2026年6月15~19日(教養講座:G7サミットと世界秩序)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年6月15日号(転送禁止)~~~

◎サッカー・ワールドカップ速報→ 午前5時から、日本とオランダが対戦。前半は0対0で、ほぼ互角。オランダのシュートは5本、ゴール枠内は3本。日本のシュートは3本で、枠内はまだない。粘り強く攻めて、守る我慢のサッカーだ→【配信中 ライブ速報】ワールドカップ2026 サッカーW杯 日本 対 オランダ注目の初戦 | NHKニュース

***デイ・ウォッチ(12~14日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

15日からフランスでG7サミット 高市首相どう臨む 焦点や課題は | NHKニュース  →きょうからフランスでG7サミットが開かれる。トランプ大統領の登場で揺らぐ旧西側陣営はどう動くか。イラン、ウクライナへの対応は。初参加の高市首相はどんなパフォーマンスをするのか。今週の教養講座は、サミットの歴史と世界秩序について取り上げる。

アメリカ「14日に覚書に署名へ」イランの対応焦点に | NHKニュース  →トランプ大統領は、自分の誕生日の14日、イランと覚書に署名する見通しを示した。イランは「数日中」としているが、首都テヘランでは署名反対のデモも起きているという。遠からず動きがありそうだが、まだはっきりしない。

アンソロピック 最新AIモデル提供停止を発表 米政府命令受け | NHKニュース  →ミュトスなど新型AIの提供が禁止された。トランプ政権が外国人へのアクセスを禁じ、これを受けてアンソロピック社が発表した。同社は政府の方針を批判している。禁止するほど人類に影響が大きいということか、政府が心配しすぎなのか。AI時代の新しい大テーマだ。

夏の全国高校野球地方大会 最も早く沖縄で開幕 | NHKニュース  全日本大学野球選手権 関西大が慶応大を破って54年ぶりの優勝 | NHKニュース →高校野球がもう始まった。沖縄水産対豊見城というかつての甲子園カードもあった。大学野球は関西大学が54年ぶりに日本一に輝いた。慶応大学は「大学4冠」を狙っていたが、阻止された。関大の前回の優勝投手は山口高志というからオールドファンには懐かしい。

女性トイレの行列改善へ トイレ設置に初のガイドライン 国交省 | NHKニュース →国土交通省が女性トイレの設置ガイドラインを初めてまとめた。駅や空港では男性便器の6~7割程度にとどまっており、同数にするよう求めた。すぐにできない場合、混雑状況をリアルタイムで知らせることも提案した。なぜこうなっているのか、同数より1.5倍程度必要ではないか。そんな気がするが・・・。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎毛利元就(戦国時代の武将。1571年6月14日死去、74歳)

「一本の矢は簡単に折れてしまうが、束になれば折ることはむずかしい。お前たち、力を合わせなさい。背くことがあってはならない」 「道を歩いてつまずくのは、ありがちなことだ。少しも気にすることはない」 「言葉は、心の使い方である。言葉によって、その人が善か悪か、才能があるかないか、剛勇か臆病か、利口か愚かか、遅いか速いか、正直か正直でないか、すぐに分かる」 「一芸もいらず、能もいらず、遊もいらず、履歴もいらない。ただ日夜ともに武略、調略の工夫をすることこそ肝要である」 「中国地方の全部とは愚かなことだ。天下を全部持つようにと祈ればよいものを。天下を取ろうとすれば、そのうちに中国地方は獲れる。中国地方だけを獲ろうと思えば、どうして獲れるものか」 「私は、酒が飲めぬから、このように長生きなのだ。酒を飲まなければ70、80まで健康でいられて、めでたいことだ」 

*** 今週の教養講座(G7サミットと世界①)

今週はフランスでG7サミットが開かれます。先進国首脳の記念写真が印象深いかもしれませんが、G7サミットの歴史は、世界の秩序と大きく関わっています。5回にわたって振り返ります。

第1章 サミット誕生――1970年代、戦後秩序の危機から生まれたG7

サミットの歴史を理解するためには、まず第二次世界大戦後の世界秩序を振り返る必要がある。戦後の国際社会は、圧倒的な経済力と軍事力を持つアメリカを中心に運営されていた。1944年には、戦後の国際経済を安定させるためのブレトンウッズ体制が構築され、ドルを基軸通貨とする仕組みが整えられた。国際通貨基金(IMF)や世界銀行が設立され、自由貿易と経済成長を支える枠組みが作られた。

この体制の下で、西側先進国は高度成長を遂げた。日本もその恩恵を受け、戦後復興から高度経済成長へと進んでいった。しかし、1960年代後半になると、アメリカの負担は急速に増大する。ベトナム戦争の長期化や国内福祉支出の拡大によって財政赤字が膨らみ、ドルに対する信認が揺らぎ始めた。1971年、アメリカのリチャード・ニクソン大統領は、ドルと金との交換停止を発表した。いわゆる「ニクソン・ショック」である。これによってブレトンウッズ体制は事実上崩壊し、戦後の国際経済秩序は大きな転換点を迎えた。

追い打ちをかけたのが1973年の第一次石油危機だった。中東戦争を契機に産油国が原油価格を大幅に引き上げると、世界中で物価が急騰した。日本でもガソリン不足やトイレットペーパーの買い占め騒動が起きたことはよく知られている。経済成長を前提としていた先進国は、インフレと不況が同時に進行する「スタグフレーション」という未経験の事態に直面した。

こうした危機は、一国だけでは解決できなかった。エネルギー問題も為替問題も国境を越えて影響するからである。そこで必要になったのが、主要国首脳による直接対話だった。1975年11月、フランスのランブイエ城に、フランス、西ドイツ、イギリス、アメリカ、日本、イタリアの6か国首脳が集まった。これが第1回サミットである。当時のフランス大統領であるヴァレリー・ジスカール・デスタンが音頭を取り、西ドイツ首相のヘルムート・シュミットが中心となって実現した。

この会議の特徴は、首脳同士が率直に意見交換する場だったことである。少人数で本音を語り合うことで、危機への対応を迅速に進めようとした。翌1976年にはカナダが加わり、現在のG7の原型が完成した。日本が創設時から参加していたことも注目される。当時の日本は高度経済成長を経て世界第2位の経済大国となり、欧米と並ぶ先進国として認められていた。アジアで唯一の参加国であったことは、日本が世界経済の主要プレーヤーとなったことを意味していた。

サミットの誕生は、アメリカ一国だけで世界を支える時代が終わり、主要先進国が協力して国際秩序を維持する時代の始まりを象徴している。サミットとは戦後世界秩序の危機に対する西側先進国の共同対応の仕組みとして生まれたのである。その後50年以上にわたり、サミットは世界経済や国際政治の重要課題を議論する場として存続してきた。しかし、その出発点には、「危機に直面した先進国が協調によって世界を安定させようとした」という歴史的背景があった。次章では、冷戦下においてサミットがどのように西側陣営の結束を支える役割を果たしたのかを見ていきたい。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年6月16日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(15日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

アメリカとイラン 戦闘終結に向けて 19日スイスで覚書署名へ | NHKニュース  →アメリカとイランが19日に戦闘終結に向けて覚書を交わすことになった。ホルムズ海峡は開放され、イランが核開発を断念すれば、制裁解除の見通しだ。しかし、60日間の協議期間があり、イスラエルが戦闘を止めるかは未知数だ。歓迎すべきだが、慎重な見極めも必要だ。発表はトランプ大統領の誕生日に合わせた14日で、ホワイトハウスで総合格闘技の試合を開いたという。自己愛も極まっているが、大丈夫だろうか→トランプ大統領80歳誕生日 ホワイトハウスで総合格闘技の試合 米メディアは批判も「歴史的建造物を冒とく」 | NHKニュース

日本 対 オランダ は引き分け 日本2度追いつく | NHKニュース  海外メディア “日本は大会のダークホースになる” 高く評価 | NHKニュース →ランキング18位の日本は、8位のオランダを相手に価値あるドロー。2回リードされて追いついた。成熟したチームワークが印象的で、海外メディアの評価も高まっている。中村の見事なシュートは、過去の日本代表にはない破壊力だ。

東京株、初の6万9000円台 米イラン合意、史上2番目の上げ幅:時事ドットコム →アメリカとイランの合意で、東京株が史上2番目の上げ幅を記録した。合意するかどうかで最近は乱高下を繰り返しており、トランプ大統領の「インサイダー疑惑」を指摘する声さえある。先週は「AIバブル崩壊か」という見方もあったが、とりあえず払しょくされた。

G7サミット 仏で開幕 イラン情勢やウクライナ情勢など議論 | NHKニュース  →G7サミットがフランスで始まった。イランとの合意がどんな影響を与えるか。欧州と日本がトランプ大統領を持ち上げるのか、忠告や苦言を呈するのか。米国以外の6か国がミドルパワーとして団結し、良識ある世界を取り戻してほしいと願うのはないものねだりか。首脳声明は早くも見送りの方向という。

皇室典範改正などをめぐる発言“法案骨子説明のため”官房長官 | NHKニュース  皇室典範改正案「不十分なら差し戻し」 中道・野田氏:時事ドットコム →皇室典範改正をめぐる構図が明らかになりつつある。男系男子を主張するのは日本会議などに同調する自民保守派や妹が皇族の麻生氏らで、戦争を反省して慰霊の念が強い上皇や天皇らと溝がある。高市首相が「昭和100年記念式典」で天皇に挨拶をさせなかったのも延長線上にある。一方、国民世論は女系女性天皇に拒否感は少なく、愛子天皇への期待もあり、慰霊の旅を支持している。天皇の「皇室典範改正は国民の理解を」発言にはそんな背景がありそうだ。皇室問題を政争の具にしてはならないが、すでに政争という見方もできる→ 深層レポート 天皇が漏らされた“ご懸念” | 本誌編集部 | 文藝春秋PLUS

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎住井すゑ(小説家。1997年6月16日死去、95歳)

「勲章を受ける人は信用できない。それをありがたがる人とは付き合いたくない」 「大名とやくざは同類である」 「文化とは、平和を守ることである」 「なくてはならぬ職業は百姓である」 「誰がやろうと、不条理なことは不条理です」 「子どもという名の新しい生命は、生命体の必然として自ら育つのであって、周囲の思惑や計算や努力で育てられるたちのものではない」 「教育で大切なことは、嘘を教えない、嘘をつかせないこと」 「定年制は資本主義の落とし子であり、それを認めるから老後になってしまう。人間の天職は人間であることであり、人間ひとすじに生きている場合は、人間という思想を持っているから生涯、現役なのだ」 「芸能の中で最高のものが落語。能や歌舞伎は権力の側についている太鼓持ち的な芸だ」

*** 今週の教養講座(G7サミットと世界②)

第2章 冷戦とサミット――西側陣営の結束を支えた首脳会議

サミットが誕生した1970年代後半は、世界が東西冷戦の真っただ中にあった時代である。第二次世界大戦後、世界はアメリカを中心とする自由主義陣営と、ソ連を中心とする共産主義陣営に分かれて対立していた。軍事面では北大西洋条約機構(NATO)とワルシャワ条約機構が向き合い、政治・経済・思想の面でも激しい競争が続いていた。

サミットは当初、石油危機や景気後退への対応を話し合う経済会議として出発した。しかし実際は、それ以上の意味を持つようになる。参加国は自由主義や市場経済を共有する西側先進国で、サミットは次第に「西側陣営の首脳会議」としての性格を強めていった。1979年にはソ連がアフガニスタンへ侵攻した。これに対し、西側諸国は強い警戒感を抱いた。1980年のモスクワ五輪ではアメリカや日本などがボイコットを実施し、東西対立は再び激化した。こうした中でサミットは、経済問題だけでなく安全保障や外交問題についても意見を調整する重要な場となった。

1980年代に入ると、アメリカのロナルド・レーガン政権はソ連に対して強硬姿勢を取るようになる。軍拡競争や戦略防衛構想(SDI)が進められ、西側諸国にも結束が求められた。サミットでは経済政策とともに、ソ連への対応や民主主義陣営の協力について議論が重ねられた。首脳同士が直接顔を合わせることで、共通認識を形成しやすくなった。日本の役割も大きく変化した。戦後の日本は経済復興を優先し、国際政治では比較的控えめな立場を取っていた。しかし経済力の拡大に伴い、国際社会からより大きな責任を求められるようになった。サミットでは経済援助や貿易問題、対ソ政策などについて日本の意見が注目されるようになり、日本外交は新たな段階に入った。

サミットには価値観を共有する場という側面もあった。参加国は民主主義、法の支配、人権尊重、市場経済といった原則を重視していた。これらは今日では当たり前に聞こえるが、当時は共産主義体制との対立の中で強く意識された理念だった。サミットは西側諸国が自らの価値観を確認する場でもあった。1985年にソ連でミハイル・ゴルバチョフが登場すると、東西関係は徐々に変化し始めた。ペレストロイカやグラスノスチによる改革が進み、米ソ間の緊張も緩和された。そして1989年のベルリンの壁崩壊、1991年のソ連解体によって冷戦は終結する。

この約15年間のサミットは、経済問題への対応だけでなく、西側陣営の結束を維持する重要な政治的役割を果たした。自由主義国の首脳が定期的に集まり、共通の課題を協議する仕組みは、冷戦という歴史的対立の中で大きな意味を持ったのである。サミットは単なる経済会議から、自由主義世界の方向性を示す場へと発展していった。そして冷戦終結後、その役割はさらに拡大していくことになる。次章では、冷戦後のグローバル化の時代に、サミットがどのように世界秩序を主導したのかを見ていきたい。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年6月17日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(16日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

日銀が利上げ決定 政策金利1%程度に 31年ぶり高水準 内田副総裁“物価上昇リスクに対応” | NHKニュース →日銀が1%に利上げした。植田総裁は入院中だったが、予想通りの結果になった。代わって会見した内田副総裁は白血病で治療中。満身創痍の利上げだが、効果や為替への影響はどうか。日銀は今後も利上げを模索する構えで、本格的な金利時代に突入していく。今後の影響はこちら→ 日銀利上げで「家計全体」では年1兆円のプラス効果…住宅ローン残高多い若年層は「マイナス影響」大か : 読売新聞

東京株、初の7万円台 日銀会合後に買い優勢:時事ドットコム →東京株は日銀の利上げ決定を受けて、一時7万円を突破した。その後は下げて、終値は前日比87円高で終わったが、それでも最高値を更新した。値下がり銘柄が7割で、AI・半導体主導の偏りは変わっていない。

アイス値上げでカルテルか 公取委が明治 森永乳業 ロッテ 森永製菓 江崎グリコ 赤城乳業 6社立ち入り | NHKニュース  →明治、森永、ロッテ、グリコなど著名なアイスメーカーがカルテルを結んでいたらしい。ここ数年、毎年のように値上げをしていた。消費者をバカにした話だが、他の業界にもありそうだ。物価高ブームに便乗した値上げは少なくないだろう。話し合いをせずに「阿吽の呼吸」なら、違法にはならない。

G7サミット 中東やウクライナ情勢への対応を議論 | NHKニュース→G7サミットは、中東情勢の議論ではエジプトやカタール、UAEの首脳、ウクライナの議論ではゼレンスキー大統領も出席した。詳細は明らかになっていないが、厳しい対立は伝わってこない。高市首相はトランプ大統領と短時間懇談したという。

富士通、古田英範会長の辞任発表…「女性に関連した不適切な行動」確認・具体的内容は明らかにせず : 読売新聞  →セクハラか不倫があったらしいが、詳細はまだ不明。会社側は被害者の存在を理由に具体的な状況を明らかにしないことも多いが、差支えのない範囲で公表し、教訓とする判断もあるだろう。こうした事案が後を絶たない以上、社会で共有する意義もありそうだ。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎トーマス・クーン(米の哲学者、科学者。1997年6月17日死去、73歳)

「次世代のパラダイムに早くから気づくためには、多くの反証を切り捨てる必要がある。新しいパラダイムがまだ多くの問題を抱えているときに、古いパラダイムを打ち破ることを確信しなければならない。このような判断は、直感によってのみ到達しうる」 「天動説が主流を占めていた頃、天動説に根ざして天文学的な事象を予測するさまざまなモデルが開発された。地動説に立てばそれらの数式やモデルがもっと無理なく使えるということは、コペルニクスとケプラーが登場するまでわからなかった」 「いつのいかなる分野でも、科学者は世の中の動きについての基本的な見方を共有するものだ。その見方が、その時点での支配的パラダイムなのである。ほとんどの実験はその見方の枠内で行われ、いくつかの小さな進歩が生まれる」 「新しいパラダイムの基本的発明を遂げた人は、ほとんど非常に若いか、パラダイムの変更を促す分野に新しく入ってきた新人のどちらかである」 

*** 今週の教養講座(G7サミットと世界③)

第3章 冷戦終結とグローバル化――G7が世界を主導した時代

1991年のソ連崩壊は、20世紀後半の世界秩序を根本から変えた出来事であった。第二次世界大戦後、世界はアメリカを中心とする自由主義陣営とソ連を中心とする共産主義陣営に分かれて対立していたが、その一方の主役が姿を消した。冷戦の終結によって、アメリカは唯一の超大国となり、自由主義、市場経済、民主主義が世界の標準的な価値観として広がる時代が始まった。

この時代、サミットはかつてない影響力を持つようになった。冷戦期には西側陣営の結束を確認する役割が大きかったが、冷戦後は世界全体の方向性を示す場へと変化した。参加国であるG7諸国は、世界のGDPの大半を占め、国際金融、貿易、技術開発の中心に位置していた。サミットで合意された方針は、事実上、世界経済のルールとして受け止められることが少なくなかった。

1990年代はグローバル化の時代でもあった。通信技術や輸送技術の発達によって、人、モノ、カネ、情報が国境を越えて活発に移動するようになった。企業は海外に生産拠点を設け、金融市場は24時間つながり、世界経済はかつてないほど一体化していった。サミットでは自由貿易の推進や市場開放の重要性が繰り返し確認された。

その象徴が1995年の世界貿易機関(WTO)の発足である。関税引き下げや貿易ルールの整備が進み、多くの国が市場経済へと移行した。旧ソ連や東欧諸国も資本主義経済の導入を進め、中国も改革開放政策を加速させた。世界は「自由市場を中心とした一つの経済圏」へ向かっているように見えた。

この流れの中で、ロシアとの関係も大きく変化した。冷戦終結後、西側諸国はロシアを国際社会に取り込むことで安定した世界秩序を築こうと考えた。1990年代後半にはロシアがサミットに参加するようになり、1998年にはG8が正式に発足した。かつての最大の対立相手が同じ会議のテーブルに着いたことは、冷戦終結の象徴と受け止められた。

しかし、順風満帆だったわけではない。1997年のアジア通貨危機や1998年のロシア金融危機など、グローバル化の副作用も表面化した。資本移動が自由になる一方で、一国の金融不安が瞬く間に世界へ広がるようになったのである。そのたびにG7やG8は協調対応を協議し、国際金融システムの安定化に努めた。

当時、多くの人々は自由主義と市場経済の勝利を確信していた。世界はより豊かになり、民主主義も広がると考えられていた。しかし後から振り返ると、この時代はG7主導の世界秩序が最も強い影響力を持った一方で、その限界が静かに蓄積されていた時代でもあった。中国やインドなどの新興国は急速に成長し、西側中心の国際秩序に変化の兆しが現れ始めていたのである。次章では、新興国の台頭によってG7の相対的地位がどのように変化したのかを見ていきたい。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年6月18日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(17日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

食料品消費税減税  来年4月から2年間1%に  1%相当分の所得連動給付も | NHKニュース  →食料品の消費減税を検討している超党派の国民会議が「来年4月から2年間は1%、1%分も給付」の議長案を示した。「実質0%」で公約と矛盾しないという考えだが、財源や2年後の引き上げ可能性など課題も多い。もともと高市総裁が総選挙の争点つぶしでぶち上げた。経済学者らを中心に専門家の反対は根強く、曲折はありそうだ。

G7サミット閉幕 仏マクロン大統領 “協力実現 大きな転換点” | NHKニュース  →G7サミットが閉幕した。去年はトランプ大統領が途中で帰国したが、今年は最後までいた。ホスト国のフランスはじめ各国が気を使っていた。しかし、首脳会談は今年も見送り、9つの成果文書が発表された。高市首相が提案したエネルギー安全保障の強化策も盛り込まれた・・・ということで、サプライズに乏しいサミットとなった。

北海道 知床半島沖 観光船沈没事故で判決 運航会社長に禁錮5年 | NHKニュース →26人が死亡・行方不明になった知床の観光船事故で、運航会社の社長(62)が禁固5年の実刑判決を受けた。判決は焦点だった予見可能性を認めた。「責任の重さを真摯に受け止めているようには見受けられない」として、求刑通りの判決を言い渡した。

高市首相「中傷動画」全ての疑問に答える《Zoom会議の音声を声紋鑑定すると…》 | 週刊文春 →高市陣営の中傷動画問題で、週刊文春が第7弾。木下秘書と思われる発言の声紋鑑定をした結果、「同一人物の音声と推定」という結果が出た。暗号資産「サナエトークン」で高市陣営の関与をうかがわせる資料も出ている。高市首相はG7サミットから帰国しても対応に追われそうだ。

東海道・山陽新幹線の「個室」東京-名古屋間 片道3万2660円に | NHKニュース  →10月から導入する新幹線個室の概要が発表された。料金はグリーン車の2~3倍で、東京-名古屋間で1人3万2660円。1日12本走らせ、順次増やすという。富裕層向けサービスが充実している。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎マキシム・ゴーリキー(ロシアの作家。1936年6月18日死去、68歳)

「才能とは、自分自身を、自分の力を信じることである」 「信じるのだ。こんなちっぽけな人間でも取り組む意志さえあれば、どんなことでもやり遂げられるということを」 「自分で自分を尊敬できるような生活をしなければならない」 「人間は憐れむべきものではない。尊敬すべきものだ」 「人生には二つのあり方しかない。腐っているか、それとも燃えているかだ」 「すべての物事には終わりがある。したがって、忍耐は成功を勝ち得る唯一の方法である」 「我々にとって、最も冷酷な敵は自らの過去である」 「自分の真の力を発揮できるのは、自分を信じているときだけだ」 「行動を言葉にするより、言葉を行動に移す方がずっとむずかしい」 「仕事が楽しみなら人生は極楽だ。仕事が義務なら人生は地獄だ」 「どんな些細な勝利であっても、一度でも自分に勝つと人間は急に強くなれるものだ」 「真の美というものは、真の知恵と同じく、およそ簡明で、だれにでも分かりやすいものだ」

*** 今週の教養講座(G7サミットと世界④)

第4章 新興国の台頭とG7の相対的低下――世界は西側だけでは動かなくなった

21世紀に入ると、世界秩序は再び大きな転換期を迎えた。アメリカを中心とする自由主義陣営が圧倒的な影響力を持ち、G7は事実上の世界運営会議として機能していた1990年代の構図は、長く続かなかった。最大の理由は、中国やインドをはじめとする新興国の急速な成長である。

特に中国の変化は劇的だった。1978年の改革開放政策以降、中国は市場経済の仕組みを取り入れながら成長を続けた。2001年の世界貿易機関(WTO)加盟を契機に世界経済への統合が進み、「世界の工場」と呼ばれる存在になった。やがて国内総生産(GDP)は日本を抜き、アメリカに次ぐ世界第2位となった。

インドもIT産業を中心に発展し、人口大国としての存在感を高めていった。こうした変化によって、G7諸国だけで世界経済を代表することが難しくなった。アジアや中南米、中東、アフリカの重要性が急速に高まったのである。世界の成長エンジンは西側先進国から新興国へと広がり始めた。

この流れを象徴するのがG20の台頭である。1997年のアジア通貨危機をきっかけに、新興国を含めた国際協力の必要性が認識された。そして2008年の世界金融危機では、G7だけでは危機に対応できないことが明らかになった。アメリカ発の金融危機は世界中へ波及し、中国やインド、ブラジルなどの協力なしには解決が難しかった。その結果、主要20か国・地域によるG20首脳会議が国際経済協議の中心的な場として注目されるようになった。

新興国は独自の枠組みづくりも進めた。中国、インド、ブラジル、ロシア、南アフリカによるBRICSは、西側中心の国際秩序に対する対抗軸として存在感を高めた。近年では加盟国の拡大も進み、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の発言力が増している。

一方、G7の影響力が消えたわけではない。先進技術、金融、市場規模、軍事力の面では依然として大きな力を持っている。また民主主義や法の支配、人権尊重といった価値観を共有する枠組みとしての意味も大きい。しかし、もはやG7だけで世界の方向を決められる時代ではなくなったことは確かである。

G7は依然として重要な会議であるが、その役割は「世界を指導する場」から「価値観を共有する先進国の協議の場」へと変化しつつある。この変化は、戦後長く続いた西側中心の世界秩序が転換期を迎えていることを意味している。次章では、ロシア・ウクライナ戦争や米中対立が続く分断の時代に、サミットがどのような役割を果たそうとしているのかを考えてみたい。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2026年6月19日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(18日/コメントも参考にしながら自分の考えをまとめましょう

48兆円規模のイラン復興・開発計画策定へ、日本などの企業から24兆円以上拠出決定済み…米イラン覚書 : 読売新聞 →米国とイランの覚書に、日本などの企業から24兆円以上の拠出が決定済みと盛り込まれた。攻撃で破壊された施設の再建などに使われるという。どの企業がいくら出すのだろうか、米国の攻撃の被害をなぜ企業が負担するのか。よくわからない。米とイランの大統領が覚書署名も 米国内から批判の声 | NHKニュース

日経平均7万円、史上最速の大台替わり AIを支える日本株に買い – 日本経済新聞 →東京株価が終値で初めて7万円台になった。6万円に達したのが4月27日で、2か月弱での大台替わりは史上最速。AI・半導体ブームというが、少し異常ではないか。世界がジャブジャブのカネ余りになっていることを示している。完全なインフレ時代だ。

内閣支持率54%、発足後最低 食品消費税ゼロ、4割が希望―時事世論調査:時事ドットコム  →時事通信の世論調査で、高市内閣の支持率が前月から5.1ポイント低下し、54.3%になった。他社の調査ではなお高い支持率になっていたが、今度どうなるか。中傷動画問題がカギを握っていそうだ。

天皇陛下「平和願い、共に歩む」 王室に重ねて謝意―オランダ晩さん会:時事ドットコム →天皇陛下はオランダ国王との晩さん会で、第2次大戦に触れ、「私たちは絶えず謙虚に過去の歴史から学び、悲惨な体験や苦労を後の世代に伝えていかなければなりません」と語った。日本軍によるオランダ人抑留の歴史を踏まえ、「今なお当時の痛みを負い続けている人々がおられることに思いを致し、平和への努力を続けていかなくてはならない」と述べた。高市首相は天皇のこうした反省の姿勢を嫌っているようだ。皇室典範の改正に微妙に影響しそうだ。

略式命令に誤り 検事総長が「非常上告」で取り消し求める | NHKニュース   自民有志、検察のハラスメント調査で第三者委設置を  – 産経ニュース →最近の検察はどこかおかしい。法律に規定のない「科料40万円」の判決が確定し、検事総長が確定した判決の取り消しを求める「非常上告」の申し立てをしていた。一方、自民党有志は検察のハラスメントで第三者委員会の設置を求める。大阪地検検事正のセクハラをきっかけに発足したが、兵庫県内の障害福祉事業所で昨年6月、女性職員(当時16歳)が暴行容疑で逮捕された後に体調を崩し、半年後に死亡したことも問題視している。初の女性検事総長に期待したいが、無理なのか・・・。

*** 「今日の名言」(気に入った言葉を探してみましょう)

◎トーマス・J・ワトソン(IBM初代社長。1956年6月19日死去、82歳)

「私は天才ではないが、得意とすることもある。私は極力、得意分野を離れないようにしてきただけだ」 「早く成功したいなら、失敗を2倍の速度で経験することだ」 「エクセレントな人間になるためにかかる時間は1分だ。今、この瞬間から『エクセレントでない』ことは絶対にしないと自分自身に誓い、どんなに圧力がかかっても決して妥協しなければ、エクセレントになれる」 「IBMのセールスマンには妻子から敬われる人物になってもらいたい。母親が息子の職業を尋ねられたとき、言葉を濁したりしなければならないようでは困る」 「考える前に飛ぶことだ。ビジネスはゲームだ」 「不満や改めたいプランがあるなら、直接僕のところへ持ってきなさい。一緒に考えようじゃないか」 「完全に自信がなくても、自分の考えを論争の渦中にさらけ出すんだ。率直に意見を言い、変わり者というレッテルを貼られるよりも、従順という汚名を付けられることを恐れなさい。自分にとって重要に見える問題のために立ち上がり、どんな困難にも立ち向かいなさい」

*** 今週の教養講座(G7サミットと世界⑤)

第5章 分断の時代とサミットの未来――トランプ時代が突きつけた世界秩序の課題

21世紀の世界秩序を考えるうえで、避けて通れない存在が、ドナルド・トランプである。2017年に大統領に就任したトランプは、それまでのアメリカ外交の前提を大きく揺さぶった。第二次世界大戦後のアメリカは、自由貿易や国際協調を主導し、国際秩序の維持を自国の使命としてきた。しかしトランプは「アメリカ・ファースト」を掲げ、国際協調よりも国益を優先する姿勢を鮮明にしたのである。

その特徴としてまず挙げられるのは、中国の台頭という現実を世界に突きつけたことである。冷戦後の西側諸国は、中国が経済発展すれば政治的にも自由化へ向かうと期待していた。しかし実際には、中国は経済力を急速に拡大させながら、共産党による統治を維持した。トランプ政権は貿易摩擦や先端技術分野での競争を通じて、この問題を正面から提起した。その結果、経済安全保障やサプライチェーンの見直しはG7共通の課題となった。

防衛面でも欧州諸国に応分の負担を求めたことは大きな影響を与えた。アメリカに依存してきた欧州諸国は、防衛費増額や安全保障体制の再構築を進めるようになった。後にロシアのウクライナ侵攻が起きた際、欧州が防衛力強化へ動く一因となった点は見逃せない。

トランプ外交には大きな問題点もあった。自由貿易体制や国際機関への不信感を強く示した結果、西側諸国の結束が揺らいだのである。G7首脳会議でも対立が表面化し、共同声明の取りまとめが難航する場面が増えた。アメリカ自身が国際協調に距離を置けば、戦後長く続いた自由主義国の連携は弱体化する。サミットが本来持っていた「価値観を共有する先進国の結束の場」という機能も試練に直面した。

現在の世界は、米中対立、ロシア・ウクライナ戦争、中東情勢、AI開発競争など、複数の課題が同時進行している。こうした問題は一国だけで解決できない。しかし各国の利害や価値観の違いは以前より大きくなっている。サミットは合意形成の重要な場であり続けているが、1970年代や1990年代のように世界を主導できる環境ではなくなった。

今後のサミットに求められる役割は、西側諸国の結束だけではない。中国やインドをはじめとする新興国、いわゆるグローバルサウスとの対話をどう進めるかが重要になる。自由や民主主義という価値を守りながら、より多様な国々との協力を実現できるかが問われているのである。

サミットの歴史は戦後世界秩序の歴史そのものであった。そしてトランプの登場は、その秩序がもはや自明ではないことを世界に示した。トランプの功績は既存秩序の限界を明らかにしたことであり、問題点はその秩序を支える国際協調を弱めたことである。分断が進む時代において、サミットが再び世界をつなぐ役割を果たせるかどうか。フランスでのサミットは一応の結束を演出したが、本当の答えは、これからの国際社会の歩みに委ねられている。