10月9~13日(教養講座:教養の科学史)
~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年10月9日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(6~8日)
◎【随時更新】ハマスの攻撃とイスラエルの報復 死者計1000人超 | NHK | イスラエル・パレスチナ 割れるアラブ諸国の反応 イスラエル、サウジの正常化に暗雲―ハマス攻撃:時事ドットコム (jiji.com) →世界の火薬庫・中東で、ハマスが攻撃する異例の形で戦闘が起きた。米国の仲介で進めるサウジアラビアとイスラエルの国交正常化交渉が背景にあり、ハマスは危機感を強めている。米国の関与で、ウクライナ紛争も微妙に絡む可能性もあり、世界情勢は複雑さを増している。
◎ラグビーW杯 日本がアルゼンチンに敗れ決勝トーナメント進出ならず | NHK | ラグビーW杯 2023 →最後まで追いすがったが、及ばなかった。次回は2027年9月にオーストリア。時差は通常1時間、10月から夏時間の2時間なので、テレビ観戦はしやすい。次こそベスト8。
◎ノーベル平和賞 イランのモハンマディさん受賞 政権側は反発 | NHK | ノーベル賞2023 →イランの女性人権家モハンマディさんが受賞。当局に収監されており、拘束中の受賞は昨年のベラルーシの人権活動家に続いて2年連続。モハンマディさんは13回の逮捕歴がある。イランでは昨年、逮捕された22歳の女性が死亡し、「女性、命、自由」をスローガンに抗議活動が広がった。
◎ヒトラー生家改修が物議 「聖地化阻止」「歴史隠すな」―汚名着せられた町、見直し機運も・オーストリア:時事ドットコム (jiji.com) →「聖地化を阻止したい」とヒトラー生家を改修したい政府、「歴史を直視すべきだ」という人たち。ヒトラーをめぐっては今も論争となる。
*** 「今日の名言」
◎スティーブ・ジョブズ①(アップル創業者。2011年10月5日、56歳で死去)
「あなたの時間は限られている。だから他人の人生を生きたりして、無駄に過ごしてはいけない」 「すばらしい仕事をする唯一の方法は、自分のやっていることを好きになることだ。まだそれを見つけていないのなら、探し続けなければいけない」 「この地上で過ごせる時間には限りがある。本当に大事なことを、本当に一生懸命できる機会は、二つか三つくらいしかないものだ」 「夢を実現できるか否かは、途中で諦めるかどうかにかかっている。必要なのは、強い情熱なんだ」 「最も重要な決定とは、何をするかではなく、何をしないかを決めること」 「重要なことに集中する唯一の方法は「ノー」と言うことだ」 「何かを捨てないと前に進めない」 「何を捨てるかで誇りが問われ、何を守るかで愛情が問われる」 「過去ばかり振り向いていたのではダメだ。自分がこれまで何をして、これまでに誰だったのかを受け止めた上で、それを捨てればいい」 「人生には時としてレンガで頭をぶん殴られるようなひどいことも起こるものだ。だけど、信念を放り投げちゃいけない」 「卓上計算機しか使ったことがない人に、マッキントッシュがどういうものか尋ねても、答えられなかっただろう。それについて消費者リサーチを行うのは無理だ。とにかく作って、みんなに見せ、「どう思う?」と聞くしかない」 「インターネットやパソコンは、知識や情報を伝えることに偏っている。私はパソコンを人間性溢れる存在にし、人々が自分の感情をより豊かに表現する手伝いをしたい」 「模倣するほうが楽かもしれない。でも、そんなことをしても世界はよくならない」
*** きょうの教養 (教養の科学史①)
今週は「科学史」を取り上げる。日本の教育や受験は、文科系と理科系に分かれており、日本人の思考に染み付いている。これは人間、とりわけ日本人が便宜的に分けた区分で、現実の社会では文理は一体になって存在している。最近、「文理融合」が叫ばれ、やっと変わり始めている。今回は主に文科系向けの講座として自然科学の歴史を概観する。「世界でいちばんやさしい教養の教科書 自然科学の教養」(児玉克順著)を参考にした。
◎科学の始まり
始まりは古代ギリシア時代といえる。現実を主体と客体に分けた場合、通常は主体が自分との関りを通して客体を考察する。科学は主体と客体を切り離して実験や観察をする。古代ギリシアでは対象を客観的に研究し、世界は見えない秩序(コスモス)で成り立っていると考えた。信仰を中心とする当時としては画期的な世界認識だ。 プラトンやアリストテレスらが有名で、エジプトから入手したパピルスという紙を活用した。しかし、古代ローマ時代になると、ローマ人は実用的でない知識を軽視し、キリスト教会は神の教えに反するものを排除した。
古代ギリシアの叡智が再び脚光を浴びたのは、イスラム社会だった。パピルスに書かれたギリシア語の著作を発見し、アラビア語に翻訳させた。中国から伝わった紙も活用した。翻訳中心で、新たな叡智を獲得したわけではないが、数学の分野ではインド数学の影響を受けて8世紀ごろからアラビア数学が発展した。
11世紀の十字軍遠征によって、ヨーロッパ人はアラビア科学に出会った。書物をラテン語に翻訳して活用しようとしたが、当時はまだ教会の影響力が強く、学問の中心は神の存在を証明することだったので、実利的な面に限られた。
~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年10月10日号(転送禁止)~~~
HPにアップしました→ 10月9日からの教養講座は「教養の科学史」 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com) 10月2~6日(教養講座:河合隼雄の心理療法序説) – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)
***デイ・ウォッチ(9日)
◎死者1200人、戦闘続く 「最悪の虐殺」、音楽祭襲撃―ハマス拠点空爆、一夜で500カ所・イスラエル:時事ドットコム (jiji.com) イスラエル ハマス支配のガザ地区“完全包囲”と圧力 死者1400人以上 | NHK | イスラエル・パレスチナ →戦闘は拡大の一途だ。ハマスは戦闘員がイスラエルに侵攻し、イスラエル人を人質に取っている。イスラエルは30万人の予備役を動員した。周到な準備をうかがわせる。周辺諸国も何らかの形で巻き込まれる可能性もあり、国際社会に大きな影響を与えそうだ。
◎ノーベル経済学賞に男女間の格差是正など研究のゴールディン氏 | NHK | ノーベル賞2023 →男女格差を研究してきた女性研究者の受賞が時代を象徴する。自然科学では日本人の受賞者もいるが、経済学賞ではとても無理な気がするのは、なぜだろうか。経済の真理は時代や社会の情勢によって大きく変化するので、ノーベル経済学賞自体に無理がある気もする。
◎ジャニーズ問題 “NHK内で複数回 性被害に” 男性が証言 | NHK | ジャニー喜多川氏 性加害問題 「NGリスト」“当事者の会”が会見やり直し求める要請文公表 | NHK | ジャニー喜多川氏 性加害問題 →次々と明らかになるジャニーズ問題の新事実。当事者の要望や外部の批判も高まっていく。このままでは東山体制が持つのかと感じる。早く補償を始めないと、「ジャニーズ王国、完全崩壊」の予感もしてくる。
◎津波注意報 気象庁会見 “解除まで海に近づかないで” | NHK | 地震 →震度1以上の地震は観測されていないのに、津波が発生する奇妙な現象。南海トラフの海域だけに不気味さも募る。
◎東北新幹線 手荷物のかばんから薬品漏れる 子ども含む4人けが | NHK | 宮城県 →誰もが乗る新幹線で、薬品によって子供がやけどする奇妙な事案。乗客の男性が持っていた試薬の硫酸が爆発したらしい。
*** 「今日の名言」
◎スティーブ・ジョブズ②(アップル創業者。2011年10月5日、56歳で死去)
「あなたがテレビのスイッチをオンにするのは、あなたが自分の脳のスイッチをオフにしたいからだと思う。一方、コンピュータで仕事をするのは、脳のスイッチをオンにしたいときではないか」 「コンピュータの分野に進んだのは、やっている人がほとんどいない領域だったからだ」 「すぐれた仕事ができないのは、そう期待されていないからだ」 「アップル社再建の妙薬は費用を削減することではない。現在の苦境から抜け出す斬新な方法を生み出すことだ」 「アップルは他社からの避難民で成り立ってる。ものすごく頭がいいんだが、他社ではトラブルの種になるような連中ばかりなんだ」 「優秀だと聞いていたが、ガラクタばかりつくっていたな。僕のところで働けよ」 「何がほしいかなんて、それを見せられるまで分からないことが多い。キャリアなのではない。私の人生なんだ」 「美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?そう思った時点で君の負けだ。ライバルが何をしようと関係ない。その女性が本当に何を望んでいるのかを、見極めることが重要なんだ」 「アップルがやらなければ、どこもやらないんだ。だから、僕はここにいるんだ」 「偉大な製品は、情熱的な人々からしか生まれない」 「私は、本当に好きな物事しか続けられないと確信している。何が好きなのかを探すことだ。あなたの仕事も、恋人も」 「要な仕事を与えてやることが大事なんだ。朝食のシリアルをつくるみたいな仕事じゃなくてね」 「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?」
*** きょうの教養 (教養の科学史②)
◎近代科学の始まり コペルニクスがキリスト教会の教義に反する地動説を発表して衝撃を与えたが、教会の影響力もまだ強く、神の存在を前提とした理論だった。ガリレイは天体望遠鏡を使って地動説を確信し、教会から迫害されても自説を曲げなかった。それまでは論理によって頭の中で考察することが学問の中心だったが、実験と観察による証明が重要になった。哲学者のデカルトは「すべてのものはそれ自体のからくりで自動的に動く」という機械論を主張した。ニュートンは万有引力の法則を証明した。古代キリシアのアリストテレスは地上と天上は別世界と考えたが、地上も天上も普遍的な法則で成り立っていることが明らかになってパラダイムシフトが起こり、力学的自然観が確立した。
思想的にはルネッサンス、技術的には活版印刷の発明という背景もあり、科学革命が進展した。イギリスの王立協会、フランスの王立科学アカデミーなどの学会が研究の場を提供した。生物学の世界では、16世紀の顕微鏡の発明によって動物も植物も細胞という同じ構成単位でできていることがわかり、19世紀には遺伝の法則、20世紀にはDNAの構造へとつながった。17世紀の錬金術から化学が誕生し、18世紀にラボアジェが定量的観察で質量保存の法則を導き出して元素分析の基礎をつくり、化学革命を起こした。地球の構造を研究する地質学、化石を分析する古生物学の世界では、採掘技術の進歩が大きな転換を生み、エネルギー資源の採掘や地球の歴史研究が進んだ。
19世紀からヨーロッパでは国民国家が誕生し、国単位の競争が激しくなった。科学の成果が軍事、経済、国家の利益と強く結びつき始めた。産業革命も進展し、国家の制約を少なくした資本主義が発達していく。
~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年10月11日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(10日)
◎【10日詳細】イスラエル“南部制圧” 双方の死者1600人以上に | NHK | イスラエル・パレスチナ 1からわかる!イスラエルとパレスチナ(2)なぜ対立が続くの?|NHK就活応援ニュースゼミ →イスラエルの激しい報復が始まっている。なぜこれほど憎しみ合うのか。2000年以上の対立の歴史があるが、NHK2本目の記事「1からわかる」は、ここ30年の動きをよくまとめている。参考になる。
◎水俣病訴訟 国と県が控訴 蒲島知事「苦渋の決断だった」 | NHK | 大阪府 →患者に近い熊本県も控訴した。「苦渋の決断。控訴して争わないと、行政が維持できない」というが、行政判断を超える時こそ政治決断が求められる。「例外として政治的に受け入れる」といえばいいはずだ。弱者に冷たい政治が続く。
◎損保ジャパン 保険金不正請求問題で中間報告書を公表 | NHK | 金融 →金融庁の検査も入り、損保ジャパンは完全に白旗状態。不祥事のたびに「ガバナンス不全」が叫ばれるが、どんなシステムを構築しても防げない。要は人の問題ではないだろうか。もっと人間を磨く方向に舵を切った方がいいだろう。
◎衆院長崎4区、与野党一騎打ち ダブル補選、22日投開票:時事ドットコム (jiji.com) →長崎4区の補選も告示された。22日投開票で衆参2つの補選があるが、国政への影響が注目される。今週末には各メディアが世論調査をするだろうから、一定の方向は見えてくる。
◎全銀ネット、復旧めど立たず システム障害、140万件振り込み影響―ゆうちょもネットバンキング不具合:時事ドットコム (jiji.com) →いつもは便利だが、いったん不具合が起きると影響が大きく広がる現代ネット社会の弱点。巨大システムのためか、復旧のめどが立たないことも弱点だろう。他のシステムも同じ傾向だ。
*** 「今日の名言」
◎イザベラ・バード(明治期に日本各地を訪問した英国の旅行家。1904年10月7日、72歳で死去)
「秋田の旅で、日本ほど、女性が一人で旅をしても、危険や無礼な行為と無縁でいられる国はないと感じた」 「私は奥地や蝦夷を1200マイルに渡って旅をしたが、まったく安全でしかも心配もなかった。世界中で日本ほど婦人が危険にも無作法な目にもあわず、まったく安全に旅行できる国はないと信じている」 「祭りを見学して、どんなに混雑していても、私が群衆から乱暴されたりすることはなかった」 「会津の旅で、ヨーロッパの多くの国々やわがイギリスでも、地方によっては外国の服装をした女性の一人旅は、実際の危害を受けるまではいかなくとも、無礼や侮辱の仕打ちにあったり、お金をゆすりとられたりするのだが、ここで私は一度も失礼な目にあったこともなければ、真に過当な料金をとられた例もない。群衆にとり囲まれても、失礼なことをされることはない。彼らはお互いに親切であり、礼儀正しい。それは見ていても大変気持ちがよい」 「日本では、太陽が照ると、森におおわれた山、庭園のような野は天国と化す。600マイルも旅をしてきたが、日の光を浴びて美しくならない土地はほとんどなかった」 「会津の山々の雪景色はすばらしいし、ここには他に二軒しかないから、 群集にわずらわされることなく自由に散歩できる。この地方は見たところ美しくもあり、また同時に繁栄しているようである」
*** きょうの教養 (教養の科学史③)
◎現代科学への道 アルフレッド・ノーベルは、自ら発明したダイナマイトによって多くの命が奪われたことへの贖罪から、ノーベル賞を発表した。ダイナマイトは採掘の手助けだったが、戦争でも使用された。ノーベルの遺言は「人類のために貢献してくれた人に賞を贈ってくれ。科学は人類の幸せのためにある」ということだったが、その後の飛躍的な科学の進歩は人類に脅威ももたらすようになった。
2度の世界大戦によってさまざまな科学と技術が進歩した。第1次世界大戦では毒ガスが登場し、「化学戦」といわれた。第2次世界大戦では、爆弾、飛行技術、医療の進歩、暗号解読、さらには核兵器が開発され、「物理戦」と言われ、科学技術をより進歩させた国が戦争で勝利した。
戦後、技術と科学が相互に進歩し、加速度的に進化した。二進法の計算でコンピューターが進歩し、最近では量子コンピューターが生まれている。GPS衛星の補正にあたっては、アインシュタインの相対性理論が活用されている。科学の成果は科学者が予測もつかないような事態を引き起こすことが明らかになってきた。一例は、人間が人工的に製造したフロンガスだ。スプレー缶やエアコンの冷媒、コンピューターの洗浄などに応用されたが、フロンガスが地球を取り巻くオゾン層を破壊し、太陽からの紫外線がより地上に届くようになってしまった。フロンガスがオゾン層に届くまで10年かかり、その間人間は気づかなかった。魔法のガスといわれたフロンガスが地球規模の災厄をもたらすとは誰も思っていなかった。
科学者は自分の研究だけはだけやればいいという時代は終わった。新技術は人類を未知の領域へ連れて行こうとしている。AI(人工知能)への依存が代表例で、戦争兵器に使われる不安も出ている。AIが人間を超える「シンギュラリティー」が2045年とも予測されている。科学は世界規模で社会とモラルとの関わりを問われている。
~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年10月12日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(11日)
◎将棋 王座戦 藤井聡太七冠がタイトル奪取 史上初の八冠独占 | NHK | 藤井八冠 将棋 藤井聡太 史上初の八冠「息長く活躍できるように」 | NHK | 藤井八冠 →大谷翔平と藤井聡太が日本の希望の星。まだ21歳。大谷は毎シーズン記録に挑戦できるが、藤井はこれから何を目指すのだろうか、やりがいを喪失しないだろうか。いらぬ心配をしてしまう。天才には余計なお世話だろうが。
◎【随時更新】パレスチナ ガザ地区 唯一の発電所が操業停止 | NHK | イスラエル・パレスチナ →ハマスの予想外の攻撃は、「イスラエルにとっての9.11」と呼ばれる。イスラエルが地上侵攻の反撃準備を進めており、大規模な流血が懸念される。国連や他国は無力か静観の状態だ。米国はイスラエル支援を打ち出し、ウクライナ支援への影響も予想される。
◎ハマスとイスラエルの衝突 Xで偽情報 EU マスク氏に対応求める | NHK | イスラエル・パレスチナ →生成AIの登場でますます複雑化しそうな社会だが、戦争での悪用が最大の脅威。今回は偽情報と見破ったが、見破られていない情報もありそうだ。何を信じていいかわからなくなる事態が怖い。
◎ホンダと三菱商事、EV束ね電力調整 再エネの無駄省く – 日本経済新聞 (nikkei.com) →EV時代に業界の垣根を超えたエネルギー提携。EVで自動車業界は、より柔軟で幅広い可能になる。EVを送電網につないで電力を融通する仕組みは「V2G(ビークル・ツー・グリッド)」と呼ぶ。知っておきたいキーワードだ。
◎2030年札幌オリンピック招致を断念 34年再挑戦も道険しく – 日本経済新聞 (nikkei.com) →東京五輪汚職の代償は大きかった。2034年はソルトレイクシティーが有望で、札幌は早くても2038年らしい。五輪招致断念で、新幹線の札幌延伸も伸びるという。五輪や万博という大イベントを起爆剤に開発を進める手法の再検討も必要ではないだろうか。
◎財政再建「一層困難に」 日本、中期的枠組み導入を―IMF幹部:時事ドットコム (jiji.com) →IMF局長が日本の財政悪化に警鐘を鳴らし、中期的枠組みを求めた。真っ当なエコノミストからみれば、当たり前の指摘。しかし国内では、自民党が選挙もにらんだ何十兆円単位の経済対策を準備している。賃上げは必要だが、景気が悪いわけではない。
*** 「今日の名言」
◎諸葛孔明(中国後漢から三国時代の政治家。234年10月8日、53歳位で死去)
「人生とは、困難との戦いの連続である」 「無欲でなければ志は立たず、穏やかでなければ道は遠い」 「優れた人は静かに身を修め、徳を養なう」 「才能におごって人を馬鹿にせず、可愛がれていることを後ろ盾にして偉そうにしてはならない」 「立派な人間の友情は、温かいからといって花を増やすこともなければ、寒いからといって葉を落とすこともない」 「どんな時でも衰えず、順境と逆境を経験して、友情はいよいよ堅固なものになっていく」 「自分の心は秤のようなものである。人の都合で上下したりはしない」 「学ぶことで才能は開花する。志がなければ、学問の完成はない」 「治世は大徳を以ってし、小恵を以ってせず」 「将帥、勇ならざるは、将なきに同じ」 「人の心をつかめる人は、敵を消滅できる」 「古来、兵は戦を好まない。内部の守りを固めずに、外部を攻めるのは愚策である」 「それ用兵の道は、人の和にあり」
*** きょうの教養 (教養の科学史④)
◎相対性理論 光は「粒子」か「波」か。これが相対性理論を考える時に重要だ。光の研究は古代ギリシャからあったが、17~18世紀、ニュートンは光の正体を粒子とし、同時代のホイヘンスは波とした。19世紀後半、マクスウェルによって光の正体は電磁波の一つとわかった。ただ、金属板に光を当てることで電子が飛び出る「光電効果」と呼ばれる現象について、19世紀以前の科学はうまく説明できなかった。
ここにアインシュタインが登場した。「光は粒子で、光の粒子が金属板にある電子を引き出す」と考えた。光が波のひとつであることは否定できないため、光は波と粒子の両方の性質を持つ「量子」のひとつであるとし、光の粒子を「光子」(光量子)と呼んだ。
次に特殊相対性理論について説明する。多くの科学者は時間と空間を絶対だと思っていた。しかしアインシュタインは、光の速度を絶対の不変の原理とした。そして、時間と空間が光の速度に合わせて相対的に変化すると考えた。光の速度は不変であり、送り出されたエネルギーは速度に回らずに物体の質量を増大させる方に働く。これを突き詰めると、質量とはエネルギーそのものとなり、さらに突き詰めると、アインシュタインを象徴する公式「E=mc²」が成立する。エネルギーと質量が等価であることを示す公式で、質量が小さくても高速の2乗をかけるので、得られるエネルギーは膨大になる原理だ。核兵器や核分裂に応用された。これが重力の存在を抜きにした慣性系という特殊な立場で成り立つ特殊相対性理論(1905年)だ。
一般相対性理論(1915年)は、加速度運動をする座標系も含めた立場でもあてはまる一般的な理論となる。巨大な質量の物体は時空をひずませ、ひずみの大きさが重力の正体だと考える。この理論の考え方は、天体観測の重力レンズ効果で証明され、GPS衛星の補正作業にも応用されている。
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***デイ・ウォッチ(12日)
◎旧統一教会の解散命令 請求を正式決定 盛山文科相 | NHK | 旧統一教会 →解散請求は難しいという判断もあったが、政治的には請求するしかない。裁判所の判断が焦点になるが、最近の裁判所は政府寄りの判断が目立つので、解散を認めそうだ・・・といっては三権分立の建前から失礼か。安倍元首相ら保守派が、政治信条の全く異なる反日的な旧統一教会との関係をなぜ深め、政治的にどう考えているのかという決着はまだだ。
◎米国務長官 ネタニヤフ首相と共同会見 “イスラエル支持”強調 | NHK | アメリカ →ブリンケン国務長官は「ユダヤ人個人」としてもイスラエル支援を強調したという。東京で会見した駐日イスラエル大使は「ハマスはテロ組織。住民は敵ではなく、別に考えている」と言ったが、地上戦となれば住民も多く犠牲になる。地上侵攻は早ければ数日以内という。
◎戸籍上性別変更に手術必要の規定「憲法違反で無効」静岡家裁 | NHK | LGBTQ →戸籍変更の手術では初の違憲判断となる。最高裁は別の申し立てで、15人の裁判官で審理する大法廷を開いており、違憲判断が出る可能性が高まっている。LGBTQをめぐる司法判断は、かなり積極的になっている。
◎ビッグモーターを行政処分へ 立ち入り検査で不正認定―13日に公表・国交省:時事ドットコム (jiji.com) →ビッグモーターへの社会的制裁が本格化している。今後は損保業界とともに各種の処分が下される見通しだ。将来の教訓とする「失敗の研究」として、当事者の詳細な心理分析が必要だろう。
*** 「今日の名言」
◎チェ・ゲバラ(キューバの革命家。1967年10月9日、39歳で死去)
「世界のどこかで誰かが被っている不正を、心の底から深く悲しむことのできる人間になりなさい」 「一人の人間の命は、地球上で一番豊かな人間の全財産よりも100万倍価値がある」 「明日死ぬとしたら、生き方は変るのか?あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なのか?」 「未来のために今を耐えるのではなく、未来のために今を楽しく生きるのだ」 「人間はダイヤモンドだ。ダイヤモンドを磨くことができるのはダイヤモンドしかない。人間を磨くにも人間とコミュニケーションをとるしかないんだ」 「一生懸命、成長する必要があるが、決して優しさを失ってはいけない。私を導くものは真実への情熱だけだ。この観点からすべてを考える」 「目的のためには死をもいとわないと思えたとき、私たちは生きがいを確信することができる」 「あらゆる不正に対して怒りに震えるならば、あなたは私の同志だ」 「沈黙も、一つの論争である」 「友達がいないのは悲しいことだ。だが、敵がいないのはもっと悲しいことだ」 「これからは広島を広島の人を愛していこう」 「残酷なリーダーは結局、残酷に転じた新しいリーダーに取って代わられる」 「ゲリラ戦とは、圧制者に対する民衆全体の戦争である」
*** きょうの教養 (教養の科学史⑤)
◎量子論 量子論の始まりは、19世紀以降の産業革命で製鉄業が盛んになり、熱せられた鉄や炎の色が温度と相関関係にあることがわかってきたことだ。19世紀末には光の明るさと波長の関係について数式で表すことに成功しまた。光の正体を「光量子」という粒子と考えたのはアインシュタインだが、この数式から着想を得た。
量子論の始まりでは電子の研究も外せない。19世紀後半、原子の中に電子が発見され、原子は物質の最小単位ではなくなった。その後、「電子は波でもあり粒子でもある」、言い方を変えれば、「状態でもあって物質でもある」となった。日常の生活ではありえないことだ。
しかも電子は常識では考えられないようなふるまいをする。17世紀から築き上げた古典力学(ニュートン力学)からすれば、存在すら許せない世界だ。古典力学は、世界のあらゆる場所は同じ法則に従っていて、その法則はある条件下なら結果は必ず同じになるという「決定論」だった。しかし量子力学の世界には別の法則があり、結果を確率的にしか決められない「確率論的な立場」になる。科学者の意見は大きく割れ、確率論の人たちはコペンハーゲン学派といわれている。
量子に不思議な振る舞いがなぜ起こるのか今もよくわかっていないが、人類はその性質を利用している。今までのコンピューターは二進法だったが、量子コンピューターはゼロと1が重なり合っているという発想で、スーパーコンピューターの1億倍の処理能力を持っている。量子情報通信は、離れていてももつれあった光子AとBは同時に情報を共有できる性質を利用し、傍受も暗号解読も不可能な情報通信を可能にしている。