リンゴと丘浅次郎
2022.12.21コラム
長谷川キャリア文章塾は、リンゴを一つのシンボルとしている。HPやテキスト「文章の極意」、チラシ、私の名刺に使っている。なぜか?
「丘浅次郎」(おか・あさじろう)という名前を知っているだろうか。20世紀初頭、ダーウィンの進化論を広く日本に紹介した生物学者である。「種の生存競争は、有利な資質を持った種が勝つ。その資質が合理性を超えて進化し、奇形化すると環境の変化に適応できず、滅びる。人類も例外ではない」と説いた。
丘が亡くなったのは1944年。翌年に広島と長崎に投下された原爆が、人類の資質の奇形化と指摘されている。核兵器と原発。そう、核は自然界で分解・循環せず、人類の存続に関わる。
「1日1個のリンゴは、医者を遠ざける」と英国ウェールズのことわざにあるように、リンゴが健康にいいことはよく知られている。私も週に1~2回、リンゴを食べていたが、丘が毎日1個食べていたことを知り、毎日食べるようにした。丘は私の出身地(静岡県磐田市)で生まれた偉人。単純と言えば単純だが、ここ10年の習慣としている。幸い、健康でいる。
丘の主張は、斬新、本質的で、戦前は著名だった。近代日本思想体系(筑摩書房、1974年刊)では唯一の自然科学者として取り上げられたが、今はあまり顧みられない。
ビートルズのレコード会社はアップル・レコード、アイフォンはアップル社、英語圏で最初に書き方を覚える単語は「A」で始まるアップル……… リンゴにまつわる話は、いろいろある。ニュートンの万有引力の発見にも関わっている。
「人間を考えるヒント 丘浅次郎の知恵」(羽衣出版、2020年刊)という本を書いた。丘の言説はまさに「目から鱗」。「健康に最も悪いことは将来への不安」とも言っている。HPやメルマガで今後も紹介していきたい。