2月13~17日(教養講座:出口治明の教養論)

2023.02.18メルマガ

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*** 「デイ・ウオッチ」(10~12日)

「日銀総裁に植田元東大教授、初の学者出身」  日銀総裁に植田和男氏 元審議委員の経済学者―副総裁は氷見野、内田両氏・岸田首相方針:時事ドットコム (jiji.com) →注目された日銀新総裁に植田和男氏が固まった。元東大教授で、日銀審議委員も務めた。静岡県牧之原市出身。副総裁には官僚と日銀出身者を配した手堅い布陣。当面は緩和継続の見通しだが、修正の時期と方法が注目点。

◎「トルコ・シリア地震の死者2.8万人」  治安悪化が進行か 死者2.8万人、152時間ぶり救出も―トルコ大地震:時事ドットコム (jiji.com) →被害はどんどん拡大している。各国救援隊が現地入りしているが、治安悪化も伝えられる。トルコ政府は建物建設にからんで建設業者らを逮捕し始めている。もともと建物の耐震性への関心が弱かった地域という。

◎「未確認物体を米軍機が撃墜」 カナダ領空に未確認物体 緊急発進の米軍機が撃墜―北米上空で今月3例目:時事ドットコム (jiji.com) →中国の気球から始まった騒動は大きくなっている。アラスカ沖などに続いて、カナダ領空でも未確認物体が発見され、撃墜は3例目。真相が判明するにつれて、米中がどう出るか。対応が米中対立の将来も占う。

*** きょうの教養(出口治明の教養論①教養とは)

今週はズバリ、教養について考えます。テキストは「人生を面白くする 本物の教養」。著者はライフネット生命創業者の出口治明さんで、立命館アジア太平洋大学長も務めています。まずは「教養とは何か」からスタートしましょう。  

シャネル創業者は「私のような無知な女でも道端に咲く花の名前を一日ひとつ覚えることはできる。一つ知れば謎が解けたことになる。その分、人生と世界は単純になる。だからこそ人生は楽しく、生きることは素晴らしい」と言っている。素晴らしい言葉だ。教養とは生き方の問題、人生を面白くするツールである。知識は手段、教養は目的だ。サッカーを知っていることは知識、その知識でサッカーワールドカップを楽しむことが教養となる。

「自分の頭で考えること」も教養の本質だ。バロメーターは「腑に落ちる」という感覚にある。腑に落ちることが本気を呼び起こす。社会の問題について意見を決められないことがあるが、それは「考え不足」が原因。本気で正面から問題に向き合っていないからだ。日本人は教養不足と言えるが、勉強不足、考えることを手抜きしているからだ。キャッチアップ型社会のように「考えない」ままでは、立ち行かない。私たちは教養人であることを求められている。

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*** 「デイ・ウオッチ」(13日)

◎「中国でも謎の飛行物体/中国、米気球を過去に撃墜」 「飛行物体の撃墜準備」 一部メディアが報道―中国:時事ドットコム (jiji.com)  米気球、十数回飛来と主張 中国外務省:時事ドットコム (jiji.com)→中国が飛行物体の撃墜準備を進めているという。中国は米気球が過去に不法侵入しているとも主張。米中の応酬は日ごとに激しくなっており、しばらく目が離せない。

◎「原発60年運転、規制委が多数決で決める」 原発60年超運転、規制委が制度了承 委員1人反対のまま: 日本経済新聞 (nikkei.com) →多方面から批判が強かったが、4対1で了承した。全員一致が通例だったが、「安全の方向に向いていない」という石渡委員の反対を押し切った。規制委は国民の信頼が生命線だが、将来に禍根を残す可能性がある。

◎「河野消費者相、電力会社に値上げでヒアリング」 河野 消費者相 – Bing News →4電力会社に値上げの理由などを聞き、カルテルなど最近の不祥事に苦言を呈した。認可するのは経産相だが、その前に消費者担当大臣と協議することになっている。電力料金は物価高の象徴になっており、政府が値上げ申請をどこまで抑えるかが焦点。

*** きょうの教養 (教養論②選挙と民主主義)

「選挙と民主主義」=一般論だが、人は貧しい時に勉強する。ハングリー精神が期待できない時、重要な役割を担うのは教育だ。教育は「考える力」と「生きた実践的な知識」を教えるべきだ。「選挙と民主主義」は生活に直結する。

北欧では「有力候補を支持するなら方法が三つある。その人に投票する、白票、棄権だ。支持しないなら別の人に投票するしかない」と教えている。日本では「白票や棄権もノーの意思表示」という人がいるが、違う。有力候補への投票と同じだ。

英国のチャーチルは「選挙とは、ろくでもない人の中から、現時点で税金を上手に分配できそうな人を選び続ける忍耐だ」と言った。政治家や民主主義に過度な期待を抱いてはいけない。いい政府をつくるには相当な忍耐がいるし、安易に政府や政治家を信じてはいけない、と訴えている。

民主主義は決してベストではなく、ベターがせいぜいと認識しておく必要がある。いつワーストになるかもしれない。民主主義も厳しい目で見ないといけない。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年2月15日号(転送禁止)~~~

*** 「デイ・ウオッチ」(14日)

「政府、植田日銀総裁案を国会に提示」 日銀人事、岸田首相「二兎」追う 安倍派理解と出口戦略―学者起用、1月中旬浮上:時事ドットコム (jiji.com) →時事が植田氏に決まる内幕を報じている。日経新聞が打診されたと報じた雨宮・日銀副総裁が昨秋に固辞し、「学者がいい」と進言。自民党幹部は「黒田総裁が植田氏を提案したようだ」と書いている。

◎「ロシア軍、大攻勢を開始か」  ロシア軍が「大攻勢」開始か 戦果急ぐ、ウクライナ正念場:時事ドットコム (jiji.com) →24日の侵攻1周年を前に緊張が高まっている。21日にはプーチン大統領が一般教書を発表する予定で、戦果を急いでいるという見方もある。一方、ロシア軍が1週間で戦車など装甲車両130両を失う損害を受けたという報道もある。

◎「学術会議の歴代会長が政府方針を批判」 「科学者をひとまとめ」は間違い 日本学術会議の歴代会長が批判(共同通信) – Yahoo!ニュース →政権と学術会議の対立が続いている。学問の独立と政策への貢献のどちらが優先されるべきか、どちらが社会全体にプラスなのか。戦前の異論封じ込めは、学者への攻撃から始まったことから、研究者の間では警戒感が強い。

*** きょうの教養 (教養論③お金)

「お金」=現代社会を行く抜く上で、「お金」は否応なく付き合わざるを得ない。生きた知識を教えておく必要がある。

最低でも学校で「財産三分法」を教えるべきだ。毎月の収入のうち、生活費を確保し、なくなっても困らない金を投資にあて、残りは預貯金にあてる。預貯金は金利目当てではなく、すぐに換金できるからだ。海外では年収の半年分以上を預貯金に置いておくのが普通だ。投資金額を限定していれば、誘い文句に乗って必要以上にリスクの高い商品に手を出すこともない。

「公的年金は破綻するから私的年金を」というセールスも聞くが、国は国債を出せる限り、破綻しない。国の信用度は金融機関よりも高い。年金問題の根っこには、「小負担・中給付」という日本の現状がある。税と社会保障の関係だが、これは持続可能ではない。

基本は、負担を上げるか、給付を下げるかしか選択はない。どのモデルを選択するのか。政治もメディアも国民も、本質的に考えなければならない。

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*** 「デイ・ウオッチ」(15日)

「春闘で自動車労組が高めの賃上げ要求」  自動車大手労組、月額1万円超の賃上げ要求相次ぐ…春闘本格化(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース →近年になく注目されている春闘で 、自動車労組は物価高を背景に月1万円を超す賃上げ要求を出している。先進国で日本の賃金の低さは際立つ。これまでの労使の怠慢をどこまで挽回できるか。

◎「石破元幹事長が予算委で安保の持論」  石破元幹事長、10年ぶり予算委質問 30分間のうち25分持論展開 [自民]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →「台湾有事は日本有事という思考を簡単にすべきではない」「自衛官が国会で証言・答弁するのが正しい文民統制」と主張。国民が待っていた議論だが、石破氏が一方的に持論を述べ、首相答弁は1回のみ。論戦は深まらなかった。

◎「米共和党ヘイリー氏が大統領選に出馬表明」 ヘイリー氏、トランプ氏に挑戦 24年米大統領選出馬を表明:時事ドットコム (jiji.com) →前サウスカロライナ州知事で、トランプ政権時代は国連大使を務めた女性。両親はインド移民で、世代交代を訴えている。共和党ではトランプ氏からの攻撃を警戒して早期表明に慎重な空気があり、同党ではトランプ氏に続いて2人目の表明となる。

*** きょうの教養 (教養論④少子化)

「少子化問題が日本の最優先課題」=社会保障にせよ、消費税にせよ、経済や財政にせよ、日本の諸問題の根本は、人口問題に帰結する。人口は国の力の源泉。少子化こそ日本の未来を決定づける大問題だ。

人口を維持するには出生率を2以上にする必要がある。フランスやスウェーデンなどは2以上に回復することに成功している。これら各国は、GDP3%以上の予算を投入している。日本の3倍だ。

フランスは次の3原則を打ち出した。①子どもを産んでも経済的に困らない措置②子どもをつくった働く女性が困らない措置③子育てで3年休職しても元の役職に戻れることを保障。出生率は10年で1.6程度から2を超えた。事実婚も早くから認めている。

日本は夫婦別姓も進まない。「日本の伝統を壊すから」という反対論もあるが、夫婦同姓は明治以後で120年の歴史しかない。「子どもは社会の宝」と考え、一貫性のある対策を打つ必要がある。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年2月17日号(転送禁止)~~~

*** 「デイ・ウオッチ」(16日)

「新型コロナの名称変更へ」  新型コロナの名称変更検討 「コロナ2019」など候補―厚労省:時事ドットコム (jiji.com) →5月に5類へ移行することに伴って、「新型コロナウイルス」の名称を変える。「新型」を取って、「コロナ2019」が有力。マスクなし、インフルエンザ並みなどやっと3年前への回帰が進む。

◎「世界銀行総裁が辞任、気候変動問題が引き金か」 マルパス世銀総裁が辞任へ 気候変動問題で批判も:時事ドットコム (jiji.com) →任期は2024年までだが、6月末までに退任する。昨年9月、「化石燃料が地球温暖化を進めていると思うか」と民間イベントで問われ、「分からない」と答えて批判されていた。脱炭素へのあいまいな姿勢で国際機関トップが辞める時代になったようだ。

◎「ロッテリア売却、名前はどうなる」 「ロッテリア」を売却へ ロッテがゼンショーに 屋号どうなる?:朝日新聞デジタル (asahi.com) →ロッテリアは1972年、東京・日本橋に1号店をオープン、国内に358店ある。売却先のゼンショーHDは「すき家」、「はま寿司」、「ココス」を手がけるが、2009年に「ウェンディーズ」との契約が終了した後はハンバーガー店がなかった。

*** きょうの教養 (教養論⑤時事問題)

「時事問題は動機と本音で読み解け」=世界のリーダーは一人ひとり、社会に対する自分の見解を持っている。個人がしっかりした見解を持つことで民主主義が機能する。日本は「みんなと一緒」を求めたがる。みんなが同じ考えということは、そもそもありえない。仮にそうなら、民主主義にとって、危険なことだ。

時事問題は表面的な枝葉に目を奪われず、幹や森を本質的にとらえるように努めたい。着眼点の第一は「動機」だ。問題は何が動機で起こっているのか。「原因」と言ってもいい。動機や結果でだれが得をするのかを考える癖をつけたい。

第二は「本音と建前」の見極めだ。何事であれ大義名分が必要で、表に出てくるのは建前ばかりだ。その裏には必ず本音が潜んでいる。「本音のところで、どういう動機なのか」という見方をすれば、読み間違えることは少ない。