2月26~3月1日(教養講座:ジェンダー表現)

2024.03.01メルマガ

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***デイ・ウォッチ(23~25日)

24日でウクライナ侵攻2年 民間人犠牲、歯止めなく1万人―日米欧が制裁もロシア経済回復:時事ドットコム (jiji.com)   ゼレンスキー氏、支援継続訴え 「現代世界の価値観守る」―ウクライナ侵攻2年:時事ドットコム (jiji.com) →世界が驚愕したウクライナ侵攻から早くも2年。事態はますます混迷している。西側は民主主義の理念を守りながら停戦に持ち込みたいが、ロシアサイドにはグローバルサウスを筆頭に親近感を持つ国も少なくない。一方、石油依存のロシアは経済的に追い込まれているという見方もある。停戦を実現する構想や知恵はないのだろうか。

アメリカ大統領選挙 共和党 サウスカロライナ州で予備選挙 トランプ氏が勝利 ヘイリー氏の地元で | NHK →ヘイリー氏の地元州で、トランプ氏が6対4で圧勝。通常ならここで立候補を取りやめそうだが、ヘイリー氏は「私は戦う」と宣言した。いずれ裁判が進めば、トランプ氏が不利になるという読みがあるようだ。「もしトラ」を避けたい日本としては、ますます「ヘイリー推し」だ。

TSMC熊本、年内稼働へ 台湾半導体が開所式、第2工場支援決定:時事ドットコム (jiji.com) →熊本が半導体バブルで沸いている。日本経済の活性化、日本の産業競争力・産業政策、経済安全保障など様々な面で注目される。地元にも光と影が出るだろう。背景にはソニーグループとの良好な関係があった。長く注目のニュース。

元横綱 白鵬の宮城野親方「2階級降格」「報酬減額」の懲戒処分 弟子の北青鵬の暴力問題で | NHK | 大相撲 →強かったが、取り口や言動で問題も多かった白鵬。弟子の暴力問題で、「師匠としての素養や自覚が大きく欠如」とまで批判された。どこまで暴力を把握していたのか。相撲協会を担うべき人材と言われながら、どこか独善的だ。反省してひと回り大きな親方になれるかどうか。

広島が開幕戦白星 鹿島は快勝―J1:時事ドットコム (jiji.com) →Jリーグ開幕、楽しみが増えた。昨年より2チーム増えて20チームで優勝を争う。神戸の2連覇か、横浜の2季ぶり優勝か。復帰の磐田、東京の戦いぶりは。新加入の町田は青森山田高校の名将黒田監督の采配が注目される。

*** 「今日の名言」

◎高橋是清(首相、蔵相。1936年2月26日、2.26事件で暗殺、81歳)

「どんな苦難に直面しても、常に人生を楽しめ。おのれの運を信じ、楽観的に物事を見る。そこから開ける道がある」 「人間は無一物でこの世に生を受ける。どんな波瀾や苦難に直面しようとも、所詮、自分の始末は自分一個の腕でつけるものだ。その時々で骨惜しみせず、己の信ずるままに精一杯生きて、裸で堂々と死んでいけばそれでいい」 「不平を起こすぐらいならサラリーマンを廃業して、独立するがよい。独立すれば、何事も自分の力量であるから、不平も起こらぬ。独立ができないならば不平は言わないことだ」 「栄枯盛衰は人生の常だ。順境はいつまでも続くものではなく、逆境も心の持ちよう一つで、順境にすることもできる」 「国にとっても経済や金融にとっても、不可欠なのは信頼である」 「企業に必要なのはやはり経営者だ。力のある人が経営しなければ、外国との競争に対抗していけない」 「人の働きの値打ちを上げることが経済政策の根本である。物や資本の値打ちのみを上げて、人の値打ちをそのままにしては、購買力は減退し、不景気を誘発する結果になる」 

*** きょうの教養 (ジェンダー表現①) 

ジェンダーをめぐる状況は年々変化している。新聞社や通信社に勤める人が加入する新聞労連は2022年1月、「失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック」(小学館)をまとめた。主に女性組合員が編集メンバーとなり、「揚げ足取りや言葉狩り、言い換えマニュアルではなく、ジェンダー平等の心を知ってこそ表現が本物になる」という立場からまとめた。

◎第1章「ジェンダーの視点で見る表現」①

 まず無意識の偏見を考えたい。筆者や発言者に悪気や差別する意図がなかったとしても、無意識の偏見を広げていることがある。近年、「マイクロ・アグレッション(微細な攻撃)」として問題になっている。表現の背後に潜む構造や問題を知ることが重要になる。

社会問題を質問形式で読み解く記事で、女性が質問者、男性が答えることがあるが、「女性はいつも聞き役」という固定観念を助長する。夫はフルネーム、妻は名前のみで紹介することは、妻を従属物として感じさせてしまう。「女性でも安心、新車特集」「女性にもオススメのワイン」という表現は、女性は運転や飲酒が苦手という意識を植え付けることになりかねない。男性は「氏」、女性は「さん」付けで呼ぶことも注意したい。

「娘を嫁に出す」「娘をやる」という表現は、女性を家の都合で物のようにやり取りする言葉で、家父長制に支配された思考と言える。「主人」「亭主」は「男性が主」の言葉である。「夫」や「パートナー」に言い換えられるのではないか。女性だけに使う「夫人」「未亡人」「受付嬢」「良妻賢母」「女流」「女史」「人妻」も女性を過剰に特別視した言葉である。「真央ちゃん」や「愛ちゃん」という女性スポーツ選手に対する表現も同様である。

性別役割分業意識もある。「女性社長、仕事と家庭両立のコツ」という企画記事はどうか。男性に同様の記事はほとんどない。「父兄」「OB」「サラリーマン・OL」という表現は、「保護者」「元〇〇」「ビジネスパーソン」にした方がいい。「イクメン」という表現は好意的取り上げることが多いにしても、育児をする男性を特別視することにつながる。安易なイクメン扱いには注意したい。ノーベル賞を受賞すると、「内助の功」が話題になるが、これも同様で旧来のジェンダー観の再生産につながりかねない。「夫も育児を手伝うべきだ」「妻の育児を手伝うようにしている」というが、「手伝う」という表現も要注意である。

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***デイ・ウォッチ(26日)

衆院政倫審 公開是非で折り合いつかず 与野党で引き続き協議へ | NHK | 政治資金 森喜朗元首相への聞き取り 首相「必要ないと判断したと受け止め」 [立憲]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →国民の怒りは過去とは比較にならないが、自民党は相変わらず情けないほど後ろ向きだ。田中角栄の闇将軍時代、竹下登らが弓を引き、政治改革にもたもたしていた宮沢首相には小沢一郎らが決起した。自民党には大義や正義を掲げた巨大エネルギーがあったが、今はみじんもない。「失われた30年」は経済や株だけの話ではなく、自民党・日本の政治こそ深刻だ。

アメリカ大統領選 共和党候補者選び “ヘイリー氏の大口献金団体が資金提供停止”報道 | NHK | アメリカ大統領選 →カネの切れ目が縁の切れ目か。「もしトラ防止」で「ヘンリー推し」が強まるかと思ったが、バイデン対トランプの高齢対決になりそうだ。最後まで完走できるか心配になるが、アドレナリンの量が凡人とは違うのだろうか。

スウェーデン NATO加盟決定 32か国へ拡大 安全保障一段と強化 | NHK | NATO →200年以上も軍事的中立を保ったスウェーデンがNATOに加盟する。ロシアのウクライナ侵攻でフィンランドとともに加盟を申請していたが、トルコなどが反対。最後に残ったハンガリーが加盟を認めた。ロシアは欧州で孤立することになり、歴史的・大局的には大きな誤算だ。

“カスハラ防止条例” 東京都が全国初の制定目指す | NHK | 東京都 →全国に広がりそうだ。クールビズを仕掛けた小池知事らしい。制定に慎重意見もあり、当面は罰則を設けない方向という。一つの規範が確立する意味は大きい。回転寿司など飲食店での迷惑行為も厳しくしたほうがよさそうだ。

福岡・みやま市の小学1年男児、給食を詰まらせ死亡…うずらの卵で窒息か : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →給食で出されたうずらの卵をのどに詰まらせて小学校1年生が亡くなった。痛ましい出来事。よほど硬かったのだろうか。今後、うずらの卵を出す場合、学校は何か注意をするのだろうか。

*** 「今日の名言」

◎桑田佳祐(歌手。2月26日は68歳の誕生日

「悲しく辛い時期でも音楽にはそれを乗り越える力がある」 「諦めないで何事も。無理しないで何もかも。人生を楽しんでいきましょう」 「得られたものの大きさは、やってみた者にしか分からないでしょ。トライしてみないことにはどうにもこうにもね」 「水商売やってたでしょ、親父もおふくろも。親に遊んでもらったって記憶、ないのね。一緒に海でワイワイとか、ほとんどない。放ったらかしにされてた」 「まま母との確執とか、いろいろあったと思うんだ。俺が中学生になり、姉貴が高校になり、物事の前後関係が見えるようになるにつれて、姉貴を通じてうちの家庭の事情まで分かってくるというドラマ展開だったわけです」 「『いとしのエリー』が7週連続第1位になった。恍惚感を味わいましたね。俺は勉強もできなかったし、表彰されたこともないからね。生まれて初めて、表彰されたようなものですよ」 「サザンオールスターズは家族のようなもので、いろいろな要素で成り立ってます。こうしてやれてるっていうのは、これまでが間違いじゃなかったからなんだと思います」 「とにかく……原坊には嫌われたくなかったんだ、カッコよく言うと。他の女だったら、すぐふてくされときゃいいんだけどね」

*** きょうの教養 (ジェンダー表現②) 

◎第1章「ジェンダーの視点で見る表現」②

まず「過剰な性別表示」を考える。「女子高生がお手柄」「女社長が語る」といった記事がある。「女子アナ」「女医」はよく聞くが、「男子アナ」とは表記しない。「女子高生」や「女子アナ」は、容姿が過剰に注目される。性的な欲望の対象とみなすことすら許容され、盗撮や痴漢被害の土壌にもなっている。

「初優勝で男泣き」「男気あふれる決断」といった言葉も使われる。好意的な表現だが、「本来男は強い」というステレオタイプな考えが潜んでいる。「勇気ある」「堂々と」に言い換えることができる。「ママさん選手」「独身を貫き仕事に邁進」といった表現は、本来プライベートなことで、仕事や社会活動と関わりはない。表現する必要があるかどうか考えたい。統計データをグラフで表す際、女性はピンク、男性はブルーで色分けされる。トイレも同様だ。議論したい課題だ。

次に「性の商品化」を考える。「◯◯さんがいると華があるよ」「セクシーだね」という言葉はどうか。女性、男性を問わず、容姿について取り上げたり、性的な対象として見なしたりすることは、歓迎されるわけではない。「美しすぎるバレーボール選手」も同様だ。ルッキズム(外見に基づく差別)として批判の対象になる。「リケジョ」「山ガール」などのように珍しいから名前をつけるのもどうか。人種や国籍と同様、性別に価値をつけないことがジェンダー平等の第一歩なのではないか。

最近LGBTという言葉が定着している。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字で、LGBは性的嗜好、Tは性自認という違いを押さえておかなければならない。この他、エックスジェンダー、クロスドレッサー、アセクシュアル、パンセクシュアルもある。オカマ、オネエ、レズ、ホモなどのように性的少数者に向けて歴史的に侮蔑的な意味合いで使われてきた言葉がある。これらは差別語で、人を傷つけたり不快にさせたりする。気づいていなくても、当事者は周囲にいるかもしれない。日常生活でも使わないようにしたい。「カミングアウト」は一般的になったが、本人の許可なく第三者に漏らす「アウティング」も問題になっている。文章にする際は、どこまでオープンにしていいのか当事者への確認を徹底したい。性的少数者を理解し支援する人たちを「アライ」というが、誰もが性の当事者意識を持ち、多様な性の表現について考え行動したい。

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***デイ・ウォッチ(27日)

23年出生数、過去最少75.8万人 人口は初の80万人超減 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →出生数の減少が止まらない。これまでの推計では、75万人台は2035年だったというから衝撃だ。ピークだった1949年の3分の1という。婚姻数も初めて50万組を初めて割った。今回は速報値だが、確報値ではさらに減るのが一般的といわれる。加速度的に激ヤセするニッポン。日本人は将来に向けたすべての常識をアップデートする必要がありそうだ。

衆院政倫審 あすの開催見送り 公開の是非めぐり折り合いつかず | NHK | 政治資金 →きのうも情けない自民党。テレビカメラが入って一部を切り取られるのを嫌がったという。田中角栄は太っ腹で、批判的なことを書かれても「おっ、いい記事だった」と言っていたと先輩から聞いた。自民党の置かれている状況を考えれば、細かいことを気にしている場合ではないと思うのだが。

セキュリティークリアランス制度 創設に向けた法案 閣議決定 | NHK | 経済安全保障 →「安全保障のためだ」と言われると、泣く子も黙ってしまう。規定があいまいなので、運用でどうにでもなりそうだ。担当の高市経済安全保障相は保守派の論客。保守派は治安や秩序を重んじる傾向があり、拡大解釈への歯止めが重要だ。

宝塚歌劇団、パワハラ認める 否定一転、謝罪意向も―団員急死、遺族側弁護士が会見:時事ドットコム (jiji.com) →パワハラを認めたのは前進のような気がするが、全否定していたことを考えると、なぜ変わったのだろうか。圧力がかからないと認めないとなれば、今後は「圧力勝負」になる。この問題で宝塚ファンの反応があまりないのも気にかかる。

行方不明後北朝鮮で生活の寺越武志さんの母 友枝さん死去 92歳 | NHK | 訃報 →村越さんの息子さんは、行方不明になった後に北朝鮮で暮らし、「拉致ではない」と言っていた。村越さんもそれを信じ、北朝鮮と往復して面会した。母親の愛情は国やイデオロギーを超える。裏返せば、国やイデオロギーは個人を押しつぶす。

*** 「今日の名言」

◎大久保彦左衛門(徳川家康の家臣。1639年2月29日、78歳)

「子孫に向けた教訓は、主君からの知行(俸禄)がなくても、それは運命だと思って、ご主人様に対して不満を抱いてはならないということだ」 「子どもよ、よく聞け。地獄も極楽も必ずあるぞ。地獄があることを忘れず、奉公に励め」 「主君に対して弓を引き、主君に別心を抱いた者が子々孫々まで繁栄しているように見える。嘆かわしいことだ」 「出世する者の5カ条。 一、主に弓を引いた者。二、怪しい者や笑われ者。三、立ち回りのうまい者。四、そろばん勘定のうまい者。五、他国人(一は本多正信らを指し、皮肉を言っている)」 「出世しない者の条件。一、忠義一筋に働いた者。二、武勇の者。三、礼儀作法を知らぬ者。四、そろばん勘定ができない年寄り。五、譜代久しき者(一、二は自分らのことを指し、これも実力随一の大久保彦左衛門ならではの皮肉)」

*** きょうの教養 (ジェンダー表現③) 

◎第2章「ウェブで起きていること」

ウェブはページビューを稼ぐため、誇張や誤解を招く表現をすることもある。「セーラー服でノーバン、天使すぎる始球式」という見出しは、「ノーバン」が「ノーパン」を連想させ、クリック稼ぎに通じる。「スク水揚げ、シマに活気」は時々話題を呼ぶ。「スク」は沖縄方言で「アイゴ」の稚魚で、アイゴが取れて活気が出たというニュースだが、「スク水」は「スクール水着」と誤認され毎年ビューが伸びる。「カメラ女子」「小沢一郎ガールズ」などの言葉もある。紙媒体では使用に抑制的だが、ウェブでは散見される。メディアが美醜を決め、消費対象にしている構図がある。

事件は紙媒体では逮捕容疑が見出しになるが、ウェブでは性暴力の手口や加害者の供述を強調することがある。扇情的な見出しで事件を矮小化し、性的な表現を含むコンテンツの消費を促しているようにもみえる。性暴力は被害者の心身に重大な影響を及ぼす。被害を軽視しているかのような表現は、二次加害になる可能性もある。性暴力に関する思い込みや偏見である「レイプ神話」の社会的な刷り込みにもつながる。

新聞は出稿部門から整理、校閲へと多くの関門を経るが、ウェブは紙媒体に比べてチェックが薄い。新聞社は男性が多く、マジョリティーの男性目線になりがちだ。考え方として、人権尊重を全ての基本とすべきである。あらゆるシステムにジェンダーの視点を入れる「ジェンダー主流化」がグローバルスタンダードだ。先進的なネットメディアは、「小さな声に耳を傾ける」「フェアとシェアの精神」「憎しみを原動力としない」「ダイバーシティとインクルージョン」などを掲げ、専門性と多様な視点を重視する。炎上した場合でも速やかに原因を検証し、必要があれば修正・謝罪する。出演者の男女比率を50対50にするプロジェクトもある。これらはフェミニストの人たちが何十年もかけて努力を重ねた結果である。

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***デイ・ウォッチ(28日)

衆院政倫審、岸田文雄首相と西村康稔氏ら自民5議員出席 全面公開へ – 日本経済新聞 (nikkei.com) →外に出るのを嫌がった5匹のクマが穴倉の入り口付近でウロウロしていた。見かねたボスグマが「出るぞっ!」と言ったら、何もなかったように出てきた。5匹のクマは昔いばっていたが、今はすっかり小心の子グマに見える。ボスグマは慎重なので、政倫審で大したことを言いそうもない。クマたちの右往左往は続きそうだ。

韓国の出生率 去年0.72 過去最低を更新 8年連続で前年下回る | NHK | 韓国 →世界的に低い日本でも1.2程度だから、韓国は極端に低い。日本以上の激ヤセだ。出生率低下は東アジアで目立つ。経済的な理由に加えて文化的な背景もありそうで、研究の価値がある。欧州では婚外子の増加が出生率を下支えしている。各種制度を整備した結果で、こちらも研究の価値がある。

大谷翔平 ホームラン ドジャース移籍後初のオープン戦で 打順は2番 指名打者 【一問一答】 | NHK | 大谷翔平 →今年もニッポンの朝は大谷選手! オープン戦初戦でホームラン。スター性と話題性はダントツだ。レフトフライと思ってもスタンドまで飛ぶ。「とにかく日本を明るくする大谷」。唯一とは言わないが、「日本の希望の星」だ。

「確固たる倫理観持つ人材」ENEOS HD新社長に宮田副社長が昇格 | NHK | セクハラ問題 →セクハラで話題のエネオス新社長に人格者が就任するという。取締役が会食に出席する際のルールは、過度な飲酒を控える▽取締役の不祥事に同席した管理職や役員にも責任を取らせる、という。政治のレベルも低くなったが、企業も同様か。

【詳報】なでしこ、2-1で北朝鮮を破る パリ五輪の切符獲得:朝日新聞デジタル (asahi.com) →なでしこジャパンが、ホームゲームでパリ五輪出場をやっと決めた。自由もなく、食料も乏しいと言われる国がどうしてここまで強いのか。素朴に疑問を持ってしまうが、日本が弱いのだろうか。

*** 「今日の名言」

◎小林秀雄①(文芸評論家。1983年3月1日死去、80歳)

「自信というものは、いわば雪のように音もなく、幾時の間に積もったようなものでなければ駄目だ。そういう自信は、おへその辺りにできる、頭にはできない。頭はいつも疑っている方がよい。難かしいことだが、そういうのが一番健康で望ましい状態なのである」 「左翼だとか右翼だとか、みんなあれ、イデオロギーですよ。あんなもんに『私』なんてありゃしませんよ。信念なんてありゃしませんよ。どうしてああ徒党を組むんですか」 「人生を解釈する上に非常に便利な思想というものは、その便利さで身を滅ぼす。便利さが新たな努力を麻痺させるからだ」 「死を目標とした生しか私達には与えられていない。そのことが納得できた者には、よく生きることは、よく死ぬことだろう」 「人間は自分の姿というものが徐々によく見えて来るにつれて、自己をあまり語らないようになってくる。これを一般に人間が成熟してくると言うのである」 「変わり者はエゴイストではない。社会の通念と変った言動を持つだけだ。世人がこれを許すのは、教養や観念によってではなく、付き合いによってである。付き合ってみて、世人は知るのだ。自己に忠実に生きている人間を軽蔑する理由はどこにあるかと」

*** きょうの教養 (ジェンダー表現④) 

◎第3章「弱者に寄り添うジェンダー表現」

性暴力では「乱暴」という言葉がよく使われる。強制性交、レイプを意味する。性犯罪は「魂の殺人」とも呼ばれ、被害の影響が長く続く。被害者に配慮し直接的な表現を避けているが、重い性犯罪も乱暴でいいのだろうか。乱暴には本来、性的暴行の意味はない。一昔前、主に子供に対する強制わいせつ行為を「いたずら」と表現することがあった。犯罪行為を軽くみすぎているということで、最近は使わなくなっている。性暴力をめぐる表現は揺れ動いている。

「ムラムラしていた」という表現がある。性欲に突き動かされたという構造だが、性加害の背景は多様だ。性差別、女性を見下す気持ち、上司と部下、教師と生徒などの関係を悪用し、相手より優位に立ちたいという支配欲もある。「ムラムラ」は性犯罪の原因を単純化し、衝動的な性欲で起きるというステレオタイプ再生産につながる。衝動的でやむを得ないという言い訳にも利用される。「わいせつ教員」という表現があるが、わいせつという表現では深刻さが伝わらない危険もはらむ。児童売春事件で子どもに問題があると暗に示すような表現も少なくない。18歳未満の子どもが都道府県の青少年健全育成条例など法的に保護されているのは、社会が守るべきと考えているからだ。立場の弱い子どもの窮状につけ込み、金銭で性行為することは性的搾取である。悪いのは買う側の大人なのだ。

警察署は被害者のプライバシーを守るためとして公開しないことがある。プライバシーは守られるべきだが、「隠されるほど恥ずかしいことをされた」とのメッセージにもなりうる。2023年7月に改正刑法が施行され、「強制性交罪」が「不同意性交罪」になった。以前は加害者の「暴行や脅迫」などを証明する必要があったが、同意の有無がポイントに変わった。暴行や脅迫に加え、アルコールや薬物の接種、恐怖・驚がくさせるなど8つの行為を明示した。同意を判断できる年齢を「13歳以上」から「16歳以上」に引き上げ、16歳未満の性交は処罰されるようになった。

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***デイ・ウォッチ(2月29日)

大谷翔平 結婚発表「相手は日本人女性」大リーグ ドジャース 自身のインスタグラムで | NHK | 大谷翔平 →世界をかけめぐった驚きのお祝いニュース。相手は日本人以外わからない。日本時間1日、本人が話すという。恐らく誰かの紹介で知り合ったと思われるが、出身は岩手県か、他県か。日本在住か、アメリカ在住か。想像は膨らむが、羽生結弦のようにならないように。

政倫審、不信払拭見通せず 岸田文雄首相「関係者の処分判断」 – 日本経済新聞 (nikkei.com) 岸田文雄首相「後来の種子未だ絶えず」吉田松陰の遺言引用 安倍晋三氏葬儀で昭恵さん言及 – 産経ニュース (sankei.com) →予想通り、目新しい話はなかったが、岸田首相が冒頭に引用した吉田松陰の遺言が意味深だった。いつもより高ぶった様子。安倍派や若い議員に活を入れたように見えた。

衆院予算委“新年度予算案あす採決”小野寺委員長が職権で決定 | NHK | 来年度(新年度)予算 →自民党は政倫審1日目を終わって、ギアを回した。野党はこれまで、予算審議を人質に取ってきたが、これからは自民党が「能登半島地震の復興が遅れる」と圧力をかける。岸田首相は最近、「突発性決断症」と言われる。驚きの政倫審出席で事態を動かした形だ。

損保大手4社、役員処分132人に 保険料の事前調整問題 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →保険料を「事前調整」という談合をしていた損保業界。処分はほぼ同じ内容で、政策保有株も各社ゼロにするなど改善計画も似ている。金融庁が仕切っている事情もあるが、すべて「談合風」だ。各社が自社判断ですべて個別に決めるような業界になるのはいつだろうか。

死刑制度のあり方を議論 民間の検討会発足 秋までに国に提言へ | NHK | 法務省 →日本で死刑制度を初めて本格的に議論する場になりそうだ。廃止を訴えている日弁連の呼びかけだが、前検事総長ら司法関係者、犯罪被害者、経済界などメンバーは幅広い。秋までに提言する。議論の大きなきっかけになりそうだ。

*** 「今日の名言」

◎小林秀雄②(文芸評論家。1983年3月1日死去、80歳)

「思い出のないところに故郷はない。確固たる環境がもたらす印象の数々が積もり積もって作りあげた強い思い出を持った人でなければ、故郷という言葉のはらむ健康な感動はわからないのであろう」 「考えるとは、合理的に考えることだ。現代の合理主義的風潮に乗じてものを考える人々の考え方を観察していると、どうやら能率的に考えることが合理的に考えることだと思い違いしているように思える」 「現実の苦い経験をなめた人には小説が軽薄に見えても仕方がない。ただ問題は、次の一言だ。生々しい経験を、生々しいままに蓄えるには、一種の術がいる。というよりも一種の稀有の資質がいる」 「保守派は、現実の習慣のうちに安んじて眠っている。進歩派は理論のうちに夢みている。眠っているものと、夢みているものとは、幾らでもいるが、覚めている人は少ない」 「人間は、憎悪し拒絶するもののためには苦しまない。本当の苦しみは愛するものからやってくる」 「近代科学の本質は計量を目指すが、精神の本質は計量を許さぬところにある」 「美しいものは、諸君を黙らせます。美には、人を沈黙させる力があるのです」

*** きょうの教養 (ジェンダー表現⑤) 

◎第4章・完「失敗から学ぶ人・組織作り」

ジェンダーは、小手先の表現の言い換えだけではなく、発信側の人や組織自体に着目する必要がある。あらゆる場面に通じる四つのポイントを挙げたい。

第1は「意思決定の場に女性がいる割合」である。クリティカルマスは、ある結果を得るのに最低限必要な数を示す言葉だが、組織では「3割」と考えられている。メディアで女性の比率が増えているとはいえ、意思決定権者にはまだ少ない。決定権者に当事者意識が欠けている場合、現場が問題意識の違いに悩むことがある。第2は、「フラットな人間関係、透明性あるコミュニケーション」を作ることである。ウェブメディアの報道機関では水平なシステムを作り、平等な立場で情報共有を図っている例がある。原稿について皆で意見を出し合い、上下関係もなく、参加者は対等だ。ジェンダーや人種に関する原稿について意見を出し合うシステムを構築し、多様性に配慮しているか確認している報道機関もある。

第3は「自分も当事者という視点」である。「ジェンダーは女性の問題」とみなされることもあるが、みんなが担当すべき話題だと思うようにしたい。50代女性は「新人の頃は自分が女だからというより、能力も技量も足りないから、あまり評価されず、引き上げてもらえないと感じていた」という。自分の視点を一人で持ちにくいこともあるが、だからこそみんなで学ぶことが必要になる。第4は、「組織まるごと意識を更新」することである。情報発信はチームで行うので、組織全体の意識をアップデートすることが重要になる。社会には多様な性、多様な背景の人が暮らしている。表現に携わる人は、多様性をそのまま受け入れ、伝えることが大切になる。

日本社会は女性の性暴力に非常に甘く、女性を従属的な存在とみなす傾向が強い。ジェンダー表現を時代に応じてバージョンアップすれば、他のことにも変化が起こる。表現には見えなかったものを可視化する力がある。作文、メールつぶやきから変わる。拡声器を持たなくても、日々のやりとりから変えられる。今回の講座は、新聞労連編「失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック」(2022年1月、小学館)からまとめた。