受講生の感想文 「磨かれた回想力、想像力、伝達力」

2023.05.12 研修報告

先に終了した3か月間の「社会人思考力コース」では、最後の課題文のテーマを「文章研修の感想と今後にどう生かすか」にしました。中堅企業に勤める60代の受講生は、以下の文章を書きました。本人の了解を得て、掲載します(原文は縦書き)。もともと文章力の高い方でしたが、回を重ねるごとに自分を深く見つめ直し、表現も研ぎ澄まされていきました。これからは言葉に真摯に向き合い、自分を高めていきたいと書いています。やりがいのある受講生さんでした。

三か月間の文章研修の感想を一言で表せば、「新鮮」という言葉になるだろう。今まで文章を書く機会と言えば、時々ある業務報告や指示文書くらいで、仕事と無縁のテーマで書く作文など、学生時代以来、ほぼ半世紀ぶりの経験であったからだ。

毎週、四百字から八百字の作文を一つ作ることを繰り返すうちに、主に三つの能力が磨かれたと感じている。一つ目は、「回想する力」。例えば「これまでで一番うれしかったこと」というテーマのために、忘却のかなたに消えかけた記憶をどれほど真剣に思い出してみたことか。昔のことを思い出して懐かしさに浸ることは脳への良い刺激になるらしく、これもれっきとした能力だろう。

二つ目は「想像力」。いくら記憶を呼び覚まそうとしても限界がある。そんな時は「多分こうだっただろう」と想像するしかない。ほんの少し、小説家になったような楽しさを感じながら言葉を紡いだ。

最後は「伝達力」。回を追うごとに、講評に褒め言葉が増えていった。自分の言いたいことがしっかり伝わるようになっている気がした。最初に配布された「文章の極意」にあった教えを忘れず、毎回の指導事項を守りながら取り組んだ成果である。

研修はこれで終わるが、三か月間、色々なテーマで全十二通の作文を書いた。この経験は貴重な財産である。

「文は人なり」と言う通り、ビジネスでもプライベートでも、文章は「人となり」が投影される。だからこそ、この研修で学んだことを活かしていけると思う。これから文章を作る際は、自分の伝えたいことを、どうしたら正確にわかりやすく伝えられるかを考えたい。伝える相手のことを思い、言葉を選び、文章を組み立てていきたい。こうして、人と言葉に対する真摯で誠実な姿勢は、必ずや私の「人となり」を高めてくれるはずである。

長谷川先生、ありがとうございました。