5月20~24日(教養講座:探究型読書)
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***デイ・ウォッチ(17~19日)
◎イラン ライシ大統領ら搭乗のヘリコプター 不時着の情報 イラン国営テレビなど | NHK | イラン →イラン大統領のヘリコプターが不時着し、安否不明という。ダムの完成式に出席していた。2021年6月に就任した63歳で、保守強硬派。テロの情報はなく、悪天候が理由のようだが、中東情勢への影響に注目。
◎つばさの党 根本良輔幹事長や黒川敦彦代表ら逮捕「選挙の自由妨害」の疑い 衆議院東京15区補欠選挙 | NHK | 選挙 →捜索から逮捕まで早かった。都知事選への立候補を表明しており、早めに手を打ったのだろう。つばさの党は「表現の自由」というが、誰も支持しない。「選挙の自由を守るために表現の自由はどこまで許されるか」という法律学の材料になりそうだ。
◎離婚後の「共同親権」導入 改正民法などが成立 | NHK | 子育て →賛否両論のあった共同親権。難しいテーマだが、現状の法制度で問題があるなら、改正するのが筋だろう。どんな改革にも光と影がつきまとう。家庭内暴力など影に対しては、子どもの利益に立って実害を防ぐ運用が問われることになる。判断する裁判所の役割も重要だ。
◎オープンAI、AI安全対策チーム解消 事業拡大優先か 元幹部、リスク軽視と批判 会社側「研究活動に統合」 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →有料記事。以前からくすぶっていたが、オープンAIの安全対策チームがなくなった。AI開発競争の激化で、倫理よりビジネス優先にカジを切ったともいえる。これでAIが暴走するというのは早計にしても、将来、「大きな転機」と言われるかもしれない、
◎東京大学が授業料引き上げを検討 最大で10万円余の増額も 国立 私立の授業料の推移は | NHK | 教育 →東大が大幅な授業料引き上げを検討。大学授業料のあり方を大きな枠組みで検討する必要がありそうだ。欧州では無料の国もあり、日本では少子化の観点から学校の授業料負担を減らす流れもある。国立大と私立大の関係をどう考えるか、東大合格者の親の高い年収をどう考えるか。論点は多い。
◎「大谷翔平の日」 なぜ5月17日に?ドジャース本拠地のロサンゼルス市が制定 議会で祝福受ける | NHK | 大谷翔平 →大谷の背番号17にちなんで、ロサンゼルス市が5月17日を「大谷翔平の日」に制定した。大谷は単なる野球選手にとどまらず、文化的な象徴になりつつある。その17日に13号ホームランを打つのはあっぱれ、さすが。
*** 「今日の名言」
◎小山内美恵子(脚本家、代表作に3年B組金八先生など。2024年5月2日死去、94歳)
「自分で探すんだよ。自分は何のために生きるのか、何のために学ぶのか」 「他人を責める前に自分を大きくしなさい。他人をうらやましいと思う前に、自分を育てなさい」 「これから一切、小細工するな。正々堂々と行く以外ないんだ」 「暴力には腕力と言葉の暴力もあります。どちらも人の心を傷つけます。傷はいつか自分の傷となることがある」 「我々はみかんや機械を作っているんじゃないんです。毎日人間を作っているんです。人間のふれあいの中で我々は生きているんです」 「たとえ世の中がどうであれ、教師が生徒を信じなかったら教師は一体何のために存在しているんですか」 「努力する人間を心からどうか愛しいと思ってください」 「立派な人にならなくてもいいの。感じの良い人になって下さい」 「教師と呼ばれているのが教師ではないんですよ。生徒達から慕われているのが本当の教師なんですよ」 「人を好きになるのは、柔らかい心を持っている証拠」
*** 今週の教養 (探究型読書①)
今週は編集工学研究所が提案している「探究型読書」(2020年、クロスメディア・パブリッシング刊)を紹介する。同研究所は著述家の松岡正剛氏が所長を務め、情報に関連した社会事象が変化する過程を「編集」ととらえ、分析している。探究型読書は、受け身ではなく主体的に本を読んでいく行為だ。
◎なぜ探究型読書か 時代の複雑さに直面している現在、かつて信じられた「大きな物語」や「正しい答」にすがることはできない。次々現れる未曾有の事態に対し、その都度問題を設定し、試行錯誤を繰り返しながら生き延びる術を身につけなければならない。時代の要請に応えることは、事業継続の観点から企業にとって避けて通れない。顕在化した課題を解決することが従来型の優等生タイプであるとしたら、今は自らの力で事象の問題点を見つけ出せることが有能な人材の条件になる。
形骸化したものの見方や価値観に囚われていては、事象の本質を見極めるのは困難である。現在のビジネスパーソンには問う能力の有無が問われている。ビジネスで求められる問う力は、固定化された認知の枠組みの打破だ。ある事象を目の前にした時、多くは事象の本質を真摯に捉え直すのではなく、身の回りで当たり前のように使われている概念と言葉を用いて、誰にでも分かる枠組みの範囲で表現しようする。それではいけない。曇りのない眼差しで世界の多様さを見つめる必要がある。
情報の多くは本というパッケージに収められている。本から情報を抽出し、仕事のテーマに合うよう「編集」することが必要になる。身近にある本を使い、踏み台にして、予想もしなかった地点にまでジャンプする必要がある。「探求型読書」は自分の思考を立ち上げる契機として本の存在を見つめる。本、特に目次を活用し、自分の思考にバリエーションをもたらす目的で、著者の視点を借りる。慣れ親しんだものの見方に自分の意識だけで揺さぶりをかけていくのは簡単なことではない。
自分とは異なる視点を取り入れて対象を観察し、斬新な思考を立ち上げるためには、強力なきっかけや支えが必要になる。それが本なのだ。まだみえていない問題や予想外の課題をまず仮設ベースで提案し、現実と調整しながら手探りで解決道を探っていくアプローチが求められる時代だ。そんな時代に探究型読書が役立つ。
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***デイ・ウォッチ(20日)
◎台湾 頼清徳氏が新総統就任 “中国との関係 現状維持”と強調 | NHK | 台湾 →台湾の頼総統が就任。元台南市長で64歳。炭鉱労働者の父は生後3ヶ月に炭鉱事故で亡くなり、母が生計を立てた苦労人。国立台湾大医学部を卒業、ハーバード大で修士。「中国とは現状維持。AIの島を目指す」と就任演説で述べ、中国は「独立派」と反発したが、誰も得をしない武力衝突はないだろう。
◎ICC イスラエル首相やハマス指導者ら双方計5人の逮捕状請求 | NHK | イスラエル・パレスチナ →実際に逮捕はできそうもないし、どの程度の影響があるかは未定だが、イスラエルの国際的孤立がさらに進みそうだ。ネタニヤフに対して国連も後ろ盾の米国も止め役になれない。世界秩序の健全化に向けた機能不全は深刻だ。バイデン米大統領はイスラエル擁護の声明を出した。
◎イラン大統領、ヘリで事故死 山間部に墜落、外相も同行:時事ドットコム (jiji.com) イラン、権力闘争も 大統領死亡で動揺回避に躍起:時事ドットコム (jiji.com) →ダムの完成式に大統領が出席するのかと驚いた。最高指導者ハメネイ氏の有力後継者だったが、ハメネイ氏の息子が有力という見方も出ている。イランも世襲なのか。中東で大きな影響力を持つだけに世界が注目だ。
◎“湯川秀樹博士が晩年を過ごした住宅” 京都大学の交流施設に | NHK | 京都府 →1949年、日本人初のノーベル賞は、敗戦で沈んだ日本人の大きな誇りとなった。改修工事の設計を担当した建築家の安藤忠雄さんは「ぜひ手がけたいと思った。訪れた人が世界や自分について考えるような空間になって欲しい」と話す。京都大学の交流施設にとどまらず、京都の新名所になりそうだ。
◎ダルビッシュが200勝 大谷はサヨナラ打―米大リーグ:時事ドットコム (jiji.com) →日本人選手が大活躍中。ダルビッシュの変化球はテレビで見ていても多彩に変化する。大谷は変化球打ちがうまくなって打率が高くなった。カブスの今永も絶好調だ。最近の日本はアニメやスポーツが世界的に注目され、文化・スポーツ立国の様相だ。
*** 「今日の名言」
◎宮本武蔵(江戸初期の剣術家。1645年5月19日死去、61歳?)
「我、神仏を尊び、神仏を頼らず」 「身を浅く思い、世を深く思う」 「一理に達すれば万法に通ず」 「何れの道にも、別れを悲しまず」 「我、事において後悔せず」 「身を捨てても名利は捨てず」 「一生の間、欲心を思わず」 「千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす」 「構えあって構えなし」 「観と見、二つの目が必要だ。観の目を強くし、見の目を弱くする。遠き所を近く見て、近き所を遠く見ること、それが兵法の要である」 「打ち込む態勢をつくるのが先で、剣はそれに従うものだ」 「初めの少しのゆがみが、後には大きくゆがむものである」 「道においては、死をいとわず思う」 「武士といえば、常に死ができている者と自惚れているようだが、そんなものは出家、女、百姓とて同様だ。武士が他と異なるのは、兵法の心得があるという一点においてだけだ」
*** 今週の教養 (探究型読書②)
◎探究型読書とは 探究型読書は物事を深く思考したり、自分なりの考えを組み立てたり、問題を追求し続けるための手段としての読書だ。「本の内容をすべて理解しながら読み通すこと」を読書の目的とするのではなく、自分の思考を縦横無尽に展開させることを目的に本を活用する。「本を読む」ことそのものより、「本を手がかりにして、考えること」を推奨するメソッドだ。
探求型読書は本から情報を探し出し、その情報を土台にして読者が自分の思考を展開していく行為に価値を見出す。記述された内容をそのまま受け取るだけではなく、自分が持っている問題意識をフィルターにして本の内容をスキャンし、自分に必要な情報をピックアップしていく姿勢。これは本を主体とした読書法とはかなり異なるアプローチだと思う。探求型読書において、主体は著者ではなく、読み手の方である。手に取った本の内容を完璧に理解することよりも、自分なりの思い切った仮説を立てる事を優先する。例えばあなたが「これからの働き方はどうなっているのだろう?」という問いに切実な関心を寄せている場合、その問いを必ずしも本の中に探すのではなく、「そのためには自分ならどうするか」「自分ならどう考えるか」という初期の問いから連鎖的に発生する問いを、本を読むことを通して生み出していくことが、探求型読書の狙いの一つである。
探究型読書の本の読み方には、変わった特徴がある。心得と言ってもいいだろう。本の内容探索する時にいつも心に留めておいて欲しい事柄だ。次の5つの特徴が他の読書との違いを端的に示している。「その1 読前・読中・読後」「その2 著者の思考モデルを借りる」「その3 かわるがわる」「その4 伏せて開ける」「その5 仮説的に進む」。順次説明していきたい。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年5月22日号(転送禁止)~~~
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***デイ・ウォッチ(21日)
◎池上彰さんかたりうその投資話 1000万円余詐欺疑い 容疑者逮捕 | NHK | 事件 →問題になっていた著名人を語るSNS詐欺。やっと摘発が始まった。LINEを利用した東京在住の中国人経営者(34)が逮捕された。犯人は何人くらいいるのだろうか、プラットフォーム会社は被害防止に動けないのか、被害者はなぜ後をたたないのか。早く全容を解明し、根絶を図るべきだろう。
◎定額減税額、6月から給与明細に明記 企業に義務 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →評判の悪かった減税を手にする時期になった。もともと複雑な事務作業だが、政府は恩着せがましく減税額の明記を企業に義務づけた。事務作業の負担を現金換算すれば、どの程度になるだろうか。特需を生んだという見方もできるか。4万円をもらって、世論はどう反応するだろうか。
◎「飢餓を戦争手段にした」イスラエル首相へのICC逮捕状請求 米欧に温度差、戸惑いも – 産経ニュース (sankei.com) →ICCがネタニヤフ首相らに逮捕状を請求したことについて、米欧で差が出ている。米国はICCに加盟しておらず、「言語道断」と激しくICCを非難。欧州はICCの独立性を支持する立場で、フランスは「民間人攻撃は受け入れがたい」。加盟国日本は? リトマス試験紙のようだ。
◎教員のわいせつ事件裁判に職員大量動員 「傍聴機会失わせた」と釈明 [神奈川県]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →先生たちはこんなことをしているから忙しくなるのではないか。「馬鹿か」と言いたくなる。裁判の公開原則をどう思っているのか。被害者からプライバシー保護を依頼されたというが、「裁判所に相談すれば」とアドバイスすればいい。教師保護、組織防衛が本音ではないか。
◎サッカー カズ 三浦知良が帰国 プロ40年目も現役続行に意欲 | NHK | サッカー(ヨーロッパ) →欧州のシーズンを終えて、「キング・カズ」が帰国した。57歳だが、現役続行を希望している。オファーするチームはあるだろうか。大リーグの大谷らとはずいぶん違うが、こちらもスポーツ界の異次元の存在。疲れ気味のシニアに元気を与えている。
*** 「今日の名言」
◎王貞治(元プロ野球選手、監督。5月20日は誕生日、84歳)
「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない」 「最高のものを求める強い気持ちがないと、結果は出ない」 「時には、嵐のような逆風が人を強くする」 「敵と戦う時間は短い。自分との戦いこそが明暗を分ける」 「結果を残してきた人ほど不安と戦ってきたはずだ。恐怖心を持っていない人は本物じゃない。その怖さを打ち消したいがために、練習する」 「いい時もあるし、悪い時もある。自分もまた、それで初心に戻れました」 「練習を怠る人が上手くなることはないんですよ。修練して上手くなった人がより上手くなるんです」 「チームでも人でも、成長するときは一本調子で上がっていくことはない。最初は見えないくらいジワジワと上がっていき、途中から急カーブで伸びるものです。ジワジワの時期に監督は待ち続けることが大事です」 「名選手になることは難しくない。努力を怠らず、目の前にあるものを、きっかけを逃さずに確実に掴んでいけば、必ずどうにかなる」 「基本的にプロはミスをしてはいけないんですよ」
*** 今週の教養 (探究型読書③)
◎心得その1 読前・読中・読後
本屋さんに行って一冊の本を手に取ってページをめくってみる。その時点で探求型読書が始まっている。この段階を「読前」と呼ぶ。この状態でどこまで本の内容に関する仮説を立てられるかが、主体的読書の一歩となる。カバーや帯、目次を読む時間を意識して長く取ってみよう。その後、自分なりに本の内容を予測する。本の内容の仮説を立てるわけだが、本に対する親近感が増す。主体的に本に関わるための準備段階だ。
実際、本を読むのが「読中」になる。読書は普通このステップをさす。読んだ後は内容を振り返り、連想を広げる。自分の考えを誰かに話したり、他の人の意見を聞いたりする。本の内容と自身の知識を接続し、連鎖的に発想の輪を拡大していくアナロジカルシンキングが重要になる。ある特定の物事を、類似に基づいて他の特定の物事に適用する推論プロセスである。本を他の知識、経験へと類推を駆使しながらつなげていくことで、本は単なる「情報」から生きる力を育む「知恵」になっていく。
◎心得その2 著者の思考モデルを借りる
本の著者の思考モデルを借りて、自身の思考の参考にする事を推奨している。著者や編集者は、本の企画に際し自らの切実な問題点、主張や意見、マーケットが求めるテーマを骨子に据える。本を読みながら企画書に込められた著者の主張や論理の筋道をできるだけ正確に理解しようと進める。その際、読んだ本を数百字で要約しようとしてみると、意識は自然と本の最重要ポイントを探し始める。
それが、著者の主張や論理の道筋、すなわち著者の思考モデルになる。一歩進んで著者の思考モデルを踏み台に、あなた自身の問題意識を深めることを重視している。二つの方向性が考えられる。一つは著者の思考モデルを詳細に分析することだ。批評家の仕事に近い考え方で、本の精読に加え関係資料の調査が欠かせない。もう一つは、著者の思考モデルを参考にしながら、自身の問題意識に引き寄せ、独自の思索を展開していくことだ。探究型読書では数時間で1冊の本を読むプログラムを組むことが多いため、後者のアプローチを推奨することがほとんどになる。
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***デイ・ウォッチ(22日)
◎検察、再審公判でも袴田さんに死刑求刑 弁護側無罪主張 判決は9月:朝日新聞デジタル (asahi.com) →有罪立証を試みた再審公判で検察は死刑を求刑した。判決は9月26日に決定。再審無罪の東京高裁判決はまず覆らないと言われていたが、検察が無理やり有罪立証に踏み切り、1年近い時間が浪費された。誰のための検察かが再び問われている。
◎規正法改正、成立見通せず 各党案、衆院で審議入り:時事ドットコム (jiji.com) →注目の政治資金改革をめぐる国会審議が始まった。自民党は相変わらず消極的で、単独で法案を提出。与党の公明が距離をおく異例の展開だ。野党は一応まとまっている。政権交代の可能性もある次の総選挙をにらんだ論戦で、先行きが見えないガチンコ状態だ。
◎農林中央金庫 1兆2000億円規模の資本増強検討を発表 | NHK | 金融 →運用先もノウハウも乏しい農林中金が、また大きな穴を開けてしまった。リーマンショックの後も大損をし、1.9兆円の資本増強をした。農家の資金が農林中金に集まり、農業に投資すれば問題ないが、資金需要は少なく外国債で運用するしかない。損した結果、各地のJAにしわ寄せがいく。いびつな資金構造だ。
◎長期金利 一時1%まで上昇 1%台は約11年ぶり | NHK | 金融 →金利の正常化がじわりと進んでいる。長期金利1%は11年ぶり。金利上昇には光と影がつきまとうが、影の代表は政府の利払い負担の増加。やりすぎたアベノミクスの尻拭いが大きな痛みを伴いながら始まる。財政の硬直化は必至だ。
◎俳優 中尾彬さん死去 マフラーねじって首に巻くファッション 映画やドラマなどで活躍 | NHK | 訃報 →わざと挑発的な発言をした後でニコニコ笑う。こわそうな、人の良さそうな人だった。今年に入って弱っていたというが、CMでよく見ているせいか、突然の訃報と感じる。千葉県木更津市出身だが、江戸っ子のイメージが強いのは、夫人の池波志乃さんのイメージか。
*** 「今日の名言」
◎ヴィクトル・ユーゴー(仏の詩人、小説家。1885年5月22日死去、53歳)
「大きな悲しみには勇気をもって立ち向かい、小さな悲しみには忍耐をもって立ち向かえ」 「不運は人物を作り、幸運は怪物を作る」 「友よ、逆境にあっては、常にこう叫ばねばならない。希望、希望、また希望と」 「人は強さに欠けているのではない。意志を欠いているのだ」 「人生最大の幸福は、愛されているという確信である」 「愛すること、それは行動することだ」 「愛すること、それは信じることである」 「生きている者とは、闘っている者だ」 「毎朝、その日の行動計画を立て、それを実行していく者は、迷路に迷い込んだとしても出口につながる魔法の糸を手にしている」 「人は軍隊の侵入には抵抗するが、思想の侵入には抵抗しない」 「女性が話しかけてきたときは、彼女の目が発する言葉に耳を傾けることだ」 「常識の有無は、教育の有無とは関係がない」 「もし新聞がなかったら、フランス革命は起こらなかっただろう」 「第一歩は何でもない。困難なのは、最後の一歩だ」
*** 今週の教養 (探究型読書④)
◎心得 その3 かわるがわる
「正しく理解する」ことより、「仮説的に読み取る」ことを重視する。短時間で本の内容をトレースする読み方をすると、よくわからなくなってモヤモヤする。不満を解消するため本に向かって手がかりを見つけた時、胸のつかえが取れてスッキリする。この感覚を短時間のうちに意図的に起こす。モヤモヤは読者の中に問題意識という気づきが生まれていることを意味する。時間をかけてゆっくり読書をしている時であれば、メモや書き込みをして後でスッキリする瞬間が訪れるのを待つ。探究型読書は決められた時間内に本をスキャンするように読むので、短い時間に小さなモヤモヤと小さなスッキリがすごいスピードで交差する。そういう状況に追い込まれると脳はとんでもない速度で情報処理のタスクをする。モヤモヤとスッキリをかわるがわる感じ、主体的に思考する最初のステップになる。
◎心得その4 伏せて開ける
読んだのに本の内容が思い出せないことがある。記憶に定着するとっかかりがないからだ。何かを記憶したい、記憶している時間を少しでも長引かせたいなら、記憶のとっかかりを作る操作をすればいい。探求型読書で読んだ場所をいったん伏せ、その内容を目をつぶって回想し、該当するページを開けて内容を確認する操作を繰り返す。このシンプルな行為は、記憶を定着させるのに役立つばかりか、想像力を触発する効果もある。「伏せて開ける」を繰り返すことで、本との距離がぐっと縮まり、仮説が浮かびやすくなる。
◎心得その5 仮説的に進む
仮説を打ち立てるとは、ある程度蓋然性の高い事実を手元に集めた後で、未知の結論に向かって勇気をもってジャンプすることだ。別の言い方をすれば、想像力で論理の隙間を埋める作業ともいえる。仮説を立てるには勇気が必要になる。思い切って仮説を打ち立てることで、少なくとも思考の方向性は決まる。その方向が的外れなら、随時修正していけばいい。
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***デイ・ウォッチ(23日)
◎【23日 詳細】中国軍 台湾周辺海域で軍事演習を開始 頼清徳総統 政権への圧力を強める | NHK | 中国・台湾 →中国は歴史的に隣国・地域との関係で不満がある場合、少し介入して様子を見るらしい。ジャブを繰り出して「なめんなよ」というポーズを取る。人間社会でよくいそうなタイプだが、新総統の就任でけん制した。挑発に乗らず、静観することが大切だろう。
◎日中韓首脳会談、27日に開催 経済協力拡大へ共同宣言 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →4年半ぶりの日中韓首脳会議が27日に開かれることになった。首脳といっても中国は首相。指導者が直接顔を合わせることは重要だ。会わないと疑心暗鬼が生まれるが、本音の対話をしてお互いの違いを理解すればよい。政治家は隣国関係を長い目で考える使命がある。
◎損保4社 「加入者の個人情報を競合他社に」漏えい確認と発表 | NHK →損保業界でまた不祥事が発覚した。個人情報を競合他社に流していたという信じられない行為。背景に業界特有の事情があるのかもしれないが、度重なる不祥事でこの業界には競争がないのではないかと思ってしまう。業界ぐるみで保険契約者を食い物にしているというのは言い過ぎか。
◎米エヌビディア、純利益7倍 生成AIで半導体好調―2~4月期:時事ドットコム (jiji.com) →AIの追い風はすさまじい。エヌビディアは売上260億ドルに対し、純利益が148億ドルと半分以上も占める。主力製品は複雑なデータの並列処理ができる画像処理半導体(GPU)。好決算を受けて、世界の株式市場で半導体関連銘柄が上昇した。
◎英総選挙、7月4日実施 14年ぶり政権交代か:時事ドットコム (jiji.com) →英国が7月4日に総選挙を実施。14年ぶりに保守党から労働党への政権交代が予想される。労働党が勝てば、EUとの関係を修復する見通し。保守党政権はEUから離脱、ジョンソン氏ら首相がコロコロ変わり、不安定だった。英国で政権交代はよくあり、労働党で不安視する声はないという。どこかの国とは違う。
*** 「今日の名言」
◎伊達政宗(戦国大名。1636年5月24日死去、68歳)
「仁に過ぎれば弱くなる。義に過ぎれば固くなる。礼に過ぎればへつらいとなる。智に過ぎれば嘘を吐く。信に過ぎれば損をする」 「気長く、心穏やかにして、よろずに倹約を用い、金銀を備えるべし」 「この世に客に来たと思えば、何の苦しみもなし」 「大事は小事より発するものなり。油断すべからず」 「大事なことほど人に相談せず、一人で熟考するのがよい」 「馳走とは、旬の品をさり気なく出し、主人自ら調理して、もてなすことである」 「まともでない人間の相手をまともにすることはない」 「おのおのの申すことはもっともだが、延引することも時と場合による。今は火急のときだ。わからぬ将来のことを心配しているより、まず目前のことをする」 「歴史を読めば、最大の敵は外から来ない。不平分子が家を亡ぼすのだ」 「時を移さずに行うのが勇将の本望である。早く出立せよ」
*** 今週の教養 (探究型読書⑤)
◎本の効用
本の効用を5つのポイントで整理してみる。
①思考のジャンプ台になる→私たちは何もない状態で何かを考えることが苦手だ。せめて思考のとっかかりが欲しい。例えば、「映画における色彩の意味は何か」といきなり聞かれると、ちょっと戸惑う。映画という大きなくくりで考える前に、まずは特定の映画監督、例えばスタンリー・キューブリックを踏み台に考えることができる。本でもアプローチの仕方は同様だ。本は著者の問題意識が織り込まれたテキストで構成されている。テキストを読むことで人の思考エンジンは起動する。著者の思考の真似でも構わない。始める、始まることが大切だ。
②視点を底上げする→独自にテーマを持って、意識的に世界を見ている時、偉大な著者の思想が記述された本は、それまで大切だと思っていた価値観に揺さぶりをかけてくる。そのような体験は私たちの視野を広げたり、視点の高度を上昇させたりする。
③私の隠れ蓑になる→探究型読書はひとりで実践できる読書法だが、何人かでチームを組んで行うと個人とは異なる「気づき」が得られる。「他の人に自身の考えを披露するのはちょっと勇気がいる」と考える人は少なくない。しかし、本に書いてある内容を参考に少しだけ自分の考えを盛り込んで話すことで、何かを話すことができることに気づく。引用の効果と同じだ。シビアなテーマで対話をしなければならない時、隠れ蓑効果は結構大きい。
④ともに進む乗り物になる→自分と同じような関心を持ち、自分よりも豊富な知識を持っており、深い洞察力の持ち主でもある。こんな著者の本は多くの場合、あなたに寄り添ってくれる偉大な先輩だ。彼らの思索の成果に触れることで、たくさんの勇気をもらうことになる。チームで読み合う場合、お互いの関心や興味を本を介して共有することができる。
⑤対話の媒介になる→隠れ蓑と同様、探求型読書をチームで実践する際の効用になる。円滑でストレスフリーなコミュニケーションは、何かを介して行われることが多い。素晴らしい小説はテーマを直接描かない。テーマを共有しつつ周辺で対話をこつこつ積み重ねていくことで、質の高い議論が成立する。本はそんなハイクオリティな対話の情勢を支援する。