11月6~10日(教養講座:人文科学の教養)

2023.11.10メルマガ

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年11月6日号(転送禁止)~~~   

HPにアップしました→ 10月30~11月3日(教養講座:老子) – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)   11月6日からの教養講座は「教養の人文科学」 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)

***デイ・ウォッチ(3~5日)

阪神が日本一 38年ぶり2回目 日本シリーズでオリックスに4勝3敗 | NHK | 日本シリーズ →がっぷり四つに組んだ日本シリーズ。阪神の日本一はこれが2回目というから意外に少ない。四球を重視して、堅実に戦う今のスタイルを続ければ、来年も好成績が予想される。パブリックビューイングで内野席を開放した甲子園は満員だった。熱狂的なファンの生態も面白い。

米大統領選まで1年 バイデン氏 トランプ氏の選挙戦 見方広がる | NHK | アメリカ大統領選 →最近の世界混迷の一因は、分断が激しいアメリカの指導力低下がある。2人の再戦となれば、分断はさらに深まりそうだ。トランプ氏の「アメリカ・ファースト」は心情的にはわかるが、有権者が同氏の破茶滅茶な行動や政策を支持する理由がいまだにわからない。

イスラエル閣僚が「ガザに原爆投下」発言 政府会合への出席禁止に:時事ドットコム (jiji.com) 「即時停戦」求め大規模デモ パレスチナ支持派、米首都に数千人:時事ドットコム (jiji.com) →イスラエルに対する過剰防衛批判が強まっている。原爆投下発言にはさすがにネタニヤフ政権も反応したが、一部の本音なのだろう。強大な力を持ったイスラエルの憎しみぶりが恐ろしい。

欧米当局 ウクライナに停戦交渉の可能性 協議持ちかけか | NHK | ウクライナ情勢 →ゼレンスキー大統領は否定している。しかし、欧米でウクライナ支援疲れが広がっている。イスラエル・パレスチナ問題も勃発し、米国はダブルスタンダード批判、欧州は影響力を発揮できず、2正面対応で苦しんでいる。

日比、「準同盟」へ一歩 対中国で共同歩調:時事ドットコム (jiji.com) 日マレーシア共同訓練強化 中国念頭「現状変更認めず」―OSA協議へ・首脳会談:時事ドットコム (jiji.com) →岸田首相がフィリピンとマレーシアを訪問し、対中国で連携を強化した。東南アジアを味方につけることは非常に重要だが、各国には中国に配慮する事情もあり、琴線に踏み込む必要がある。

生成AIで岸田首相の偽動画、SNSで拡散…生中継のようにニュース番組のロゴも表示 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →これがAIの恐ろしさだ。この程度ならすぐに見破られるが、精巧な偽動画は増えそうだ。SNSでは批判されることも多い既存メディアだが、「最終的に信頼できるのは我々だ!」という流れにする必要があるだろう。

*** 「今日の名言」

◎インディラ・ガンジー(インド5・8代の首相。1984年10月31日、暗殺されて66歳で死去)

「世の中には二通りの人々がいる。仕事をする人と、それを自分の手柄にする人だ」 「人は行動中に憩い、安息中に活発たることを学ばなければならない」 「握り拳のままでは、握手などできません」 「意志のないところに愛はない」 「私の命がわが国のためになるなら、私はそれを厭いません。もし私が今日死ぬとしても、私の血の一滴一滴がわが国を元気づけてくれるでしょう」 「私は私の人生を人々のために過ごしたことを誇りに思います。私は最後の息がなくなるまで奉仕を続ける」 「人々は自分の権利はよく覚えている。しかし自分の任務を忘れる傾向がある」 「勇気がなければ、他の美徳を習得することはできません」 「質問する力はすべての人間の進歩の基礎です」 「人生から困難を排除することはできません。唯一できることは、それらを受け入れることです」 「私たちは正しいことをすべきである。そして正しいことをするのに危険が伴う時、私たちは危険を冒す必要がある」 「能力は常にテストによって評価されるわけではありません」 「強さとは自分自身で行うことができるものであり、他人から借りるものではありません」

*** きょうの教養 (人文科学の教養①)

今週は人文科学の教養を特集する。知っているようで知らない人文科学について、「世界でいちばんやさしい教養の教科書」(児玉克順著)から「心理学」「文化」「芸術」「言語」「哲学」を取り上げる。

◎心理学  科学としての心理学は19世紀から始まった。科学は対象を分析、分解することで合理的な法則を導こうとする。心理学も「心」を要素に分解し、どのように構成されているかを把握しようとした。具体的には緊張や快・不快、弛緩や興奮、鎮静など意識を要素に分解して分析することで法則を導こうとした。構成主義心理学と呼ばれる。

20世紀になると、構成主義心理学への反発から、新しい三つの流れが出てきた。第一は、意識を要素ではなく、まとまりとして捉えるゲシュタルト心理学だ。物事を細かな要素の集まりではなく、集合体として捉えた。第二は、意識ではなく行動に注目する行動主義心理学。情報や刺激に人はどう反応するかを研究した。第三は、意識ではなく無意識に注目するフロイトに代表される精神分析の心理学である。私達の意識は心のほんの表層に過ぎず、深層心理の無意識を研究した。自覚できる「意識」、自覚できたりできなかったりする「前意識」、自覚できない「無意識」に分けた。

現代の心理学の中心は、この三つの心理学を統合した認知心理学である。「心」が外界の情報を総合的にどう処理しているかという情報処理のメカニズムを探ろうとした。外界からの刺激を生体の感覚器官で感じ取り、どのような「感覚」を得られたかを「知覚」し、「認知」「認識」へと進む。例えば、花を見て目や鼻で感じ、色や匂いを知覚し、花だと認知・認識して記憶していく。人工知能(AI)は、この研究をもとにして人間と同じ認知を実現できる機械を追求している。機械が学習と推論を繰り返し、人の頭脳と対等以上になろうとしているのだ。

最近では、私たちの身体は太古の時代から遺伝によって引き継がれてきた情報や本能の影響を受けたとする「身体操作論」、動物の行動を研究するすればかなりの領域で人間にも当てはまるという「動物行動学」も発達している。また、20世紀後半以降に発達した脳科学によって、さまざまな発見がなされている。例えば、感情や意欲、思考などを司る前頭葉、聴覚や記憶をつかさどる側頭葉などの動きを研究することによって、心のメカニズムの解明も進んでいる。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年11月7日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(6日)

中東情勢「人道」前面に結束図る G7、7日から外相会合:時事ドットコム (jiji.com) →世界の事態を動かす可能性は小さいが、この時期に東京で開かれるので注目が集まる。ウクライナ問題で団結したG7だが、イスラエル・パレスチナ問題での内情は複雑だ。日本はG7議長国で、上川陽子外相の手腕に関心と期待が高まる。

ノーベル平和賞受賞者ら 講演会で軍事衝突での市民犠牲に抗議 | NHK | 東京都 【随時更新】ネタニヤフ首相「人質解放なしに停戦ありえない」 | NHK | イスラエル・パレスチナ →失態隠しに躍起のネタニヤフ政権は、ノーベル平和賞受賞者ら世界の抗議に耳を貸す用意がない。ハマスがテロ組織なら、イスラエルはテロ国家といわれても仕方ない。

UAゼンセン 来年の春闘へ 「6%を基準」賃上げ要求の方針 | NHK | 春闘 経団連 十倉会長 “賃上げ維持は非正規雇用への広がりも重要” | NHK | 春闘 →賃上げ春闘が早くも始まっている。政府に尻を叩かれての賃上げは情けないが、現在では経済浮揚の大きなカギ。1990年の平均年収で日本はG7のトップだったが、2022年は米国の3分の1、韓国にも抜かれた。十倉経団連会長はまともだ。

100億円供託、政府に提案へ 被害補償原資、あす会長表明―旧統一教会:時事ドットコム (jiji.com) →解散命令の請求では激しく政府を批判したが、一転して100億円を供託して謝罪するという。事態の変化に対応して生き残りをはかる作戦のようだが、補償の原資に使えるなら使いたいところ。まずはきょうの会見に注目。

*** 「今日の名言」

◎デール・カーネギー(作家、自己啓発家。1955年11月1日、66歳で死去)

「幸福になりたければ、見返りを求めるな。ただ、ひたすら、他のために尽くせば良い」 「一見たいしたことのない仕事でも、思い切って全力を注ぐことだ」 「他人にどう思われているかなどと心配する暇があれば、人々が称賛するものを成し遂げることに時間を使うべきだ」 「人は誰でも、他人よりも何らかの点で優れていると考えていることを忘れてはならない。相手の心を確実に掴む方法は、相手が相手なりの重要人物であるとそれとなく、あるいは心から認めてやることである」 「嘘ではない心からの賞讃を与えよう。心から賛成し、惜しみなく賛辞を与えよう。相手は、それを心の奥深くしまい込んで、終生忘れないだろう。与えた本人が忘れても、受けた相手は、いつまでも忘れず、慈しむだろう」 「議論に勝ったとしても、その相手の意見は変わらない」 「恨みを抱くな。大したことでなければ、堂々と自分のほうから謝ろう。頑固を誇るのは小人の常である。にっこり握手して自分の過ちを認め、いっさいを水に流して出直そうと申し出てこそ、大人物である」 「疲労を予防することは、悩みを予防することに通じる。たびたび休養すること。疲れる前に休養せよ」 「もし何かを恐れているなら、他の人々もあなたと同様、何かに対して恐怖心を持っていることを思い出すことだ」

*** きょうの教養 (人文科学の教養②)

◎文化  近代はキリスト教の影響を受けた西欧の価値観が主流になった。西欧では非キリスト教社会は「間違った社会」として映った。18世紀以降、人類や社会は歴史を重ねることによって進化するという「歴史的進歩主義」という考え方が広まった。19世紀になると、西欧諸国は国民に国家への帰属と一体感を求める政策をとった。国は同じ文化、同じ言語、同じ民族で統一された方が、国民の一体感や帰属意識が強くなり、自分たちの国家こそ優れていると考えて戦争に発展した。これを「自文化中心主義」という。

反発として、20世紀から、様々な文化を尊重する「文化相対主義」が生まれた。文化に優劣はなく、地域ごとの風土や気候や歴史などに適用して文化が育まれたと考えた。文化に共通する構造を見出す「文化人類学」が、レヴィ・ストロースを中心として広まり、それぞれの文化には共通するものがあるのではないかと考えた。

第二次世界大戦以降、経済活動のグローバル化が進み、それぞれの国の文化に合った商品に作り変えて販売する「多文化主義経営」が生まれた。地域の独自性に合わせた経営をし、文化の異なる他者を受け入れる歩み寄りが求められるようになった。一方、さまざまな文化の導入や融合が奨励されて自文化に固執する事が否定されるため、あるべきモデルが分かりづらくなる側面も出てきた。

現代文化はマスメディアが大きな影響力を持ち、誰もが同じ価値観や理想を追いかける「大きな物語」が主流になった。一方、20世紀後半からネットメディアが普及し、様々な情報を得られるようになると、生き方や価値観、理想が多様化した「小さな物語」という状況を生み出すようになった。文化のあり方はさまざまな立場や考え方があり、何が正しいというわけではない。それぞれの正しさを尊重し合うことが必要になる。

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***デイ・ウォッチ(7日)

旧統一教会が会見で“おわび” 補償原資として最大100億円国に | NHK | 旧統一教会 →「謝罪」ではなく、被害者がはっきりしないので「おわび」だという。資産総額を明らかにせず、組織防衛優先の会見だった。2世信者は評価せず、怒っている。供託金最大100億円は、政治に投げたかなりの変化球だ。供託には法律が必要で、着地点をめぐって与野党が対立する可能性がある。

G7外相会合始まる 上川外相 一時的な戦闘休止の必要性訴え | NHK | イスラエル・パレスチナ →会合はきょうまでだが、発表される成果文書では「人道的休止」で一致する方向になっている。問題はイスラエルが受け入れるかどうか。米国も賛同しているので、G7としての圧力が問われそうだ。

立民 小沢一郎氏 “次の衆院選で政権交代を” 泉代表を批判 | NHK | 選挙 →「政権交代は5年後」という泉代表の発言をめぐって、立憲党内で議論が起きている。本音と建前をいっしょくたに議論しているようで、隔靴掻痒だ。党内の活性化につながるか、抗争になるのか。

「国府宮はだか祭」来年の神事に初めて女性が参加へ 愛知 | NHK | 愛知県 →はだか祭りに女性が出る。ジェンダー平等の歯車がまた一つ回ったようだ。「女性不可」の決まりはなかったが、コロナ禍で男性も服を着ているので、女性も出やすくなったようだ。女性の議員や管理職を増やすには、クオーター制が効果的だが、祭りのような伝統はひょんなことから変わっていく。

*** 「今日の名言」

◎明治天皇(睦仁、1852年11月3日誕生。1912年7月59歳で逝去)

「江戸城は広いな」 「日本人としての心を常に磨きなさい。たとえ世の中が安泰の時代であろうとも」 「思い一つで努力すれば、どんなことでも実現しないわけがない」 「空に届きそうなほどの高い山であろうとも、登ろうとする想いさえあれば、道はみつかるものだ」 「たとえ他人よりも遅れをとろうとも、正しき道を踏み外してはならない」 「どれだけ家が富み飽くほどの財産を築いたとしても、この世における自身の務めを怠ってはいけない」 「共に助け合い睦び合い切磋琢磨して向上していく友がいてこそ、世に出て活躍する力となる」 「何を行うにしても、誠(まこと)の道を歩きなさい」 「人の上に立つ者は、自身の行いが正しいかを常に自身で問わなければならない」 「器の形に従いながらも岩をも通す、水の力に学びなさい」 「広き世の中で活躍しようとする者は、細事に心を費やしてはならない」 「険しい山道の道しるべとなる松は、位などなくとも人々から敬われるものだ」 「遅い速いの違いはあったとしても、誠さえあれば辿り着ける」

*** きょうの教養 (人文科学の教養③)

◎西洋美術  西洋美術の歴史的転換点はルネッサンスだ。特徴は3つある。人間の価値を見直す「人間中心主義」、均整・調和・シンメトリーを特徴とする「古典主義」、遠近法などの「技術革新」だ。三大巨匠は、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロである。

16~18世紀になると3つの流れが生まれた。流動的、躍動感、対角線構図を特徴とし、ルーベンスらを代表とする「バロック」。 豪華絢爛、優美繊細、フランスのルイ15世時代の「ロココ」。その反動として、写実的・理性的でフランス革命を時代的な特徴とする「新古典主義」へと続く。19世紀は「ロマン主義」から始まる。市民革命や産業革命を経て、個人の自由が拡張された時期だ。しかし、非現実的で理想論すぎるという問題点もあった。そこで浮上したのが「写実主義」と「自然主義」である。写実主義は、現実を美化することなく、社会の不合理さや貧困、争いを描いた。自然主義は、自然の厳しさをありのまま作品にし、雄大な自然や農民の生活などを芸術作品とした。

反発として生まれたのが「象徴主義」。見えるものを使って見えない何かを表現しようとした絵画で、幻想的な特徴がある。写実主義を発展させたのが「印象主義」で、目に映る色彩を重ねて描いた。輪郭がなくぼんやりとし、目から心に移った色を描いてみようという特徴があった。

20世紀は、大衆化されたモダンアートに移行する。最初に登場したのは「アヴァンギャルド」。前衛的で革新的な芸術で、大転換はここから始まった。さらに3つの流れに分かれ、三次元を二次元の平面に再構成した「キュビスム」、役に立たず意味がわからないものを目指した「ダダイズム」、目に見えない現実を描こうとした「シュールリアリズム」である。これらは、大衆社会を象徴する素材をアートにするアンディウォーホールらの「ポップアート」などにつながった。

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***デイ・ウォッチ(8日)

G7外相会合 戦闘休止の共同声明発表 日本は外交努力を継続へ | NHK | イスラエル・パレスチナ →温度差のあったG7をまとめたのは成果だが、「停戦」ではないし実効性も乏しい。林前外相に比べて上川外相が一生懸命に映るのはなぜだろうか。私の前任地だった静岡県の選出(1区)で、テレビニュースでよく見ていたからだろうか、林前外相はいつも余裕の風貌で損をしていたのだろうか。

イスラエル軍報道官「停戦ない」ガザ市中心部に攻勢強める構え | NHK | イスラエル・パレスチナ →「停戦はない」というイスラエルは「永久戦争」を考えているのだろうか。1993年のオスロ合意をまとめたラビン首相が暗殺されてから、イスラエルの右傾化・強硬化が続く。強硬姿勢は勇ましいが、相手も強硬にして泥沼化するだけだ。憎悪は連鎖するという世界観はないのだろうか。

特別職の国家公務員給与引き上げ法案 “適切” 官房長官 | NHK | 国会 特別職の国家公務員の給与引き上げる法案 野党側は | NHK | 国会 →大学ゼミの討論にふさわしそうなテーマだ。政府は「企業に賃上げを求めている。特別職公務員も引き上げは必要」という立場。野党は「物価高で苦しむ人の対策を考えている時にふさわしいか」と主張、公明党も同調する。10日採決だからすぐに結論は出るが、あなたはどう思いますか?

ソフトバンク元部長ら3人逮捕、12億円詐取疑い 警視庁 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →ソフトバンクの部長から話を持ちかけられれば、ふつうは信じてしまうだろう。動機や背景に注目。

岸田首相 年内の衆議院解散 見送る意向を固める | NHK | 国会 →メディアと永田町スズメだけが騒ぐ「解散」。年内見送りというが、国民は誰も望んでいないから当然の判断だろう。解散権を政局に利用する日本の政治はガラパゴス。メディアは「いつ解散か」に血まなこになるのではなく、異常さこそを指摘し続けるべきだろう。

*** 「今日の名言」

◎ウラジミール・レーニン(ロシアの革命家。1917年11月7日は革命記念日)

「無関心は権力者、統治者への静かな支持である」 「一人は万人のため、万人は一人のため」 「思想は大衆の心をつかんだ時、力となる」 「働かざる者、食うべからず」 「学べ、学べ、なお学べ」 「書物は、大いなる力である」 「欠点を意識することは、それをなかば以上訂正したに等しい」 「嵐は強い樹をつくる」 「もっとも危険なことは、敗北よりもむしろ自分の敗北を認めるのを恐れることであり、その敗北から何も学ばないことである」 「敵から学ばなければいけないとは、昔からの真理である」 「あからさまに人を名指しし、容赦のない診断を下し、その治療法を見つけ出すだけの勇気がないような政党は尊敬に値しない」 「十分頻繁に嘘を繰り返せば、それを皆が信じ、真実になる」 「病のときに一番重要なことは、気力を失わないことだ」 「犯罪とは、社会的過剰の産物である」 「銃を持つ一人の人間は、銃を持たない100人をコントロールできる」 「一握りの先進国は、地球上の圧倒的多数の住民を経済面で苦しめている」 「100人の力は千人の力より大きなものであり得るだろうか。もちろんあり得る。100人が組織されていれば、実際にそうなる」 「資本主義のおかげで、ほんの一握りのずば抜けた富と実力を蓄えた国々が、一頭地を抜く存在となった。それらの諸国は全世界を相手に、単に金利を巻き上げることによって略奪を働いている。さらにその巨額の利益を活用すれば、労働者の指導層や上流階級の買収が可能となる」

*** きょうの教養 (人文科学の教養④)

◎言語  19世紀以前、言語はあらかじめ実在する人物や思いを表すと考えられていた。近代合理主義の時代で、言語も科学と同様、分解・分析して法則を導く研究が中心だった。

しかし、19世紀にスイスの言語学者ソシュールが登場して、事物と言葉の関係が見直された。言葉で言い表すことで事物が概念になると考えるようになった。文法ではなく、言語で意味づけることによって得られる隠された規則性や構造を研究するようになった。言葉には構造があり、それに合わせて物事を認識したり見つけたりしていることがわかってきた。子どもはチョウを見て、チョウと教えられて認識し、世界はチョウとそうでないものに分ける。ガと教えられ、世界はチョウとガでないものに分ける。名づけられたものとそうでないものに分かれることを「分節化」という。フランスではチョウとガもパピヨンと呼ぶ。これが言語圏の違いで、分節は言語圏ごとにバラバラなのだ。これを「言語の恣意性」と呼ぶ。私たちが世界を捉える意味は、言語によって意味づけられている。私たちはありのままの世界を自由に生きているのではなく、言葉によって作られたストーリーや物語に沿って生きているのだ。

言語に関する教養テーマを4点考える。①幼児の言語習得のメカニズムは、大人の話を聞いて覚える単純な構図でなく、幼児の頭の中に言語を効率よく習得するメカニズム(生成文法)があるらしい。②戦後日本の英語教育は、文法と読解を重視したため、会話のできない人が多い。その反省から、母語を習得するように英語を学習する流れが1990年代から広まっている。しかし、表面的な日常会話はできても、母語を使用するように文法的に正しく、自分の考えをしっかり伝えることができるようにはなっていない。③第一言語と第二言語の習得の研究も進む。第一言語の習得は、すべての言語に共通する普遍文法に沿って文法なしでも理解が可能になる。しかし、少年期以降に第二言語を習得する場合、普遍文法が適用されず、新たに文法を学ばないと理解不可能になる。④日常会話と思考言語という分け方もある。抽象的で意味の広い言葉を運用する能力を思考言語能力というが、日本語でしっかり思考できる人は、英語でもできるようになる。母国語で発達させた思考言語能力は、第二言語を運用する上でも活用されている。

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***デイ・ウォッチ(9日)

“イスラエルが1日4時間 戦闘休止 ガザ地区北部で” 米発表 | NHK | アメリカ →国際的な圧力がやっとネタニヤフ政権を動かした。しかし、1日4時間の戦闘休止はしっかり実行できるのだろうか。休止しないよりいいが、大きな意味があるとも思えない。人質の解放が焦点になる。

岸田首相ら増額分、自主返納へ 年46万円、給与改正法は維持:時事ドットコム (jiji.com) →自民党的な落とし所で決着する。自主返納しない特別職がいれば、どうするのだろうか。

神田財務副大臣 過去の税金滞納認め陳謝 “引き続き職務遂行” | NHK | 国会 →文春砲が炸裂。税理士資格を持っている財務副大臣の笑えない話。滞納は即アウトなのだろうか、過去の滞納だからいいのだろうか、税の苦しさを知っているともいえるのだろうか、辞める必要はないのだろうか。いろいろな論点を提供する。副大臣・政務官に当初女性はゼロで、首相の言う「適材適所」が虚しく響く。

MLB:大谷翔平、日本全国の小学校2万校に6万個の野球グラブ寄贈へ…「野球しようぜ!」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →素晴らしい!! 全国の全小学校に贈るところが大谷らしい。1校3つは少ないが、一生の思い出になる。安ければ1個数千円だが、1個1万円として6万個で計6億円。FAの契約額は750億円ともいわれているので、1校10個で毎年プレゼントできる。ちょっとセコイが計算してみた。

米俳優の労働組合のストライキ “製作会社側と暫定合意”発表 | NHK | アメリカ →ストの引き金はAIの登場。全米自動車労組(UAE)もEVでストをした。いずれもいったん収束するが、今後の再燃もあるだろう。労組の異議申し立ては、世界的に広がる気配で、不断の社会的対話・合意が必要な時代に入ったといえる。日本もいずれそうなるとみられる。

米 ニューヨーク・タイムズ 購読者数が初めて1000万人超える | NHK | アメリカ →日本の新聞社はデジタル化のお手本にすべきだろう。米国を代表するメディアで、英語の強みもあるが、それを言い訳にしてはいけない。前例や他社にとらわれず、創意工夫が求められている。

*** 「今日の名言」

◎アーサー・ネヴィル・チェンバレン(英国の首相。ヒトラーに対する宥和外交で批判された。1940年11月9日、71歳で死去)

「(独による隣国チェコスロバキアの一部の併合をめぐり)私はヒトラー・ドイツ首相に会いに行きます。2人の会談によって、有益な結果が生まれると思われるからです。私の政策は常に平和の確保が第一です。この訪問が承諾されたのですから、必ずや大きな成果が得られると期待しています」 「私の目的は、欧州の平和です。この旅でそれを達成できることでしょう」 「私はよく言っています。一度でも失敗したら、何度でもトライしろ、と。今もそうです」 「チェコスロバキアの問題は無事に解決しましたが、それは大きな問題の解決に至る序曲にすぎません。全欧州の平和への序曲です」 「ヒトラーは、私が出会った中でもっとも凡庸な子犬だ」 「(ドイツがポーランドに侵攻し、全国民に向けたラジオ演説で)今朝ベルリンで、英国大使がドイツに最後通牒を渡しました。11時までにポーランドからドイツ軍を撤退させない場合、交戦状態に入ると通告しました。ドイツの要求は受け入れがたいものです。わが国はドイツと戦うことになりました。長年の平和への尽力が水泡に帰し、痛恨の極みであります」  【解説】チェンバレンの信念は戦争回避の平和外交だった。第二次世界大戦の勃発を1年引き延ばす成果はあったが、後継首相となったチャーチルらから「ドイツに時間的猶予を与え、より強力な軍備を作り上げさせた」「英仏はヒトラーに侵攻を容認するという誤ったメッセージを送ってしまった」と強く非難されている。チェンバレンの誤算は、ヒトラーが領土獲得への執着を捨てない人物であることを見抜けなかったことだった。

*** きょうの教養 (人文科学の教養⑤)

◎哲学  14~16世紀のルネサンスは、神に服従する中世的価値観に反抗し、人間の個性や合理的精神の尊重を求めた人間解放運動だった。17世紀、フランスのデカルトは、確実に存在するものを徹底的に追求し、「私」だという結論に至った。生まれつき崇高な理性があれば、物事を正しく認識できると考えた。「大陸合理論」と呼ばれ、真理を探求する方法として「演繹法」が用いられた。イギリスのベーコンやロックは、心は白紙状態で、経験を積み重ねて知性や認識が養われるとする「経験論」を唱えた、真理探求の方法としては「帰納法」が用いられた。

18世紀にドイツで両者を統合した「ドイツ観念論」が登場した。ヘーゲルは弁証法を提唱し、相反する二つの主張(テーゼとアンチテーゼ)を統合してよりよい結論(ジンテーゼ)に導き、繰り返し実践することで自己も社会もより高い次元へと発展できるとした。このような哲学は「近代的自我」の概念生み出し、理想的なあり方を人々に提示したが、逆に人々を縛り付けることになった。近代の「私」に共通していることは精神の進歩主義で、精神の高みを目指す方法論が盛んに論じられた。

進歩は素晴らしいのだろうかと疑ったのが19世紀ドイツの哲学者ニーチェで、神がいなくても自らを律する超人思想を提唱した。同時期に精神科医のフロイトとユングが無意識を研究し、自分の精神すら思い通りにならないし、自己の中心は自我ではないと唱えて、衝撃を与えた。

20世紀の第一次世界大戦で西洋人同士が殺し合うと、価値観も揺らいだ。「私」は確固とした存在ではなく、関係性の中で揺らぐという認識になり、人間の存在を特別なかけがえのないものと考える「実存主義」が生まれた。20世紀中頃から、言語や文化や社会や心には、目に見えない構造があり人間はその構造に縛られているという「構造主義」がフランスを中心に広まった。自己と他者の境界は近代合理主義のように明確に分かれていないと考える。

現代ではアイデンティティ・クライシスが指摘される。アイデンティティは「自分らしさ」だが、何らかのモデルが必要になる。かつて存在したモデルが消滅するポストモダン状況になり、正しさの基準がバラバラになり、精神の危機を生んでいるといわれる。