4月10~14日(教養講座:禅語)

2023.04.14メルマガ

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年4月10日号(転送禁止)~~~

*** 「デイ・ウオッチ」(7~9日)

維新、大阪府市・奈良制す 北海道と大分は与党系―徳島知事に後藤田氏・統一選:時事ドットコム (jiji.com)  41道府県議選、女性の当選者が最多に 定数の12.7% 朝日集計 [統一地方選挙2023]:朝日新聞デジタル (asahi.com)→多くは事前の予想通り、出口調査で大差をつけて早々と当選が決定。関西で維新の躍進が目立った。人口減で危機感は高いが、投票率は低迷し盛り上がりはいま一つ。

手掛かりなく、募る焦り 通報の「人影」発見できず―発生から3日・陸自ヘリ事故:時事ドットコム (jiji.com) →自衛隊ヘリ墜落事故で、隊員の発見と原因の解明が遅れている。行方不明10人の多さを筆頭に異例の事故だ。

自転車ヘルメット、品薄に 帽子型が人気―努力義務化で:時事ドットコム (jiji.com) →3年前のマスクを思い出す。当時は突然の新型コロナウイルスでやむを得ない面もあったが、今回は事前のPRが足りなかったようだ。努力義務なので、どこまで定着するかわからないが、かなり浸透しそうな予感だ。

*** 「社会人キーワード」

 今週も「ビジネスを変えた10人」を特集する。

◎サム・ウォルトン(1918~1992)   ウォルマートの創業者。1945年の除隊後、アーカンソー州に初めての店を持ち、15年後には3つの州で9店を経営した。1960年代初め、ディスカウント店の成功を知り、62年に弟とウォルマートを創業。当時の小売業の常識の逆を行き、地方都市で大型店を出店した。当初は米南部と中西部のみだったが、安い価格設定に加え、棚の補充を欠かさず、低価格の供給業者から仕入れ、長時間営業する手法を徹底。その後は、大型チェーン店や百貨店が多かった北東部にも進出し、卸業者を排除して製造業者と直接取引した。1980年代に全国展開に踏み切り、全米最大の小売業になった。世界一の富豪になり、奨学金など慈善事業にも積極的だった。オクラホマで農場を営む一般家庭に生まれ、ミズーリ大学経済学部を卒業した。銃愛好家としても知られ、店舗の半数近くで銃器を販売した。死後、銃規制の声が高まり、店で銃使用の犯罪が相次ぐと、拳銃などの販売中止を発表した。

*** きょうの教養 (禅語①一期一会)

今週は「禅語」を紹介する。禅の深い教えを短い語句にしたものだ。参考文献は有馬頼底著「茶席の禅語」。有馬さんは「禅語は難しく考えるときりがないが、人生を生きる指針として暮らしに役立てて欲しい」という。今回は四字の禅語を取り上げる。

▼一期一会(いちごいちえ) 禅語の中ではよく聞く言葉だ。「一期」は、人が生まれてから死ぬまでをいう。人は生まれ、老いて、死ぬ。また生まれ変わって生老病死を繰り返すことを輪廻という。「一会」は、生まれてから死ぬまでにただ一度だけ会うことをいう。まさに「有難い」機会で、たった一度のチャンスを有効に使わなければ永久に失われる。

幕末に大名茶人だった井伊直弼は「茶湯一会集」という書物で次のように述べている。「お茶の会は一期一会で、同じ主客が何度会っても、きょうの会は繰り返さない。そう思うと、実に一生に一度きりのものである」。

一生に一度の会を悔いなく過ごしたい。またの日があると思ってはいけない。一生に一度だけの出会いと思えば、どれほどその時が大切か、かけがえのないものかがわかる。

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*** 「デイ・ウオッチ」(10日)

技能実習「廃止」提言へ 政府会議、外国人材確保に転換 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →問題の多かった制度がやっと変わる。国際貢献を建前に始まったが、賃金不払いや実習生の失踪などが相次いだ。出入国管理施設に収容中のスリランカ女性が死亡する出来事もあり、アジアの若者人材への対応で問題が多い。アジアで「頼りになる優しい国」こそ日本の生きる道だろう。

30道県で投票率が過去最低 地方議員選、関心低く―統一選:時事ドットコム (jiji.com) 衆院4補選、11日告示 首相解散戦略に影響も:時事ドットコム (jiji.com) →投票率の低下は深刻な問題だ。権威主義国家対抗するため、民主主義を立て直すという視点も必要だろう。選挙の焦点は23日投票の後半戦に。とりわけ国政選挙の補選は注目だ。

チャットGPT、議論活発化 CEO来日、岸田首相と意見交換:時事ドットコム (jiji.com) →チャットGPTは関心の高まりと同時に懸念の声も大きくなっている。アルトマン氏の訪日はセールスの意味合いも強い。技術そのものへの懸念より、データを独占するIT巨人への不信が大きい。元グーグル社員の意見は興味深い→ 「データと権限の集中」懸念 元グーグル社員、ChatGPT登場で:朝日新聞デジタル (asahi.com)

大規模金融緩和、「点検や検証あってもいい」 植田日銀新総裁が会見:朝日新聞デジタル (asahi.com) →学者総裁のスタート。黒田前総裁は政治家的はったり風の発言が目立った。植田総裁には率直で誠実な言動が期待されている。

*** 「社会人キーワード」

◎イーロン・マスク(1971~)   電気自動車テスラなどの創業者。カナダのクイーンズ大学、米国のプリンストン大学、スタンフォード大学で経済学、物理学を学ぶ。弟とネットのシティガイドを開発し、売却。1999年にオンライン金融サービスなどの会社を設立し、翌年ペイパルと合併。2003年に宇宙開発企業、04年に電気自動車のテスラに出資し、共同創業者になる。12年に4ドアセダンの「モデルX」を発表し、業績を伸ばしている。その他にも太陽光発電、垂直離着陸ができる超音速機、ツイッターなどの事業を手掛けている。父は技術者、母は栄養士で、南アフリカで生まれる。両親が離婚し、18歳の時にカナダから米国オンタリオ州に移住した。幼少期からロケットやコンピューターに関心があり、記憶力がよく、読書好きだった。一方、学校では激しいいじめを受け、父親も厳しかったため、読書を楽しむ内向的な生活を送り、それが幅広い関心を生んでいるという指摘もある。

*** きょうの教養 (禅語②行雲流水)

▼行雲流水(こううんりゅうすい) 雲は行き、水は流れる。雲は空を流れて滞ることなく、いずこともなく消えていく。水もどこから湧いてきて、最初のささやかなせせらぎから、大河に注ぎ、そして大海へと流れていく。そして蒸発し、雨となって降ってくる。瞬時としてとどまることなく、時々刻々、動いてやまない。

常に動きて留まることがないのが「行雲流水」の姿だ。それはとりもなおさず、自由であるということです。

禅の修行僧を「雲水」と呼ぶが、修行者は行く雲や流れる水のように、自由な境地であらねばならないことかきている。留まることは執着することになる。最終的に心の束縛を解き放つこと、それが自由人になることであり、仏になることだ。

何となくおおらかな気持ちになる言葉だ。何があっても「行雲流水」と唱えていれば、大自然の中に生かされている自分を感じ、わずらわしさや苦しいことが、小さなことに思えてくる。

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*** 「デイ・ウオッチ」(11日)

衆院4補選告示、与野党が対決 物価高・防衛費増争点―政権に中間評価・23日投開票:時事ドットコム (jiji.com) →統一地方選の後半戦は、5つの国政選挙補選が注目だ。与党が持っていた3議席が勝敗ラインとなる。岸田首相の支持率が回復傾向なので、野党側が結束し無党派層を取り込めるかが焦点になりそうだ。低迷する投票率も関心事だ。

米機密流出は「深刻」 豪軍トップが懸念:時事ドットコム (jiji.com) →米国の重要情報がまた流出した。しかし、どんな情報が、どんなルートで流出し、影響がどの程度かはっきりせず、事態の本質が判明するにはなお様子を見る必要がありそうだ。

日本人19人を逮捕 カンボジア拠点の特殊詐欺―警視庁:時事ドットコム (jiji.com) →「ルフィ」はフィリピンだが、今度はカンボジア拠点の犯罪集団。暴力団が主導し、お年寄りが被害者になる特殊詐欺は後を絶たない。

*** 「社会人キーワード」

◎ジェフ・ベゾス(1964~)   アマゾン創業者。高校時代にコンピューターの魅力に取りつかれ、プリンストン大学でもコンピューターサイエンスを専攻した。1986年にニューヨークの金融企業に就職し、銀行やヘッジファンドでも働いた。研究機関向けの利用が多かったインターネットにビジネスチャンスを見出し、シアトルに移って自宅ガレージでアマゾンを創業。通販カタログを研究し、書籍には完全なカタログがないことに気づき、書籍の通信販売事業を立ち上げた。クチコミ以外の宣伝をしていなかったが、全米はもちろん、世界各国から注文が入るようになった。書籍以外にも多角化し、CD、ビデオ、家電、衣料などを販売した。2013年には主要新聞のワシントン・ポストを買収。クラウドサービスも手掛けている。ニューメキシコ州のデンマーク移民の家庭に生まれた。両親が離婚したため、母とキューバ系移民の父とヒューストンやマイアミで暮らした。他の天才起業家と同様に激しい性格で、部下を厳しく叱責する。

*** きょうの教養 (禅語③照顧脚下)

▼照顧脚下(しょうこきゃっか) 禅寺の玄関などでこの文字を見る。足元に注意しなさい、履物を乱雑に脱いではいけませんよ、という意味だ。しかし、そういう表面的な意味だけでなく、人生においても、常に自分自身を振り返って、いままで自分の歩いてきた道は、本当にこれでよかったのか、自分の考えはまちがっていないか、もう一度原点に立ち返って反省しようということだ。

この言葉は昔、三光国師という人が「達磨大師はなぜインドから中国に来たのか」と問われた時に答えたという。質問は換言すれば「禅の究極の目的は何ですか」という趣旨だ。これに対して「大げさなことを考える前に自分の足元を見なさい。その方がよほど大事だ」という意味で答えた。

我々は大きなことを考えがちである。時にそれは重要だが、自分の足元がしっかりしているか考えることも忘れてはならない。最近では居酒屋などでも見かける。悪酔いして大言壮語し、転んでけがをしては元も子もない。

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*** 「デイ・ウオッチ」 (12日)

総人口12年連続減 日本人は過去最大幅―沖縄、初のマイナス・総務省:時事ドットコム (jiji.com) →人口減が激しさを増している。75万人減は過去最大、沖縄県が初めて前年比で減少した。過去の予想をはるかに上回るペースで進んでいる。

黄砂飛来 各地で空が霞む 13日(木)にかけても 見通し悪化の可能性(ウェザーマップ) – Yahoo!ニュース →黄砂襲来。13日も西日本や北日本で観測されそうだという。花粉症とのダブルパンチも。

〈動画公開〉「長い間、話せなかった…」元Jr.のカウアン・オカモト氏(26)が記者会見で語ったジャニー喜多川氏性加害と公開した被害現場マンション映像(文春オンライン) – Yahoo!ニュース →BBCや週刊文春が報じてきたジャニー喜多川氏の性加害で元ジャニーズメンバーが会見した。ジャニーズ事務所の情報管理の厳しさは有名で、日本ではほとんど報じられていない。イメージダウンには違いないが、人気ビジネスである以上、事実を認めたうえでコメントし、市民社会の理解を得る努力が必要だろう。

*** 「社会人キーワード」

◎ラリー・ペイジ(1973~)、サーゲイ・ブリン(1973~)   グーグルの創業者。スタンフォード大学博士課程でコンピューターサイエンスの研究論文を共同で執筆した縁で、インターネットの検索エンジンの開発に取り組んだ。最初は人気を基準に検索するシステムだった。1998年にグルーグルの名称でサービスを提供すると、使いやすさが人気を呼んで、企業と個人のネットの利用方法を一変させ、多くの広告がついた。2006年にユーチューブを買収し、08年にはスマホOSのアンドロイドをリリース。14年に量子コンピューターの開発を発表し、事業領域を拡大させた。15年に持ち株会社のアルファベットを設立した後、2人は19年に退任した。ペイジはミシガン州生まれで、両親ともにコンピューターサイエンスの大学教授。幼いころからコンピューターに親しみ、ミシガン州立大からスタンフォード大博士課程に進んだ。ブリンはモスクワの東欧ユダヤ系家庭に生まれ、6歳でアメリカに移住。メリーランド大を経てスタンフォード大でペイジと出会った。

*** きょうの教養 

▼上善若水(じょうぜんはみずのごとし) 老子の言葉。原文は「上善は水のごとし。水はよく万物を利して争わず、衆人の憎むところにおる、ゆえに道にちかし」となっている。老子は最上の善は水のようだという。

水はすべての命の源だ。それほど尊い存在だが、あまり感謝されない。しかも誰とも争うこともなく、高いところから低いところへ淡々と流れ、最後はみんなが嫌う場所にとどまっている。老子はこの水のありようが、まさに「道」と同じだと言っている。

「上善如水」という日本酒がある。新潟県の越後湯沢にある酒蔵が作っている。ホームページによると、理想とするのは「水」のような日本酒という。有数の雪国であり、冬のあいだに降り積もった雪は、やがて美しい雪どけ水となって日本酒の仕込み水となる。雪どけの水は、かろやかで、やわらかく、ほんのりと甘い。そんな豊かな水の表情を「上善如水」から感じて欲しいという。

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*** 「デイ・ウオッチ」(13日)

新型ICBMか、北朝鮮が発射 政府、Jアラート20分後訂正―「北海道陸地に落下」予測:時事ドットコム (jiji.com) →金日成元主席の誕生日を15日に控えたためか。「何を狙っているのか。どうにかならないのか」といらだちが募る。オオカミ少年にならないようにJアラートの混乱も検証が必要だ。個人的にはすべてのテレビ番組がJアラート画面に切り替わっていらだった。

「次の首相」河野氏トップ 小泉、石破氏が続く―時事世論調査:時事ドットコム (jiji.com) →世論調査ではいつもの顔ぶれが並ぶ。自民党の内と外で評価や人気が違うことが興味深い。安倍元首相の死去で、長老・森元首相の影響力が増しているという記事があった。相対的な強さで岸田長期政権の様相もある。

G20、世界経済の下振れ警戒 G7「金融安定へ行動」:時事ドットコム (jiji.com) →米国発の金融危機への懸念はなかなか消えない。ジャブジャブになった金融を引き締めれば、弱い部分でガン症状が出る。どこに転移しているか、していないのか、今は誰にもわからない。複雑に高度化した市場の恐さだ。G20は、ロシア・ウクライナをめぐる対立で共同声明の発表は5回連続でなかった。

流出元は銃愛好家の若者 通信アプリで機密文書共有―米紙:時事ドットコム (jiji.com) →全容はまだ不明だが、米軍基地に関係した地元の銃愛好家から流出したらしい。民主主義国らしいともいえるが、グループにはロシア人やウクライナ人もいるという。ニューヨークタイムズがまずスクープし、今回の記事はワシントンポストが報道した。特ダネ合戦になっている。

*** 「社会人キーワード」

◎リチャード・ブランソン(1950~)  航空会社などを経営するヴァージングループの創業者。ロック歌手らのインタビュー記事を載せる雑誌編集からスタート。中古レコードの通信販売を思いつき、有名アーティストと契約してレコード会社を起業。1984年には航空業界に進出し、飛行機1機をロンドンとニューヨーク間に就航させた。当時は大手が支配していたが、業界の風雲児として格安料金やエコノミークラスの内蔵テレビやマッサージ、背もたれが倒れるビジネスクラスといった斬新なサービスを導入し、世界主要都市を結んだ。その後はコーラ、ウオッカ、鉄道、保険、通信やネット、宇宙事業に多角化した。既存の慣習を破る事業展開とオーナーの個性で独自ブランドを確立した。ロンドン郊外の中流家庭で生まれた。読み書きに困難を抱えるディスレクシアに悩まされたが、幼少時からの型破りの個性で困難を克服し、カリスマ経営者となった。

*** きょうの教養 

▼啐啄同時(そったくどうじ) 鳥が卵からかえる時、ひな鳥は殻を破って出てくる。ひなが卵の内側からくちばしでコツコツとつつくことを「啐」という。一方、親鳥は、ひなが中から出ようとしているのを知って、外からコツコツとつつく。これを「啄」という。両側からのつつきあいで、殻が破れ、ひなが生まれてくる。タイミングがずれると、ひなは生まれてくることはできない。親と子が間髪を入れず、同時に殻をつつき合うタイミングを「啐啄同時」という。

師弟の間もこの関係が重要だ。両者の呼吸が合わなければ、よい教育はできない。弟子は師を信頼してぶつかっていく。師は弟子が何を求め、何を探しているかを見抜いて、求めているものを与える。お互いが同時にぶつかり合ってこそ大きな進歩がある。

師がだらだら説教をする必要はない。弟子が求めているものを理解すれば、一言二言いってやれば、弟子は即座にわかるはずだ。しかし、ある時は厳しく接し、弟子は「あっ」と気づく。たまには「このばか者」とどなり、ぶつかり合って切磋琢磨する。望ましい教育のあり方を示唆している。