3月18~22日(教養講座:報徳思想と現代)

2024.03.22メルマガ

~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年3月18日号(転送禁止)~~~

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***デイ・ウォッチ(15~17日)

【速報中】ロシア大統領選 プーチン氏当選へ 国営メディアなど | NHK | プーチン大統領 →ロシアは大統領を選挙で選ぶので「民主主義国」を自認している。しかし、政敵を殺害し、不都合な候補者を排除するようではとても民主主義国とはいえない。反対派の抗議行動も報道されている。任期は2030年までだが、万物は流転する。いずれ本当の民主主義の国になると信じたい。

日銀、マイナス金利解除へ 賃上げ拡大で17年ぶり利上げ – 日本経済新聞 (nikkei.com) →有料記事。日経新聞が16日の朝刊で前打ちした。書き出しの文章は「見通しになった」で終わっているので、客観状況から日経記者が認定したという趣旨。仮に間違っていても日銀は抗議しにくい。「日銀が方針を固めた」と書けば、日銀は「固めていない」と抗議しやすい。「見通し」を使うのは新聞の重要テクニックの一つ。金融政策決定会合は18、19日だが、記事通りになる可能性が高そうだ。

政治資金パーティー問題 “関係議員の処分 結論を”首相が指示 明らかに 自民党大会 党則の改正点は? | NHK | 政治資金 →自民党大会では地方からの突き上げが厳しかった。地方では支持者らから連日批判されているのだろう。永田町の鈍感ぶりが浮き彫りになり、処分に突き進む。きょうは政倫審での下村博文氏の証言が焦点。森元首相が槍玉に上がるかどうか。

北陸新幹線の金沢・敦賀間が開業 東京駅発の最初の列車が到着 | NHK | 鉄道 →福井県・石川県南部にとって念願の新幹線開業。観光活性化や復興への好影響が関心事だ。近くなる東京方面へ重心が移り、大阪や名古屋とは疎遠になりそうだ。大阪からの特急「サンダーバード」、名古屋からの同「しらさぎ」は今後、敦賀止まり。沿線では名残を惜しんだが、こちらの影響はどうか。

ホンダと日産 EVなど強化へ 包括的協業に向け覚書締結を発表 | NHK | 自動車 →EVシフトを明確にしたホンダだが、GMとの提携を解消し、今度は日産と手を組んだ。これで日本の自動車業界は、トヨタグループとホンダ・日産陣営になる。テスラなど新興勢力が優勢のEVは、一時の伸びがなくなっているが、長い目で見たら成長する主戦場だろう。電池とソフト技術がカギ。

マクドナルドでシステム障害 一時営業休止、海外でも – 日本経済新聞 (nikkei.com) 米マクドナルド「心よりおわび」世界中の店舗でシステム障害 | NHK | IT・ネット →効率的で巨大なシステムの脆弱性が露呈した。企業や都市のインフラに共通する特徴だ。蝶の羽ばたきのような小さな現象が全世界に波及する「バタフライ・エフェクト」にも似た現象だ。

*** 「今日の名言」

◎藤原銀次郎(王子製紙初代社長、日本の製紙王。1960年3月17日死去、90歳)

「第一に知恵、第二に涙、第三に勇気である」 「仕事を自分のものにせよ。仕事を自分の学問にせよ。仕事を自分の趣味にせよ」 「人に使われず、仕事に使われよ」 「時々、必ず大息を抜け」 「世の中は煎じ詰めれば、成功競争である」 「この道一筋を貫け」 「新しいアイデアは大切だが、それを実行することはさらに大切である」 「ギブ・アンド・テイクは人間社会の鉄則である」 「人間、欲のない人間になったらおしまいだ。欲の出しすぎはよろしくないが、欲のなさすぎも困りものだ。欲がないのは大変きれいに聞こえるが、骨を折ることが嫌い、精を出すのが嫌い、つまり怠け者の証拠である」  「事業は人なり。これは昔から変わらぬ私の信念である。80余年を振り返って、事業が興るのも衰えるのも、人次第であると信じる念はいよいよ強くなっている」 「覚なくてもよいことをたくさん覚えているから、覚えていなければならないことを忘れてしまう。入用でないことは皆忘れてしまえばよい」 「偉くなったらバカになる修行をせよ」

*** きょうの教養 (報徳思想と現代①) 

現代日本では欧米の思想が優位に語られがちだが、日本発の思想も忘れてはならない。二宮尊徳に起源を持つ報徳思想もその一つ。大日本報徳社の鷲山恭彦社長(元東京芸大学長)が、昨年11月の全国報徳サミットで話した基調講演から紹介する。今日の諸問題を解決していく上で示唆を与えている。なお、大谷翔平選手らが卒業した花巻東高校は報徳思想を教育理念の一つにしており、スタンフォード大学に進む佐々木麟太郎選手は二宮金次郎像の前で取材を受けた。センバツ高校野球に出場する報徳学園(兵庫)も校名通り、報徳思想の学校だ。

◎尊徳・渋沢・栗山

報徳思想の威力を一番よく知っていたのが渋沢栄一で、彼の言葉を集めたのが「論語と算盤」だ。尊徳は「経済のない道徳は寝言、道徳のない経済は犯罪」という意味の言葉を残しているが、渋沢は道徳と経済のはざまに立志、企業、持続、成功、義侠、無私、忍耐などを位置づけ、経営の奥義を語っている。尊徳の思想は「富国安民」だが、日本は戦前、「富国強兵」の道を歩み、戦争で悲惨な結末を招いた。渋沢は満州事変のあった1931年に亡くなったが、中国や東南アジアへの侵略を「是」としていなかっただろう。

WBCで優勝監督となった栗山英樹さんと対談した。日本ハムの監督時代、選手たちに渋沢の「論語と算盤」を読んでもらっていたという。誠実な道徳的振る舞いと、自分だけでなく他者の利益も考える渋沢の経営論が選手の育成、組織作りにつながる人間教育の精髄を見ていた。技術面も大切だが、心を耕すことも重要だ。尊徳は「新田開発」を奨励したが、より大切にしたのは「心田開発」で、人の心を大切にした。江戸時代の尊徳の思想が渋沢、栗山に受け継がれている。報徳思想の強い生命力を感じる。

尊徳の思想は実践的な挑発力を持っている。「道徳と経済」「新田と心田」「天道と人道」といった二項対立から中点を求める思想が提起されている。考え方の基盤は「万象具徳」「以徳報徳」「積小為大」「一円融合」と四文字熟語で言い表すことができる。あらゆるものに徳が備わり、徳には徳で報いる。すべてに徳があるという考え方は神道から来ている。八百万の神々から出たもので、キリスト教イスラム教のような一神教からは出てこない。一神教は自分以外の正しさを認めないから、弾圧や排除を生む。「万象具徳」の世界は価値の多様性を前提とし、極めて民主主義的な考え方だ。「徳」は、実践や体験から自然と醸し出される人生のエキスのようなものではないか。学び、実践し、身を修めてことが、徳に近づいていく道なのだろう。

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***デイ・ウォッチ(18日)

【詳しく】自民党 下村博文氏 キックバック継続の経緯「本当に知らない」衆議院政治倫理審査会(政倫審) | NHK | 政治資金 →真相解明に向けて淡い期待もあった下村氏の政倫審の質疑だが、全くの不発だった。安倍派幹部らは全員、肝心な部分だけ「記憶がない」という。次は証人喚問。「政治とカネ」で不正があれば証人喚問されるという前例にはなるが、解明が進むとは思えない。真相解明には、検察審査会、他の証拠と合体した地検特捜部の捜査くらいしかない。

プーチン氏、記者会見で「民主主義といえるのか」と問う米記者に色をなして反論 – 産経ニュース (sankei.com) →プーチン大統領が米国記者に「ロシアは民主主義国か」と問われた。「米国では大統領選の候補者に司法の力を使って政権が圧力をかけている。お笑いぐさで、米国の恥だ」と反論したが、この現実をどう考えるべきだろうか。笑えない光景だ。

政治資金問題 岸田首相 “議員処分に加え再発防止策の具体化加速する必要” | NHK | 政治資金 →政治とカネの焦点に処分問題が浮上してきた。自民党内で地方の反発が強く、4月の国政補選を前にけじめをつける思惑もある。厳しい処分をすれば、安倍派実力者らの反発も予想されるが、そうした内向きの姿勢が批判を受けている。岸田首相得意の「突破性決断症」で乗り切るのか。

池江璃花子、3大会連続の五輪代表に内定 100mバタフライ:朝日新聞デジタル (asahi.com) →白血病を克服した池江さんは、日本人の記憶に残るアスリートだ。パリ五輪でのメダルは簡単ではないようだが、努力の過程には再び注目が集まるだろう。

伊集院静さんのお別れの会 親交のあった人たちが別れ惜しむ | NHK | 文芸 →「大人の流儀」で知られる伊集院さん。親交のあった人たちが味わいのある言葉で思い出を語っている。

*** 「今日の名言」

◎アーサー・C・クラーク(英国のSF作家、代表作「2001年宇宙の旅」。2008年3月19日死去、90歳)

「21世紀を迎えるころ、小さなコンピューターが家庭に入り込み、銀行の預金状況や劇場の予約など、複雑な現代社会で生きていくために必要なありとあらゆる情報を提供してくれるようになるだろう」 「インターネットは人間の歴史の中で最も偉大な革命であろう」 「人間にとっていちばん大切な資質は、想像力と実現力、そして愛である。想像力はすべてにおける第一歩であり、これがなければいかなる発展もあり得ない」 「私は未来を予言しようと試みたことは今までに一度もない。私が試みたのは、既知の事実に基づいて、これから起こりえることを客観的に予測するということだ」 「高名で年配の科学者が可能であると言えば、その主張はほぼ間違いなく正しい。不可能であると言った場合は、その主張はまず間違っている」 「地球が生まれて以来、約一千億人のヒトが地球上に足跡を残した。銀河系の星の数もまた一千億個。地上に生を受けた人間一人あたりに一個ずつ、この宇宙では星が輝いているのだ」

*** きょうの教養 (報徳思想と現代②) 

◎積小為大・一円融合

「積小為大」(せきしょう・いだい)は、小さいものを積み重ねると大きくなるという意味である。量の蓄積が新しい質を生む。歌人の佐々木幸綱さんによると、和歌を苦労してたくさん作り、仕組みがわかってくると、思いがけない名歌が生まれる。大谷翔平選手が卒業した花巻東高校は報徳が校是で、積小為大を実践していると思っている。人間の能力に深い信頼を置き、力を無限に発展させる哲学といえる。一円融合は、対立を必ず円の中に入れて考えようという思想だ。すぐに一致点が見出せなくても、円の中に入れておけば敵対的にはならない。円の中で熟議を重ね、知恵を絞って一致点を見出せたなら、素晴らしい創意工夫になり、新しい発展の基盤になる。世界を考える重要な観点を示している。

ロシア・ウクライナ戦争は、侵略したロシアが悪いと誰しも思う。一円融合の観点から見ると様々な問題が見えてくる。米国とロシアは蜜月だったが、2008年に米国がウクライナなどのNATO加盟を提案したことが転機になる。独仏が反対して棚上げになったが、プーチンに不信と怒りを呼び起こし、追い込んだ。1989年ベルリンの壁崩壊で東欧社会主義国とワルシャワ条約機構はなくなったが、NATOは残り、加盟国を16か国から30か国に増やした。地政学上中立にしておくべきウクライナやジョージアのNATO加盟まで持ち出した。それがウクライナ・ロシア戦争を呼び起こした。軍事同盟の持つ深刻な問題がここにある。

一円融合を実践したのが、ドイツのメルケル首相で、ロシアとの友好関係に意を尽くした。第二次世界大戦でロシアを侵略して2000万人も殺した歴史があり、ロシア関係は慎重だった。意見が違っても円の中に入れ、共通点を見出す努力を続けた。メルケル退陣とともに戦争が始まった。ウクライナとロシアの国民は緊密な関係にあったが、戦争になれば、憎しみの連鎖が生まれる。今後、何百年も友好関係はないだろう。戦争の終わりも見えず、壊滅寸前まで行かないと決着はつかないようだ。メルケル政権が健在なら、戦争にならなければ、数十万の戦死者は皆生きており、1000万近い他国への亡命者もいない。最大の安全保障は敵をつくらないことだ。どんな場合も円に入れて考え、敵をつくらないという一円融合の教えは、現代においてこそ実践されるべき生きた思想である。

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***デイ・ウォッチ(19日)

【詳しく】日銀 マイナス金利政策を解除 17年ぶり金利引き上げ 異例の金融政策を転換 金融政策決定会合 | NHK | 日本銀行(日銀) →アベノミクスの異次元緩和を転換した。日経新聞の事前報道の通りとなった。スムーズな決定で、日銀は市場との対話に成功した。しかし、茨の道はこれから。政府は国債を日銀に引き受けさせて借金をしまくり、日銀は株を買いまくった。これから政府は借金を返済し、日銀は株を売らざるを得ないが、容易ではない。安倍一強による経済の負の遺産は異次元模緩和の修正だが、政治の負の遺産は旧統一教会と「政治とカネ」。改めて安倍元首相の罪深さを感じる。

「日本版DBS」法案 国会提出 性犯罪歴の照会 最長20年などが柱 | NHK | 教育 →教育関係者の性犯罪やそれに近い行為は、連日のように報道されている。子どもたちを守ることが第一の目的だが、犯罪の抑止力もありそうだ。プライバシーに関わるので、運用にも関心が集まる。

新たなマイナンバーカードのデザイン案公表 性別表記を削除 | NHK | マイナンバー →今のマイナンバーカードは弱々しくみすぼらしいので、運転免許証のようにがっちりして欲しい。今回のデザインはどうだろうか。性別表示をなくし、生年月日を西暦にした。保守派が怒りそうだと思うのは考えすぎか。

立民「女性宮家」創設“緊急的課題”論点整理を衆院議長に提出 | NHK | 皇室 →これも保守派が怒りそうなテーマ。しかし、皇室の現状を考えれば、何らかの手を打たなければ、天皇制が存続しない可能性もある。それも一つの選択といえるが、憲法1条で天皇制のあり方は国民の総意に基づくことになっている。もっとオープンに議論すべきだろう。

サクラ開花予想 東京都心は3月24日 日本気象協会 | NHK | 気象 →温暖化と言われるが、例年になく寒い日が続いている。それでもサクラの季節はやってくる。最近は春と秋が短くなったような気がするが、今年の春はどの程度あるのだろうか。暑い夏がすぐ来てしまうのだろうか。去年の長い夏を思い出すと気が重い。

*** 「今日の名言」

◎空海(真言宗の開祖。835年3月21日死去、60歳)

「仏の教えを一言で言えば、自分の利益と他人の利益を一致させることである」 「他人の利益をはかるように努めていると、苦しみの世界に行く因縁が消える」 「人間はだれもが胸の中に宝石となる石を持っている。一生懸命磨けば、美しく光り輝く玉になる」 「嫉妬は、自分とそれ以外の人とは別々の存在だと思う心から生じる。自分と自分以外の周りの環境は心の状態によって変わる。心が暗いと何を見ても楽しくない。静かで落ち着いた環境にいれば、心も自然と穏やかになる」 「ものの道理を見る目が開いていれば、身の回りのものすべてが大事なものだと分かる」 「ものに決まった性質などない。悪人もいつまでも悪人ではない」 「優れた知恵者は、愚か者に見えるものだ」 「優れた大工が木材を使うとき、真っ直ぐな木は曲げず、必要な場所に使う。曲がった木は無理に伸ばさず、必要な場所に使って大きな家を建てる」 「片手だけでは拍手できない。片足だけでは歩けない。右手と左手が感応して拍手になり、右足と左足が感応して歩く。だから相手が感応するまで祈り続けなさい」

*** きょうの教養 (報徳思想と現代③) 

◎軍産学融合体

ウクライナ戦争で武器だけ供給しているアメリカは好況だといわれる。60年前、アメリカのアイゼンハワー大統領が退任演説で、アメリカに軍産学融合体ができつつあると警告した。学問が軍事に従属してゆがめられつつあり、学者は自由な知的探求心に沿って研究するのに政府の委託による研究が増え、軍事科学専門のエリートたちの発言が強化され、政策実行が秘密裏に行われている、と指摘した。融合体が一度できると、国家は武器を買わざるを得なくなり、どこかで戦争が起こっていないと国が持たなくなると懸念した。アイゼンハワーの懸念は当たったというべきだろう。ベトナム戦争を始め、湾岸戦争、イラク戦争、アフガン戦争、そしてウクライナと15年ごとに戦争をしている国になった。台湾有事もその延長線上だろうか。軍産学融合体が各国にできつつあり、日本でも武器輸出がいわれている。国防に名を借りた好戦的な動きが始まっている。

ドイツとフランスは二度の大戦の教訓から、ヨーロッパ共同体をつくった。私たちが目指すべきは東アジア共同体だろう。中国の間に尖閣列島問題があるが、田中角栄・周恩来会談で棚上げにし、40年間ずっと友好関係が続いていた。日本が一方的に国有化宣言したから発生した問題で、面子を潰されたのは中国だが、そう考える日本人はごく少数だ。公平に物事を見る一円融合の観点に立たない限り、理屈にあった解決はされない。そもそも尖閣列島でも竹島や北方四島でも、領有で争う意味があるのだろうか。日本の農村には昔から入会地という、共同で草や薪などを取る共有地があった。問題の島々は、国際入会地にして協議すれば済むことだ。

台湾問題は中国の国内問題と押さえておく必要がある。台湾有事と米国が判断した場合、沖縄が中国との戦争の最前線基地になる。日本が米国の先兵になって中国と戦うことになるのではないか。「安全保障条約」は日本国民にとって「安全破壊条約」になってしまう。ここでも軍事同盟の深刻な問題が浮かび上がる。一円融合の観点から物事を見ると、さまざまな問題が浮かび上がって、因果関係が見えてくる。

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***デイ・ウォッチ(20日)

大谷翔平2安打 ドジャース 開幕戦逆転勝利 移籍後初打点 ダルビッシュ先発 松井裕樹も初登板 | NHK | 大谷翔平 →大リーグ開幕。ドジャースはソウルでパドレスと対戦した。大谷はホームランこそなかったが、2安打1打点1盗塁と躍動。ダルビッシュと松井も活躍した。NHKは夜7時のニュース中に長く放送し、結婚したばかりの妻もたびたび登場した。秋まで毎日の楽しみが増える。

ロシア大統領選 在外投票では異なる傾向 国外有権者抗議意思か | NHK | ロシア →プーチン大統領の得票率は、在外投票ではかなり低い。ロンドン21%、日本44%など。アンチ・プーチンは出国しているので、当然とも言えるが、情報の差も大きいだろう。ロシア国民は公正な報道に触れていない。それにしても、投票結果の数字はどこまで信じていいのかと考えてしまう。

ナワリヌイ氏妻“世界中が正当な大統領と認めないようにする” | NHK | ロシア →ナワルヌイ氏の妻は夫同様に筋金入りのようだ。反プーチンの世界的なシンボルになりつつある。フィリピンでマルコス政権を厳しく批判したベニグノ・アキノ氏が暗殺され、マルコス大統領失脚後に妻のコラソン・アキノ氏が大統領になった。そんな歴史を彷彿とさせる。

韓国籍タンカー転覆、8人死亡 不明2人を捜索―山口・下関沖:時事ドットコム (jiji.com) →春分の日はまれに見る荒天だったが、下関沖で退避のためいかりを下ろしていた韓国船籍のタンカーが転覆した。日本人が乗っていなかったのでニュースの扱いは大きくないが、痛ましい惨事だ。

米グーグルに制裁金400億円 記事使用料巡り―仏:時事ドットコム (jiji.com) →ネットの台頭で大手新聞は世界的に苦況にあるが、欧州の当局は巨大IT企業に厳しい。グーグルは記事使用料をめぐり「誠実な交渉を怠った」という。日本は半周遅れで欧州に追随する流れだ。グーグルは「邪悪になるな」をコアバリューの一つに掲げているが、お題目だったのか。

*** 「今日の名言」

◎城山三郎(小説家。2007年3月22日死去、79歳)

「人生は挑まなければ、応えてくれない。うつろに叩けばうつろにしか応えない」 「大人が1年間ムキになってやれば、立派な専門家になれます」 「いつも第三の道がある。そう思えば、新しい風が吹いてくる」 「深く生きた記憶をどれほど持ったかで、人生は豊かにも貧しくもなる。受身ではなく、あえて挑むとか打って出ることも肝要となろう」 「背伸びして視野を広げているうち、背が伸びてしまうこともあり得る」 「向こう傷は人間の勲章になって行く」 「若い人は簡単に会社をやめるっていうけど、最低3年、できれば10年勤めて、自分と会社の関係を点検してみること。10年サイクルで自分の人生を振り返ることが大切だと思う」 「出世でこり固まった男もおもしろくないが、出世をあきらめた男も魅力はない」 「将の条件というのは、人がついてくるということ」 「人間には4人の人が住んでいる。探検家、芸術家、戦士、判事。この4人が正常に機能している人が、素晴らしいリーダーになれる」 

*** きょうの教養 (報徳思想と現代④) 

◎人類を危機に追いやる四天王

NHK大河ドラマ「どうする家康」では、四天王は人を指したが、今は4つの事柄があると考えている。第一は米中露など大国の覇権主義、第二はNATOなどの軍事同盟、3つ目が各国にできつつある軍産学複合体、4つ目が格差を生む資本の論理だ。人類はこの課題に直面しており、しっかり目を凝らしていく必要がある。報徳訓の中に「田畑山林は人民の勤耕にあり」とある。現在、この田畑と山林が「大国の覇権主義、軍事同盟、軍産学融合体、資本の跋扈」によって荒らされている。これを人民の勤耕によっていかに是正していくか。そういう構図にある。

日本は個別的自衛権から集団的自衛権に移行したが、集団的自衛権は大変曲者だ。ある研究者によれば、米国とアフガニスタンの戦争で日本は敗戦国になっている。日本としては個別的自衛権に徹し、説得力豊かで自立した自主独立外交と通商を目指す。これが人民の勤耕に生きる私たちのとるべき道である。

人類を救ういろいろな教えがある。キリスト教は「愛」、仏教は「慈悲」、儒教は「仁」、報徳は「至誠」だ。天地人の客観的真理を誠の心によってしっかりと映し取って我が物にする。その道に従うところに、私たちの大きな発展がある。尊徳が私たちに求めるのは科学的精神である。気候変動が問題になっているが、人間の欲望によって人道がゆがめられ、ゆがんだ人道が天道までゆがめている。やはり現在、自然・人間・社会において、政治・経済・文化・国際関係のあらゆる面において、根本から考え直さないと進んでいけない時代に入っている。報徳思想は私たちに根源的な思考を強く促している。

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***デイ・ウォッチ(21日)

ドジャース 大谷翔平の通訳 水原一平氏を解雇 違法賭博に関与か “ギャンブル依存症と説明”米メディア | NHK | 大谷翔平 水原一平氏解雇「かなりの痛手」 大谷翔平開幕戦でも通訳 「すべては自分の過ち」と告白も – 産経ニュース (sankei.com) →ニュースを提供し続ける大谷選手だが、大きな衝撃が走った。水原氏は「すべて自分の過ち」というが、真相判明はこれから。大谷選手の公私への影響が心配される。

ドジャース 大谷翔平 2試合連続安打 松井裕樹やスアレスとも対決 山本由伸は1回5失点で負け投手に | NHK | 大谷翔平 →大谷選手は冷静に試合に臨み、1安打1打点。山本投手は打ち込まれ、初回5失点で初登板失敗。ドジャーズは11対15で敗れたが、打力はエンゼルスをはるかに上回り期待を持てる。米国に戻って、試合は日本時間の午前中になる。視聴率は上がるだろう。

東京株、4万0815円 最高値更新、米金融政策好感―日銀マイナス金利解除も混乱なし:時事ドットコム (jiji.com) →日銀のマイナス金利解除は株にマイナス材料だが、米国の利下げ期待から米国株が上昇、日本にも波及した。日本経済にはこのところ明るい材料が多い。

北朝鮮外貨収入、半分はサイバー攻撃で 知的財産も入手し売却―国連報告:時事ドットコム (jiji.com) →北朝鮮はサイバー攻撃で暗号資産を手に入れ、武器開発に投入しているというから、ひどい。中国の影響力もまともに及ばないのだろう。北朝鮮はロシアに接近している。世界はどんどん無法地帯に向かっているようだ。

「僕には事件だった」山田洋次監督が見た13年ぶりの浜通り | NHK | WEB特集 | 福島第一原発 →92歳の山田監督は、杖をついて原発事故の現地を訪問。「自分の家を失った、突然ここは危険だから県外に逃げてくださいと言われた人の気持ちなんて、そう簡単になれるもんじゃない。でも、そんなことを僕たちは繰り返し、小説なり、芝居なり、映画なり、ドラマなりいろんな形で伝えていく必要があるし、聞く必要がある。誰か偉い人がこうしようよっていうんじゃなくてね。そういう運動を起こすということに力を貸せればいいなと思っている」と話した。

*** 「今日の名言」

◎リー・クアン・ユー(シンガポール初代首相。2015年3月23日死去、91歳)

「日本人という民族は非常に素晴らしい特質を持っている。2011年に東日本大震災が発生した際、どのように対応したのか我々は目撃している」 「日本人が仕事をする際に完璧さを追求する姿勢は世界のどの国もかなわない。日本人の集団を重んじる精神も右に出る民族はいない」 「日本が抱える最大の問題は、 減少の一途をたどる人口だ。外国人の移民を増やすことは可能だが、内在的関係の緊密な日本の社会は、外国人を歓迎しない。日本人女性は結婚後、伝統的な従属的地位を強いられることを好まず、独身を通す人も多い」 「問題は日本に待つ時間があるのかだ。15年たっても解決できなければ、日本は元に戻れないほど衰退する可能性がある。その時に解決しようとしても手遅れだ」 「日本の人口問題に希望がないと考えている。長い時間が経過しても、日本人は何もせず手をこまねいている」 「日本はすでに凡庸な国になりつつある」

*** きょうの教養 (報徳思想⑤と現代) 

◎国民意識の変化と「いもこじ」

高度経済成長が終わった1970年代以降、日本人の価値観は大きく変わる。みんな都会に出て、自由恋愛で結婚し、ニューファミリーをつくった。自由な個人が人生を決める戦後民主主義が花開いた。大らかな市民精神が発展するかと思ったが、豊さと便利さの中で、私生活中心の小市民的メンタリティーが醸成された。個人主義から利己主義になり、人と人との結びつきが希薄になった。孤立化、密室化という事態が生まれてきている。

学校では70年代に校内暴力、80年代はいじめや生徒の自殺、90年代は不登校や学級崩壊といった問題が噴出した。21世紀に入って市場原理主義が広がり、競争的な成果主義、能力主義、数値主義が力を振るい、終身雇用や年功序列の日本型雇用が潰れていく。代わって派遣労働による長時間、過密、低賃金の不安定労働が増え、定職が得にくくなる。格差社会の到来だ。

次いで国家中心主義が現れる。国会の議論は軽視され、閣議決定が優先される。社会的な合意形成よりも政府による国会意志の貫徹だ。徹底的に議論されることなく、数の力で集団的自衛権、安保関連法、秘密保護法、共謀罪法が通っていく。内閣人事局への権力集中は官僚統制の強化となり、忖度政治がはびこりはじめた。ドイツの哲学者ヘーゲルは「政治的国家と市民社会の分裂は近代の特徴」と言っている。政治的国家と市民社会、つまり国家と社会は二元的に分かれているのが近代社会の特質である、という意味だ。近代社会では、国家と社会は分かれていないと健全ではないということだ。

国家中心の態勢を保障しているのは小選挙区制だろう。中選挙区なら、志のある人は自由に名乗り出て、同じ政党で2~ 3人当選できた。いま、政党中枢が決める候補者は、無難な高学歴の官僚経験者、二世・三世議員、タレントらだ。3割に満たない得票で7割の議席が占められる。報徳には「いもこじ」という考え方がある。たらいの中でごしごしイモを洗っていくと、イモの個性が輝き出る。今風の言葉なら「熟議」だろうか。話し合うことによって、それぞれの個性も共有でき、合意形成もできる。少数意見も後で正しかったかもしれないと検討の余地を残す。このように徹底民主主義が息づいている尊徳の考え方は重要だ。