12月11~15日(教養講座:村上春樹インタビュー)

2023.12.15メルマガ

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年12月11日号(転送禁止)~~~

HPにアップしました→ 12月11日からの教養講座は「村上春樹インタビュー」 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)  【天声こども語紀行②】ナポレオンの魔力 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)

***デイ・ウォッチ(8~9日)

大谷翔平 ドジャースと契約を発表 “プロスポーツ史上最高額” | NHK | 大谷翔平 →大谷の移籍先は本命ドジャースに決まった。西海岸ロサンゼルスなので、「同時代の大スターを見たい」という日本からの旅行者も増えそうだ。契約金は10年で1075億円、「現役最後の日まで野球界全体のためにまい進したい」と立派なコメント。小学校へのグローブに次いで何かやってくれそうだ。

松野・西村・萩生田・高木氏更迭へ 世耕氏も交代 安倍派5人衆一掃:朝日新聞デジタル (asahi.com)  首相 13日の国会閉会後に複数の政権幹部交代方針 政治資金問題 | NHK | 政治資金 →安倍派解体と内閣刷新は必至だ。岸田首相は予算・税の編成時期に検察捜査をにらんだ厳しい政権運営を迫られる。中期的見ると、自公だけの組閣は厳しく、大阪万博で維新を抱き込み、トリガー条項で国民民主も取り込むかもしれない。与党が肥大化すれば分裂含みとなり、戦後最大の政界再編の可能性も予想される事態だ。

安保理 ガザ地区の停戦決議 アメリカ拒否権で否決 | NHK | 国連安全保障理事会 →アメリカはグテーレス事務総長の提起した異例の停戦決議にも反対した。異常なまでにネタニヤフ支持だ。米国寄りの日本さえ賛成に回った。戦争は通常、国家の指導者同士の争いだ。一方、市民・住民の大半はとにかく平穏な生活を望んでいる。戦時には、好戦的な国家と対立する世界的な市民・住民の連帯運動を構想できないか。

高校授業料の実質無償化 “全国でも” 東京都が国に要望 | NHK | 教育 →財政の豊かな東京都が、教育費無償化で積極的だ。国への要望では大学授業料の無償化も提案した。欧州大陸の大学は無償化も多く、検討に値する。来年夏には都知事選があり、総選挙も予想される。政界再編の目になること狙う小池百合子知事の仕掛けという見方もあるが、真面目な政策として取り組むべきだ。

「化石賞」なぜ日本ばかり? 中国、際立つ少なさ―COP28:時事ドットコム (jiji.com) →12月は毎年、地球温暖化会議が開かれている。石炭火力を使い続ける日本は、環境NGOが温暖化対策に消極的な国に出す「化石賞」を毎年受賞している。期待の裏返しの面もあるというが、環境対策のようなソフト分野では世界の先頭を走りたい。

*** 「今日の名言」

◎夏目漱石(小説家。1916年12月9日死去、49歳)

「焦ってはいけません。ただ牛のように、図々しく進んでいくのが大事です」 「前後を切断せよ、みだりに過去に執着するなかれ、いたずらに将来に望みを抱くことなかれ、満身の力をこめて現在に働け」 「君、弱い事を言ってはいけない。僕も弱い男だが、弱いなりに死ぬまでやるのである」 「運命は神の考えることだ。人間は人間らしく働けば、それで結構である」 「真面目とはね、君、真剣勝負の意味だよ」 「何か素晴らしいことを達成するための努力というものは、決して無駄にはならないということを覚えていなさい」 「のんきと見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする」 「恐れてはいけません。暗いものをじっと見つめて、その中から、あなたの参考になるものをおつかみなさい」 「自分の弱点をさらけ出さずに人から利益を受けられない。自分の弱点をさらけ出さずに人に利益を与えられない」 「自分が幸福でないものに、他を幸福にする力があるはずがありません」 「自らを尊しと思わぬ者は、奴隷なり」 「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」 「人間の目的は、生まれた本人が本人自身のためにつくったものでなければならない」

*** きょうの教養 (村上春樹インタビュー①)

作家村上春樹の本に「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」(文藝春秋、2010)がある。1997~2009年に受けた内外18編のインタビューをまとめている。1995年の地下鉄サリン事件を題材にした「アンダーグラウンド」の出版直後から、「海辺のカフカ」(2002)を経て「1Q84」(2009~10)の構想をまとめた時期にあたる。サリン事件、2001年のニューヨーク9.11事件が大きな影を落としている。印象に残る発言を選び、再構成して紹介する。

◎アウトサイダー(1997年12月、聞き手:ローラ・ミラー)

問:「ねじまき鳥クロニクルで」で戦争を取り上げた理由は?

村上:父は兵隊として中国大陸に送られた世代に属しています。僕は子供の頃に何度かその話を聞かされました。父は多くを話はしなかったけど、いくつかのことは記憶に残っています。遺産のようなものですね。記憶の遺産です。僕らは今、途方に暮れているようなところがある。日本人が、ということです。戦争が終わってから勤勉に働いてきました。脇目もふらず働いた。国は復興を遂げ、だんだん豊かになった。そして安定した。これで一安心。でも我々はどこにたどり着いたのか? これからどこに行くのか? 我々は一体何者なのか? 一種の自己喪失のようなものです。

◎現実の力・現実を超える力(1998年8月、聞き手:洪金珠)

問:学生運動は影響を与えていますか。

村上:影響はあると思います。「言葉への信頼の喪失」みたいなものをもたらしたかもしれません。威勢の良い言葉も、美しい熱情あふれる言葉も、自分の身のうちからしっかり絞り出したものでない限り、ただの言葉に過ぎない。時代とともに過ぎ去って消えてゆくものです。僕は「耳に心地よい言葉」はあまり信用しなくなりました。小説を書くにあたっても、人の言葉を借りることはせず、新しい「自前」の語彙を絞り出すように努めてきました。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年12月12日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(11日)

安倍派の政務三役、計15人を全員交代へ 鈴木総務相、宮下農水相も [自民] [岸田政権]:朝日新聞デジタル (asahi.com)  自民 萩生田政調会長 “閣僚辞任ならば、出処進退はみずから判断” | NHK | 政治資金 松野官房長官に対する不信任決議案 立民が衆議院に提出 | NHK | 政治資金 政治資金問題 自民 岸田派でもパーティーめぐり収入過少記載か | NHK | 政治資金→「政界の一寸先は闇」と言われるが、それ以上の動きが連日起きそうだ。11日は「安倍派15人を政権から一掃論」が浮上し、萩生田政調会長らが反発、野党が官房長官の不信任決議案を出した。与党は、松野官房長官の不信任案を否決した直後に交代させるが、不自然だ。予算案に賛成した維新や国民は、不信任案にどう対応するのか。NHKは今朝、岸田派の過少申告を報道した。与党内では「全派閥が問われているはずで、総裁にも責任はある」と岸田首相に反発する動きが強まりそうで、1日先さえ読めない。

各党支持率 自民急落 政権復帰後初めて30%下回る NHK世論調査 | NHK | 選挙 →自民党の支持率が急落している。政治とカネの流れを受けた当然の結果だが、自民党内での動揺は高まりそうだ。しかし、局面打開策も見つからない。疑似政権交代しようと思っても人材が見つからず、捜査もあって時期を決められない。解散すれば負けるから、解散にも踏み切れない。前代未聞の事態だ。

防衛増税の開始時期 政治資金問題で今月の決定見送り 自民税調 | NHK | 税制改正 →防衛費を倍増するなら増税は避けられないが、政治家も国民も増税には腰が引ける。防衛費倍増はまともな議論もなく岸田首相が一気に決めたので、必要性が国民に共有されていない。米国など海外へのリップサービスにとどまっている。身の丈に合った防衛力、外交などソフト面を含めた総合的な安全保障策を議論すべきだろう。

タクシー運転手試験、20言語で 外国人材の確保後押し – 日本経済新聞 (nikkei.com) →運転手や介護、農業などの分野で外国人の力を借りないと、日本社会は立ち行かなくっている。「移民」と呼ぶかどうかは別にして、戦略的かつスムーズに門戸を開放するしかないだろう。その一歩になるか。米国のタクシー運転手は多くが移民だが、大きな問題なく社会は回っている。

*** 「今日の名言」

◎福沢諭吉(思想家、教育家。1835年12月12日が誕生日)

「人生、万事、小児の戯れ」 「自分の考えだけで他人を評価してはならない」 「賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとによってできるものなり」 「活用なき学問は、無学に等しい」 「学問の本趣意は読書にあらず、精神の働きにあり」 「一度、学問に入らば、大いに学問すべし。農たらば大農となれ、商たらば大商となれ」 「人は、生まれながらに貴賤貧富の別なし。ただ、良く学ぶ者は貴人となり、富人となり、そして、無学なる者は貧人となり、下人となる」 「やってもみないで、事の成否を疑うな」 「自ら労して自ら食うは、人生独立の本源なり」 「水があまりに清ければ、魚は棲めない。人は知的であり過ぎれば、友を得るのが難しい。友人を受け入れるには、度量が広く、多少ぼんやりとしているところもあったほうがいい」 「人生は芝居のごとし、上手な役者が乞食になることもあれば、大根役者が殿様になることもある。とかく、あまり人生を重く見ず、捨て身になって何事も一心になすべし」 「独立の気力なき者は必ず人に依頼す、人に依頼する者は、必ず人を恐る、人を恐るる者は、必ず人にへつらうものなり」 「ペンは剣よりも強し」 「人間は、負けるとわかっていても、戦わねばならない時がある。だから、たとえ負けても勝っても、勝負をもって人物を評することなかれ」

*** きょうの教養 (村上春樹インタビュー②)

◎「スプートニクの恋人」を中心に(1999年10月、聞き手:島森路子)

問:誰かとつながることの意味は?

村上:(不安を抱えた)20~30代からメールを受け取ることが多い。人が孤独に、しかも十全に生きていくのはどうすれば可能かということだろうと思う。40代になれば、忙しくて自分自身で孤独に生きていくことについて深く考える機会がなくなっている。昔は一種の美学みたいなものがあって、孤独に生きていても、美学を守っていれば、十全に生きていけるパースペクティブがあった。でも最近少し変わってきたのは、形にならない連帯感、一種の共感状態のようなものが大事なんじゃないか。そういうものがないと非常に危険な状態になると思うようになってきた。若い人のメールを読んでいると、選択肢が多すぎて自信を失っているというか、一本の方向性が見えなくなって、迷っている人がすごく多い。

◎「海辺のカフカ」を中心に(2003年3月、聞き手:湯川豊、小山鉄郎)

村上:世界の人がこんなに苦しんでいるのは、自己表現をしなくてはいけないという強迫観念があるからですよ。僕は文章で生きている人間だけど、自己表現なんて簡単にできやしない。砂漠で塩水飲むようなものなんです。飲めば飲むほど喉が渇きます。世界の近代文明は自己表現が人間存在にとって不可欠であると押し付けているわけです。教育だってそういうものを前提条件として成り立っていますよね。まず自らを知りなさい、自分のアイデンティティを確立しなさい、他者との差異を認識しなさい、自分の考えていることを正確に体系的に客観的に表現しなさい、と。これは本当に呪いだと思う。だって自分がここにいる存在意味なんて、ほとんどどこにもないわけだから。玉ねぎの皮むきと同じことです。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年12月13日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(12日)

岸田首相 あす記者会見で政治資金パーティー問題の対応説明へ | NHK | 政治資金 松野官房長官に対する不信任決議案 反対多数で否決 衆院本会議 | NHK | 政治資金 →政権にいる安倍派15人一掃の話はしぼみ、閣僚4人の交代を先行させ、副大臣5人も追随させるようだ。きょう午後6時の岸田首相会見に注目。岸田首相は憔悴しているかと思ったが、いたって元気だという。首相の人事権を行使できるからだろうか。野党の官房長官不信任案は粛々と否決された。

ゼレンスキー氏、訪米 米政府の支援遅れはプーチン氏にとって「願ったりかなったり」と – BBCニュース →ウクライナ軍の攻勢は膠着状態で、ガザ問題の浮上で注目度も下がっている。ゼレンスキー大統領がバイデン大統領に会って支援を要請したが、議会との調整がうまくいかない。プーチンの高笑いが聞こえそうな厳しい現実だ。

健康保険証「2024年秋に終了」 首相表明、マイナカードと一体に – 日本経済新聞 (nikkei.com) →国民生活に大きく影響するニュース。一時は廃止延期論も出たが、延期した場合の影響が大きく、厚労省が激しく反対した。従来の保険証も1年間は使える。マイナンバーカードの貧弱さが気になる。せめて運転免許証のような頑丈さが必要ではないか。

旧統一教会被害者救済法案 修正案が参院法務委で可決 13日成立見通し | NHK | 旧統一教会 →内容に賛否はあるが、激しい政局の動きの中で成立させることは進歩といえそうだ。国民が関心を持つ議員立法はどんどん成立させ、与野党の政策能力と対話能力を高めたい。国民の国会への期待も大きくなる。

「税」が今年の漢字…「国民の厳しい目線」 虎ファンの清水寺貫主 [京都府]:朝日新聞デジタル (asahi.com)  →京都・清水寺での恒例イベント。「税」というあまり夢のない漢字が選ばれたが、2014年以来、2度目。「税」の成り立ちは、1年蓄えたコメが抜き取られることだという。確かに抜き取られる感覚だ。来年は大谷翔平がらみの明るい漢字を期待したい。

*** 「今日の名言」

◎大山巌(元帥陸軍大将、陸軍大臣。1916年12月10日死去、74歳)

「勝ち戦の間は児玉さんにすべて任せるが、負け戦となったら自分が指揮をとる」(日露戦争の陸軍参謀総長として、参謀本部次長である児玉源太郎の才能を見込んですべてを任せ、その結果責任はすべて大山自らが負うという姿勢をとり続けた) 「大山はボンヤリしているから総司令官に任命する、というふうにも聞こえますが…」(日露戦争の満州軍司令官に選ばれた際、明治天皇にそのように尋ね、天皇は「そんなところだ」と答えたという) 「児玉どん、どげんしたにゃ、今日は早くから大砲の音がやかましかが、なにごとでごわすか。今日もどこかで戦(ゆっさ)でごわすか」(日露戦争の戦地で危機的状況の際、寝ぼけた顔でこの台詞を言いながら殺気立った作戦室に入ってきて、雰囲気をガラッと和ませたという) 「敵国民であろうとも、仁愛をもって接すべし」(大山は負けたロシア軍将校を丁重に遇し、葬儀ではロシア軍より花が贈られた) 「若い者を心配させまいとして、知っていることも知らん顔をしなければならなかった」(戦後、息子から総司令官として一番苦しかったことを聞かれて) 

*** きょうの教養 (村上春樹インタビュー③)

◎「書くことは、ちょうど、目覚めながら夢見るようなもの」(2003年6月、ミン・トラン・ユイ)

問:日本文学との関係は?

村上:僕は三島(由紀夫)や川端(康成)とは多くの点で全く異なります。とりわけ文体が違います。彼らの散文は、形式に重きを置いたものであり、曖昧で、高踏的で感情で飾りつけられています。僕が求めているのは自然でシンプルな文章です。しなやかで飾り気のないものです。これが伝統的な日本人作家と僕を隔てるものです。彼らのいう「伝統への義務」など、信じていません。18歳の頃、19世紀ヨーロッパの古典を読んでいました。主にトルストイ、ドフトエフスキー、チェホフ、バルザック、フローベル、ディケンズです。教養の基礎は古典と大衆文化につながる文学の混交なんです。

問:「ねじまき鳥クロニクル」で書いた第二次世界大戦の責任について考えは?

村上:戦後生まれの人々は「私たちに責任はない」といいます。僕の意見は違います。歴史と集団的な記憶だからです。自分たちの父親の世代に関して僕らには責任がある。あのような残虐行為を書いたのは、そういう理由です。僕らは、自分達のうちに記憶を共有物として保存しておかなければなりません。

◎ロシア読者からの質問(2003年10月)

村上:僕が個人的に興味を持っているのは、人間が自分の内側に抱えているある種の暗闇のようなものです。暗闇の中ではいろいろなことが起こります。それらの物事をしっかりと観察し、物語という形で、そのままリアルに描きたいのです。解析したり説明したりするのではなく。

村上:僕は、小説の目標をドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」においています。小説が持つすべての要素が詰め込まれています。統一された見事な宇宙を形成しています。現代における総合小説のようなものを書きたいと考えています。希求しているのは「純文学」に近いかもしれません。しかし同時に、文学世界におけるエリーティズムみたいなものにどうしても我慢できません。語りたいのは、人の心に真っ直ぐに届く、正直な物語なのです。人が本を読み終えた後、そのまま夢の中に持ち越されるような、強い、リアルな物語なのです。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年12月14日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(13日)

岸田首相「自民の体質一新」 規正法改正踏み込まず―裏金疑惑:時事ドットコム (jiji.com) →岸田首相は「国民の信頼回復のために『火の玉』となって自民党の先頭に立ち取り組む」と火の玉発言をした。具体的な対策や人事は避けたが、時に声を詰まらせ、過去の会見とは違った。発言だけ勇ましく、実態がついてこないことも多かったが、今度は本当にやるのかどうか。政治資金規正法の強化、派閥解体、カネのかからない政治の具体化が必要だろう。支持率が回復しなければ、予算成立後に退陣して新首相を選び、解散・総選挙をご祝儀で勝つシナリオを自民党は考えるだろう。

岸田首相 きょう4閣僚交代の人事 安倍派以外の経験者起用へ | NHK | 政治資金 →後任人事が続々と決まった。林芳正官房長官のほか、斎藤健経産相、坂本哲志農水相、松本剛明総務相が就任する。経験豊富な手堅い人事で乗り切りを図る。進むも地獄、退くも地獄の状態で入閣する。

バイデン氏「世界の支持失い始めている」 イスラエルに転換求める [イスラエル・パレスチナ問題]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →バイデン大統領がネタニヤフ首相を厳しく非難した。そこまで言うなら、「国連決議に賛成しろよ」「ネタニヤフにもっと圧力を」と言いたくなる。アメリカは2国家共存が基本方針。本気で停戦を働きかけて2国家の実現に動くべきだろう。

COP28 化石燃料から「脱却を進める」で合意 | NHK | COP →温暖化会議は会期を延長し、化石燃料から「脱却を進める」で合意した。例によって玉虫色ともいえるが、後退しなかったのが成果といえる。温暖化は、人類が自らの行為で生存が危うくなっている事態だ。戦争をしている場合ではないのだが、憎しみ合うのも人類の本能のようで悲しい。

ラグビー日本代表 新ヘッドコーチにエディー・ジョーンズ氏 | NHK | ラグビー →2015年まで日本のヘッド・コーチで、W杯で南アフリカに勝利する大金星をあげた。63歳の再登板になる。今年のW杯ではオーストラリアのHCを務めたが、史上初めて1次リーグで敗退して交代した。日本での実績はあるが、新しい人はいないのか、日本人はいないのか、とも思う。最終評価は実績次第だ。

*** 「今日の名言」

◎ウォルター・リップマン(米国のジャーナリスト。1974年12月14日死去、85歳)

「人生は、常に一回きりのプロセスだ。それゆえ、未来は過去の反復ではありえない」 「愛は、愛する者同士が互いに愛するだけでなくて、多くのものを一緒に愛して初めて持続するものだ」 「言論の自由が自由の第一歩だが、その権利をよりしっかりしたものとするには、他者に耳を傾けることが必要だ」 「反対意見は不可欠である。良い政治家は良識ある人と同様に、熱心な支持者よりも、敵対する者からより多くのものを学ぶ」 「皆が同じように考えるときは、だれも深くは考えていないものだ」 「我々は大抵の場合、見てから定義せず、定義してから見るものだ。外界の大きくて盛んで、騒がしい混沌状態の中から、すでに我々の文化が我々のために定義しているものを拾い上げているのだ。そして、このようにして拾いあげたものを、我々の文化によってステレオタイプ化された形のままで知覚しがちである」 「批判と信頼しうる賢い報道とがなければ、政府は統治をすることができない」 「指導者が最後に試されることは、他の人たちに自分の志を実行する信念と意志を託して死ねたかどうかということだ」

*** きょうの教養 (村上春樹インタビュー④)

◎「走っているときに僕のいる場所は、穏やかな場所です」(2008年2月、聞き手:マイク・グロッセカトヘーファー)

問:小説を書くきっかけは?

村上: 1978年4月、僕は神宮球場の外野席でヤクルト対広島の試合を見ていました。たしか安田と外木場の投げ合いでした。太陽が照っていて、ビールを飲んでいました。ヤクルトのデーブ・ヒルトンが、完璧なヒットを打って、その瞬間に小説を書こうと思ったのです。気持ちの良い高揚感で、今でも胸にそれを感じることができます。

問:よく走っていますが、きっかけは?

村上:単純に体重を落としたかったのです。それまでタバコを1日60本ほど吸っていましたが、33歳で禁煙すると決めました。すると腰のあたりに急に脂肪がついてきました。僕は、チーム競技には向いていません。自分一人でやる方が性に合っています。いまは毎日、午前4、5時に起きて、4、5時間は小説を書きます。それが終わると走りに出ます。普通は10キロですね。走っていると、頭の中が空っぽになっていきます。芸術的な仕事をするのは基本的に不健康なことです。だから芸術家はそれを補完するために、健康的な生活を送るべきだというのが僕の意見です。

◎「ハルキ・ムラカミ、あるいは、どうやって不可思議な井戸から抜け出すか」(2008年11月、聞き手:アントニオ・ローザ)

問:多くの読者に受け入れられていることをどう説明しますか。

村上:正直わかりません。あえて理屈をつければ、優れた物語、力に満ちた物語には、いずれそれに相応しい読者と出会うということです。美しい文体や知的な筋に価値はあるけれど、最終的に重要なのは、次々に起こる何かを読者に期待させることです。次の展開がどうなるのか、読者が想像せずにはいられない。それが優れた物語です。言語や国境を越えて。

問:インタビューを嫌うのはなぜですか?

村上:多くの人は僕の実物を知ってがっかりします。彼らは僕が何か特別な人だと思っているからで、僕はその期待に応えることができない。机の前から離れると、いたって普通の人間だから。

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***デイ・ウォッチ(14日)

自民党 政治資金問題 岸田首相 安倍派の4閣僚交代 東京地検特捜部は捜査本格化へ 厳しい政権運営続く | NHK | 国会 →安倍派の4閣僚が交代した。当面の焦点は東京地検特捜部の捜査。強制捜査の規模や時期に関心が集まる。岸田政権は捜査の動きをにらんで予算編成をこなし、年越しをはさんで政治とカネの信頼回復策を探る。自民党のあり方に対する国民の目は厳しく、いばらの道だ。

柿沢未途前法務副大臣の議員会館事務所を捜索 東京地検特捜部 | NHK | 事件 →パーティー券裏金問題の強制捜査が注目されたが、柿沢前法務副大臣の捜索が先行した。注目度が落ちているが、本人は離党届を出した。逮捕するか、在宅起訴にとどまるか、が関心事だ。

米利上げが事実上終結へ FRB、利下げ時期議論  欧州中銀も据え置き – 日本経済新聞 (nikkei.com) →円安基調が変化しそうだ。円は140円台まで上がっている。輸入物価の高騰が一服しそうで、国民生活にはプラス、輸出企業の業績にはマイナス。日銀は金融緩和の修正をにらんでおり、経済は新しいステージに向かいそうだ。

プーチン氏「主権の強化重要」 侵攻後初の国民対話 – 日本経済新聞 (nikkei.com)  EU首脳会議 ウクライナと加盟交渉開始で合意 ハンガリー首相は会議場から退出「この決定に加わりたくない」 | NHK | EU→プーチン大統領の恒例の会見。戦況も悪くなく、上機嫌のようだ。来年3月の大統領選への出馬も表明し、安定感を増している。ウクライナ支援に力を入れていた西側の支援も米国を中心に先細り気味。戦略の立て直しを迫られているが、EUはウクライナ加盟交渉開始で合意した。

オープンAI ドイツのメディア大手と提携発表 動き広がるか | NHK | 生成AI・人工知能 →オープンAIとメディアの綱引きが始まりそうだ。ニューヨークタイムズや日本のメディアは著作権を重視して連携には否定的だが、ドイツのメディアは自社の記事の活用を認めた。未知のテーマであり、暗中模索が激しくなりそうだ。

与党税制改正大綱を決定 所得税減税、賃上げ・国内投資を優遇 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →与党税調は例年なら注目されるが、政治とカネの問題で求心力をなくした。既存のテーマを盛り込み、大きなテーマを先送りした。目玉のない小粒な内容になった。

*** 「今日の名言」

◎田中角栄(元首相。1993年12月16日死去、75歳)

「どんな境遇におかれて辛い思いをしても、天も地も人も恨まない」 「食って、寝て、嫌なことは忘れることが一番」 「約束したら必ず果たせ。できない約束はするな」 「借りた金は忘れるな。貸した金は忘れろ」 「時間の守れん人間は、何をやってもダメだ」 「寝言を言ったり、不満ばかり言っている奴は、人生終わるまで不満を抱き続ける人間になるぞ」 「東大を出た頭のいい奴は、あるべき姿を愛そうとするから、現実の人間を軽蔑し、大衆軽視につながる。八百屋のおっちゃん、おばちゃん、その人たちをそのままで愛さなきゃならない。そこにしか政治はないんだ」 「できるだけ敵を減らしていくこと。世の中は、嫉妬とソロバンだ」 「偉くなるには大将のふところに入ることだ。大将は権力そのものだ」 「初めに結論を言え。理由は三つに限定しろ」 「借り物でない自分の言葉で、全力で話せ。そうすれば、初めて人が聞く耳を持ってくれる」 「カネはチマチマ使うより、ここぞというときは一気に使え」 「決断力は、情報力によって支えられる」 「国の方向を示すのが政治家の役目だ。出来なければ役人以下だ」 「小理屈で人間は動かないことを知れ」 「理想よりも現実だ。政治とは生活だ」 「結婚式は欠席しても後でおつきあいができるが、葬式は長いあいだお世話になった人との最後のお別れなんだ」 「人の道がわからなければ、ろくな政治家になれない」 「人間は自分より美男子でない頭の悪いのが可愛い」

*** きょうの教養 (村上春樹インタビュー⑤)

◎るつぼのような小説を書きたい 「1Q84」前夜(2009年春、聞き手:古川日出男)

村上:僕は生まれてから、二日酔いとか頭痛とか肩こりとかに一度もなったことがない。みんな苦しいって言うけど、どれも実感としてよくわからない。

村上:自分の魂の不健全さ、歪んだところ、暗いところ、狂気を孕んだところ、小説を書くためにはそういうものを見ないと駄目だと思います。そのたまりみたいなところまで実際に降りていかないといけない。そうするためには健康じゃなくちゃいけない。肉体が健康じゃなければ、魂の不健全なところをとことん見届けることができない。

村上:「9.11」後のアメリカに行って感じるのは、一種のリアリティが現実世界からどんどん希薄になっているということです。少人数のテロリストが大型ジェットをダブルハイジャックして、ワールド・トレード・センターを二つともきれいに壊しちゃったわけです。あれくらいスパッと決まってしまうことって現実にはありえないですよね。みんな事件をまだうまく飲み込めていない。腹の底までその実感が達していない。あまりに唐突にあまりに見事に起きてしまった。9.11が起こっていなかったら、今とは全く違う世界が進行しているはずです。おそらくはもう少しましな、正気な世界が。

村上:長期的に見れば、冷戦の終結と原理主義の台頭、系統的な思想性の崩壊とリージョナリズムの勃興、グローバリズムと反グローバリズムの拮抗、メガ資本主義の登場と環境運動の盛り上がり。いたるところで生じる多面的なぶつかり合いみたいなものが、ある種の混沌とした場を作り出していて、それが僕の書く小説を受け入れやすくしていく土壌になっているんじゃないかなと。新しいカオスの場みたいなものが、既成の文学体系のようなものぶち壊しているのかなとも思います。