8月7~11日(教養講座:東条英機伝)

2023.08.11メルマガ

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***デイウッチ(4~6日)

岸田首相「核廃絶へ行程表示す」 広島ビジョン批判に反論:時事ドットコム (jiji.com)  「核兵器ゼロの世界に」 早期実現へ、被爆者ら期待―広島:時事ドットコム (jiji.com) →核廃絶が簡単でないことはわかっているが、地元広島の岸田首相には淡い望みも抱く。中身の乏しい岸田流を卒業し、裂ぱくの気合で世界を動かすニュー岸田流を期待したいが…。

日大アメフト部員を逮捕 寮で覚醒剤と大麻所持容疑―情報複数回、乱用防止教室も・警視庁:時事ドットコム (jiji.com) →日大アメフト大麻疑惑で逮捕者が出た。8日に林真理子理事長が会見する。直前に「大麻の存在は未確認」と完全否定していただけに、釈明と改革に向けた姿勢が焦点。日大にとっては大学の命運がかかる重要な会見になる。

ジャニーズ性被害問題 “数百人巻き込まれたか” 国連作業部会 | NHK | 国連 →国連は人権保護に最も積極的な組織と言っていい。性被害を受けた当事者たちも驚いた。ジャニーズ問題に今後、どんな影響を与えるか注目。

議員会館で現金1千万円受領か 秋本議員、風力発電会社長から1回で:朝日新聞デジタル (asahi.com) →朝日新聞が引き続きリードしている。馬主組合への出資がわいろになるかどうか。微妙な感じもあるが、銀行振り込みではなく、議員会館で受領していたとなると疑惑も深まる。こうした情報がさらに表面化して、地検ペースになるのだろう。

保険証24年秋廃止、当面維持 資格確認書、一律交付―岸田首相、マイナ混乱「おわび」:時事ドットコム (jiji.com) →大山鳴動して何とやらの感もあるが、トラブルは続きそうで、いつまた鳴動するかわからない。マイナ問題は、与野党の政局もからんで続きそうで、政権にはしばらく地雷原となる。

*** 「今日の名言」

◎本田宗一郎(ホンダ創業者。1991年8月5日が命日)

「苦しい時もある。夜眠れぬこともあるだろう。どうしても壁がつき破れなくて、俺はダメな人間だと劣等感にさいなまれるかもしれない。私自身、その繰り返しだった」 「私は若い社員に、相手の人の心を理解する人間になってくれと話す。それが哲学だ」 「社長なんて偉くも何ともない。課長、部長、包丁、盲腸と同じだ。要するに命令系統をはっきりさせる記号に過ぎない」  「人を動かすことのできる人は、他人の気持ちになれる人である。その代わり、他人の気持ちになれる人というのは自分が悩む。自分が悩んだことのない人は、まず人を動かすことはできない」 「人類の歴史の中で本当に強い人間などいない。いるのは弱さに甘んじている人間と、強くなろうと努力している人間だけだ」 「成功は99%の失敗に支えられた1%だ」 「独創的な新製品をつくるヒントを得ようとしたら、市場調査の効力はゼロとなる。大衆の知恵は決して創意などはもっていないのである。大衆は作家ではなく、批評家なのである」 「失敗もせず問題を解決した人と、十回失敗した人の時間が同じなら、十回失敗した人をとる」 「自動車メカの経営者が車の渋滞を起こすような、派手な社葬などしてはいけない」  「チャレンジして失敗を恐れるより、何もしないことを恐れろ」 「日本人は、失敗ということを恐れすぎるようである。土台、失敗を恐れて何もしないなんて人間は最低なのである」

◎本田宗一郎とトヨタ創業者を比較しながら書いた私の著書です。ともに遠州出身で、朝日新聞静岡版に昨年春まで1年間連載しました。詳しく知りたい方は是非どうぞ! 面白いです→ 宗一郎と喜一郎 (ホンダとトヨタとニッポンの物語) | 長谷川 智 |本 | 通販 | Amazon

*** きょうの教養 (東条英機①)

日本列島は6日の広島原爆忌を皮切りに慰霊の夏を迎える。第二次世界大戦をめぐる歴史は、日本人として基本的な教養といえる。今回は開戦当時の東条英機首相の足跡をたどり、考えてみたい。古川隆久・日大教授が書いた「日本史リブレット人100 東条英機」(山川出版社)を参考文献とした。

◎幼少時代から陸軍大臣

東條英機は1884(明治17)年12月30日、陸軍中尉の三男として東京に生まれた。父は、陸軍の大御所・山県有朋と相性が悪く、不遇感を抱いて退役し、軍事評論家となった。東条は学習院初等科を経て、東京府立第四中学に進み、陸軍東京幼年学校、陸軍士官学校、陸軍大学校という陸軍の学校で学んだ。完全な陸軍ファミリーである。

陸軍の学校では、軍人勅諭とエリート意識を徹底的に教え込まれた。軍人勅諭は、自由民権運動を強く警戒する山県が主導した。天皇を軍に対して直接統治する大元帥と位置付け、国家の重要性を強調している。東条は幼年学校時代には下位の成績だったが、徹底した教科書の暗記で力をつけ、陸軍大学校では56人中11位の上位で卒業した。

東条は陸軍に入り、高い事務能力を認められ、ドイツに駐在した。事実上の留学で、出世コースだった。日本では立憲政友会と憲政会(後の立憲民政党)の政党内閣時代が続き、軍の影響力は弱まり、軍縮も進んだ。政党は「軍人官僚内閣への後戻りはない」と油断し、政争に明け暮れていた。

世界恐慌の影響で日本も不況に陥ったが、政党内閣は十分に対応できなかった。陸軍内部では不況で疲弊する農村の復興を要求する皇道派と、軍としての統制を重視する統制派の対立が激しくなる。東条は統制派に属し、人事抗争の影響も受けて、満州に駐在する関東軍の憲兵隊長に転属した。格下とみられていたポストだが、1936年の2.26事件で満州の反乱部隊を手際よく取り締まり、評価を高めた。この事件で上層部が大量に退役したこともあり、その後はとんとん拍子に出世の階段を駆け上り、1938年には陸軍次官、1940年7月には陸軍大臣に就任した。

陸軍教育のあり方については、昭和天皇が「陸軍はすべて物事を主観的に見る。その伝統は幼年学校以来の教育が偏っているからだ。手段を選ばず独断専行をはき違えた教育」と痛烈に批判したこともあるが、東条はその陸軍の代表となった。

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***デイウッチ(7日)

国家公務員の「週休3日」導入を勧告 “官僚離れ” 解消なるか | NHK | 働き方改革 初任給上げ、33年ぶり1万円超 公務員月給は3869円増―「選択的週休3日」拡充・人事院:時事ドットコム (jiji.com) →国会待機の残業を減らさない限り、東大生の官僚離れは進むだろう。他大学卒が増えることで、官僚の多様性が高まってプラスという発想も必要だ。

福島処理水、今月下旬にも放出 日米韓首脳会談後に決定―政府調整:時事ドットコム (jiji.com)  処理水放出 岸田首相“漁業関係者との信頼関係 少しずつ深まる” | NHK | 福島第一原発 処理水 →政府が着々と外堀を埋めている。自然を生業とする漁協は最後まで反対を貫くだろう。担当の西村経産相は放出を実現し、安倍派と党内での影響力アップも狙っている。

秋本議員、「馬購入費」求める 風力発電社長にメール―多額資金受領・東京地検:時事ドットコム (jiji.com) →秋本議員に不利な地検発の情報が流れ始めている。五輪汚職で札幌冬季五輪ブームはしぼんだ。秋本議員を擁護するつもりはないが、再エネブームがしぼむのは国民にマイナス。

北戴河で非公式会議開催か 更迭人事の対応焦点―中国:時事ドットコム (jiji.com) →北京の動きは世界の関心を集める。しかし、情報は出ない。

*** 「今日の名言」

◎ラビンドラナート・タゴール(インドの詩人、アジア初のノーベル文学賞。1941年8月7日が命日)

「私は日本現代史の入り口に大きく『適者生存』という標語が科学から借用して書かれているのを見る。その標語の意味は『自分自身を助けよ。それによって他人が犠牲になっている内容など気にするな』である」 「日本人は美の王国全体を手に入れた。日本人は目に触れる物すべてに対して心細やかな思いやりがあり、少しも疎かにすることがない。ほかの国では才能豊かな人や真のユーモアを解する人々の間にみられる美意識が、この国では全国民の間に広がっている」  「日本人は、自分の家の内に、外に、至るところに、美に対して自分の礼拝の捧げ物を捧げている。美に対してこれほどの心を込めた尊敬は、ほかのどこでも見たことがない。これほど周到に、これほど大切に純粋さを護って、美に接していく術を学んだ民族は、ほかのどこにもない」 「私は日本から来た一人の偉大な独創的人物(岡倉天心)に接したとき、真の日本に出会いました。この人は長い間、私どもの客となり、そのころのベンガルの若い世代に計り知れないインスピレーションを与えました。彼が私どもの中で私どもと共に過ごした日々は、青年たちにとって歓喜と熱情にあふれた素晴らしい日々でした。熱烈な愛をもって、彼は当時の青年たちと一体となり、青年たちは今も彼を覚えています。彼が原動力を与えた運動は、今も私どもの地方で進んでいます」 

*** きょうの教養 (東条英機②)

◎陸相から首相へ

1940年7月、枢密院議長だった近衛文麿が2回目の首相に就任した。国内では全体主義で団結して戦争中の中国を威圧し、国外では電撃戦で西ヨーロッパを制圧したドイツと軍事同盟を結んでアメリカを牽制しようという考えがあった。東条英機はこの第2次近衛内閣の陸相となる。近衛は陸軍の要望を先取りすることで、陸軍の政治介入を抑えようという思惑もあり、1940年9月に日独伊三国同盟を締結、10月には大政翼賛会をつくった。

近衛は1941年7月に第3次内閣を組閣するが、この頃から東条は陸軍内部だけでなく政界でも注目されるようになった。三国同盟や東南アジアでの勢力争いで日本との緊張を高めた米国との関係が背景にあった。天皇や近衛は、米国との戦争を避けたかったが、陸海軍では開戦論が台頭する。特に陸軍を代表する東条は強硬だった。多大な戦費と人的犠牲を出している日中戦争を勝てないまま止めるのでは、兵士の士気が落ちて陸軍が崩壊し、国民に対する威信も失われると譲らなかった。

陸軍を抑えきれないと判断した近衛は、退陣を決意し、後任として皇族で陸軍大将の東久邇宮稔彦王を考えた。しかし内大臣の木戸幸一は、「皇室の権威が危機にさらされる可能性がある」として、後任には東条を推薦する。「東条も責任ある立場に立てば慎重に考えるはずだ」と考えたのである。東条は驚いたが、41年10月に首相に就任。律義で真面目な性格だったため、戦争を避けたい天皇の意向を実現するよう努力した。外相には開戦慎重派の東郷茂徳を選んだ。天皇も忠実な東条を評価し、「一生懸命仕事をやるし、平素言っていることも思慮周密でなかなか良いところがあった」という独白が残されている。

しかし対米交渉は難航し、11月末に日本に厳しい条件を突きつけた「ハル・ノート」が伝えられる。日本は12月1日の御前会議で8日の開戦を決定した。家族の話によると、東条は開戦前夜、首相官邸の私室で一人泣いていたという。「責任の重さに恐怖感を持った」と言われているが、天皇への強い思いの発露という見方もある。

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***デイウッチ(8日)

日大 林真理子理事長が会見で謝罪 アメフト部員逮捕で | NHK | 事件 →林真理子理事長は謝罪し、改革を強調した。不祥事は初動で、「たいしたことない」と思うか「大変な事態」と考えるか、見立てが重要になる。警視庁への相談は管轄外の日大OBだったという。事後に「あの時、こうしていればよかった」と思うことは多い。失敗から学ぶしかない。ニュース判断も最初の見立てが重要だ。

岸田首相「11月末までに点検」 「保険証」誤登録、新たに1069件―マイナ問題で中間報告・政府:時事ドットコム (jiji.com)  「気が遠くなるような話」 マイナ問題総点検、自治体側が苦悩 – 産経ニュース (sankei.com)→時期を区切って問題を整理するのは、行政運営の常道。問題はミスが終息するか、さらにどんどん出てくるか。政権の行方を左右する。自治体現場の負担は続く。

自民 麻生副総裁“「戦う覚悟」が地域の抑止力に” 台湾で講演 | NHK | 台湾 →麻生元首相が台湾で吠えた。「戦う覚悟」を強調し、抑止力の内容を詳しく説明した。本当に抑止になるか、緊張を高めるか。いかにも政治家風の発言なので、「戦う」を100%真に受ける向きは少ないと思われるが、野党から批判の声が上がっている。

中国軍ハッカー侵入、米高官「日本の近代史で最も損害大きい」…浜田防衛相「漏えい確認ない」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →ハッカーの有無で日米が食い違っている。「防衛に関わることは言えない」となれば、国民は何が起こっているのかまったくわからない。

*** 「今日の名言」

◎津川雅彦(俳優。2018年8月4日、78歳で死去)

「東条英機をやったり徳川家康をやったりしたけどさ、『もしかしたらこんな人だったかもしれない』って客に思わせてナンボだからね」 「僕は不器用だから演技が下手だった。が、ある日『役者は不器用じゃなきゃいけない』と教わった。不器用が器用になるためには努力をする。この努力が人間の魅力になる。器用にすぐうまくできちゃう人よりも、不器用で努力した人のほうが、より大きな魅力が手に入れられるんだとね」 「僕は遅咲きだった。でも、若いうちに苦労して、年を取ってから咲くと、一番無駄なく人生を楽しめるんだ。カメさんはなかなか成功が近づいてこないが、札束が指に巻き付かないからって、心配することはない。ウサギさんには先に行ってもらって、自分で決断できるまでじっくりと自分の天職を見極め、根気よく努力するのが最高の才能なんだ」 「苦労なしの成功は続かない!! 人間、一度、地獄を見ないとダメ。人生は、絶対ヌクヌクとはいかない。つまずき、こけて、どん底まで落ちる。これこそが成功の素、どん底こそが確かな幸せの兆しだと思えるかどうかに将来がかかっている」 「工夫を重ねるってことは、実は余計なところを削って、シンプルにしていく作業なんだ」 

*** きょうの教養 (東条英機③)

◎首相時代(1941.10~1944.7)

今回は東条が首相だった1941年12月8日の開戦から、サイパン陥落を受けて首相を辞める41年7月までをたどる。東条は戦況の影響を強く受けながら、陸軍依存から天皇依存へとなっていく。

日米開戦となった真珠湾攻撃は大成功とされ、東条の求心力は高まった。この頃の懸案は、衆議院総選挙の実施時期だった。厳しい国際情勢を理由に4年の任期を42年4月まで1年延長していたためだ。緒戦の好調で東条は、開戦当日に再延期せず47年4月に実施すると発表する。導入したのが、候補者を推薦する政府主導の翼賛選挙だった。政府に批判的な極右と自由主義勢力を排除する狙いがあった。定数と同じ466人を推薦し、8割当選の目標を掲げた。結果は81.8%当選し、目標を達成した。安倍晋三元首相の母方の祖父・岸信介は推薦で初当選し、父方の祖父・阿部寛は東条批判をしていたので非推薦となったが、2回目の当選を果たした。

真面目な東条は、「民心の把握が大事だ」として、各地を精力的に視察し、役所を訪れたり、ゴミ箱までのぞいたりした。東条は政治家や官僚を信用せず、与えられた課題を他人任せにせず人一倍の努力と勤勉さでこなしていった。陸軍時代の教えだった。しかし、42年7月のミッドウェー海戦の大敗、43年2月のガダルカナル島の撤退で戦況は悪化し、極右政治家や首相経験者の重臣らから東条への不信感が高まっていく。陸軍はガダルカナル島への大量の武器や食料の補給を求めたが、東条は陸軍の独善的な態度に批判を強め、天皇の権威にすがるようになっていった。地方への統制を強化する戦時法制の一環として、東京府が東京都になった。

44年7月7日のサイパン陥落で、東条の威信低下は決定的になった。アメリカ軍機による日本本土への空襲が可能となるためで、参謀本部内でも早期終戦論が浮上する。7月22日、東条首相はついに退陣し、他の役職もすべて辞職した。東条の戦争指導について「一人で処理しなければ満足しない東条の性格が影響を与えている」という部下の文書が残されている。

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***デイウッチ(9日)

台風6号最新情報(10日5時)各地で線状降水帯発生 危険性高まる | NHK | 台風 台風7号最新情報 12日にかけ小笠原諸島接近の見込み 暴風高波に警戒 | NHK | 台風 →列島は台風のダブルパンチだ。かつて台風は、9月に列島をカーブするように過ぎていったが、最近は違う。地球がおかしい。

核抑止からの脱却を 台風で屋内開催、一般参列なし―78回目、長崎原爆の日:時事ドットコム (jiji.com)  長崎で人間の鎖、平和誓う 高校生らが早朝集会―被爆者「核兵器なくさねば」・原爆の日:時事ドットコム (jiji.com)→台風で静かな慰霊となった。被爆二世の長崎市長は「忘却が新しい原爆肯定になることを恐れる」と亡くなった被爆者の声を紹介した。人類は忘れてはいけない。

日台連携へ踏み込む自民 台湾有事「覚悟求める」:時事ドットコム (jiji.com) →麻生発言が波紋を広げている。岸田首相との連携プレーとみられるが、米中がどう反応するか。

デジタル購読、17万人増 広告収入6.5%拡大―米NYタイムズ:時事ドットコム (jiji.com) →ニューヨーク・タイムズのデジタル版有料購読者は919万人。圧倒的な数だ。米国を代表する英語メディアの強みを存分に発揮している。

*** 「今日の名言」

◎オリビア・ニュートン・ジョン(英国生まれの歌手。昨年8月8日、73歳で死去)

「私は良識ある人々に囲まれ、健全な環境で育ちました。賢明な両親に育てられました。母は私にいつもこう言っていました。あなたはちょっと成功したけど、それは長続きしないわよ。あなたはまだまだ活動しないとね」 「歌は、痛みや悲しみ、喪失を味わう人々にとってのインスピレーションとなり、手助けすることができます」 「私は動物が大好き。動物は人に多くを与えてくれるけど、ほとんど何も要求しません。そして、彼らを信頼することができます」 「自然ほど美しいものはありません。神様からの贈り物なので、芸術よりも優れています」 「私たち人間は森を奪い、海を汚し、動物たちを脅かしてきました。私たちは本当に環境を台なしにしているの。海が汚れれば、最終的には食料資源が汚染され、人間も滅びてしまうのです」 「乳がんは早期発見がカギです。私も早期に発見できていなければ、どうなっていたか分かりません。女性には定期的に検査するように勧めたいと思います」 「私は自分のがんの経験は贈り物だった考えています。それは私の生きるペースを緩め、人生で重要なことが何かに気づかせ、小さなことを気に病んではいけないことを教えてくれました」 

*** きょうの教養 (東条英機④)

◎首相退陣から絞首刑

東条英機は1944年7月に首相を退陣した。6月ころから倒閣運動があった。逓信省官僚で、後に東海大学を創立した松前重義は、倒閣運動に協力したとして東条の怒りに触れ、南方に出征する懲罰的な人事を受けた。こうした東条の厳しさは不人気の理由の一つだった。

天皇は「東条以上に力のある人間はいない」と考えて東条を忌避しなかったが、議会勢力の根回しで後継首相には朝鮮総督の小磯国昭が就任した。小磯は東条が軽視した議会と協調し、言論統制の緩和や和平工作に乗り出した。しかし、不調に終わり、退任。45年4月、元侍従長で天皇の信任の厚い鈴木貫太郎が就任、2回の原爆投下の後、戦争は終わった。

東条は首相退任後、東京・用賀の自宅にこもっていたが、45年9月、占領軍に逮捕された。その際、自ら作った「生きて虜囚の辱めを受けず」という戦陣訓に従って拳銃自殺を図った。しかし、失敗する。極東国際軍事裁判でA級戦犯の一人として起訴され、48年11月に絞首刑判決を受けた。同年12月23日、巣鴨拘置所で処刑された。

東条が残した「遺言」や「感慨」という文書から心境がうかがえる。「私は国際的に見れば戦犯者ではないが、天皇や国民に対する責任は重大だ」「日本の統帥権の独立は政治の制約がなく戦争目的の達成には可だが、外交との調整では時に不測の事態を招く」「軍や国家の方針が、陸軍の上級者が知らないうちに下級者が狭い視野から決めたことがあった」「原因は陸軍大学校の精神教育の欠陥」と述べている。過去を反省しているが、統帥権の独立には一定の意義を認めている。

 

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◎HPにアップしました→ 研修の感想文⑦完「観察力と洞察力を錬磨したい」 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)

***デイウッチ(10日)

大谷翔平 大リーグ史上初 2桁勝利 2桁ホームラン 達成 2年連続 | NHK | 大谷翔平 【一問一答】大谷翔平 2桁勝利 2桁HR「自分の状態 納得いかず」 | NHK | 大谷翔平 →お盆休み前のトップニュースは明るい話題にしたい。何といっても大谷翔平。記録づくめで、ベーブルースの追随さえ許さない。疲れがたまっているようだが、花巻東魂で頑張っている。三冠王も夢ではない。

内閣支持26.6%、過去最低水準 マイナ対応、7割評価せず―時事世論調査:時事ドットコム (jiji.com) →マイナ問題の打撃は予想以上に大きい。短期間での死回生は無理なので、秋の政局は揺れそうだ。解散は無理、内閣改造で目先を変えて政権浮揚を図るか。

中国、日本への団体旅行解禁 新たに78カ国・地域、米韓も―景気対策、外交関係改善:時事ドットコム (jiji.com) →3年半ぶりの解禁。インバウンド客はずいぶん増えているが、中国人の団体旅行が加わる。民間交流をどんどん進めて、日中間の緊張緩和を図りたい。対立して得をするのはごく一部の人たちだ。

「塩谷座長」案、下村氏反対 安倍派新体制で平行線:時事ドットコム (jiji.com) →安倍派がまとまらない。塩谷氏は2年前の小選挙区で敗れており、地元浜松での勢いも今一つ。下村氏は蚊帳の外の風情。5人組は今のところ仲良し小好し。いっそ、選挙で決めればいいと思うが、有力者には具合が悪いのだろう。かといって分裂もしたくない。安倍派は何をしたいのだろうか。

*** 「今日の名言」

◎昭和天皇1945815終戦を決断

「(マッカーサー連合国軍最高司令官に対して)私は戦争を遂行するにあたって日本国民が政治、軍事両面で行ったすべての決定と行動に対して、責任を負うべきただ一人の者です。あなたが代表する連合国の裁定に、私自身を委ねるためにここに来ました」 「(1945年9月、当時の皇太子に書き送った手紙で)敗因について一言いわせてくれ。我が国人があまりに皇国を信じ過ぎて、英米を侮ったことである。我が軍人は精神に重きを置きすぎて、科学を忘れたことである。戦争を続ければ三種神器を守ることもできず、国民をも殺さなければならなくなったので、涙をのんで国民の種を残すべく努めたのだ」 「(裏工作に走りがちだった政府・軍について)謀略などというものは当てになるものじゃない。大体できないのが原則で、できるのが不思議なくらいだ」 「(天皇の人間宣言について)神格の放棄はあくまで二の次で、本来の目的は日本の民主主義が外国から持ち込まれた概念ではないことを示すことだ。民主主義を採用されたのは明治天皇であって、日本の民主主義は決して輸入のものではないということを示す必要があった。日本の国民が誇りを忘れては非常に具合が悪いと思って、誇りを忘れさせないためにあの宣言を考えたのです」 「(米政府使節が皇居新宮殿について「新しいのですね」と感想を述べたのに対し)前のは、あなたたちが燃やしたからね」

*** きょうの教養 (東条英機⑤)

◎視点

東条英機の足跡が現代に残す教訓を考えたい。

東条の戦争責任は重大だが、危機の時に東条のような人物しかいなかった日本のぜい弱さこそ問うべきだろう。東条は真面目で有能で、押しの強い能吏だった。しかし、陸軍経験しかなく、実戦は1回だけ。官僚として頭角を現し、陸軍の利害の代弁に終始し、予想外にも首相になってしまった。「東条なら陸軍を押さえられるだろう」と周囲も無責任だった。天皇は非戦論者だったので、東条は軌道修正を図ったが、自分があおった逆流に飲み込まれていった。

陸軍しか知らない東条に視野の広さはなく、世界を構想する力もなかった。東条と同じ1884年に生まれ、戦後に首相を務めた石橋湛山は、東洋経済新報で「領土の時代ではない。満州を捨てて、貿易に生きろ」と主張し、言論の自由を重んじた。戦時中は弾圧されたが、湛山の構想に学ぶ気風があれば、戦争は避けられ、日本の国際的な立場は今とは全く違ったはずだ。

大正から昭和初期にかけて、政党政治が実現した。しかし、政党は政争に明け暮れ、経済の停滞とともに軍部の台頭を許した。1931年の満州事変が転機となり、軍部に批判的だった新聞は、軍部容認に変わった。33年、自由主義的法学者の滝川幸辰京都大教授が「共産主義的」と非難されて免職される滝川事件が起きた。これ以降、右派からの執拗な個人攻撃が始まり、言論空間が極端に狭まった。日本は曲折を経て戦争に傾き、予想外の東条首相誕生へとつながった。国民は戦争を望んだわけではなかったが追随し、新聞もあおった。

日本には明治維新以後、国家を重視する「官権派」と個人を重視する「民権派」という二つの底流がある。官権派の最右翼は長州出身の山県有朋で、陸軍の大実力者でもあった。民衆を信用せず、天皇を現人神と奉り、結果的に日本を空洞化させ、破滅に導いた。本来、官権も民権も健全ならば、それぞれ一理あり、両派の対話と均衡が望ましいとも言えるだろう。

ロシアのウクライナ侵攻で、日本でも戦争が現実味を持って語られる風潮が生まれ、防衛費倍増も決まった。今は核兵器があり、AIやドローン、ロボットを使った戦争も予測されている。人類はロボットを使ってまでなぜ戦争をするのだろうか。交渉で物事を決める方が、よほど人間的で生産的で、人々の幸せにつながる。

戦争は異論を封じる文化戦争から始まる。言論が正常に機能していれば、大きな過ちはない。教訓は「政治家と有権者は政党政治を大切にしよう」「見識と構想力を持った指導者を支えよう」「言論封殺の動きには断固かつ執拗に反対しよう」だと考える。指導者だけでなく、国民一人一人の見識と覚悟にも関わってくる。