「SDGs」は児童書に学べ
2023.02.04コラム
毎朝メルマガの教養講座は、「SDGs」を定期的に取り上げる予定だ。1月に「ジェンダー平等を実現しよう」を紹介したが、2月6日から「貧困をなくそう」を取り上げる。
「SDGs」について書かれた本をずいぶん探した。残念ながら、大人向けの本はしっくりこなかった。どうしてか。一つは、国連の決定過程に焦点があたり、政治色や行政色が強くてぴんと来ない。あまりに理想的な記述が多いようにも感じた。
図書館に児童書があったので、読んでみた。目標を達成しないと、私たちが困るというスタンスで作られている。かんで含めるように書いてあるので、心に響いてくる。途上国を中心とした写真があり、文章は簡潔にわかりやすく書かれている。
「SDGs」は国連が時間をかけてまとめた。世界の英知を集めているので、説得力があり、普遍性もある。「日本以外ではSDGsはそれほど話題にならない」と言われるが、関心が高いことは誇っていいのではないか。
確かに理想的な内容も少なくない。しかし、世界の分断が進む今だからこそ、理想を大切にすべきではないか。「現実はそんなに甘くない」という意見もあるだろう。だからと言って、現実に屈服していては、世界は悪くなるだけだろう。
2月2日の朝日新聞「沖縄季評」で、山本章子琉球大准教授が「へいわってすてきだね」(ブロンズ新社)という児童書について書いている。「戦略家気取りの東京の政治家と官僚にこそ、この絵本を読んで欲しい」と結んでいた。児童書は大人にとっても意外な力がある。