7月3~7日(教養講座:メディア活用法)

2023.07.08メルマガ

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年7月3日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウオッチ(30~2日)

総点検完了、秋以降の可能性も マイナ情報の誤登録―河野デジタル相:時事ドットコム (jiji.com) →マイナ問題が長期化しそうな雲行きだ。岸田首相は秋までの総点検、8月末までの中間報告を求めているが、河野デジタル相は遅れる可能性を言明した。実務的に予想以上の難しさがあるのだろう。当面、国内最大の焦点だ。

仏暴動で2300人超逮捕 少年射殺、4夜連続の抗議:時事ドットコム (jiji.com) 新たに700人超拘束 仏暴動:時事ドットコム (jiji.com) →アメリカの黒人差別同様、フランス旧植民地の差別は、常に一触即発の状態のようだ。2005年にもアフリカ系少年が警官に追われて感電死する事件があったが、「当時と何も変わっていない」という専門家の声が痛ましい。

相次ぐ保守寄り判決に衝撃 米最高裁、強まる政治色―社会の対立激化:時事ドットコム (jiji.com) →6月29日の黒人ら優遇の「アファーマティブアクション」に違憲判決が出たのに続き、30日も2件の保守的な判決があった。裁判官9人のうち6人が保守派という構成を反映している。トランプ時代に保守派が増えたが、政治化する司法が国の分断を助長している。

「11万6840日」歴史刻む 世界最古の日刊紙に別れ―オーストリア:時事ドットコム (jiji.com) →新聞の苦境は内外で続く。新聞が弱体化すれば、プロにチェックされた信頼できる情報が少なくなる。「新聞の読み方」を取り上げた今日の教養講座を参照して欲しい。

*** 「今日の名言」

◎明石家さんま(タレント。7月1日は68歳の誕生日)

「生きてるだけで、丸儲け」  「優しさ持った人は、それ以上の悲しみを持っている」  「落ち込みやすい体質とは、感謝の足りない姿勢が原因なんや」  「生きるっていうよりも、生かされてると思ったほうが楽に生きれますよ、人生は」  「(母は2歳で他界し)顔も覚えてないからね」  「実力つくと運も寄ってく」  「神様に何回も裏切られてきた」  「(28歳の時、実家が全焼して弟を亡くした際)自分では泣きたいときには泣ける人間だと思っていたのに、ここで泣いたら芸能人としてカッコ悪いみたなこだわりがどこかにあって、自然な感情に身を任せられないんですよ」  「一番好きにならなきゃいけないのは、自分なのよ」   「笑顔になるから、楽しい出来事が起こるようになる」   「結婚はゴールではない!スタート!しかも途中から障害物競争に変わる」  「勝ち負けは努力の要素だけで左右されるほど、甘いもんやない思うんですわ。とくに超一流の世界ではね」  「職場に好きな人を一人作ると、仕事行くのが凄く楽しくなるんよね」  「好きなものと、今求められているものは違います」  「自分の才能を誰かに早く発見してもらうってことは、エライ大切なこと」  「可能性は、だれでも持ってる」  「スキャンダルなんて、二人にしか分からないんですよ。当人同士しか」  「自分のいちばん得意なものをやったらいいんや」

*** きょうの教養 (メディア活用法①新聞)

新聞、雑誌、ネットなどから情報をどう取得し、活用するかは、現在を生きる人の必須知識だ。ジャーナリスト池上彰氏と作家佐藤優氏の共著「僕らが毎日やっている 最強の読み方」(2016年刊)から、新聞、雑誌、ネット、書籍、教科書について、2人の読み方の勘所を紹介する。

◎「新聞の読み方」

新聞が世の中を知るための基本かつ最良のツールであることは今も昔も変わらない。一覧性で新聞に勝るものはない。ネットが普及しても新聞情報の重要性は変わらない。朝は見出しを中心に新聞全体にざっと目を通す。気になった記事はあとでじっくり読む。見出しだけ、前文まで、最後まで読む、の3分類して読む。新聞情報を整理する要諦は、時間と労力を最小にすることだ。

新聞は少なくとも2紙読まなければ危険だ。1紙だけだとバイアスに気づかない。以前は産経新聞だけが保守だったが、読売新聞と日経新聞も保守的。朝日、毎日、東京は政権に批判的な立場だ。新聞のバイアスは、社説とコラムを読むのが手っ取り早い。情報価値はさほどないが、立場がよくわかる。コラムは朝日の「天声人語」、読売の「編集手帳」、毎日の「余録」、産経の「産経抄」、日経の「春秋」。自分が読んでいる新聞のバイアスを知っておけば、他の記事を読むときも役に立つ。1紙は保守系、もう1紙はリベラル系を読むといい。

地方紙も重要。全国で見れば地方紙の読者数は多い。死亡広告、不動産広告、書籍広告を見れば、土地柄や経済状況が見えてくる。通信社のニュースをカバーできるメリットもある。日本では全国紙だけ読んでいると、通信社の重要ニュースを見逃すことがある。通信社のニュースはとにかく早く、速報性が高い。NHKや民放各社も共同通信から原稿を受けている。地方紙のニュースには共同通信のニュースがかなりの割合を占めている。時事通信は国際的に影響力を持っている。時事の内外情勢調査会は内閣情報調査室と直結し、地方のエリート層向けだ。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年7月4日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウオッチ(3日)

回復の波、徐々に広がり 好調北海道、下落も目立つ―2桁上昇続出の福岡・路線価:時事ドットコム (jiji.com)  製造業景況感、7期ぶり改善 生産回復、価格転嫁進む―先行きも上昇・日銀短観:時事ドットコム (jiji.com)  昨年度税収、71兆円超え 3年連続で過去最高―法人、消費、所得税が軒並み増:時事ドットコム (jiji.com)→株価以外の経済指標も上向いている。経済的にはコロナ禍を完全に克服したマインドが必要だ。

熊本で大雨、線状降水帯相次ぐ 鹿児島や宮崎も発生恐れ―土砂災害や河川氾濫警戒・気象庁:時事ドットコム (jiji.com) →線状降水帯は今、南九州で発生しているが、この夏、どこでどの程度発生するか気がかりだ。梅雨が終わっても、「夏だ!」と喜べないうっとうしい時代になった。地球温暖化問題は身近で深刻だ。

日本財界訪中団が北京入り 中国紙、沖縄知事に注目:時事ドットコム (jiji.com) →日中関係は民間交流が重要だ。大きなニュースは予想されないが、4年ぶりの交流で長期的に意味のある会話があるかもしれない。習主席は先月、沖縄に言及して関心を呼んだが、今回は玉城沖縄県知事も訪中する。地政学上、台湾と沖縄が注目されている。

三菱UFJ信託元行員逮捕 詐欺容疑、十数年で1億円被害か―警視庁:時事ドットコム (jiji.com) →古典的な行員の犯罪。容疑者は60歳の女性行員。1981年に三和銀行でオンライン詐欺事件があった時、犯人は女性で大きなニュースになった。今は女性を強調するのは好ましくない風潮だが、名門銀行の犯罪だけに関心を呼びそうだ。

*** 「今日の名言」

◎アーネスト・ヘミングウェイ(米の小説家。1961年7月2日が命日)

「何かが間違っているなら、正しなさい。だが、くよくよしないように自己を鍛錬しなさい。くよくよしたところで、何も解決はできないのだから」  「勇気とは、窮地に陥ったときに気品を保つことである」  「美に対する感受性があり、冒険する勇気があり、真実を語るという規範を持ち、自らを捧げる資質のある人々こそ、最も優れている。皮肉にも、彼らはその美徳ゆえに傷つきやすい。度々傷つき、時には命を落とすこともある」  「本ほど忠実な友はいない」  「旅の先に終わりがあるのは良いことだ。しかし、結局重要なのは旅なのである」  「知的な人間は、時に愚かな仲間と過ごさなければならない、そんな時には酒を飲まざるを得ない」  「他人より優れていることが高貴なことなのではない。本当の高貴さとは、過去の自分より優れた者になることである」  「毎日が新しい日なんだ」 「心の底からやりたいと思わないのなら、やめておけ」  「人生について書きたいなら、まず生きなくてはならない」  「これをやるために俺は生まれてきたんだ、と思えることだけを、考えていればよい」  「宗教は人間の心をしびれさせる阿片である。音楽もそうである。経済学も、成功も、酒はもちろん、ラジオも、賭博も、野心も優れた人の阿片である。だが最高の阿片はパンである。そのために人間は見境もなくわめき立て、奪い合う」   「猫は絶対的な正直さを持っている」

*** きょうの教養 (メディア活用法②雑誌)

◎雑誌の読み方  電子雑誌の定額読み放題は画期的なサービスだ。雑誌1冊程度の値段で多種多様な雑誌が読める。ネットサーフィンをするより、電子版の雑誌を眺めている方が効率がいいし、娯楽としても楽しい。ほとんど読めるので、雑誌との付き合い方が根本的に変わる。

雑誌は興味や関心、視野を広げるのに役立つ。趣味系では文房具、プロレス、ネコなど何でもある。パラパラ読んでいると、意外な情報に出会うことがある。雑誌には娯楽と、仕事に役立つ実用性の二つの要素があるが、「雑誌は娯楽」が現実に即している。しかし、作り手は真剣に作っている。編集や事実関係の確認が不十分な雑誌もあるので見極めに注意した方がいい。信頼できる書き手の記事を読むという付き合い方もある。

「週刊文春」や「週刊新潮」など総合週刊誌は、世の中で何が話題になっているかをチェックするのに便利だ。世の中の雰囲気やトレンドを知るのに適している。人間のどす黒い感情をすくい取るのがうまい。雑誌は「読書人階級」のための娯楽だ。200万人はいるだろう。

経済誌・ビジネス誌は、一部上場企業に勤めるような人が読んでいる。特定の主義主張に固執せず、トレンドやニュースを公平な視点で見ることができる。最近は特集主義が特徴で、書籍より早い。「文藝春秋」のような総合月刊誌は海外にはない。情報収集という点ではさほど重要ではないが、論壇カタログになっている。論壇の論点がわかる。「同級生交歓」のようなコラムは読者が古くからのエリート層だとわかる。「世界」はリベラル派、読売系の「中央公論」は政権の意向を知るにはいい媒体だ。「選択」と「FACTA」もチェックしている。

国際関係では日本語で読める「フォーリン・アフェアーズ・リポート」はアメリカ外交がわかる。日本の総合誌には国際情報が少ないので、アメリカの「タイム」やイギリスの「エコノミスト」はページをめくるだけで世界の流れがわかる。

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***デイ・ウオッチ(4日)

処理水放出「安全基準に合致」 IAEA報告書、人体への影響「極めて低い」―岸田首相、放出時期を最終判断へ:時事ドットコム (jiji.com) →IAEAは原子力の平和利用を推進しているので、日本政府と同じ立場。お墨付きを得た形。反対の声がある中韓は心配し過ぎにも見えるが、原子力は風評被害から逃れられない現実を示している。地元漁協も反対だ。日経新聞は「8月にも放出」と報じている。

生成AI、学校利用へ初指針 英会話OK・詩創作は不適切 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →教育現場には悩ましい生成AI。日本らしく、活用を前提にしながら慎重に歯止めもかけた。読書感想文に使えないルールだが、どう検証するのだろうか。5年後にはどうなっているだろうか。

韓鶴子総裁「岸田を呼びつけて教育を受けさせなさい」内部音声を独自入手「日本の政治は滅びるしかないわよね」旧統一教会|TBS NEWS DIG – YouTube →旧統一教会が岸田首相を批判。自民党保守派が批判する「反日」主張そのものだが、なぜか保守派は沈黙している。信念ではなく選挙互助会だったからではないだろうか。

自民・世耕参院幹事長、石原伸晃氏の参院“鞍替え”「衆議院で無理そうだから参議院というのは受け入れがたい」 (msn.com) →自民党のこうした党内批判はオープンでわかりやすい。野党も透明性の高い党内議論で支持を集める作戦があってもいいだろう。党内運営が市民感情に近いかどうかは支持の決め手だろう。

*** 「今日の名言」

◎チャールズ・ルイス・ケーディス(GHQ民政局次長。1946年7月2日、新憲法の基本原則を決定)

「憲法9条の『戦争放棄』などは私が書きました。9条の目的は、日本を永久に非武装にしておくことでした。当時の米国の意向は、日本を二度と軍事大国にさせないために非武装にしておくことだったのです」  「ホイットニー民政局長から渡された用紙に3~4の要点の指示が書かれていました。同局長がマッカーサー司令官の口述を記録したノートのようでした。そこには『自国の安全保障のためでも戦争は放棄する』という記述がありました。しかし、私は道理に合わないと思いました。すべての国は自己保存のための固有の権利をもっているからです。だから私が憲法9条の草案を書くとき、その部分をあえて削除しました」   「戦争放棄規定は第一条にしてもよいほどだったが、天皇への敬意もあって、第1条は象徴天皇としての地位とした。しかし第1条と第9条はいわば一体であり、不可分のものだった」  「天皇を国の象徴とか国民統合の象徴とする表現は、実は私たちがふっと考えて作り出したものです」   「アメリカ政府としてはすぐに日本に憲法を改正してほしかったが、むずかしかった。私自身も、日本はとっくに改憲をすべきだったと思う」  「(吉田茂外相の片腕だった)白洲(次郎)は実際すばしこい男で、球を抱えてタックルをすり抜けるフットボールの選手に似ていた」 

*** きょうの教養 (メディア活用法③ネット)

◎ネットの読み方  うまく使えば有益なツールになる反面、時間を浪費し、ノイズ情報に惑わされる危険性もある「諸刃の剣」だ。ネット情報は玉石混交で、「玉」だけを選ぶのはかなりの知識とスキルが必要だ。誰もが発信できるということは、裏を返せば新聞や雑誌が持つ編集と校閲の機能がないことだ。その意味でネットは「上級者のメディア」だ。

効率の悪さもネットの特徴だ。自分で記事の重要度を判断する必要があるからだ。新聞や雑誌で精度の高い情報をチェックした方が効率は何倍もいい。お金はかかるが、ビジネスパーソンには新聞や雑誌の方が効率がいい。ネットには偏見が助長されるプリズム効果があることも知っておきたい。特定のものだけが大きく見えたり、別のものが見えなくなったりする。逆に関心のある情報や自分の考えを補強する情報はどんどん詳しくなる。ネットを使う人はネットの論調が社会の論調と思い込んでしまう人もいる。安易なマスコミや陰謀論に走ってしまう傾向もある。

即時性を重視するならNHKオンラインなどテレビ系のネットは早い。ビジネス系では東洋経済オンラインなどがある。ヤフーニュースは多くの人が見ているが、娯楽や世間が関心のあるニュースを見るにはいいがニュースソースとしてはどうか。アクセス数を稼ぐため、タイトルや見出しが必要以上に過激になっている傾向もある。検索では、ウィキペディアは概要を押さえるには便利だが、テーマによって信ぴょう性にばらつきがある。専門以外の分野では、有料の辞書・辞典サイト「ジャパンナレッジ」を利用している。平凡社の世界大百科事典、小学館の日本大百科事典などを引く習慣はきちんとした知識を身につけるためにも効果的だ。

サイトでは政府の各省や日銀、企業、団体などのホームページは1次情報があり、結構役に立つ。海外メディアではCNNやウォールストリートジャーナル、韓国紙などに日本で読めるサイトもある。フィナンシャル・タイムズの英語が読みやすい。その気になればかなりの情報収集ができる。

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***デイ・ウオッチ(5日)

原発攻撃に懸念、住民脱出 大統領が「爆発物」警告―ウクライナ:時事ドットコム (jiji.com) →住民がパニックになり、避難が始まっているという。「相手が攻撃を仕掛けている」と言い合う情報戦の様相だが、ウクライナが攻撃する動機は考えにくい。劣勢のロシアが「何でもあり」の状態になっているのだろうか。人類が原発をもてあそぶ余裕はない。

韓国政府、IAEA報告書を尊重 処理水放出、野党は反発:時事ドットコム (jiji.com)  IAEA事務局長、処理水設備確認 地元に「放出終了まで監視」:時事ドットコム (jiji.com) →IAEAと日本政府は周到な準備をしていたようだ。日韓連携はここでも生きた。しかし、漁協の同意はまず困難。政府は「関係者の理解なしに処分しない」と言っていたが、どう説明するのだろうか。

空港施設社長再任案、反対75%超 日航・ANAが主導:時事ドットコム (jiji.com) →国交省の横やりを防いだJAL出身の社長。しかし、再任反対が75%を超えていた。大株主のJALとANAが主導して引導を渡した形だが、単なる人心一新か、国交省への忖度で恭順の意を示したのか。国交省がまた圧力を行使したのか。何となくグレーだ。

著名ロシア人ジャーナリスト、チェチェンで「激しい暴行」被害(1/2) – CNN.co.jp →ロシア・旧ソ連地域では気に入らない人物を襲撃する事件がよくある。薬物を使うこともあるが、今回は緑の塗料をかけたという。民主国家とはとても言えない。今回はCNN日本語版からの引用。

*** 「今日の名言」

◎トム・クルーズ(米の俳優。7月3日は61歳の誕生日)

「僕は機能性の読み書き障害でした。本当は学ぶのが大好きで、学びたいと思っていましたが、学校システムの中で上手くいかなかったことはわかっていました」   「僕は読んでいるものに集中しようと思っても、ページの最後に到達すると、読んだものの記憶がほとんどないんです。僕の頭は真っ白になり、不安や緊張、退屈さ、欲求不満、そして頭の悪さを感じました。 僕はイライラしたし、勉強していると頭も足も痛くなってきました」  「ご想像の通り、学校の勉強では大きな困難に直面しました。 母は3つの仕事をかけ持ちする合間に、僕をできる限り助けてくれたけどね」  「父は、何かがうまくいかないと、家族を蹴りつけるような人でした。これは僕の人生でとても良い教訓となりました。このような男には問題がある。近づくな。信用してはならないってね」   「自分なりに精一杯、生きてきた。きっと生きることが好きなんだと思う」

(父親の仕事が上手くいかず、15回の転校をした。父は12歳のときに死去。3人の妹たちの父親役となったが、常に転校生で新しい学校に順応するのに苦労し、いじめにあった。低い身長と歯並びの悪さがコンプレックスで、歯科矯正を行う余裕もなかった)

*** きょうの教養 (メディア活用法④書籍)

◎「書籍の読み方」  世の中で起こっていることを「知る」には新聞がベースになるが、「理解」するには書籍がベースだ。記述の信頼度と体系化が重要で、基礎知識は書籍でしか身につかない。基礎を理解するまでは大変だが、一度やってしまえば、あとで大きな差が出る。急がば回れだ。

絶版本や希少本はネット書店が便利だが、リアルの書店にも行きたい。俯瞰性の高さが非常にいい。書店の棚を見ているだけで興味がどんどん広がっていく。本のタイトルと帯を見ているだけで情報を得られ、勉強になる。失敗しない本選びには書店員の知恵を最大限活用すべきだろう。そのジャンルの基本になる参考書を「タネ本」という。どのジャンルでもせいぜい3冊。理解するように読むと、そのジャンルの基礎知識になる。いい本と出合うコツは、本をたくさん買うこと。迷ったら買う。本の費用対効果は安い。

古典を読むコツはニュースと絡めること。捕鯨問題ならメルヴィルの「白鯨」、キリスト教ならダンテの「神曲」。日本の古典なら夏目漱石の「坊ちゃん」と「こころ」が基本。思想や文学では講談社「人類の知的遺産」シリーズ、中央公論社の「世界の名著」「日本の名著」「日本の文学」がおススメ。論理的な思考力をつけるには難解な本と格闘し脳みそが汗をかくほど向き合いたい。「資本論」「存在と時間」「善の研究」などがある。自分の専門以外なら、入門書のような通俗化された良書がいい。「やさしいダンテ神曲」とか。講談社ブルーバックスは良書。

本の読み方は、熟読する本か、速読かを分けたい。速読なら「はじめに」と「おわりに」に必ず目を通す。熟読に値するかどうかは、真ん中部分を少し読んでみる。娯楽か勉強や仕事で読む本かでも線引きできる。超速読は1冊5分、普通の速読は1冊30分で、重要箇所は1ページ15秒程度、後は超速読をする。読書時間は最初に「きょうは何時間読む」と決めないと難しい。ネット断ち、酒断ちも重要。通勤やすき間の時間も活用する。アウトプットを意識すると頭に入って来る。電子書籍は2冊目として購入し、いつでも読めるようにして頭に定着させる方法もある。

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***デイ・ウオッチ(6日)

統一教会問題、岸田政権になお火種 解散命令請求に高いハードル:時事ドットコム (jiji.com)  元首相一周忌後に新会長選出 自民安倍派、新体制発足を協議:時事ドットコム (jiji.com) →8日で安倍元首相が銃撃されて1年。きょう明日の報道量は増えるだろう。鈍い自民党の動きを受けて解散命令請求は遅れ気味。裁判もまだ。安倍派会長も決まっていない。元首相と反日団体コネクションの衝撃を物語る。

マイナ問題、デジ庁に立ち入り検査へ 行政指導も視野 情報保護委:朝日新聞デジタル (asahi.com) →マイナ問題が拡大してきた。朝日新聞の独自。(有料記事なのですべて読めない可能性があります)

BYDやテスラなど自動車16社、中国で過当競争回避で合意 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →政府(共産党)主導で過当競争を止めようという。いいのか悪いのか、いかにも中国らしい。メーカーも内心は歓迎しているのではないか。競争の負の側面は常にあるが、日本人としては民間企業の主体性を重視する立場にくみしたい。(有料記事なのですべて読めない可能性があります)

米メタ、独自のSNS「スレッズ」を提供開始 ツイッターに対抗:朝日新聞デジタル (asahi.com) →イーロン・マスク氏が経営権を握ってから評判の悪いツイッターをしのぐことができるか。これほど大勢のSNSユーザーをめぐる争奪戦は初めてではないだろうか。単純におもしろそうだ。

橋桁落下、作業員2人死亡 6人重軽傷、高架化工事で―静岡の国道バイパス:時事ドットコム (jiji.com) →巨大な橋げたが落ちる恐ろしい事故。同様の工事をストップしたという。何らかの過失があったのは確実で、刑事事件とは別に、早急なリスクに関するメッセージが必要だろう。静岡県警の発表内容はいつも不十分だから、国交省や県の発信が待たれる。

ChatGPTのOpenAI、「人間超え」制御へ研究開始 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →技術には技術で対抗しようという動き。大いに期待したいが、開発した制御技術をさらに乗り越えようという動きが出るのではないか。いったん開発されると、「もうどうにも止まらない」のが技術の本質だ。

*** 「今日の名言」

◎栄西(臨済宗の開祖。命日は1215年7月5日)

「あまねくすべての人々を救おうとして、自分一人の小果を求め、満足してはならない」  「(仏像の光背を造るための銅を飢えた人々に分け与えたことを批判されて)私は、この罪によってたとえ地獄に墜ちるとしても、衆生の飢えを救いたい」  「人間の心は広大だ。天空の高さには圧倒されるが、心はその高さをも超えることができる。大地の厚さはとてつもないが、心はその厚さをも超えることができる。太陽や月の光は厳かで秀麗だが、心の輝きはその光をも凌駕することができる。この宇宙は果てしないが、心は宇宙を越えて無限である」  「一日絶食して餓死するとしても、苦しがってはいけない」  「仏などいない。いるのは、ただ狸と狐ばかりである」

*** きょうの教養 (メディア活用法⑤教科書・参考書)

◎教科書・参考書の読み方  知識の土台となる基礎知識をいかに身につけるかが、インプットの技法で最重要だ。しっかりした土台の上に積み重ねてこそ、情報は知識となり、繰り返すことで使える知識や教養になる。

ニュースの基礎は中学校の公民の教科書が最適だ。ビジネスパーソンには公民、歴史、国語、英語の教科書を手に取って欲しい。日本史と世界史の学び直しは、全体の歴史を書いた「B」より、現代史に比重を置いた「A」がいい。基本と大まかな流れがわかる。歴史を学ぶメリットは短期間で通史が身につくことだ。数学や物理に比べて学び直しがしやすい。コツとしては、旅行で行ってみたいところや出張で行く場所を調べるといい。司馬遼太郎が書いたような歴史小説はあくまで娯楽として読むべきで、歴史を学ぶのは厳禁だ。

語学は「読む」「書く」「聞く」「話す」のうち、「読む」「聞く」から鍛えるのが王道。中学2~3年の教科書の例文を丸暗記するのも有効だ。単語を多く覚えることもいい。外国語習得に必要なことは「モチベーション」「時間」「お金」。具体的な目標を作らないと続かない。「教養のため」というあいまいな目標では身につかない。すべての勉強の基礎になるのは読解力だから、現代文を通して読解力と論理的思考能力を鍛えたい。

最後に人から情報を得る方法を伝えたい。情報を提供してくれるのは斜めの人間関係だ。会社なら別の部署や競合しない先輩が狙い目。「初々しさ」を出して「いい聞き手」になろう。良き生徒は誰にとってもかわいい。情報を引き出すうえで大事なことは、情報を持っている人かどうか、話してくれそうな人かどうかだ。複数のしゃべる人からの断片情報をつなぎ合わせたい。セミナーや講演会異業種交流会を上手に活用したい。いつも読書ばかりしている人には飲み会に参加することを勧めたい。飲み歩いている人には、読書をする時間をしっかりつくって欲しい。飲み会で仕入れた情報は、翌日知らないふりをするのが礼儀だ。