7月15~19日(教養講座:文系と理系はなぜ分かれたのか)

2024.07.19メルマガ

~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年7月15日号(転送禁止)~~~

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***デイ・ウォッチ(12~14日)

トランプ前大統領 銃撃事件 右耳にけが ライフル発砲した容疑者は射殺 暗殺未遂で捜査 集会参加者に死者も | NHK | アメリカ大統領選 →トランプ氏の暗殺未遂事件が発生した。右耳に負傷を負ったが、命に別状はない。犯人は20歳の男と見られるが、射殺されたので動機はよくわからない。世界が不穏に向かう中で起きた衝撃の犯罪。全米は重苦しい空気に包まれている。

ゼレンスキー氏を「プーチン大統領」 バイデン氏が混同:時事ドットコム (jiji.com) バイデン大統領 ハリス副大統領をトランプ氏と言い間違え | NHK | バイデン大統領 “イーロン・マスク氏がトランプ前大統領の支援団体に献金” 米メディアが報道 アメリカ大統領選挙 | NHK | アメリカ大統領選 →政敵のバイデン氏は決定的な言い間違いを重ねている。有力支持者や大口献金者らが離れ、「4年間もたないだろう」という懸念が日増しに強まっている。襲撃されたトランプ氏は事件直後に拳を天に向けて何回も突き出し、強いイメージを演出した。米大統領選は異様な展開になってきた。

女子ゴルフ 古江彩佳が海外メジャー大会で初優勝 日本選手では男女通じて5人目 | NHK | #ゴルフ(女子) →メジャー制覇は女子で4人目、男女含めて5人目の快挙。3歳からゴルフを始め、身長1メートル53センチと小柄だが、正確なショットとパットによる堅実なプレースタイルが持ち味。今季は全米女子オープンで笹生優花が2回目の優勝をするなど女子の活躍が目立っている。

自衛官ら218人を処分 海幕長交代へ 特定秘密めぐる違反などで | NHK | 防衛省・自衛隊 →空前の海上自衛隊・防衛省の大型パッケージ不祥事。川崎重工の裏金スキャンダルは含まれていない。個人の不始末ではなく、組織全体の病理であり、防衛費倍増の流れで起きた政治的スキャンダルでもある。なぜいま表面化したのかも含めて、全体像はまだ見えない。

兵庫副知事が辞職へ 斎藤知事は続投意向:時事ドットコム (jiji.com) →兵庫県副知事が辞職し、涙の会見をした。パワハラの真相解明はこれからだが、斎藤知事のリーダーとしての能力と資質に決定的な疑問符がついた。県庁内には不満が相当たまっているようだ。県議会に百条委員会が設置され、維新と自民の確執もあるので、事態は長くこじれそうだ。

ガザ南部ハンユニス空爆で71人以上死亡か…イスラエル軍はハマス拠点を制圧と発表 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →イスラエルがガザ南部に激しい空爆を加えた。ハマス軍事部門のトップを狙ったというが、生死は不明だ。イスラエルは強硬になるばかりで、停戦をしようという気がない。米国も大統領選で手一杯で、ますます無法地帯化している。

*** 「今日の名言」

劉 暁波(中国の民主活動家、作家、ノーベル平和賞。2013年7月13日、投獄中のまま死去、61歳)

「私は罪となるようなことを何もしていない。しかし、不満はない」 「ノーベル平和賞は、天安門事件で犠牲になった人々の魂に贈られたものだ」 「私は望む。私の国が表現の自由がある場所となることを。すべての国民の発言が同等に扱われるようになることを。そこでは異なる価値観、思想、信仰、政治的見解が互いに競い合い、平和的に共存できる」 「表現の自由は人権の基礎であり、人間性の根源、真理の母である。言論の自由を封殺することは、人権を踏みにじり、人間らしさを閉じ込め、真理を抑圧することである」 「恨みを捨てよう。恨みは私たちの心をむしばむ。私たちに敵はいない。理性的に対話しよう」 「私には敵はおらず、憎しみの気持ちもない。私を監視、逮捕し、尋問した警察官、起訴した検察官、判決を下した裁判官も、誰もが私の敵ではない」 「(妻に対して)あなたはしっかり生きなさい。幸せに暮らしてほしい」

*** 今週の教養 (文系と理系①)

日本社会では文系と理系の違いが強く意識されている。大学入試に始まり、その後の人生を規定しているといってもいい。今週は名古屋大大学院・隠岐さや香教授の「文系と理系はなぜ分かれたのか」(2018、星海社)から、その歴史や背景を紹介する。

◎「科学」と訳した西周  明治時代の日本が出会ったのは、様々な分野に細分化した西洋の諸科学だった。しかしそれらを文系理系と分けるは、かなり先だった。順を追ってみていくと、まず専門分化する学問の発見があった。西周は1880年代の講義でその点を指摘し、学者が一つの分野の専門家となり、他の分野は修めないと驚いている。東アジアにはそのような考え方はなかったからだ。

明治初頭の日本は、幕府による洋学の教育制度を受け継いだ。その中身は、言語学習や地理・歴史を除けば、軍事技術に関係のある自然科学分野が中心だった。幕末期の1863年、西周は当時の日本には「内政上、施設の改良を行うため、必要な学問が欠けている」との認識を示している。具体的には「統計学・法律学・経済学・政治学・外交学など」だった。社会科学に相当するものが欠けていたのだ。

福沢諭吉の関心が、日常的な実用知識に傾斜していたのに対し、西は西洋の近代的学問全体を体系的に日本に伝えようとした。実学ではなく、英語で言う「サイエンス」である。西は1880年代初頭、サイエンスに「科学」という訳を当てはめたことでも知られる。漢語からの借用だが、「分科の学」、すなわちバラバラに分かれている学問という意味がある。この訳のせいで、知識や学問そのものを指す「サイエンス」の本来の意味が日本人に伝わりづらくなったといわれている。

幕末から洋学者らが「窮理」(きゅうり)を自然科学、とりわけ物理学の訳として用いていた。しかし、オランダで学問体系について学んだ西は、自然科学だけでなく人文・社会科学にも道理、理性が存在すると考えた。西は大学教育を考える際、文科系専門学科を「心理上学」、理科系専門学科を「物理上学」と呼ぶことを提案した。中江兆民はフィロソフィーの訳を「哲学」ではなく「理学」にするべきだと主張した。

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***デイ・ウォッチ(15日)

【随時更新】アメリカ共和党 全国党大会まもなく開幕 トランプ前大統領 銃撃事件に屈しない姿勢強調へ | NHK | トランプ前大統領 いつも一人、物静かな子 射撃クラブ所属、いじめ被害も―トランプ氏銃撃のクルックス容疑者:時事ドットコム (jiji.com) →射殺されたトーマス・クルックス容疑者は、勤めていた介護施設では「優しい人」の評で、勤務に問題はなかったという。高校の同級生は「学校生活になじめずいじめられていた」と話している。政治的な動機を示す証拠はまだない。トランプ氏はSNSに「私たちが団結してアメリカ人としての真の姿を示す」と投稿。バイデン氏はトランプ氏と電話で話し、「よい会話だった」とコメントした。ののしり合うことの多かった2人だが、激し過ぎる分断の潮目が変わるか。

【随時更新】トランプ氏 米共和党の大統領候補に決定 | NHK | トランプ前大統領 →共和党大会でトランプ氏を大統領候補に決定。副大統領候補はバンス上院議員。オハイオ州選出で39歳の白人男性。地元の没落した白人労働者の日常を描いたベストセラー作家で、トランプ氏の「アメリカ・ファースト」を象徴する。

中国 4~6月のGDP伸び率 去年同期比 実質+4.7% 前の3か月から縮小 | NHK | 中国 →中国の成長が減速している。4~6月は前年同期比4.7%。1~3月の5.3%から縮小した。不動産不況や高失業率で個人消費が伸びない。国家統計局が定例の会見をせず、ウェブで公表する異例の対応。15日から始まる共産党の重要会議が関係しているという見方がある。中国の経済は深刻だ。

オリンピック:聖火がパリ到着、テロ被害者も走る…融和のメッセージ「多くの人が共存する力強さ示したい」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →26日から始まるパリ五輪。3年前の東京五輪疲れもあってか、日本でムードはまだ盛り上がっていないが、NHKがファミリーヒストリーやNHK特集で有望選手を取り上げている。日を追うごとに関心を集めるのだろう。

久保建英のいとこで16歳の久保凜、800mで19年ぶり日本新…初の2分切り1分59秒93 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →「いとこがサッカーの久保選手」と枕言葉がこれまでついたが、19年ぶりの日本新。堂々の陸上選手だ。パリは逃したが、次期五輪の有望候補。まだ高校2年生というから楽しみだ。

*** 「今日の名言」

◎アントン・チェーホフ(ロシアの小説家。1904年7月15日死去、44歳

「無関心とは精神の麻痺であり、死の先取りである」 「愚者は教えたがり、賢者は学びたがる」 「人間の目は、失敗して初めて開く」 「ただ働くのだ。生きる意味も、幸福も、その中にある」 「結婚生活で一番大切なものは、忍耐である」 「知識は、実践するまでは価値がない」 「教養ある人間は、他の人格を尊重し、常に寛大で柔和で腰が低いものだ」 「共通の憎しみほど人間を団結させるものはない」 「精神疾患が増えたのではない。精神疾患に眼の肥えた医者が増えたのだ」 「男とつきあわない女は、だんだん色褪せる。女とつきあわない男は、だんだん馬鹿になる」 「ひょっとしたら、この宇宙はなにかの怪物の歯の中にあるのかもしれない」 「マナーというものは、ソースをテーブルクロスにこぼさないことではなく、誰か別の人がこぼしたとしても気にとめないことだ」 「小説家の役割は問うことであって、答えることではない」

*** 今週の教養 (文系と理系②)

◎東京大学・帝国大学に始まる学問分化  明治初期、学者たちの間で学問分類についての議論は続いたが、用語は学校制度や官僚制度の改革を通じて少しずつ世の中に定着していく。1872年には、学制が公布され、小中学校で理科が教えられることや将来作られる大学には法・医・数理・理・化学の各学科が作られることが示された。1877年に東京大学が設立され、法・理・文・医の4学部が置かれた。法学部、理学部、医学部はそれぞれ、開成学校や東京医学校など幕府から引き継いだ実務系の学校を前身としていた。文学部は新しく作られた。

ただし、この時点でも言葉の使い方は今とずれている。例えば、文学部には哲学、史学、和漢文学など人文系だけでなく、政治学科などの社会科学も含まれていた。ほどなくして史学は適切な教授がおらず、学生が少ないことを理由に削られ、理財学すなわち経済学と取り替えられてしまった。理学部も化学、数学、物理学、天文学、生物学など理学系の学科だけでなく、工学科、地質学および採鉱学科など工学の分野を含んでいた。

1886年、東京大学が帝国大学と改称し、世界で初めて工学部を備えた総合大学となった。帝国大学は、法科、医科、工科、文科、理科の文科大学(現在の学部に相当)と大学院から構成されていた。官営の公共事業管轄していた工部省が廃止され、人材育成機関だった工部大学校をもらい受けたことが発端だった。理工系教育の歴史において、革新的と評価される出来事だ。欧州では総合大学に工学部が存在したことはなかった。大学は伝統的にラテン語で教養を身につける階級の行く場とされており、技術者は一段低い扱いを受けていた。経済学は最初、法科や文科の学部で教えられていたが、1919年に東京帝国大学と京都帝国大学で経済学部が設立された。農学部も九州帝国大学で初めて設立された。

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***デイ・ウォッチ(16日)

偽情報やなりすまし広告 対策の提言案まとまる | NHK | フェイク対策 →荒れたネット空間をただそうという動きが始まった。医療や災害の偽情報や詐欺行為は影響が大きい。関連事業者による協議会を作り、プラットフォーム事業者への規制強化や行動計画作りが浮上している。9月にもまとめる予定で、公益性とビジネスとのバランスが厳しく問われている。国の関与の程度も焦点。

トランプ氏 銃撃事件で誤情報 「シークレットサービス長官が…」「安倍氏の声が」「翌日にゴルフ」 | NHK | フェイク対策 →トランプ氏の暗殺未遂で、さっそく偽情報があふれている。「当局が容疑者を倒す命令を拒否した」「翌日はゴルフをした」「日本の古い友人(安倍元首相)の声が聞こえて撃たれる瞬間に顔を動かした」・・・。世の中が壊れていないか。

トランプ関連株が急騰 米大統領選での勝利予想で:時事ドットコム (jiji.com) →マーケットは、善悪より損得で動く。トランプ関連株が急騰した。トランプ氏が大株主のSNS、暗号資産株、銃器メーカー、大口献金をしたイーロン・マスク氏のテスラ・・・。トランプ大統領を織り込んでいるようだが、民主党の反撃の大技はあるか?

サッカー日本代表の佐野海舟容疑者を逮捕…30代女性に3人で性的暴行の疑い : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →サッカー日本代表の佐野海舟選手が、性的暴行で逮捕された。直前まで食事をしていた女性が被害者。昨年11月、日本代表に初選出され、今月4日に鹿島アントラーズからドイツのマインツへの完全移籍が発表されたばかり。高揚していたかもしれないが、自覚欠如が甚だしい。

「太平洋・島サミット」開幕 岸田首相が各国と個別の首脳会談 | NHK | 安全保障 →太平洋をめぐる日中の陣取り合戦が激しくなっている。太平洋・島サミットは3年に1回開かれ、今回が10回目。気候変動や海洋の安全を話し合ったという。中国はインフラ整備という「アメ」を提供しているが、日本の決め手は何だろうか。かつてのように「自由と民主主義」が輝いていないのが苦しい。

クロマグロ漁獲枠拡大 来年から大型1.5倍―小型1割増・国際会議閉幕:時事ドットコム (jiji.com) →高級魚のクロマグロが少しは食卓に近づくかどうか。漁獲枠は大型で1.5倍、小型で1.1倍になる。枠の拡大は大型で3年ぶり、小型は2015年の導入以来、初めてになる。資源管理はわからないことも多いが、海と人類の持続可能性に関わる。

*** 「今日の名言」

◎中野孝次(作家、ドイツ文学者。2014年7月16日死去、79歳

「日本には、ひたすら心の世界を重んじる文化の伝統がある」 「日本には、自らの思想と意志によって積極的に作りだした簡素な生の形態としての清貧の思想がある」 「心を自由にするには物や金、そして機械に囚われない心を持つことが大事だ」 「人間をダメにするのは、窮乏よりも過剰である」 「思想とは何よりもまず、自分の頭でものを考え、判断する力を持つことだ」 「人間、何かを捨てないと、新しいものを拾うことはできない。好きな人間とわずかな本があればいい。私は捨てることで、大きな自由、さっぱりとした気分を手に入れた」 「自分らしく生きるとは、心の声に従って自信を持って生きること。真の自信は、自分を正しく知り、個性を大事にしなければ得られない。ひと筋に自分の道に打ち込むことによってのみ、人は何者かになる」

*** 今週の教養 (文系と理系③)

◎官僚制と中等教育が影響  一般的な文系・理系の概念に最も影響を与えたのは、官僚制度と中等教育といえるだろう。明治初期から、殖産興業や土木公共事業に関わる技官、法務に携わる文官の役割分担ははっきりしていた。1880年代から90年代にかけて、文官の登用制度が整備され、高等文官は法律に関する試験を通った専門職となった。その結果、官僚の世界で文化的な摩擦が起きた。同じように大学を出て官僚を目指しても、理工系の技官は行政官の幹部となることが難しくなってしまった。たとえば、全国の河川・道路関連公共事業を担った内務省土木局のような技官中心の部局でも、法科出身の文官が長となり、技官は補佐役止まりが相次いだ。技術官僚はかつてのような影響力を行使できなくなり、鬱憤をためるようになった。

すべての分野を文理で分類する表現が明確に見られるのは、1910年代だ。中等教育について定めた第2次高等学校令に「高等学校高等科を文科および理科とする」の文言が入った。文科は法、経済、文学である。理科は理、工、医という区分だ。これ以降、大学入学試験の準備段階で、文系志望と理系志望に2分する方法が定着する。同時期の英独仏の大学入試制度ではここまでの徹底は見られない。背景には、日本の大学が法と工学の実務家育成を目的に作られたことがあるだろう。共通試験に受かればどの学部でも選べるドイツ式の「学問の自由」とも、数学から古典まで幅広い知識を競う英国のエリート大学とも違うモデルだった。

日本はドイツの学問の影響を強く受けていたので、1910年代にドイツ人が提唱した人文科学という言葉が導入された。当時は自然科学とそれをモデルにした社会科学が発展し、哲学者、歴史家、文学者らは自分たちの役割を模索していた。急激な近代化を遂げた日本では、そのプレッシャーがより強く、人文科学を担う人々に共有された。特に大正期の1910年代にその傾向が現れた。国策で重視された自然科学・技術諸分野、出世コースとなった社会科学分野(法・経済)に挟まれて、人文系を担う人々が自らの存在について葛藤し始めた。

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***デイ・ウォッチ(17日)

大谷翔平が先制スリーラン オールスターで初ホームラン 今永昇太は1回無失点と好投【試合後の一問一答も】 | NHK | #大谷翔平 →さすが大谷。メルマガでこれまで「大谷が日本で最も明るい話題」と何回か書いてきたが、大谷がいなかったらここ数年、どんなに寂しかっただろうと感じる。バイデン、トランプ両氏から大谷に関するコメントを聞いてみたい。

米共和党大会 ヘイリー氏が強い支持表明 トランプ氏 結束図る | NHK | アメリカ大統領選 →トランプ人気が高まり、対抗馬だったヘイリー氏も支持を表明した。暗殺未遂を経て、トランプ氏は落ち着いた態度が目立つ。威厳が出てきたようにも映る。「もしトラ」から「ほぼトラ」、そして「確トラ」「決まっトラ」に移っているのだろうか。

【詳細】岸田首相 旧優生保護法裁判の原告らに謝罪 “除斥期間適用の主張撤回 和解で速やかな解決目指す” | NHK | 憲法 →厳しい立場にいる人に寄り添うことは、政治の要諦だ。本来なら、行政の建前を超え、最高裁が決定する前に、首相や閣僚、国会は動くべきだった。旧優生保護法裁判の原告だけでなく、米軍基地で苦しむ沖縄にもっと心を寄せるべきだろう。

芥川賞に朝比奈秋さん・松永K三蔵さん 直木賞に一穂ミチさん | NHK | 文芸 →芥川賞と直木賞を受賞した3人は全員、関西生れか関西在住。朝比奈さんは医者、松永さんは名前が「K三蔵」とユニーク。一穂さんは男性同士の恋愛をよく書いてきた。読むのに骨の折れる受賞作もあるが、頭の空間を広げることに役立つ。株式会社文藝春秋の一大イベント。

毎日新聞 富山県内での配送を9月末で休止へ 全国初 | NHK | 富山県 →全国紙を標榜している毎日新聞だが、富山県での配送を止める。同県は「読売新聞中興の祖」と言われた正力松太郎の出身地で、全国紙では読売が強かった。ネットの登場で新聞経営は苦しくなっており、夕刊配達を止める地域が出ている。新聞情報は信頼性が高い。SNSになびく若い人にも読んで欲しいが・・・。

京都 祇園祭 最大の見どころ「山鉾巡行」が始まる | NHK | 京都府 →京都の祇園祭は日本3大祭り。関西での盛り上がりは関東では想像できないほどだ。17日はクライマックスの山鉾巡行だが、祭りは7月中ずっと続いている。疲れないかと心配になる。疫病退散を祈った京都町衆の意気を伝えている。

*** 「今日の名言」

◎石原裕次郎(俳優。1987年7月17日死去、52歳

「人の悪口は絶対口にするな。人にしてあげたことは、すぐ忘れろ。人にしてもらったことは、絶対忘れるな」 「俳優、男子一生の仕事にあらず」 「僕らがちっちゃいときは、家族4人で風呂に入っていた。『お母さんもおいで』なんて、親父が呼んでさ。おふくろが途中から入ってくるんだ。いま当時を振り返ると、すごく微笑ましくてね。『よかったな』というイメージしか残っていないんだ」 「兄貴(石原慎太郎)は、僕の尊敬する人物の一人だ。遊びでも、スポーツでも、試験勉強のやり方でも、兄貴の言うとおりやれば、まず間違いないと思っていた。もう一種の信仰だね。だから、あいつの言うことはよく聞いた。いまでもそうだ」 「美しき者に微笑を 淋しき者に優しさを 逞しき者にさらに力を すべての友に思い出を 愛する者に永遠を 心の夢醒めることなく」

*** 今週の教養 (文系と理系④)

◎文系受難と戦争  1910年代の大正期、人文科学でオリジナルな成果が数多くあった。仏教や神道の背景知識を元に西洋の思想に向き合おうとした西田幾多郎や和辻哲郎がいる。文化や社会という概念が、日本語の思想においてしっかりと認識され、学問の対象として意識された。自然科学のように普遍的な知識に対して、固有で1回限りの対象が持つ意味が模索された。

ただ、大学生の進路を見ると、人文科学系の卒業生が悩ましい思いでいたことが伺える。帝国大学卒であっても、文科出身者は教師など学校職員や文筆家に限られていた。法科は司法官や弁護士、経済学を修めた者は企業や銀行、理工系は官庁から企業まで幅広く活躍していた。当時の大学生は全人口の1%というエリートで、女性はわずかに存在していた女子大学以外には進学できず、就職の道はほぼ閉ざされていた。

戦争が近づいてくると、理工系重視の政策が進み、人文科学だけでなく社会科学も雲行きが怪しくなっていく。もともと社会科学は、価値の問題と関わる学問なので、特定の宗教・思想に基づく政治的秩序とは、相容れない部分があった。当時学問の中心であった帝国大学は、国家への奉仕を目的として作られた組織だった。中世以来の長い歴史の蓄積がある西洋の大学に比べると、直接に国家の介入を受けやすい素地があった。

1920年には東京帝大経済学部の森戸辰男助教授が、無政府共産主義思想を宣伝したとして文部省の圧力で辞職に追い込まれた。昭和期に入ると弾圧は本格化し、マルクス主義を研究する経済学部関係者が次々と自発的退職を迫られた。1930年代になると自由主義思想を持つ京都帝国大学法学部の滝川幸辰教授が大学の反対にもかかわらず文部省により直接処分された。1943年、第2次世界大戦の戦局が悪化すると、学徒動員が本格化する。真っ先にターゲットにされて戦地に送りこまれたのは文系大学生たちだった。理系は兵器研究のために動員されていたからだ。

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◎新著2冊販売中→ Amazon.co.jp: 自分で考え、発言する力を養う ソーシャル・シンキング : 長谷川智: 本 本気の文章上達法を教えます | 長谷川 智 |本 | 通販 | Amazon

***デイ・ウォッチ(18日)

堀井学衆議院議員に強制捜査 東京地検特捜部 公職選挙法違反疑いで事務所など捜索 堀井議員は自民党を離党 | NHK | 衆議院 →堀井議員は五輪スピードスケートの銅メダリスト。香典は議員が持っていけば合法、秘書なら違法。サービス合戦をやめようという趣旨とみられるが、どこか変だ。容疑の金額は数十万円。萩生田議員の裏金不記載は2728万円だが、おとがめなし。哀れなメダリスト。

円大幅高、一時155円台前半 株971円安、トランプ発言が左右:時事ドットコム (jiji.com) →トランプ発言でマーケットが揺れた。アメリカの製造業復活のためドル高をけん制したら、円高に振れた。日本株は1000円近く下がった。トランプ氏は一貫した信念というより、ディール優先で発言も揺れる。大統領選まで台風の目になりそうだ。バイデン氏はコロナに感染した。

防衛省“去年 元自衛官4人を逮捕” 海自で潜水手当 不正受給 | NHK | 防衛省 →自衛隊の捜査機関である警務隊が昨年11月、隊員4人を逮捕していたことがわかった。潜水手当の不正受給だが、詳細は不明。防衛省は逮捕時、遅くとも先日の処分発表の時に情報開示すべきだろう。これも「特定秘密」か。何が特定秘密かも公表されていないが、これではロシアや中国並だ。

“20億年前”地球最古の微生物? 生命の起源に迫る重要な発見か 東京大学研究チームが南アフリカで調査 | NHK | サイエンス →これまでわかっていた最古の微生物は1億年前で、今回は20億年前。担当の東大准教授は「天と地がひっくり返るほどの発見」と言っている。ノーベル賞の対象になるのだろうか。何賞なのだろうか、生物学賞はないし・・・。

横浜地検検事の取り調べは「人格権を侵害」、国に賠償命令…東京地裁 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →犯人隠避で逮捕された元弁護士が訴えていた。検事は取調べ中、「お子ちゃま発想だったんでしょうね、あなたの弁護士観って」「ガキだよね」「中学校の成績を見たが、理系的なものが得意じゃなかったみたいだ。論理性がずれている」と言っていた。最近の検察は戦前に回帰しているかのようだ。

*** 「今日の名言」

◎日野原重明(医師。2017717日死去、105歳)

「私たちは運命を生きるのではなく、運命を作っていくのだ」 「人のために自分を捧げる喜びを知っている人を、プロという」 「心のよい習慣は表情や仕草に現れる。人の顔つきも習慣なのだ」 「きりのない欲望が、あなたを幸せから遠ざける」 「ビジョンは大きいほうがいい。自分が実現できなくても、バトンタッチすればいい」 「医学以外のところで患者さんの心の支えになることが、本当の医術ではないか」 「外科手術や化学療法の発達した今日でもなお、最も大切な治療法の一つは、言葉による癒しだ」 「老いた身の一番の不幸は孤独である。孤独は老いた人間を悲しく沈没させてしまう」 「自分のためではなく、人のために生きようとする時、その人は孤独ではない」 「地位や名誉は死ねばなくなる。財産も残したところで争いの種をまくだけですが、ありがとうの一言は、残される者の心をも救う何よりの遺産だ」 「人は最後の瞬間まで、生きる希望に支えられるべきだ」

*** 今週の教養 (文系と理系⑤)

◎戦後の文系軽視  日本人がよく使う「技術」という言葉は、戦争の記憶を背負っている。1940年、近衛文麿内閣が科学者と技術者を総動員すべく「科学技術新体制」を作り上げた。技術を中心に物事を見ていた人が多かった日本では、すんなりと受け入れられた。敗戦は大きな転換期となったはずだが、学問に対する価値観は明治初頭から連続する要素が残っている。

富国強兵は終わったが、1960年代以降の高度成長期に目指したのは富国であり、経済的繁栄と科学技術の重要性が叫ばれた。岸内閣の文部大臣は「国立大学は、法文系学部を全廃して理工系一本とし、法文系教育は私学に委ねるべきだ」と発言した。次の池田内閣の所得倍増計画では大学理工系学部の定員が大幅に増やされた。安保闘争の時期と重なるが、学生運動を担った多くは文系学生たちという背景も無視できないだろう。

1980年代には日米貿易摩擦を背景に科学技術立国が叫ばれ、1990年代以降から科学技術基本計画で5年ずつ約30兆円が自然科学技術に投資される体制が確立。日本の基礎科学は何度もノーベル賞を取るような水準に達した。国立大学の文系学部は潰されこそしなかったが、理工系に比べて規模は小さいままにとどまった。経済水準が上がると進学率が上昇したが、増大する文科系志望学生のニーズを吸収したのは私大だった。家政学部など女性の多い学部も私大に集中した。研究者育成でも日本は理工系偏重である。

以上の傾向は、目先の目標のために批判勢力が封じ込められてきた歴史とつながっているようにみえる。利便性を追求する科学技術に無邪気に信頼を寄せるような人が求められてきた。植民地化されない国家の建設、経済成長といった明確な目標がある時代はそれでよかったかもしれない。しかし現代社会は、地球環境問題から資本主義が抱える矛盾まで、複雑な課題を抱えている。経済成長や科学・技術イノベーションの結果、人間が複雑で高度なシステムを作り上げていったことから生じている。東日本大震災の原発事故もその一例だ。明確な目標が持てない時代の想定外の課題に対応するため、何が必要なのか。どのような知性が求められるのか。これまでの歩みを見直してみることが必要だろう。