12月18日から29日の教養講座は「戦後知識人の肖像」

2023.12.17 お知らせ

粕谷一希さんは、中央公論の編集長を務め、「東京人」を創刊した人です。現実主義の評論で知られ、日本経済新聞に1977年9月から3年4か月間、「戦後思潮--主題と主役」を連載していました。その評論をまとめた本から「戦後知識人の肖像」として10人を紹介します。教養講座は1週間単位が基本ですが、今回は29日まで2週間、計10回続けます。

戦後はその言葉通り、戦争が終わって始まりました。米国を中心とした連合国の占領軍が民主主義を根付かせようと新しく憲法をつくりました。知識人たちは戦前の軍国主義を厳しく糾弾・総括しました。ソ連が健在で中華人民共和国が成立したので、マルクス主義が大きな影響を持ち、厳然たる左翼勢力が存在しました。保守派は、穏健な改革を標榜する現実派、戦前を全否定するのは誤りだとする右派などがありました。

今思えば、各勢力の言論活動は激しく真剣で、敗戦から立ち直り、国際的な地位を確保したい国民も少なからず関心を持っていました。粕谷さんは、政治、経済から文学まで幅広い知識人を取り上げています。それぞれの主張や人物について、歴史の流れに位置づけながら独特の筆致で縦横につづっています。戦後とはどんな時代だったのでしょうか、これから日本人は何を論じ、どこに向かえばいいのでしょうか。手がかりを探します。

粕谷一希さん(1930~2014)