12月25~29日(教養講座:戦後知識人の肖像②)

2023.12.29メルマガ

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年12月25日号(転送禁止)~~~

HPにアップしました→ 【天声こども語紀行④】冬至と朝焼け – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)

***デイ・ウォッチ(22~24日)

“AI兵器 対応急がれる” 国連総会で決議を採択 | NHK | 生成AI・人工知能 →AIが分析・決断をして、ロボットが戦う時代になると、人間という存在が根本から問われる。人間が話し合いで解決できない問題を機械に委ねて、永遠に殺し合うことになりかねない。日米など152か国が賛成、ロシアやインドなど4か国が反対、中国や北朝鮮、イスラエルなど11か国が棄権したという。

立民 泉代表 公明は連立離脱し政治改革に取り組むべき | NHK | 政治資金 →政治とカネの抜本的改革には、緊張感のある政治が不可欠だ。野党は政権担当能力のある勢力を形成できるか問われる。政治改革政権を作るため、自民党の分割、公明党の与党分離、細部にこだわらない野党共闘が選択肢。有権者は「今の野党はダメだ」と考えがちだが、勢力拮抗は有権者がつくる。

一般会計112兆円超、過去2番目 社会保障、防衛、国債費は最大―借金頼みの来年度予算案閣議決定:時事ドットコム (jiji.com) →新年度予算が決まった。112兆770億円。過去最高だった昨年度を下回ったが、国債発行は過去最高。コロナ禍で財政の膨張圧力はなお続いている。政界の混乱で、歳出削減も負担増も進まない。

山本由伸 大谷翔平とチームメートに “ドジャースと12年契約” 米報道 プロ野球 オリックス7年間【全記録】 | NHK | 山本由伸 →山本由伸選手がドジャースへ。10勝は堅いだろうから、大谷翔平とともにポストシーズンへの進出の可能性が高まる。日本でのドジャース人気が高まり、テレビの視聴率も伸びそうだ。

ドウデュースが優勝 武豊はGIレース通算81勝目―競馬有馬記念:時事ドットコム (jiji.com)  佐久長聖、大会新で優勝 女子は神村学園が制す―全国高校駅伝:時事ドットコム (jiji.com)  帝京大、明大が準決勝へ 京産大と天理大も4強―全国大学ラグビー:時事ドットコム (jiji.com) →ドウデュースは不振が続いていたが、けがから復帰の武豊が劇的な勝利を飾った。年末スポーツもひと段落。正月スポーツへ関心が移る。

*** 「今日の名言」

◎イエス・キリスト(キリスト教の創始者。12月25日は生誕祭)

「求めよ、されば与えられん。捜せ、されば見いだすだろう。門を叩け、されば開かれるだろう」 「常に与えなさい。そうすれば、人々はあなたに与えてくれるだろう」 「暗いと不平を言うより、進んで明かりを点けなさい」 「狭い門から入れ。滅びに通じる門は広く、その道はなだらかでこれに入るものは多い」 「人がその友のために命を捨てる。これより大いなる愛はない」 「人を裁くな。そうすれば、あなた方も裁かれることはない」 「己を愛するがごとく、汝の隣人を愛せよ」 「あなたが決意することは、成就するだろう」 「愛は寛容であり、愛は情け深い。また、妬まない。愛は高ぶらない、誇らない、無作法をしない、自分の利益を求めない、いらだたない、恨みをいだかない。不義を喜ばず、真理を喜ぶ。そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える」 「労を惜しんでわずかしか種を蒔かない者は、わずかしか刈り取れない。惜しまず豊かに種を蒔いた者は、豊かに刈り取ることができる」 「あなたの敵を愛しなさい。あなたを呪う者を祝福しなさい。あなたを憎む者のために良いことをしなさい。悪をもってあなたに接する者、あなたを迫害する者のために祈りなさい」 「天の父は、悪人の上にも善人の上にも、太陽を上らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らして下さる」

*** きょうの教養 (戦後知識人の肖像⑥)

⑥吉本隆明の独創性

いいだももが、都会秀才の軽妙と饒舌を伴いながら労働運動と農民運動の中に潜行してゆき、谷川雁が九州の炭鉱の中に腰を据えて逆説とアイロニーを駆使して政治的工作を自認した時、そこには詞を捨てた詩人のダンディズムとエリーティズムを嗅ぎ取れないわけではない。

しかし、吉本隆明(1924~2012)の場合、ダンディズムとエリーティズムに無縁であり、叙情詩人と武骨な徹底的戦闘性の不思議な結合が、その骨格を成している。熊本・天草出身という両親の資質や東京の下町育ち、私塾の優れた教師の感化、米沢高工、東京工大といった教育環境も性格形成に深く刻印しているであろうが、やはり戦時下の彼が正直な軍国主義青年であったという、敗戦の衝撃が最も大きく作用しているように思われる。

吉本の発想と文体の特徴は、強靭な思索性と体系性、虚飾を排して本音に迫る感受性、妥協を許さぬ戦闘性にある。時として誇大妄想に近い幻想を感じさせ、マナーを知らぬバーバリズムの響きをも思わせるものがあるが、彼が大学というアカデミズムとも、文壇という名の商業ジャーナリズムとも異なった生活基盤に拠点をおき、営々としてたゆまぬ学問への志と精進が、それを補って人々を圧倒する。偽善的秩序を本能的に嫌う青年学徒をひきつける秘密はそうした吉岡の生活スタイルと無縁ではあるまい。

原始キリスト教の原典批判を通して、「反逆の倫理」という副題をつけた一文で、「秩序にたいする反逆、それへの加担というものを、倫理に結びつけ得るのは、ただ関係の絶対性という視点を導入することによってのみ可能である」と書いている。人間関係・社会関係の優位という唯物論に立ちながら、原始キリスト教を、ニーチェとマルクスという反キリストの系譜で裁断した壮絶な文章だが、この独創的な出発点こそ、彼に戦後反体制運動の体制化を、「擬制の終焉」と裁断できた自由な自立の視点を可能にしたものであろう。

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***デイ・ウォッチ(25日)

【詳しく】ダイハツ国内自動車工場 きょうから稼働停止 影響は | NHK | 自動車 →操業停止は長引きそうで、ダイハツの経営悪化→トヨタが支援→軽自動車業界の再編・統合も予想される。地域経済への影響が大きすぎるので、国交省の迅速調査・処分も考えられる。公平性も問われるので政治判断を迫られる可能性もある。

松野氏 高木氏 世耕氏 塩谷氏を任意で聴取 政治資金 東京地検 | NHK | 政治資金 首相、派閥の裏金疑惑対応で自民に新組織「年明け早い時期立ち上げ」 [自民]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →政治家の逮捕はあるだろうか。捜査の様子見だった岸田首相も遅ればせながら、対策に動き出した。自民党にどこまで政治資金の透明化ができるだろうか。野党案との違いが焦点になる。

市長「平和伝える責務」 ちょうちん行列も再現―奄美復帰70年で記念集会:時事ドットコム (jiji.com)  玉城沖縄知事、辺野古「承認せず」表明 国は28日にも代執行:時事ドットコム (jiji.com) →奄美大島が70年前まで、沖縄同様に米軍統治下にあったことを知る人はもはや少ない。沖縄では辺野古基地をめぐる政府との対立が続く。もっと対話を!

ネタニヤフ首相「最後まで戦い続ける」 強硬な姿勢を示す | NHK | イスラエル・パレスチナ  ガザ停戦で3段階案 中部を集中攻撃、兵士の戦死増―地元紙報道:時事ドットコム (jiji.com)→ネタニヤフ首相は、報復の連鎖が続くとは考えないらしい。人間理解が足りないように思えて仕方ない。「バイデン大統領も理解している」というが、本当にそうなのだろうか。停戦を急げ!

“野球しようぜ”大谷選手寄贈のグローブ 岐阜 羽島の小学校に | NHK | 大谷翔平 →全国の小学校に「大谷グローブ」のクリスマスプレゼントが届き始め、各地でニュースになっている。野球人気の復活に一役買いそうだし、全国の小学生を笑顔にする威力はMVP以上。来季活躍すれば、さらに話題になるだろう。

*** 「今日の名言」

◎チャールズ・チャップリン(映画俳優、監督。1977年12月25日死去、88歳)

「私は庶民の味方だ。そういう人間なんだ」 「下を向いていたら、虹を見つけることはできないよ」 「人に大切なのは、自信を持つことだ」 「私が孤児院にいて、腹を空かせて食べ物をあさっていたときでも、自分は世界一の大役者ぐらいのつもりでいた。つまり勝ち気だった。こいつをなくしてしまったら、人は打ち負かされてしまう」 「浮浪者、紳士、詩人、夢想家、孤独な人、皆いつでもロマンスと冒険にあこがれている」 「自分自身を馬鹿にするのは、勇気がいることだ」 「死と同じように避けられないものがある。生きることだ」 「私は雨の中を歩くのが好きだ。だれにも泣いているところを見られなくて済むからね」 「人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しのお金だ」 「もともと人間の運、不運などというものは空行く雲と同じで、結局は風次第なんだ」 「私がほしいのは大衆の喝采だ。大衆が私の仕事を賞賛してくれたら、それで十分。わずか数人で決めた賞なんて、大した名誉ではない」 「人生はもっと美しく、もっと素晴らしいはずだ」 「権力と威厳を持ちすぎる者は、最後は嘲笑の的となる」 「無駄な一日。それは笑いのない日だ」 「行動を伴わない想像力は、何の意味も持たない」 

*** きょうの教養 (戦後知識人の肖像⑦)

◎司馬遼太郎がゆく

福田定一という戦後派の青年が、あるとき司馬遼太郎(1923~1996)という作家に変身して以降の足跡は、一種奇跡に近い不可思議なものがある。おそらく司馬が、歴史的人物を自家薬籠中のものとし、掌中の人物を語るがごとく蘇らせる手法を身につけたのは、子母沢寛の「新撰組始末記」を下敷きとして書いた「新選組血風録」のあたりからではないかと思われる。忠臣蔵と並んで新選組は日本の庶民の中に生き続ける人間集団といってよい。メンバーひとりひとりに、作者の解釈を通して、眼前にある人物群像のような生命を吹き込んだとき、作者は自由自在に歴史との対話を可能とする手法を身につけたのであろう。

「龍馬がゆく」「燃えよ剣」「国盗り物語」と短時日の間に展開された歴史文学の世界は、一瀉千里の趣きがある。特に「竜馬がゆく」と「坂の上の雲」は、坂本龍馬という、もっとも司馬好みの自由人をとらえることにより、明治維新という大変革期を描き、また、秋山好古・秋山真之という兄弟をとらえることで、日露戦争を描き切るという大事業を成し遂げた。

戦後日本人にとって、この二大長編の持つ意味はきわめて大きい。敗戦による日本人の自己否定は、明治以降の歴史のすべてに及び、屍に近い状態で放置されていたといえるだろう。歴史学者たちは明治維新の解釈に終われ、天皇制国家の非民主性を論難することに血道をあげていた。けれども当時の人が自らの血と汗で築いた明治国家は、反面に暗い部分を有していたにせよ、明治の青春であった。記憶の底に沈む映像を彷彿と甦らせた功績は大きい。

その時、司馬文学はひとつの国民文学になったのであり、司馬は国民的歴史家になった。知識人、政治家、経営者から町の庶民に至るまでが熱中した。文体は簡潔、平明でダイナミックであり、語り口はさわやかに能弁である。戦後解放された日本人は、司馬文学の中に初めて最も共感できる近代的な感受性の表現者を見出したといえるだろう。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年12月27日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(26日)

損害保険大手4社 保険料の事前調整問題で業務改善命令 金融庁 | NHK | 金融庁 →「価格調整」と言われるが、要するに「談合」。違法だが、各社にとっては合理的なので続いてきた。日本の大企業から画期的なイノベーションが生まれないのは、過去の商権=利権で食えるからだ。改革するには目先の安易で違法な利益を捨て、イノベーションを本気で求める組織に脱皮するしかないが…。

Apple・Googleの独占制限へ新法 アプリや決済で – 日本経済新聞 (nikkei.com) →(有料記事)欧米に追随して公正取引委員会が新法をつくるという。主な規制対象は、①アプリストア・決済②検索③ブラウザー④OSの4つの分野。どこまで効果があり、利用者に恩恵が及ぶだろうか。

ボクシング 井上尚弥 史上2人目 2階級で主要4団体の王座統一 10ラウンド ノックアウト勝ち | NHK | ボクシング →2階級での4団体王者は世界で2人目という。通算成績は25戦全勝で、ノックアウトが22というからすごい。

辺野古沖の地盤改良工事 28日代執行で1月中旬に工事着手の方向 | NHK | 基地問題 →不毛な工事が始まる。軟弱地盤で工期が伸び、費用もかさむ見通しだ。何があってもアメリカのポチだが、アメリカでは辺野古にこだわらない意見も出ている。沖縄や工事の実情をしっかりアメリカに説明し、説得しようという政治家はいないのだろうか。

マイナンバーカード 新名称の公募検討 新カード導入に合わせて | NHK | マイナンバー →海外では政治家の名前の空港も多い。JFケネディ空港、シャルルドゴール空港が有名だが、日本ではなじまないようだ。「キシダカード」では今一つで、賛成も得られそうにない。「大谷カード」なら、50年後でも「昔二刀流のスゴイ選手がいた」と語り継がれるが。

*** 「今日の名言」

◎アリストテレス(古代ギリシャの哲学者)

「批判を避けたいのであれば、何もせず、何も言わず、何者にもなるべきではない」 「少しも狂っているところがない天才などいない」 「人はものごとを繰り返す存在である。つまり優秀さとは、行為ではなく習慣になっていなければならない」 「若者は容易に騙される。なぜなら、すぐに信じるからだ」 「我々の性格は、我々の行動の結果なり」 「人間は、目標を追い求める動物である。目標へ到達しようと努力することによってのみ、人生が意味あるものとなる」 「愛というものは、愛されることより、愛することにある」 「垣根は相手がつくっているのではなく、自分がつくっている」 「欲望は満たされないことが自然であり、多くの者はそれを満たすためのみで生きる」 「自らが友達に望んでいる通りに、友達には振る舞わねばならぬ」 「多数の友を持つ者は、一人の友も持たない」 「人生は最も栄えているときに、大きな不幸に見舞われる」 「幸せかどうかは、自分次第である」 「人に従うことを知らないものは、よき指導者になりえない」 「優秀さは訓練と習慣の賜物である」 「最大の美徳は、他人の役に立てることだ」 「自然には何の無駄もない」 

*** きょうの教養 (戦後知識人の肖像⑧)

◎大江健三郎の冒険

大江健三郎(1935~2023)は、石原慎太郎や開高健と同時期に芥川賞を受賞したが、当時、東大仏文科の学生で23歳の若さだった。石原、開高、大江の世界には新しいエネルギーの奔流が感じられ、それ以前の「第三の新人」が、占領下日本の「無力感」の表現であったとすれば、新世代は高度成長への予感を表現していたといえる。石原、大江は、同世代の評論家江藤淳、演出家浅利慶太などとともに「若い日本の会」を組織するが、1960年安保を前に戦後民主主義の論理と活力が最も高揚した季節でもあった。

江藤がサルトルの影響下にあったように、大江の文学的出発もサルトルの文体・発想の深い影響の下に始まっている。サルトルの「アンガージュ」が当時の知識人への強いアピールを持っていたとすれば、そこには新しい未来が約束されているはずであった。けれども60年安保の挫折は、若き人々の歩みを大きく隔てていった。気質的にスポーツマンであった石原にとって、文学も映画も政治もそれほど異質な世界とは思われなかったであろう。俊敏な都会秀才であり、秩序感覚が基礎にある江藤が、文明批評家として伝統に回帰していったことも極めて正統的であった。

大江が最初の出発に固執し、戦後民主主義の論理と前衛的感受性の冒険を維持していることは、「持続する志」であろう。そこに大江固有の困難な道行きがある。大江の文学的感受性が豊富であればあるほど、発想と文体の創造的破壊ともいうべき冒険を試みなければならなかったが、底にある論理としての戦後民主主義が、守旧化し風化していくことが、常に背後からその実験精神を脅かすことになる。

けれども幼少時代から自閉的であり、想像力により架空の世界に遊んだ大江が、自らの資質を文学に昇華した時、それは確固とした根を持っていたことを、長い創作活動は証明している。「死者の奢り」に見られる「監禁状態」と徒労感、死体処理場での管理人とアルバイト学生と妊娠している女子学生という暗い舞台での奇妙に明るい感受性、生と死のコントラスト・・・。それらは大江の文学的強靭さが出発以来のものであることを教える。

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***デイ・ウォッチ(27日)

国と東京都に約1.6億円の賠償命令 「大川原化工機」国賠訴訟:朝日新聞デジタル (asahi.com) →ひどい捜査で、拘留中の顧問(72)が亡くなった。多くの冤罪は刑事警察だが、今回は公安警察。捜査の経験が少ないうえ、時に政治化する。経済安全保障の強化という風潮が背景にあったようだ。「安全保障」を持ち出すと、情報を隠し、運用が拡大解釈されがちだ。市民社会の監視が必要になる。こうした判決が出ても検察や警察は素直に謝罪しない。間違っていれば謝るのが人の道であり、信頼回復につながる。

自民 池田佳隆衆院議員の事務所捜索 安倍派の政治資金問題 東京地検特捜部 | NHK | 政治資金 柿沢議員逮捕へ 200万円超買収とネット広告 秘書数人も本格捜査:朝日新聞デジタル (asahi.com) →政治家個人への捜索は初めて。週刊文春は検察が池田衆院議員を狙っていると早くから報じていた。すでに事情聴取を受けているというが、本人は雲隠れ。地検特捜部は逮捕者を出さない方針なのだろうか。選挙買収の柿沢議員はきょう逮捕という。

東電 柏崎刈羽原発 “運転禁止命令”を解除 原子力規制委 今後は地元の同意が焦点に | NHK | 新潟県 →これまで再稼働したのは、西日本に多い加圧水型(PWR)で、柏崎は沸騰水型(PWR)で先頭を走っている。地元同意が次の焦点だが、新潟県の花角知事の対応ははっきりしない。知事選で信を問う可能性もある。避難計画もできていないので、まだ時間はかかる。

高島屋、崩れたケーキで謝罪 破損807件、原因特定できず:時事ドットコム (jiji.com) →去年は2週間だった冷凍時間が、今年はイチゴの入荷遅れで20~25時間に短くした。それでも「原因は特定できない」という。「対応が冷たかった」という声も出ており、尾を引く可能性もある。

2023年に死去した有名人を追悼 松本零士さん 坂本龍一さん… 今年死亡した著名人の歩みや残したメッセージ | NHK | WEB特集 | 訃報 →NHKらしいコンテンツ。今年亡くなった60人を選び、動画や写真、文章で偲んでいる。

*** 「今日の名言」

◎墨子(中国戦国時代の思想家)

「財産が足りないのではなく、足るを知るを心得ていないのだ」 「源が濁ればその流れは清くならない。行いの根本に信義がなければ必ず亡びる」 「弓を張ったまま緩めることをしないと、弓は役に立たなくなる。人にも適当なくつろぎが必要だ」 「人は自分の長所によって身を滅ぼすことが多い」 「昔から今まで多くの国が滅んだ。それらは皆、戦争によって滅んだのである」 「役人には賢才を高位につけるのがよいが、同じ人間が永久に貴い位置にあるのはよくない」 「国や都が互いに攻め合わず、家が互いに乱し合わないことは天下の害であろうか、利であろうか。言うまでもなく天下の利である」 「乱はそれが起こる理由の根本を知ってはじめてよく治めることができる」 「他国を侵略するという大きな不義については、非難することがないばかりか、逆に褒めたたえ、正義であるという。これでは正義と不義との区別を知っていると言えようか」 「戦争を起こすのは多くは強国である。広大な土地を持ちながら、なお他国の土地を侵そうとする。その為に多くの人民を殺し、多くの人民を苦しめる。人民の利を奪うことがどうして正しい道といえよう」

*** きょうの教養 (戦後知識人の肖像⑨)

◎松下圭一の先見性

戦後世代の政治学徒の中で、松下圭一(1929~2015)は、最もジャーナリスティックな政治感覚と柔軟な先見性を発揮しながら、政策レベルで革新勢力に影響力を与え続けてきたひとりである。松下の役割は、1960年安保以後、革新陣営が挫折感の中で低迷していた時、冷めた認識のもとに次々と革新勢力のための政策提言を打ち出したところにあった。「忘れられた抵抗権」(「中央公論」1958年11月号)を指摘した松下は、市民的自由のための実証科学、政策科学を高唱し、地域民主主義、都市政策の重要性をもっと早く捉えたのである。

保守勢力が60年安保以後、池田内閣の成立によって柔軟な対応姿勢を示し、革新勢力の中に構造改革派グループが台頭していった機運と照応していた。保守勢力が安定多数派を形成していった季節に、中央突破という性急な政治主義を抑え、都市や地方自治体という身近な日常性から政治生活や政策的方向を再構築していくことであった。

こうした発想は当時の革新勢力に一定の方向性を与え、中央政治の動向とは別に、大阪、京都、東京、横浜と次々に革新自治体を成立させていった。けれども革新自治体のその後の成り行きが暗示しているように、市民共和と福祉社会もまた大きく変貌している。人権と市民的権利、労働基本権と労働組合といった近代社会の基本的観念自体が、今日の状況の中で新しい検証を要請されているように思われる。それは保守・革新を超えて、より柔軟な対話の中で、模索されるべき政策次元を超えた文明の主題ではあるまいか。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年12月29日号(転送禁止)~~~

今年は今号で終わり、新年は1月8日号から再開します。今年は最初の1年でしたが、ご愛読ありがとうございました。よいお年をお迎えください。

***デイ・ウォッチ(28日)

年末年始の観光地 にぎわい戻ったものの 人手不足が深刻に | NHK | 観光   年末年始 最新の交通見通しは?のぞみは全席指定 高速バスは混雑…新幹線 飛行機 高速道路は【詳しく】 | NHK “年末年始を海外で” 出国ラッシュ始まる 関西空港は混雑 | NHK | 航空 →年末年始の休みがスタート。旅行客は国内外でコロナ前に戻りつつあるが、観光地では人手不足が深刻。例年以降、人手不足は日本のさらに大きな課題になる。JR東海は各種の改革に動き、のぞみを全車指定席にする。影響はどうか。

自民 大野泰正参院議員の関係先捜索 政治資金問題 東京地検 | NHK | 政治資金 →2日連続で安倍派議員の捜索。東海道新幹線の岐阜羽島駅を政治力で誘致したと有名な大野伴睦氏の孫。前日捜索を受けた池田氏とともに早くから名前が挙がっていた。捜査の焦点は、事務総長を務めた閣僚級の大物の起訴。一般的に年末年始に事件は動かないが、今回はどうか。

柿沢前法務副大臣逮捕 江東区長選挙めぐる 買収などの疑い 東京地検特捜部 | NHK | 事件 →江東区長選にからんで国会議員が逮捕された。何もなければ大きなニュースだが、関心は安倍派を中心とした裏金で、注目度は低くなった。有罪ならいずれ公民権停止で政界を引退することになる。

ニューヨーク・タイムズ、記事無断使用に警告 AI学習「ただ乗り」 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →AIと著作権の関係は大きな焦点だが、ニューヨーク・タイムズが対決路線を選んだ。AP通信などはオープンAIと提携し、メディアの動きが割れている。最先端のテーマであり、訴訟における論争の行方は今後の社会を左右する。

ジャニーズ性加害問題 「SMILE-UP.」115人に補償金支払う | NHK | ジャニー喜多川氏 性加害問題 →ジャニーズの補償がやっと動き出した。補償額は明らかにされていないが、同意している人も多く、早く進む可能性が出てきた。

*** 「今日の名言」

◎大瀧詠一(シンガーソングライター。2013年12月30日死去、65歳)

「期待は失望の母である」 「エヴェレストは高い。エルヴィスは深い」 「日本にロックなんてない」 「過去、一度たりとて音楽を制作する側がヒットを作ったことなんてないんだ。作る側はあくまで作品を作ったのであって、ヒット曲は聞く人が作った」 「活動がアルバムづくりとかシングル製作だけに集約されるということ自体、非常に偏った考え方だと思ってる。音楽なんてそんな狭義なものじゃないんだ。ものすごく、広義のもんなんだよ」 「日本のフォークはこれ(『達者でナ』などの三橋美智也の楽曲)です。これが原点なんです。だれが何て言っても」 「忙しいと思ったことは一度もないよ。だって、人に言われてやってることじゃないんだもの」 「今日生きているのだって途中だし、なんだって途中なんだから。一生未完で終わるわけですよ」 「人生は暇つぶし」 「忙しいと思ったこともない。いつでもヒマなの。それで、いつでも楽しい」 「日本でロックをやるからには、それをいかに土着させるか、長い目で見ようというのが出発点なんです。ボクだって、ロックをやるのに日本という国は向いていないと思う。でも、日本でやるというのなら、日本の聴衆を相手にしなくちゃならないわけで、そこに日本語という問題が出てくるんです」

*** きょうの教養 (戦後知識人の肖像⑩)

◎伊東光晴の柔軟性

松下圭一が市民的自由の政治学を展開することで革新勢力の基本戦略と政策を方向づけたとすれば、経済学の領域で同様の役割を果たした者は、伊東光晴(1927~)であろう。一橋大学で杉本栄一の下で学び、都留重人のもとに就く。2人の師の影響が、伊東の発想の基本を養ったといえる。杉本は学問への情熱的姿勢、透徹した論理と強靭な思索力で他の追随を許さなかった。都留は、戦後の復興期に柔軟な現実感覚とアメリカ経験を生かして、経済安定本部で最初の経済白書を執筆した。行政能力と政策能力を兼備した学者であった。

伊東が早くから革新的信条を持ちながら、ケインズを著し複眼的視野の所有者であることを証明したことは、杉本の発想を継いでいるといえる。ジャーナリスティックな感覚と広い問題関心の中で、市民的経済学を展開していったことは、都留の発想・行動様式を継いだものと考えられる。池田内閣登場以降、日本の高度成長が顕在化することで、革新陣営は社会主義理論を振りかざすだけで対応できず、具体的な政策次元の論争でこたえなければならなくなった。国際関係の次元で、安保体制の是非を問い、非武装中立路線を主張する革新陣営の主題よりも、より日常的な具体性を持つ必要があったし、そうした能力を革新陣営は発揮できた。

日本の革新陣営の経済学は、1960年代に政策次元での有効性を近代経済学と競う状況にまできた。伊東、宮崎義一、宮本憲一、正村公宏といった人々の日本経済分析の業績は評価されてよい。伊東の「保守と革新の日本的構造」(1970年)は、そうした工程の里程標であろう。それにもかかわらず共産党・社会党・労働組合の守旧化ははなはだしい。マルクスとケインズから発想された経済学は、改めてマルクス→シュンペーターの路線から創造的革新を構想するべきではないのか。