11月修了者の受講感想文

2025年11月修了 思考力文章講座3ヶ月コース
課題「3か月の文章研修の感想と今後にどう生かしたいか」(受講者の一部の作文について掲載しています)
◉価値観の言語化が行動の土台に 3か月間の文章研修は、自分自身の変遷をふりかえる貴重な機会であった。日々の業務に追われる中で、自らの歩みを言葉にする時間は思いのほか少なかった。研修を通じて、立ち止まり内省することの重要性をあらためて感じた。自分の価値観や課題を言語化することは、今後の行動を支える土台になると実感した。
研修では、これまでの転機や影響を受けた人々について深く考える機会を得た。仕事だけでなく趣味や嗜好にも目を向けることで、多面的に自分を整理できたことは大きい。当初は作文の時間を確保することに苦労したが、考える時間を自らつくる大切さに気づいた。日常の慌ただしさに流されず、思考を整える姿勢を保ちたい。
また、ニュースや書物を読み、自分の考えを言葉にすることで行動に移しやすくなることも実感した。漠然と感じていた問題意識が、文章にすることで具体的な行動指針へと変わっていく。こうした積み重ねが、仕事への向き合い方をより主体的なものへ導く。文章化の習慣を保つことは、今後の成長に直結すると感じている。
生成AIの活用について学べたことも研修の大きな成果である。資料構成やメール作成など簡易な利用にとどまっていたが、業務で不可欠な存在になると確信した。より高度な使い方を理解し、分析や企画の質向上につなげたい。AIに頼るのではなく、自分の思考を補う道具として使いこなす姿勢を持ち続けたい。
さらに、私は美術や芸術に興味があることを再認識した。研修期間中に東京都美術館のゴッホ展を訪れ、絵画や館内の雰囲気を存分に味わった。仕事とともにこうした時間を大切にすることで、心の余裕や創造性が高まると感じた。今後は研修で得た内省の習慣とともに、自分らしい働き方を築いていきたい。
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◉心に届く文には「自分の物語」があった 毎週火曜日、文章塾の講評を読む時間を心待ちにしていた。「読んでいて楽しく、同時に深く考えさせられる」、「伝える力と感じさせる力がある」と評された言葉は、ひときわ心に残っている。自分の表現が読み手へ届いているという実感が生まれ、書くことへの喜びは一段と大きく広がった。
一方で、「結論が浅い」、「深掘りが足りない」との指摘も受け、言葉に奥行きをもたせる難しさを痛感した。よい文章とは、読み終えたあとに静かな余韻を残すものだと考える。その境地に近づくために、この三ヶ月間、真摯に向き合ってきた。
「伝えたいこと」と「読者の心にどう響くか」は、必ずしも重ならない。気持ちを込めても、読み手の熱量と一致するとは限らないからだ。ゆえにテーマ選びには迷いがつきまとったが、それこそが文章の質を左右する核心でもあった。
仕事でも、この「差」を埋める視点は欠かせない。テーマ設定では、「読み手が求める情報」、「発信すべき内容」、「社会背景との接点」を丁寧に整理し、目的が澄んだ形で伝わる構成を探っていきたい。
また、教養や背景知識が不足すると、文章の説得力が揺らぐことを学んだ。心に届く文章には、必ず「自分の物語」が宿る。電話越しの情報と、現場で風や匂いや人の想いを受け取って得られる情報とでは、言葉の厚みがまるで違う。これからは、事実の記録に加えて、肌で感じた空気や佇まいも丁寧に残し、「場の温度」として原稿に息づかせていきたい。
文章塾での学びを重ねるうちに、書くことがいっそう好きになった。言葉を紡ぐたび、読み手の心に共感が芽生える瞬間が、見える気がしたからだ。
これからも、細部に込めるこだわりと、内省の深さを伴う文章を目指していきたい。所属する組織が社会に果たす役割と価値を、誤解なく、そして誇りをもって伝えることが、わたしの使命である。その積み重ねこそが、組織への信頼につながると信じている。
文章塾で自分の表現と丁寧に向き合う時間を得られたことに、深く感謝している。
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◉テキスト本を何回も読み込む 元々私は文章を書くことが好きだった。しかし、文章の書き方について正式に勉強したことはなかった。自分が書いた文章に自信を持てなかった。今回の研修を受けて自分の書く文章がどう変わっていくのかが楽しみになった。
初めに配布されたテキストの「文章の極意」を読み込んだ。まずはその中の「基本の8か条」を徹底できるように意識した。課題を書く前は必ずテキストを見直すようにした。初めの方の課題では、余計な言葉を省くこと、言葉の重複が指摘された。その指摘を受け次の課題に取り組むようにした。その結果当初よりも簡潔で伝わりやすい文章を書くことができるようになった。
一番高評価を頂けた課題は「最近もっとも気になること」である。この課題は私が苦しんでいた症状について書いた。当時、正直仕事をするのも厳しい状況であった。特攻薬があればと考えていたため、独自性のある文章に仕上げることができた。このことから文章を書く際はテーマを自分事と捉えて、具体性と独自性を表現することが重要だと感じた。
私の現在の業務の一つに広報誌の作成業務がある。その中で自ら原稿を書くことがある。また、各部署から集めた文章を修正することもある。その仕事をする際に、今回の研修での経験は大いに役に立つと考える。「基本の8か条」を守った読みやすい文章に仕上げるほか、論理と具体性を大切にした読者に伝わる文章を届けていきたい。
仮に今の業務を離れることになっても、文章を書くことはどの仕事でも発生する。メールのやり取りや会議の報告書も立派な文章である。読みやすい文章を書けるということは円滑に仕事を進めていく上で必要なスキルとなるだろう。この研修が終わっても「文章の極意」を意識して仕事に取り組みたい。
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◉自分はどうあるべきかを考えた テキスト「文章の極意」を繰り返し読んだ3か月であった。「文は人なり」とは博物学者ビュフォン(仏)の言葉だ。文章は本来、書き手の人格や人生観に由来する。人物の優劣は容易に決められるものではなく、したがって文章にも基本的に優劣はない。ゆえに文章に正解はないという根本認識は、文章を書くことは、ただ静かに自らに向き合うことに他ならない。
基本8か条は達意平明の技術である。なかでも、一文を短く、主語と述語をなるべく近く、句読点と段落わけを適切にという3つのルールは基本中の基本だ。これに留意すれば、各段に簡潔になり伝わりやすくなり、その結果、余計な修飾が省かれ、考え自体もまとまりやすくなる。論文、ビジネス文書などで、事象や自分の考えを正確に相手に伝える技術として日頃より意識したい。
そのうえで、文章の究極的価値とは独自性である。その源泉は筆者の個性であり、固有の性格や経験に基づくもの。自分を見つめ、自分の経験を自分なりに意義付けることが重要だ。世の中を冷静に見つめるなかで、自分はどうあるべきか、何をすべきかを考えることを心掛けたい。
私の所属する組織は、設立半世紀を経て、高度なマーケティング機能が求められている。高度成長期には、質よりも量が重視されて商品をいかに安く安定的に届けるかが求められた。90年代以降、科学技術の進歩と、経済のグローバル化が進行するなか、多様な価値観とともに豊かな生活が広がった。合理性や効率だけではない、環境や健康などに配慮した経済や企業活動が重視される時代になった。
今後ますます、我々への期待は高まるだろう。それらの声を聴き、適切に意思疎通を図り、多様なニーズに応える商品を提供することが求められる。併せて、消費者の理解に努めることも重要だ。この研修で学んだことを生かし、生産者と消費者の架け橋となる活動に取り組みたい。
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◉読み手、簡潔さ、思考の整理を学ぶ 文章塾講座を受講して最も強く感じたのは、自分の文章に言葉の重複が多いということである。これまで、強調したいあまり同じ意味の言葉を繰り返す傾向があった。しかし、指摘を受け、不要な言葉を削り、簡潔のまとめる重要性を理解した。結果として、文章の読みやすさが向上した。
学んだことは3点ある。第1に、読み手を意識することだ。自分の言いたいことを並べるだけでは伝わらない。相手が理解しやすい構成と表現を選ぶ必要がある。第2に、簡潔さである。余計な言葉を省き、要点を明確にすることで、文章はより力を持つ。第3に、書くことで考えが整理されるという点だ。毎週異なるテーマに取り組むことで、自分の経験や意見を言語化する力が鍛えられた。
今後は、研修で得た力を広報業務に生かす。リリースやウィークリー記事は、限られたスペースで必要な情報を正確に伝えることが求められる。冗長な表現や曖昧な言葉は、読み手の理解を妨げるだけでなく、組織の信頼性にも影響する。今回の研修で身に着けた「簡潔でわかりやすい文章を書く力」は、広報業務において不可欠な要素である。特に、情報を整理し、要点を絞り込む習慣は、業務の質を高めると確信している。
また、文章を書くことを単なる作業ではなく、情報を整理し、価値を届ける手段として捉えるようになった。広報は単に事実を伝えるだけでなく、読み手に理解と納得を与える役割を担う。そのため、今回学んだ「重複を避け、簡潔に書く」という姿勢を徹底し、質の高いコミュニケーションを実現したい。
今回の研修は、文章力だけでなく、伝える姿勢を見直す契機となった。この学びを継続し、広報業務に反映させることが今後の課題である。
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◉時間配分のスキルを学ぶ 今回の研修は、文章作成スキルの習得はもちろん、何より生活や時間のマネジメント経験を得られたことが大きな収穫となった。
この研修中は文章作成だけでなく、課題のある一週間は知らず知らずのうちに頭の中で構想やネタ探しにも時間を費やしていた。また、課題に対して自己の内面とじっくりと向き合い、毎回の添削を通して表現方法を少しずつ矯正する必要があった。つまりとても時間を要する研修だったのである。またこの間、私はオンオフともに忙しく、加えて資格勉強も行なっていたため、時間をとても必要としていた。
例えば社会人の資格勉強では学生の受験勉強とは異なり、まとまった時間を取ることが難しい。ビジネス書では、早朝に勉強することの有効性をよく目にする。効率的でない仕事終わりや休日をフルに使う勉強方法は社会人にとっては現実的でない。つまり、捻出が難しい中での時間の使い方が大切になってくる。
様々なタスクを抱えていた私には、時間捻出のため、上手い時間の使い方が絶対的に必要だったのである。例えば、平日の通勤時間の長い私はそれを逆手にとって資格勉強や研修のネタ探しなどに使っていた。また、休日は時間を定め、集中して勉強をするなど休むこともしっかりと行なった。そして、運動を差し込むことで適度なリフレッシュもするなど、メリハリをつけて生活と時間マネジメントを工夫して行っていた。その結果、仕事、プライベート、資格試験は課題が多いながらも満足して終えることができた。
今私はしたいことが数多くある。中でも長年取得を希望しているが、躊躇している資格がある。セカンドキャリアのための資格なのだが、今回の経験は働きながら取得する自信となった。そして、セカンドキャリアへのチャレンジ意欲がとても高まった。つまり、今回の研修は私にとってセカンドキャリアへの弾みがつく、今後の自身を大きく変えるきっかけとなったと言える。
