20日からの教養講座は「森鴎外の知恵袋」

2023.02.17

森鴎外は、明治を代表する知識人、文豪です。医者として陸軍軍医総監まで昇進しました。スーパーマンのような人で、精神の高さと厳しさで知られていますが、「森鴎外の『知恵袋』」(講談社学術文庫、小堀桂一郎現代語訳)という本もあります。

処世訓をまとめたような本で、「鴎外がそんな俗物的なことを書いたんだ」と思わせます。ややこしいのですが、これには少し説明が必要です。

本に収録された内容は、日清戦争と日露戦争の間の1898年から1901年に「時事新報」などに掲載されました。クニッゲというドイツの著述家が1788年に書いた「交際法」という本を鴎外が訳したものです。

ところが、忠実に訳したわけではなく、江戸時代の逸話など鴎外の知見もちりばめられています。どれが鴎外の考えなのか、と気になりますが、細かな詮索をしてもあまり意味はないでしょう。本に書かれた知恵を紹介していきます。