冬の研修感想文⑥ 「文は人なり」を心に秘める
(昨年11月から今年1月まで、東証スタンダード上場企業2社で思考力文章講座を実施しました。受講した方の感想を紹介しています)
3か月の文章研修の感想と今後にどう生かしたいか
文章に表れる自分らしさとは何だろう。本研修の開始時に「文章の極意」という、文書作成のルールについて学んだ。そこで目に留まったのが、「文は人なり」という言葉だ。
当初の私は、この言葉に懐疑的であった。社会人の自身にとって、最も身近な文章はビジネスメールである。ビジネスメールには書き方の定型が存在し、個性的な表現より、マナーを守ることが重視される。だが、今回の研修はテーマごとに自身の見解を作文にまとめ、添削を受ける形式である。個々のエピソードや見解を掘り下げ、自分らしい文章を書くことが求められるのだ。正直、実務に直結しない研修のように感じた。学んだ内容をどう生かせば良いのか見当がつかず、不安もあった。
しかし、回を重ねるごとに「書き方の基本ルールに問題なし。」「私の人柄が感じられた。」という作文の評価をいただき、考えを改めた。先生から「基本ルール」と「内容」の双方から指摘を受け、文章作成におけるバランス感覚が磨かれたおかげだ。新入社員向けの挨拶を書いた際は、先輩社員としての距離感を保ちつつ、相手に安心感を与えるような、柔らかい言葉づかいを意識した。個人的には、読み手側を意識した文書作成スキルが、最も磨かれたと思う。
残念ながら、仕事中に心ないメールをみかけることがある。些細な誤りを、わざわざ大勢の目につく状態で叱責する必要があるのだろうか。個別に本人に伝え、必要に応じて修正案内を出すよう促せば十分である。叱責された当人の気持ちを想像すると、こちらまで胸が痛くなる。
私は社内のミスも指摘する仕事をしている。ミスの大小や、相手との力関係に関わらず、ミスはミスと指摘しなければならない。そのため、他部署から融通が利かないと、煙たがられることもある。これからも、多くの文章を書くだろう。相手と円滑な意思疎通が取れるよう、「文は人なり」を心に、配慮した言葉を紡いでいきたい。