8月5~9日(教養講座:昭和史百冊・陸海軍と銃後)
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◎好評、「雑談力講座⑤」の動画をアップしました→ ウェビナー動画「雑談力講座⑤やる気、まえむ気!」を公開 – 長谷川キャリア文章塾 (hasegawa-cwa.com)
***デイ・ウォッチ(2~4日)
◎パリオリンピック フェンシング 男子フルーレ団体 結果 日本が金メダル フェンシング今大会5つ目のメダル | NHK | #フェンシング パリオリンピック【結果】柔道 混合団体 日本が銀メダル 2大会連続 フランスに敗れる 代表戦でリネールに | NHK | #柔道 →フェンシング男子フルーレ団体で金メダル。これまでフェンシングのメダルは計3個で、1大会1個が最高。パリ五輪は5個で、今やフェンシング大国だ。フランス人コーチの存在も大きい。柔道混合団体は金にあと一歩だった。代表戦のルーレットで90キロ級超となり、親子2代の金メダルを目指した斉藤立がフランスの金メダリストリネールに敗れた。会場は大歓声、斉藤は個人戦に続いて活躍できず明暗を分けた。ゴルフの松山が銅メダル。
◎パリ五輪SNSでの誹謗中傷 日本選手団が「侮辱や脅迫に法的措置も検討」と声明 – 産経ニュース (sankei.com) →SNSの弊害が関心を読んでいるが、オリンピック選手にも誹謗中傷が浴びせられている。政府も対策を検討し始めているが、硬軟織り交ぜた対応が必要だろう。投稿者の心理分析も求められる。10年後は「SNSは昔、荒れて大変だったんだよ」と昔話にしたい。
◎株価 終値2200円以上値下がり 終値では過去2番目の下落幅 | NHK | 株価・為替 NYダウ 一時900ドル超の大幅な値下がり 円高も加速 アメリカ経済に減速の兆しか | NHK | 株価・為替 →マーケットが大混乱している。きょうの日本の株式市場は、米国の大幅下落を受けて、さらなる暴落が予想される。為替と株、日米の金融政策に加え、米国の景気見通しもからんでしばらく動揺しそうだ。
◎健大高崎は英明と初戦、大阪桐蔭は興南と激突 夏の甲子園組み合わせ – 高校野球:朝日新聞デジタル (asahi.com) →五輪が終われば、高校野球が佳境を迎える。今大会の5強は、春夏連覇を目指す健大高崎、関西勢の報徳学園、大阪桐蔭、智弁和歌山、それに青森山田という。私が2年前まで支局長で勤務した静岡県掛川市から掛川西が26年ぶりに出場する。野球好きな町の伝統公立校。地元は寄付集めも活発で、盛り上がっている。
◎東京女子医大 同窓会組織めぐる問題 第三者委“抜本的改革を” | NHK | 教育 →岩本絹子理事長の独裁で混乱する東京女子医大。第三者委員会委員会の委員長で元最高検次長検事の山上秀明弁護士は「岩本氏はきちんと自己の責任を受け止めていないと感じた。提言の趣旨を踏まえて対応を検討してほしい」と話したが、退任まで求めなかった。自浄作用を期待するのは甘くないか。
*** 「今日の名言」
◎谷崎潤一郎(小説家。1965年7月30日死去、79歳)
「どんな人間でも、一生に一度はその人間に相応した華々しい時期がある」 「我という 人の心はただひとり 我より外に 知る人はなし」 「美は考えるものではない。一見して直に感ずることのできる極めて簡単な手続きのものだ」 「恋愛は芸術である。血と肉とをもって作られる最高の芸術である」 「議論を吹っかける場合には、わざと隙間を与えておくほうがいい。そうしないと敵が乗って来ない」 「文章のコツ、すなわち人にわからせるように書く秘訣は、文字や言葉で表現できることとできないことの限界を知り、その限界内にとどまることが第一」 「女の顔は、男の憎しみがかかればかかるほど、美しくなる」 「物と物の間にできる影にこそ美がある」 「名文とは長く記憶に留まるような深い印象を与える。何度も繰り返して読めば読むほど滋味のでる」 「悲しい時には桜の花の咲くのを見たって涙が出るんだ」
*** 今週の教養 (昭和史百冊①)
昨年12月の教養講座で、「昭和史百冊」(平山周吉著、草思社、2023年)から日米開戦の5冊を取り上げた。今回は「陸海軍と銃後」に関する5冊を紹介する。
◎加藤陽子著「戦争まで――歴史を決めた交渉と日本の失敗」(朝日出版社、2016年) 意識の高い中高生を相手に行われた加藤陽子ゼミの昭和史第2弾だ。前著「それでも日本人は戦争を選んだ」(新潮文庫)のタイトルを踏襲するならば、「これなら日本人は戦争を避けえた」となるだろうか。今回は、昭和7(1932)年の国際連盟リットン調査団、昭和15(1940)年の日独伊三国同盟、昭和16(1941)年の日米交渉という、昭和史の重大国際事件を俎上に載せる。どれも日本の運命の岐路での選択である。原史料を読み解きながら、当時の世界と日本の現状をおさえる。臨場感あふれる昭和史の現場を体験させて、もっと別の合理的選択ができたのではないかと問いかける。著者も言うように、中高生というより中高年向けの歯ごたえのある内容になっている。
リットン報告書は、分量こそ多いが、当時の人々が読もうと思えば、簡単に全部を読めた。「新聞の号外や特別号に掲載されていたのですから、本当はしっかりと読めばよかったのです」。加藤先生に叱られるのは、生徒たちではなく、当時の国民である。リットン報告書よく読めば、選択肢が増えたことは間違いない。「日本軍の行動は自衛と認められない、満州国は地域住民の中から自発的に生まれたものではない、と日本側の主張を明確に批判している。しかし、満州事変を起こした日本側の態度を侵略だと述べていないところが、現実路線をとるリットン卿の老練さだと思われます」「中国側が不満だったことを考えると、リットン報告書が示した解決の条件に対し、もっと日本側が積極的な評価を下してもよかったはずですね。リットンがつくづくかわいそうです」。現実路線のリットンの日本への微妙な配慮を見逃した、あるいは故意に見落としたことが選択肢を狭めたと惜しむ。史料を前にした頭の体操は硬直した中高年には良き刺激となろう。
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◎朝日カルチャーセンターで8月24日(土)16時から、オンラインセミナーを開きます。有料ですが、ぜひどうぞ→ 考える力を養うソーシャル・シンキング入門 | 千葉教室 | 朝日カルチャーセンター (asahiculture.com)
***デイ・ウォッチ(5日)
◎東証終値4451円安の3万1458円 下げ幅ブラックマンデー超え:朝日新聞デジタル (asahi.com) NYダウ 一時1200ドル超の急落 リスク回避で売り注文膨らむ | NHK | 金融 →金融市場が大荒れだ。株価が過去最大の下げ幅を記録。為替が141円台まで円高になった。背景には米国の景気不安・AIバブル崩壊があるが、起点になっているのは日銀の利上げ。新NISAで株投資を始めた個人を直撃している。5日の米国市場も大幅に下落したので、日本はきょうも暴落か。全治3ヶ月?半年か?もっと長い?・・・。不安が高まる。
◎パリオリンピック 男子種目別 鉄棒 岡慎之助が金メダル パリ五輪 今大会4つ目のメダル | NHK | #体操 →岡選手が鉄棒を制し、個人、団体に次いで3つめの金メダル。予選は5位だったが、決勝ではノーミスの演技を披露した。1大会3金メダルは、ミュンヘン大会の加藤澤男さん以来52年ぶりの快挙。
◎米国務長官 イラン側の報復攻撃 “早ければ24~48時間以内か” G7外相に伝えたとの報道 | NHK | イラン →イランの攻撃が間もなくありそうだ。G7外相はイランとイスラエルに自制を呼びかけるが、引き金はイスラエルのハマス幹部殺害。イスラエルの自制こそ必要ではないか。攻撃があった場合、イスラエルがどう反撃するか、まだ読めない。
◎ハシナ首相が辞任、国外脱出 デモ激化で、暫定政権樹立へ―バングラデシュ:時事ドットコム (jiji.com) →バングラデシュのハシナ首相が辞任して国外脱出したと陸軍が発表した。公務員採用に端を発したデモで300人以上が亡くなる事態になっていた。ハシナ氏は「建国の父」と呼ばれる故ラーマン初代大統領の娘。15年間首相の座にあり、強権的な政治に批判が強かった。
◎英各地で極右暴動 偽情報が一因、140人超拘束:時事ドットコム (jiji.com) →英国で暴動が起こり、140人以上が拘束されたが、きっかけはSNSの偽情報。英国生まれの17歳少年による殺傷事件があったが、「犯人は難民」「イスラム過激派によるテロ」といった偽情報が流れた。SNS社会の危うさに重い課題を提起している。
*** 「今日の名言」
◎ウィンストン・チャーチル(英国首相。首相として1945年7月17日からのポツダム会談に出席、7月26日の総選挙で敗北し辞任。8月2日、ポツダム会談終了)
「日英同盟の廃棄は、歴史の悲劇的な一章となるかもしれない。日本は同盟廃棄を『日本による人種差別撤廃要求に対する侮辱的な回答』と受け止めたが、英米はこの点について理解不足であった。廃棄は間違いであった」 「満州事変で日本人が中国で行っていることは、我々がインドで行っていることと同じである」 「日本との戦端を開いたことは、大英帝国史上、最大の悲劇であり、大惨事であった」 「(1945年7月のポツダム会議で)日本は『無条件降伏は受け入れられないが、ほかの条件については妥協してもいい』と言ってきたそうですな。私は、もしも日本に無条件降伏を無理強いすれば、米国が被る大変な人的損害と、英国の損害も予想します」 「私はインド人を憎み、獣のような人々だと認識している」 「イラクのように文明化されていない部族に対して毒ガスを使用することに強く賛成です」
*** 今週の教養 (昭和史百冊②)
◎大井篤著「大井篤海軍大尉アメリカ留学記――保科さんと私」(角川書店、2014年) 主人公は2人の海軍軍人だ。著者の大井篤とその上司保科善四郎である。海軍省にあって日米開戦に反対し、開戦後は早期講話と終戦を模索し、戦後は軍備の必要性をいち早く訴えたコンビが、大井と保科だった。真珠湾攻撃の8日前、高松宮が昭和天皇に「海軍は戦争に自信なし」と避戦を直訴した裏には、保科たちの工作があった。救国のチャンスを用意した2人なのだ。その秘密工作が読めると期待したが、残念ながら大井は1994年に急死し、原稿は昭和16(1941)年の開戦はるか前で終わっている。代わりにみずみずしい筆致で若き日のアメリカ留学生活が描かれている。
海軍の仮想敵国はアメリカである。その敵地に駐在して米国事情を研究せよと命ぜられ、2人は昭和5(1930)年に一緒に横浜を出港する。大恐慌の時代であり、日米関係は軍縮をめぐって激しく対立している。2人は大学で米国政治史を学びながら、社会と市民を観察し、各地を自動車旅行する。敵国の物質的かつ精神的手強さを知って、「米国侮るべからず」の信念を共有する。
大井は海軍内で変人として通っていた。海軍兵学校中退を決心したこともある。国民性の理解は文学書でと考えている。「理屈屋の現実主義者」というのが自己評価である。変人らしく大学も東部の名門を避け、南部にする。建国の英雄トマス・ジェファーソンが創設したバージニア大学を選び、アメリカン・デモクラシーの原点を知ろうとする。男女道徳の乱れを慨嘆する下宿の主人の話から、これは駐米勤務の重要部分と興味を抱く。帝国海軍はここまで考えていたのかとびっくりだ。大井の若々しさは90代になっても衰えなかった。新しい知見を積極的に吸収し、自らのアメリカ観を再検討することも怠らない。この筆致で終戦まで書いてもらいたかった。その死が惜しまれる。
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***デイ・ウォッチ(6日)
◎広島 原爆投下から79年 平和記念式典 “核抑止力依存 政策転換を” 松井市長が平和宣言 | NHK | 原爆 →今年も8月6日がやってきた。広島市の松井市長は軍縮を推進したゴルバチョフ旧ソ連大統領の言葉を引用した。平成天皇は忘れてはいけない日として、沖縄戦が集結した6月23日、8月の6日、長崎原爆の9日、終戦記念日の15日をあげ、宮内省のHPにも掲載してある。
◎日経平均株価 一転して終値3200円余りの値上がり 過去最大の上げ幅 ニューヨーク株式市場 株価急落の背景は | NHK | 株価・為替 →ジェットコースターのような株式市場。6日は過去最大の上昇幅を記録した。株価が3万円台と高いので変動幅が目立つが、上昇率でみれば過去4番目。世界的な株安はとりあえず日本が止めた。6日のニューヨークも大幅に上げた。これで落ち着くか。
◎パリオリンピック レスリング 結果 文田健一郎 金メダル 男子グレコローマンスタイル60キロ級 | NHK | #レスリング →東京大会銀メダルだった文田選手が金に輝いた。グレコローマンで日本の金は40年ぶり。準決勝で東京大会金のライバルを破り、勢いがついた。その他は→パリオリンピック【結果】8/6~8/7タイムライン レスリング男子 文田健一郎が金 スケートボード女子 開が銀 | NHK | #パリオリンピック
◎ハリス氏“副大統領候補にワルツ氏”SNSで表明 選挙集会開催へ | NHK →ハリス氏が副大統領候補にワルツ・ミネソタ州知事を指名した。州兵、高校教師、下院議員を務め、州知事は2期目の白人男性。激戦が予想される中西部での勢力拡大を狙う。エリートというより、地元に貢献し、連邦議会にも詳しい手堅い人選だ。
◎米グーグル、独禁法訴訟に敗訴 検索市場で他社排除―連邦地裁:時事ドットコム (jiji.com) →米司法省がグーグルを独禁法(反トラスト法)違反で訴えた裁判。連邦地裁は政府に軍配を上げた。巨大IT企業を相手にした裁判で米政府が勝ったのは、マイクロソフト以来、約20年ぶり。巨大IT企業に対して規制を課す動きが世界で強まっているが、拍車がかかりそうだ。
◎実質賃金、27カ月ぶりプラス転換 1.1%増、賃上げ効果波及―6月:時事ドットコム (jiji.com) →やっと実質賃金がプラスになった。賃上げをしても物価高に追いつかなかったが、潮目は変わった。プラス幅はわずか1.1%。もっと伸びないと個人消費は浮上しない。
*** 「今日の名言」
◎ラビンドラナート・タゴール(インドの詩人、アジア初のノーベル文学賞。1941年8月7日死去、80歳)
「私は日本現代史の入り口に大きく『適者生存』という標語が科学から借用して書かれているのを見る。その標語の意味は『自分自身を助けよ。それによって他人が犠牲になっている内容など気にするな』である」 「日本人は美の王国全体を手に入れた。日本人は目に触れる物すべてに対して心細やかな思いやりがあり、少しも疎かにすることがない。ほかの国では才能豊かな人や真のユーモアを解する人々の間にみられる美意識が、この国では全国民の間に広がっている」 「私は日本から来た一人の偉大な独創的人物(岡倉天心)に接したとき、真の日本に出会いました。この人は長い間、私どもの客となり、そのころのベンガルの若い世代に計り知れないインスピレーションを与えました。彼が私どもの中で私どもと共に過ごした日々は、青年たちにとって歓喜と熱情にあふれた素晴らしい日々でした。彼が原動力を与えた運動は、今も私どもの地方で進んでいます」
*** 今週の教養 (昭和史百冊③)
◎片山杜秀著「左京・遼太郎・安二郎―見果てぬ日本」(新潮文庫、2015年) 原節子がなくなった2015年、その父親役だった笠智衆の存在を通して日本を考える示唆に富む名著が出現した。といって映画の本というわけではない。持たざる国日本が陥っている終わりなき泥沼に一条の光を見つけようという積極果敢な試みである。SFの小松左京、歴史小説の司馬遼太郎、映画の小津安二郎。この3人を読み解くことで、昭和から平成の日本の困難が徐々に明らかになってゆく。その手際は、スリリングにして構想力にあふれ、語りはエネルギッシュである。
ハイリスク(核分裂型原発)を引き受けて万博的未来を創出しようと決断した小松。豊葦原瑞穂の国の国民気質を騎馬民族と海人のロマンで挟み撃ちした司馬。そして何よりも、支那事変に招集され、大陸での2年間の軍隊生活から、ぎりぎりのところで現れる「本物の人間だけを描こうとする映画作り」をした小津。自作の画面に欠かせない人物として浮上したのが笠智衆だった。貧弱な肉体の日本兵がなぜ世界で一番強いのか。一挙手一投足にも無駄を省き、体力を温存し、いつ来るかわからない決戦に備える。不愛想で、不器用で、ぶっきらぼうで、何かに耐えている。それでいて魅力的な人間が笠智衆だった。「日本という国全体の体力不足」に見合う人物像が小津にはどうしても必要だったのだ。非常時にも平時にもそうだった。
小松と司馬は、希望の出口を未来と過去にそれぞれ求めた。その果敢で壮大な文明論は魅力的であるがゆえに、隘路に突き当たる。「出口なし」の大前提を引き受ける小津=笠智衆の省力法にこそ、かぼそい突破口がある。著者はそう語っている。小津だけでなく、小松も司馬も戦争体験を深化させることで、各人の世界を築けた。チャラい平和論や戦争論が跋扈する平成日本で、そうした強靭な思考を生むのは、それ以上に細い道である。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年8月8日号(転送禁止)~~~
◎来週のメルマガは、お盆で休みます。19日号から再開します。よろしくお願いいたします。
***デイ・ウォッチ(7日)
◎長崎原爆の日の平和祈念式典 アメリカ エマニュエル駐日大使が欠席へ | NHK | 原爆 →G7の駐日大使が長崎市に書簡(7月19日付)を送っていたことがわかった。「イスラエルを式典に招待しないことは、ロシアやベラルーシと同列に扱うことになり誤解を招く」として参加見合わせに言及。西側の政治的圧力だが、「イスラエルだけを招くことこそダブルスタンダード」という批判は免れないだろう。結局、米国に続いて6カ国の大使が欠席の見通し。長崎市長がきょう、市の立場を説明する。
◎パリオリンピック レスリング 男子グレコローマンスタイル77キロ級 結果 日下尚が金メダル | NHK | #レスリング →自らを「凡人」と呼ぶ日下選手が初出場で金。グレコローマン2冠は60年ぶり。香川県出身で、これまで目立った実績はなく、相撲でも鍛えた。その他はこちら→パリオリンピック【結果】8/7~8/8 タイムライン 陸上 北口榛花 レスリング 日下尚 藤波朱理 卓球など | NHK | #パリオリンピック
◎東京株続伸、414円高 日銀副総裁発言で反転―利上げ警戒和らぎ、円は下落:時事ドットコム (jiji.com) →株が乱高下した。寄り付きは大幅に下落したが、「市場が動揺するなら利上げはしない」という日銀副総裁発言ではね上がった。今回の大変動は日銀の利上げが起点で、日銀も驚いたのだろう。アメリカの景気見通しが落ち着けば、小康状態になりそうだ。
◎東京女子医大 岩本絹子理事長を解任 同窓会組織めぐり不正経理 再発防止策や改善計画策定へ | NHK | 東京都 →自浄作用が働いた。岩本理事長は辞意を表明していなかったが、理事会がノーを突きつけた。やっと正常化の第一歩となるが、失った信用は大きい。
◎小池都知事 始球式で骨折 全治2か月 公務は当面の間リモートで | NHK | 東京都 「怪物」甲子園に登場、球児に「いい思い出を」 江川卓さん始球式 – 高校野球 [甲子園100周年]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →始球式2題。小池都知事は全治2ヶ月の骨折。高齢者には貴重な警告だ。江川氏は往年のフォームで、山なりのワンバウンド。時の流れを感じさせる。甲子園は暑さ対策でナイターも。ビールを飲みながら高校野球観戦も悪くない。
*** 「今日の名言」
◎オリビア・ニュートン・ジョン(英国生まれの歌手。2022年8月8日死去、73歳)
「私は良識ある人々に囲まれ、健全な環境で育ちました。賢明な両親に育てられました。母は私にいつもこう言っていました。あなたはちょっと成功したけど、それは長続きしないわよ。あなたはまだまだ活動しないとね」 「歌は、痛みや悲しみ、喪失を味わう人々にとってのインスピレーションとなり、手助けすることができます」 「自然ほど美しいものはありません。神様からの贈り物なので、芸術よりも優れています」 「私たち人間は森を奪い、海を汚し、動物たちを脅かしてきました。私たちは本当に環境を台なしにしている。海が汚れれば、最終的には食料資源が汚染され、人間も滅びてしまうのです」 「私は自分のがんの経験は贈り物だった考えています。それは私の生きるペースを緩め、人生で重要なことが何かに気づかせ、小さなことを気に病んではいけないことを教えてくれました」
*** 今週の教養 (昭和史百冊④)
◎篠原昌人著「非凡なる凡人将軍 下村定--最後の陸軍大臣の葛藤」(芙蓉書房新社、2019) 敗戦後に就任した最後の陸軍大臣下村定の伝説である。中国大陸の戦線から呼び戻され、東久邇宮内閣と幣原内閣で幕引きの代役を務めた。著者の篠原昌人は、下村を「清算会社の社長」と表現している。下村社長と同期(陸軍士官学校20期)の大将には牛島満(沖縄戦で自決)、吉本貞一敗(戦後自決)、木村兵太郎(東京裁判で絞首刑)がいた。下村の前任者の阿南惟幾は「一死、大罪を謝す」と割腹自殺していた。
「生涯に3度自決を覚悟した」(下村の娘である演出家の河内節子の証言)という下村は、生きて謝る役割を担った。敗戦直後の帝国議会での答弁に、下村の立場は端的に表現されている。戦中の反軍演説で有名な斎藤隆夫議員の質問に下村は答えた。「いわゆる軍国主義の発生につきましては、陸軍といたしましては、陸軍内の者が軍人としての正しき物の考え方を誤ったこと、特に指導の地位にあります者のやり方が悪かったこと、これが根本であると信じます。ことに許すべからざることは、軍の不当なる政治干渉であります」。大きな拍手が起きた答弁は、予定の原稿にはない下村社長の心底からの叫びであった。
下村の軍人としての履歴の一番の華は、この8年前、参謀本部第一部長という要職についたときであろう。支那事変勃発直後、前任者の石原莞爾は「事変不拡大」を訴えて左遷された。陸軍作戦の実質的決定者となった下村部長は、家族に「今大きなことをやっているんだよ。お前たちも成功を祈っておくれ」と漏らしている。大きなことは、大陸の戦線の膠着状態を打開するための杭州湾上陸作戦の決行であり、南京追撃の容認であった。著者は昭和16年7月時点での下村の反省自粛訓示に注目している。「ある『BC級戦犯』の手記」(冬至堅太郎著、中央公論新社、2019)には、その後BC級戦犯として巣鴨に収監された下村の姿が出てくる。昭和22年正月の入浴時の一首。「獄の湯に 老将の背を流しいて 我泣きにけり 父をおもいて」
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◎来週のメルマガはお盆で休みます。次号は8月19日号です。よろしくお願いいたします。
***デイ・ウォッチ(8日)
◎【速報中】南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」気象庁発表 “ふだんと比べて相対的に高まる” | NHK | 地震 【速報中】各地の対応は 南海トラフ地震臨時情報 東京都 宮崎県 高知県 愛媛県 徳島県 | NHK | 南海トラフ地震臨時情報 →初めての「巨大地震注意」情報が出た。宮崎沖で起きたM7.1の地震がきっかけ。今後1週間の警戒が必要で、防災体制の確認・点検を呼びかけている。今の科学では地震予知はできない。冷静に備えを強めるしかない。SNSも含めた日本社会が試される。
◎パリオリンピック 藤波朱理が金メダル レスリング 女子53キロ級 | NHK | #レスリング →女子レスリング53キロ級で藤波選手が金メダル。五輪初出場だが、中学2年生から負け知らずで、連勝は137となった。レスリング選手だった父が監督を務める高校に通い、日体大に進学してからは父が教員をやめて2人で東京に住む父子鷹。その他は→ パリオリンピック 【結果】8/8~8/9 タイムライン レスリング女子53キロ級決勝 藤波朱理金メダルなど | NHK | #パリオリンピック
◎米欧6カ国大使、平和式典欠席へ イスラエル不招待に変更なし―市長「政治的理由でない」・長崎:時事ドットコム (jiji.com) 長崎 鈴木史朗市長 原爆の日の平和祈念式典にイスラエル駐日大使不招待を説明 アメリカ駐日大使 欠席の書簡 | NHK | 長崎県 →長崎市長は「政治的理由ではない」と説明したが、事態は必然的に政治性を帯びてくる。「被爆地として戦闘で死者が生まれている現状は耐えられない」と言えないか。長崎市役所には市の方針に賛同する声が多く寄せられているという。
◎威圧的取り調べの検事、被告に 特捜事件巡り付審判決定―無罪確定の元社長請求・大阪高裁:時事ドットコム (jiji.com) →付審判請求は、検事や警察官ら不起訴になった場合、裁判所に刑事裁判を開くよう求める制度。検事が被告になるのは初めて。最近、検察の暴言や威圧的取り調べが次々に明らかになっており、市民感覚との乖離が激しい。女性検事総長の手腕に関心が高まる。
◎岸田首相 憲法改正めぐり 自衛隊の明記に向けた論点整理を指示 総裁選にらんだ動き活発に | NHK | 防衛省・自衛隊 →岸田首相の突発性指示症候群か。憲法改正の国会論議で自衛隊明記の論点整理のタマを投げた。まだ生煮え状態で、与野党に戸惑いや反発が生まれ、「保守派からの支持集め」と憶測を呼んでいる。9月は自民党と立憲民主党がトップを選ぶ。政局の秋に向けて動きが活発になっている。
*** 「今日の名言」
◎昭和天皇(1945年8月15日の終戦を決断)
「(マッカーサー連合国軍最高司令官に対して)私は戦争を遂行するにあたって日本国民が政治、軍事両面で行ったすべての決定と行動に対して、責任を負うべきただ一人の者です。あなたが代表する連合国の裁定に、私自身を委ねるためにここに来ました」 「(1945年9月、当時の皇太子に書き送った手紙で)敗因について一言いわせてくれ。我が国人があまりに皇国を信じ過ぎて、英米を侮ったことである。我が軍人は精神に重きを置きすぎて、科学を忘れたことである。戦争を続ければ三種神器を守ることもできず、国民をも殺さなければならなくなったので、涙をのんで国民の種を残すべく努めたのだ」 「(裏工作に走りがちだった政府・軍について)謀略などというものは当てになるものじゃない。大体できないのが原則で、できるのが不思議なくらいだ」 「(天皇の人間宣言について)神格の放棄はあくまで二の次で、本来の目的は日本の民主主義が外国から持ち込まれた概念ではないことを示すことだ。民主主義を採用されたのは明治天皇であって、日本の民主主義は決して輸入のものではないということを示す必要があった」 「(米政府使節が皇居新宮殿について「新しいのですね」と感想を述べたのに対し)前のは、あなたたちが燃やしたからね」
*** 今週の教養 (昭和史百冊⑤)
◎阿久澤武史著「キャンパスの戦争――慶應日吉1934-1949」(慶應義塾大学出版会、2023) 「慶応義塾の歴史は日本の近現代史そのものであり、日吉キャンパスには激動の昭和史が凝縮されている」。この本の著者は、日吉台地下壕保存の会会長であり、日吉の慶應義塾高校校長でもある。「昭和モダン」が戦争へと向かう日常と非日常を描き出した好著だ。
昭和9(1934)年に開校した横浜市日吉の慶應予科キャンパスは、豊かな自然とアールデコ建築の校舎があり、理想的な教育環境となるはずだった。旧制高校の蛮カライメージの寮とは対極的な、個室のある寄宿舎も完備された。「規律と自治の精神」があふれた学び舎は、すぐに時代の波を大きく受ける。断髪令や服装統制が始まり、やがて戦争の時代で学徒出陣へと進む。
日吉キャンパスが他大学と大きく異なるのは、自慢の校舎に海軍軍令部第三部(情報部門)が入り、寄宿舎は海軍の連合艦隊司令部になってしまったことだ。さらに地下には巨大な地下壕が急ピッチで建設され、キャンパスは海軍のための陸の要塞と化したのである。敗戦後の4年間、今度は米軍に接収された。「わずか11年前に近世アメリカンスタイルと形容された校舎が、米兵の兵舎になったというこの皮肉な事実は、この校舎が経験した変転の歴史そのものである」と書く。
校舎に通った学生たちの青春にも多くのページが割かれている。堀田善衛や安岡章太郎といった作家ばかりではなく、普通の学生のライフスタイル、日米開戦の日の様子など。開戦の報を知らずに登校したのん気者が多いのにびっくりする。「きけわだつみの声」の特攻隊員・上原良司もそんな普通の学生だった。本の中には「予科時代」というキャンパスライフを撮った写真もたくさん載っている。短い青春を定着させた写真の空気感はたまらない。撮影者は戦後に民俗写真家となる芳賀日出男。芳賀は学徒出陣で海軍航空隊に入り、2022年秋に101歳で亡くなった。