3月4~8日(教養講座:東大の式辞)
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***デイ・ウォッチ(1~3日)
◎アメリカ軍、ガザ地区への援助物資投下を開始 6週間の停戦で合意枠組み妥結か – BBCニュース →米軍がガザへの援助物資投下を始めた。イスラエルは6週間の停戦でほぼ合意し、ハマスの回答を待っているという。停戦に向けたアメリカの圧力がイスラエルを動かしているようだ。
◎予算案、衆院通過 年度内成立確定―自・立、政倫審継続で合意:時事ドットコム (jiji.com) 立民・山井氏、演説2時間54分 衆院最長記録を更新:時事ドットコム (jiji.com) →岸田首相は政倫審に出席して、予算の年度内成立をかち取った。立憲民主は長時間演説の議事妨害(フィリバスター)をしたが、野党の足並みが揃わず、政倫審の継続などで妥協した。野党の国会対策委員同士の関係は深まっており、野党共闘にいい影響を与えるかどうか。
◎東京マラソン西山雄介9位 設定記録切れず 大迫傑 五輪代表内定 | NHK | 陸上競技(マラソン) →東京マラソンで日本の最高は9位の西山。五輪設定記録を超えられず、大迫が第3の代表になった。大迫は日本人で初めて2時間5分台を記録し、東京五輪にも出場した実力者。しかし、この日優勝したケニアの選手の記録は2時間2分16秒。世界は遠い。
◎村山富市元首相が百寿 「日本が平和な国であり続けることを願う」 [大分県]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →村山富市元首相が100歳を迎えた。首相経験者では初めてかと思ったが、中曽根康弘氏らに続き3人目という。大きな眉毛は相変わらず。社会党出身だが、野党だった自民党が人望を見込んで担ぎ上げた。今と比べてはるかに力強い政治のダイナミズムが懐かしい。
◎岐阜 高山の高校で卒業生が伝統の「白線流し」 | NHK | 岐阜県 →岐阜・斐太高校で旧制中学時代から80年以上続く卒業式の伝統行事。コロナ禍で中断されていたが、5年ぶりに復活した。男子生徒は学生の白線、女性生徒はセーラー服の白いスカーフを級友同士で結び、近くの川に流す。青春をともに過ごした同級生との別れ。せつなさが胸に迫る古き良き行事だ。
*** 「今日の名言」
◎成瀬仁蔵(日本女子大創始者。1919年3月4日死去、60歳)
「信念徹底、自発創生、共同奉仕」(危篤の病床で揮毫した教育三標語) 「聴くことを多くし、語ることを少なくし、行うところに力を注ぐべし」 「女子の主要な天職は賢母良妻であるべきといわれるが、その一生は必ずしも妻母としての境遇だけにとどまらない。寡婦として、娘として、個人として働く、国民として何かを行う境遇もある。女子もまた人である」 「優秀な品性を備え、充実した活力を有する高尚で偉大な人物を養成するための教育の基本的方法は、青年の自発的な動力を開発培養し、その効果を実地に生かす生活法を自得させることにある。これを自学自動主義の教育とする」 「実業的社会教育とは、実業に直接に役に立つ、いわゆる実業教育ではなく、学校そのものが工場的、社会的、家庭的な要素を備え、文学、商工、手芸、さらには音楽、美術もこれに加わり、これによって知育、徳育、情育、体育を完成させようとするものである」 「我々には神性、仏性がある。これによって互いに共同し、大生命に到るという信念を持ち得るのである。我々の信念生活の経験とは、神と我々のその二者が一体となることを意識し、直接にその感化を受け、同一生命になることを意識する境地に入ることをいうのである」
*** きょうの教養 (東大の式辞①明治・大正・昭和初期)
国立大学は広義の政府の一機関である。「大学の自治」を掲げるが、国策の制約も受ける。国立大学でもっとも歴史が古く、頂点に立つ東京大学の総長は何を語ってきたのか。「東京大学の式辞 歴代総長の贈る言葉」(石井洋次郎著、新潮新書・2023年)から紹介する。その当時の歴史がくっきり現れている。一部は現代訳にし、解説は同書から抜粋した。初回は明治から昭和初期をとりあげる。
◎1895(明治28)年7月の卒業式=第3代総長・浜尾新(文部行政官) 「学術技芸は近世文明の要素にして、その進むか否かは国力の伸展に関すること甚だ大なり。帝国は未曾有の隆盛に際し、世界の大国と対峙し文明を競い、富強を実現するには、武備とともに文備を充足し、ますます学術技芸の進歩を図るべきだ」 (解説:学問を修めることは国力増強のためという思想が出ている)
◎1913(大正2)年10月の入学式=6代・山川健太郎(物理学者) 「国家が大学を設けて教育するのは、国家に欠かせない人材を養成するためである。諸君は国家のために学問をするものであって、自己のためにするものではない。いったん志を決して帝国大学に入学した上は、身を国家に献ずる覚悟がなくてはならないと思う」 (解説:山川は会津藩士に生まれ、白虎隊で明治政府と戦った。藩への忠誠心が国家への愛国思想へとつながったようだ)
◎1935(昭和10)年3月卒業式=12代・長与又郎(病理学者) 「人格修養の方法については各人の工夫に待つが、教育勅語の趣旨を文字通り実行することが大切であると信じます」/1938年(昭和13年)3月卒業式=長与又郎 「我が国は未曾有の非常時局に直面しております。我が国民は困難に遭遇するたびに殉国奉公の精神を遺憾なく発揮して、国運の発展に寄与してきたことは歴史の明示するところであります」 (解説:在任中に天皇機関説事件や2.26事件があり、軍部が政治への介入を強め、戦争一色になる時代だった)
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HPにアップしました→ 「土」を求めて長塚節の生家へ 天声こども語紀行 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)
***デイ・ウォッチ(4日)
◎日経平均株価 終値で初の4万円台 史上最高値を更新 米株価上昇を受け | NHK | 株価・為替 →バブル最高値の次は4万円がターゲットになっていたが、あっさり超えた。中国経済の低迷で、中東の政府系ファンドが日本株を買っているという。買い手がいる限り、株は上がる。しばらく地合いは悪くないようだが、すべて後講釈の世界。個人投資家は自分で考えるしかない。
◎日産自動車に勧告へ 公取委 下請け数十社に納入代金引き下げ | NHK | 自動車 →トヨタも日産も下請けやグループ企業にしわ寄せをして好業績をあげていることがわかった。力関係の差で泣き寝入りをしてきたが、下請けやグループ企業も言うべきことは言う社会にすべきだろう。下請けは価格転嫁ができず、賃上げもできない。グループ内部の上下関係は日本経済の再生を阻んでいる。
◎公取委 談合で中部電力と子会社に計2600万円余 課徴金命じる | NHK | 愛知県 →公取委はここでも頑張っている。中部電力と東邦ガスは名古屋経済界の老舗。コストに利益を上乗せする総括原価主義に慣れた公益事業は、真の競争を理解できない。「ほどほどにしましょうや。お互い悪やなぁ」と裏ですぐ握手してしまうようだ。
◎中国・全人代、閉幕後の首相会見「開かない」 数少ない対外説明の場:朝日新聞デジタル (asahi.com) →中国首相は国家主席に次ぐナンバー2で、政府のトップ。国家主席は会見しないので、内外に向けて会見する事実上のトップだった。会見をしないことで、共産党の主導権が強まった形だが、経済の不調を見せたくないのだろう。都合の悪いことを言わないのは、脆弱さの証明だ。
◎米大統領選 ヘイリー氏 ワシントンで初の勝利 共和党予備選挙 | NHK | アメリカ大統領選 米連邦最高裁 トランプ氏の立候補資格認める判断 コロラド州予備選挙 | NHK | トランプ前大統領 →トランプ凋落のかすかな予兆と思いたいが、ワシントンはリベラルな土地柄で特殊なようだ。最高裁はトランプ氏の立候補資格を認め、5日はヤマ場のスーパーチューズデーで大勢が決まる。
*** 「今日の名言」
◎ヨシフ・スターリン(ソ連共産党書記長。1953年3月5日死去、74歳)
「愛とか友情などというものはすぐに壊れるが、恐怖は長続きする」 「投票する者は何も決定できない。投票を集計する者がすべてを決定する」 「たった一つの死は悲劇だが、百万人の死は統計に過ぎない」 「死がすべてを解決する。人間が存在しなければ、問題も存在しないのだ」 「正直者の外交官など、乾いた水や木でできた鉄のようなものだ」 「圧制者の骨の上にのみ人民の自由は築かれ、圧制者の血のみが人民の自治のための土地を肥やす」 「教育とは、効果を誰が手にするか、誰に向けられるかによって決まる武器である」 「強制収容所の理念は素晴らしい」 「社会民主主義は、客観的に見てファシズムの穏健派である」 「思想は銃よりもはるかに強力である。我々は国民に銃を持たせない。なぜ彼らに思想を持たせる必要もあるのか」 「神はあなたの味方か?それとも神は保守派なのか?悪魔は私の味方だ。悪魔は、優秀な共産党員だ」 「私はもうおしまいだ。誰も信用できない、自分さえも」
*** きょうの教養 (東大の式辞②昭和中期)
◎1939(昭和14)年3月卒業式=13代・平賀譲(造船学者) 「わが国は今や敢然として、国家の基礎を一層確立するのみならず、さらに世界平和のために、東亜新秩序の建設に着手したのであります。この大業こそは、わが国民が万難を克服して成就しなければならぬところであります」
◎1943年(昭和18年)9月卒業式=第14代・内田祥三(建築学者) 「今ここに卒業証書を授けられるに至りましたことは、ひとえに聖恩(天皇の恵み)の鴻大無辺(果てしなく大きなもの)によるものでありまして、ただただ感泣のほかなく、誓って一身を君国に捧げる覚悟を一層新たにせられたことと確信いたします」/(ここから戦後)1945(昭和20)年9月入学式=内田祥三 「新しき栄えある日本の建設に渾身の努力を尽くすべき秋であります。新しき日本の行くべき道は自ら明らかで、道義を篤くし、教養を高め、科学を振興し、世界文化の進展に寄与する以外に道はないのであります」(解説:同じ総長だが、戦中と戦後で表現が一変した。「世界文化の進運に寄与する」という大学本来の姿を初めて訴えられるようになった)
◎1946(昭和21)年5月入学式=15代・南原繁(内務省から政治学者。キリスト教者としても知られる) 「戦いに敗れたそのことは必ずしも不幸であるのではない。国の将来は国民がこの運命的事件をいかに転回し、いかなる理想に向かって突き進むかにあると同じく、個人の未来もこれを転機として、いかなる新生を欲して立ち上がるかにかかっていると思う」/1949(昭和24)年4月入学式=南原繁 「大学をその本来の精神に復すにはいかにすべきであるか。個々の科学や技術を相互に関連させ、意義を総合的な立場で理解することである。我々の時代が到達した知識の体系を知り、我々の世代が共有する文化と文明の全体の構造と意味、世界と人間と社会についての理念を把握することである」(解説:歴代総長の中で最も知名度の高い一人。軍国主義を強く批判し、真理の探求、教養や創造力の重要性を訴えた。中ソを含む全面講和を主張し、米国中心の単独講和の吉田茂首相から「曲学阿世の徒」と批判された逸話は有名)
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***デイ・ウォッチ(5日)
◎成長目標、「5%程度」据え置き 国防予算7.2%増―経済停滞も軍拡継続・中国全人代開幕:時事ドットコム (jiji.com) →中国経済の行方はいろいろな意味で世界の関心事だ。習近平政権には経済に強い人がおらず、ナンバー2の首相会見もなくなった。外国のビジネス関係者に対する監視も強めている。中国は内向き姿勢を強めており、明るい材料はない。
◎LINEヤフー出資見直し、ソフトバンクに異例の口頭要請 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →総務省が異例の行政指導をした。漏えいの原因として、親会社に50%出資する韓国ネイバー社との資本関係も一因として、経営体制の見直し検討を要請した。漏えいは過去にもあり、総務省は怒っている。確かに資本関係は複雑で、運営体制にも影響していそうだ。
◎米下院議長 “岸田首相 4月11日に上下両院の合同会議で演説” | NHK | アメリカ →国賓待遇の訪米で、上下両院での演説は2015年の安倍首相以来という。国民は大きな関心を持っていないが、在職日数などにこだわる岸田首相には大きな出来事だ。「これで俺も一流首相だ。花道はできた。最後のひと踏ん張りだ」と本人は思っているだろうか。
◎自転車の軽微な違反に「青切符」、道交法改正案を閣議決定…スマホ使用の「ながら運転」禁止 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →自転車にも反則金がかかるようになる。実施は改正道交法案の可決・公布から2年後。免許停止がないので反則金もないと思っていたが、これからは自転車も油断禁物だ。
◎「秘密主義」「日本の文化」 大谷翔平の電撃結婚発表、米メディアで分かれる評価 – 産経ニュース (sankei.com) →大谷の結婚発表が米国で話題になっている。氏名を明かさないのは、秘密主義か文化の問題かという評価だ。日本のネット社会では、お相手は早大・富士通でバスケット選手だった田中真美子さんと確定している。一般メディアは報じるのだろうか。
*** 「今日の名言」
◎丸山千里(丸山ワクチン開発者、日本医科大名誉教授。1992年3月6日死去、90歳)
「もう、癌は恐ろしい病気ではなくなりました」 「私のワクチンを使った場合、60%以上の方が快方に向かい、これを含めた90%以上の方に好ましい変化が見られました。残りの数%は、手術や他の方法で治せると思います」 「このワクチンを打たれる時には、抗癌剤は絶対に使わないで下さい。かえって病気を悪くします。放射線も良くありません。ほかの薬は、熱冷ましでも痛み止めでも、何を使って下さっても構いません」 「副作用がありませんので、どんな症状の方でも使っていただけますから、安心です。細胞に力をつける薬ですから、心配ありません」 「癌に痛み止めを使いますと、痛みは軽くなりますが、意識がもうろうとして来ます。けれども、このワクチンを使っていただきますと、まったく痛みはありません。意識も通常と少しも変わりません」 (2015年までに約40万人のがん患者が丸山ワクチンを使用しているが、日本医科大学、権利を譲られたゼリア新薬は、ともに薬効を証明していないという)
*** きょうの教養 (東大の式辞③戦後・高度成長期)
◎1952(昭和27)年3月卒業式=16代・矢内原忠雄(経済学者。戦前、軍国主義批判を理由に辞職に追い込まれ、戦後復帰) 「警察権との関連で本学に起こった事件について、学問の自由、大学の自治、日本社会における言論、思想の自由が特高警察的活動によっておびやかされることのなきよう、我々が学問自由の一線を強く守るために努力していることは、諸君の知るところである」 (解説:事件とは、国鉄の松川事件をテーマにしたポポロ劇団の公演に私服警察官が混じっていたことをきっかけに東大生が逮捕された一件。矢内原は平和主義とデモクラシーを掲げ、南原繁とともに戦後の東大を学問の府へとけん引した)
◎1964(昭和39)年3月卒業式=第18代総長・大河内一男(経済学者) 「自分の信念を貫くことによって人生の出世街道から外れたとしても、悲観してはいけません。東京大学は声援を送ります。J・Sミルは『太った豚になるよりは痩せたソクラテスになりたい』と言ったことがあります。節を曲げて社会のひずみから目を覆うことによってやせ細っても、信念に生きることが人間らしいのであります。諸君が痩せたソクラテスになる決意したとき、日本は本当にいい国になるでしょう」 (解説:「太った豚より痩せたソクラテス」は有名な一節だが、式では読み飛ばし、後で披露して広まった)
◎1981(昭和56)年4月入学式=22代・平野龍一(刑法学者) 「大学では自分で考え、自分で結論を見つける訓練を何らかの形で積まなければなりません。他人の考えをそのまま受け入れるのではなく、一度疑い、自分で考えなおす態度が必要です。疑い切れなかったものだけが本当に自分の知識になるのであり、迷い苦しむことで初めて創造的な個性が育てられ、独自の判断基準が確立してゆくのです。社会に役に立ち、尊重されるのは、知識よりこのような態度から生まれたたくましい批判的精神だと言っていいでしょう」
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***デイ・ウォッチ(6日)
◎トランプ氏、指名確実 バイデン氏との再戦固まる―ヘイリー氏撤退・米大統領選:時事ドットコム (jiji.com) →トランプ氏が圧勝し、ヘイリー氏は撤退を表明した。ヘイリー氏が唯一勝ったバーモント州は無党派層も投票できる制度で、無党派への弱さが露呈したかたち。ついでに同州を探究学習すると、人口は50州で2番目に少なく、州都は人口わずか8000人で50州で最少。しかし、2人の大統領を出し、ラトランド市が花巻市と姉妹都市という。なるほど。
◎岸田首相 自身の在任期間 あす田中角栄元首相と並ぶ | NHK →886日で歴代9位の田中角栄氏に並ぶ。抜くのは確実で、次は932日の橋本龍太郎氏。9月までやれば抜くことになる。在職日数を気にする岸田首相はもう思い残すこともないだろう。
◎旧統一教会を「指定宗教法人」に指定 審議会 全会一致で了承 | NHK | 旧統一教会 →盛山文科相は今だに旧統一教会との関係が表面化し続けているが、逆に疑わしい行為はできなくなっている。指定宗教法人になると文科省は資産状況を把握できる。次は裁判所の解散命令が焦点だ。
◎伊藤忠商事などがビッグモーターの事業引き継ぎへ 契約締結 | NHK | 自動車 →不祥事企業を買収する伊藤忠はリスクを取った。ヤナセが連結子会社で、自動車関連事業に力を入れている。経営力が試される。
◎ネットくじ1等200万円「10本」のはずが「200本」と設定…「当選」者全てに賞金支払い : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →自治体宝くじの信じられない失態。2等以下も大量に設定され、買った人は大きな恩恵を受けた。逆に本来40万本の6等(賞金200円)はわずか10本。はずれた人には返金するという。当選総額は1.35億円。費用は誰が負担するのだろうか。みずほ銀行だろうか。
◎政治学者の五百旗頭真さん死去 元防衛大学校長、震災復興の政策提言:朝日新聞デジタル (asahi.com) →現実的な国際政治学者で、テレビ出演も多かった。朝日新聞の独自記事の模様。
*** 「今日の名言」
◎出光佐三(出光興産創業者。1981年3月7日死去、95歳)
「出光商会の主義の第一は人間尊重であり、第二も人、第三も人である」 「出光商会は構成分子である店員の人格を尊重し、これを修養し、陶冶し、鍛錬し、かくして完成強化された個々の人格をさらに集団し、一致団結し、団体的偉大なる威力を発揮し、国のため、人のために働き抜くのが主義であり、方針である」 「人間なら誰だって過ちがある。ぼくが過ちをやっても咎められず、社員がやると咎められるという法はない。人間らしい過ちは咎めない」 「互譲互助、無我無私、義理人情、犠牲とかはみんな『お互い』からでてきている。大家族主義も『お互い』からでてきている。『お互い』を世界が探しているんだ」 「順境にいて悲観し、逆境において楽観せよ」 「投機で金儲けはやらないと経済原理に反することを言ってきたから、明治、大正、昭和の初め、いわゆる資本主義の全盛時代には極端に苦しんだ。その苦しみが今日の出光をつくった大きな基礎である」 「出光は石油業というような些事をやっているのではない。真の目的は、人間が真に働く姿を示して、国家社会に示唆を与えることだ」
*** きょうの教養 (東大の式辞④平成)
◎1991(平成3)年3月卒業式=24代・有馬朗人(物理学者) 「一自然科学者として、湾岸戦争で航空機やミサイル戦車など戦争技術が格段の進歩したことを大変残念に思います。アインシュタインら科学者や技術者の平和への願いは、第二次世界大戦後の45年間に幾度か無残にも踏みにじられてまいりました。世界には高度技術を必要とする事柄がたくさんあります。環境問題への応用や、身体障がい者、高年齢者のための支援機器類こそ、早急に開発すべきものです。世界の人々は今や武器の高度技術化を図る代わりに、人類の福祉のためにこそ、科学や技術を発展させるべきだと思います」
◎1996(平成8)年4月入学式=25代・吉川弘之(工学者) 「大学紛争は、教育制度、教育の内容や方法、教育環境そのものへの不満やイデオロギーの対立、産学協同への反対などを課題としつつ、より根源的には、価値自由な学問の伝承という本来の教育への回帰を目標としていた」
◎1997(平成9)年4月入学式=26代・蓮実重彦(仏文学者、文芸評論家) 「東京大学が生きた120年は、近代の歴史と重なっており、そこに繰り広げられた様々な出来事は、多くの矛盾を露呈させ、時に混濁した構図に収まりかねません。近代の日本がそうであったように、東京大学も激動の時代にありがちな社会的な葛藤から完全に自由ではなく、少なからぬ過ちを犯しておりますし、できれば記憶から遠ざけておきたいと思うこともないではありません。だからといって、過去の錯誤をひたすら恥じて見せるのは愚かなことですが、そうした事実がこの120年間にまぎれもなく起こっていたことは、率直に認めざるを得ないでしょう」
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***デイ・ウォッチ(7日)
◎日銀総裁 2%の物価安定目標「実現確度少しずつ高まっている」 | NHK | 日本銀行(日銀) “2%の物価安定目標の実現へ着実に歩み” 日銀 中川審議委員 | NHK | 日本銀行(日銀)→日銀首脳陣が18日の会合に向けて、金融政策の転換を示唆する発信を強めている。市場とのていねいな対話ともいえ、円高になった。株価のバブル期超えを追うかのように金融政策もやっと正常化の一歩を踏み出しそうだ。
◎「派閥」存続・新設を禁止 会計責任者逮捕で離党勧告も―自民、党則など改正へ:時事ドットコム (jiji.com) →会計責任者の有罪が確定した議員には離党勧告をするという。連座制を導入すれば済む問題で、これから議論するというから、自民党はどこまでも甘い。時間の経過で世論の関心が過ぎ去るのを待っているようにしか見えない。今回の処分こそ重要だ。
◎共産党を除名処分の元職員 処分取り消しと賠償を求め提訴 | NHK →共産党内の言論の自由を争う訴訟。共産党の体質を測るリトマス試験紙になりそうだ。「まったく不当。除名処分は規約に基づいて厳正かつ適正に行われた。政党は自律的な運営を行うので裁判所の審判権が及ばない」という党本部のコメントはいかにも紋切り型で共産党らしい。
◎志賀原発 能登半島地震の被害箇所 初公開 一部復旧めど立たず | NHK | 各地の原発 →志賀原発がやっと公開された。送電線は一部がまだ使えず、復旧の見通しが立っていない。2011年から運転を停止しているが、地震で再稼働の見通はさらに不透明になった。地震直後の情報公開が二転三転し、周辺道路が使えなくなり避難計画の不備も露呈した。原発はやはり鬼門。
◎名古屋大学、加齢による「中年太り」 ラットで仕組み解明 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →中年太りのメカニズムがラットの実験で解明できたという。対策は「食べすぎないこと。腹八分」だそうだ。そんなことはわかっていると言いたくなるが、科学的には一歩前進か。具体的な応用策を期待したい。
*** 「今日の名言」
◎朱熹(朱子学の創始者。1200年3月9日死去、69歳)
「少年老い易く、学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず(年月が過ぎ去るのは早いもので、自分は若いと思っているうちにすぐ年老いてしまう。それに反して学問はなかなか思うように進まない。だから寸暇を惜しんで勉強しなくてはならない)」 「人は欲を持っているとき、心の強さを失っている。心の強い人は、欲には屈しないものだ」 「物事が達成できないときは、まず自身の志の弱さを責めなさい」 「精神一到何事か成らざらん(精神を集中すれば、何事でも達成できる)」 「大疑は大進すべし、小疑は小進すべし、疑わざれば進まず(学問は疑うほどに進歩し、疑わなければ進歩しない)」 「今日やらなくても明日がある、今年やらなくても来年がある、などと言ってはいけない」 「人の意見が自分と同じか違うかで、喜んだり怒ったりしてはいけない。その時の気分次第で人を使ってはいけない」
*** きょうの教養 (東大の式辞⑤来賓祝辞)
東大総長式辞を収録した「式辞告辞集」は2000年までしかまとめられていない。参考文献の「東京大学の式辞」はこれ以降、来賓祝辞を紹介している。
◎2008(平成20)年4月入学式=安藤忠雄(建築家) 「3000人強の学生は幸福な形で入学したのですが、この式に立ち会われている6000人を超える家族の方々、この日は巣立ちの日だと思って親子関係をしっかり考えてもらう方がいいと思います。親は子を切り離し、子は親を切り離せ。自立した個人を作るために、親は子を切ってほしい。個人の自立なくして、『独創力』や常識を疑う力はなかなか生まれないのではないでしょうか」
◎2018(平成30)年4月入学式=ロバート・キャンベル(文学者) 「教養とは、自分の経験から思いもよらない他者の言葉に触れたり、前時代に起きた事柄に対して思いを馳せ、知ったりする事で自らを変える力を蓄えることだと思います。自分ではない他者の痛みに思いをやる、つまり送り込むことによって、自分のことを振り返る、内省する、前に進む能力を培います。ひっくるめていうと共感、英語で言うエンパシーになります」
◎2019(平成31)年4月入学式=上野千鶴子(社会学者)「あなたたちの頑張りを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれない人々を貶めるためにではなく、そういう人々を助けるために使ってください。そして強がらず自分の弱さを認め支え合って生きてください」
◇
現実の「大学の自治」や「学問の自由」は、絶対的な存在ではなく、時代と政権の制約を受ける。特に国立大学にとって政権による制約は私立大学よりはるかに強い。予算規模などで頂点に立つ東大は、象徴的な影響を受ける。戦前は国策の先兵的役割を担い、式辞にも反映している。憲法が変わった戦後は、政権も寛容で自由度は増した。しかし、2004年からの国立大学法人化で、形式上の独立性は強まっても予算その他で制約が増したという声は根強い。安保政策を転換させた安倍・菅政権は統制を強め、学術会議問題が起き、今も解決されていない。大学や学問の自由は、表現の自由と通底し将来の社会にも大きく影響する。国民のチェックや関心がもっと必要な領域だ。