上場企業で管理職ら30人が集団受講
静岡県に本社がある東証スタンダード上場企業が、管理職を主な対象とした集団受講を5月から始めました。科目は社会人向けの「思考力文章講座3か月コース」。人的資本経営が叫ばれている時代、「個人の考える力が会社の成長につながる」と1年かけて取り組みます。
管理職を中心に希望を取り、役員や海外駐在者らを含めて30人が応募しました。これを4グループに分け、来年4月まで続けます。まず特製テキスト「文章の極意」を読んでもらいます。原則として月4回の課題作文を書き、添削と講評を受け取ります。平日は毎朝、前日のニュースと一口コメント、週替わりの教養講座などを内容とするメルマガに目を通します。
最初の締め切りは5月8日で、さっそく集まりました。題は「こんな人生を送りたい」。400字、60分めどで書いてもらいました。誰でも何気なく考えているとは思いますが、文章にしたことはないでしょう。どこまでどう書くべきか、戸惑いが行間からうかがえました。
最初はどうしてもやや余分な言葉が多く、基本的な文章ルールも徹底されていません。自分に関わることに加え、これからは会社経営や経済、社会課題や国際問題など、多様な題で書いていきます。字数や時間も回ごとに変わります。3か月間で思考力と文章力は誰でも間違いなく上達します。これまでの経験から保証できます。
集団受講の前に人事担当者らが3か月、実際に受けてみました。「成果はある。やってみよう」と確信を得て、集団受講に踏み切りました。会社は取り組みにあたって、次のようにコメントしています。
「企業を取り巻く環境が急激に変化している。会社の成長が社員ひとり一人の成長にかかっている。個人の考える力が、現場の改善から始まり、価値を創造するイノベーションまで、会社の業績に直結する。リスキリングなど個人の学び直しや、人的資本経営が叫ばれているのも同様の背景からである。こうした時代こそ、管理職が率先垂範して高い意識を持ち、考え続け、学び続ける姿勢を大切にする職場風土が必要である。『書くことは考えること』であり、その点、作文はシンプルで手軽のうえ、非常に効果的な学習手段と考える。具体的には、以下のような効果が期待できる。①正確かつ効果的に情報を伝えることができるようになり、社内外のビジネスコミュニケーションがスム-ズになるとともに、プレゼンテーション力が向上する。②正確でわかりやすい文章を書くことができるようになり、稟議書や報告書などのビジネス文書の質が向上する。ひいては仕事の効率が上がり、生産性が向上する。③自分の思考力や表現力が高まり、自己成長につながり、さらにキャリアアップにもつながる」