4月8~12日(教養講座:サン=テグジュペリの世界)

2024.04.12メルマガ

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***デイ・ウォッチ(5~7日)

戦闘終結見通せず イスラエル国民は戦争支持―生き残り図るハマス・ガザ衝突半年:時事ドットコム (jiji.com)  イスラエルのメディア“ガザ地区南部から軍が部隊の大半撤収” | NHK | イスラエル →イスラエル国内では反ネタニヤフの動きが強まり、半数以上が自己保身のために戦闘をしているとみているが、停戦は見えない。米国はもっと圧力をかけるべきだろう。狂気の政治指導者がプロパガンダで国民を洗脳して戦闘を始めた場合、最終的に犠牲になるのは国民・市民。自衛策は狂気の人を早く見極めて指導者にせず、プロパガンダにだまされず、早い段階で声を上げることだ。

公明 政治資金規正法改正「連座制」導入などの要綱案まとめる | NHK | 政治資金 →公明党も総選挙を控えて自民党に圧力をかけるだろう。連座制の導入を打ち出し、パーティー券の公開を20万円超から5万円超に引き下げるが、企業献金の廃止は盛り込まなかった。選挙権のない企業による献金は本質的に不適切だ。社員が献金する米国型の政治活動委員会(PAC)を議論すべきだろう。

自民 塩谷氏 処分再審査の請求検討 処分の余波続くか | NHK | 政治資金 →処分に対する不満分子の自民・塩谷氏が再審査請求を検討すると抵抗している。ただ、「地元の人と話して」と実態は及び腰。空気が読めないこうした対応が、安倍派座長としての自覚も責任感も欠いていると批判されてきた。

下請け法違反の日産自動車「賃上げ促進税制」の優遇資格失う | NHK | 自動車 →「泣きっ面に蜂」とはこのことか。金額は大きくないので打撃は小さいが、ブランドイメージへの影響は小さくない。ゴーン氏失脚や出資比率をめぐるルノーと交渉が終わり、再出発の時期。立て直せるか。

「司法取引」の適用 警察捜査の事件では初 兵庫県警 | NHK | 事件 →司法取引は2018年に導入され、これまで東京地検が3回適用しただけだった。巧妙化する犯罪に有効で、警察も各地で使うことになるだろう。乱用すれば、は無実の人を巻き込む恐れもあり、運用には目を光らせる必要がある。

*** 「今日の名言」

◎マーガレット・サッチャー(英の首相。2013年4月8日死去、87歳)

「リーダーは好かれなくてもよい。尊敬されなくてはならない」 「好かれようとしているだけなら、何も達成しないだろう」 「私は意見の一致を求める政治家ではない。信念の政治家だ」 「幸運だったわけではありません。私はそれだけの努力をしてきました」 「物事に反対するだけでは勝てない。物事に賛成し、自分のメッセージを完全に明確にすることによってのみ勝利できる」 「私が戦わなかった日など、一日たりともない」 「お金持ちを貧乏にしても、貧乏な人はお金持ちにならない」 「お金は天から降ってこない。地上で稼ぎ出さねばならない」 「女性運動を声高にやる人は嫌いです。男女の別に関係なく、人間は能力で決まる」 「核兵器のない世界なんて、全人類にとって今より安定を欠いた、危険な世界になるだろう。我々は核兵器のない世界ではなく、戦争のない世界を目指すべきだ」 「ヨーロッパは歴史によってつくられ、アメリカは哲学によってつくられた」 「民主主義の根幹は、率直で力を込めた討論である」

*** 今週の教養 (サン=テグジュペリ①) 

今週は「星の王子さま」で知られるサン=テグジュペリ(1900~44)を取り上げる。同書は大人も子どもも読む世界的ベストセラー。当時最先端だった飛行機操縦士だったので、空からの視点や生死の感覚を強く持ち、人間にとって大切なことを平易な表現で追い求めた。サハラ砂漠に不時着した友人を救出したり、本人もリビア砂漠に不時着したりした。最後は母国フランス軍の偵察飛行に従事し、ナチス・ドイツに撃墜されたとみられている。齋藤孝明治大教授著「天才伝 サン=テグジュペリ」から、一部訳文と斎藤教授の「読み方のポイント」を紹介する。

◎【星】 「ぼく、こんどは、どこの星を見物したら、いいでしょうかね」「地球の見物をしなさい。なかなか評判のいい星だ・・・」と地理学者が答えました。王子さまは、遠くに残してきた花のことを考えながら、そこに出かけました。(「星の王子さま」から)

いまでもわたしの眼の裏には、アルゼンチンで初めて飛行したときの光景が焼きついている。インクを流したような夜。そしてその無の世界で、星のようにぼんやりとまたたいている地上の人間の光。そのひとつひとつの星は、夜につつまれた地上で、人々が考え、読み、告白を続けていることを物語っていた。そのひとつひとつの星は、標識燈のように、人間の意識の存在を明かしていた。あの光の中ではきっと、人間の幸福や正義や平和について、瞑想にふけっているのであろう。(「人生の意味を」から)

★読み方のポイント: 夜間飛行を生涯続けることを望んだサン=テグジュペリにとって「星」とは、天空の星々だけを指すのではなく、地上の人間の灯りや地球そのものを指していました。天空の星には主に科学者としての視線を注ぎましたが、「地上の星」には、同胞への優しさと鋭い批判的精神に満ちた文学者としての視線を注ぎ、戦争と平和、そして生と死に思いをめぐらしていました。

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***デイ・ウォッチ(8日)

「ライドシェア」 東京23区・武蔵野市・三鷹市でサービス始まる 運行時間・料金・安全は 配車アプリで利用 | NHK | 自動車 →タクシー会社が管理し、時間を決めて、東京から順次地方に拡大する。日本らしい遅く緩やかな導入となった。利便性はどうか、どこまで普及するか、事故が起きた時に関係者や世論はどう反応するだろうか。いろいろな意味で注目される。

小型車、トヨタが責任 不正防止へ現場負担軽減―新方針公表・ダイハツ:時事ドットコム (jiji.com) →ダイハツは軽自動車メーカーに回帰する。新興国向けの小型車はトヨタが主導権を持つ。スズキもトヨタの出資を受けているので、グループ内部で軽自動車競争が激しくなる。ダイハツの止血を急いだが、EV化が進めばグループ内の再編もありそうだ。

岸田首相 米に向け出発 日米首脳会談などに臨む | NHK | 日米首脳会談 →首相としては9年ぶりの国賓待遇で、議会演説もあるフルコース。フィリピンも含めた3国の首脳会談では、対中国包囲網に踏み込みそうだ。大統領夫人主催の晩餐会にはネット配信で全米一になった「YOASOBI」が招待されたが、こちらの方が関心を集めそうか。日本は今や文化・スポーツ大国だ。

静岡 川勝知事 10日にも辞職願提出 知事選は早ければ5月下旬に実施へ | NHK | 静岡県 元総務官僚の大村氏が立候補表明 川勝氏の辞職に伴う静岡県知事選 [静岡県]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →「6月に辞表を出すのは退職金狙い」と言われ、前倒ししたのだろう。知事選投票は早ければ5月末の見通しで、総務官僚が立候補を表明。リニアが焦点の一つで、国政の影響も受けそうだ。

ガザ休戦交渉が再開 「前進」報道も交錯―イスラエル・ハマス:時事ドットコム (jiji.com) →ガザ情勢は混とんとし、外部からは正確に把握しにくい状況になっている。停戦交渉が前進しているという情報もあるが、はっきりしない。イスラエルはガザ南部から戦力を撤退し、背景に米国の圧力があるとみられるが、真相は不明。そうした中でパレスチナの人々の生活がますます厳しくなっている。

*** 「今日の名言」

◎聖徳太子(飛鳥時代の摂政。622年4月8日死去、48歳)

「和を以て貴しとなす」 「真心は人の道の根本である。何事にも真心がなければいけない」 「嫉妬の気持ちを持ってはならない。自分が相手を嫉妬すれば、相手も自分を嫉妬する。嫉妬の憂いは果てしない」 「聖人・賢者と言われる優れた人材がなくては国を治めることはできない」 「部下に仕事を任せる者は、任せる仕事を熟知していなければならない」 「民を治めるには、礼儀を大切にしなければならない。上の身分の者が礼儀を乱せば、下の者の秩序は乱れ、下の者が礼儀を乱せば、罪を犯す者が現れる」 「相手が憤っていたら、自分に間違いがあるのではないかと恐れなさい」 「政治から志を奪ったら、一体何が残るのか」 「私心を試みず、公にひたすらに向き合うことこそ、役人の王道である」 「功績・過失をよく見て、それに見合う賞罰を必ず行いなさい」 「民の税を中間搾取してはならない」 

*** 今週の教養 (サン=テグジュペリ②) 

◎【花】 僕はあの時、何にもわからなかったんだよ。あの花の言うことなんか取り上げずに品定めしなけりゃあ、いけなかったんだ。僕はあの花のおかげで、いい匂いに包まれていた。明るい光の中にいた。だから、僕はどんなことになっても、花から逃げたりしちゃいけなかったんだ。ずるそうな振る舞いはしているけど、根は優しいんだということをくみ取らなきゃいけなかったんだ。花のすることったら、本当にとんちんかんなんだから。だけど僕は、あんまり小さかったから、あの花を愛するってことが、わからなかったんだ。(「星の王子さま」から)

「あんたが、あんたのバラの花をとても大切に思っているのはね、そのバラの花のために、暇つぶししたからだよ」「僕が僕のバラの花を、とても大切に思っているのは・・・」と王子さまは忘れないように言いました。「人間っていうのは、この大切なことを忘れているんだよ。だけどあんたは、このことを忘れちゃいけない。面倒を見た相手には、いつまでも責任があるんだ。守らなきゃならないんだよ、バラの花の約束をね・・・」とキツネは言いました。「僕は、あのバラの花との約束を守らなきゃいけない・・・」と王子さまは、忘れないように繰り返しました。(同)

★読み方のポイント: 「星の王子さま」に登場するバラの花のモデルとして定説となっているのは、サン=テグジュペリの妻コンスエロです。2人はすれ違いつつも、確かな愛によって結ばれていました。バラの花とのけんかが原因で故郷の星を離れ、最後にまた彼女の元に戻っていく星の王子さまの姿から、妻を深く愛していたサン=テグジュペリ自身の姿を読み取ることができます。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年4月10日号(転送禁止)~~~

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***デイ・ウォッチ(9日)

Microsoft、日本にAIデータセンター 4400億円投資 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →日米首脳会談にあわせて花火が上がっている。AIデータセンターに4400億円を投資するが、マイクロソフトの日本への投資では最高額になる。技術や雇用への波及効果が期待される。日本勢は生成AIで米国勢に大きく遅れている。今さらながら残念だが。

秋葉国家安全保障局長 “日本の安保政策は転換点” 米紙に寄稿 | NHK | 安全保障 →日本の首相は、安保政策について国内では多くを語らず、米国で花火を打ち上げることが多い。今回も官僚が米紙で前さばきをし、首脳会談で首相が勇ましく発言しそうだ。もっと国会で率直に議論し、国民的なコンセンサスを追求すべきだろう。国民の合意なき安保政策はぜい弱だ。

「セキュリティークリアランス」法案 衆議院本会議で可決 | NHK | 経済安全保障 →日本の安全保障に支障を来すおそれがある情報を「重要経済安保情報」に指定し、情報アクセス者を国が認めた人に限定する法案。情報の定義があいまいで拡大解釈されそうだが、主要野党も含めて賛成した。「経済安全保障」を大義名分にいろいろな規制が強化されそうだ。もっと議論が必要だろう。

「支援金制度」年収別 拠出金額の試算まとめる こども家庭庁 | NHK | こども家庭庁 →年収600万円で月1000円程度の負担という。負担はやむを得ないが、医療保険に上乗せするやり方がまずい。「増税メガネ」と言われたくない岸田首相の判断だが、昔の自民党なら認めなかったろう。「負担と給付」の関係を明確にするために税金で実行すべき政策だ。

野菜小売価格 レタスとキャベツ 前週比20%以上高い 農水省 | NHK | 農業 →野菜が大きく値上がりしている。原因は、寒さによる生育の遅れや天候不良などで、このところの異常気象が関係している。今月前半は高値で推移しそうで、今月後半に気温の上昇に伴って生育が回復し、平年並みの価格に落ち着くという。

*** 「今日の名言」

◎中川州男(陸軍中将、ペリリュー島指揮官。2013年4月9日、天皇皇后両陛下がパラオの同島を訪問。パラオの祝日になっている

「お前らの気持ちはよくわかる。友軍機も来んかもわからん。だが、軍人は最後まで戦うのが務めだ。百姓がクワを持つのも、兵が銃を握るのも、それが務めであり、最後まで務めは果たさなならんのは同じだ。務めを果たすときは、誰でも鬼になる。まして戦じゃけん。鬼にならんでできるものじゃなか」 「敵を倒さずに死ぬのは無駄死にだ」 「戦闘は演習の継続、実戦は最後の演習にほかならない」 「戦車や車両を撃破するのではなく、人を倒し、傷つけることに注力する」 「強固なサンゴ礁の陣地に立てこもり、突撃しない。夜間だけ少数の斬り込みを行なう」 「(着任第一声)兵をあまり殴ってはならぬ」 「戦は人と人との戦いだ。意思と力があれば、勝敗は決まっていない」 (ペリリュー島の戦いで1万2千人の守備隊を指揮。4.9万人の米海兵隊は2~3日で攻略できると楽観していたが、2か月以上のゲリラ戦となった。1000名近い島民に死者・負傷者はいなかった)

*** 今週の教養 (サン=テグジュペリ③) 

◎【絆】  「ちがう、友達探してるんだよ。飼いならすって、それ何のことだい?」「よく忘れられてることだがね。仲良くなるっていうことさ」「仲良くなる?」「うんそうだとも。俺の目から見ると、あんたはまだ、ほかの十万もの男の子と別に変わりない男の子なのさ。だから俺は、あんたがいなくなったっていいんだ。あんたもやっぱり、俺がいなくなったっていいんだ。あんたの目から見ると、俺は十万ものキツネと同じなんだ。だけどあんたが俺を飼いならすと、俺たちはもうお互いに離れちゃいられなくなるよ。あんたは俺にとってこの世でたった一人の人になるし、俺はあんたにとってかけがえのないものになるんだよ・・・」とキツネが言いました。(「星の王子さま」から)

王子さまは、もう一度バラの花を見に行きました。そしてこう言いました。「あんたたち、僕のバラの花とは、まるっきり違うよ。それじゃあ、ただ咲いているだけじゃないか」。バラの花たちは、たいそうきまり悪がりました。「あんたたちは美しいけど、ただ咲いているだけなんだね。あんたたちのためには、死ぬ気になんかなれないよ。そりゃあ、僕のバラの花も、そばを通ってゆく人が見たら、あんたたちと同じ花だと思うかもしれない。だけど、あの一輪の花が、僕にはあんたたちみんなよりも、大切なんだ。だって僕が水をかけた花なんだからね。覆いガラスもかけてやったんだからね。ついたてで風に当たらないようにしてやったんだからね。ケムシを殺してやった花なんだからね。不平も聞いてやったし、自慢話も聞いてやったし、黙っているならいるで、時にはどうしたのだろうと、聞き耳立ててやった花なんだからね。僕のものになった花なんだからね」(同)

★読み方のポイント:星の王子さまの中の「飼い慣らす」あるいは「仲良くする」という言葉は、友達のキツネや恋人のバラの花と、「かけがえのない」関係を築くことを意味するときに使われます。飼いならした相手には、責任が生まれます。その責任感がサン=テグジュペリにとって、不時着した砂漠や戦場から生還するための「生きる力」となったのです。

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***デイ・ウォッチ(10日)

《衆院選激戦区予測》自公83議席減!過半数割れで自民分裂〈安倍派5人衆、東京15区、大ピンチ公明、萩生田&木原を直撃…〉 | 週刊文春 電子版 (bunshun.jp) →きょう発売の週刊文春が衆院選予測を掲載。デジタル版は10日に公開した(有料記事)。自民は186議席(現259)、公明22(32)、立憲147(95)、維新62(41)、国民16(7)、共産10(10)、れいわ10(3)。立憲が躍進し、野党がまとまれば過半数を超えて政権交代になる。28日投開票の補選はすべて立憲が優勢。安倍派幹部では、松野は安定、西村と高木は優勢、世耕、萩生田、下村がやや劣勢、塩谷が苦戦。

【詳細】岸田首相 バイデン大統領が共同声明 防衛協力深め経済安全保障や宇宙など幅広い分野で連携強化確認 | NHK | 日米首脳会談 →中国抑止をにらんで米軍と自衛隊が指揮・統制の連携を強化する。最近の安全保障政策の変更は米国の要求によるものだ。訪米で手形を切って、国内での説明もほどほどに落としていく。「ポチの手形外交」とは言わないが、時には「ストップ!ネタニヤフを」とか苦言を呈したい。

韓国総選挙 開票作業続く 野党が議席の過半数 獲得の見通し | NHK | 韓国総選挙 →韓国与党は予想以上に弱かった。日本との関係改善を目指す尹大統領の影響力低下が懸念されるが、日韓関係はほとんど争点になっていなかったという。大統領の任期を終えれば、逮捕されるのだろうか。隣国の政争の激しさはよくわからない。

円相場 一時1ドル=153円台に 約34年ぶりの円安ドル高水準に | NHK | 株価・為替 →日本の通貨当局が防衛ラインのようにしていた152円を割り込み、153円台に。1990年以来の円安水準となった。次は155円あたりが防衛ラインか。米国がインフレ懸念で利下げを先送りしており、金利差が縮まらない限り、円安は続きそうだ。

川勝氏、辞職会見で西郷隆盛を詠んだ漢詩を引用 細川ガラシャ辞世の句は「とっさに出た」 – 産経ニュース (sankei.com) →この日は細川ガラシャの辞世の句と西郷隆盛の漢詩を披露した。連日の全国ニュース登場でキャラが立ってきた。6年近く静岡県に住んだが、官僚らと違って忖度せず本音をぶつけるスタイルは斬新で爽快な面もあった。たくさん発言するので最近は「不適切にもほどがある」状態になったが、野党自民党の攻撃が激しくなって炎上する事情もからんでいる。引退後は民放のトーク番組に出たら面白いのではないか。

*** 「今日の名言」

◎孔子(儒家の始祖。紀元前479年4月11日死去、72歳くらい)

「己の欲せざるところは、人に施すことなかれ」 「君子は親しみて、おもねらず。小人はおもねりて、親しまず」 「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」 「人格者は過ちがあるとまず自分を反省し、そうでない人は必ず他人のせいにしようとする」 「仁者は、難しくて骨の折れる仕事を自ら進んで引き受け、それによる利益は問題にしない」 「自分の利益になる三種類の友とは? 正直な人、誠実な人、そして多くの見聞がある人である」 「過ちて改むるに、憚ることなかれ。過ちを改めざる、これを過ちという」 「地位のないことを気にせず、地位を得るための正しい方法を気にかけるべきだ。自分を認めてくれる人がいないことを気にせず、認められるだけのことをするよう努めるべきである」 「温故知新」 「知っていることは、好きであることに及ばない。好きであるというのは、楽しむことに及ばない」 「言葉や文章は相手に十分通じればよいのであって、よけいな美辞麗句は必要ない」 

*** 今週の教養 (サン=テグジュペリ④) 

◎【自由】  私はジュビー岬(サハラ砂漠の長距離飛行機のための中継基地)にいた時、カモシカを育てていた。この土地では誰でもカモシカを飼っている。カモシカには流水と風が必要なので、戸外に金網を張りめぐらして、そこに入れておくのである。これほど弱い動物はないといわれていた。それでも小さい時に生け捕りにされただけに、人間の手から物を食べるのだった。愛撫に身を任せながら、濡れた鼻面を手のひらのくぼみに突っ込んでくる。だから、すっかり飼い慣らしたようにすぐ思い込んでしまう。音もなくやってきて、その色つやを奪い、いかにも哀れなあの死をもたらす未知の悲しみから、カモシカを守ってやったように思い込んでしまう・・・。しかし、小さな角で砂漠に向かった柵をついているカモシカを見つけ出す日が、やがてやってくるだろう。何者かに惹かれているのだ。カモシカには自分が逃げようとしていることも分からない。相変わらず、運んで行った牛乳を空っぽにして、愛撫に身を任せながら、前よりももっと優しく鼻面を手のひらにこすりつけてくる・・・しかし手を離してやればすぐに、幸せそうに大きく跳躍するまねをしてから、金網の前に戻っていくのがみられるだろう。ほっておけば、べつだんその障害に挑みかかるわけでもなく、ただ首を下げて小さな角をそこに押しつけたまま、死ぬまでそうしていることだろう。さかりの時期だからか?それとも、息が切れるほど大きな跳躍をしてみたいという欲望のせいだろうか? だがそんなことを知っているはずはない。生け捕りにされたときには、眼もまだあいていなかった。砂漠の中の自由も、異性の臭いも、全く知ってはいないのだ。(「人生に意味を」から)

★読み方のポイント=空を飛ぶ情熱を生涯持ち続けていたサン=テグジュペリにとって、大空を飛びながら体感した生命に根源的な「自由」こそが「生きる」ということの本質でした。ナチスの独裁政権によって母国フランスが侵略されると軍に身を投じ、「戦う操縦士」として果敢に空に旅立ち、夢見る自由、愛する自由、行動する自由を守ろうと行動を起こしました。

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***デイ・ウォッチ(11日)

“イランや支援勢力 近くイスラエルに大規模報復か”米報道 | NHK | イスラエル・パレスチナ →中東情勢が抜き差しならない状況になりつつある。報道レベルだが、イランと支援勢力がイスラエルに報復するという。イスラエルのネタニヤフ政権が自ら作った危機で、報復合戦に発展する可能性がある。1931年の満州事変が翌年の上海事変に発展した歴史とダブらないか。

岸田首相 アメリカ議会で演説 “国際秩序守るため大きな責任担う” | NHK | 日米首脳会談 日米比首脳会議“南シナ海の中国による圧力で結束確認”米高官 | NHK | アメリカ →国賓待遇の行事が終わった。岸田首相には本望で、もう辞めてもいいと思いそうだが、そうでもないようだ。米国議会で勢いよく話した内容を日本の国会でもっと話し、国民を巻き込んだ議論を起こすべきだろう。

日本製鉄のUSスチール買収計画を“アメリカ司法省が調査開始”米報道 | NHK | アメリカ →経済安全保障の観点から反対の声が起きていたが、今度は独占禁止法の疑いで司法省が調査するという。鉄鋼貿易はグローバルに行われており、今さら独禁法もないと思うが。日本企業による久々の大型買収だけに影響は大きい。日本製鉄はあらゆる可能性を想定していたと思われる。どう動くか。

水原一平氏を銀行詐欺の疑いで訴追「大谷選手は被害者」米捜査当局【時系列まとめ】 | NHK | 大谷翔平 →大谷の活躍で忘れられた感もあるが、水谷氏が訴追された。口座の設定を変えて勝手に振り込んでおり、被害額はなんと24億4800万円以上に膨らんだ。大谷の潔白も明らかになり、一件落着。当然といえば当然だが、狙いは違法賭博組織のようだ。

曙太郎さん死去、54歳の若さで 史上初の外国出身横綱:時事ドットコム (jiji.com) →若貴時代を彩った初の外国人横綱。スラリとした下半身と巨大な上半身が印象深い。54歳と予想以上に若かったが、ここ7年ほどは入院していたという。格闘家になっても活躍できず、哀愁が漂っていたが、故郷のハワイを愛し、明るい人柄で慕われた。

「虎に翼」モデル 三淵嘉子さんが使った別荘 一般公開へ | NHK | 神奈川県  加山雄三さんの銅像が完成 お披露目の式典 神奈川 茅ヶ崎 | NHK | 神奈川県 →神奈川県の東海道線沿いに2つの新名所。朝ドラの「虎に翼」は女性を中心に人気が高まり、明治大学関係者も応援している。加山雄三は11日が誕生日で、「こんなに感激する誕生日は初めて」と喜んでいた。

*** 「今日の名言」

◎石川啄木(歌人、詩人。1912年4月13日死去、26歳)

「たはむれに 母を背負いて そのあまり 軽きに泣きて 三歩あゆまず」 「はたらけど はたらけどなほ わが生活 楽にならざり じっと手を見る」 「友がみな われよりえらく 見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ」 「よごれたる 手を洗いし時の かすかなる 満足が今日の 満足なりき」 「人といふ 人の心に一人づつ 囚人がゐて うめくかなしさ」 「われわれが書斎の窓からのぞいたり、ほお杖ついて考えたりするよりも、人生というものは、もっと広い、深い、もっと複雑で、そしてもっと融通のきくものである」 「明日何をなすべきかの考察。これは、今日じゅうに考えておかなければならぬことのすべてである」 「時代に没頭していては、時代を批評することができない」 「いかなる問題にあっても、具体的ということは最後の、しかして最良の結論だ」 「一人の人と友人になるときは、その人といつか必ず絶交することもあるを忘るるな」 「山は動かざれども、海は常に動けり。動かざるのは眠の如く、死の如し。海は動けり。常に動けり。これ不断の覚醒なり。不朽の自由なり」 

*** 今週の教養 (サン=テグジュペリ⑤) 

◎【戦争と平和】  私が敵に戦いを挑むなら、私はその敵を創り出す。私がそれを鍛え、強固ならしめるのだ。いたずらに未来の自由の名において束縛を強化しようとするなら、私が創りだすのは束縛に他ならない。人間は、生命に対して斜めに行くことはできぬからである。樹を欺くことはできない。自分の思う方向に人間はそれを育てる事はできぬからである。あとのことは、言葉の風に過ぎない。未来の世代の幸福のために今の世代を犠牲にしようとするなら、私が犠牲にするのは、ほかならぬ生ける我が民たちである。しかもこれらの者たちとか、あちら者たちとかではなく、我が民のすべてを。私は彼らをことごとく、単純直裁に不幸の中に閉じ込めることになるのだ。あとのことは言葉の風にすぎない。(「城塞」から)

各個人を通じて「人間」の権利を肯定する代わりに、私は「集団」の権利について語りはじめていた。「人間」をないがしろにする「集団」の道徳がこっそりと導き入れられるのを見てきた。その道徳は、何ゆえ個人は「共同体」のために自己を犠牲にしなければならないかを明確に説明するだろう。しかし、何ゆえ「共同体」はただひとりの人間のためにも己を犠牲にすべきかについては、言葉の作為なしにはもはや説明し得ないであろう。不正義の牢獄からただひとりの人間を救出するために千人が死ぬということが何ゆえ正当なのか? 私たちはまだその理由を覚えてはいるが、徐々に忘れ始めている。しかしながら、私たちを極めて明確に蟻塚から区別するこの原則の中にこそ、何よりもまず私たちの偉大さが存するのである。(「戦う操縦士」から)

★読み方のポイント=サン=テグジュペリにとって「戦争」は「大冒険」であり、自己のうちの内的な「王国」から「血なまぐさい供犠の世界へと出てゆき、彼を行動へと促す精神の炎の収穫へと向かわせるもの」でした(「サン=テグジュペリの生涯」山崎傭一郎著)。彼は戦争についての思索と戦闘への実際の参加を通して、人間の本質を見極めようとしていたのです。