6月24~28日(教養講座:城山三郎の「打たれ強く生きる」)

2024.06.28メルマガ

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***デイ・ウォッチ(21~23日)

「慰霊の日」沖縄戦から79年 20万人超える人が犠牲に 平和への祈り | NHK | 沖縄県 →沖縄戦終結から79年。ウクライナ侵攻とガザ攻撃で、沖縄戦は昔話ではなくなっている。井伏鱒二が原爆投下後の広島を描いた小説「黒い雨」に「戦争はいやだ。いわゆる正義の戦争より不正義の平和がいい。わしらは、戦争のない国にうまれたかったのう」という言葉が出てくる。その重みが増している。

「マンガンノジュール」引き上げ実証試験へ 海底鉱物資源の活用に弾みがつくか注目 | NHK →排他的経済水域(EEZ)の広さで言えば、日本は世界8位の面積。中国よりはるかに広く、有望資源があってもおかしくない。コバルトやニッケルなどを含んだマンガンノジュールが発見された。コバルトは年間消費量の75年分という。実用化への期待が膨らむが、コストや環境対策が課題という。

首相、今秋に経済対策策定 電気・ガス補助は8月再開:時事ドットコム (jiji.com) →岸田首相が8月から3ヶ月間、電気・ガス補助を復活する。9月の総裁選のど真ん中。バラマキ批判があったのに懲りずにやる。先進国最悪の財政状況を考えれば、支援は困窮者に限るべきだろう。カネを渡せば国民が喜ぶと思っている。所得減税の評判の悪さを忘れたのだろうか。

県警本部長「隠蔽指示ない」 前部長起訴、公益通報も否定―不祥事情報漏えい・鹿児島:時事ドットコム (jiji.com) →何となくうやむやになったような鹿児島県警本部長の不祥事隠ぺい。捜査をすぐに始めず、不祥事の多さもあって、警察庁は本部長を地味に更迭してケジメとするのではないか。刑事部長名を語ってライターに資料を送った元生活安全部長は、告発の腰が定まっていなかった。

自民「選択的夫婦別姓」の議論再開へ 進め方も含め慎重に検討 | NHK →経団連が投げた選択的夫婦別姓のボールは、自民党に投げられ、重い腰を上げる。自民党も多くの議員は賛成しているが、保守派の幻影におびえて手をつけていない。イデオロギーではなく、現実論で考えれば、結論は明らかだ。自民党は党内の議論を公開し、国民に党内の意見を知らせるべきだろう。

ラグビー日本代表 テストマッチでイングランドに敗れる | NHK | ラグビー日本代表 →速い動きで相手をほんろうするエディ・ジョーンズ・新ヘッドコーチの「超速ラグビー」。期待を持たせたが、ボールを取れなければどうしようもなく、大敗。超速も読まれてしまえば、威力は半減。まだテストマッチ初戦なので、今後に期待したいが・・・。

*** 「今日の名言」

◎ハンソン・ボールドウィン(米国のジャーナリスト、沖縄戦を従軍取材。1945年6月23日、沖縄戦が終結、「慰霊の日)

「沖縄の戦いは、米軍にとって史上最大の激戦の一つになった」 「太平洋戦争中、日本軍で最もよく戦ったのは、沖縄防衛部隊であった」 「沖縄戦は規模、広がり、苛烈さにおいて、バトル・オブ・ブリテンすら影の薄いものとした。これほど凄惨な、独特の死闘が行われたことは、後にも先にもない。これほど短期間の間に米海軍がかくも多くの艦艇を失ったことはなかったし、これほど狭い地域でかくも短期間内に、これほど米軍の将兵の血が流されたこともない。おそらく3か月の間に日本軍がこれほど大きな損害を被ったこともかつてなかったであろう。沖縄戦は最大規模の統合作戦であり、海上、海中、陸上において、仮借のない戦闘が継続された」 「沖縄は、人間の忍耐力と勇気の叙事詩であった。日本軍の攻撃は創意に満ち、決死的であった。これに対し、米軍が防衛に成功し、沖縄攻略に成功したのは、卓越した補給、作戦計画、およびその断固たる実施によるものであった」 

*** 今週の教養 (城山三郎①) 

今週は、作家・城山三郎さん(1927~2007)の文章を紹介する。1983年の日経流通新聞に掲載したコラムなどを集めた「打たれ強く生きる」(1989、新潮文庫)から5編選んだ。国鉄総裁石田禮助を描いた「粗にして野だが卑ではない」のように、潔く、卑しくない人たちを讃えた文章が特徴だ。

◎総理からの電話  何年か前、ある会合で隣のテーブルから来て、「城山さんですね」と声をかけた人がいる。蔵相の福田赳夫氏であった。福田さんは私の著書について感想を言った後、笑顔で元のテーブルに戻っていった。腰が軽く、スマートであった。ふれあいはそれっきりだが、1年したある日、電話に家内が出ると「福田ですが」。家内には聞き覚えのない声であった。「どちらの福田さんでしょうか」と聞くと、「ソーリの福田です」。家内はいぶかしげな顔で「ソーリの福田さんという人からですけど」。まるで付き合いのない福田さん。まさかと思ったが、出てみると福田総理の声であった。

私が「黄金の日日」を書くため、堺の古い歴史を調べていることを知り、堺に旧知の寺があり、古文書も多い、紹介しようか、との電話であった。私はその好意は受けなかったけれども、物書きにとってうれしいのは、良い資料が手に入ることである。その辺を察しての心憎い配慮である。秘書を介さず、自分で電話をかけてくる。なるほど総理になる人は違うと思った。

気さくさという点では、「財界総理」と言われた土光敏夫さんも抜群。経団連会長を引退される直前、横浜・鶴見のお宅に伺ったことがある。質素な暮らしぶりだが、古い家なので庭だけは広い。その庭にある全ての植木を土光さんは自分で植え、自分で手入れしている。芝生も自分で世話をしている。「芝生の手入れは大変ですね。うちなんかも何度か他人に頼んで・・・」。私が何気なく言うと、土光さんは目を光らせ、「僕が君の家の芝刈りに行くよ。会長を辞めれば暇ができるんだから」。真剣な口調であった。冗談などいう人ではない。私はうろたえて辞退した。土光さんは芝刈りの日当を例によって女性教育事業に寄付するつもりであった。「まあいいや。大きな庭を持っている人を何人も知ってるから」。土光さんは独り言のようにつぶやいた。それは神々しいほど気さくな姿でもあった。

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***デイ・ウォッチ(24日)

EU、Appleをデジタル市場法違反と暫定認定 初適用 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →EUが巨大IT企業と本格的に対決する。今年3月に全面適用されたデジタル市場法を初めて使い、アップルを同法違反と暫定認定した。今後調査し、来年3月までに結論を出す。グーグルやメタも調査する予定。今後のデジタル、AI社会の行方に影響しそうで、どんな展開になるのだろうか。

菅前首相「不信感を持つ国民は多い」と岸田首相を批判、総裁選で交代すべきだとの認識を示す : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →通常国会が終わり、政局ムードが高まっている。菅前首相が岸田首相の交代論をぶち上げ、永田町がざわついている。キーワードは「刷新感」だが、政治資金改革論議を見ている限り、自民党の刷新エネルギーは疑わしい。有権者は大きな視点で今後の政治を考えたい。

都知事選、小池氏が序盤先行  蓮舫・石丸氏が追う 景気対策に期待 – 日本経済新聞 (nikkei.com) 小池氏が先行 蓮舫氏追う 石丸氏は苦戦 都知事選 朝日情勢調査 [東京都知事選2024] [東京の政治]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →有料記事。東京都知事選の世論調査は、小池氏優勢の結果が出た。まんべんなく支持を得ている。対抗馬と見られる蓮舫氏は無党派への浸透が今ひとつ。元安芸高田市長の石丸氏は無党派で健闘しており、台風の目のようになっている。来月7日の投票日までどう変化するか。

東京工業大学と東京医科歯科大学が統合の東京科学大学・初代理事長の大竹尚登氏「世界トップ目指す」 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →東工大と東京医歯大が統合して10月に誕生する東京科学大学。大竹・新理事長が「世界トップ級を目指す」と明言した。学生数は1.3万人で、高い研究力が強み。工学と医学のシナジー効果をどこまで出せるか。略称は「東科大」(とうかだい)か「科学大」か。

鹿児島県警の特別監察開始 不祥事の原因探る 警察庁が10年ぶりに:朝日新聞デジタル (asahi.com) →鹿児島県警の不祥事で、警察庁が動いた。元県警幹部が主張した隠ぺいではなく、迅速さにかけた捜査や一連の不祥事を理由に本部長を更迭するのだろう。それで幕引きにするのか、抜本的な立て直し策を提案するのか。次の焦点だ

*** 「今日の名言」

◎加藤清正(戦国時代の武将。1611年6月24日死去、49歳

「武士は常に、自分を至らぬ者と思うことが肝心だ」 「表と裏、どちらもおろそかにしてはならない」 「晴れると見れば、にわかに雲が出てきて、大雨になることもあります。測りがたきは人の心にございます」 「工事の際には、川守りや年寄りの意見をよく聞け。若い者の意見は優れた着想のように見えても、よく検討してからでなければ採用してはならない」 「自分は一生の間、人物の判断に心を尽くし、人相まで勉強した。でも、結局はよくわからなかった。ただ言えるのは、誠実な人間に真の勇者が多いということだ」 「詩や連歌や和歌などをみだりに作ったり読んだりしてはならない。心の中に華奢で風流な、手弱いことばかりをかけていたならば、いかにも女のように、なよなよなってしまうものだ」 「大将がくつろげば、下は大いに怠ける。いつも陣法を厳しくすることだ」 

*** 今週の教養 (城山三郎②) 

◎スランプのひまなし  新しい紙幣のデザインに、渋沢栄一が選ばれなかったことが、残念でならない。選定委員たちの不勉強のあらわれであろう。私は渋沢を「雄気堂々」で描いた縁で言うのではない。慈善事業から企業に至るまで、近代日本の枠組みは、ほとんど渋沢栄一の力を借りていると言っていい。その死にあたって、市井の一運転手が「あの人にはなんとなく世話になった気がする」といい、立場が逆の左翼系の歌人まで追悼歌をうたった。91年の生涯には、危機や逆境があった。そこを克服したのは、人一倍旺盛な知的好奇心のせいであった。

倒幕運動が露頭して、命からがら京都の一橋家に逃げ込んだとき、彼は雇われてもいないのに、一橋家とは何か、毎日どんな生活が行われているのか等々、知り得る限りを勉強した。彼が一橋慶喜の目に留まるようになったのは、逃げ込んできた一百姓に過ぎないにもかかわらず、実によく一橋家のことを知り、どうあるべきかについて意見を持っていたからである。2度目の挫折は、慶喜が将軍になったことから起こる。渋沢は討幕派だったが、たまたま使節団の随員としてパリへ行かされることになる。攘夷論者の渋沢には心外であった。パリがどこにあるのかも知らなかったが、パリに着くと、開国派の侍以上にパリのことを猛勉強する。目につくものすべてを記録してかかる。

日本に戻ってきたとき、幕府は倒れ、失業者の身であったが、パリで猛勉強したために大蔵省へ招かれる。だが、大蔵省は薩長主導型で、ろくな仕事を与えられない。すると渋沢は、「改正掛」という勉強会をつくって、仕事の終わった後に、外国の制度などについて若手たちと一緒の勉強を始める・・・。そうした渋沢の人生を見ていると、逆境に置かれても、逆境を意識している暇がないという感じである。スランプに陥る時間もない。どんな仕事に就かされても、どんな土地へ行っても、必ずその先には勉強することがある。日頃から、知的好奇心のために、せっせと燃料を補給する癖をつけておくことである。

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***デイ・ウォッチ(25日)

ふるさと納税 ポイント付与のサイト通じた寄付 募集禁止へ | NHK | ふるさと納税 →放置すると過熱するふるさと納税。来年10月から仲介サイトが負担して付与しているポイントが禁止される。ふるさとを応援する趣旨が、いつの間にか返礼品競争、仲介サイトのチキンレースになっている。何事も節度が大切だが、規制がないと行き過ぎるのが人間の悲しいさがか。

8月から3か月間の電気・ガス料金軽減、一般家庭で月1800円程度に…4月までと同水準 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →電気・ガス料金の軽減で、金額が浮上した。酷暑対策が名目で、一般家庭で月1800円程度。政府が電気・ガス会社に補助金を出す方法なので、仕組みは定額減税よりはるかに簡素。バラマキ批判は避けられず、首相の一存でできるのも違和感が残る。

天皇皇后両陛下 チャールズ国王夫妻主催の晩さん会に | NHK | 皇室 →天皇の国賓としての英国訪問は、昭和天皇から3代続く。日本は英米のアングロ・サクソンと組んでいる時はうまくいくという説がある。明治憲法は皇帝の力が大きいドイツを参考にし、万世一系の天皇が日本を統治する天皇大権を規定した。「君臨すれども統治せず」の英国に学んでいれば、敗戦はなかったか。

在任中、官舎で酒に酔った部下に性的暴行か 逮捕の大阪地検元検事正 [大阪府]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →大阪高検が、元大阪地検検事正を準強制性交容疑で逮捕する異常事態。検事正在任中、被害者は部下で、犯行は検事正官舎という。高検は被害者のプライバシーを理由に詳細を発表していないが、いかにも身内びいき。検察幹部の犯罪であり、プライバシーに配慮した発表はできる。

沖縄の米兵、16歳未満の少女に性的暴行か 不同意性交罪で起訴 [沖縄県]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →沖縄で繰り返される米兵の性的暴行。初公判は7月12日。基地があるため相次ぐ犯行に、地元は強く反発している。

中国 蘇州 日本人学校のバス襲われる 52歳容疑者拘束 地元警察 | NHK →夜間でも外出できた治安のいい地域。背景がわからないだけに、不安が高まる。中国当局は速やかに動機を発表すべきだが、秘密主義の今の中国にどこまで期待できるのか。対中世論は常に微妙なバランスの上にある。

*** 「今日の名言」

◎アリアナ・グランデ(米の歌手。6月26日は31歳の誕生

「深刻に考えすぎちゃだめ」 「愛を植えて、平和を育てるの」 「あなたが最高の気分になれば、他のみんなだって最高の気分になれる」 「あなたのことをまだまだ一人前ではないと言う人はたくさんいるけれど、あなたはもう十分一人前」 「少しでもいい。私たちが愛を与えれば、多分世界を変えられる」 「すべての人はそれだけで美しいし、完璧だし、素敵だわ」 「あなたが何かに情熱を持っているのなら、それは間違いなく上手くいく」 「人と違っていてもいいに決まってる」 「ネガティブは全部遮断して、ただ愛するの」 「何かを信じることをやめるべきじゃない。否定するような人には耳を貸すべきではない」 「いつだって明日はあるし、明日は常によくなっていく」 「人生、ずっとスタジオにいるだけのほうがいい。私はただ音楽をやりたいだけ」 

*** 今週の教養 (城山三郎③) 

◎社長の忠告  数社の新入社員に集まってもらって、「入社式の社長の挨拶で、どんなことを覚えているか」と聞いたことがある。答えはそろって「何を言ったかな」「決まりきったことだった」。社長はおそらく秘書の作った文章を口にしただけ。そのため、若者の記憶に残らぬものになったのであろう。大事な戦力が加わってくれたのである。初めてのふれあいを、心のこもったものにできなかったのは、惜しい。

花王の入社式で、社長の丸田芳郎さんは、ほんの一言あいさつしただけ。その代わり、式の後で改めて一時間かけて、じっくり話をした。丸田さんはそれを「レクチュア」と呼んだが、一先輩の忠告といった趣きがあった。丸田さんはまず第1に「会社の仕事以外に勉強をするように」とすすめた。このごろの大学教育は、受け身に終始していて、自発的に課題に取り組んだり、積極的に議論し合ったりすることがない。その欠点を社会人になってから補えと言うのである。宇宙物理学でも何でもいいから、目標を決めて挑戦せよ。それも基礎が大切である。基礎的な勉強から始めて、勉強が面白くなるまで辞めてはいけない。仲間を集めて輪読会をやった丸田さんは、自身の若い日の思い出などをまじえて話した。

第2に、文学や芸術に触れよ、と言う。漢詩などの古典は、いざという時、心の支えになる。いい音楽、いい美術、いい映画も同様である。そうした潤いを持たなければ、長い人生はつらいものになる。これまた若い日の丸田さんの姿であった。会社のためにカリカリ働くだけが能ではない。もっと大きな人間に、自分をじっくり育てあげなさい。それが自分のためにも会社のためにもなる。丸田さんは「大事な用件は電話ですまさず、手紙を書きなさい。そうすれば、手紙を書いている間は、相手のことを考える。時候の挨拶を考えれば、自然に目が向く」と忠告もした。

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***デイ・ウォッチ(26日)

円、対ドルで38年ぶり安値 一時160円30銭台 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →政府が抵抗ラインとみる1ドル=160円を再び割り込んだ。米国の利下げ先送りで、日米金利差は縮まず、円安傾向に拍車がかかる。市場は当局の介入の動きをにらみながら何度かこのラインを試し、遠からず160円台が定着するのではないか。介入の効果は乏しく、市場で売る手持ちのドルも減っている。

日本勢の目標「金20個」 国外開催で最多―パリ五輪:時事ドットコム (jiji.com)   日本は金12、総数46 開幕1カ月前のメダル予想―パリ五輪:時事ドットコム (jiji.com) →パリ五輪まで1ヶ月。JOCは日本勢の金メダル目標を「20」とした。米データ会社は体操、柔道、レスリングなど常連組に加え、女子やり投げの北口選手も含めて「12」と予想している。女子の陸上フィールド種目で「金」を取れば、歴史的だ。

障害者向けグループホーム展開「恵」に「連座制」適用を通知 | NHK | ニュース深掘り →全国104か所でグループホームを運営している会社の不祥事。3億円の過大徴収や不正請求という悪質さで、事業所の指定取り消しは当然だ。しかし、入居している障害者の行き場がなくなる。新たな入居先に落ち着くまで、行政や同業者の連携が重要になる。

外務省“沖縄県への連絡は適切” 米軍兵士起訴の性的暴行事件 | NHK | 沖縄県 →日本政府はどうしてこんなに沖縄県に冷たいのだろうか。米兵が性的暴行で3月27日に起訴され、外務事務次官が同日、駐日米大使に抗議した。しかし、沖縄県に伝えたのが今月25日。3ヶ月もかかっているのに、外務省報道官は「連絡は適切」と言い張る。情も理も何もない。辺野古基地はこじれるばかりだろう。

「ウィキリークス」のアサンジ氏 母国オーストラリアに帰国 | NHK | 事件 →告発サイト・ウィキリークスのアサンジ被告が、米司法当局と取引した形で、母国オーストラリアに帰国した。米政府の機密情報に不正アクセスした罪を認め、英国での5年余りの収監で米国の刑務所への収容を免れた。2010年のウィキリークス騒動は過去の話になったが、機密情報の収集は今も行われている。

*** 「今日の名言」

◎トーベ・ヤンソン(フィンランドの小説家、ムーミン・シリーズの作者。2001年6月27日死去、86歳

ムーミンに登場するお兄さんキャラクター・スナフキンの言葉「大切なのは、自分のしたいことを自分で知ってることだよ」 「あんまり大袈裟に考えすぎないようにしろよ。何でも大きくしすぎちゃ駄目だぜ」 「そのうち、なんて当てにならないな。いまがその時さ」 「本当の勇気とは自分の弱い心に打ち勝つことだよ。包み隠さず本当のことを正々堂々と言える者こそ、本当の勇気のある強い者なんだ」 「だれかを崇拝しすぎると、ほんとうの自由は得られないんだよ」 「穏やかな人生なんて、あるわけがないですよ」 「人の目なんか気にしないで、思うとおりに暮らしていればいいのさ」 「人と違った考えを持つことは一向にかまわないさ。でも、その考えを無理やり他の人に押し付けてはいけないなあ。その人にはその人なりの考えがあるからね」 「あなたの夢を、そんなこと無理だっていう人いるでしょ。こう言い返してやりなさい。あなたには無理ね、でも私にはできるの、あなたと私は違うからって」

*** 今週の教養 (城山三郎④) 

◎左遷の中から  日の当たらぬ不本意なポストに回された時、どう生きるか。中山素平さんは、日本興業銀行に入行した最初の3年間、経理科に配属された。配置転換を申し出るよう仲間に勧められたが、中山さんはそうしなかった。「どこへ行けと言われても、ノーと言ったことがない」。それが中山さんの人生であった。伊藤肇さんの「左遷の哲学」では、「与えられたポストで何かを身につけていくのが僕の生き方だったから、一向に平気だった」という中山さんの言葉が紹介されている。どこにいても、何かを身につける姿勢でありさえすれば、左遷というものはありえなくなる。同時に地位に対して綿々とした未練を持たない。頭取から、代表権を持たぬ相談役へという中山さんの退き方は、見事なほど鮮やかであった。

東芝の岩田弌夫さんが、社長候補の役員から、一転して子会社へ出されたことがある。岩田さんは会社をやめようと思ったが、「自分はしょせんサラリーマン。辞めて自分に何ができるか」と考えた。岩田さんは配転先に赴き、黙々とその仕事に打ち込む。「左遷の哲学」では、「おでん酒 すでに左遷の 地を愛す」「熱燗や あえて職場の 苦はいわず」との句境になったと紹介されている。

日本信販創業者の山田光成さんは、令息の結婚式を帝国ホテルで華やかに営んだが、その翌日、子会社がツアー客を斡旋したトルコ航空機が墜落。その遺族を同じホテルで世話することになった。トルコ航空の支店が日本になかったため、すべての矢面に立たされることになった。山田さんは若い時から禅に打ち込み、人生は「寸前暗黒」と教えられた。まさに「寸前暗黒」であった。山田さんは「災難に遭う時期には災難にあうがよく候。死ぬる時節には死ぬがよく候。これはこれ災難を逃る妙法にて候」という良寛の言葉を思い出し、難にまともに取り組むことこそ、息子夫婦への引き出物になる、と考えたという。宗教を経営に持ち込んではならないが、宗教心のある経営者には一種の打たれ強さ、芯の強さがある。真っ先に総会屋と対決した花王の丸田芳郎夫さんにも、行革にあたる土光敏夫さんにもそのことがいえると思う。

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***デイ・ウォッチ(27日)

米大統領選 バイデン大統領とトランプ氏 テレビ討論会 4年ぶり直接対決 日本時間のあす | NHK | アメリカ大統領選 →注目の討論会は日本時間できょう午前10時から。バイデン大統領はこの4年間で老いを隠せない。トランプ氏は高齢で頼りない姿を浮き彫りにしようとするのではないか。バイデン大統領は跳ね返せるか。接戦だけに選挙戦に大きく影響しそうだ。

沖縄 米兵 少女に性的暴行事件 「断じて許せず」 県が米軍側に抗議 | NHK | 事件 →沖縄県が怒るのは当然だ。林官房長官は起訴後3ヶ月も連絡しなかったことについて「被害者の名誉やプライバシーを考慮した」と述べたが、プライバシー配慮と県への連絡は次元が違う。玉城知事の与党が少数派になった16日投開票の県議選への影響を考えたのではないか。都知事選に影響するか。

「品位おとしめる拷問」 五輪汚職で逮捕の角川氏―不当拘束と国提訴・東京地裁:時事ドットコム (jiji.com) →日本の「人質司法」は、かねて人権軽視といわれ、海外からも批判を浴びている。知名度の高い角川氏の提訴で、焦点になりそうだ。人質司法は昔からあったが、最近は検察・政府の情報公開がかなり後ろ向きになっている。風通しが悪く、暗黒状態になりつつある。

黒川元検事長の定年延長 国に一部資料の開示命令 大阪地裁 | NHK | 法務省 →黒川検事長問題は、安倍元首相の負の遺産。日銀総裁や内閣法制局長官らに続いて検察人事に手を突っ込もうとした。大阪地裁は資料の開示を命じたが、どこまで真相に迫れるか。検察人事への介入は裏金問題を不問に付すためだったという見方もある。

トップ賛成6割台も、株主総会ピーク 低効率に厳しい目 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →株主総会がピーク。アクティビストらの株主提案や否決推奨が注目を浴び、社長ら役員の賛成率が6割程度という企業もあった。持ち合い株が減って、物言わぬ安定株主が少なっていることも背景にある。株主総会が「シャンシャン」から「真剣勝負の場」になりつつある。

*** 「今日の名言」

◎小倉昌男(ヤマト運輸創業者。2005年6月30日死去、80歳

「リーダーは遠回り覚悟で、自分の頭で考えられる部下を育てなければいけない」 「リーダーが考えるべきは、部下に仕事を任せること」 「どこかに好きな仕事があるのではなく、目の前にある仕事を好きになれるかどうかだ」 「志を高く持ちなさい。人格と品格のない人に起業は無理です」 「数千人の社員に徹底させるには、短い言葉で伝えないと浸透しない」 「論理的に考え、倫理観を持ち、わかりやすく説明する。それを続けることで、良い社風ができる」 「私は従業員と言う言葉が好きではない。従という語感が好きになれない」 「考えて、考えて、考え抜く。でも、わからないことがある。その場合はやってみることです」 「やってみればわかる。やらなければわからない。これは私の信条だ」 「自分の都合だけを考えて商売を続けていると、会社は駄目になります」 「勲章をもらって何になりますかな」 「ビジネスは何のためにあるのか? 働く人の幸せを実現するためにあるのです」

*** 今週の教養 (城山三郎⑤) 

◎自分だけの暦   本田宗一郎さんを取材している。このため、会社と連絡をとることも多いのだが、祭日なのに同社から電話連絡があった。不思議に思って聞いてみると、祝祭日でも休まない日が何日かあるという。祭日はバラバラで、仕事のリズムを阻害する。組合と協定の上、祭日は働くことにし、その代わり夏や冬の休みを長くしているという。この会社は自分の暦を持っている。つまり、企業文化があって、いい加減な官製の暦などに左右されない。立派だと思った。

自分の暦を持つこうした会社や学校がどんどん増えるとよい。組織が自分の暦を持てば、そこにいる個人また自分だけの暦を持つようになる。「右へならえ」しやすい日本の風土の中で、これから強く生き残るためには、右へならわないことを学ぶべきであろう。そのきっかけの一つが、自分だけの暦を持つことである。そうすれば、自分が一体何なのか、どういう特徴があり、どういう存在で、何を目指しているのか、改めて考え直すことにもなろう。その結果、付和雷同することもなく、打たれ強くなるのではないか。

自分だけの暦といえば、劇団四季による評判のミュージカル「キャッツ」公演初日は、11月11日。ふつう芝居は、月初めから公演されることが多い。妙な日付だと思ったが、主宰者の浅利慶太さんの説明はこうであった。「平凡な11月1日初日より、11を二つ並べた11月11日の方が、今の若い人には、印象的で覚えやすい日付なんですよ」。今の若者たちは、待ち合わせをするときも3時とか3時半などというより、3時33分という約束をするそうである。「約束時間一つにしても楽しんじゃおう」という精神が感じられる。時間をおもちゃにしており、時間に束縛されていない。公式的なものや常套的なものから、少しでも遠ざかる。それは人生を楽しくするだけでなく、発想の新鮮さ、生命のみずみずしさへの道を開くはずである。