7月17~21日(教養講座:10年前の芥川賞)

2023.07.22メルマガ

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年7月17日号(転送禁止)~~~

HPにアップしました→7月7日からの教養講座は「芥川賞」 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com) 7月10~14日(教養講座:松下幸之助語録) – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)

***デイ・ウオッチ(14~16日)

秋田で記録的大雨 きょうも断続的に雨の見込み 土砂災害に警戒 | NHK | 大雨(7月) →秋田県で記録的な大雨が降り、浸水被害が拡大している。秋田市ではまだ全容を把握できていない。つい先日までは九州北部で記録的な豪雨だった。次はどこになるのか、秋まで気が抜けない。異常気象は進んでいる。

イーロン・マスク氏、AI新会社「テスラと協力」 半導体・自動運転で – 日本経済新聞 (nikkei.com)  生成AI、開発人材の引き抜き激化 イーロン・マスク氏「第三極」に – 日本経済新聞 (nikkei.com) →イーロン・マスク氏がAI開発の「xAI(エックスエーアイ)」を設立。目標は「宇宙を理解する包括的なAI」というから壮大だ。マイクロソフト・オープンAI、グーグルの三つ巴の様相だ。米規制当局は有力企業への集中を懸念している。人類の未来もかかっており、目が離せない。

マイナカード保有、8816万枚 廃止分除外―総務省:時事ドットコム (jiji.com) →総務省が発表したマイナンバーカードの保有枚数に約500万枚の廃止分が含まれていることがわかった。普及していることを強調したいがための水増しとみられるが、また評判を落とした。首相を目指す河野デジタル相に赤信号という観測も出始めた。

イギリスのTPP加入正式決定 2018年の発足後の新規加入国は初 | NHK | TPP →久しぶりにニュースになったTPP。EUを離脱した英国の加入を決定し、欧州に足場ができた。次は加盟申請を出している中国、台湾、ウクライナなどの取り扱いが焦点という。日本外交の一つの仕掛けに使えないのだろうか。

次期衆院選「政権交代へ最終戦」 立民・小沢一郎衆院議員インタビュー―「55年体制」崩壊30年:時事ドットコム (jiji.com) →小沢一郎氏が久々に脚光を浴び始めた。かねてからの政権交代論は正論だが、大きな動きを作り出せるかどうか。

*** 「今日の名言」

◎アントン・チェーホフ(ロシアの小説家。1904年7月15日は命日

「くすぶるな、燃えあがれ」  「愚者は教えたがり、賢者は学びたがる」  「人間の目は、失敗して初めて開く」  「ただ働くのだ。生きる意味も、幸福も、その中にある」  「だれに打ち明けたらいいのだろうか?だれに訴えればいいのか?だれと一緒に喜べばいいのだろうか?人間は、だれかをしっかりと愛していなければならない」  「結婚生活で一番大切なものは、忍耐である」  「教養ある人間は、他の人格を尊重し、したがって常に寛大で柔和で腰が低いものだ」  「愛、友情、尊敬、どれにしても、共通の憎しみほど人間を団結させるものはない」  「精神疾患が増えたのではない。精神疾患に眼の肥えた医者が増えたのだ」  「男と付きあわない女は、だんだん色褪せる。女と付きあわない男は、だんだん馬鹿になる」  「結婚するのは、二人とも他に身の振り方がないからだ」  「人間は好んで自分の病気を話題にする。自分の生活の中で一番面白くないことなのにね」  「マナーというのは、ソースをテーブルクロスにこぼさないことではなく、誰か別の人がこぼしたとしても気にとめないということだ」  「小説家の役割とは問うことであって、答えることではない」

*** きょうの教養 (芥川賞①)

今週19日は芥川賞の発表です。文章塾としては、受賞作の文章表現と内容に注目したいと思います。芥川賞のような純文学は、作家のセンスで今を巧みに切り取って、将来を予言するようなところがあります。口では言えないようなことを文章で表現し、「よくわからないが何かありそう」という感覚になります。今から10年余り前はどんな作品が受賞したのでしょうか。菊池良著「芥川賞ぜんぶ読む」(宝島社)から5作紹介します。

2011年下期 田中慎弥「共食い」 

「自分にも父親の血が流れているのか少年は恐怖する」/17歳の篠垣遠馬は、父親の円(まどか)とその恋人の琴子の3人で暮らしていた。琴子は生みの親ではない。遠馬の生みの親は仁子といい、川を一本隔てた橋の向こうに住んでいて、魚屋を営んでいる。ちょっと複雑な家族構成だ。

円はセックスの時に恋人へ暴力を振るう癖があった。ドメスティック・バイオレンスである。仁子が家を出て行った原因は、それだった。その性癖は変わらず、円は琴子に対しても暴力を振るっている。遠馬には会田千種という恋人がいた。2人はセックスをするが、遠馬は「こんなんでええんかなぁ」と自分の性欲に対して思うところがあった。ある日、遠馬は千種に暴力を振るってしまい、やはり自分にも暴力的な父親の血が流れているのかと恐怖する。そんな中、街では夏祭りが近づいていた。社で待っている。千種は遠馬にそう言っていたのだ。

受賞会見で口にした「もらっといてやる」という言葉も話題になった。高校卒業後、就職をせずに家で何度も「源氏物語」を読み、10年かけてデビュー作「冷たい水の羊」を執筆した。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年7月18日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウオッチ(17日)

ウクライナ穀物合意、ロシアが停止表明 小麦価格が急騰 – 日本経済新聞 (nikkei.com)  クリミア橋で爆発、2人死亡 ウクライナのドローン攻撃か:時事ドットコム (jiji.com) →小麦価格が上がり、世界の食糧事情がひっ迫する。ロシアに対する制裁の解除を狙ったようで、仲介に乗り出す国も出ている。改めて、戦争は誰も得をしないと実感する。クリミア橋も緊迫している。

岸田首相、中東で「経済外交」 中国を意識、3年半ぶり訪問:時事ドットコム (jiji.com)  岸田首相 UAE到着 ムハンマド大統領と首脳会談へ | NHK | 原油価格→岸田首相はNATOから中東に移動し、サウジアラビア、UAE、カタールを回る。米国は中東への関与を減らし、中国が勢力を伸ばしている。日本にとっては、「資源確保」と「対中国」がキーワードだ。

米中、気候変動で協議 北京で特使が会談:時事ドットコム (jiji.com) →米中の政府間協議が増えている。ケリー特使はオバマ政権の国務長官という大物。両国の危機管理にどう影響するだろうか。

京都の夏を彩る祇園祭 「山鉾巡行」で山や鉾が都大路練り歩く|NHK 京都府のニュース →4年ぶりの京都の山鉾巡行。コロナ禍明けで、今年は各地で祭りが復活。「4年ぶり」が枕詞になっている。猛暑もここでは気分を盛り上げる。

*** 「今日の名言」

◎石原裕次郎(俳優。1987年7月17日が命日)

「人の悪口は絶対口にするな。人にしてあげたことは、すぐ忘れろ。人にしてもらったことは、絶対忘れるな」  「俳優、男子一生の仕事にあらず」  「人生というのは、振り返ってみて、何もないずんべらぼうより、起伏が激しいほうが楽しいと思う」  「僕らがちっちゃいときは、家族四人で風呂に入っていた。『お母さんもおいで』なんて、親父が呼んでさ。おふくろが途中から入ってくるんだ。だから、いま当時を振り返ると、すごく微笑ましくてね。よかったなというイメージしか残っていないんだ」  「学校対学校、これが、僕らが高校生のころのケンカだった。学校対学校だから級友の誰もが愛校精神に富んでいた。何より友情を重んじた。少なくとも僕たちの精神は非常に健康的だったということは言えると思う」   「兄貴(石原慎太郎)は、僕の尊敬する人物の一人だ。遊びのことでも、スポーツのことでも、試験勉強のやり方でも、兄貴の言うとおりやれば、まず間違いないと思っていた。もう一種の信仰だね。だから、言うことはよく訊いた。いまでもそうだ」  「確かに6・3・3制の義務教育という制度は、占領統治下ではそれなりに意味があったと思う。だけど、この制度は受験戦争を生み、教師をマシン化させるという弊害を引き起こした。いまの日本の現状を考えれば、やはり6・6制という昔の制度に戻すのがいいと思う。そうすれば受験制度もなくなり、教師も血が通った教育ができるだろう」  「美しき者に微笑を 淋しき者に優しさを 逞しき者にさらに力を すべての友に思い出を 愛する者に永遠を 心の夢醒めることなく」

*** きょうの教養 (芥川賞②)

2012年上期 鹿島田真希「冥土めぐり」 

「車椅子の夫と家族の記憶を巡る旅」/奈津子は夫の太一と一緒に、新幹線に乗って旅行に行く。太一は8年前に脳の発作で倒れ、奈津子はそれ以来、夫の介護をしながら生活していた。 旅の道中、奈津子はいろんなことを思い出す。しかし、結婚以前の生活を奈津子は「あんな生活」と振り返り、本当は思い出したくもない。

奈津子の母親は祖父が生きていた裕福だった時代が忘れられず、それにすがって生きている。奈津子の弟は高級な物を食べるのが趣味で、「ハーバードに留学する」「フランスに留学する」というが、実行はされず、「家に金さえあれば俺はすごい人間になれる」と豪語する。2人は奈津子によると、「何もしなくても与えられる側の人間だと思っている」。奈津子と太一はバスに乗って目的地に向かっていく。それは奈津子が幼い頃に家族で行ったリゾートホテルだった。

人は何かを見たら、何かを思い出してしまう生き物だ。「冥土めぐり」は旅行と追憶が縄のように入り混じって編まれている。読者は奈津子の家族の記憶と夫との旅を追体験していく。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年7月19日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウオッチ(18日)

ビッグモーター保険金不正 国交省も会社にヒアリングへ | NHK | 自動車 ビッグモーター幹部 工場長の降格処分 手続きふまず繰り返す | NHK | 自動車→保険金目当てに車を故意に傷つけるというビッグモーターの悪質事案。手続き無視の工場長降格も相次いでいて、荒れ果てた企業風土のようだ。

リニア新幹線、国の認可取り消しを認めず 東京地裁、住民の請求棄却:朝日新聞デジタル (asahi.com) →予想された判決だが、リニアの先行きは見えない。反対の急先鋒である静岡県の川勝知事への風当たりが強まっているが、水問題は解決していない。科学的決着か、政治的決着か。時期のメドも見通せない現状だ。

人事停滞、外交でも 上院に大使承認要求―「敵利する」と警告・米国務長官:時事ドットコム (jiji.com) →政権交代によるチェック・アンド・バランスは、民主主義の重要な機能だが、アメリカの大使が決まらないというから驚く。民主党と共和党の分断の結果だが、こうした事態が相次ぐと、民主主義の威信が低下し、権威主義国家が喜ぶ。

自民安倍派、20日の協議先送り 新体制、集約見通せず:時事ドットコム (jiji.com) →安倍派が新しい代表を決められない。このまま膠着状態が続くのだろうか。内閣改造で安倍派の処遇が悪いといった外部要因でしか変わらないような気もする。

*** 「今日の名言」

日野原重明(医師。2017年7月17日、105歳で死去)

「人を許せるか否か。それは人間に与えられた試練」   「私たちは運命を生きるのではなく、運命を作っていくのだ」   「人のために自分を捧げる喜びを知っている人を、プロという」  「心の良い習慣は表情や仕草に現れる。人の顔つきも、習慣なの」  「きりのない欲望が、あなたを幸せから遠ざける」  「少し肩の力を抜いて、『お上手、お上手』と自分に声をかけていきましょう」  「何か目標を持って活動している人の方が元気だ」  「ビジョンは大きいほうがいい。たとえ自分が実現できなくても、バトンタッチすればいい」   「医学以外のところで患者さんの心の支えになることが、本当の医術ではないか」  「外科手術や化学療法の発達した今日でもなお、最も大切な治療法の一つは、キリストの時代のごとく『言葉による癒し』だ」  「老いた身の一番の不幸は孤独であり、積極的に生きる方向と目標がともに定かでないことである。この孤独は老いた人間を悲しく沈没させてしまう」  「二十世紀の日本人は、自分の中にないものを先進諸国からとりいれようとして忙しく働きすぎた。そして、古来の日本人の内にあったよきもの、奉仕する心、人情、よき伝統を忘れてしまった」  「家族とは『ある』ものではなく、手をかけて『育む』もの」  「地位や名誉は死ねばなくなる。財産も残したところで争いの種をまくだけですが、『ありがとう』の一言は、残される者の心をも救う何よりの遺産だ」

*** きょうの教養 (芥川賞③)

2012年下期 黒田夏子「abさんご」 

「日本文学に最高齢の新人現る」/「生きているうちに見つけてくれてありがとう」。芥川賞の受賞会見で黒田夏子はそう語った。この時黒田夏子は75歳。史上最高齢である。

「abさんご」は父親を亡くした女性が、母親と2人で長いあいだ暮らしながら、やがてその母親も失う物語だ。主人公の回想が、時系列も入り組みながら断片的に語られていく。それは瑞々しくて美しい。この作品で特に注目されたのがその特異な文体だ。横書きでひらがなを多用し、わざと固有名詞を使わない。一見すると読みにくい文体で起こるのは、読書スピードの低下だ。特異な文体によって、一語一語をじっくりと味わいながら読むことになるのだ。「abさんご」の読書体験は、日本語と戯れる遅い読書だ。

黒田は長いあいだ、新人賞に投稿することなく小説を書いてきた。それは10年に1本のペースだという。「abさんご」にはもっと長いオリジナルバージョンがあり、9年間かけて執筆していた。「10年に1本」のままでいくなら、次の新作が出るのは2020年である。

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***デイ・ウオッチ(19日)

芥川賞に市川沙央さん 直木賞に垣根涼介さんと永井紗耶子さん | NHK | 文芸 →市川さんは初めての候補だが、圧倒的な支持で受賞した。これまではライトノベルを書き、純文学は初挑戦。10歳のころに難病の筋疾患「先天性ミオパチー」と診断され、人工呼吸器と電動車いすを使う。重度障害者の受賞は初で、小説の主人公も障害者。歴史的な受賞となった。

マイナ問題、デジ庁への立ち入り検査を開始 個人情報保護委:朝日新聞デジタル (asahi.com) →マイナンバーカードで新展開。公金受取口座の登録制度で、他人の口座が登録されたことについて、デジタル庁の責任を重視しているという。どんな行政指導になるかが焦点。内閣支持率にも影響する。

訪日客、1千万人超え コロナ前の6割回復、消費も拡大―23年上半期:時事ドットコム (jiji.com) →円安も追い風になってインバウンド客が戻ってきた。年間ならコロナ前と同水準になるだろうか。観光地は潤うが、京都のような有名観光地ではオーバーツーリズムの懸念もある。

生成AI、米メタが本格参戦 無償、透明性で対抗軸:時事ドットコム (jiji.com) →企業向けに自由にカスタマイズできる点が売りのようだ。オープンAI・マイクロソフト、グーグルと三つ巴の競争。日本企業はどうからんでいけるのだろうか。

AIの報道利用、日経はこう考えます – 日本経済新聞 (nikkei.com) →限定的に利用し、透明性を確保するという。常識的な内容だが、読者に説明する姿勢は重要だ。新聞の生命線は今まで以上に信頼性になっていく。

*** 「今日の名言」

河合隼雄(心理学者、京大名誉教授。2007年7月19日は命日)

「今の人は、みんな何かしなければと思い過ぎる」  「視野を広げるために一番大事なものは、道草、ゆとり、遊び」  「自分の持っている器量とか決断力をもっと信じなきゃ。信じて開発しなきゃ」  

「世界の国々を見ても、貧しい国は活気があって当たり前です。食べものを確保するのに必死ですから、自ずと活気が生まれてくる」  「物で溢れた豊かな国は、食べ物の確保のその上を行かなくては幸せにはなれません。心を遣って自分なりの幸せを探さなくてはならない」  「愛情とは、関係を断たぬことである」   「褒めたらつけ上がるなんてことはまずありません。もっと子どもを信用していい。子どもを信用できないのは、つまりは自分を信用していないから」  「右もダメ、左もダメと思ったときには、いっぺんボーっとするかというくらいのつもりでいると、答えが生まれてくることもあるのではないでしょうか」  「会社という道。家庭という道。それぞれが別の道であることをもっと意識することです」  「冗談による笑いは世界を開き、これまでと異なる見方を一瞬に導入するような効果をもつことがある」  「100%正しい忠告はまず役に立たないが、ある時、ある人に役だった忠告が、100%正しいとは言い難いことも、もちろんである」  「外向的な人は内面コンプレックスをもっているし、内向的な人は外向コンプレックスを有している」  「日本人の自我は、欧米人とは異なり、常に他者との相互関係の中に存在し、他者を離れた個として確立していない」  「朝起きたら、また違う風が吹いているからね」

*** きょうの教養 (芥川賞④)

2013年上期 藤野可織「爪と目」 

「世にも珍しい二人称小説」/この作品はある女性が幼少時のことを振り返りつつ「、あなた」について書いたものだ。「あなた」は眼科医で、妻子ある年上の男性と知り合い不倫関係になる。男性の妻が死ぬと、結婚を視野に入れた同棲生活が始まった。「あなた」は仕事を辞めて、男性の前妻との子供である幼い女の子と一緒に暮らし始める。「あなた」は家事育児に熱心ではなく、女の子は爪を噛み始める。

「爪と目」は一人称でも三人称でもないちょっと特殊な文体で書かれている。一人称小説とは主人公の視点から書かれた小説。三人称小説は、主人公を観察した視点で描かれた小説だ。二人称小説は「あなた」について書かれる。「あなた」と言われると読書はドキッとするだろう。「え、私のこと」と一瞬思う。語りかけられている気分になる。普通の小説とはちょっと変わった読み応えになるのだ

選考委員の島田雅彦は「成功例の少ない二人小説としては例外的にうまくいっている」「文句なく藤野の最高傑作である」と絶賛した。「爪と目」は淡々と語られる描写に背筋がヒンヤリするような冷たさがある。選考委員の宮本輝も指摘するように「ホラー趣味」を感じさせる小説で、「純文学ホラー」と称されることもあるようだ。藤野も「エクソシスト」などホラー映画が好きだと語る。芥川賞の選考会の日も編集者たちとホラー映画を見ながら結果を待っていたという。

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***デイ・ウオッチ(20日)

基本給の格差 最高裁「性質や支給目的など踏まえ検討を」 | NHK | 愛知県 →再雇用の給与は直前の6割が相場だったが、「もっと考えなさい」という判断。高裁で審理やり直しとした。上がるか下がるかはわからないが、原告側は積極的に評価している。若手の人手不足で、再雇用者の給与は上がる傾向にある。

岸田首相、21日から全国行脚 政権浮揚へ「聞く力」再アピール:時事ドットコム (jiji.com)  日米韓首脳、来月18日に会談 ワシントン近郊山荘で:時事ドットコム (jiji.com) →就任時に話題になった岸田首相の「聞く力」は、とんと聞かなくなった。独断でいろいろ決めているので、「今さら聞くのも遅い」という気もするが。菅前首相とも会談し、秋に向けて政局が動き始めた。

米アップルも生成AI開発 提供時期は不明―報道:時事ドットコム (jiji.com) →アップルも生成AIに参入する。アメリカの巨人ITの競争が利用者にプラスになるように期待するしかない。

中国 習主席 米元国務長官のキッシンジャー氏と会談 | NHK | 中国 →国交正常化の立役者キッシンジャー氏は100歳で訪中というからすごい。日本なら田中角栄のような存在だ。中国もアメリカも対立に疲れたようにも見える。対話を深め、正すべきところを正し、お互いに仲良くするのが世界のためだ。

芥川賞 市川沙央さんに単独インタビュー 受賞決定作への思いは | NHK | 文芸 →今週の教養講座は芥川賞なので、昨日に続いて受賞した市川さんの話題。NHKが単独インタビューした。

*** 「今日の名言」

山岡鉄舟(幕末の幕臣、剣術家。1888(明治21)年7月19日は命日)

「もののふ(武士)というものは、出所進退を明らかにし、確固として自己の意志を決した以上は、至誠もって一貫するのが真の武士、武士道でもある」  「一国を治めるものは、まず手近く自身からしなければならない。親子兄弟一族の治めがついてさしつかえがないというに至ったなら、この秘法はたちまちに万機に応じることができる」  「剣法を学ぶ理由はひとえに心胆練磨。もって天地と同根一体の理を果たして、釈然たる境地に到達せんとするにあるのみ」  「およそ大凡人たるものは、誠忠が肝要である。ゆえに時変に接しては死を見ること帰するがごとき確固たる心胆を動かさぬよう鍛練が第一である」  「自然は教師なり、自然を眺めて学び、自然に即して考える」  「武士は義のためには、たとえ貧に処するも厭わず、不義のためには富貴であっても好むところではない」  「宇宙と自分はそもそも一体であり、当然の帰結として人々は平等である。天地同根、万物一体の道理を悟ることで、生死の問題を越え、与えられた責務を果し、正しい方法に従って、衆生済度の為に尽くす」

*** きょうの教養 (芥川賞⑤)

2013年下期 小山田浩子「穴」 

「ライトなカフカによる不思議な穴」/山田浩子は、文芸評論家の福田和也に「ライトなカフカ」と評されている。カフカは不条理な小説を書く作家だ。「穴」も不条理な小説だ。あさひは夫の転勤の都合で、夫の実家の隣にある一軒家に引っ越す。あさひは仕事を辞めて家事だけをする生活になり、あまりの環境の変化に呆然とする。

ある日、あさひはコンビニに行く途中で、「黒い獣」を目撃する。犬にも猫にも見えないその獣を思わず追いかけていると、あさひは穴に落ちるのだった。そこから抜けられずに困っていると、近所に住む女性が通りかかって助けてくれる。そこからコンビニ行くと、今度は子どもに囲まれてしまうのだった。おかしなことが次々と、静かに起こっていく。「穴」に出てくる人物は常に携帯電話を離さない夫や、いつも地面に水を撒いている義祖父、なぜか子どもに慕われている中年男性など、一つ一つは私たちが日常生活でも見るような光景が描写される。

しかし、それがなんだか奇妙な世界への叫びとなっているのだ。この作品を読んだ後に、ふと目にした光景の裏側を考えると、私たちの想像力は活発になっていくだろう。