7月1~5日(教養講座:丸谷才一の「考えるコツ」)

2024.07.05メルマガ

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***デイ・ウォッチ(6月28~30日)

バイデン大統領の声かすれ、視線定まらず…アメリカ大統領選テレビ討論会で精彩を欠く場面に米紙「高齢への不安引き起こした」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)  米大統領選挙撤退を否定するバイデン氏、最終判断はジル夫人の意向が影響か…民主党内からは候補差しかえ論も : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →米大統領選のフェーズが変わった。焦点は、バイデン氏の断念と後継者。「よぼよぼ」で見ていても気の毒だが、本人はまだそうでもないらしい。家族らの説得がカギか、オバマ氏ら有力者の仲介はあるか、民主党の有力候補は誰か。事態は雪崩のように周囲を巻き込んで動き出す可能性もある。

フランス国民議会選挙 極右政党が得票率首位予測 仏公共放送 | NHK | フランス →フランスで極右政党が躍進している。マクロン大統領の与党連合は3位の見通し。総選挙にかけた大統領の賭けは裏目に出た。過半数を獲得する候補者のいない選挙区は1週間後に決選投票があるため、結果の確定は1週間後になる。

新たに76人死亡疑い 小林製薬「紅麹」サプリ―因果関係調査へ・厚労省:時事ドットコム (jiji.com) →小林製薬の紅麹問題が拡大している。これまでの死亡は5人だが、疑いも含めて76人にのぼっている。同社のガバナンスが甘いのか、表に出ていない別の要因があるのか。

米軍関係者の性暴力事件相次ぐ 海兵隊兵士も 性的暴行で起訴 | NHK | 沖縄県 →また沖縄で米兵の性暴力事件が明らかになった。沖縄県には今度も連絡がない。沖縄県警は県の機関だが、県庁に連絡していない。政治問題化する過去の経緯を考えれば、国も県警も、当然連絡すべきだ。政治問題化するから連絡しないとしたら、それこそ政治的だ。まずは事実を事実として処理すべきだ。

検事総長に畝本氏 日弁連に続き初の女性トップ 法曹三者、残るは最高裁長官:朝日新聞デジタル (asahi.com) →政府でジェンダー平等の歯車が回った。初の女性検事総長が誕生する。中央大法学部卒で、私大出身者も珍しい。日弁連会長も女性で、法曹三者で残るは最高裁長官のみ。まだ男性社会を勝ち抜いた女性と言えそうだが、平等社会から平等に生まれてくるのはいつか。

下請法違反でトヨタ子会社に勧告へ 公取委 金型、無償保管させる:朝日新聞デジタル (asahi.com) →トヨタ系列でまた不祥事。今度は下請法違反。車体製造会社「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」(横浜市、TCD)が、金型保管強要で約50社、部品の不当返金で60社以上の利益を圧迫していたという。被害は広範囲で、これまでの不祥事との関係も問われる。

*** 「今日の名言」

◎明石家さんま(お笑いタレント。7月1日は69歳の誕生日

「一番好きにならなきゃいけないのは、自分なのよ」 「笑顔になるから、楽しい出来事がおこる」 「俺たちは、奇跡を生きてんねん」 「やっぱり色々と失敗してきた人間の方がオモロいね」 「結婚はゴールではない! スタート! しかも途中から障害物競争に変わる」 「俺は泣いてる人を笑わせて幸せにしたいんや。これが俺の笑いの哲学や」 「俺は笑いを順位付けるのは嫌い。自分らが面白いと思うことをやってればええねん」 「勝ち負けは努力の要素だけで左右されるほど、甘いもんやない思うんですわ。とくに超一流の世界ではね」 「何とも思われないよりは、嫌われるほうがマシ。好きに変わる可能性が残っているから」 「職場に好きな人を1人作ると、仕事行くのが凄く楽しくなるんよね」 「自分の才能を誰かに早く発見してもらうってことは、エライ大切なこと」 「スキャンダルなんて、2人にしか分からないんですよ。当人同士しか」 

*** 今週の教養 (丸谷才一・考えるコツ①) 

今週は博識の小説家で知られた丸谷才一(1925~2012)の「考えるコツ」の要旨を紹介する。「思考のレッスン」(文藝春秋社、1999)に掲載された。

◎謎を育てる  考える上でまず大事なのは、いかに「良い問い」を立てるか、です。良い問いを得るには、かねがね持っている「不思議だなあ」という気持ちから出た謎が大事なのです。良い問いの条件の第1は、自分自身の発した謎だという点です。他人が発した出来合いの謎では、切実に迫ってこない。自分が痛切に「おかしいぞ。不思議だぞ」と思った時、良い問いになる。2番目は謎をいかにうまく育てるか。どんな謎でも最初は漠然としたものにすぎない。それを良い問いに孵化することが大切です。よく自分の疑問を他人に話す人がいますが、お勧めしません。他人に話したって相手にされず、自信をなくして疑問が育たないまま終わってしまう。

謎を自分の心に銘記して、常に「なぜだろう。どうしてだろう」と思い続け、明確化、意識化するのです。自分の中に他者を作って、もう一人の自分に謎を突き付けていく必要があります。他者と言えば世間のことですが、世間を相手にしてはならない。世間は謎を意識しないからです。いちいちこだわっていると成り立たないから、流行に従って暮らす。それが世間というものなんですね。

しかも世間は実に臆病です。いい例が戦前の天皇機関説でしょう。美濃部博士の学説は、大正8年から昭和10年まで日本政府公認だった。上は貴族院や衆議院の議員から下は巡査まで、みんな天皇機関説だった。ところが軍部によって天皇機関説がやり玉に挙げられると、たちまちみんな沈黙した。しかも世間は付和雷同型です。30年ぐらい前、当時創作劇が大事だという意見がにわかに高まった。そのうちそれに比べて翻訳劇はくだらない、けしからんという議論にエスカレートしていった。両方大事だが、真っ当な説を唱える人はいなくなった。この2つの例でわかるように、日本文化は臆病と付和雷同をくっつけたところがあります。その中でものを考えるのは大変難しい。

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***デイ・ウォッチ(1日)

小池氏リード、蓮舫氏・石丸氏が追う…都知事選中盤の情勢分析 各陣営の受け止めは?|日テレNEWS NNN (ntv.co.jp) →都知事選の情勢をめぐる新聞・テレビの調査が出揃った。小池氏リード、蓮舫氏と石丸氏の順で追い、田母神氏は苦しいという傾向で一致している。政治とカネの影響で、自民党が支援する小池氏が苦戦するという見方もあったが、実績が評価されているようだ。

アメリカ大統領選挙 バイデン氏 再選目指すべきではない 7割以上 CBSテレビなど世論調査 | NHK | アメリカ大統領選 トランプ氏の刑事責任 米最高裁 “審理差し戻し”議会乱入事件の裁判は大統領選前に開かれない可能性高く | NHK | トランプ前大統領 →バイデン氏の撤退を求める声が強まっている。しかし、バイデン氏の家族は選挙戦継続に「揺るぎない支持」を伝えたという。トランプ氏が大統領に就任すれば、多方面での混乱は必至なので、世界の目が離せない。一方、議会乱入事件でトランプ氏の初公判は選挙前には開かれなくなった。

旗手は江村と半井 ともにメダル期待―パリ五輪:時事ドットコム (jiji.com) →2人の旗手が発表されたが、知名度は低く、よく知らない。1952年のヘルシンキ五輪以来置いていた主将は、今回は設けない。誰もが知っている選手の少ない、やや地味な五輪になりそうだ。

男子バレー準優勝、主要大会で47年ぶり…確立されつつある「勝利の方程式」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →地味なパリ五輪で、男子バレーが久々に注目を浴びそうだ。ネーションズリーグで、東京五輪金メダルのフランスに敗れたが、堂々の準優勝。金メダルとなれば、1972年のミュンヘン五輪以来。大古、森田、猫田、横田らの名前が懐かしい。

「路線価」全国平均3年連続上昇 インバウンド需要好調など要因 | NHK | 不動産 →地価は完全に底を打ち、デフレを脱している。今年の特徴はインバウンド人気の長野・白馬、岐阜・高山、東京・浅草などが上昇率の上位につけている。円安で海外旅行は難しくなっているが、訪日客が下支えしている。半導体工場の周辺も上昇している。

安室奈美恵さんなど沖縄を代表するアーティストを輩出 沖縄アクターズスクールの創設者 マキノ正幸さん死去 | NHK | 訃報 →祖父は日本映画の父といわれた牧野省三、父は映画監督のマキノ雅弘、母は宝塚歌劇団出身で女優の轟夕起子という芸能一家出身。京都出身だが、沖縄に移り住み、安室奈美恵らのアイドルを育てた。伝記を読んでみたい気がする。

*** 「今日の名言」

◎アーネスト・ヘミングウェイ(米の小説家。1961年7月2日死去、61歳

「毎日が新しい日なんだ」 「何と多くの人が財布の中身を考え、他人の思惑を考え、家庭を考え、つまらない人生に甘んじてしまうことか」 「心の底からやりたいと思わないのなら、やめておけ」 「人生について書きたいなら、まず生きなくてはならない」 「これをやるために俺は生まれてきたんだ、と思えることだけを考えていればよい」 「だれかを信頼できるかを試すのに一番良い方法は、彼らを信頼してみることだ」 「宗教は人間の心をしびれさせる阿片である。音楽もそうである。経済学も、成功も、酒はもちろん、ラジオも、賭博も、野心も優れた人の阿片である。だが最高の阿片はパンである。そのために人間は見境もなくわめき立て、奪い合う」 「知的な人々の中に幸福を見いだすことは滅多にない」 

*** 今週の教養 (丸谷才一・考えるコツ②) 

◎定説に遠慮するな  学界の定説と言われると、偉いような気がします。謙虚さは生活面では美徳ですが、傲慢や謙虚はものを考えることとは関係がない。通説に対しては、その説が本当にいいものかどうかを検討してみることが大事です。歌舞伎の話をしましょう。勘九郎さんは「演技で大切なのは型である」といい、同時に「その型をする時になぜこういう演技になったのか考えることが大切だ」とも言っている。原点まで戻って考え、その上で学ぶわけです。先代仁左衛門さんは「役者ってものはみんな身長その他違うんだから、人の型なんか取り入れたって、あんまり意味がない」と言う。

2人の説は全く違ったことをいっているようですが、どちらも型と演技との根本的な関係を言っているわけです。大事なのは演技と心の関係であると。延長して言えば、型の生まれた理由、自分と型との関係を考えないで、ただ型をなぞるのは意味がない。通説に無批判に盲従していても意味はないということです。それは官僚主義というものです。日本の学者には官僚が実に多い。国文学者らは国文学の定説を管理する官僚になっている。そこからは新しいものは何も生まれません。

ものを考えようと思ったら、専門家に笑われてもいいと度胸を決めることが必要です。専門家といったって得手不得手がある。定説が学者たちの漠然とした、かなり無責任な世論にすぎないことはよくあることです。時代の風潮や歴史的条件のせいで、全体を見通せないとことがある。前の人に見えなかったことが、今の自分には見え始めたのかもしれない。文化的な大きな変動期には、いろんな条件が揺れて新しいものが見えてくることがあります。パラダイムの転換です。ものの見方や考え方の約束事が根底から変化するのです。

例を挙げましょう。戦後、文化人類学的思考が行き渡りました。柳田国男や折口信夫の仕事も戦後全集をみんなが読めるようになって、初めて広く知られるようになったんですね。戦前、柳田といえば随筆家、折口は歌人と思われていた。それが民俗学者としての業績が知られるようになり、学問の体系がそそり立って見えてきた。それによって日本文化を我々がわかるようになってきたわけです。

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***デイ・ウォッチ(2日)

新紙幣、1万円札の「顔」は渋沢栄一に交代 3日に発行開始 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →新紙幣がきょう発行される。渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎のトリオ。裏面はそれぞれ東京駅舎、藤の花、葛飾北斎の名画「神奈川沖浪裏」。20年ぶりの新紙幣だが、1万円札は福沢諭吉から40年ぶりの交代。広く出回るのは4日以降になりそうだが、いつ手にできるか。警察は詐欺を警戒する。

KADOKAWA謝罪 “サイバー攻撃 ハッカー集団の流出主張を確認” | NHK | サイバー攻撃 →KADOKAWAのハッカー被害が止まらない。身代金を要求するランサムウエアでシステム障害が発生しているが、個人情報の流出も明らかになった。同社を狙ったハッカー集団の動機は不明だが、どの企業も被害者になる可能性のある深刻な事態だ。

日本ハム勢、9人が選出 最多得票は万波、復帰の筒香も―プロ野球・球宴ファン投票:時事ドットコム (jiji.com) →日本ハムが地元開催もあって組織票が目立った。地域密着人気の証拠ともいえる。大リーグから復帰した筒香の人気も根強い。夢の球宴らしい一流の真剣勝負を期待したい。

米兵による相次ぐ性暴力事件 沖縄県内で事件への反発広がる | NHK | 沖縄県 沖縄 米兵の性暴力事件で読谷村長が情報提供体制再構築求める | NHK | 沖縄県 →米兵による暴行事件が相次ぐ沖縄県では、市町村議会の抗議決議が続き、基地の地元村長も外務省事務所に情報提供を訴えた。政府もおっとり刀風に動き出したが、どこまでやる気か。本気度が問われている。

東京女子医大“寄付額で人事考慮” 教授ら「国が適切指導を」 | NHK | 文部科学省 →揺れている東京女子医大の教授らが、文科省に適切な指導を求める異例の陳情をした。病院を経営しているだけに、これ以上動揺が広がらないようにする行動だろう。警視庁の捜査や第三者委員会が動いているが、先行きは見えない。大学当局の不適切行為に早くケジメをつけるべきだろう。

*** 「今日の名言」

◎チャールズ・ルイス・ケーディス(米陸軍大佐、GHQ民政局次長。1946年7月2日、新憲法の基本原則を決定

「戦争放棄規定は第1条にしてもよいほどだったが、天皇への敬意もあって、第1条は『象徴天皇としての地位』とした。しかし第1条と第9条はいわば一体であり、不可分のものだった」 「天皇を『国の象徴』とか『国民統合の象徴』とする表現は、実は米政府の指示ではなく、私たちがふっと考えて作り出したものです」 「ホイットニー民政局長から渡された黄色い用紙には『自国の安全保障のためでも戦争は放棄する』という記述がありました。しかし、私は道理に合わないと思いました。すべての国は自己保存のための固有の権利をもっているからです。私が憲法9条の草案を書く時、その部分を削除しました。マッカーサー元帥によって承認されました」 「私は『交戦権を認めない』という内容が理解できなかった。正直なところ、今でも分からない」 「アメリカ政府としてはすぐに日本に憲法を改正してほしかったが、難しかった。私自身も、日本はとっくに改憲をすべきだったと思う」 

*** 今週の教養 (丸谷才一・考えるコツ③) 

◎慌てて本を読むべからず  通説と違っても構わないと度胸を決めて考える心構えはできた。次に大切なことは、じっと手を見ることです。自分の心の中を眺める、見渡す、調べることがまず大切なのであって、慌てて本を読んではならない。なぜ読まないか。もう本は今までかなり読んでいるんです。本を読んでなければ、「不思議だな」という謎は切実には迫ってこない。切実な謎として迫ってくるのは、人生を生きて、本もかなり読んだ、その収穫なんですね。その謎は一般論的ではない。かなり複雑な謎であって、解決してくれる本なんて簡単にはない。図書館やインターネットで検索したって、都合よく答えが出てくるはずはない。そんなことをする暇があったら、自分の心の中で謎と直面し、反芻する、ああでもない、こうでもないとひっくり返してみるほうが実は早いんです。

もう一つ、謎を考えるためには頭の中にある程度の隙間を作っておかなければいけません。ところが慌てて本を読むと、その隙間が埋まってしまうんです。昔から散歩しながら考えるといいと言うでしょう。散歩をしている時は本を読むわけにはいかないからいいんです。アルキメデスはお風呂に入っていて原理を発見した。ガルシア・マルケスは、自動車を運転している最中に「百年の孤独」のアイデアを思いついた。湯川秀樹の素粒子論のアイデアは布団の中で浮かんだ。

今まで生きて、読んで、考えてきた。一応手持ちのカードはあるんです。その手持ちのカードをもういっぺん見ましょう。私は「日本文学史早わかり」という本を書きました。前々から日本文学史の本はみんなつまらないなぁと思っていたんです。日本文学史が大和時代、平安時代、鎌倉・室町時代と政治史をまともに受けて、首都の所在地によって時代を区分しているのがおかしいと思っていた。もっと文学的な基準があってしかるべきではないかと。勅撰和歌集など美しい詩文を集めた詞華集によって分ければ、文学中心の時代区分ができるのではないかと思ったわけです。そこでこれまでとは全く違う時代区分を提唱したわけです。石川啄木じゃないけど、じっと手を見る、それなんですね。

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***デイ・ウォッチ(3日)

旧優生保護法は「違憲」 国に賠償命じる 最高裁大法廷が判決:朝日新聞デジタル (asahi.com) →最高裁が旧優生保護法を違憲と断じた。「個人の尊重」を定めた憲法13条、障害者だけを手術の対象としたのは「法の下の平等」を定めた14条に違反するとした。20年間で賠償権が消えるという除斥期間も認めなかった。原告に寄り添った画期的な判決だ。最高裁の違憲判断は13件目。

公的年金の財政検証 給付目減りも現役世代の平均収入の50%以上は維持 世代・性別ごとの平均額の見通しも | NHK | 年金 →年金維持には、シニア・女性ら働く人が増え、経済が成長することが不可欠。税金投入を増やす選択もある。年金は、医療のように関連制度がからまないので、基本的にはシンプルだ。年金不安が増殖しており、政府はわかりやすい情報と選択肢を示す必要がある。

川崎重工業 潜水艦修理で架空取り引き 裏金を飲食などに流用 | NHK | 防衛省・自衛隊 →自衛隊と軍需産業の大きなスキャンダルが明らかになった。国税当局の調査が進み、防衛省も自衛隊員倫理法違反での調査を発表した。防衛費増額の裏で続いていた接待や金品の供与。金額は十数億円というから巨額だ。川重だけか、多方面への影響は避けられない。

沖縄知事、政府に抗議 米兵性暴力、通報徹底を要求:時事ドットコム (jiji.com) 沖縄 米兵による相次ぐ性暴力事件 “ほかにも未発表の同様事案3件” 林官房長官 | NHK | 沖縄県 →少数与党に転落した沖縄県の玉城知事が、霞が関を行脚した。外務省は上川大臣が応対したが、官邸は官房副長官、防衛省は副大臣。新たに3件の未発表性暴力事件も判明した。政府はもっと沖縄と国民に寄り添うべきだろう。

バイデン大統領 党議会指導部などと会談へ 動揺抑えるねらいか | NHK | バイデン大統領 →バイデン氏は、民主党議会指導部と会って、どう言うのだろうか。出馬の決意を聞いて支持を求められ議員は、どう対応するのだろうか。自党のボス選びではなく、世界の指導者を選ぶ観点から実のある話し合いができるのだろうか。

中ロ首脳会談 「協力関係 歴史上最も良好」両国の結束アピール | NHK | 中国 →大統領選に手一杯の米国を尻目に、習近平氏とプーチン氏が会談。対米国、ウクライナ問題での結束をアピールした。ロシアと北朝鮮との同盟強化も話し合われただろう。世界の分断=陣取り合戦は日々進んでいる。

*** 「今日の名言」

◎トム・クルーズ(米の俳優。7月3日は62歳の誕生日

「父は、何かがうまくいかないと、家族を蹴りつけるような人でした。僕の人生でとても良い教訓となりました。このような男には問題がある。近づくな。信用してはならないってね」 「僕は機能性の読み書き障害でした。本当は学ぶのが大好きで、学びたいと思っていましたが、学校システムの中でうまくいかなかったことはわかっていました」 「自分なりに精一杯、生きてきた。きっと生きることが好きなんだと思う」 「僕は学ぶことに熱意を持っています。そして生きることにも情熱を持っているんです」 「君がだれであっても関係ない。人生は挑戦だよ」 「僕は仕事を通じて、常に自分にチャレンジを課している。どんな映画でも。観客のために全力を尽くすことをポリシーにしている」 「人間としての誠実さは、肉体や物質より大事なこと。これは、時代を超越した普遍的な観念だと思う」

*** 今週の教養 (丸谷才一・考えるコツ④) 

◎大胆な仮説と名づけ  次に大事なのは仮説を立てることです。どんな定説であろうが、最初は仮説です。最初に仮説を立てる冒険をしなければ、事柄は進まない。直感と想像力を使って仮説を立てる。立てるにあたっては、大胆であること。みんながあっと驚くようなものを立てた方がいい。学者的手堅さより、芸術家的奔放さのほうが大事だと思う。自分の直感と想像力を信頼し、実証主義に遠慮してはならない。実証主義では単なる臆病、学問的官僚主義に陥ってしまう。人から悪口を言われないで無事に勤め上げるという消極的な態度は、ものを考える場合はまずい。

日本に西洋的な学問が輸入されたのは明治時代。当時の秀才青年たちがヨーロッパに留学して、西洋の学問を日本に持ち帰った。彼らが何を学んだかというと、当時の19世紀末の学風の中で定説となった安全なところだけだったんです。そのため日本では瑣末主義的ともいえるようなものが、学問的厳密さという風に受け取られたわけです。19世紀末は20世紀の学問が準備され始めた時期です。文化人類学や精神分析学の試みなどが、全く新しい学問として生まれ育った。それは露骨な物証を差し出すことができない学問だった。ところが明治の秀才たちはそういうものは学ばず、飽和状態になっていた実証主義を、「これぞ学問」と思って勉強したわけです。

うまい仮説を立てることができれば、傍証や補強材料は不思議なくらい次々と現れてくるんです。例えば柳田国男は平将門の祟りを恐れる民衆が作った将門塚、菅原道真を祀る天神信仰などをみて、「御霊信仰」であるとまとめた。折口信夫は松や杉、真木などの大木に神様が降りるという日本人の考え方から「依代」(よりしろ)を発見した。神の霊を一箇所に集中させる仕組みが必要であり、鏡や仏壇に祀るお像、位牌、写真、お盆の瓜や茄子・・・。これらをみんな依代と考えた。これはすごい洞察力です。

もう一つ大切なことがあります。型を発見したら名前をつけることです。フロイトは息子の母親に対する愛情を「オイディプス・コンプレックス」と名付けた。ユングは「集団的無意識」という言葉をつくった。本居宣長は日本人の恋愛好きを「もののあわれ」と要約した。名付けが大切なんです。

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***デイ・ウォッチ(4日)

労働党、歴史的大勝の勢い 14年ぶり政権交代の公算―英総選挙で投票:時事ドットコム (jiji.com)  イギリス総選挙 次の首相?労働党スターマー党首 どんな人?趣味サッカー アーセナルファン でも「退屈」? | NHK | WEB特集 | イギリス →英国総選挙が行われ、労働党の14年ぶりの政権奪取が確実だ。首相に就任するスターマー党首(61)について、NHKが詳細に報じている。派手さも面白みもないが、難病の母を看護し、真面目な実行力が特徴のようだ。

川重、裏金作りは20年前からか 下請け6社を通じ年1億円超プール:朝日新聞デジタル (asahi.com) →有料記事。自衛隊の潜水艦をめぐる川崎重工の裏金作りは、20年前からという。関係者の間では常識だったのではないだろうか。防衛省は現在乗艦している1500人を対象にアンケート調査を始めた。結果が注目される。

面識ない女性の胸触った疑い 22歳の米兵を逮捕 沖縄 那覇 | NHK | 沖縄県 沖縄 米兵の性暴力事件 外相 地元自治体と情報共有見直し検討 | NHK | 沖縄県 →沖縄でまた米兵による性的不祥事があった。あまりに多い。沖縄県への情報提供について、上川外相が近く改善案を出すという。女性外相、首相候補の手腕に関心が集まる。

元園長に実刑判決 「過失著しい」―女児バス置き去り死・静岡地裁:時事ドットコム (jiji.com) →元園長に禁錮1年4月の実刑判決が出た。被害の重さを考慮したとみられる。事故後、保育園のバスに安全装置が普及した。裁判長が声を震わせながら最後に述べた「千奈ちゃんが生きていた意味、子どもを守る大切さを考えなければいけない」という言葉が重い。

TOPIX、最高値 日経平均も、収益拡大期待―市場全体へ株高波及:時事ドットコム (jiji.com) →東証株価が最高値を更新した。日経平均は今年3月にバブル期の最高値を更新したが、4日も買いが優勢で急騰した。3月は半導体関連が主導したが、今回は円安で業績向上が見込まれる大手製造業、金利復活で収益が改善する銀行などが中心。外国人の買いも多いようだ。

*** 「今日の名言」

◎栄西(臨済宗の開祖。1215年7月5日死去、74歳

「あまねくすべての人々を救おうとして、自分一人の小果を求め、満足してはならない」 「(仏像の光背を造るための銅を救いを求める飢えた人々に分け与えたことを批判されて)私は、この罪によってたとえ地獄に墜ちるとしても、衆生の飢えを救いたい」 「人間の心は広大だ。天空の高さには圧倒されるが、心はその高さをも超えることができる。大地の厚さはとてつもないが、心はその厚さをも超えることができる。太陽や月の光は厳かで秀麗だが、心の輝きはその光をも凌駕することができる。この宇宙は果てしないが、心は宇宙を越えて無限である」 「一日絶食して餓死するとしても、苦しがってはいけない」 「仏などいない。いるのは、ただ狸と狐ばかりである」

*** 今週の教養 (丸谷才一・考えるコツ⑤) 

◎詩的感覚  同種のものが別の外観で存在することを発見する、同類を見つけて同類項に入れる。他の言い方で言えば、「見立て」です。見立ては日本文化にとって非常に大事なものでした。我々の文化は日本のものを中国のものに見立てることによって始まっている。平家物語の最初のところで、「遠く異朝をとぶらえば」として、中国の逆臣や栄華を極めた悪人をずっと並べる。その後に平清盛を出す。源氏物語だって同じ。桐壺帝が桐壺の更衣に熱中した。これはまるで唐の玄宗皇帝が楊貴妃に溺れたようなものであると、人々が眉をひそめたという。そこから壮大な想像力が働き始めたわけです。乞食が後ろ向きで富士山を見ているのを見ると、まるで西行みたいだなと思って「富士見西行」といった例もある。

見立てることによって想像力が動いた。日本人の考え方にとって非常に大きな方法だった。見立ては距離のある2つのものに共通性を発見するアナロジーです。「富士見西行」のようにおかしいところがある。風流でもあるが、滑稽でもある。パロディだったり、批評だったりする。洒落っ気があり、ニヤリと笑う微笑くらいのようでもある。大事なのはそこにあるポエトリー、つまり詩とユーモアがごちゃごちゃになったような感覚、面白さ、それがアナロジーには必ずつきまとうということなんです。

詩情、詩的感覚が、ものを考えるときに大切だと僕は思う。えてして人は、「思考」というと、なんだかギクシャクして、堅苦しくて、大真面目で、窮屈なものだと思いがちです。詩と論理とは不思議な形で一致する。というよりも、詩と論理が互いに排斥しあうものだというのは昔気質な思い込みで、新しい詩学では論理を尊ぶ。人間がモノを考えるときには詩がつきまとう。ユーモア、アイロニー、軽み、極端に言えば滑稽感さえつきまとう。そういう風情を見落としてしまったとき、人間の考え方は堅苦しく面白く重苦しくなって、運動神経の美しさを失い、ぎこちなくなるんですね。遊び心がなくちゃいけない。当たり前ですよね。人間にとっての最高の遊びは、ものを考えることなんですから。