10月30~11月3日(教養講座:老子)
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HPにアップしました→ 10月23~27日(教養講座:ユダヤの格言) – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com) 10月30日からの教養講座は「老子」 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)
***デイ・ウォッチ(27~29日)
◎イスラエル軍 “戦争の第2段階”でガザ地区北部への攻撃強化か | NHK | イスラエル・パレスチナ →イスラエルに対する国際的な非難が高まっているが、イスラエルの強硬姿勢も強まっている。シオニズム運動は、フランスのユダヤ系軍人ドレフュスが1894年、ドイツのスパイとして摘発された冤罪事件が発端。衝撃を受けたハンガリー系ユダヤ人のヘルツルが提唱したが、建国の地は聖地パレスチナと当時豊かだったアルゼンチンを提案していた。アルゼンチンにイスラエルができていれば、今の世界は大きく違っていた。
◎ラグビーW杯 決勝 南アフリカが優勝 2大会連続 単独最多4回目 | NHK | ラグビーW杯 2023 →南アフリカが2大会連続の覇者。ここ3戦は1点差というきわどい優勝だ。2大会前で日本が南アフリカを破っており、今さらながら価値のある勝利を実感した。今回、日本と同じグループだったイングランドが3位、アルゼンチンが4位だったので、日本の力はあったというか、くじ運が悪かったというか。
◎日本産水産物禁輸「直ちに撤廃」 中国念頭、「威圧」拡大を憂慮―G7貿易相会合が閉幕:時事ドットコム (jiji.com) →G7で中国の「経済的威圧」を非難した。キーワードになりそうだ。「威圧」はどの世界にもある。
◎ゴーン被告に邸宅退去命令 裁判所が「不法侵入」認める―レバノン:時事ドットコム (jiji.com) →日産系の会社の住居に居座っているという。それはないよ、ゴーンさん。知らないうちにまた逃げるかな。
◎袴田巌さん再審の初公判 姉「弟に真の自由を与えて」 | NHK | 事件 9年前の袴田巌さん再審決定後 当時の地裁裁判長が異例の意見書 | NHK | 事件 →袴田さんと同郷の身から見れば、今や国家権力による最大の人権問題。早期結審すべきだが、検察は有罪立証をするという。当時、静岡県警は自白偏重の捜査で、多くの冤罪事件を生んでいる。過ちは直ちに「訂正」しよう。
◎李克強前首相が死去(68)心臓発作で 中国 国営メディア | NHK | 訃報 →首相だった今年春は元気に見えた。本当に心臓発作なのかと疑ってしまうのは、最近のきな臭い世界情勢のため。習近平首席やプーチン大統領は、なぜ、いつまでも元気なのだろうかとも思ってしまう。開放型の経済改革を目指したが、未完だった。もっと影響力を持っていれば、世界はいい方向に変わっていただろう。
*** 「今日の名言」
◎アーノルド・トインビー(英国の歴史家。1975年10月22日、86歳で死去)
「熱意がない人間が、立派な仕事などできるわけがない」 「できるだけ遠い未来を考えて、人生を生きなさい」 「偉大なる才能は、試練によっていっそう鋭く育まれる」 「現代人は何でも知っている。ただ、自分のことがよくわからないだけなんだ」 「ベストを尽くせばいい。それ以上のことなんて、誰にもできはしないのだから」 「人間はどうして有限のものばかりを追いかけてしまうのだろうか。もっと無限のものの追求の喜びを知るべきだ」 「人間の魂は、善と悪とが支配権を争って絶えず戦っている戦場である」 「創造的な人間が、ある事業を成就したのちに陥りがちな受動的な錯誤は、昔大いに努力したからその後はずっとしあわせに暮らす資格があると夢想して、愚者の楽園で漕ぐ手を休めることである」 「日本人が歴史上残した最大の業績は、世界を支配していた西洋人が不敗の神ではない事を示した点である」 「第二次世界大戦において、日本人は日本のためよりも、むしろ戦争によって利益を得た国々のために、偉大な歴史を残した。それらの国々とは日本の掲げた短命な理想、大東亜共栄圏に含まれた国々である」 「国家主義精神は、種族主義という古いつぼの中で民主主義という新しい酒をつくるための酵母である」
*** きょうの教養 (老子①)
今週は中国の思想家・老子を取り上げる。2500年ほど前の伝説的な哲学者で、常識を打ち砕く人生観は、中国で今も尊敬され、日本でも根強い人気がある。独自に翻訳している作家・新井満と詩人・加島祥造の文章を紹介する。初回は第8章「上善如水」。「水のように生きよう」と呼びかけている。老子は道教の始祖で、「道」(どう、タオ)がキーワードでよく出てくる。読む場合は「道理に合った生き方」と解釈すればいい。
◎「上善如水」
【新井満訳/「上善如水」】 やわらかいといえば、水ほどやわらかく弱々しいものはないよね。しかも決して争おうとはしない。丸い器に入れば丸くなり、四角い器にはいれば四角になる。形にとらわれず、自由自在だ。ところが形を持たないからかえって、どんな小さなすきまにも入ってゆき、どんな巨岩をも粉々にしてしまう。即ち、水とは、やわらかく弱々しいことに徹して、何よりも強い、ともいえる。水のように生きるのが、最高の生き方なのだよ。水は、万物に恵みを与えているが、決して自慢しない、威張らない。それどころか、かえって人びとが嫌がる低い方へ低い方へと流れていく。 謙虚だねえ。さあ、水のように生きなさい。それが道(タオ)の人の生き方なのだよ。
【加島祥造訳/「水のように」】 タオのあり方に一番近いのは、天と地であり、タオの働きに一番近いのは、水の働きなんだ。タオの人が素晴らしいのは、水のようだというところにある。水ってのは すべてのものを生かし、養う。それでいて争わず、威張りもしない。人の嫌がる低いところへ、先に立って行く。水はよほどタオの働きに近いんだ。タオの人は、自分のいるところを、いつも善いところと思っている。心は、深い淵のように静かだ。つきあう人をみんな善い人だとし、自分の言うことはみんな信じてもらえると考え、社会にいてもタオの働きの善さを見失わない。タオの人は、手出しをしないで、あらゆる人たちの能力を充分に発揮させるから、人々は自分の一番いいタイミングで活動する。これをひと口でまとめると、争うな、ということだ。水のように争わなければ、誰からも非難を受けないじゃないか。
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***デイ・ウォッチ(30日)
◎米バイデン政権 AIの安全性に関する新基準などの大統領令公表 | NHK | アメリカ →包括的なAI規制だ。本来であれば技術革新に政府が規制で関与するのは好ましくない。早めに規制しないと取り返しがつかないという行政の危機感が強く、開発者も規制を求めている。曲折を経るだろうが、日本としてもウオッチすべき動きだ。
◎日銀、金利操作を再修正へ 長期金利1%超え柔軟に – 日本経済新聞 (nikkei.com) →日経新聞の朝刊特報。修正すれば7月以来だが、「議論する」と書いてあって「決める」とは書いていない。最近の金利上昇を考えれば、議論するのは当然。決める心証を持っての特報かどうか。今日午後の会見ではっきりする。
◎沖縄 辺野古工事の承認めぐる“代執行”裁判 初弁論で結審 | NHK | 基地問題 →岸田政権は辺野古問題にまったく関心がない。よく言われるが、20年以上前の自民党は、戦中・戦後の歴史を踏まえて、沖縄に寄り添おうと努力した。辺野古は軟弱地盤で建設が危ぶまれているが、岸田政権は思考停止で、法的手続きを強引に進めているだけ。本土の無関心も拍車をかけている。
◎イスラエル、対ガザで作戦拡大 市郊外まで進軍か―「激戦展開」とハマス:時事ドットコム (jiji.com) イーロン・マスク氏、ガザ地区にネット支援表明 イスラエルは猛反発 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →イスラエルは事実上の地上戦を始めているようだ。強硬路線に反発するかのように、イーロン・マスク氏が衛星通信サービス「スターリンク」を提供する。ウクライナにも提供して威力を発揮し、注目された。
◎南極観測隊に初の女性隊長 1次隊から68年、来秋出発の66次隊で:朝日新聞デジタル (asahi.com) →ジェンダー平等の歯車が一つ回った。原田さんは弘前大学理学部を卒業し、名古屋大学大学院理学研究科から海洋研究開発機構を経て、昨年6月から東大の大気海洋研究所教授を務める。56歳。時の人になりそうだ。
*** 「今日の名言」
◎莊子(中国の思想家)
「上手くいってもいかなくても、とにかく楽しむ。人生を楽しむというのは、逆境や順境に関係しない」 「自然にとって差別はなく、命は等しい」「徳を人に分けてやることがいちばん尊い。これを聖という。財産を分けてやるのはその次で、これを賢という」 「面と向って人を褒めたがる奴は、陰に回ると悪口を言いたがる」 「君子の交わりは淡きこと水のごとし、小人の交わりは甘きこと甘酒のごとし」 「犬はよく吠えるからといって良犬だとは言えない。人は口が上手いからといって賢人だとはいえない」 「井の中の蛙、大海を知らず」 「駿馬は一日に千里走ることができるが、ネズミを捕まえることでは猫にはかなわない」 「長生きするほど、何かにつけて恥をかくことも多くなる」 「自分の内なるものを見ないで外のものを見て、自分の内なるものに満足せずに外に満足を求める者は、他人の満足を自分の満足として、我と我が身の本当の満足を満足としていない」 「貪欲が深い者は、持てる素質を十分に開花させることができず、どうしても人間が薄っぺらになる」 「過ぎ去ったことをくよくよしない。これから来る未来をいろいろ思い悩まない。その時その時に応じて、心にしまい置かない」 「生きているときは、水に浮かぶように運命の流れに身を任せる。死ぬときは、体を休めるときのように安らかな気持ちで静かに目を閉じる」
*** きょうの教養 (老子②)
◎第53章「大道と非道」 (注:タオは「道」で、道理に合った生き方という意味)
【新井満訳/「ああ情けない」】この国の政治家たちは、一体何をしておるのだ。相次ぐ戦争で国土は荒れ放題ではないか。食料貯蔵庫は空っぽではないか。だというのに相変わらず政治家たちは、意味もなく自分を飾り立て、ごたいそうな剣を腰にぶら下げて、酒池肉林の毎日だ。国民の幸福のために一心を捧げるどころか、私利私欲を求めて走り回るばかり。ああ情けない、ああ嘆かわしい。あの者たちは政治家でもなんでもない。ただの泥棒だよ。税金の名を借りて国民から金銀財宝を盗んでいるだけなのだ。あの者たちは大きな過ちを犯している。タオを見失い、タオとの絆を断ち切り、タオとは無縁の非道の輩となってしまった。あの者たちを一刻も早く、追放してしまいなさい。ああ情けない、ああ嘆かわしい。この国は早晩滅んでしまうぞ。指導者はいないのか。タオに目覚めた真の指導者は一体どこにいるのだ。
【加島祥造訳/「内なる光で見直してごらん」】 ほんのちょっと君の内側の光で見直せば、この道が平らで広いものと分かる。そしてもう横道なんかに入りこまない。だがね、多くの人々はどうも、狭い道が好きらしくって、そこで押しあって、先を争って、ほかの人の上にのし上がったりする。のしあがった者たちが政治や経済を支配して、あんなに着飾ったり、巨大なビルを建てたり、とてつもない武器を作ったりする。飲み食いに贅沢をし、金銭を積み上げる。これはみんな盗人のすることだよ。あの大きなタオとは大違いなんだ。そして確かなことだが、こういう人たちは、ひとりの人間としては、決してハッピーじゃあないのさ。
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***デイ・ウォッチ(10月31日)
◎柿沢法務副大臣が辞任 江東区長選の有料ネット広告巡り「深く反省」:朝日新聞デジタル (asahi.com) →東京・江東区長の選挙違反で東京地検特捜部が動いたのは、柿沢衆院議員を狙っていたからのようだ。本人は「違法とは知らなかった」と言っているが、違反は違反、法務副大臣でもある。展開次第では公民権停止の可能性もある。検察はどう動くか。
◎日銀、金利操作の再修正を決定 長期金利1%超え容認 – 日本経済新聞 (nikkei.com) 日銀植田総裁、長期金利「1%大幅には超えず」 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →日銀が再修正。日経新聞の特報は正しかった。現状を追認しただけともいえる。政府が「物価高に苦しむ国民のために減税を」という一方で、日銀は金融緩和を続け、物価高とは戦わないチグハグ。一連の金融政策の修正はアベノミクスの後始末だが、食い散らかしすぎて収拾がつかないのが実態。きょうから日経新聞の「私の履歴書」に前日銀総裁の黒田氏が登場する。「いかに自分が正しか」をブイブイ書くはずだ。
◎日大アメフト薬物事件 “副学長の対応が信用を失墜” 第三者委 | NHK | 事件 →副学長追放で、林真理子理事長、第三者委員会、文科省の足並みがそろったようだ。元検事の沢田副学長がどこまで抵抗するか。
◎旧ジャニ社長の東山氏、タレントマネジメントの新会社社長に就任せず:朝日新聞デジタル (asahi.com) 新会社長、外部招聘を検討 東山氏は就任せず 旧ジャニーズ:朝日新聞デジタル (asahi.com) →東山社長が荷の重さを感じ始めたようだ。旧ジャニーズ事務所は、旧勢力が残っているせいもあるのか、動きが鈍く、実務力も弱い。被害者への補償がスムーズに進むか懸念が残る。
◎埼玉 郵便局立てこもり 86歳の容疑者を逮捕 女性職員は無事 | NHK | 事件 →犯人はなんと86歳。病院の診療や交通事故の対応で郵便局に不満があったらしい。詳しくはこれからの捜査。
*** 「今日の名言」
◎榎本武揚(幕臣、明治期の外交官。1908年10月26日、72歳で死去)
「学びてのち、足らざるを知る」 「冒険は最良の師なり」 「蝦夷地を平定し、そこで防御と開拓に勤しんでいる。3千人の将兵を愛おしく思うと同時に不憫にも感じている」 「王政復古は日本の幸福であり、私も希望するものだ。しかし、明治新政府はその題目は公明正大であっても実態はそうではない。新政府軍は徳川慶喜に朝敵の汚名を着せ、ひどい扱いをし、ついには城を没収し、蓄えを奪い、先祖の墓まで廃し、さらに領地を政府のものとし、慶喜は自宅を持つことさえできない。本当の王政とは言えない」 「城(五稜郭)はまさに落ちようとしている。軍規は乱れに乱れて味方は頼りない。残った兵士はこの世を惜しんで深夜に語りあっている。ここに来た時は優れた兵士だった者も、今は変わってしまった。甘んじて罰を受けようと思う」 「日本人はロシアを大いに恐れ、すぐにでも蝦夷に襲ってくるなどと箸にも棒にもかからない思い込みをしている。私はロシアのことをよく知る立場にあるため、日本人の臆病さがよくわかり、さらに今後のことも考えて、ロシアについての書物を残すことに勤しんでいる」 「振り返ってみて五稜郭のときの苦労を思えば、外務大臣の仕事など、どれほどのものでもない」
*** きょうの教養 (老子③)
◎第33章「知足のすすめ」 (注:タオは「道」で、道理に合った生き方と言う意味)
【新井満訳/「知足のすすめ」】
他人を知ることより、自分を知ることの方が難しい。自分を知る者を、真の賢者というのだ。他人に勝つことより、自分に勝つことの方が難しい。自分に勝つものを、真の強者と言うのだ。
【加島祥造訳/「自分の中の富」】
世間の知識だけが絶対じあゃないんだ。他人や社会を知ることなんて、薄っ暗い知識に過ぎない。自分を知ることこそほんとの明るい智慧なんだ。他人に勝つには、力づくですむけれど、自分に勝つには、柔らかな強さがいる。頑張り屋は外に向かって踏ん張って、富や名声を取ろうとするがね。タオにつながる人は、今の自分に満足する、そしてそれこそが本当の豊かさなのだ。その時、君のセンターにあるのは、タオの普遍的エナジーであり、このセンターの意識は、永遠に伝わってゆく。それは君の肉体が死んでも滅びないものなのだ。
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***デイ・ウォッチ(1日)
◎イスラエルが難民キャンプ空爆、50人超死亡か 地上戦継続、死者1万人超―外国人のガザ退避開始:時事ドットコム (jiji.com) →ネタニヤフ政権は、国際的な孤立を恐れず、自らの汚名返上のため突き進む。死者は1万人を超えたが、パレスチナ側が圧倒的に多い。自重を求めるアメリカの力も及ばない。
◎日本経済でチグハグな動きが目立ち、迷走している。司令塔不在の物語 = 減税で可処分所得押し上げ 首相、消費増税考えず―参院予算委:時事ドットコム (jiji.com) →岸田首相は自民党内でも評判の悪い減税に固執。首相の権限にこだわっているように見える → ◎円安進行、151円台前半 株は大幅続伸―長期金利、一時0.970%に上昇・東京市場:時事ドットコム (jiji.com) →政府は物価高に苦しむ国民のために減税をするというが、日銀は物価高と戦わず、金融緩和を維持している。この結果、日米の金利差が広がるとみて、円安が進む。輸入物価がまた高くなる。→ ◎三菱UFJ銀行 10年の定期預金 金利100倍に | NHK →日銀の方針をよそに民間金融機関はさっさと金利を上げ始めた。→ ◎トヨタ自動車の純利益最高3.9兆円 24年3月期、6割増に上方修正 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →円安が進んでトヨタがもうかる。本来であれば、金融緩和を修正して金利の正常化を図り、同時に円安に傾かないようにして物価高を抑える。物価高で苦しむ世帯には給付金を支給する。政府は「今は物価高と戦い、国民生活の安定が第一」と宣言すればいい。→◎【随時更新】米FRB 2会合連続利上げ見送り パウエル議長会見 | NHK | アメリカ →アメリカの利上げ見送りで、金利差拡大は一服か。
◎中国・北戴河会議の裏にいた李克強氏 謎残る突然死の危うさ – 日本経済新聞 (nikkei.com) →有料記事だが、中沢克二編集委員の中国記事はディープ。共産党長老と習近平主席との権力闘争を描く。習近平がライバル視した李克強の死は不自然で、経済停滞で募る民衆の不満に火がつく可能性がある。天安門事件は人気のあった胡耀邦総書記の死が引き金となった。
*** 「今日の名言」
◎吉田松陰(幕末の長州の思想家。1859年10月27日、29歳で死去)
「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし」 「大器をつくるには、急ぐべからず」 「至誠にして動かざる者は、未だこれ有らざるなり」 「武士の心懐は、いかに逆境に遭おうとも、爽快でなければならぬ」 「過ちがないことではなく、過ちを改めることを重んじよ」 「自分の価値観で人を責めない。一つの失敗ですべて否定しない。長所を見て短所を見ない。心を見て結果を見ない。そうすれば人は必ず集まってくる」 「人のわずかな欠陥をあげつらうようでは、大才の士は、もとめることができない」 「学問とは、人間はいかに生きていくべきかを学ぶものだ」 「志定まれば、気盛んなり」 「君子は何事に臨んでも、道理に合っているか否かと考えて、行動する。小人は利益になるか否かと考えて行動する」 「人を観察するのは、目によってする。胸の中が正しいか、正しくないかは、瞳が明るいか、暗いかによって分かる」 「どんな人間でも一つや二つは素晴らしい能力を持っている。素晴らしいところを大切に育てていけば、一人前の人間になる」 「成功するかしないは、問うところではない。世から謗られようと、褒められようと、自分に関することではない」 「英雄は目的が達成されないときには悪党や盗人とみなされるものだ」 「満開となれば、やがて花は落ちる。太陽は南中すれば、やがて陰りはじめる。人は壮年を迎えれば、やがて老いていく。百年の間、必死で勉強すべきであり、ゆったりとくつろぐ暇などない」
*** きょうの教養 (老子④)
◎第60章「和光同塵」 (タオは「道」で、道理に合った生き方と言う意味)
【新井満訳/「和光同塵」】
何のたとえかといえば、私は才能のことを言おうとしているのだ。もしあなたが素晴らしい才能を持っていたとしても、そのことを決して自慢してはいけないよ。得意になって才能の光をギラギラと輝かせ、見せびらかしてはいけないよ。そんなことをしたら、若いうちに早々と発見されてしまい、あなたの思惑などはお構いなしに、使い使いたいだけ使われて、挙句の果ては雑巾のように使い捨てられてしまうぞ。もしあなたに優れた才能があるならば、「和光同塵」。才能の光は、和らげておきなさい。世俗のチリの裏側に、そっと隠しておきなさい。世の中の脚光を浴びるような、天才としてではなく、どこにでもいるような凡人として、控えめに生きなさい。「自分は、真っすぐな木ではなく曲がった木なのだ」。そう自覚して、細く長く生きなさい。天からいただいた命に感謝しながら、果たすべき役割を果たしなさい。そうしていつの日か、寿命の尽きる時が来たら、命は潔く天にお返ししなさい。無欲にして無心。それがタオの人の生き方なのだよ。
【加島祥造訳/「まず、空っぽから始まる」】
タオの働きは、なによりもまず空っぽから始まる。それは、いくらくんでもくみつくせない。不可思議な深い淵とも言えて、全てのものの出てくる源のない源だ。その働きは、鋭い歯を丸くする。固くもつれたものをほぐし、強い光を和らげる。そして、舞い上がった塵を下におさめる。それだから、タオを谷の奥にある深い淵に例えるのだ。その淵に潜って行けば、はて知れない先の先まで行くだろう。子から親へ、その親から先へとたどっていくのに似て、どこまでも、どこまでも先がある。やっと行き着いた先の、またその奥にも先があるといったものなんだ。だから私は、誰の子かと聞かれたら、タオという母の子と答えるのさ。
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***デイ・ウォッチ(2日)
◎岸田首相「来夏に物価高超す所得増」 17兆円の経済対策 – 日本経済新聞 (nikkei.com) 所得減税、岸田首相説得力欠く 自民に不満「結果責任取って」:時事ドットコム (jiji.com) →これほど評判の悪い経済対策も珍しい。自民党内でさえ応援する空気は乏しい。そもそも今は不況ではない。岸田政権は経済状態の診断ができていないので、症状や療法について、国民的コンセンサスを得ていない。
◎日本製鉄、トヨタと三井物産への特許訴訟を放棄 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →日本製鉄が提訴した時、多くの人が驚いたが、今度は和解もせず、訴訟を放棄するという。なぜ提訴をしたのか聞きたくなる。民間同士だから自由にやればいいが、もう少しうまいやり方はなかったのだろうか。
◎李前首相、荼毘に 天安門に半旗、厳戒の北京―胡前主席も花輪・中国:時事ドットコム (jiji.com) →報道では中国の人たちが李克強・前首相を慕っていることが伝わってくる。最近の経済低迷への不満も強いのだろう。強固に見える習近平主席だが、「強いものこそ弱い」とも言う。アメリカとのいたずらな対立はやめ、国内経済の立て直しに注力すれば、世界もより平和になるだろう。
◎JOC山下泰裕会長 けい椎損傷で入院 家族以外は面会謝絶 | NHK →柔道で頚椎損傷はあるが、プライベートなできごとで損傷したという。詳しくは明らかにされていない。復帰はできるのだろうか。華やかだった選手時代に比べ、JOC会長になってからは何となく大変そうだ。
◎大谷翔平 日本時間 2日 エンジェルスからFAに 今オフ 契約交渉に注目 | NHK | 大谷翔平 →大谷の動向は当分、大きな話題だ。西海岸のイメージがあっているので、仮に移籍してもドジャースあたりがいいように思うが、どうなるだろうか。契約額は750億円ともいわれている。サラリーマンの生涯賃金で何人分だろうか。人ごとながら、どう使うのか心配になる。
*** 「今日の名言」
◎豊田佐吉(発明家、トヨタグループ創始者。1930年10月30日、63歳で死去)
「障子を開けてみよ、外は広いぞ」 「わしの今日あるのは、天の心。こちらも社会へ奉仕せにゃいかん道理だ。誠実というその字を見ろ。言うことを成せという言葉なんだよ」 「男は、四の五の考える必要はない。志を立てた以上、迷わず一本の太い仕事をすればよい」 「いくら儲けたいの、いくら儲けねばならんのと、そんな横着な考えでは人間生きてゆけるものではない」 「世の中の多くの人のために、お国のためにという考えで一生懸命に働いてゆけば、食う物も着る物も自然とついて来る」 「人間のやったことは、まだやれることの百分の一にすぎない」 「発明発見とか創意工夫の世界は、あくまでも広大無辺で、今まで人間の踏み込んだ地域は九牛の一毛(多くの牛の中の一本の毛)にも達していない」 「大きな未開の秘庫は早く扉を開けてくれと、中から我々に呼びかけている。扉を開く鍵は、いつも、どこにも、誰の足下にも転がっておるのである」 「金は借りやすいところから借りてはいかん。慎重な貸し手は相手の人格を見て、仕事の内容を検討する。そんな人は、こちらが悪くなるとさらに金をつぎ込んでくれる。安易に金を貸してくれる人は、金が欲しいときに返済を迫ってくる」 「わしは他人より創造的知能に恵まれているわけではない。すべて努力の結晶だ。世間は、その努力を買ってくれないで、天才だと言って片付けてしまう。私には遺憾千万である」
*** きょうの教養 (老子⑤)
◎第60章「小魚を煮るように」 (タオは「道」で、道理に合った生き方と言う意味)
【新井満訳/「小魚を煮るように」】
国を治めるにはどうしたらよいのか? タオに目覚めた政治家は、決して焦らないし、あわてない。小魚を煮るようにして治める。むやみにつっついてかき回したり、ひっくり返したりしたらどうなると思う? 小魚の形が崩れるし、味も落ちる。ゆっくり、そうっと、余計なことはせずに煮るのがコツさ。国の政治も同様でね。国民に対して、ああでもないこうでもない、あれをするなこれもするなと 細かくうるさく干渉すれば、国民が持っている自由な活力を奪った上に、国民の反発を買ってしまう。そういう国は、早晩、滅んでしまうだろう。タオに目覚めた政治家は、無為にして無心。余計な政策は展開しないし、干渉もしない。小魚を煮るように焦らないし、あわてない。国民の活力をあるがままに受け入れる。
【加島祥造訳/「小魚を煮るように」】
「大きな国を治めるには、小魚を煮るようにせよ」。よくこう言われるがね。それは、小魚を煮るのにあちこち突っつけば、形が崩れちまう。そこを言うんだ。タオを体得したリーダーだったら、そんな小うるさいことをしないから、国民は迷信の鬼や悪霊を崇めなくなる。鬼の霊力はなくならないが、その霊力は人に害をしなくなるんだ。タオのリーダーは国民をいじめようとしない、だから国民はこの両方から痛めつけられない。そして霊界にも政治社会にもあの見えざるパワーが、自由に流れることになる。言わば上にも下にも、ゆきわたるわけだ。