6月19~23日(教養講座:コミュニケーション学入門)

2023.06.23メルマガ

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***デイ・ウオッチ(16~18日)

北海道のバス事故 5人の死亡確認 – Yahoo!ニュース →北海道の国道は信号も車も少なく快適だ。それが裏目に出て、スピードを出し過ぎていたのだろうか。トラックがはみ出したらしい。公共交通機関のバスでこれほどの惨事は珍しい。

「衝突」回避へ対話維持で一致 台湾問題でけん制も―5時間半にわたり議論・米中外相:時事ドットコム (jiji.com)→大切なことは対話をすること。習主席との会談の有無が焦点。第一次世界大戦は誰も戦争になると思っていなかったが、偶発的に始まった。当時は英国の覇権が揺らいでいた。米国の覇権が揺らぐ今は、第一次世界大戦前と似ているという人がいる。米中の偶発的衝突は核戦争につながる。

LGBT理解増進法が成立 議連案変容、歓迎乏しく:時事ドットコム (jiji.com) →賛成派からも反対派からの批判されるLGBT法案。先進国は同性婚を合法化する流れになっており、「日本の常識は世界の非常識」の状態。保守強硬派のイデオロギーで、日本の分断が深まっている。基本は人権問題であり、冷静に対話して歩み寄ることはできないのだろうか。

ダニエル・エルズバーグ氏死去 ベトナム戦争の機密告発―米:時事ドットコム (jiji.com) →「ペンタゴンペーパー」の提供者で、ジャーナリズムの世界では著名。当時のニクソン政権からは目の敵にされたが、米国民主主義を体現する良心でもあった。分断ばかりが目立つ今の米国とはかなり違う。

ジョンソン元首相が「再就職」 大衆紙コラムニストに―英:時事ドットコム (jiji.com) →ジョンソン元首相はもともと記者出身。高級紙「タイムズ」の記者になったが、学者の発言をでっちあげて解雇。保守系紙に移って激しい反EU、反黒人の差別的記事を書いた。ロンドン市長を経て首相になったが、かなり異色の人物。米国のトランプ氏といい、ジョンソン氏といい、日本人にはよくわからない。

*** 「社会人キーワード」

◎チャットボット  会話(チャット)とロボット(ボット)を組み合わせた言葉で、自動会話プログラムのこと。AIを用いて人間を会話できる。シンプルな例はスマホの音声アシスタント機能だが、今後は様々に進化することが予想される。複雑な命令の実行や人間との自然な対話だ。例えば、「特定の趣味の話にひたすら付き合ってくれる」「ずっと愚痴を聞き時々慰めてくれる」などがある。少子高齢化が進むが、独居老人の課題解決を期待する声もある。注目すべき点は、人間の会話というビッグデータを収集する機能だ。日常の会話を拾い上げてデータとして分析することができれば、新しいサービスも予想される。例えば、「最近おなかが出てきて」という会話がたびたびあれば、適切なサプリメントや運動、本をレコメンドすることができる。一方、プライバシーに筒抜けになることから、情報管理をしっかりした枠組みつくりも重要になる。

*** きょうの教養 (コミュニケーション学①定義と視点)

就活や社会人生活、グローバル化した社会で生きていくため、コミュニケーション能力の重要性が強調されている。人間社会の大半はコミュニケーションとも言える。何となくわかっても、実はよくわかっていない。やや複雑に感じるかもしれないが、「コミュニケーション学 その展望と視点」(末田清子、福田浩子著)を参考に考えてみる。

◎定義と視点 コミュニケーションの語源は、「共通項」という意味を持つラテン語だ。アメリカの人類学者ホールは「文化はコミュニケーションであり、コミュニケーションは文化である」と定義した。126の定義があるとした研究もある。

4つの視点がある。第1は、物理的にとらえ、機械が情報を伝達する効率に焦点をあてた「機械論的視点」。第2は、受け手が外からの刺激を選別して情報を取り入れるフィルターを重視した「心理学的視点」。第3は、当事者間にある言葉や行為というシンボルが、どう創造や意味付けされ、共有されるかに焦点を当てた「シンボリック相互作用論的視点」。第4が、コミュニケーション総体の仕組みや動きを考える「システム論的視点」。第3の視点がわかりやすく、一般的だ。

コミュニケーションは、シンボルを介し、人が意味付けをすることで行われる。国なら国旗や国歌、学校なら校章や制服である。人はシンボルを介してコミュニケーションをせずにはいられない。振り出しに戻すことはできず、再現もできず、そのプロセスが重要になる。

コミュニケーションは、3つのニーズのカテゴリーで行われる。「生存」「関係」「成長」である。ニーズの認識の違いで摩擦が生まれる。Aさんが職場や個人の悩みを打ち明ける。Bさんはそれぞれの解決策を答えるが、かみあわない。Aさんは「ただ聞いて欲しい」という関係ニーズから話しているが、Bさんは職場などでの生存ニーズから打ち手を考えている。人質事件が起きた時、人質の生存ニーズを重視して、金など犯人の物質的要求を重視した。しかし、犯人は認められたいという承認欲求を持っていた。関係ニーズからのアプローチが有効になる。

コミュニケーションは、調整不可能な法則に支配されていると言えるし、関係者が主体的に調整できるとも考えられている。

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***デイ・ウオッチ(19日)

関係安定化で一致 軍対話は再開見通せず―米長官、中国主席と会談:時事ドットコム (jiji.com) →習主席との会談が焦点だったが、実現した。日中国交回復交渉の時、田中角栄首相が毛沢東主席と最後に会談して交渉が成功した逸話を思い出す。関係改善はこれが第一歩。米中は無駄な争いをやめ、日本は積極的な役割を果たして欲しい。多くの国民の願いだろう。

強制不妊、国の報告書提出 被害の実態あらわに―最年少は9歳男女・旧優生保護法:時事ドットコム (jiji.com)  「調査不十分」「向き合って」 報告書提出で当事者ら―強制不妊:時事ドットコム (jiji.com)→負の歴史の詳細が明らかになった。最年少は9歳で、6割は本人の同意がない。多くの日本人が加担している。人々の意識の変化で、常識は変わる。今も横行する非常識があるだろう。

ヤマトと日本郵便が提携 メール便など配送一本化―「24年問題」:時事ドットコム (jiji.com) →人手不足で事業を譲渡する珍しいケース。物流業界ではこうした再編が進みそうだ。利用者も便利さばかり求めず、多少の我慢は必要だろう。

サントリー、飲料値上げ 「天然水」など48品、最大22%:時事ドットコム (jiji.com) →再び身近な商品の値上げ。追随する飲料メーカーも出そうだ。マクドナルドも都市部での値上げを発表した。値上げの夏か。

*** 「社会人キーワード」

◎フィンテック  ファイナンスとテクノロジーをかけ合わせた造語で、金融分野におけるIT活用を意味する。1990年代、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏は「銀行機能は必要だが、銀行は必要ではない」と発言していたが、いまは主に送金、決済、融資、資産運用の4分野のサービスがITで代替されている。送金は銀行振り込みが一般的だったが、アプリ上に銀行口座やクレジットカードを登録しておけば、安い手数料で簡単に送金できるようになった。決済はクレジットカードが主流で小規模店ではコスト高だったが、モバイル決済が普及し手軽になった。融資は独自のアルゴリズムで通販履歴などから審査できるようになり、安い金利で借りやすくなった。資産運用ではAIでリスクに応じて投資対象を決めやすくなった。会計管理や企業の財務管理などでもフィンテックを活用したサービスが拡大している。

*** きょうの教養 (コミュニケーション学②文化)

◎文化とコミュニケーション  文化の定義について、国際ビジネスと文化人類学に詳しいフェラーロ氏は「人々が社会の構成員として所有し、思考し、行動するすべてのこと」としている。主要な要素として、有形物、思考・価値・姿勢、行動パターンがある。言い換えれば、物質文化、精神文化、行動文化で、「文化はコミュニケーションの当事者が共有するシンボルであり、コミュニケーションによってシンボルが構築、再構築される」ということができる。

人間は「社会的アイデンティティ」を持っている。集団のメンバーであることが心情的にも価値的にも重要という認識である。「日本人」という自覚は、外国人に対した時に生まれる。また、アイデンティティは、社会的な面と個人的な面があり、社会が前面に出れば異文化コミュニケーション、個人が前面に出れば対人コミュニケーションになる。

共通の文化を持った人は共通のシンボルを持つ。シンボルとしては、言語があり、服などの非言語もある。人は別文化とのシンボルを絶えず調整している。他集団と競争関係にある時はシンボルを守ろうとし、協調的なら目立たないようにして境界を緩めようとする。

近年では異文化トレーニングの重要性が高まっている。本格的に取り組まれたのは、第二次大戦後、米国企業が世界に進出するためで、赴任先での業務や生活をスムーズにする狙いだった。日本では1970年代に始まった。目標は、考え方(認知)、感じ方(感情)、行動の変容で、個人が自分の文化の境界をどう乗り越えるかがポイントになる。接客業務などで日本人は謝りながらコミュニケーションを取ることに抵抗は少ないが、理解できない外国人もいる。

トレーニングの方法としては、体験型か講義型か、文化特定型か文化普遍型かという違いがある。また、問題解決型シュミレーションも導入されている。教育現場や企業研修での活用が中心になっており、大きな役割を担うのがファシリテーターだ。参加者が心理的安全性の高い環境で気づきを高めることを期待されている。

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***デイ・ウオッチ(20日)

障害者手帳でマイナ誤登録 静岡62件、全国の自治体が点検へ:時事ドットコム (jiji.com) マイナ「官邸が一元対応を」 自民・世耕氏:時事ドットコム (jiji.com) →マイナカードの不具合が止まらない。まだ出るだろう。与党からも批判が高まっている。保険証との一体化について、政権は先送りせずギリギリまで粘るだろう。岸田政権のアキレス腱になりつつあるが、きょう総点検本部の初会合をするという。

教員不足「悪化した」教育委員会の4割超…一部地域で「専門的指導が十分行えない懸念」(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース →先生受難の時代が続いている。人材が最大の資源である日本では、深刻な事態だ。いつも不思議に思うのは、事務量の多さだ。教育委員会や学校が無駄な業務を減らせばいいと思うが、減らせないという。人を増やせない以上、自らの知恵でカイゼンしないと。

日産元会長ゴーン被告、レバノンで日産と関係者らに10億ドル損賠提訴(Bloomberg) – Yahoo!ニュース →暗闘が続いている。

タイタニック号観光ツアーの潜水艇が不明 5人乗り 米カナダ当局が捜索 – 産経ニュース (sankei.com) →これは自己責任だろうか、何らかの賠償はあるのだろうか。ツアーを企画する側の欲望、観光に行く人の好奇心、どちらもスゴイというべきか。

*** 「社会人キーワード」

◎量子コンピューター  分子レベルの量子力学の原理を利用したコンピューター。現在使われているコンピューターは「ノイマン型」と呼ばれ、情報を1か0かという二進法で処理する。表せる組み合わせは一つで、逐次計算していく。量子コンピューターは情報を「1でもあり2でもある」という重ね合わせの原理によって並列で処理し、高速計算ができる。例えばセールスマンがどのルートを選べば最短で回れるかという「セールスマン巡回問題」は、取引先が増えるとスーパーコンピューターでも簡単には答えを出せない。暗号解読は巨大な素数を用いて解読に数万年単位の時間が必要になるようにしているが、量子コンピューターはこうした計算を瞬時にできる。応用例は、創薬、気候の予測、サプライチェーンの最適化などがある。弱点は、特定の課題解決にしか使えないことで、広く実用化されるには時間がかかるとみられる。

*** きょうの教養 (コミュニケーション学③言語Ⅰ)

◎言語Ⅰ  コミュニケーションの要素として、言語と非言語がある。言語の中では、音声(話し言葉)と非音声(書き言葉、手話)がある。新約聖書に「初めに言葉があった。言葉は神とともにあった。言葉は神であった」という記述があるように、言葉は人間生活で重要な意味を占めている。西洋の伝統では、言葉は神の言葉であり、論理(ロゴス)が中心だった。 

欧州では古代ギリシャから中世まで言語を学ぶことが教育の中心だった。中世の大学では文法学、修辞学、論理学が重視された。雄弁学、文献学もあり、19世紀以降、言語学が盛んになった。特徴は、文学や民俗学と切り離し、分析的に精密化したことだ。音声や意味、語用など研究し、その後、社会学や心理学などの要素も加わった。言語の特性として、超越性、恣意性、生産性、文化的伝承、非連続性、二重性が指摘される。

言語に関する考察は多い。19世紀のドイツの言語学者フンボルトは「言語は思考を形成していく器官である」といった。哲学者ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム論」とそれを踏まえた社会学者ハーバーマスの主張も影響を与えた。2人は言語の機能やコンテクスト、社会との関わりや相互作用に着目し、認識論から言語論に至る言語哲学を主導した。

言語を歴史的視点ではなく、ある一時点の構造を研究したソシュール、言語獲得の仕組みや脳との関係に注目したチョムスキーらが登場し、言語を科学的に研究するようになった。その後、言語能力とコミュニケーション能力の関係に注目し、機能面からの研究が進んだ。最近ではメディアの影響力増大を受けて、単なる識字ではなく、メディア・リテラシーにも関心が集まっている。一口にコミュニケーションというが、研究対象は広く多様だ。

世界には5000~6000の言語あると言われる。インド国内だけで1000以上という。日本のように一つの言語が通用する国は珍しく、1人が2つ以上の言語を使うのは珍しくない。多くは口語で、文字を持っている言語はごく少ない。言語学では話し言葉の研究が主流だ。もっとも使われているのは中国語の10億人以上で、英語、スペイン語、ヒンディー語と続き、日本語は9位だ。英語を母語とするのは4億人余りだが、60カ国を超える地域で第二原語とされ同じく4億人以上が使う。その意味で、英語は特殊言語と言える。

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***デイ・ウオッチ(21日)

関電、7月下旬にも再稼働 40年超原発の高浜1号機:時事ドットコム (jiji.com) →建設から49年の高浜1号機が来月再稼働する。2011年から停止しており、12年ぶりの稼働。安全を祈りたいが、稼働停止が長すぎ、設備も古いだけにスムーズに稼働できるか。浜岡で古い原発を見たが、初代の新幹線のような古さだった。

米大統領発言に中国猛反発 「習氏は独裁者」:時事ドットコム (jiji.com) →米中外相会談がやっと実現したのに冷や水を浴びせるようなバイデン大統領の発言。有権者へのリップサービスにしても、「もう少しうまくできないのかなあ」と思ってしまう。ささいな空中戦で終わればいいが。

10割請求、776件以上 マイナ保険証「運用停止を」―保険医連合会:時事ドットコム (jiji.com) マイナ総点検、秋までに完了 岸田首相「コロナ並み臨戦態勢」―本部初会合・政府:時事ドットコム (jiji.com) →マイナンバー問題はきょうも新しい動きがあった。健康保険証の相次ぐトラブルに関係団体は「運用停止」を求めた。当事者だけに重い提案だが、政府は秋までに総点検するという。綱引きは続く。

立民・小沢氏が議員グループ 「一清会」、約15人が参加:時事ドットコム (jiji.com) →日本維新の会の台頭で野党陣営は混とんとしている。かつて小沢一郎氏は政局の中心だったが、今はどうか。立憲・泉代表の足元も揺らいでいるだけに波紋に関心が集まる。「野党共闘」は錦の御旗だが、まとまりそうにない。自公連立が続けば、また与党勝利だ。

*** 「社会人キーワード」

◎スマート工場/インダストリー4.0  スマート工場は、IoTを活用し高度に行動に自動化された生産性の高い工場。決め手になるのはセンサーなどで取得したリアルタイムの情報。例えば、複数の顧客から注文が入れば、人間が指示をしなくても必要な生産が始まり、適宜変更・調整していく。利点はコストの低減や時間の短縮で、人件費が高い先進国では不可欠になっている。収集したビッグデータは品質改善や不良品の減少にも利用できる。「インドストリー4.0」はドイツで提唱された概念。蒸気機関、電力、コンピューターに主導された過去3回の産業革命に対して、製造業の高度化で一段上をゆく革命を意味し、製造業の競争力強化を狙っている。問題点としては企業間での情報収集がなかなか進まないことだ。ドイツと同様に製造業の強い日本でも取り組むべき課題になっている。

*** きょうの教養 (コミュニケーション学④言語Ⅱ)

◎言語Ⅱ  今回は言語をコミュニケーションの観点から特徴や機能をみていく。

言語コミュニケーションの特徴は4つある。第一は「デジタル」である。言語は分断でき、恣意的に操作できる。第二は「新しい社会的現実を創る」ことができる。言葉によって概念やイメージを創ることが可能だ。第三は「抽象的な思考」に重要な働きをする。例えば、犬を名前、種類、生物などいろいろな抽象度のレベルで語ることができる。第四は「内省的」である。言語を通じて他人とコミュニケーションをすることで自分と対話することができる。

次に言語と文化の相互作用を考えたい。「サピア・ウォーフ仮説」という考え方がある。アメリカ先住民の言語を観察した結果、「言語はその言語を話す人の思考に影響を与える」という仮説だ。これは、すべての文化は対等であり優劣はつけられないという文化相対主義を裏付けている。語彙も文化によって変わる。日本人は「ディナーは夕食」と教わったが、同じ英語圏でも英国の労働者階級や米国の農業地帯では「昼食」を指す。こうした例は多い。

言語では「コンテクスト」という考え方も重要だ。言語行動が起こっている環境や背景を重視する概念だ。コンテクストの分類方法として、あまり変えられないとする「静的」、当事者で変えられるとする「動的」の分け方がある。また、コンテクストを特定の場面でとらえる「状況」、社会的、政治的、歴史的背景も含めて考える「文化」で分ける尺度もある。

文化に関しては、ハイ・コンテクスト文化、ロー・コンテクスト文化に分けられる。文化的に共有している情報が多ければ、前者となる。日本のようなほぼ単一民族の国が代表的で、言語化して伝える情報は少なくなる。アラブ、ギリシャ、スペインなども同様で、以心伝心の社会だ。一方、多民族国家は共有している情報が少なく、後者になる。言語を通じた意思疎通が求められる。ドイツ語を話す地域のスイス、ドイツ、スカンジナビア諸国、アメリカなどが代表的だ。

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***デイ・ウオッチ(22日)

買収防衛策、異例の承認 旧村上系を採決から除外―コスモ株主総会:時事ドットコム (jiji.com) →「マジョリティ・オブ・マイノリティー」という買収防衛策は初めて聞いた。利害関係のある株主を議決から外すやり方だが、うるさい株主を除外することができる。旧村上ファンド系の主張には賛同しないが、だからといって排除はやり過ぎではないかという気もする。

姉妹公園協定を締結へ 広島平和公園とパールハーバー公園:時事ドットコム (jiji.com) →相互理解の象徴として大きな意味がある。ハワイのパールハーバーに行った時、沈没した戦艦アリゾナに向かう船で米国人と同席し、違和感のような居心地の悪さを感じた記憶がある。米国人が広島に来れば似たような感情を持つのだろうが、それこそ乗り越えるべき何かなのだろう。

AI成果物の提出は不正行為 児童生徒「議論に活用」も―文科省指針案:時事ドットコム (jiji.com) →生成AIの使用について、教育現場の悩みは小さくない。13歳未満は禁止されているというから、中高校で悩ましい。ゆっくり柔軟に考えるしかないのだろう。

潜水艇の一部発見 乗員全員死亡か – Yahoo!ニュース →潜水艇は破壊されていたという。金属疲労の見方も出ている。悲劇だが、もともとリスクがあった。

*** 「社会人キーワード」 (今週でいったん終了します。来週からは「きょうの名言」です)

◎ジョブ理論  「ジョブ」は、ある人が成し遂げたい事柄。ジョブ理論は、人々が自分のジョブを達成すために製品やサービスを消費する流れを重視する理論。ジョブ理論では、ジムに行く人は「体重を一定レベルまで下げる」というジョブを片付けるためにサービスを利用していると考える。重要なポイントは、消費者が特定の製品・サービスを利用した理由に徹底的にこだわることだ。運動や食事を減らすのではなく、「お金を払うことでモチベーションを維持し、トレーナーがつくので素人療法にならない」と因果関係を重視する。因果関係より相関関係を重視する最近のレコメンデーションに対するアンチテーゼとも言える。顧客のジョブを深く理解して製品・サービスを提供しようというアプローチは、当たり前のようでいてざん新とも言える。

*** きょうの教養 (コミュニケーション学⑤非言語)

◎非言語  非言語メッセージも言語同様、音声と非音声に分けられる。前者は声色や声の性質。後者は、外見、身体接触、動作、におい・嗅覚、空間(対人距離)、時間に分けられる。それぞれの特徴は後述するが、人間のコミュニケーションの93%は非言語に頼っているという研究結果もある。非言語は無意識で、観察を通じて経験的に学び、文化的に不偏性と固有性があることが特徴だ。また、言語メッセージを代用、補強、調整するなどの機能がある。文化性では話す時に距離をどの程度をとるかといった差がある。

まず音声メッセージの特徴をみたい。声の高さ、強さ、リズムなどの違いがある。意味の理解を促す、感情を出す、年齢や性別などの属性を出す機能がある。公の場でのスピーチや私的な会話など場面ごとに変化する。社会的階級による違いもある。当事者は自然と調整している。

次に非音声の特徴を考える。「外見」は体つき、髪や肌の色に加え、アクセサリーもある。制服なら職業を特定できる。魅力の要因にもなる。「身体接触」はいろいろな役割がある。まず母親が赤ちゃんをしっかり抱くような基本的な生活ニーズの充足がある。相手に対する親しみや愛情を示すこともある。

「動作」は、顔の表情、ジェスチャー、姿勢、アイコンタクトなどだ。70万通りあり、表情だけで25万通りもあるという。ジェスチャーは地域で共通するものも多いが、首を横に振る動作は日本では「ノー」だが、インドなどでは「イエス」と分かれる。アイコンタクトは視線接触学ともいわれ、「相手から情報を得る」という特別な機能もある。

「におい・嗅覚」は五感の中でももっとも原初的と言われ、意識の底に眠っている記憶も呼び覚ます。においは対人魅力につながり、悪習を消すデオドラントの効果もある。「空間」は近接学ともいわれる。対人距離は親密性を表すが、国によって差がある。欧州では北部は離れ、南部は近づく。南米やアラブも近いが、インドはカースト制があり離れる傾向にある。オフィスの部屋や机の配置、会議の際の位置などでも特徴が表れる。「時間」は概念や管理の仕方で違いが出る。過去・現在・未来のどこを志向するかでも分かれる。イランやインドは過去志向、日本企業は長期、米国企業は短期志向と言われる。