11月20~24日(教養講座:人生を狂わす名著)
~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年11月20日号(転送禁止)~~~
HPにアップしました→ 11月20日からの教養講座は「人生を狂わす名著」 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com) 11月13~17日(教養講座:ジャズ) – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)
***デイ・ウォッチ(17~19日)
◎米OpenAI、アルトマンCEOが退社へ 事実上の解任か – 日本経済新聞 (nikkei.com) 元OpenAIのアルトマン氏、新会社検討 引き留め協議も – 日本経済新聞 (nikkei.com) →アルトマン氏の退任は、ビジネス優先過ぎて取締役会の信頼を得ていなかったようだ。しかし、退職者や引き止め協議も報じられ、社内は混乱している。AI開発の将来に影響を与えそうで、推移を見守る必要がある。
◎創価学会の池田大作名誉会長が死去、95歳 組織を飛躍的に拡大:朝日新聞デジタル (asahi.com) 宗教学者・島田裕巳氏 「池田氏の死去、影響は計り知れない」:朝日新聞デジタル (asahi.com) →宗教カリスマの死。ほとんどメディアに出ないので、どんな人か国民はほとんど知らない。日中関係では大きな存在感があったというが、秘密のベールで包まれ、政治への影響もよくわからない。
◎ガザ南部に地上作戦強化へ ハマスと「全面戦争」―イスラエル:時事ドットコム (jiji.com) ガザのシファ病院「絶望的」 WHO視察、退避訴え:時事ドットコム (jiji.com) →ネタニヤフの進軍はとどまるところを知らない。ガザ南部でも地上作戦を強化する。攻撃された病院にWHOが入ったが、ひどい状況という。ハマスの拠点があったかどうかはまだ不明。
◎【詳細】日中首脳会談“意思疎通重ね 新時代の関係切り開く” | NHK | 日中関係 →習近平主席はソフトになってきている。懸案は簡単に解決しないと覚悟した上で、粘り強く対話をするしかない。外交は重要だが、あくまで政治指導者の交流だ。国民すべてが一体化する必要はないという冷めた認識も必要だ。世論や国民の本音、交流など「民」の力が国の関係を決めるという発想も持ちたい。
◎エンジェルス 大谷翔平 満票で2回目のMVP受賞 大リーグ史上初 | NHK | 大谷翔平 →この1年、明るいニュースは大谷発が多かった。満票2回は大リーグ史上初というからすごい。次の注目は、来期の所属チームになる。
◎市川猿之助被告 懲役3年 執行猶予5年の有罪判決 東京地裁 | NHK | 事件 →社会人の常識を欠いていたと言わざるを得ない。週刊誌報道のパワハラ・セクハラはあったのか、本人はどう思っているのか、よくわからない。歌舞伎役者は、「歌舞伎は庶民起源の芸能」という自覚が必要だ。香川照之も同じだが、心からの反省が復帰への道を開くだろう。執行猶予は惻隠の情だろう。
*** 「今日の名言」
◎三浦徳子(「青い珊瑚礁」など作詞。11月6日、75歳で死去)
「全部聴かせどころというのはだめ。サビはちょっとあればいい」 「朝起きて、言葉が向こうからやってくるのを待つんです」 「(松田聖子との初対面の印象)オーラはそのときには感じなかったけど、スタジオで声を出したとき、すごくいい声なんですよ。声量がすごくあったの」 「(松田聖子に作った歌詞のモチーフが「海」が多いとの指摘について)彼女の基本カラーは自分の中で淡いピンクにしたんです。『青い珊瑚礁』の「渚は恋のモスグリーン」はピンクに合う色だから、モスグリーンが出ているんです。会ったときに頬がうっすらピンクでかわいかったんですよ。彼女は色白だし。だから基本カラーをピンクにしましょうと」/「あゝ私の恋は南の風に乗って走るわ あゝ青い風切って走れあの島へ(青い珊瑚礁)」/「恋する女は綺麗さ 決してお世辞じゃないぜ ため息混じりの頬に ついこの手のばしたくなる(お嫁サンバ)」/「ああ みずいろの雨 私の肩を抱いてつつんで 降り続くの ああ 崩れてしまえ あとかたもなく流されていく 愛のかたち(みずいろの雨)」
*** きょうの教養 (狂わす名著①)
今週は「人生を狂わす名著50」(2017年、ライツ社)から5冊を紹介する。著者は三宅香帆さんで、京都大学大学院人間環境学研究科に在学している時に執筆した。京都天狼院書店に勤務している。「社会や世界に流されなくなる本」を選んだという。独特の見方と表現による批評が何とも面白い。
◎「グレート・ギャツビー」(1925、スコット・フィッツジェラルド)
本文引用:「隣家からは、夏の夜を通して音楽が流れてきた。青みを帯びた庭園には、男たちや娘たちがまるで蛾のように集まって、ささやき、シャンパンや、星明かりのあいだを行きかった」
寸評:この世のロマンチストな男の人全員へ。スマートな晩年か、向こう見ずな青春か。憧れは手にした途端消えてしまう。それでも・・・。全世界の男のロマンを結晶させたアメリカ文学史に輝く華麗なる一冊。村上春樹も絶賛した。
批評:小説の舞台は狂乱の1920年代のアメリカ。主人公が引っ越してきた先で出会ったのは、夜な夜な狂ったように開かれる豪勢なパーティー。主催者はギャツビーと名乗る男。実はギャツビーには長年ひっそりと片思いをしている相手がいたのです。それがデイジーという昔出会った美しい女性。手段が汚かろうが醜かろうが気にしない。けれどその先に求めるものは限りなくピュア。このギャツビーという男。女側から見たらね、「あなたいったいきれいなのか、汚いのかはっきりしてよ」と言いたくなるやつです。
けど実際、男の子ってこういうもんなんでしょうね。心の内側は異常なまでにロマンチストなのに、スマートでクールに見せかけて、実は結構ダサくて。そしてそれが女からすれば、よく見えちゃうんだから男の子ってずるいんですけど。男の子って、つまりは憧れの女の子が欲しくて、自分が一番強いって言う称号が欲しくて、まだ見ぬ素晴らしい脚が欲しいってこと。バカだけど愛しい「男の子」を真っ向から、これ以上ないくらい美しく描いた小説です。
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***デイ・ウォッチ(20日)
◎自民派閥資金疑惑、政権を直撃 岸田首相「適切に対応」、野党追及へ:時事ドットコム (jiji.com) 内閣支持率25% 政権復帰後最低 不支持率は最高 朝日世論調査 [岸田政権]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →自民党派閥のパーティー収入で不正処理疑惑が浮上。地検特捜部が動き、国会で野党が追及する。一方、朝日新聞の世論調査で、内閣支持率が自民党の政権復帰後で最低を記録した。
◎日本郵船運航の輸送船「ギャラクシー・リーダー」、イスラエルの実業家が共同保有 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →ガザでの戦闘が長引けば、波紋は広がるという象徴。運航は日本郵船だが、所有は英国やイスラエルの実業家だ。日本人乗組員はいないが、取引材料に使われそうで、長期化の可能性もある。似たような事態が予想される。
◎「アルゼンチンのトランプ」こと右派ミレイ氏が大統領選で勝利か | NHK | アルゼンチン →「アルゼンチンのトランプ」が大統領選挙で勝利し、トランプ氏が歓迎のコメントを出した。主張は親米で、中央銀行の廃止やドルを法定通貨にすると現実離れした政策を掲げている。与党は連立になりそうだが、破たんも予想される。
◎アルトマン氏、Microsoft入り OpenAIは外部から新CEO – 日本経済新聞 (nikkei.com) →オープンAIで新展開。アルトマン氏がマイクロソフトに入社することになった。大手のマイクロソフトを軸に再編成されるのか、内紛に発展するのか。
◎麻薬取締部 大阪のグミ製造会社に販売停止命令 | NHK | 厚生労働省 →グミに使われていた物質は違法ではないが、規制された成分の物質が見つかったから、販売停止にするという。緊急避難的な被害拡大防止策だが、製造会社の実態や意図は何だろうか。麻取の対応が当面の焦点。
◎「エホバの証人」2世信者“多くが親から虐待経験” 支援弁護団 | NHK | 児童虐待 →宗教集団への疑念が浮上した。宗教的信念による輸血拒否が虐待にあたり、ムチで叩くなどもあるという。エホバの証人は「一部の意見だ」と否定する。一部とはいえ、疑念を持たれること自体、重い。旧統一協会に実施したような調査が必要ではないか。
*** 「今日の名言」
◎小林一茶(俳人。1827年11月19日、54歳で死去)
「金がないから何もできないという人間は、金があっても何もできない人間である」/やせ蛙 負けるな一茶 これにあり/梅が香や どなたが来ても 欠け茶碗/他の富めるを うらやまず、身の貧しきを 嘆かず、ただ慎むは貪欲、恐るべきは奢り/やれ打つな 蝿が手をすり 足をする/ずぶ濡れの 大名をみる 炬燵かな/人の世は、地獄の上の、花見かな/初夢に ふるさとをみて 涙かな/雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る/われと来て 遊べや親の ないすずめ/大根引き 大根で道を 教へけり/ともかくも あなたまかせの 年の暮/名月を とってくれろと 泣く子かな/露の世は 露の世ながら さりながら(露のようなこの世だとはわかっているが、それでも我が子の死はあきらめきれない)/秋風や むしりたがりし 赤い花(秋風が吹くころになった。あの赤い花は死んださとが大好きで、いつもむしりたがった花だよ)/うつくしや しょうじの穴の 天の川/一夜さに さくらはささら ほさらかな(桜は一夜のうちにささら、ほさらと散っていってしまうんだなぁ)/またきょうも わすれてもどる 日陰かな
*** きょうの教養 (狂わす名著②)
◎「愛という病」(2010、中村うさぎ)
本文引用:「『女の病』とは、畢竟、ナルシシズムの病なのである。女のナルシシズムは、他者の愛によってしか満たされない。それは女が自分を『他者の欲望の対象』として捉える生物だからである。女は他者の欲望を求めることによって自己を確立し、同時に、他者を無化するモンスターなのだ」
寸評: 「女という性」がよくわからなくなってきたあなたへ。愛したいか、愛されたいか。ホスト狂い、整形、デルヘリ嬢・・・女という欲望の謎を中村うさぎの壮絶な実体験から知ることができる一冊。
批評: 中村うさぎは、それを言っちゃ元も子もないということをどんどん書いていく。日本の女性エッセイストの先頭を走る。書いているのは決してキラキラしたライフスタイルなどではなく、内容は、血が吹き出して泥が飛び、読者も流血するわ、作者は返り血と自分の血両方に濡れるわ、その辺一面血の海にしてしまう凄まじい文筆活動である。
ふつうの人だったら「いや、これ以上は人としてやばいでしょ」と怖じ気づいてしまうところで、「ここから先を見たい!」と叫んで、踏み込んでしまう。 中村うさぎの刀は、何よりまず、斬られる痛みと傷口の深さを自らに課す。そしてちゃんと他人も斬る。凄まじい切れ味で。「痛いよね、わかる、わかる」と笑いながら。
ここまで切実に「女とは何か?」を考えている人がいることに読者は救われる。私は世の中の女の人みーんなに読んで欲しい。ジェンダーフリーが叫ばれる昨今だからこそ、社会的な意味の「女」というものが複雑になってるなぁ、と感じる。女であるということの輪郭がぼやけ、よくわからなくなっている。女という属性に縛られる必要はないけれど、そもそも自分が人間である、というレベルで社会的に女という性は存在する。やっぱり中村うさぎを読むべきだ、と私は思う。苦しんでいるのは自分ひとりではなく、こうやって問いを追いかけ続けている人が本を出してくれているんだから。
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***デイ・ウォッチ(21日)
◎ハマス指導者「停戦合意近い」 ガザ北部の病院から200人退避:時事ドットコム (jiji.com) →人質解放と停戦が迫っているという発言や情報が出始めている。ガザの戦闘休止が第一なので、当面は歓迎すべき動きだ。仮にそうなったとして、問題はその後。イスラエル政府では主戦論と柔軟論があるという。「人命第一」が世界の世論だろう。
◎旧統一教会被害者救済めぐる法案 自民 公明 国民が共同提出 | NHK | 旧統一教会 旧統一教会の被害者救済 立民と維新 財産保全法案一本化し提出 | NHK | 旧統一教会 →被害者救済という意味では、財産保全をする野党案が有効だろう。与党案は宗教の自由などに配慮したが、ここは被害者救済を最優先すべきところ。与野党とも協議に前向きで、新たな連携が生まれる可能性もある。
◎北朝鮮発射 “地球周回軌道への衛星投入 確認されず” 政府 | NHK | 北朝鮮 ミサイル →ミサイル開発につながる北朝鮮の打ち上げは大問題だが、日本に落下する可能性があるといつも政府あげて騒ぐのは違和感がある。必要な防衛活動というより、訓練を兼ねた危機感醸成の意図が伝わってくる。
◎立民 安住国対委員長“馳知事の参考人招致を”五輪招致めぐり | NHK | 東京五輪・パラ →石川県の馳知事が、倫理規定で禁じられているIOC委員への贈答品(アルバム)を渡したのは恐らく事実だろう。馳知事は、地元・森喜朗氏の子分的存在。ますます「汚れた東京五輪」となる。与党は発言撤回で逃げ切りを図ろうとするだろうが、事実関係の解明がスタートだ。
*** 「今日の名言」
◎ジョン・F・ケネディ(米35代大統領。1963年11月22日、ダラスで暗殺される。46歳)
「今、我々に必要なのは何か。勇気である!」 「やらねばならないことをやる。個人的な不利益があろうとも、障害や危険や圧力があろうとも。それが人間倫理の基礎なのだ」 「我々は真に勇気ある人間であっただろうか?必要な場合には、自己の仲間に対しても抵抗するだけの勇気を持っていただろうか?」 「行動には常に危険や代償が伴う。それは、行動せずに楽を決めこんだときの長期的な危険やコストと較べれば、取るに足らない」 「目的と方針がなければ、努力と勇気は十分ではない」 「私たちは、今までになかったものを夢見ることができる人々を必要としている」 「我々は、望みに向かって進むとき、恐れに行く手を塞がせてはならない」 「楽な人生を求めるな。より強い人間になれるように願いなさい」 「大きな失敗を恐れない者だけが、偉大なことを成し遂げる」 「変化とは人生の法則である。過去と現在しか見ない人は、確実に未来を見失う」 「一人の有権者が民主主義に対して無知であることは、あらゆる安全を低下させる」 「国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うてほしい」 「もし自由社会が、貧しい多数の人々を助けることができなければ、富める少数の人々も守ることができないだろう」
*** きょうの教養 (狂わす名著③)
◎「ティファニーで朝食を」(1958、トルーマン・カポーティ)
本文引用:「以前暮らしていた場所のことを、何かにつけふと思い出す。どんな家に住んでいたか、近辺にどんなものがあったか、そんなことを。たとえばニューヨークに出てきて最初に僕が住んだのは、イーストサイド72丁目あたりにあるおなじみのブラウンストーンの建物だった。戦争が始まってまだ間もない頃だ」
寸評:本当は、自分に正直に生きていきたいあなたへ。世間の善か、自らの善か。ニューヨーク、恋心、まるで猫みたいな美女。イノセンス(無邪気)をめぐる、きらきらと切ない小説。規律や常識を守ることが嫌になったときに読みたい一冊。
批評:舞台は第二次世界大戦下のニューヨーク。小説家志望の「僕」の部屋のちょうど真下に部屋を借りていたのはホリー。16歳にも30歳に見える美しく自由な空気をまとう彼女は、ニューヨーク社交界を気ままに歩いているらしい。ホリーの部屋にはいつもたくさんの男が出入りしている。彼女の素性は謎のまま、僕もまた彼女の魅力に惹きつけられていく。
何も所有したくない、身軽でいたい、責任なんて負いたくない、ティファニーみたいな自分がぴったりと自分でいられる場所を見つけるまで、とホリーは言う。こういう気持ちわからない人なんていないんじゃないだろうか。責任は重いし、年を取ったり人生を重ねて行ったりすることは、重さを変えていく作業だ。日々増えていく所有物を全部手放して、「私は私だ」っていいたい気持は痛いほどわかる。同時に僕は、ホリーにどうしようもなく惹きつけられながら、同時に遠ざけたいけど、また引きつけられと逡巡する。この気持ちもすごくわかる。
「善きこと。自らの則に従うこと」という部分が一番好きだ。戦時中のニューヨークへ足を運ぶことができない私も、どこかで自分なりのティファニーに代わる場所を見つけたい。それはガンを抱えるくらい危険なことかもしれないけれど、不正直なものに殺されるよりマシだ、と思ったりするのである。
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***デイ・ウォッチ(22日)
◎4日間の戦闘休止 人質50人解放へ イスラエルとハマス合意 | NHK | イスラエル・パレスチナ →何とか合意が成立した。戦闘休止と人質交換が合意通りに実行できるかが当面の焦点だが、停止の間に国際的な圧力をかけて、完全な停戦に持ち込みたい。イスラエルの強硬派をどう抑えるかがカギだ。
◎アルトマン氏 CEOに復帰へ ChatGPT開発「オープンAI」 | NHK | 生成AI・人工知能 →解任劇は何だったのだろうか。マイクロソフトの影響力が高まったことが最大の変化だ。アルトマン氏の解任理由は、ビジネス優先の姿勢だったが、マイクロソフトの主導権確立で、ビジネス化が加速しそうだ。AIの進化をウオッチする必要性は高まったといえる。
◎東芝、来月20日上場廃止 総会で承認、74年の歴史に幕:時事ドットコム (jiji.com) →迷走に迷走を重ねた名門企業の経営体制が、やっと安定する。上場は本来、資金調達が目的だが、実際には箔付けの意味も大きい。最近ではベネッセが上場廃止の方針を表明している。うるさい株主に煩わされず、長期的な経営が可能で、上場廃止が相次ぐ可能性もある。
◎“大麻グミ” 成分「HHCH」指定薬物に追加 来月から販売禁止に | NHK | 厚生労働省 →素早い対応だ。指定薬物に追加するだけで販売禁止ができる仕組みを活用した。大麻汚染が広がっており、断固とした姿勢を示した。
◎富裕層の申告漏れ最高更新 980億円、全体の1割|47NEWS(よんななニュース) →富裕層の申告漏れは、円安で海外での利益が増えたことが一因という。円安によって、庶民は物価高で苦しみ、富裕層や輸出企業は濡れ手に粟。何ともやるせない。
*** 「今日の名言」
◎樋口一葉(小説家。1896年11月23日、24歳で死去)
「切ない恋の心は尊きこと、まるで神のようです」 「恋とは尊く、あさましく、無残なものです」 「世の中にある可笑しくて、あやしく、のどかで、やわらかで、悲しく、おもしろいものとは、恋でしょう」 「恐ろしきは、涙の後の女子(おんな)心なり」 「色に迷う人は迷えばいい。情に狂う人は狂えばいい。この世で一歩でも天に近づけば、自然と天が機会を与えてくれるでしょうから」 「自身が丸くならなければ、思うことは実現できない」 「身を捨てたつもりになれば、世の中のこと、なにも恐ろしいことはない」 「行く川の水のように、人生にも順調なときと停滞するときがあるでしょう。悪いことばかりではありません」 「上っていく道のりはたとえ違っても、最後にたどり着くところは、自分も人も同じではないでしょうか」 「皆さまが野辺をそぞろ歩いておいでのときには、蝶にでもなってお袖のあたりに戯れまつわりましょう」 「この世が滅びない限り、私の詩は人の命となっていくでしょう」
*** きょうの教養 (狂わす名著④)
◎「ヴィヨンの妻」(1947、太宰治)
本文引用:「なぜ、はじめからこうしなかったのでしょうね。とっても私は幸福よ」「女には、幸福も不幸もないものです」「そうなの? そう言われると、そんな気もしてくるけど、それじゃ、男の人は、どうなの?」「男には不幸だけがあるんです。いつも恐怖と、戦ってばかりいるのです」/「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きてさえすればいいのよ」
寸評:太宰治の言葉に殺されたい人へ。女はやさしいか、女はこわいか。日本文学史上最高にキャッチーな「太宰の殺し文句」で、男のクズさと女の冷たさを楽しむ短編小説。旦那さんを見放したくなった時、奥さんに見放されそうになった時に読みたい一冊。
批評:小説の語り手は、ある詩人の奥さん。自称詩人の「大谷」という男、一切お金を稼いでこない上に、酒飲みだわ、遊び人だわのどうしようもない旦那。 2人の子供は病身で発育の悪い4歳児。そんな日常を、奥さんはたんたんと語る。大谷は妙に優しくなったかと思いきや、突如失踪してしまう。料理屋からお金まで盗んだりする。困った奥さんは子どもを連れてその料理屋で働く・・・あとは短編を読んでほしい。
要はクズな夫とそれでも家庭をなんとかする妻の話である。しかしこの旦那に対して奥さんは悲壮感や嫌悪感を出さない。語り口はどっちかっていうと、かなりユーモラスな類である。天然かしらこの奥さん、と読者が思ってしまうほどに。
「女には幸も不幸もない」。この言葉のひんやりとした感触よ。そして「そんな気もしてくる」という奥さんよ。この小説の、どこまでいっても冷たい、だけど表面上は明るくユーモアをもって生きている。その狂気と常識の絶妙なバランスが好きだ。太宰の殺し文句を挙げればきりがない。「恥の多い人生を送ってきました」「威張るな!」「メロスは激怒した」。「日本文学史上もっともキャッチーな言葉を生んだ大賞」は太宰治にあげよう。
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***デイ・ウォッチ(23日)
◎韓国高裁 元慰安婦への賠償裁判で日本政府に賠償命じる判決 | NHK | 韓国 →日本政府は「主権免除」で突っぱねている。2021年にも同様の判決があり、事実上放置している。「主権免除」というが、植民地時代の案件や独裁時代の協定をどう評価すべきか。親日のユン大統領はどうするか。判決の影響は小さいという見方もあるが、長年の懸案で両国政治家の知恵が求められている。
◎ガザ戦闘休止は現地24日朝、人質13人解放 カタール発表 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →戦闘休止と人質解放が動き出しそうだ。仲介には、カタール、エジプト、アメリカが関わっているという。仲介でイスラエルとの接触は深まっており、長期停戦に向けた模索を期待したい。
◎日大理事会“学長 副学長に辞任勧告 林真理子理事長50%減給” | NHK | 教育 →日大理事会が、学長と副学長排除で動き出したようだが、公表しないので不透明感がつきまとう。林真理子理事長は投げ出さず、火中の栗を拾い続ける覚悟のようだ。仮に学長らを排除しても前途は厳しそうで、抜本的な対応が必要だろう。
◎パレードに公務員を無償動員 吉村氏「ファンの顔見て批判できるか」:朝日新聞デジタル (asahi.com) 阪神・オリックス リーグ優勝パレード 多くのファン【動画】 | NHK | プロ野球 →パレードも関西ダービーで盛り上がった。大阪と神戸で時間を変えて異例の開催。大阪府と大阪市の職員を無償で動員し、一時は万博も絡めて批判が出ていた。最後まで何かと話題を呼んだ今年のプロ野球でした。
◎大相撲九州場所12日目 霧島と熱海富士 2敗でトップに並ぶ | NHK | 大相撲 →21歳の熱海富士が今場所も好調だ。先場所は優勝決定戦で敗れたが、前頭8枚目の今場所もトップに立った。しこ名通り熱海市出身で、優勝すれば、静岡県出身で初の優勝力士となる。愛嬌があり、同郷でもあり、個人的に応援中。
*** 「今日の名言」
◎三島由紀夫(小説家。1970年11月25日、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺。45歳)
「何のために生きているかわからないから、生きていられる」 「強みとは何か。知恵に流されぬことである。分別に溺れないことである」 「崇高なものが現代では無力で、滑稽なものにだけ野蛮な力がある」 「力を持たない知性なんて、屁の役にも立たない」 「好奇心には道徳がないのである。もしかするとそれは人間の持ち得るもっとも不徳な欲望かもしれない」 「あらゆる種類の仮面の中で素顔という仮面を、僕はいちばん信用いたしません」 「やたらと人に弱味をさらけ出す人間のことを、私は躊躇なく無礼者と呼びます」 「男の虚栄心は、虚栄心がないように見せかけることである」 「空虚な目標であれ、目標をめざして努力する過程にしか人間の幸福が存在しない」 「人間は過ちを犯して初めて真理を知る」 「軽蔑とは、女の男に対する永遠の批評である」 「三千人と恋愛をした人が、一人と恋愛をした人に比べて、より多くについて知っているとはいえないのが、人生の面白味です」 「あらゆる文章は形容詞から古くなっていく」 「復興には時間がかかる。ところが、復興という奴が、日本人の十八番なのである。どうも日本人は、改革の情熱よりも、復興の情熱に適しているところがある」
*** きょうの教養 (狂わす名著⑤)
◎「ぼくは勉強ができない」(1993、山田詠美)
本文引用:「ぼくは、自分の心にこう言う。すべてに、丸をつけよ。とりあえずは、そこから始めるのだ。そこからやがて生まれて行くたくさんのばつを、ぼくは、ゆっくりと選び取って行くのだ」
寸評:カッコわるい大人になりたくないあなたへ。学校の勉強か、人生の勉強か。不良じゃなくても、優等生じゃなくても、そのどちらでもない自分でも、社会で「自由」でいられる方法を教えてくれる青春小説! よく読書感想文の題材にもなる。10代のうちに読みたい一冊。
批評:イケメンでモテる高校生・秀美くんを主人公とし、周りの人たちの関わりを描く物語だ。カッコいい主人公の周りには、それ以上にカッコいい女の人がたくさん出てくる。秀美くんはおちゃらけているように見えて、実はいろんなことを感じ、まっすぐ考えている。学校の廊下にコンドームをうっかり落としてしまい、生徒指導の先生に激怒されてしまった場面もある。大人になると、誰かや何かに「決められたあと」の価値を知ることが多い。結局、世の中の価値基準に合わせるからこそ守れるものが山ほどあることに大人は気づいているからだ。大人だってバカではない。普通の人はバツをつけたがる。あれはダメだ、これをよくないと思うことで、自分を守ることができるから。バツつけた何かの上こそ、安心して立っていられるように感じられるから。
だけど秀美君はその上で、さらに自分は「丸をつける」のだ、と決めていく。もう大人になってしまった私は、この鮮やかさに唸ってしまう。大人になると取りこぼしてしまいそうになるたくさんの素敵さを、この小説は思い出させてくれる。思いやりとか自然体とか、世間で適当に使われる言葉に隠された、本当に大切なことを。この小説を読めば、私は秀美くんと一緒に勉強することができる。秀美くんは小説の最後に言う。「ぼくは勉強ができる」と。