7月31~8月4日(教養講座:渋沢栄一の「論語と算盤」)

2023.08.04メルマガ

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年7月31日号(転送禁止)~~~

HPにアップしました→ 研修の感想文①「憂鬱な作文が楽しくなった」 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com) 7月31日からの教養講座は「渋沢栄一の論語と算盤」 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)

***デイウッチ(28~30日)

長期金利0.5%超え容認 日銀が政策修正、上限1%―総裁、物価目標へ「まだ距離感」:時事ドットコム (jiji.com) →日経新聞の事前報道は的中した。黒田前総裁はあまりに政治的だったが、植田総裁は経済重視の正統派のようだ。物価上昇が続けば、今後も着実に修正し正常化に向かうだろう。黒田バズーカの弊害が大きすぎるので、修正に伴う副作用も考慮して慎重に進める見込み。

最低賃金1002円で決着 初の大台、過去最大の41円上げ―厚労省審議会:時事ドットコム (jiji.com) →望ましい決定だ。「中小企業がつぶれる」という悲鳴は常にあるが、日本人の人件費はあまりに低く抑えられ、人手不足時代を考えれば、支払えるように頑張るしかない。マクロ経済には間違いなくプラスだ。

福島 「相馬野馬追」 騎馬武者が旗を奪い合い本陣山を駆け上る | NHK | 福島県 →コロナ前と同規模で実施したのは4年ぶり。勇壮な祭りが戻ってきた。今年は各地で祭りと地域の絆が復活している。甲子園出場校が出そろったが、華やかな応援風景も4年ぶりに戻って来る。

「事件性はない」警察庁長官の発言に 警視庁捜査一課の元捜査員が反論会見 (msn.com)  木原氏妻が人権救済申し立て 週刊文春の報道巡り:時事ドットコム (jiji.com) →週刊文春が孤軍奮闘している。常識的に見て捜査員の証言は信ぴょう性が高い。決定権は警視庁にあるので、事態が動くのは難しそうだが、岸田首相最側近である木原副長官へのダメージは大きい。

*** 「今日の名言」

◎李登輝(第4代中華民国総統。2020年7月30日、97歳で死去)

「22歳まで、自分は日本人であった」 「日本精神の良さは口先だけではなく、実際に行う、真心をもって行うところにある」 「新渡戸稲造と後藤新平。この2人の日本人が強い信念と信仰心を持ちなさいと教えてくれた。そこで精神的につながっていると私は感じている。2人は台湾近代化の恩人であると同時に、私の先生でもある」  「生涯をかけて台湾の民主化を大きく進展させることができたのは、私にとって最大の誇りだと思っている」  「西田幾多郎の『善の研究』、和辻哲郎の『風土』、ゲーテの『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』、ドストエフスキーの『白痴』、トルストイの『戦争と平和』など、私の人生観に影響を与えた本は多い」 「指導者は理想や考えを示すだけではだめで、実践して初めて意味を成す」 「日本の経済発展は、台湾にとって偉大なる教師だったことは間違いがない。ことに台湾が産業化していく初期の段階は、ほとんど日本が戦前・戦中に残していった工場や道路などのインフラ、経営法や技術などの経済資源だけで開始したといっても過言ではない」

*** きょうの教養 (渋沢栄一①)

渋沢栄一は「日本資本主義の父」と言われる明治時代の実業家です。大河ドラマの主人公になったので、知っている人も多いと思いますが、代表的著作は「論語と算盤」です。経営と道徳の関係について、10章でまとめており、ちくま新書から現代語訳が出ています。今回は第2章「立志と学問」から紹介します。

◎現在に働け

私は明治維新後まもなく大蔵省(現財務省)の役人となったが、当時日本には物質的科学的な教育がほとんどなかった。武士への教育にはレベルの高い内容が用意されていたが、農工商に携わる人への学問はほとんどなかった。 海外との交流が盛んになったのに教育に対する知恵や見識などなかったのだ。一橋の高等商業学校(現一橋大学)は1875年に出来たものであるが、 何回も廃校させられそうになった。商人に高い知識などいらないと思っていたためである。私は海外と交流して行くためには、科学的知識が必要であると声をからして叫んできた。幸いにも少しずつその機運が起こり、1884~85年には盛り上がりを見せ、まもなく才能と学問共に備わった人が輩出されるようになった。

それ以後、今日までわずか30~40年という短い年月、日本は外国にも劣らないくらい物質文明が進歩した。しかし、大きな弊害も生じたのである。徳川時代に教育された武士の中には、レベルが高く視野の広い気質や行いの持ち主も少なくなかった。ところが今日の人にはそれがない。富は積み重なっても、武士道とか社会の基本的な道徳がなくなっている。精神教育が全く衰えていると思うのである。我々も物質文明の進歩に微力ながら全力を注ぎ、今日では有力な実業家を全国いたるところに見るようになった。国の豊かさも大いに増大した。ところが人格は明治維新前よりも退歩したと思う。物質文明が進んだ結果、精神の進歩を害したと思うのである。

私は常に精神の向上を富の増大とともに進めることが必要であると信じている。人はこの点から考えて、強い信仰を持たなければならない。私は農家に生まれたから教育も低かった。しかし幸いにも中国古典の学問を修めることができたので、ここから一種の信仰を持つことが出来た。私は極楽も地獄も気にかけない。ただ現在において正しいことを行ったならば、人として立派なのだと信じている

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***デイウッチ(7月31日)

保険証廃止、1日に閣僚協議 岸田首相、24年秋の延期視野:時事ドットコム (jiji.com) →来年秋を目指して走ってきたが、ミスが頻発し、内閣支持率も下がっている。事務を任されて批判される自治体の不満と疲弊感も強い。もともと無理があった。「過ちを改むるにはばかることなかれ」となるかどうか。

中学「英語」 話す力や書く力に課題 全国学力テスト 結果公表 | NHK | ニュース深掘り →中学校英語の「聞く、読む、書く」の正答率は46.1%、「話す」は12.4%と低い。日本人なら誰でも実感するだろう。簡易翻訳機のポケトークがあり、AIでさらに高機能になるだろう。こうした機器を使って実用英語を修得した方がいいのではないかと思う。

22年度男性育休、過去最高も17% 大企業6月調査は46% – 日本経済新聞 (nikkei.com) →男性の育休取得は、企業のジェンダー平等の試金石になっている。10年前の10倍近い水準だが、まだ17%。大企業は46%と高いが、それでも「期間が短い」「取りにくい雰囲気」という声は聞かれる。形式にとどまらず、男性が育児でいろいろと気づくことが重要だろう。

ビッグモーターと損保7社に報告命令 不正請求で、取引実態解明へ―金融庁:時事ドットコム (jiji.com) →ビッグモーター問題で金融庁も動いた。損保ジャパンなどは「知らなかった」とビッグモーターを悪者にして逃げ切りたいところだが、出向者も出しているので難しい。焦点は処分の内容。

異次元緩和にギャンブルの懸念 総裁交代、「2年で物価2%」へ一変―日銀の13年上期議事録:時事ドットコム (jiji.com) →黒田バズーカの舞台裏。2%の物価目標や政府との共同声明が焦点。白川総裁は否定的、黒田総裁は積極的。「ギャンブルだ」という声も出て、審議委員でも意見が割れた。独立性強化で日銀法が改正されたが、誕生したばかりの安倍政権が玄関から乱入した感じだ。

*** 「今日の名言」

◎ウィリアム・ブライアン(米の政治家、民主党から3回大統領候補。1925年7月26日は命日)

「運命は偶然ではない。それは選択の問題だ。待つのではなく、達成することだ」  「自信をつけるためには、あなたが怖がっていることをし、成功体験を獲得することだ」 「他者への奉仕が偉大さの条件である。それが真実だ。人間同士の論争や戦いのほとんどは、相手から何かを奪おうとするところから生まれる。だが、私たちの目的がお互いのために何かをすることなら、平和が訪れる。人生の神聖さの条件は、すべての他者の福祉に対する貢献である」 「少数派が正しいときは、少数派と一緒に闘うことを恐れないでほしい。正しい少数派がいつかは多数派になるからだ。

信じる人だけが、一見不可能にも見える試みができるものだ」 「地球上でこれまでに起きた巨大なことは、少しずつ行われてきた」 「自らの魂を売り渡したいという誘惑のほとんどは、お金を稼ぐことと関係している」 「雄弁なスピーチは口から耳へではなく、心から心へ届くものだ」 「愛国心とは無形で、目に見えないが、それでも永遠のものである」

(3回の大統領選に立候補したが、いずれも落選。ウィルソン政権で国務長官を務めた。1896年民主党全国大会で「金の十字架演説」を行い、金本位制と大都市の富裕層を攻撃し、銀貨の増加を中心としたインフレ政策を主張。米西戦争の後、米帝国主義の猛烈な反対者となった。苦しむ一般庶民の救済を訴え、東部の富裕層と米帝国主義を攻撃したことから、一般大衆から絶大な支持を受け、米政治史上、最も影響力のあった4人のうちの1人といわれる)

*** きょうの教養 (渋沢栄一②)

◎自ら箸を取れ

青年たちの中には仕事がしたいのに、頼れる人がいないとか、応援してくれる人がいないとか嘆く者がいる。しかし、その人に手腕があり、優れた能力があれば、若いうちから有力な知り合いや親類がいなくても、世間が放っておくものではない。今の世の中には人が余っている。しかし、これなら大丈夫と安心して任せられる人物は少ない。どこに置いても優秀な人物ならば、いくらでも欲しがっている。

人材登用のお膳立てをして我々は待っているのだが、お膳を食べるかどうかは、箸を取る人の気持ち次第でしかない。ごちそうを作った上に、それを口に運んでやるほど先輩や世の中は暇ではないのだ。かの木下藤吉郎(豊臣秀吉)は賤しい身分から身を起こし、関白という大きなご馳走を食べた。けれども彼は主人の織田信長に養ってもらったのではない。自分で箸を取って食べたのである。仕事をしてやろうとする者は、自分で箸を取らなければ駄目なのだ。

誰が仕事を与えるにしても、経験の少ない若い人に初めから重要な仕事を与えるものではない。藤吉郎のような大人物であっても、初めて信長に仕えたときは草履というつまらない仕事をさせられた。「俺は高等教育を受けたのに子ども扱いで算盤をはじかせたり、帳面をつけさせたりするのはバカバカしい。先輩なんて言うものは人材も経済も知らないものだ」と不平を言う人もいるが、まったく間違っている。先輩がこの不利益をあえてするのには、大きな理由がある。その理由はしばらく先輩の胸算用に任せて、青年はただその与えられた仕事に集中しなければならない。

若いうちは気が大きくなって些細な事を見ると、「なんだこれくらい」と軽蔑する癖がある。しかしそれが後日の大問題を引き起こしてしまわないとも限らない。些細な事を粗末にするような大ざっぱな人間では、所詮大きなことを成功させることはできない。水戸光圀公の壁書きの中に「小さなことは分別せよ。大きなことに驚くな」としたためられているが、何事もこの考えでなくてはならない。秀吉が信長から重用されたのもまさにこれであった。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年8月2日号(転送禁止)~~~

***デイウッチ(1日)

7月の全国の平均気温 100年余で最高 今後も猛烈な暑さ予想 | NHK | 気象 →7月の暑さは過去100年余りで最高だった。関東周辺では1日、激しい雷雨で気温はやや下がったが、被害も出た。2日以降は再び猛暑という。沖縄は台風接近で風雨が強まっている。列島はいつもどこかで異常気象。地球は大丈夫だろうか。

習氏、「一帯一路」影響力誇示 5カ国首脳と相次ぎ会談―中国:時事ドットコム (jiji.com)  米中、ワシントンで局長協議 外相訪米の事前調整か:時事ドットコム (jiji.com) →米中の陣取り合戦が激しい。習主席はユニバーシティ大会を利用して、グローバルサウスなどに一帯一路を売り込んでいる。一方、米中の協議も活発なっている。どう進むかは見えないが、対決構図は単純ではない。

自民 松川るい氏 仏研修中エッフェル塔前で撮影写真投稿 陳謝 | NHK | フランス 木原副長官、文春報道で刑事告訴 立民質問状に回答:時事ドットコム (jiji.com) →国会閉会中で夏休み気味の政界が、話題を提供している。自民党女性局は陳謝して幕引きのようだ。木原副長官の件は、捜査への圧力の立証がカギだが、権力内部の話で証拠の発見は簡単ではない。内閣改造での処遇が焦点か。

「X」の看板を撤去 地元住民から苦情―旧ツイッター:時事ドットコム (jiji.com) →何かとお騒がせのイーロン・マスク。スマホのツイッターマークも「X」に変わっている。よくわからない。

*** 「今日の名言」

◎杉原千畝(外交官、第2次大戦中、ユダヤ人難民にビザを発給して6000人以上救う。1986年7月31日が命日)

「私がしたことは、外交官としては間違ったことだったかもしれない。しかし、私には頼ってきた何千人もの人を見殺しにすることはできなかった。大したことをしたわけではない。当然のことをしたまでです」 「旅行書類の不備だとか、公安上の支障云々を口実にビザを拒否しても構わないというのか?それが果たして国益に叶うことだというのか?(妻に対し)ビザを発行しようと思うんだけど、どう考える?ビザを発行すると、我々もドイツに捕まってしまうかもしれない。人道的な観点から、ビザの発給を拒否する事はできない。私たちと同じ立場の人が仮に百人いたとしても、このユダヤ人たちを助けようとしないかもしれない。でも僕たちはやろうか。人間としての資質をもち、この手でユダヤ人を救おう。私を頼ってくる人々を見捨てるわけにはいかない。私がビザを書かなければ必ずこの人たちは不幸な目に遭う。命がなくなる。まったく戦争には関係ない女性だとか子どもたちだ。ここは人として当たり前のことをしよう」 「外務省から罷免されるのは避けられないと予期していたが、1940年8月31日に列車がカウナスを出発するまでビザを書き続けた」 「世界は大きな車輪のようなものですからね。対立したり争ったりせずに、みんなで手を繋ぎあって回っていかなければなりません。では、お元気で。幸運を祈ります」

*** きょうの教養 (渋沢栄一③)

◎立派な人間の争いであれ

私のことを、絶対に争いをしない人間であるかのように思っている人が、世間には少なくないように身受けられる。好んで他人と争うことはしないが、全く争いをしないというわけではない。正しい道をあくまで進んでいこうとすれば、争いを避けることは絶対に出来ないものなのだ。

何があっても争いを避けて世の中をわたろうとすれば、善が悪に負けてしまうことになり、正義が行われないようになってしまう。私はつまらない人間だが、正しい道に立っているのに悪と争わず、道を譲ってしまうほど、円満で不甲斐ない人間ではないつもりである。人間はいかに人格が円満でも、どこかに角がなければならない。古い歌に回るようにあまり円いとかえって転びやすくなるのだ。

わたしは世間で思われているほどに、決して円満な人間ではない。一見そう見えたとしても、実際はどこかでそうでないところがあると思う。若い時はもとより 70歳の坂を超えた今日になっても、私の信じるところを揺り動かし、これを覆そうとする者が現れれば、私は断乎としてその人と争うことをためらわない。私が信じて正しいとするところは、いかなる場合においても決して他に譲ることはしない。

人には年寄りだとか若いとかに関係なく、誰でも私のように「これだけは譲れない」というところがぜひあって欲しいものである。そうでないと、人の一生というものが、まったく生きがいのないものになってしまう。人の品性は円満に発達した方が良いと言っても、あまり円満になり過ぎると「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」と論語で孔子が言っているように、人として全く品性がなくなってしまう。

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HPにアップしました→ 研修の感想文②「思考力が対応力になる」 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)

***デイウッチ(2日)

台風6号【被害3日時点】沖縄県 2人死亡 58人けが 約16万戸で停電 | NHK | 台風 →沖縄が台風で大変な状況になっている。大規模停電が起こり、エアコンが使えない。暴風雨で外に出られず、日常生活にも支障が出ている。甲子園出場の沖縄尚学や旅行客は足止めで、メドも立たない。何回書いたかわからないが、「地球が悲鳴を上げている」。

保険証 廃止方針は維持で調整 「資格確認書」活用を協議 政府 | NHK | マイナンバー →延期の観測もあったマイナ保険証だが、現状の廃止方針を維持し、岸田首相が4日に会見する見通し。官邸や自民党は延期に傾いたが、延期はパンドラの箱を開けると厚労省が強硬に反対したようだ。しかし、不具合続発を何とかしないと延期論が再燃するだろう。

米大統領選巡りトランプ氏起訴 20年の敗北転覆企て―「うそで議会襲撃あおる」:時事ドットコム (jiji.com) →3つの異なる事件で起訴されたことになる。大統領経験者として初めて起訴されたトランプ氏だが、共和党の大統領候補としては最有力という。これまでも前代未聞だが、これからも前代未聞だ。アメリカよ、しっかりしないと世界は見放しかねない。

山口・上関町に中間貯蔵施設 中国電、関電と共同調査申し入れ:時事ドットコム (jiji.com) →山口・上関が原発で再びニュースになった。中国電力が前面に出ているが、主役は原発敷地内での貯蔵が限界にきている関西電力。両社はカルテル事件を起こした関係だ。原発の賛否を超えて、稼働してしまった以上、中間貯蔵施設はないと困る。まずは町議会の対応が焦点。

損保大手4社に追加報告命令へ 企業向け価格調整問題で―金融庁:時事ドットコム (jiji.com) →損保業界はビッグモーターとダブルパンチ状態。企業向け保険の価格調整は業界慣行の側面もあり、根が深そうだ。

*** 「今日の名言」

◎ウィンストン・チャーチル(英国首相。首相として1945年7月17日からのポツダム会談に出席、7月26日の総選挙で敗北し辞任。8月2日、ポツダム会談終了)

「日英同盟の廃棄は、歴史の悲劇的な一章となるかもしれない。日本は同盟の廃棄を、日本による人種差別撤廃要求に対する侮辱的な回答を受け止めたが、英米はこの点について理解不足であった。廃棄は間違いであった」 「満州事変で日本人が中国で行っていることは、我々がインドで行っていることと同じである」 「日本との戦端を開いたことは、大英帝国史上、最大の悲劇であり、大惨事であった」 「(1945年7月にベルリン郊外のポツダムでトルーマン米大統領に対して)日本は『無条件降伏は受け入れられないが、ほかの条件については妥協してもいい』と言ってきたそうですな。私は、もしも日本に無条件降伏を無理強いすれば、米国が被る大変な人的損害と、英国の損害も予想します。将来の平和と安全のために必要な物を全部持たせ、日本に軍事的名誉を保たせる何らかの見せかけ、日本の国家的存在の何らかの保証を残してやれるような、何らかの別の形でこれを表せるかどうかを考えてみたのです(これに対し、原爆投下による終戦を構想したトルーマン大統領は「私は真珠湾以後、日本にはいかなる軍事的名誉もないと思っています」と返答した)」  「私はインド人を憎み、獣のような人々だと認識している。ウサギのように繁殖している」 「(イラクについて)文明化されていない部族に対して毒ガスを使用することに強く賛成です。道徳的効果は非常に優れているため、人命の損失を最小限に抑える必要がある」

*** きょうの教養 (渋沢栄一④)

◎社会と学問の関係

もともと人情にはこんな陥りがちな欠点がある。成果を焦って大局を見ることを忘れる。目先の出来事にこだわってわずかな成功に満足してしまうかと思えば、それほどでもない失敗に落胆する者が多いのだ。高学歴で卒業した者が社会での現場経験を軽視し、現実の問題を読み誤るのは多くの場合、このためなのである。この間違った考えは改めなければならない。参考として学問と社会の関係で考察すべき例を挙げてみよう。

地図をみる時と実地に歩いてみる時は違う。地図を開いて目をこらすと、世界全体が一目で見渡せる。国々や各地方はごくわずかな範囲に収まってしまう。小川や小さな丘、土地の高低や傾斜の具合までよくわかるようにできている。しかし、それでも実際と比較してみると予想外のことが多い。深く考えようとせず、よく知ったつもりで実地に踏み出してみると、どうしていいかわからなくなって迷ってしまうこと請け合いだ。

山は高いし、谷も深い。森林はどこまでも続き、川は広く流れている。そんな合間に道を進んでいくと、高い山に出会っていくら登っても頂上に行き着けないようなことがある。大河に阻まれて途方に暮れてしまうこともあるだろう。道路が回り道になって、簡単には進めない時もある。深い谷に入っていつ出られるのかと思うような時もある。いたるところに困難な場所を発見する。この時信念が固まっていず、大局を見る見識もなければ、失望や落胆に駆られ勇気など出てこないだろう。あてどなくうろうろする羽目になって、ついには不幸な終わりを迎えるに違いない。

この一例は学問と社会との関係に照らし合わせて考えてみると、すぐにわかることだと思う。社会の出来事が複雑なことを事前にいくら知ったつもりで備えをしていても、実際には不意を突かれることが多い。学生はより一層の注意を払ってこのことを研究しておかなければならない。

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***デイウッチ(3日)

秋本政務官、風力発電会社から3千万円受領か 東京地検、贈収賄視野:朝日新聞デジタル (asahi.com) →朝日新聞が詳しい。収賄で名前が挙がっているのは自民党の秋本真利外務政務官で、国交政務官時代に風力発電の法案にかかわった。贈賄側社長は三井物産OB。再エネの柱とされる風力発電ブームに影響するかどうか。

日大アメフット部寮から覚醒剤成分 錠剤に、大麻も見つかる―容疑で家宅捜索・警視庁:時事ドットコム (jiji.com) →「悪質タックル」で問題になった強豪の日大アメフト部で、大麻疑惑が浮上。「大麻は安全」と考える若者が増え、ラグビー部中心に学生スポーツをむしばんでいる。林真理子理事長の手腕にも注目が集まる。

台風6号最新情報(4日5時)沖縄に再接近へ 高波と高潮に厳重警戒を | NHK | 台風 →強い勢力を維持して迷走する台風6号は沖縄に最接近するようだ。これから日本列島への影響も予想される。厄介な奴だ。

仙台育英は浦和学院と初戦、履正社は鳥取商と 夏の甲子園組み合わせ – 高校野球:朝日新聞デジタル (asahi.com) →夏の甲子園の組み合わせが決まった。例年に比べて突出した有力校はなく、混戦模様だ。優勝候補の一角で2連覇がかかる仙台育英は初日、強豪の浦和学院と対戦する。猛暑の中、次代を担うスターは生まれるか。

長期金利、一時0.655%まで上昇 9年7カ月ぶり高水準―円安進行、株は2日で1300円下落:時事ドットコム (jiji.com) →日銀の政策修正に米国債格下げが加わって金融市場が激しく動いている。日本は債券、円安、株安のトリプル安。しばらくは新たな均衡点を求めてさまようだろう。短期利益を狙うプロには投機のチャンス、一般投資家は慎重な見極めが必要だ。

*** 「今日の名言」

◎赤塚不二夫(漫画家。2008年8月2日は命日)

「自分が最低だと思っていればいいのよ。一番劣ると思っていればいいの。そしたらね、みんなの言っていることがちゃんと頭に入ってくる」 「自分が偉いと思っていると、他人は何も言ってくれない。そしたらダメなんだよ。てめぇが一番バカになればいいの」 「利口よりバカが英雄なのだ」 「バカボンのパパってさ、別にラクして生きてるわけじゃないんだよ。どうすれば家族を幸せにできるかを考えながら、一生懸命ガンバってるわけ」 「頭のいい奴は、わかりやすく話す。頭の悪い奴ほど、むずかしく話すんだよ」 「ウケるためなら、死んでもいい」 「最後につじつまがあってりゃ、何やってもいいんだよ」 「差別っていうのはさ、言葉じゃなくて心の中にあるんだよな。「こういうことを言わないようにしようぜ」って言いながら、心の中で思ってることが最低なんだ」 「世の中に友情と欲情ほど良いものはない」 「努力もしたよ。売れるまでは必死に勉強した。いまの漫画の世界はどうなっているのかなって、人の漫画を読んだり、手塚治虫先生のストーリー漫画を読んで、あのスケールの大きさを感じて、『あれは先生のものだから、自分は違う道を行こう』と考えたりした」 「結局、オレたちの場合、やりたいことがはっきりあったってだけのことかもしれない」 「これでいいのだ」

*** きょうの教養 (渋沢栄一⑤)

◎一生涯に歩むべき道

17歳の時、武士になりたいという志を立てた。その頃の実業家は百姓とともに卑しいとされ、人間以下の扱いを受けていたからだ。家柄が重視され、武士の家に生まれれば、知識や能力のない人間でも社会の上位を占めて権力を振るうことができた。私はこれがとても癪に障り、何が何でも武士なくてはダメだと考えた。その頃私は、中国古典の学問を少々学んでいた。その知識を生かして「日本外史」などを読むにつけ、政権が朝廷から武士達の手に移った経緯がはっきり分かるようになっていった。低い身分で終わるのがいかにも情けなく感じられ、いよいよ武士になろうという気持ちを強めていった。

今日の言葉を借りれば、政治家として国政に参加してみたいという待望をいだいたのであった。これが故郷を離れて、流浪する間違いをしでかした原因であった。後年、大蔵省に出仕するまでの間、ほとんど無意味に空費した。最後に実業界で身を立てようと志したのがようやく明治4~5(1871~72)年頃のことで、その時が本当の立志であったと思う。もともと自分の性質や才能から考えて、政界に身を投じることは向かない方向に突進するようなものだと気がついた。欧米諸国が強さを誇った理由は、商工業の発達である。現状のままでは、日本はいつまでたっても彼らと肩を並べられない。国家のために商工業の発達を図りたいという考えが起こり、初めて実業界の人になろうと決心がついたのである。

この志が40年以上続いて変わらないものであったところを見ると、本当に自分の素質にかない、才能にふさわしいものであったことが分かる。自分に自分を知ることのできる見識があって、15~16歳の頃から商工業に向かっていたとしよう。現在の渋沢以上の渋沢が生まれていたかもしれない。残念ながら全く方向違いの仕事に無駄に使ってしまった。志を立てようとする青年は、是非ともこの失敗を教訓にするのが良いと思う。