例えば経済学者トマ・ピケティによれば、資本収益率が経済成長率を上まわり続けるために資産を持つものがさらに豊かになる、という経済システムの構造的な要因があるためです。
食糧生産でも似たような状況にあります。世界の穀物生産量は28億トン以上、世界のすべての人々が十分に食べられるだけの食料が生産されています。それにもかかわらず、世界人口の12人に1人が飢餓に直面しています。生産された食料の3分の1が破棄されているというフードロス問題もありますが、2022年のロシアのウクライナ侵攻をきっかけに各国で食料価格が高騰し、インフレーションが進んでいることも、世界中で低所得の人々の十分な食料確保を難しくしています。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年5月1日号(転送禁止)~~~
◎来週はゴールデンウィークのため、長谷川塾メルマガは休みます。次号は、5月11日号です。
***デイ・ウォッチ(4月30日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう)
◎高市首相 ナフサ由来の化学製品 年越えて供給継続できる見込み | NHKニュース →高市首相が、ナフサは年を越えて供給できる見込みと明言した。一方、各種現場からは不足を訴える声が増えている。通常なら経済産業省から様々な情報が発信され、民間も分析・対応に走るが、首相が一方的に宣言するだけで実態はよくわからない。高市内閣では情報の目詰まりが起きている。
◎NY原油1バレル=110ドル台まで上昇 イラン事態悪化懸念で | NHKニュース →トランプ大統領のストップ役は金融市場と言われているが、原油価格が再び上昇傾向だ。あおりを受けて、日本の金利は上昇。為替は円安に振れ、片山財務相の口先介入とその後の介入で乱高下している。不透明なイラン情勢に市場はいらだっている →中東情勢混迷でトリプル安 円160円台後半、株も下落―原油急騰、長期金利2.535%・東京市場:時事ドットコム 円急騰、一時156円台 ロンドン市場:時事ドットコム
◎旭山動物園の職員を逮捕 妻の遺体を損壊した疑い 容疑認める | NHKニュース →人気の高さで知られる北海道旭川市にある旭山動物園の職員(33)が、妻(33)の遺体を損壊した疑いで逮捕された。園内の焼却炉で焼却した模様。トラブルがあったとみられるが、詳細は今後。動物園は開園を延期していたが、1日からオープンする。
◎イラン軍事作戦を「泥沼」と批判され、ヘグセス国防長官「恥を知れ」「一体誰を応援しているのか」 : 読売新聞 →トランプ政権の言葉は醜い。ヘグセス国防長官は議会公聴会で民主党議員から「イランは泥沼」と批判され、「恥を知れ。一体誰を応援しているのか。敗北主義だ」と罵った。それだけ危機感が強いとも言えるが、格調とか気品とはほど遠い面々だ。
◎元大阪地検検事正からの性被害訴える女性検事が辞表提出 | NHKニュース →元大阪地検検事正から性被害を受けたと訴える女性検事が辞任した。復職するための環境整備を求めたが、実現しなかったという。いつものように涙ながら訴えた。今回の一件では、検察の冷酷さが目立つが、再審法制見直しに抵抗する体質と通底しているだろう。
◎両陛下「深い反省と平和守る努力大切」 昭和100年式典で感想 | 毎日新聞 →昭和100年式典であいさつをしなかった天皇陛下は30日、「深い反省と平和を守る努力が大切」と感想を発表した。式典では高市首相が「先人に学び果敢に挑戦する必要がある」と述べたが、反省めいた弁はなかった。陛下の言葉が式典でなかったのは政府の方針という。あえて感想を発表したのは、平和を求める思いを強調したかったのだろう。保守派を自認する首相だが、陛下とは明らかに考え方が違う。皇室の人たちは、皇室典範改正の議論も気がかりだろう。
*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)
◎チャールズ・ケーディス(米陸軍大佐、GHQ民政局次長として憲法制定に関与。1947年5月3日、日本国憲法施行)
「米軍側としては、日本政府が新憲法を受け入れない場合には国民投票にかけろと圧力をかけたが、日本側の受け入れに選択の余地はないとみていた」 「戦勝国には天皇を東京裁判(極東軍事法廷)で裁くべきだとの意見が強かった。だが、マッカーサー元帥は、天皇家(ダイナスティー)は保持されるべきだと判断していた。ここから非戦条項を憲法本文に盛り込み、各国の理解を得ようとの考えが生まれた」 「憲法9条は、天皇制維持をほかの戦勝国に納得させるために加えられたと言っていい」 「日本政府から『戦争放棄』を憲法前文に盛り込んだらどうかとの提案もあった。しかし、GHQはこれを拒否した。『戦争放棄』は第1条にしても良いほどだった。しかし、天皇への敬意もあって、第1条は『象徴天皇としての地位』とした。だが、第1条と第9条はいわば一体であり、不可分のものだった」
*** 今週の教養講座(中満泉・東大大学院入学式講演④)
私たちの未来をとてつもなく豊かにより良いものにしてくれるであろう、驚異的な進展を続ける科学技術にも、大きなプラスの側面と、恐ろしいマイナスの可能性があります。AIやバイオテクノロジーの進歩は、難病の治療を可能にするでしょうし、農業生産、エネルギー産業、地球環境問題や気候変動など多くの地球規模課題の解決に貢献することは間違いありません。同時に、多くの専門家がAIのいわゆる「破滅的リスク」を回避するためのガードレールが必要であると主張しています。そして、その緊急性はますます高まっています。
事実、AI企業のアンソロピックやOpenAIは先月、生物化学兵器分野の専門家の募集を始めました。すでに数年前から、AIがわずか数時間で数万もの、化学兵器に転用可能な毒性の強い化合物のデザインを作成可能であることが判明しており、破滅的な悪用を防ぐために企業自身による自社技術の安全性を高める努力が必要になっているのです。化学兵器や生物兵器に関しては禁止条約がありますが、AIなどの技術の影響を防ぐには完全とは言えず、軍事・安全保障分野全般でのAI開発・利用に関する国際的な規範やガバナンスの必要性は、国連でも議論は始まっているものの、いまだ整備はされていません。
私たちの立っている分岐点とは、格差と不平等が固定化し拡大していく社会経済のあり方を見直し、誰一人取り残すことなく皆が豊かさの恩恵を受けることができ、結果的に安定した繁栄する世界を構築していく道を選ぶのか、それとも極端な社会の歪みを正すことなしに、多くの人々を困難な状況に置き去りにして、どこかで大きな破綻をもたらすリスクを持つ道を選ぶのかという分岐点です。そしてシンギュラリティー(技術的特異点)が本当に起こるのか、いつやって来るのか専門外の私にはわかりませんが、私たち人間がAIに使われ支配される未来ではなく、AIのもたらす恩恵を最大限にし、人間がこれを使う未来にするための基盤を作れるのか、という分岐点でもあります。人間のみが持ちうる創造性や、私たちが時間をかけて発展させてきた倫理的な価値観や規範をもとに、いわば新たな文明を作るための分岐点もしくは出発点とも言えるのかもしれません。
皆さんは、このような重要な歴史の転換期に東京大学大学院での研究生活を始めるわけです。今年1月に亡くなったハーバード大学名誉教授で日本人初のアメリカ歴史学会会長でもあった入江昭先生は、歴史学を現代と過去との対話であり、未来を設計するための活動でもあるとし、国境を越えた「知の共同体Community of Knowledge」の重要性を強調しました。歴史学に関わらず、玉石混交の膨大な情報があふれる時代だからこそ、誠実で学究的な専門的研究こそが、未来に役立つ知識と知恵を生み出すのだと思います。皆さんは、そういった「知の共同体」のメンバーとなるわけです。できれば、自らの専門領域を超えて、学際的な知の好奇心を持って欲しい。異なる分野の専門家ともネットワークを築き、協働して欲しい。先に述べたテクノロジーのガバナンスの議論において、様々な科学技術分野と社会学、倫理学、国際法、哲学などいくつもの分野の知見の融合が欠かせないと私自身、実務で実感しているからです。
今日ここに集う女子学生の皆さんに、特別なエールを送ります。皆さんは、間違いなく競争を勝ち抜き、明確な目的を持って大学院での生活を始めることでしょう。どうか、初志を貫徹してください。誰に媚びることも忖度することも遠慮することもなく、かといって無理に肩肘張ることもなく。私たち女性同士で助け合い、心ある男性たちとも同盟を組みましょう。そして、何よりも充実した日々を楽しみ幸せであってください。自分がパッションを持って目的を追求するときの苦労は、苦しいものではなく人生の充足感になることを私は知っています。心から応援しています。
皆さま、ご入学重ねておめでとうございます。どうかここでの経験が、あなた自身の人生を豊かにするだけでなく、周りの人々・脆弱な立場の人々を助け、あなたの属する社会や国、そして世界にも貢献しますように。そして私たち皆の未来を安全で豊かなものにする、歴史を創る作業に参加する旅路が、あなた自身の幸せと大きな達成感をもたらしますように。
Bonne chance, Bon courage and Bon voyage.
