5月27~31日(教養講座:志賀直哉の随筆)
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***デイ・ウォッチ(24~26日)
◎イスラエルにラファ攻撃即時停止 暫定措置命令 国際司法裁判所 | NHK | イスラエル →国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルのラファ攻撃に停止命令を出した。先にネタニヤフ氏らに逮捕状を請求した国際刑事裁判所(ICC)との関係がややこしいが、ICJが国連の機関で国を対象とし、ICCは独立機関で個人を対象にする。国連機関なのでICJの命令は重く、グテーレス国連事務総長は「拘束力がある」と迫る。満州事変で国際連盟のリットン調査団が満州国建国を認めない勧告を出した事態に似ている。イスラエルの国際的孤立が深まっている。
◎静岡県知事選挙2024 元浜松市長の鈴木康友氏が初当選 立民・国民推薦 | NHK | 選挙 →中央では与野党対決、リニアが焦点といわれたが、地元では東西の地域対立、浜松市でのドーム型野球場の是非が注目された。当選した鈴木氏は野党系候補だが、松下政経塾出身で、自民党より自民党的な面がある。リニアは推進、浜岡原発も再稼働を容認するだろう。ドーム型球場は後ろ盾のスズキが強く求めている。スズキ県政になりそうだ。
◎【動画】大相撲夏場所 新小結 大の里が初優勝 幕下での初土俵から7場所目は最速 | NHK | 大相撲 →去年3月まで日体大生だった力士が優勝してしまった。幕下10枚目付け出しからわずか7場所。その後、幕下付け出しは最下位からになったので、最速7場所の記録は破られないだろう。逸材には違いないが、横綱・大関が強ければ、こうはならない。戦国場所もいいが、やはり上位は強くないと。
◎小池百合子都知事が無所属で3選出馬へ…都議会で表明向け調整 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →小池氏は常に国政のかく乱的要因だったが、都知事出馬で中央政界も落ち着きそうだ。カイロ大卒業疑惑が蒸し返され、都庁内の不和も浮上しており、イメージダウンが激しい。どんなアクションで対抗するのだろうか。
◎米 ハーバード大の卒業式で学生が途中退席 イスラエルへの抗議 | NHK | アメリカ →ハーバード大以外でも卒業式で抗議行動があった。米国はイスラエルとの関係が深く、「日本の大学生はどうした」と言うのは安易だが、社会に対するセンサー機能は学びたい。米国の覇権は衰えたとはいえ、高等教育の力はなお相当な水準。日本はよく観察すべきだろう。
◎国交省 日本航空への臨時の監査始める 旅客機どうしの翼が接触などトラブル相次ぎ | NHK | 航空 →日航のトラブルは問題だが、国交省の臨時監査は「やってる感」がにおい、アリバイ的だ。監査への対応で日航に大きな負担がかかる。当面は厳重な注意喚起で十分ではないか。4月に就任した鳥取美津子社長に最初の試練。1月2日の奇跡的救出劇で賞賛されたが、昔話になったか。
*** 「今日の名言」
◎東郷平八郎(元帥海軍大将。1905年5月27日、日本海海戦で勝利)
「(日本海海戦に際して)敵艦見ゆとの警報に接し、連合艦隊はただちに出動これを撃滅せんとす。本日天気晴朗なれども波高し。皇国の興廃この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ」 「至誠にもとるなかりしか。言行に恥ずるなかりしか。気力に欠くるなかりしか。努力に憾みなかりしか。不精にわたるなかりしか」 「(ワシントン軍縮条約に激怒する将官らに)軍備に制限は加えられても訓練には制限はありますまい」 「遇直と笑わるるとも、終局の勝利は必ず誠実な者に帰すべし」 「天は正義に与し、神は至誠に感ず。わしは天祐や神助が必ずあるものと信じている。それは正義あっての天祐、至誠あっての神助だ」 「東郷は運の良い男でございます。しかるに、必ずや勝利致しましょう」 「咲くもよし散るもよし野の山桜、花のこころは知る人ぞ知る」
*** 今週の教養 (志賀直哉の随筆①)
志賀直哉(1883~1971)は「小説の神様」と呼ばれるが、随筆も多く残している。志賀直哉全集第7巻(岩波書店)から選んで紹介する。旧字は現代字にした。一部はわかりやすくし、短くするため略した。
◎天皇制(昭和21=1946年) 今度の戦争で天子様(天皇)に責任があるとは思われない。しかし天皇制には責任があると思う。天子様のご意志を無視し、少数の馬鹿者がこんな戦争を起こすことのできる天皇制、しかも最大限に悪用し得る脆弱性を持った天皇制は、国と国民とに災いとなった。
天子様と国民との古い関係をこの際捨て去ってしまうことは寂しい。今度の憲法が国民のそういう色々な不安を一掃してくれるものだと一番うれしいことである。しかし世界各国の君主が、老人の歯が抜け落ちるように落ちてゆくのを見ると、天皇制というものは今がそういうことになったのだというふうにも感じられる。天子様と天使様のご遺族がご不幸になられることは実に嫌だ。この問題が穏やかに落ち着くところに落ち着いてくれるといいと思っている。
◎甲子園(昭和11=1936年) 甲子園の野球は毎年朝日新聞社から入場券をもらうので一度は見に行くが、暑い盛りに一日炎天下は体にこえる。昨年は11になる男の子も一緒だったし、終わりまで見ずに浜甲子園の動物園や水族館を見に行った。先年、中京商業と明石中学との試合は18回で9回の倍だけ見たのだから、もうよかろうとこの時も男の子連れであったが、大阪に帰り、料理屋で食事をしながらその続きをラジオで聞き、そして食事が進んでもいまだ勝負はつかず、往来へ出てしばらくして勝負表でようやく結果を知ったことがある。(注:延長25回)
私は十年以上奈良に住んでいるが、奈良県の学校は隣県の和歌山が強い関係で、その間多分一度しか出場したことがなかった。東京の出身校はいつも予選で負けてしまうので、私にとって甲子園でのひいきはないと言っていい。ただ初めて台湾の嘉義農林が出てきた時は、陰ながら何となしに大いに力こぶを入れた。そして決勝戦まで行ってついに負けてしまった。
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***デイ・ウォッチ(27日)
◎【詳細】日中韓首脳会議終了 共同宣言を採択 | NHK | 日中関係 →幅広い協力を強調した共同声明を採択した。数年後に振り返って、大きな転機になる可能性がある。中国の経済不振と日韓の蜜月が背景となった。世界が分断し、米国内が分断する時代にあって、東アジアから協調を発信できるか。隣国同士は常に対立と協力がある。どちらに重心を置くかで未来は変わる。
◎蓮舫氏、都知事選出馬を表明 「小池都政をリセット」:時事ドットコム (jiji.com) →女性の元ニュースキャスター同士の対決構図になった。ともに知名度が高く、全国的に注目を集めそうだ。前回圧勝した小池知事だが、最近は人気の陰りが激しい。名実ともに与野党対決になりそうだが、国政・自民党が現状のままなら蓮舫氏が有利だろう。
◎立民 政治資金パーティー 開催自粛を申し合わせ | NHK | 政治資金 →言行不一致が問われた立憲議員のパーティー。岡田幹事長らは土壇場で中止したが、「党内で政治資金の集め方を議論したい」とやや不服な表情。自民党を攻撃する以上、わかりやすい政治が問われている。
◎トラブル相次ぐ日本航空、鳥取三津子社長「深くおわびする」…国交省が厳重注意 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →国道交通省が、トラブルが相次ぐ鳥取日航社長に厳重注意をした。トラブルは安全に関わり、監督官庁として必要な対応とはいえ、国交省航空局長がふんぞり返り、鳥取社長が90度近くも頭を下げて文書を受け取る写真には、違和感がある。官尊民卑の戦前のようだ。
◎青森 白神山地のシンボル「マザーツリー」 完全に枯れたと発表 | NHK | 青森県 →樹齢400年、高さ30メートルのブナの巨木。6年前の台風で被害を受け、延命を図ってきたが、今年は芽を出さなかった。地元村長は「天寿をまっとうした」と悼んだ。
*** 「今日の名言」
◎マルティン・ハイデッカー(独の哲学者。1976年5月26日死去、86歳)
「人はいつか必ず死が訪れることを思い知らなければ、生きていることを実感することもできない」 「人は死から目を背けているうちは、自己の存在に気を遣えない。死というものを自覚できるかどうかが、自分の可能性を見つめて生きる生き方につながる」 「人間は、時間的な存在である」 「良心は、ただただ常に沈黙という形で語る」 「経験を積んだ人は、物事がこうであるということを知っているが、なぜそうであるかということを知らない」 「大きな成果をあげる者は、その成果と同じくらい悩んだり失敗を重ねたり苦労をしている。苦労から目をそらさず、たくさん悩んだ者こそが成功できる」 「偉大に思索する者は、偉大に迷うに違いない」 「小さな悩みを抱えている者は、小さな迷いで終わる。悩みの規模が大きければ大きいほど、迷いの規模も大きくなる」 「単純なものこそ、時代を経ても変化することなく存在し続けている」
*** 今週の教養 (志賀直哉の随筆②)
◎「特攻隊再教育」(昭和20=1945年) 特攻隊として特殊な精神教育を受けてきた青年たちを、そのまま復員してしまったことは、政府として、無責任極まる措置であったと思う。「死を見ること帰するが如く」という死に対する淡々たる心境は特攻隊がその任務に服するには最もふさわしいであろうが、まったく変わった今日の社会に、そのままの心境でいることは、誠に気の毒である。彼らが新しい生活を自身の力で見出せれば申し分ないが、思想そのものが今のように混乱していると、なかなか困難だろうと思う。おそらく彼等は今日の世相を軽佻浮薄、無節操なものと考え、白眼視しているのではないかと思う。
一方、終戦間際の彼らの飛行基地での生活は、例外もあると思うが、初めの頃の特攻隊の生活とは大分変わってきたような話も聞いた。彼らが戦争以外のこと、例えば人生とか故郷とか戦争に関係ない事柄に一切頭を向けないように、飲酒と女遊びを隊長達は勧めていたという話を聞いた。事実とすれば、悪い習慣を身につけて復員した青年たちが、今後どういうことになるか。復員の際のカネもいつまであるはずはなく、悪い習慣だけが残り、死ぬことが何でもないとすると、どういうことをしでかすか。まことに寒心に堪えぬものがある。今でも「特攻隊崩れ」という言葉が出てきているが、かつて特攻隊に対し何ともいいようのない悲壮な感情をもった国民が今さら、平気でそういう言葉を口にし、また口にしないではいられないようなことにはなりたくない。
青年たちの心境を健全なものに還す特別な教育をもう一度やる責任が政府にはあると思う。文部省と復員省は速やかにそういう学校を設け、彼らの頭を完全に切り替える工夫をすべきだ。もちろん自身でその切り替えのできた人々に対しては、そんな必要はないが。この戦争で日本が殺した青年の数は実に大変なものだ。中には日本の誇りともなるような人々がいたに違いない。そういう卵を日本は戦争でむなしく失った。今後わが国にとり、恐るべき人物の空白となる場合を考えると、今いる青年たちの中からひとりでも多く有為の人物を作り出すことに努力する責任がある。特攻隊のごとき変態的な教育を施し、終戦とともに復員し、何ら前後措置を取らないのは無責任極まることで、社会にいかなる悪影響を及ぼすか深く考えるべきだと思う。
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***デイ・ウォッチ(28日)
◎ギリシャ公式訪問中の佳子さま 大統領を表敬訪問 | NHK | 皇室 →佳子さまのギリシャ訪問にメディアが同行し、連日報道されている。佳子さまは皇室離脱を望み婚活をしているといわれたが、最近は公務に専念中。秋篠宮家をめぐる雑誌報道が盛り上がり、悠仁親王の進学先が筑波大などと取り沙汰されている。国会では皇位継承問題が議論され、皇室周辺が騒がしい。
◎石川 輪島 仮設住宅で1人暮らしの70代女性死亡 「孤立死」か | NHK | 令和6年能登半島地震 →孤立死は能登半島地震では初めてというが、これからどこでも増えそうだ。孤独・孤立問題の対策を進める法律が4月から施行され、政府は5月を対策強化月間に指定し、今年から本格的に活動している。ひとり暮らし世帯が増えており、全国的な課題だ。
◎九州新幹線「ダイナミックプライシング」博多・熊本間で導入へ | NHK | 鉄道 →新幹線では初めてのダイナミックプライシングが導入される。博多と熊本間は3800円だが、混み方によって上下400円の幅で動く。若い人はすぐ対応できそうだが、お年寄りには面倒そうだ。どこまで定着するか。
◎北朝鮮「新型ロケットが空中爆発」軍事衛星失敗即座に認め、液体酸素+石油エンジンに問題 – 産経ニュース (sankei.com) →日中韓首脳会議にあわせたとみられる軍事衛星の打ち上げだが、あえなく失敗した。Jアラートが発令され、首相官邸が真夜中にあわただしく動いた。国民に精勤ぶりを見せる意味もあって大変だと思うが、いつまで続くのだろうか。
◎キャリア官僚合格、東京大学出身者が過去最少 試験倍率は最低に – 日本経済新聞 (nikkei.com) →東大の官僚試験合格者は189人で全体の9%。2014年度は26%だったので、激減だ。それでもまだ1位で、2位は京大120人、3位は立命館大84人。東大は官僚養成大学が起源だが、歴史的役割を終えたようだ。親しみのある官僚が増えれば、国民にも恩恵がある。
*** 「今日の名言」
◎堀辰雄(小説家。1953年5月28日死去、48歳)
「風立ちぬ、いざ生きめやも」(風が立ったが、生きられはしないなあ=『風立ちぬ』は結核で入院した長野県の療養所での体験をもとにした小説で、そこで婚約者を失うという悲しい経験がもとになっている。近年、宮崎駿監督により映画化され、堀辰雄の名前が再び知られることになった) 「僕はこうしてお前と一緒にならない前から、何処かの淋しい山の中へ、お前みたいな可哀らしい娘と二人きりの生活をしに行くことを夢みていたことがあったのだ」 「幸福の思い出ほど幸福を妨げるものはない」 「おれは人並以上に幸福でもなければ、また不幸でもないようだ」 「昔の記憶が、今の自分の邪魔をする」 「先生の仕事を模倣しないで、その仕事を終わったところから出発する者のみが真の弟子であるだろう」
*** 今週の教養 (志賀直哉の随筆③)
◎柳宗悦の遺産(昭和36=1961年) 昭和36年5月3日午前4時、柳宗悦は脳溢血で亡くなった。柳は4年半ほど前、脳血栓で倒れ、一時は絶望かと思ったが、頑張り通して左の半身不随で食い止めた。まもなく、書き物などほとんど不自由なくするようになった。脳を侵されながら、頭脳明晰になったようなところがあって、毎日民芸館に朝から出かけ、人々に会い、民芸館の買い物などもしていた。そして、立派な本を2、3冊出版している。柳は生来の勉強家で、仕事に対する意欲はむしろ異常といってもよく、そのため健康を害した点もあると思うが、己を捨て、仕事のためなら健康も捧げていいというような心境になっていたと思う。最近出版した「法と美」という本に挟んであった「御挨拶」という文章を写してみる。
御挨拶 目下の私の病状で、私に許されている唯一の可能な仕事は、私が今までめぐりあえた美の世界について、考えることと書くことでありました。それも当分は誰も考えてくれず、また書きそうもない本を残すことでありました。長い病気中に私は多くの方々から、浅からぬ志を受けましたので、その御返礼にもと存じ、春彼岸の日にこの小冊子をお届けいたすことになりました。まだ病弱な身体の私は、皆さんにお会いできる自由がなく、代わりにこの一冊でお会いできればと念じ、感謝の思いを込めて、これをご送付する次第であります。 昭和36年3月吉日 柳宗悦
柳は私よりも6つ年下で、柳が中等科の2、3年の頃、私の集めていた浮世絵を見に訪ねてきたのが最初で、以来55年ほどの交わりであるが、不思議に一度も喧嘩をしたことがない。我孫子では5、6年ほとんど毎日会っていたし、その後、親類となり、いま、共通の孫が3人ある。私は柳の民芸運動はたいしたものになるとよく言っていたが、案外早く実現し、柳がある程度、その成果を見て安心して亡くなったのは、せめてものことであった。柳の仕事に対する意欲は脳血栓という病気でさえもそれを妨げることはできなかった。柳の他力本願の思想は人間運動の背骨として一貫していた。柳宗悦の残した民芸運動は日本ばかりでなく、外国にまで及んで、実にたいした遺産となった。
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***デイ・ウォッチ(29日)
◎規正法違反で交付金減額 自民が修正案提示、野党反発―衆院通過、来週持ち越しも:時事ドットコム (jiji.com) →政治資金をめぐる与野党の調整がヤマ場を迎えている。自民は修正案を示したが、野党は「ゼロ回答」と反発。公明は自民に歩み寄る姿勢を見せている。野党は自民が飲めない高めの球を投げ続け、与党は低めの球で成立させ、次の総選挙で有権者に政権選択を迫る方向か。
◎“旧優生保護法下で不妊手術強制“ 最高裁大法廷で弁論 原告が長年の苦しみ語る | NHK | 憲法 →障害を理由に不妊手術を強制された人たちが切々と訴えた。旧優生保護法を憲法違反と認めるかどうか、不法行為から20年を過ぎれば賠償請求できないという「除斥期間」を認めるかどうか、が焦点。最高裁は今年夏にも判決を出す。弁論を開いたことは原告寄りの判断を示す可能性が高い。
◎“日本は独立した人権機関設立を” 国連人権理事会の作業部会 | NHK | 国連 →日本の人権状況に関する国連の指摘は辛らつだ。政府から独立した人権機関がなく、男女の賃金格差が大きいなどと指摘。政府は「一方的な主張も含まれる」としているが、日本の人権はお寒い状況と知っておいたほうがいい。
◎日銀 ETF「含み益」37兆円余 株価の値上がり影響で2倍以上に | NHK | 日本銀行(日銀) →アベノミクスで日銀が大量に買った日本株の含み益が、前年の2倍以上の37兆円にのぼっている。政府の財源として利用すべきだという声も出ているが、市場で売れば株価が崩れかねない。今の株価は、日銀による底上げ相場だと改めて実感する。
◎日本ハム新庄剛志監督、阪神のユニホーム姿でメンバー表交換…甲子園沸かせ「ここで育ててもらった」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →日ハムの新庄監督が古巣阪神のユニホームを着て、甲子園に登場した。過去2年間は最下位だったが、今年は2位と好調。この日も阪神を8対2で破った。気が早いが、パで優勝するか日本シリーズに進出すれば、新庄物語劇場だろう。
*** 「今日の名言」
◎楠木正成(鎌倉時代の武将。1336年5月25日死去、42歳?)
「非は理に勝たず、理は法に勝たず、法は権に勝たず、権は天に勝たず(非は理に勝てない。理は法に勝てない。時の権は天道に勝てない。天道をあざむくことはできないから、天道に従って行動すべきである)」 「良将は戦わずして勝つ」 「大将は、大なる知恵も細なる知恵もなくてはかなわぬものなり。知恵は生まれつきにありというも、その知恵を磨かざれば、正智(正しい知識)出ずることなし。知恵に自慢おごりて、磨かざる大将は、みな代々持ち来る国を失い、家を失くすものなり(大将は、大きな知恵や小さな知恵を持たなくてはならないものだ。知恵は生まれつきのものというが、それを磨き続けなければ正しい知恵は出てこない。持っている知恵を自慢するだけで磨かなければ、大将は代々持っている国を失い、家も失ってしまう)」 「足ることを知って、及ばぬことを思うな(足りている部分に目を向け、足りないことを考えるのはやめよ)」 「鳴に起きざれば、暮れに悔いあり(鶏が鳴く時間に起きて活動を開始しなければ、日暮れに悔むことになる)」
*** 今週の教養 (志賀直哉の随筆④)
◎太宰治の死(昭和23=1948年) 太宰君の小説は8年ほど前にひとつ読んだが、題も内容も忘れてしまった。読後の印象はよくなかった。作家のとぼけたポーズが嫌だった。図々しさから来る人を食ったものだと一種の面白みを感じられる場合もあるが、弱さの意識から、その弱さを隠そうとするポーズなので、若い人として好ましい傾向ではないと思った。去年の秋、座談会で太宰君の小説をどう思うかと尋ねられ、とぼけたようなポーズが嫌いだと答えたのであるが、太宰君はそれを読んで不快に感じたらしく、雑誌で「ある老大家」という間接的な言い方で、私に反感を示したという。
太宰君の心中を知った時、私は嫌な気持ちになった。私の言ったことが多少ともその原因に含まれているのではないかと考え、憂鬱になった。この憂鬱は4、5日続いたが、一方ではこれはどうも仕方のないことだと思った。あまり大きく感じることは自分に危険なことだとも思った。それゆえ、死後発表される「如是我聞」で、私に悪意を示しているという噂を聞いた時、嫌な気もしたが、それくらいのことは私も言われた方がいいという一種の気安さも一緒に感じた。しかし、私は太宰君の心中にはどうしても同情はできなかった。死ぬならなぜ、一人で死ななかったろうと思った。
私の言ったことが心身ともに弱っていた太宰君には何倍かになって響いたらしい。太宰君にはまことに気の毒なことで、太宰君にとっても、私にとっても不幸なことであった。井伏鱒二君が2行でもいいから褒めてもらえばよかったと言っていたということを聞き、私の心は痛んだ。その後に読んだ「人間失格」の第2回目では私は少しも悪いとも思わなかったのだから、もっとたくさん読んでいれば太宰君のいいところも見出したかもしれないと思った。
太宰君でも織田作之助君でも、初めの頃は私にある好意を持っていてくれたような噂を聞くと、個人的に知り合う機会のなかったことは残念な気がする。知っていれば私はおそらく病気の徹底的な療養を2人に勧めたろうと思う。私は太宰君の死については書かぬつもりでいたが、「文藝」8月号の中野好夫君の「志賀と太宰」という文章を見て、書く気になった。中野君の文章には非情な誇張がある。面白づくで、この誇張がそのまま、伝説になられたら困るのでこれを書くことにした。
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***デイ・ウォッチ(30日)
◎iPhoneにマイナンバーカード機能搭載 米アップルが発表へ 行政手続き可能に – 産経ニュース (sankei.com) →岸田首相がアップルCEOと会談して合意した。情報流出のリスクはないと言うが、その気になれば把握できるのではないか。経済安全保障と騒いでいるが、大丈夫か。「同盟国だから」という理屈がありそうだが、「永久の同盟国はあるか」と反論もできる。名より実、花より団子か。
◎7月の電気料金、全10社上昇 補助金終了、夏の家計直撃―ガスも:時事ドットコム (jiji.com) →燃料価格の急騰で昨年2月から始まった国の補助が、7月請求分(6月分)から打ち切られる。エアコンを使う夏を控えて痛い。一方、漫然と補助することに対して「市場価格を無視したバラマキで、節約努力を促さない」と批判も強かった。原発稼働の関西電力は安く、未稼働の東京電力は高い。
◎政治資金規正法改正 自民 新修正案あす提示 月内衆院通過なし | NHK | 政治資金 →政治資金改革法案の月内衆院通過がなくなった。自民党案に妥協の姿勢を示した公明党が難色を示している。創価学会の現場会員らが反対していると思われる。それはそうだろう。世論の厳しさに鈍感な自民党案には簡単にはのれないだろう。きょう自公の党首会談が開かれ、自民が歩み寄る報道もある。
◎安倍派、事務所閉鎖に向け神棚撤去 出席者は離党の塩谷氏ら3人のみ [自民]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →諸行無常、盛者必衰、ただ春の夜の夢のごとしの安倍派事務所閉鎖。大挙して押し寄せるのも変だが、出席者が塩谷氏ら3人とは寂しい。塩谷氏は元事務総長とは言え、自民党を離党している。義理も人情もなくなったようだ。
◎ダイヤ改正で自治体反発のJR京葉線、各駅停車4本を快速に変更へ…「考えが至らなかった」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →JRは国鉄に戻ってしまったのだろうか。JR東日本は京葉線利用者の反発を押し切って3月にダイヤ改正したが、一部を変更する。「考えが至らなかった」という。リニア建設に反対する静岡県内の自治体には「JR東海はかねて地元軽視」という反感もあった。
*** 「今日の名言」
◎ヴォルテール(仏の哲学者。1778年5月30日死去、83歳)
「私はあなたの意見には反対だ。だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」 「人間は言うことがなくなると、必ず悪口を言う」 「大衆とは、モノを書かない批評家である」 「悪い政府の元で正しくあることは危険だ」 「歴史とは、犯罪と災難の記録にすぎない」 「神は現世における心配事の償いとして、希望と睡眠を与えた」 「常識とは、それほど一般的なものではない」 「人を判断するには、どのように答えるかより、どのような問いをするかを見よ」 「男がありとあらゆる理屈を並べても、女の一滴の涙にはかなわない」 「寛容の精神は我々すべてを兄弟にする。不寛容の精神は人間を野獣にする」 「労働はわれわれを三つの大きな悪から逃れしめる。退屈、悪徳、欲求から」 「医術は患者を慰めることにあり、自然が病気を治すのだ」 「真実を愛せ。ただし過ちは許せ」 「教育はさまざまな能力を伸ばしはするが、創り出すことはない」
*** 今週の教養 (志賀直哉の随筆⑤)
◎「若き世代に訴える ペンクラブ講演会挨拶」(昭和22=1947年) 言論を圧迫し、無謀の戦争を起こし、敗れて、今日の日本となりました。一等国から三等、四等の国に下落し、今は文化国家として立つよりほかはないことになりました。戦争中、文化人は日陰者扱いを受けていましたが、戦後は急に活気を呈し、いろいろなことが文化人によって始められました。ペンクラブもその一つで、これが健全に発達し、数々の成果を収めてくれることを私は望んでおります。
日本が文化的に栄えるためには、外国から栄養を取る必要があります。翻訳が重要で、ペンクラブは当面の仕事として、外国のいい書物を自由に翻訳できるよう努力してもらいたいと思います。翻訳書を公正に評価し、いいものには会として折り紙をつけるようなことも仕事となるのではないでしょうか。日露戦争の後、国力の増進とともにその潮に乗って日本の文化は急速に進歩したと思います。ところが今日はちょうど反対の位置に置かれたわけで、文化の進展に大きなハンディキャップになります。今は文化人が文化国家建設ということで急に表面に活躍することになりましたが、重い荷物を背負わされたことになります。三等、四等の文化は意味のないことです。是が非でも一流のものを打ち立てなければなりません。
日本は昔から文化的に外国に誇ってもいい優れた人をたくさん出しています。私はよく俵屋宗達を考えます。宗達の作品は世界的に全くオリジナルで、一流です。文学の分野では井原西鶴もその一人です。日本にそういう人はたくさんいます。芸術の分野だけで考えても、日本人は一等国の国民としての素質を持った民族だという事ができます。人生は必ずしも人間の思考通りになるものではありません。禍が福になる場合もいくらもありますが、自然に福となるのではなく、意志を持つことによって初めて福となるのだと思います。今の若い人たちがそういう決心で闇から闇へ消えた人々の分までも背を背負って立つ覚悟で、気位は高く、希望を大きく持って、文化国家建設のために非常の精進をされることを望む次第であります。