6日からの教養講座は「日本と中国」

2023.03.03

「台湾有事」が公然と語られています。中国が台湾統一を目指して武力侵攻し、米国が応戦、日本も参戦する、だから日本は防衛力増強が必要だ――物騒な時代になったものです。しかし、今の日本人は中国や日中の交流史をどこまで知っているでしょうか。

日中が武力で争ったのは、過去4回。白村江の戦い(663年)、元寇(13世紀後半)、日清戦争(1894~95年)、満州事変から日中戦争(1931~45)です。戦いの実相を見ていくと、第三国がからんでおり、漢民族が単独で戦いを仕掛けたことはない歴史がわかります。

日本にとって中国は長く畏敬や憧憬の対象で、対立はごく一部です。日清戦争に勝って侮蔑の対象となり、日中戦争に至ります。中国はアヘン戦争の敗北(1842年)で欧米列強の進出を許し、長い低迷に陥ります。中国にとっては暗黒時代がやっと終わった心境でしょうか。

隣国同士はどこも難しい問題を抱えています。GDP世界2位の中国との付き合いは、イデオロギーで「媚中派」「嫌中派」とレッテルを貼り合っていれば済む時代ではないでしょう。「日本にとって中国とは何か」(講談社学術文庫)を参考に日中交流の歴史を振り返り、未来を考えます。

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