5月6~10日(教養講座:異空間理論)
~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年5月6日号(転送禁止)~~~
GWもあと1日。いかがでしたか。メルマガを再開します。
◎思考力文章講座を1年前に受講した方にアンケートしました。行動が変化し、効果が持続していることがわかりました。苦労して書く作文、メルマガの刺激が大きな要因と考えています→ 受講1年10人アンケート 「行動の変化、効果の持続」を確認 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)
***デイ・ウォッチ(4月26~5月5日)
◎東京15区 補選 立民 酒井菜摘氏当選 島根1区 長崎3区 いずれも立民勝利 自民 擁立見送り選挙区含め議席失う | NHK | 選挙 →立憲民主党がすべて制した。政治とカネで自民党の苦戦は予想されたが、立憲の得票は予想より多い。自民批判票と無党派の受け皿になり、野党共闘の主導権を完全に握ったといえそうだ。6月解散の可能性は消え、9月の自民党総裁選が政局の焦点になる。
◎為替介入、5兆円規模か 29日実施の可能性:時事ドットコム (jiji.com) ドル円 円相場1ドル=153円まで一時値上がり 政府・日銀が市場介入を繰り返したか ミスター円「可能性高い」 | NHK | 株価・為替 →連休中、円が1ドル=160~151円の間で乱高下した。日銀の介入も2回で計8兆円の大規模になった模様だ。長期的な円安基調は変わらないとみられ、投機筋との攻防はまだ続きそうだ。
◎サッカー男子 U-23日本代表 パリ五輪アジア最終予選で優勝 五輪はパラグアイ マリ イスラエルと同組に | NHK | サッカー日本代表 →日本が苦しんでパリ五輪出場を決めた。アジアカップ勝利は4大会ぶり。1次リーグで韓国に敗れ、決勝トーナメントでも苦戦、決勝もロスタイムで得点して逃げ切った。五輪の1次リーグの相手も決まった。難産の子はよく育つか。
◎イスラエル抗議デモ 参加者約300人逮捕 米コロンビア大学など | NHK | アメリカ →声を上げ始めたZ世代。コロンビア大学はベトナム反戦運動も盛んで、「いちご白書はもう一度」の舞台。日本の大学は静かだが、これから波及するかどうか。Z世代は社会課題の解決に関心があり、真面目だと言われる。大人の責任も大きい。「ストップ!ネタニヤフ」は、Z世代に限らず世界の世論だろう。
◎中国 李首相 イーロン・マスク氏と会談 | NHK | 中国 マスク氏 “テスラ AI開発に約1兆5000億円投じる予定”表明 | NHK | 生成AI・人工知能 →連休中、マスク氏の動きが目立った。中国の李首相とは上海に工場を造って以来の関係で、友好姿勢が目立った。中国は米国との経済対立を本気で避けたようだ。マスク氏はAIへの巨額投資を発表。8月に自動運転タクシーを発表するという。
◎唐十郎さん死去、84歳…「泥人魚」「ベンガルの虎」アングラ小劇場運動を先導 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) アングラ演劇の寵児、唐十郎さん死去…社会の矛盾や弱者の悲哀を浮かび上がらせ時代を刺激 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
→読売新聞の特報。アングラ演劇の旗手として人気を誇り、時代を射抜く多彩な活動で注目を浴びた。次の訃報で出てくる笠谷さんとは明治大学でほぼ同世代。
◎笠谷幸生さんが死去 札幌「日の丸飛行隊」日本初の冬季金 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →札幌冬季五輪でメダルを独占した時の金メダリスト。衝撃だった。日経新聞1面コラム「春秋」は「高度成長を締めくくるように昭和史を彩る」と書いた。金メダルは1972年2月6日、ほぼ2週間後の19~28日に連合赤軍による「あさま山荘事件」が起き、翌1973年10月の第一次石油危機で高度成長は終わった。享年は笠谷80歳、銀の金野は75歳、銅の青地は66歳。現在81歳の日本人男性の平均寿命に3人とも届かなかった。
*** 「今日の名言」
◎嘉納治五郎(柔道家。1938年5月4日死去、77歳)
「柔を能く、剛を制す」 「何事も初めからうまく行くことは少ないものだ」 「人生には、『なに、くそ』という精神が何より必要だ」 「人生はいろいろな難関に出くわす。難関が次から次へとやってくるから面白いのだ。恐れをなしてはいけない」 「自分の心に生じる欲望に打ち勝つのは敵に勝つよりむずかしい」 「勝って勝ちにおごることなく、負けて負けに屈することなく、安きにありて油断することなく、危うきにありて恐れることなく、ただただ一筋の道を踏んでゆけ」 「自他共栄(相手を敬い、助け合って、己だけでなく他人と共に栄えること)」 「精力善用(自らの心身の力を社会に対して善い方向に最大限に用いること)」 「時間をもっとも有効に利用した者に、もっとも立派な仕事ができる」 「教育者自身が教育の大事なることを信じ、教育を通して国家社会に働いてこそ、教育者の活動も有意義である」
*** 今週の教養 (異空間理論①)
新著「ソーシャル・シンキング」では、「脳と職場に異なる空間を創ろう」と提案した。日本企業の低迷の理由について、「日本のビジネスパーソンの視野が狭く、自分の机の周辺5メートルにとどまっていないか」「夜は仲間内で酒浸りになっていないか」という問題意識がある。視野を広げて飛躍を目指す考えを「異空間理論」と名付け、探求してみたい。
◎正解・点数・評価主義の弊害
日本企業の低迷はいろいろな観点から分析できるが、「人」が問題で、「社会全体を反映した教育のあり方」が関係していると感じる。明治維新後、日本は政治、法律、経営、文学、工学、造船、土木など分野ごとに西欧の長所を取り入れたが、教育だけは日本独自だった。天皇中心の富国強兵国家を作るにあたって国民の教化を重視し、教育勅語で上意下達の規範、高等教育機関として官吏養成の帝国大学(現東京大学)を設立した。西欧列強に対抗する意図に加え、国内的には政府批判を強める自由民権運動を恐れ、「官尊民卑」を徹底した。
この過程で日本独特の3つの気風が生まれたと考える。第一は「正解主義」だ。「物事には正解がある。正解を当てるのが教育」であり、正解は「官」が独占的に決める。「官の無謬性」の起源でもある。第二は「点数主義」。正解は点数で示せるものでなければいけない。定性的な回答は適さず、正否を簡単に決められる定量的な問題を考え、暗記が主流になる。第三が「評価主義」で、点数によってすべてを評価する。軍人や官僚の世界では公務員試験の順位が生涯つきまとった。若い時の1回の試験で将来を決めるのは不合理だが、まかり通った。
戦後、新しい憲法が制定されて社会の形は変わったが、教育の正解主義などはほとんど変わらず、受験地獄に突き進んだ。そうした教育を受けた日本人は、欧米企業に追いつけ追い越せの時代には力を発揮した。しかし、バブル崩壊で「正解のない時代」に入り、輝きを失った。「24時間働けますか」と頑張った結果、視野は狭くなり、新しいアイデアは生まれず、失敗には不寛容で、ずるずると後退した。海外企業ではアイデアを生み出す独自の取り組みがある。米国の事務用品・工業製品のスリーエム(3M)は、異空間創造に早くから取り組んだ企業として知られる。明日は同社の「15%ルール」を紹介する。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年5月7日号(転送禁止)~~~
◎思考力文章講座3ヶ月コースを集団受講した皆さんの感想文です→ 春の研修感想文① 「自分の成長を実感」(東証SのA社6人) – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)
***デイ・ウォッチ(6日)
◎ハマス声明 “停戦合意の提案受け入れる” イスラエルの今後の対応が注目 | NHK | イスラエル・パレスチナ →ハマスが停戦合意案を受け入れると表明した。ラファへの侵攻を準備しているイスラエルの対応が焦点となる。
◎政治資金規正法改正 与党案まとまるか 政策活動費扱いなど焦点 | NHK | 政治資金 政策活動費の使途公開、自民検討 岸田首相、規正法協議の加速指示:時事ドットコム (jiji.com) →連休が明けて政治資金規正法の改革論議が本格化する。外遊から戻った岸田首相が自民党に早急な自公合意へ指示を出した。政策活動費の公開で調整する方針だが、それで自公協議がまとまるか。
◎中国 習近平国家主席 仏マクロン大統領とEU委員長が会談 ウクライナ情勢など意見交換 | NHK | 中国 →中国の習主席が5年ぶりに欧州を訪問。フランスやEU、セルビア、ハンガリー首脳と会談する。NHKの中国総局記者は「米国による中国包囲網の切り崩し」と解説していた。米国は大統領選、中国は経済不振で不安定になっている。欧州は米国と距離を置きながらどう動くか。
◎イスラエル首相 中東TV局アルジャジーラの現地事務所閉鎖発表 | NHK | イスラエル →先月成立させたばかりの法律を使った言論弾圧。国家の安全を脅かしているとみなした外国メディアの一時閉鎖や放送の停止できる法律で、事実上のアルジャジーラ狙い撃ち。戦争に異論排除はつき物だが、表現の自由の侵害は弱さの表明でもある。
◎栃木 那須町 遺体遺棄事件 被害者夫婦の娘の内縁の夫を逮捕 遺体損壊の疑い 事件を主導か | NHK | 事件 →殺人ビジネスの様相を見せる栃木2遺体遺棄事件。事件を主導していた可能性のある娘の内縁の夫を逮捕した。飲食店経営を手伝っていたという。全容解明につながるか。
◎ドジャース 大谷翔平 9号と10号 今季初1試合2本のホームラン 4打数4安打 打率は3割6分4厘に【一問一答も】 | NHK | 大谷翔平 →大谷選手が絶好調だ。今季初の2本塁打、当たりもすごい。しかも4打数4安打。固め打ちが得意なので、しばらく昼のニュースが楽しみだ。
*** 「今日の名言」
◎ナポレオン・ボナパルト(仏の軍人、皇帝。1821年5月5日死去、51歳)
「決して落胆しないこと。それが将軍の第一の素質だ」 「過ぎたことで、心を煩わせてはいけない」 「じっくり考えろ。だが、行動する時が来たら、考えるのをやめて進め」 「戦争に勝つために必要なのは判断力である。イデオロギーではない」 「状況だって?何が状況だ。俺が状況を作るのだ」 「人生という試合で最も重要なのは、休憩時間にも得点を入れることだ」 「会議を重ねすぎると、いつの時代にも起こったことが起こる。最悪の策が採られるということだ」 「偉大な将軍たちが間違いを犯してしまうのは、むずかしい戦略を立て、賢く振る舞おうとするからだ」 「最も大きな危険は、勝利の瞬間にある」 「愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る」 「すべて自然でないものは不完全である」 「約束を守る最上の方法は、決して約束しないことだ」 「兵法に複雑な策略などはいらない。最も単純なものが最良なのだ」 「人間を動かす2つのテコは、恐怖と利益である」 「我輩の辞書に不可能という文字はない」
*** 今週の教養 (異空間理論②)
◎3Mの「15%ルール」
3Mは、1902年に米国ミネソタ州で設立された。社名の起源は「ミネソタ・マイニング・マニュファクチュアリング」で、「M」が3つ並んでいることだ。工業製品メーカーだが、一般には「ポスト・イット」など事務用品で知られる。「15%ルール」は、勤務時間の85%は会社としてオーソライズした仕事に使い、15%は「スカンクワーク」と呼ばれる業務以外の仕事に使おうという取り組みだ。
歴史は粘着テープを開発した1925年にさかのぼる。発明したのはテープとは関係ない研磨剤の技術者。自動車の車体塗装をする際、色がかぶらないように貼っていたテープを剥がすと、跡が残るので何とかしたいと思った。上司は反対したが、自主的に研究を進めて開発し、ヒット商品となった。これ以来、3Mは、自主性を重んじる社風になった。ポスト・イットもこのルールの成果だ。
日経ビジネス電子版の今年1月のリポートによると、同社のカルチャーには3つの仕組みがある。第1は「ネットワークの創出」で、「社内の技術は全員のもの」という考えで技術情報を気軽に共有・連携できる。第2は「上司のあり方」。15%ルールの活動は上司に報告義務はなく、上司も口出しをしない。第3は「社員の活動の評価・認知」で、研究資金を提供する。アイデアを膨らませる初期段階、試作品をつくる実証実験の2段階で出す。研究のモチベーションを維持するためにも「カネ」は欠かせない。勤務時間の15%を厳密に管理しているわけではなく、柔軟で自由な発想を重視している。
日本でも採用する企業がある。丸紅は「2024人財戦略」で「社会・顧客に新しいソリューションを探求、発案しやすい環境をつくるため、社員個人の意思によって就業時間の最大15%を目安として、丸紅グループの価値向上につながる事業の創出に向けた活動に充てることができるようにした」としてい。米国企業ではグーグルの「20%ルール」が著名で、明日紹介する。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年5月8日号(転送禁止)~~~
◎春の思考力文章講座3ヶ月コースの感想文②です→ 春の研修感想文② 「作家気分で楽しむ」(東証SのB社5人) – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)
***デイ・ウォッチ(7日)
◎ボーイング「787」品質検査で不正行為 FAAが調査 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →ボーイング787で不正が発覚した。787は以前にも品質不正があり、納入が遅れた。影響はまだわからないが、450機に波及する可能性があるという。同社は今年1月、小型機の事故で減産に追い込まれている。旅客機はエアバスとボーイングの寡占で、トラブルがあると影響は大きい。
◎ダイハツ 本社工場を約4か月半ぶりに再開 国内の全工場が稼働 | NHK | 自動車 →ダイハツの異常事態がやっと終わった。国交省の検査をクリアし、4ヶ月半ぶりの正常化だ。しかし、トヨタグループの改善はこれから。体質と意識の改革が必要で、全治には時間がかかりそうだ。
◎イスラエル ラファで地上部隊が限定的な作戦開始 交渉に懸念も | NHK | イスラエル・パレスチナ →ネタニヤフ政権はラファで作戦を始め、停戦交渉は難航しそうだ。ハマスをせん滅すれば平和が実現するという考えが理解できない。ほどほどで妥協しなければ、お互いが滅びかねない。そんな怖れはないのだろうか。 ◎ピュリツァー賞にガザ地区の惨状伝えた報道 各部門で受賞 | NHK | イスラエル・パレスチナ →英米を中心にジャーナリズムにとってガザ報道は大きな焦点。現地ジャーナリストは100人が亡くなっている。事実を伝えることの重要性が増している。
◎ロシアのプーチン氏5期目就任 スターリン超え30年まで―運命「自国で決める」:時事ドットコム (jiji.com) →2000年から権力の座にあるプーチンが通算5期目の大統領。現在71歳で、任期は2030年まで。全うすればスターリンの29年を超える。「絶対権力は腐敗する」というが、長期政権はそれ自体、やはり「悪」だろう。指導者が一定期間で交代することで、権力は謙虚になる。
◎水俣病患者団体 伊藤信太郎環境大臣との懇談でマイク切られ謝罪など要望へ | NHK | 環境省 →真実は細部に宿る。厳しい体験をした国民の話は、制限時間を超えてもしっかり聞くべきだろう。政府・環境省側は「不適切だった」としたが、政治家や官僚の意識や本音はふとした場面で露見する。NHKが7日のニュースウオッチ9で詳しく報道していた。
*** 「今日の名言」
◎シャルル・ド・ゴール(第2次世界大戦で「自由フランス」樹立、仏の大統領。1945年5月8日は連合軍のヨーロッパ戦勝記念日)
「人はなろうとした人物にしかなれない。なろうという意志がなければ、その人物には決してなれない」 「政治はあまりにも重大なことなので、政治家に任せておくことはできない」 「フランスは戦闘には負けたが、まだ戦争に負けた訳ではない」 「気骨のある人は困難に対して特別な魅力を感じるものだ。なぜなら困難に立ち向かってこそ、自分の潜在能力に気づくから」 「パトリオティズム(愛国心)とは初めに自国民を愛する心にあり、ナショナリズム(国粋主義)とは初めに他国民を憎む心にある」 「沈黙は、強力な最終兵器である」 「偉人なくして偉業はない。偉大になろうと決意した人物だけが偉人となるのだ」 「外交官は晴天のときにだけ役に立つ。雨が降り出すと、彼らは一滴ごとに溺れてしまう」 「国家に友人はいない。あるのは国益だけだ」 「私はフランスだったのだ」 「246種類ものチーズがある国(フランス)をどうやって治めるというのかね?」 「いかなる国も、原子爆弾なしに自国を完全な独立国とみなすことはできない」
*** 今週の教養 (異空間理論③)
◎「グーグルの20%ルール」
経営学者の名和高司氏は著書「成長企業の法則」で、グーグルの20%ルールについて、以下のように説明している。勤務時間の80%はコアビジネス、20%は全く新しいビジネスにあてる。1週間のうち1日は自分のコアビジネス以外の仕事をすることが義務付けられる。ルールを説明した文書には、「ムーンショット」と書いてある。グーグル社員がよく使う言葉で、「月に着陸するようなでかいことをやろう」という意味だ。「1000の花」という言葉もよく使う。グーグルは単なる広告代理店になるのではなく、周りに1000の花のような全く違う事業を咲かせようという意味だ。小さな花ではダメで、月に着陸するようなとてつもない花でなくてはいけない。結果的に月に届く事業は少しかもしれないが、それでいいとは言っていない。
Gメールなど多くの新サービスが、このルールから生まれたといわれる。グーグルに勤務経験のある人は、「実態はコアの仕事に加えて好きなことをやるので『120%ルール』。しかし、好きなことをやるのに負担感はないので納得できた」と言っている。新事業開発は大きな成果だが、「本質はリスクヘッジだ」と指摘する。全員が同じ方向を見るのではなく、20%の中から別プランを生み出すことができ、組織としてリスクを回避できる。
20%ルールは機械的に勤務時間を割り振るのではなく、理念の共有が優先する。ビジネスに失敗はつき物だが、創業者のラリー・ページは「とびきり大きな発想をしていれば、完全な失敗に終わることはまずない」と話す。社内には失敗した社員を非難してはいけないルールもある。脳科学者の茂木健一郎氏は著書で20%ルールに触れて、「仕事に忙殺される日々を繰り返すことは、脳にも体にも良い影響を及ぼさない。仕事の時間を削ってでも心にゆとりの時間を与えることで、仕事のクオリティは格段にアップする。結果、大きな成果も得られるだろう」と書いている。異空間の効果は大きい。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年5月9日号(転送禁止)~~~
◎春の受講者アンケート。思考力文章講座のよかった点、改善点を聞いています→ 2024年2~4月の受講者アンケート 「満足度は8.8点」 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)
***デイ・ウォッチ(8日)
◎水俣病患者団体など発言中にマイクの音切り 伊藤信太郎環境相 現地で直接謝罪 | NHK | 環境省 →水俣病会合のマイク切りは、伊藤環境相が急きょ現地で謝罪し、岸田首相もコメントする事態になった。以下は半ば偏見だが、伊藤環境相は父が衆院議長の世襲議員。石巻市など含む地方の宮城4区選出とはいえ、小学校から大学まで都会の慶応義塾育ちで、「やはり」の感。田中角栄のような叩き上げならありえない対応だ。担当の環境省・木内室長も慶応大(医学部)卒で、前任のアスベスト対策でも評判が悪かった。慶応は校風として社会的弱者への関心が薄い。
◎栃木 遺体遺棄事件 指示役“内縁夫から千数百万円受け取った” | NHK | 事件 →殺人ビジネス事件の構図がわかってきた。殺された2人と、長女の内縁の夫である主犯格との間で、飲食店経営をめぐる主導権争いがあった。主犯格は全身入れ墨で、ガードマン役のように義理の両親と経営をしていたが、両親が遠ざけ始め、役員を長女から次女に入れ替えて亀裂が生まれ、カネを払って殺人を依頼した。多額の資産争いもあるようだ。
◎認知症、50年に586万人 今秋策定の政府計画に対策―研究班推計:時事ドットコム (jiji.com) →高齢化に伴って認知症も増えるのは当然だが、病気の率も高まるという。「老老介護」という言葉が生まれたが、これからは「認認介護」も出てきそうだ。完治は難しいにしても、有力な予防策が早く発見されないだろうか。
◎LINEヤフー 情報漏えい問題で経営体制見直し 取締役2人が退任 | NHK | IT・ネット →LINEヤフーが、総務省の行政指導を受けて関係の取締役を退任させた。役職にはとどまるが、何がどう問題なのか、いまだによくわからない。「経済安全保障」と言えば泣く子も黙り、過剰介入の声もかき消されそうだ。韓国は反発し、裏がありそうだが、はっきりしない。
◎TikTok 中国親会社がアメリカ政府を提訴 “表現の自由を侵害” | NHK | TikTok →TikTokは、米国の経済安全保障問題。中国親会社が、表現の自由を理由に提訴するのは多少の違和感はあるが、民主主義国では大きな問題でもある。10年以上前なら問題にならなかった事態が各地で起きている。ウクライナ、ガザでの戦闘とともに、「いやな渡世」になっている。
◎ボーイング787型機“検査未了可能性” 三菱重工社長 影響懸念 | NHK | 航空 →ボーイング787は、三菱重工業と川崎重工業、SUBARUなどが機体の一部の製造を担う。三菱重工は昨年度、43機分の主翼を出荷した。影響がはっきりするのはこれからだ。
*** 「今日の名言」
◎テレサ・テン(台湾出身の歌手、アジアの歌姫。1995年5月8日死去、42歳)
「私はチャイニーズです。世界のどこで生活していても、私はチャイニーズです」 「私は自由でいたい。そして、すべての人たちも自由であるべきだと思っています」 「(天安門事件翌年の1990年に両親の故郷である中国本土で予定されていた初のコンサートが中止となって)夢は殺され、夢を見ることさえできなくなってしまった。私のこれからの人生のテーマは、中国と闘うことです」 「私の家は山の向こうにある そこには豊に茂った森があり そこには果てしなき草原がある 春には稲や麦の種子を撒き 秋には刈り取り新年を待つ 張おじさんは愁いがなく 李おばさんはいつも楽観的 ほら穴からタヌキが出てきてからは 一切がすっかり変わってしまった そいつは深く埋もれていた白骨を食らった 人性の善性を侵毒した 私の家は山の向こうにある 張おじさんは喜びを失ってしまった 李おばさんは笑顔をしまい込んだ 鳥は暖かな巣を飛び立ち 春は寒冷の冬へと変わった 親しい友らは自由を失った 美しい団らんを捨て去った 友よ、一時の歓楽を貪るなかれ 友よ、一時の安逸を貪るなかれ できるだけ早く帰って 民主の火を燃やそうよ 我らの育ったところを忘れてはいけない それは山の向こうにある 山の向こうに」(中国共産党が禁止している『山の向うの我が家』の歌詞。テレサ・テン本人の伝記という)
*** 今週の教養 (異空間理論④)
◎「両利きの経営」と「探索」
経営学で「両利きの経営」という言葉がある。右利きと左利きを使い分ける意味で、既存事業と新規事業をうまく両立させることを目指す。スタンフォード大学経営大学院のチャールズ・オライリー教授が提唱した。両者を両立するには、組織の中に異空間をあえて創り、全体のバランスを取りながら経営することが重要になる。
オライリー教授は、大企業でも倒産する理由は、既存事業と並行して新規事業を生み出せないからだと指摘する。両利きの経営には企業内の資源をうまく連携させる必要があり、経営者は3つのことをしなければならないという。1つ目は「アイデアの発見」で、デザイン思考やベンチャー企業とのオープンイノベーション、企業が運営するベンチャーキャピタルが大切になる。2つ目は成長の種を育てる「インキュベーション」。3つ目は新しい事業に既存の資源を投入して拡大することで、ここで多くの企業が苦労する。日本企業の成功例として、写真フイルムから医薬品や化粧品に転換した富士フイルムをあげている。
具体的なポイントを5つあげている。第1は会社を変身させるための経営陣の明確な戦略、第2が全社員によるビジョンと価値観の共有で、新旧事業のカルチャーの共存が重要になる。第3は新旧の事業に応じた組織、第4は社内資源を確保するための公平なアクセスで、新旧事業が社内で対立せず、協力する関係が不可欠だ。最後に経営陣による年数をかけたコミットをあげる。財政難に直面すると、資金を引き上げてしまう例があるが、これでは長続きしない。
既存事業は「深化」、新規事業は「探索」を求められるが、正解主義や点数主義が染み付いた日本人は探索が不得意といわれる。過去に経験した安易な方向に流れ、既存事業の引力が大きくなりがちだ。日本企業は日本人の特性を自覚し、自由な挑戦や試行錯誤を評価する仕組みや文化が不可欠だ。深化を担う組織と同じ厳密な管理・統制をすれば、新規事業はのびのびと育たない。日本人全体が問われている。
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◎新著2冊販売中→ Amazon.co.jp: 自分で考え、発言する力を養う ソーシャル・シンキング : 長谷川智: 本 本気の文章上達法を教えます | 長谷川 智 |本 | 通販 | Amazon
***デイ・ウォッチ(9日)
◎製造業24年3月期最高益、値上げ・円安で 中小に還元へ – 日本経済新聞 (nikkei.com) →有料記事。製造業は過去最高益を記録している。円安が追い風だ。通貨は本来、高いことが望ましいが、輸出企業の影響力が強い日本では、円安を歓迎する地合いが強い。最近の円安は、輸入物価の高騰が個人にしわ寄せされ、企業がもうかる構図だ。
◎与党案「政策活動費」大筋合意「パーティー券」は結論先送り | NHK | 政治資金 →与党案が大筋合意とは言え、肝心の部分はあいまい。とにかく与党案をまとめて野党と協議しようという方針だが、自民党の後ろ向き姿勢は相変わらず。自民党は多数の有利さを生かして可決し、国民が忘れるのを待つ作戦のように見える。懲りない人たちに国民はどこまで怒るか。
◎静岡県知事選 9日告示 新人6人が立候補|NHK 静岡県のニュース →静岡市出身の元副知事・総務官僚と前浜松市長の争い。全国的にはリニアや与野党対決が焦点だが、地元では候補者のいない東部・伊豆地方の票、ドーム型県営野球場の是非が注目だ。前浜松市長のスポンサーは自動車メーカー・スズキで、野球場はスズキが推進する。地域対立とスズキ支配が本当の争点だ。
◎宇野昌磨が引退 平昌五輪銀、世界選手権2度制覇―フィギュアスケート:時事ドットコム (jiji.com) →五輪で金メダルがないので印象はやや薄いが、世界選手権では日本人男性として初めて連覇した。14日に記者会見するが、アイスショーで生きるセカンドステージになりそうだ。
*** 「今日の名言」
◎土方歳三(新選組副長。1869年5月11日死去、34歳)
「将来われ、武人となりて、名を天下に揚げん」 「男の一生は美しさをつくるためのものだ。俺はそう信じている」 「目的は単純であるべきである。思想は単純であるべきである」 「死んだと思いこむことだ。そうすれば勝つ」 「一日過ぎると、その一日を忘れるようにしている。過去はもう私にとって何の意味もない」 「よいか、人を斬る剣は、しょせんは度胸である。剣技は詰まるところ、面の斬撃と突き以外にない。習い覚えた区々たる剣技の末梢を忘れることだ」 「(近藤勇に向かって)あんたは総師だ。生身の人間だと思っては困る。奢らず、乱れず、天下の武士の鑑であってもらいたい」 「皆、自分の道をゆこう」 「勝てるか勝てないか、やってみなければわからないよ。勝敗は考えない。ただ命のある限り戦う。どうやら俺の面白い生涯が、やっと幕を開けたようだ」 「(辞世の句)たとえ身は 蝦夷の島辺に朽ちるとも 魂は東(あずま)の 君を守らむ」
*** 今週の教養 (異空間理論⑤)
◎日本企業の挑戦事例
日本で今、国際的に太刀打ちできるのは自動車産業だけだが、ホンダが早くから異空間を意識していた。ホンダの正式社名は「本田技研工業」で自動車は入っていない。先進技術で社会に貢献する狙いで、今はたまたま自動車が主力になっているといえる。耕運機や除雪機、発電機など幅広く生産しているのも同社の特徴だ。
1986年、技術部門を分社化した本田技術研究所に基礎研究を目的とした組織が作られた。開発テーマは、超軽量自動車、自動運転システム、航空機用ジェットエンジン、ロボット技術の4つ。極秘で研究した成果がその後、花開いていった。2000年に発表された二足歩行ロボット「アシモ」は、大きな話題を呼んだ。「鉄腕アトムを作る」のかけ声で開発が始まった。
ジェット機の開発はもっとも注目される。飛行機は創業である本田宗一郎の長年の夢でもあった。開発拠点を米国に置き、2003年に初飛行を成功させた。エンジンを主翼の上に配置する常識破りの設計が特徴。開発打ち切りの話が浮上したこともあるが、現場技術者が役員を説得した。ジェット機開発は航空当局から型式証明を得る必要がある特別な業界だ。三菱重工業は小型旅客機の開発を目指したが、型式証明の取得で挫折した。それだけにホンダの健闘は光る。今は電気自動車(EV)が主戦場だが、「空飛ぶクルマ」と呼ばれる電動垂直離着陸機(eVTOL)や人工衛星を搭載する小型ロケットにも力を入れている。
トヨタ自動車は自動車作りを4つの次元に分けて取り組んだ、と経営学者・名和高司氏は分析する。①価値観の整合性の高低②生産プロセスの整合性の高低に応じて4次元に分けると、成功したのは①で高く、②で低いハイブリッド車プリウスだった。ともに低いEVはテスラに出資したが失敗。ともに高いのは小型車ヴィッツで成功し、プリウスと逆の位置はトヨタらしくない馬車のような「WiLL」で頓挫した。トヨタなりの異空間への挑戦といえる。
異空間理論は多様性理論でもある。予測不能な「VUCAの時代」になり、柔軟でタフな思考と行動が求められている。多様な価値観や人に出会うため、企業も個人も異なった空間を求めて「ラビリンス」(迷宮)を楽しむマインドが必要だ。