3月11~15日(教養講座:ソーシャル・シンキングⅠ)
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***デイ・ウォッチ(8~10日)
◎【震災13年】経験を語り継ぐのは “震災を知らない世代” | NHK | 東日本大震災 →忘れてはいけないことがあるが、「3.11」もその一つ。忘れないためには、記録に残し、語り継ぐことが大切だ。震災を知らない世代も動き出している。
◎ アカデミー賞きょう発表 日本からは異例の3作品がノミネート | NHK | 映画 今年度の日本アカデミー賞 最優秀作品賞は「ゴジラ-1.0」 | NHK | エンタメ →日本の3作品がノミネートされている米国アカデミー賞は日本時間11日午前8時に発表される。日本アカデミー賞を受賞した「ゴジラ1.0」は日本映画として初めて視覚効果賞にノミネート。巨大怪獣ゴジラはもはや日本のシンボルだ。「君たちはどう生きるか」「PERFECT DAYS」はどうか。
◎鳥山明さん死去 「ドラゴンボール」「Dr.スランプ」などで人気 「ドラゴンクエスト」シリーズでも | NHK | 訃報 →これほど多く世界各国から悼む声が寄せられる日本人も珍しい。応募漫画が選外となり、駆け出しの編集者が発掘したエピソードも面白い。私は2歳下だが、流行り始めたのが駆け出しの社会人の頃だったので、実はよく知らない。人気は60歳以下で世代格差がある。まる子の声を演じたTARAKOさんも亡くなり、週末の関心を集めた。
◎<独自>自民党青年局近畿ブロック会議後の会合で過激ダンスショー 口移しでチップ渡す姿も 費用は党が支出 – 産経ニュース (sankei.com) →これも自民一強のおごりだろう。党の正式会合で過激ダンスショーを開く神経が信じられない。テーマは「ダイバーシティ(多様性)」だったというから、なおさらだ。青年局長と局長代理が辞任した。
◎宮城野部屋の親方や力士を伊勢ヶ濱一門の別の部屋に移籍の案 相撲協会に報告 | NHK | 大相撲 →御家断絶で、白鵬は失脚に近い。協会幹部に戻ることがあっても、理事長ら重責はありえない。弟子の暴力や白鵬の管理怠慢の実態はまだよくわからない。鬱積した白鵬への反感の気配もあるが、真実はどうだろうか。週刊文春も迫りきれていない。
*** 「今日の名言」
◎東日本大震災の被災者(2011年3月11日発生)
「上に行け。上へ。死にものぐるいで上に行け!」 「見るなーっ」「目の前に患者がいるのに何もできない」(強烈な引き波で患者がベッドごと流されるのを見て) 「これまで、ありがとうな」「お父さん、ありがとう」(津波に妻をさらわれる瞬間に交わした言葉) 「みんなが逃げなくても、逃げろ」 「『夢だよな・・・』と皆が話していました。地球の終わりのようでした」 「『高台に逃げろ』。女性の声で避難を呼びかけていた防災無線が、急に男性に代わり、叫び声を最後に無線は途絶えた。『皆、死んだべや』『病院もだめだ』『終わるときはこんなものか。あっけない』」 「あ、もうこれで死ぬんだとか。恐怖はなかったんですけど、人間の最期って、あっけないものだと思いました」(車に閉じ込められ、水が車内にどんどん侵入してきて) 「助けられなければ、俺、この人の顔を一生忘れられないんだろうな」 (漁業用タンクに掴まりながら女性に手を差し伸べて)
*** きょうの教養 (ソーシャル・シンキング①)
新著「ソーシャル・シンキング」は、日本の企業人の奮起を願って書いた。日本の企業人は視野が狭く、教養がないと指摘される。「もっと視野を広げよう」「自分の頭で考えよう」がメッセージで、「頭の中に仕事とは別の空間を創れ」と提案している。各章ごとに内容の一部を2週間に分けて紹介する。
◎序章「山田洋次監督を生んだ実践知」
「男はつらいよ」で有名な山田洋次監督は、敗戦で満州から引き上げ、山口県で暮らした。学費を稼ぐためにちくわなどを売る行商をしていたが、なかなかうまくいかない。そんな時、おでん屋のおばさんが「あんた中学生かい」と聞いた。山田さんは「そうです。学資を稼いでいます」と答えると、「そう、みんな置いておきな。明日から売れ残ったらいつでもおいで」と言ってくれた。山田さんは涙が止まらなかった。
おばさんと会うことは二度となかったが、山田さんは人の思いやりを知り、生きていく指針のようになった。おばさんがわかるような映画作りをしたいと今でも思っている。おばさんは山田さんの境遇を察知し、自分の商売も考えて瞬時に手を差し伸べた。山田さんは人間社会に欠かせない本質を感知し、魂に迫る経験として大切にしている。どちらも地に足のついた実践知と言えないだろうか。
「暇と退屈の倫理学」(国分功一郎著)は、哲学者スピノザの言葉を引用して理解することの意味について、「大切なのは理解する過程である。過程が人に理解する術や生きる術を獲得させる。過程を無視した時、公式の奴隷となる」と書く。日本企業の低迷は「オーバー・アナリシス、オーバー・プランニング、オーバー・コンプライアンス」(過剰分析、過剰計画、過剰規制)に陥っているからだと言われる。形式を重視しすぎているという指摘である。大切なことは、地位や肩書や計画という「形」ではなく、地に足をつけて生きているかどうか、魂がこもった計画かという「実」にある。日本の企業や企業人は自信を持って「実」を追求しているだろうか、「実」をどこまで備えているだろうか。そんな問題意識で本書を書く。
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***デイ・ウォッチ(11日)
◎アカデミー賞「君たちはどう生きるか」「ゴジラ-1.0」 日本の2つの作品が同時に受賞 ノミネートは3作品 | NHK | 映画 →3作品が候補になっていたが、2作品が受賞した。2009年以来という。「君たちはどう生きるか」は手描きアニメーション、「ゴジラ-1.0」はハリウッドのようにお金をかけない特撮が特徴だ。漫画の鳥山明も含めて、日本文化の世界的な影響は大きくなっている。経済大国から文化大国への進化と考えられる。注目の作品賞は原発開発を主導した米物理学者の伝記映画「オッペンハイマー」が受賞。監督賞など7冠の圧勝だった。日本公開は今月末。
◎実質GDP、年0.4%増に上方修正 2期ぶりプラス、企業投資が好調―昨年10~12月期改定値・内閣府:時事ドットコム (jiji.com) →昨年10~12月は速報値でマイナス0.4%(年率換算)だったが、改定値でプラス0.4%になった。2期ぶりのプラス成長。設備投資が大きかったという。肝心の個人消費は低迷しており、春闘での賃上げが焦点。
◎ローマ教皇 ウクライナめぐり「白旗」発言 教皇庁は釈明 | NHK | ウクライナ情勢 →ローマ教皇の失言か、確信犯か。「最も強いのは国民のことを考え白旗をあげる勇気を持って交渉する人だ」と述べた。一般論なら正論とも思われるが、降伏を促したようにもとれウクライナが反発した。去年8月には帝政ロシアをたたえるような演説をしており、ロシア寄りという見方も出ていた。本音はどこに。
◎原発事故13年 規制委委員長「原子力に100%の安全はない 」 | NHK | 福島第一原発 →「原子力に100%の安全がない」は、その通りだ。問題は小数点以下の確率で事故があり、その影響が末代にまで残るという原子力の特殊性だ。日本は地震大国という現実がますます切実になっている。地元住民は甚大な影響を受けるが、推進関係者は「とにかく再稼働」と思考停止状態だ。
◎国際刑事裁判所 新たな所長に赤根智子裁判官を選出 日本人初 | NHK | オランダ →日本人の所長は初めて。選挙で選ばれた。赤根氏は愛知県出身で、函館地検検事正などを歴任し、6年前から同裁判所の裁判官。ロシアがウクライナから子どもたちをロシア側に移送したことをめぐり、戦争犯罪の疑いでプーチン大統領に逮捕状を出し、逆にロシアから指名手配を受けている。
*** 「今日の名言」
◎孫文(中華民国の政治家。1925年3月12日死去、58歳)
「信念ができると、力が生まれる」 「一つ失敗するごとに一つ進歩する」 「世間でいう成功者とは、一時の栄えに過ぎない。志と信義を持つ者こそが、万世に渡る功績を成す」 「革命における破壊と建設は相互不可分なものである」 「先知先覚者は創造する人、後知後覚者は宣伝する人、不知不覚者は実行する人である。この三種の人々が助け合い、協力して人類の文明は進歩する」 「人生すべて七転八倒だ。大切なことは慌てないこと。絶望さえしなければ必ず成就する」 「天下は為政者のためではなく国民のためにある」 「強権に抵抗してこそ、我々は天にしたがって行動することになる」 「東方の文化は『王道』であり、西方の文化は『覇道』である。『王道』は仁義道徳を主張し、『覇道』は功利強権を主張する。日本民族はすでに一面、欧米の覇道文化を取り入れ、他面、アジアの王道文化の本質をもっている。今後日本が西洋覇道の犬となるか、東洋王道の守り手となるか。日本国民が慎重に考慮すべきことだ」 「日本と中国が争ってはいけない」
*** きょうの教養 (ソーシャル・シンキング②)
◎第1章「日本の凋落 自覚力を磨く」
日本はGDPでドイツに抜かれて4位になった。人口が少ないドイツとの逆転は衝撃だ。バブル期の1990年前後、日本は各種統計で先進国G7のトップだったが、今はほとんどが最下位だ。アジアで比べても、韓国の3倍以上あった平均年収は、今や抜かれている。アジアでもっとも豊かな国とはもはや言えない。
「日本企業の保守的な行動が最大の要因」と指摘する研究者がいる。今の経営者は「投資より、リストラ」で育った世代で、大胆な決断をした経験がない。賃上げが焦点になっているが、政府から尻を叩かれる官製春闘の情けなさだ。「今は企業でガバナンス官僚が幅をきかせている」という嘆く経営者もいる。起業を支援する元大企業経営者は「今の大企業は失敗を認めない。スタートアップと伴走できない」と指摘する。
「マクナマラの誤謬」という言葉がある。若い頃から秀才の誉れ高く、フォード社長から米国の国務長官に就任したマクナマラが、ベトナム戦争の指揮を取った。相手の戦死者数を重視して激しい攻撃を加えた。しかし、自由と独立を標榜するベトナム人の魂を理解できず、敗北した。日本企業も数字重視の似た失敗を犯していないか。
世界各国との比較調査で、日本の企業人は学びの時間が最低水準だ。若者の意識調査でも夢を持っている人や自分で社会を変えられると思っている人が少ない。無気力な低体温社会になっている。どれだけの人が自覚しているだろうか。日本はもはや先進国からすべり落ち、中進国である。円安で海外旅行も満足にできないようになった。海外ではラーメンを食べるのに何千円も払わなければならない。まず現状を自覚したい。脱却するために頭を切り替える必要がある。「壺中天あり」という言葉がある。心のなかに別の空間を創ろうという意味に通じる。頭と職場にまずは異空間を創ろう。
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HPにアップしました→ 3.11の記憶 天声こども語紀行 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)
***デイ・ウォッチ(12日)
◎下村氏、政倫審出席へ 橋本氏ら3人、14日弁明―還流復活の解明焦点・裏金事件:時事ドットコム (jiji.com) →参院の3人から新事実が出る可能性は小さいが、下村氏には野党側の期待も大きい。森喜朗元首相と折り合いが悪く、現金を持参して土下座したが断られたという報道もある。森元首相の関与や裏金廃止が覆った経緯の証言が注目される。「怨念」が政治を動かすか。
◎コストコ日本法人に勧告 総菜製造巡り不当減額や返品 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →公取委はここでも頑張っている。優越的な地位を利用し、下請けにしわ寄せしたいかにも悪質事案。ここ2年で納入業者31社に計3500万円負担させたというが、氷山の一角ではないか。下請けの賃上げを阻んでいるともいえ、典型的な弱いものいじめだ。
◎メルセデス・ベンツ日本法人に12億円余の課徴金 過去最高額 | NHK | 自動車 →こちらは消費者庁の摘発。別のオプションに加入しないと機能しないのに「標準装備」と記載されるなどしていた。景品表示法違反の課徴金では最高額という。こちらは富裕層に不利益を与えていたことになる。
◎春闘 日本製鉄 労組の賃上げ要求額上回る異例の回答方針固める | NHK | 春闘 →労組の要求を上回る異例の回答をするという。労組の面目が立たないが、日本製鉄はUSスチールの大型買収を決断し、企業自体が元気だ。橋本社長は経済界で注目を集めており、次期経団連会長候補の一人という見方もある。
◎東大発イライザ、日本語対応の高性能生成AI 企業に提供 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →スタートアップのイライザは、日本語AIに特化し、処理能力の規模でNTTやNECを上回るという。曽根岡侑也代表は2017年に東大大学院を卒業し、AI研究で著名な松尾豊教授の研究室で働き始めた。今後、どこまで飛躍できるか。
*** 「今日の名言」
◎江崎玲於奈(ノーベル物理学賞受賞者。3月12日は99歳の誕生日)
「自分らしい生き方をするためには、自分を主張し、自分を守るために戦うことを避けてはいけない」 「科学やビジネスに進歩をもたらすのは、飽くなき挑戦です」 「学問を知っている人は、学問を愛する人に及ばない。学問を愛する人は、学問を楽しむ人に及ばない」 「優れた科学者はあらゆる視野を兼ね備えた教養人です」 「挑戦した結果が失敗であれば、新しい方向へ頭を切り替える利点が発生します。私自身も失敗を繰り返して学ぶ人生を送ってきました」 「新しい分野を見つければ、二流の人間も一流の仕事ができる」 「ノーベル賞を取るためにしてはいけないことが5つある。従来の行きがかりに囚われすぎてはいけない。他人の影響を受けすぎてはいけない。無用なものは全て捨てなければならない。戦うことを避けてはいけない。絶対的なものを信じすぎてはいけない」 「人間が成功する条件は、タレント(才能)、ハードワーク(努力)、チャンス(運)だと思う」
*** きょうの教養 (ソーシャル・シンキング③)
◎第2章「イノベーターシップの確立 自由力を尊ぶ」
本書はライフシフト大学(5ヶ月の民間学び直し機関)での学びをきっかけに出版したが、徳岡晃一郎・同大理事長は経営の形態を3つに分ける。第1は「マネジメント」で、組織や戦略を適切に管理する。第2は「リーダーシップ」で、時代に合わせて改革する指導力が重要だ。第3が徳岡氏らの造語である「イノベーターシップ」で、よりよい社会を創る視点が加わり、現在最も求められているとする。かつては目標管理の「MBO」(マネジメント・バイ・オブジェクティブズ)が叫ばれたが、今は思いを生かす「MBB」(マネジメント・バイ・ビリーフ)が重要という考え方だ。イノベーターシップには、未来構想力、実践知、突破力、パイ型ベース(社会への関心や知の結合)、場づくり力という5つの力が必要になるとしている。
例えばホンダとトヨタの創業者である本田宗一郎と豊田喜一郎。いい自動車を作りたいという強烈な思いがあり、数々の困難を克服して世界的な自動車メーカーを作った。遠州出身の2人の軌跡をみると、確執も繰り返しながら発展してきた。今こそ強い思いが必要だが、「時代が違う」と言ってしまえば、思考停止になる。知識創造経営で知られる野中郁次郎氏は宗一郎を「身体で考える知的バーバリアン」と呼んだ。今、そうした経営者が待望されている。
バブル崩壊後、電機業界は総崩れ状態となったが、ソニーグループはいち早く立ち直った。人事担当役員は「企業の成長は突き詰めると多様な『個』の成長の総和ではないか。会社は社員の管理をやめ、社員自ら学ぶカルチャーを定着させ自律的な成長を実現したい」として、個人の成長を支援する各種施策を始めている。ドラッカーは企業の役割として、使命を果たす、働く人を生かす、社会貢献をあげている。個人の思いや志を起点とした新しい成長サイクルが求められている。
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***デイ・ウォッチ(13日)
◎大手企業、2年連続大幅賃上げ 自動車、電機で満額回答相次ぐ―日鉄はベア要求超え・24年春闘:時事ドットコム (jiji.com) →春闘は満額回答が主流だった。日本製鉄は組合要求3万円に対し3万5000円という異例の回答。中小企業への波及が課題だが、低迷していた賃金の上昇、日銀のゼロ金利解除の見通し、株価のバブル期超えなど「失われた30年」を脱却する動きが相次ぎ、日本経済は新しいステージに入っている。この流れを定着させるには民間企業の積極的な決断と活動が不可欠だ。
◎【詳細】「スペースワン」のロケット「カイロス」が爆発 打ち上げに失敗 和歌山 串本町 | NHK | 宇宙 →民間のベンチャー企業の挑戦というから応援したくなるが、株主は大企業で、社長は経産官僚OBというからベンチャー色は今ひとつ。世界のロケット市場は成長分野で民間が活躍している。日本はこれまでJAXAのみだったが、官民の競争による飛躍を期待したい。
◎ごま油の価格でカルテルか メーカー4社に公取委が立ち入り検査 | NHK | 東京都 →公取委が引き続き頑張っている。今回はごま油で、カルテルで同調的な値上げがあったという。昔から続いていた模様だ。コストコの被害者は納入業者だが、今回は消費者。広く薄い負担になると、悪質感が減るから不思議だ。
◎自民過激ダンスショー、男性参加者が女性の尻2度たたく 動画で確認 歓声や笑い声も – 産経ニュース (sankei.com) →自民党青年局の過激パーティーは、産経新聞の独自ダネでスタートしたので、その後も熱心に追っている。参加者が女性の尻を叩いたのが新事実。いつもは自民党にやさしいが、今回はキビシイ。
◎オスプレイ、14日以降再開 米軍と陸自機、地元反発:時事ドットコム (jiji.com) →オスプレイはかつて「未亡人製造機」(ウィドウ・メーカー)と言われるほど事故が多かった。複雑な構造なので、それだけ事故の可能性も高く、地元は反発している。遠からずまた事故は起きるだろう。
*** 「今日の名言」
◎スティーブ・ホーキング(英国の理論物理学者。2018年3月14日死去、76歳)
「足元を見るのではなく星を見上げること。絶対に仕事をあきらめないこと。仕事は目的と意義を与えてくれる。もし幸運にも愛を見つけることができたら、それは稀なことであることを忘れず、捨ててはいけない」 「私はALSと診断された時、あと2年の命と言われた。あれから45年、元気にやっている」 「人は、人生が公平ではないことを悟れるくらいに成長しなくてはならない。そして、自分の置かれた状況で最善を尽くすべきだ」 「人生はできることに集中することが重要だ。できないことを悔やむべきではない」 「ユーモアがなければ、人生は悲劇だ」 「私の目標はシンプルで、宇宙を完全に理解すること」 「神は存在するかもしれないが、創造主抜きでも、科学で宇宙を説明することができる」 「完全な人工知能が開発されれば、人類は終焉を迎える可能性がある」 「人類が地球外生命体と出逢えば、大惨事になるだろう。彼らは我々よりもずっと進歩している。地球の歴史上、進歩した人種がより原始的な人々と会うと、めでたい結果にはならなかった」
*** きょうの教養 (ソーシャル・シンキング④)
◎第3章「企業倫理の再構築 規範力を取り戻す」
「コーポレート・ガバナンス」という言葉が流行したが、形式を導入して統治しようとしても不祥事は起きる。代表例は東芝だ。企業統治の先進企業と言われたが、歴代社長の暴走で迷走し、解体状態になった。関西電力は関西を代表する企業だが、原発立地で役員が金品を受領していたことが判明。経営悪化で返上した役員報酬を闇で補填していこともわかった。どんなに形を整えても不祥事が後をたたない。外国にも似た事例がある。人間への洞察、規範に関する考察が必要だ。
企業倫理に関する理論では、結果を重視したベンサムやミルの「功利主義」、道徳や人間の尊厳を重視するカントらの「義務論」、アリストテレスやロールズに代表される公正さや弱者尊重の「正義論」、人間の善き生き方を考えるアリストテレスの「徳倫理」、不祥事を前提とした「行動倫理」などがある。対策として、法律家が主導し外部から統制するコンプライアンス型、経営者がリードし理念を内面化する価値共有型がある。後者は「共通価値の実現=CSV(クリエイティング・シェアード・バリュー)」を唱えたハーバード大のマイケル・ポーターが著名だ。
経営理論は欧米からの輸入が多いが、日本の倫理思想も重要だ。二宮尊徳の報徳思想は代表で、「至誠、勤労、分度、推譲」が中心的な教え。積み重ねれば大きくなる「積小為大」、徳には徳で報いる「以徳報徳」などの言葉もある。豊田佐吉、渋沢栄一、松下幸之助、土光敏夫らに影響を与え、稲盛和夫もこの流れにある。利他、感謝、協調性といった言葉を好み、長期的視点の重視、関係者の利害を大切にする共通点がある。企業倫理は社会の規範力と深く関係している。組織と個人のあり方について、宗教、神話、社会道徳、価値観などの観点から深く考察する必要がある。
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***デイ・ウォッチ(14日)
◎同性婚認めないのは憲法違反 札幌高裁 2審での違憲判断は初 | NHK | ジェンダー →全国で6件の訴訟があるが、初の高裁判断は「違憲」となった。判決は婚姻の自由を保障した憲法の条文について「人と人との間の自由な結びつきとしての婚姻も定める趣旨を含むものだ。同性間の婚姻も異性間の場合と同じ程度に保障していると考えるのが相当だ」と踏み込んだ。これで7件の判決が出たが、3件が「違憲」、3件が「違憲状態」、「合憲」は1件のみ。同性婚に関する司法判断は定着しつつある。
◎参議院政倫審 自民党 安倍派の世耕氏 西田氏 橋本氏が弁明と質疑 政治資金問題 | NHK | 政治資金 →参院の政倫審も予想通りの展開。世耕氏は肝心のこと以外は明確に答えるのに核心になると「知らない」を連発。安倍派で重要閥務に関係していない西田氏は「誰も知らないというのでは私は納得できない」と怒ったが、真相解明にはつながらない。18日の下村氏が次の焦点。
◎次期戦闘機 自公両党が15日に第三国への輸出容認で大筋合意へ | NHK | 防衛省 →公明党が「踏まれてもついていく下駄の雪」なのか、池田大作創価学会長なき後に平和政党をアピールしたからいいのか。日英伊には共同開発当初からコスト削減のため輸出は当然という暗黙の合意もあったようだ。輸出容認でどの程度の影響があるのかも含めて真相が今ひとつわからない。
◎「TikTok禁止法案」米下院可決…中国報道局長「恣意的に抑圧、強盗の論理だ」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →本当に安全保障上の問題はあるのだろうか。中国当局が「誰でもスパイ」と言えるような強権的な情報収集の姿勢を強めているので、米国も過剰に反応しているようにみえる。米中指導者の対立は、善良な世界の人達にとって迷惑でしかない。
◎日本の「豊かさ」24位 世界で格差拡大と警鐘―国連:時事ドットコム (jiji.com) →日本は2つ順位を下げた。上位は北欧各国が並んでいる。韓国は19位で日本より上だ。最近は各国の格差が縮小する傾向だったが、今回は拡大した。
*** 「今日の名言」
◎吉本隆明(詩人、評論家。2012年3月16日死去、87歳)
「いいことを照れもせずにいう奴は、疑ったほうがいい」 「激動のときに自分がこう考えていると、できる限り率直に公開しよう。自分の身一つで、吹きっさらしのなかに立つような孤独な感じだが、恐れず公言しよう」 「自分自身で見聞きしたり、確認したりしたことがない社会的な評価や風評は、一切信じるな」 「学校に期待する親は、間違いを犯している。学校は適当にさぼりながら何とか卒業するくらいでもいい」 「子どもの成績の良し悪しにかかわらず、親は子どもをしっかり観察し、自分に合った学習方法を見つけるのを手伝ってやることが大事だ。なぜなら、学校を卒業し、実社会に出たとき、真の教育が始まるのだから」 「人間関係がいいかどうかを判断する基準を持っている。お互いが言いにくいことをきちんと言えるかどうかだ」 「東京大学の先生だから教養があるかというと、全然違う。東大の先生は知識があるに決まっているが、それは『専門的に』あるということ。教養とは違う。教養は学校や学歴に全然関係ない」 「育ちの悪さは、家庭の経済力ではなく、母親や母親代理による乳児のときからの扱い方で決まる」
*** きょうの教養 (ソーシャル・シンキング⑤)
◎第4章「自然と人間 限界力を認める」
人類は自然の中で生きてきた。自然に働かきかけ、時に征服しようとし、大きな自然災害にも見舞われた。ダーウィンの進化論を日本に広く知らせた生物学者・丘浅次郎は「生物は優位さが弱みに転化して滅びる。人類もいずれ全滅を免れない」「人類は自然を征服したと思っているが、自然からの復讐もあるだろう」と書いている。核やAIは人類の生存に関わる問題だ。アインシュタインの誤解からアメリカのマンハッタン計画が始まり、日本に原爆が投下された。核兵器の拡散に悩み、平和利用の原発は地震で大惨事を起こした。最近の気候変動は、人類総体として存続の危機を感じる初めての事態となっている。
問われているのは人間のあり方だ。NHKの「映像の世紀 バタフライエフェクト」は、戦争を取り上げることが多い。影の主役はヒトラーで、2人の英国人と対峙した。一人は映画「独裁者」で厳しく批判したチャップリン。もう一人はチャーチルで、「我が闘争」をいち早く読んで差別主義者と見抜き、徹底抗戦を貫いた。最終的にナチス・ドイツを破った。番組ではゼレンスキー大統領が英国議会向けにチャーチルの演説を引用した言葉で支援を訴える場面を流した。人類はどこまでも戦う動物なのだろうか。
人間を考えるうえで、文学や小説は価値がある。井伏鱒二は日本人には珍しくユーモアを内包し、市井の人々である「常民」を描き続けた。常民は時代の流れに順応するが容易に変わろうとしない。しぶとい生活人であり、どの国にも常民が分厚く生きている。井伏で異質な作品が、故郷広島に落とされた原爆を扱った「黒い雨」である。広島に住む常民の日常を淡々と描くことで、原爆の恐ろしさを世界に伝えた。
発明家のフラーは「宇宙船地球号」という言葉をつくった。スティーブ・ジョブズはフラーの残した「ステイ・ハングリー、ステイ・フーリッシュ」という言葉をスタンフォード大学の卒業式で紹介し、注目を集めた。宇宙船に乗っている人類は地球の限界を抱えた活動をしているが、おごった目には限界が見えない。人類は限界を知らなければならない。自然と人類の共存する構想や活動が求められている。(後半の5回は3月25日から掲載予定です)