9月2~6日(教養講座:座右の寓話)

2024.09.06メルマガ

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***デイ・ウォッチ(8月30~9月1日)

【台風10号 交通影響】新幹線 JR 運行状況 高速道路 通行止め 飛行機 最新情報の確認を(1日) | NHK | 台風 →ノロノロ・迷走で大迷惑の台風10号。こんな台風がこれから多くなるのだろうか。被害もさることながら、新幹線運休による社会的影響が大きかった。最近は早めに運休計画を発表してよく止まる。「だからリニアが早く必要です」とJR東海がPRしそうだ。

ゼレンスキー大統領 空軍司令官解任 F16墜落との関係言及せず | NHK | ゼレンスキー大統領 ガザ中部で戦闘休止期間入り ポリオワクチン接種で:時事ドットコム (jiji.com) →ウクライナとガザが慌ただしい。ゼレンスキー大統領の周辺がざわついている。ロシア侵攻で占領した地域を停戦の交渉材料にするのか。ガザはポリオワクチン接種で戦闘休止。その気になればできるじゃないか、早急に完全停戦を。

宮崎駿監督がマグサイサイ賞を受賞 “アジアのノーベル賞” | NHK | フィリピン →マグサイサイは、フィリピンの元ゲリラ指導者で大統領。理想主義や清廉さで知られたが、1957年に飛行機事故で亡くなり、記念の賞ができた。日本人の受賞はこれまで27人。宮崎監督は「人間のあり方を照らし出す模範的な芸術家」と評価された。文化・スポーツ大国の証だ。

損保大手 代理店めぐる情報漏えい 4社で約250万件 金融庁が処分検討 | NHK | 金融庁 →損保各社は就職人気が高く、優秀な人間を集めてきたはずだが、「法令軽視」と「競争忌避」で不祥事のオンパレード。善良なはずだった人たちがなぜこうなるのか。社会学的考察が必要なようだ。

兵庫県 斎藤元彦知事 “パワハラ疑い” 百条委員会で証人尋問 “必要な指導”繰り返す | NHK | 兵庫県 →兵庫県議会百条委の知事尋問で節目を超えた。細かな事実関係を詰めるより、信用失墜による不信任・辞職勧告の決議をすべきだろう。法的に知事は県議会解散で対抗できるが、そこまでやるか。支援してきた維新の会の対応も焦点。メンタルタフネスの斎藤知事には心理学的考察が必要だ。

*** 「今日の名言」

◎永守重信(日本電産創業者。8月28日は80歳の誕生日

「他人が何と言おうが、そんなものはどうでもいい。人の言っていることを気にしていたら、会社経営はできない」 「負けだと認めなければ、負けではない。負けには必ず理由があり、そこから学べる」 「苦しいときこそチャンス。だから常に怠りない準備をして、必ず実行することが大事」 「大きな夢を持って努力せよ。努力は絶対に人を裏切らない」 「人生とは、チャンスをどう見つけるかという戦い」 「やはり何でもすぐにやらなければいけないし、できるまでやらなければいけない」  「成功への道には挫折はつきもの」 「失敗だけが人間の筋力をつくる。精神力をつけて人間の幅を広げていく。失敗が人間の器を大きくする」 「人は任せられれば頑張ります。有能な人ほど任せると、意欲を出します」 「年齢は関係ない。会社に対して、燃えるような情熱があればいい」 「下の人間が動くかどうかは、上の人間次第」 「リーダーになりたいなら部下を育てろ」 「メーカーがモノづくりを捨ててはいけない」 「楽してもうけたらあかん」

*** 今週の教養 (座右の寓話①)

世の中にはさまざまな寓話があり、教訓や真理をわかりやすく伝えている。今週は「座右の寓話」(戸田智弘著、ディスカバー携書、2022)から5つの寓話を紹介する。

◎「3人のレンガ職人」  【寓話】旅人が建築現場で作業をしている人に何をしているのかと質問した。1人目の作業員は「レンガを積んでいる」と答えた。2人目は「壁を作っている」と答えた。3人目は「大聖堂を作っている。神を讃えるためにね」と答えた。

【解説】3人ともレンガを積むという同じ仕事をしているのに答えが異なっている。1人目は行為そのものを答えた。2人目はレンガを積む目的を答えた。3人目は壁を作る目的を答え、同時に大聖堂を作ることだとつけ加えている。人間の行為は必ず、何かのために何かをするという構造を持っている。一つの行為の目的には、さらにその上位の目的が存在する。「目的と手段の連鎖」と呼んでもいいだろう。今回の寓話を例にとれば、レンガを積む→壁を作る→大聖堂を作る→神を讃えるという構造になっている。上位の目的が下位の目的を決めてコントロールしているのだ。

2つの教訓を読み取れる。第一は、できるだけ広く目的と手段の連鎖をイメージして仕事をするのが有益であるということだ。3人目の職人が最も有意義な仕事ができることは容易に想像できる。ドフトエフスキーは「人間にとって最も恐ろしい罰は、何から何まで徹底的に無益で無意味な労働を一生課すことだ」と言っている。第2の教訓は、自分の仕事は私の幸福や私たちの幸福とどうつながるのかを考えるということだ。

手段と目的の連鎖は、どこまでも無限に続くのかというと、そうではない。哲学者のアリストテレスによれば、「何々のために」という目的の連鎖は、幸福になりたという目的にすべて帰結するという。会社員が現在している仕事に着目し、目的を掘り下げていけば、良い人生を送りたいためだとなる。自分がしている仕事は、私の幸福や私たちの幸福とどうつながっているのか考えたい。

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***デイ・ウォッチ(2日)

極右AfDが躍進 初の第1党、主流政党に逆風―独州議選:時事ドットコム (jiji.com) →ドイツの主要選挙で初めて、極右政党が第1党になった。移民・難民を排斥する主張を掲げているが、底流は生活不安だろう。ヒトラーは敗戦で亡くなる直前、「100年後に新しいナチズムが誕生する」と予言した。全体主義を待望する心理は、人間の深層に潜んでいると考えておいた方がいい。

自民党 総裁選挙 9月2日 林・茂木・小泉氏は今週立候補表明 | NHK | 自民党総裁選 →台風が去り、12日の告示に向けて自民党総裁選の動きが激しくなる。林、茂木、小泉の3氏が今週、高市氏が来週に立候補を表明。政策論争もそろそろ本格化する見通しだ。党員でなくても首相となる人物と政策を見極めたい。

立憲民主党 代表選挙【9月2日】泉代表などが推薦人を確実に確保できるかが焦点 | NHK | 立憲民主党代表選 →立憲民主党では、泉代表の推薦人集めが焦点。代表なのに20人集められないとなれば、みじめさが漂う。それほど人気がないのか、締付けが厳しいのか。発言はハキハキしているが、本音がわからない印象の人ではある。

麻生派で裏金認める初の証言 元所属議員秘書が特捜部に供述 | 毎日新聞 (mainichi.jp)  説明責任に小泉、石破氏言及 河野氏「クリーンと認識」―自民・麻生派裏金報道:時事ドットコム (jiji.com) →毎日新聞が2日朝刊の1面トップで、これまで裏金問題のなかった麻生派でも裏金口座があったと特報した。秘書の裁判記録が根拠。政界反応も出たが、他メディアはあまり報じていない。どうなんだろう。

4~6月経常益、過去最大 35兆円超、円安で6期連続増―法人企業統計:時事ドットコム (jiji.com) →日本企業が今年4~6月期の経常利益で、過去最高を記録した。円安の追い風が大きかった。円安はエネルギーなど輸入物価の高騰で家庭には打撃が大きいが、企業にはウハウハだ。春闘の賃上げは低すぎたのではないかと思えてくる。

*** 「今日の名言」

◎蔡英文(元中華民国総統。8月31日は68歳の誕生日

「台湾は中華民国、中華民国は台湾です」 「民主主義は一つのプロセスであり、どの時代の政治家も、自身が背負う責任をはっきりと認識しなければなりません。民主主義は後退することがありますが、前進もします。新政権の責任は台湾の民主主義を次のステージへと推し進めることです」 「社会と民主主義は、性別よりも個々の政治家の質と価値を重視するほど成熟していると思います。女性リーダーがいるのが格好いいと思う人もいますが、私をこの国のリーダーに選んだ理由は、私の方針や価値観が今日の台湾のニーズに合っているからだと信じています。私たちは、社会に変化をもたらしたいと願う人々を代表しているのです」 「世代や民族が異なれば、中国に対する見方も異なります。しかし、人々はみんな一つのことに同意しています。それが民主主義です」 「中国が台湾に圧力をかけようとして経済的措置を講じる場合、彼らは自らが支払うことになる対価を考えなければならないでしょう」

*** 今週の教養 (座右の寓話②)

◎「ゴーグルをつけろ」  【寓話】イタリアの工場で、目の中に異物が入るのを避けるため、作業員全員にゴーグルの着用を義務付けていた。しかし、着用率は高くなかった。現場監督が命令しても言うことを聞かない。経営幹部から「作業員の性根を叩き直す研修をしよう」「監督者が悪いんじゃないか」といった声が出た。社外から来たコンサルタントが「何が問題ですか」と問いかけると、次のようなやりとりとなった。「作業員がゴールのつけないことです」「何が解決ですか」「ゴーグルをつけるようになることです」「どうしたら実現するんでしょうか」「それがわからないから苦労しているんだ」。誰かが冗談交じり「そりゃ、かっこいいゴーグルにすれば、みんなつける。イタリアの男にとってかっこいいってことは大事なことだ」と言った。幹部たちは「いいアイディアかもしれないぞ」と考え、試しにおしゃれなゴーグルを作って一つの班のメンバーだけに渡してみた。すると班の全員が喜んでゴーグルをつけた。

【解説】ある問題に遭遇した時、対処の仕方は2つの方法がある。「原因追求志向」と「解決探索志向」である。前者は問題に焦点をあて、うまくいかない原因を探していく。後者は解決に焦点をあてる。原因は横に置き、どうやったら上手くいくのかをあれこれ考える。ゴーグルの事例は、解決探索志向へ変わることで成功した事例である。

似た話として、「エレベーターと鏡」がある。エレベーターの待ち時間が長すぎるという苦情があった。解決策として、エレベーターの増設や高速エレベーターへの取り替え案が出たが、どちらも莫大なコストがかかってしまう。ある社員は「エレベーターの前に大きな鏡を置きましょう」と提案した。その通りにしたら、問題が解決した。ほとんどの人が鏡をのぞき込み、服装や表情や化粧の状態をチェックするようになったからだ。「待ち時間が長い」を「待ち時間が長いと感じる」という問題に変換して解決したのだ。

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***デイ・ウォッチ(3日)

プーチン氏がモンゴル訪問し首脳会談、逮捕されず…ICC加盟国の義務不履行のモンゴルに罰則なし : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているプーチン氏が、ICC加盟のモンゴルを訪問した。モンゴルは逮捕義務を負うが、友好優先で歓待した。訪問は日本がソ連に大敗したノモンハン事件の85周年。「こんなことも記念しているんだ」と驚き。

圧力固執なら「人質はひつぎへ」 イスラエル首相に揺さぶり―ハマス:時事ドットコム (jiji.com) →人質解放をめぐって、ハマスとイスラエルの緊張が高まっている。人質6人が殺され、イスラエル国内ではネタニヤフ政権に対して大規模なデモが起きている。今回のハマスの生命は、人質を盾にしたハマスの強烈な脅しだ。一刻も早い停戦が期待される。

【詳しい結果】パリパラリンピック 車いすラグビー 日本が初の金メダル アメリカとの決勝を制す 勝因解説も | NHK | #車いすラグビー →車いすラグビーはパラリンピックの人気種目。世界ランキング3位の日本は、東京大会銀メダルのアメリカを破って、初の金メダルに輝いた。活躍したのは22歳の橋本選手。主将の池選手は44歳なので、ちょうど半分。頼もしい若手が出てきた。

ハリス氏、USスチール買収に反対 終盤戦、ラストベルトで攻勢―米大統領選:時事ドットコム (jiji.com) →ハリス氏はバイデン氏の主張を踏襲した。激戦のペンシルベニア州で勝つための選挙戦術か、経済安全保障を重視した本音か。日本製鉄は「我々こそが地元に利益をもたらす」と強気だ。本格的進展は大統領選後だが、多くの論点を提供する問題だ。

令和5年度の医療費 概算で47兆円余 3年連続で過去最高を更新 | NHK | 医療・健康 →医療費が上がり続けている。1人当たりは38万円で、1万2000円増えた。年齢別にみると、75歳未満が25万2000円、75歳以上は96万5000円で、なんと4倍近い差がある。高齢化でさらに増えると思うと、ゾッとする。「くすりはリスク」という医者もいる。工夫次第で薬を減らせそうに思うが。

*** 「今日の名言」

◎ミハイル・ゴルバチョフ(ソ連最後の共産党書記長。2022年8月30日死去、91歳

「握り締めた拳では、握手はできない」 「何より大切なのは、自分が成功しようとしまいと、悠然として自信を失わないこと。家族や友人、そして自分を信じて、権力や名誉などなくとも立派に生きていけることを確信してゆくこと」 「君は隠れた大きな力の持ち主である。まず君自身が持っている隠れた力を自覚することだ」 「いつの場合も、引っ込み思案は敵、積極果敢は味方だ」 「人間は、試練に立ち向かう強い心を常に持たなければならない。不幸や敗北に屈しない勇気と頑強さ、そして困難のときこそ、自身を試すという決意なくして、本当の人生を生き抜くことは難しい」 「心から泣くことを知らない者は、笑うことも知らない」 「自分の間違いを認めることは非常に難しい。しかしそれをしなければ先には進めない」 「いままで使ってきた方法や手段で今後も問題を解決できると思っているとしたら、その考えは甘いと言わざるを得ない」 

*** 今週の教養 (座右の寓話③)

◎「子どもをしかる父親」  【寓話】父と子どもで次のような会話があった。「おい、そんなところでゴロゴロ寝てないで勉強しなさい」「どうして勉強しなくちゃいけないの」「勉強しないといい学校に入れないだろう」「どうしていい学校に入らなきゃいけないの」「いい学校に入らなきゃ、いい会社に入れないだろう」「どうしていい会社に入れないといけないの」「いい会社に入らなきゃ、いい暮らしができないだろう」「いい暮らしって、何さ」「・・・そうだな・・・寝て暮らせるってことだ」「僕、もう寝て暮らしているよ!」

【解説】「いい暮らし」とは、寝て暮らすことだろうか。日本人の勤労観では少し違う。人はなぜ勉強をするのか、なぜ働くのかという問題も提起しているが、ここでは働く目的を考えてみたい。すぐに出てくるのは「生活費を稼ぐため」だ。しかし、食うに困らない資産を持っているのに働き続けている人がいる。体が動くうちは働きたいと考える高齢者も多い。働く理由は経済的要素だけではない。仕事は義務だからという社会的要素もある。日本国憲法27条は「国民は勤労の権利を有し、義務を負う」と書いてある。社会の成員として役割を果たすことも働く理由の一つであろう。

これ以外で、仕事を通じて自己実現の喜びを感じられる個人的要素を列挙したい。①悪から逃れられる。「小人閑居して不善をなす」のことわざを思い出そう。小人が暇を持て余すと、悪事に走りやすい。私たちのほとんどは小人物である。②他者と交流できる。生産活動は他者と関わらざるを得ない。職場は厳しさが求められる戦場である反面、親交の場でもある。③自分の力を発揮できる。人間は自分の能力を存分に発揮した時、喜びを感じる。逆に力を発揮できないと、悶々とした状態に陥る。

④成長進化できる。色々な人と出会い、多くのことを学び、業務をこなすうちに職業人として成長進化する。⑤承認欲が満たされる。上司から「よくやった。次も頼むぞ」とほめられたり、顧客から「ありがとう」という感謝の言葉をもらったりした時、働き甲斐や人格を肯定されたと感じる。自分の外側にある目的のために仕事をするのではなく、私が私らしくあるために仕事をしている。私の心がその仕事をすることを欲している。そうした内発的な理由を忘れてはいけないだろう。

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***デイ・ウォッチ(4日)

ウクライナ外相が辞意 ゼレンスキー政権、内閣改造か:時事ドットコム (jiji.com) →ウクライナが揺れている。外相だけでなく、閣僚の半数が交代するという。理由ははっきりしていないが、ロシア侵攻と戦闘終結の動きと関係していることは間違いないだろう。ゼレンスキー大統領の指導力が強化されるのか、ぜい弱さのあらわれか。

選挙ポスターの「品位保持規定」新設や「営利目的掲示に罰則」で与野党おおむね一致…月内合意目指す : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →都知事選で問題になった選挙ポスター。全裸に近いポスターや掲載枠の売買を防ぐため、品位保持規定の新設、営利目的を罰則する方向で与野党が一致した。今月中の合意を目指す。利害が一致しているので対応が早い。他のテーマでも期待したいが。

東京株、1638円安 米景気懸念くすぶる―円上昇、一時144円台後半:時事ドットコム (jiji.com) →株が落ち着かない。ニューヨーク株の下落を受けて、東京株が1638円安と今年3番目の下落を記録。世界的な半導体株の落ち込み、米国の景気不安などが言われるが、それだけでこれほど大きな変動は考えにくい。投機筋の動きも背景にありそうだが、明快な解説はまだない。

来年度予算案の概算要求 117兆6059億円 過去最大に | NHK | 財務省 →来年度予算案の概算要求が過去最高になった。社会保障費が増え、防衛費増で防衛省が初めて8兆円を超えた。金利の上昇で国債費が1兆9000億円多い28兆9116億円にのぼっている。今後、国債の利払いは大きな重荷だ。財政健全化の観点からは、明るい材料はほとんどない。

生成AIスタートアップ Sakana AI アメリカ半導体大手 NVIDIA(エヌビディア)から出資と発表 | NHK | 生成AI・人工知能→Sakana AIはグーグルでAI開発をした日本人研究者らが東京で設立したスタートアップ。言語や画像の高い処理能力が強みで、NTTやソニーGも出資している。伊藤錬COOは「世界級のAIのリサーチラボを作りたい。日本の特性を生かす」と話している。

*** 「今日の名言」

◎岡倉天心(明治期の思想家。1913年9月2日死去、50歳

「凡庸な産物をいくらたくさん集めるよりも、ただ一つの傑作に接する方がより多くのことを教えてくれる」 「どんな木も、もともとその種に含まれた力以上に大きくなることはできない」 「変化こそ唯一の永遠である」 「茶道は本質的に不完全なものへの崇拝であり、人生という不可能なものの中で、何か可能なものを成し遂げようとする繊細な企てである」 「いくつもの音楽を同時に聞くことができないように、美というものは、なんらかの中心となる要素に集中して初めて本当に理解することができる」 「芸術鑑賞に必要なのは心と心が共感し、通い合うことだが、そのためには、たがいに謙譲の気持ちを持ち合わねばならない」 「日本は鎖国によって長く世界から孤立してきた結果、深く自国の文化を顧みることになり、茶道の発達を大きく促すことになった。日本文化を学ぼうとするなら茶道の存在を知らずにはすまされない」 「教育とは、強固な幻想を維持するために一種の無知を奨励するものにほかならない」

*** 今週の教養 (座右の寓話④)

◎「天国と地獄の長い箸」  【寓話】地獄の食堂も、極楽の食堂も満員だった。向かい合って座っているテーブルの上には、美味しそうなごちそうがたくさん並んでいる。どちらの食堂も決まりがあった。大変長い箸で食事をしなければならないことだ。地獄の食堂では、みんなが一生懸命に食べようとするのだが、箸が長いので、自分の口の中に食べ物を運べない。長い箸の先が隣の人を突いてしまう。食堂のいたる所でケンカが起きていた。極楽の食堂では、みんなが穏やかな顔で食事を楽しんでいた。よく見ると、みんなが向かいの人の口へと食べものを運んでいた。こっち側に座っている人が、向こう側に座っている人に食べさせてあげていた。

【解説】地獄の食堂には、自分のことしか考えていない人間が集まっている。ごちそうを巡って争いごとや奪い合いが絶えず、暴力がはびこっている。地獄の食堂の人間にとって、他人は邪魔者であり、いなくなればいいとさえ思っている。極楽の食堂には、自分だけでなく、他人のことも考える人間が集まっている。奪い合う関係ではなく、与え合う関係が確立しているので、秩序と平和が保たれている。彼らは他人がそこにいることを考慮し、尊重している。自分ひとりの力では生きてはいけないし、生きていくためには、自分以外の力を借りなければならないことを知っている。

社会問題の多くは、奪い合うから生じる。人と人、部族と部族、国と国が何らかの資源をめぐり奪い合いを起こす。資源が希少だから奪い合い、支援が満ち足りているから与え合うのか。逆だ。奪い合うから足りなくなり、分け合えば余るのである。地球には膨大な資源が存在する。足りないと騒ぐのは、資源の多くを本当に必要ではないことに使っているからだ。例えば、軍備の拡張であり、贅沢な消費財である。奪い合いの根底には、「自分さえ良ければいい。自分の国さえ良ければいい」という考えが潜んでいる。世界を見渡すと、自分の国さえ良ければいいと言わんばかりの指導者が跳梁跋扈している。そういう指導者の顔は、例外なく傲慢で、品性のない顔をしている。

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***デイ・ウォッチ(5日)

河野氏、年末調整廃止を主張 公約発表、茂木氏「列島再改造」―小泉氏6日出馬会見・自民総裁選:時事ドットコム (jiji.com)  立憲民主党代表選挙 野田氏が会見で訴え 馬淵氏は見送り 枝野 泉 吉田の各氏も動き | NHK | 立憲民主党代表選 →党首選で政策のキャッチフレーズが出始めた。河野氏は「納税者が確定申告」、茂木氏は「列島再改造」、野田氏は「厚い中間層の構築」・・・。どこまで腰が入っているかという問題は残るが、ぶち上げられた構想を見極められるのは選挙の魅力だ。立憲の泉代表は推薦人のメドがつき、立候補する。

デブリ取り出し、来週にも再開 パイプ並び順、一度も確認せず―東電が原因公表・福島第1原発:時事ドットコム (jiji.com) →デブリ取り出し装置の装着ミスは、東京電力が確認していないことがわかった。原発は作業構造が重層的になっており、東電は現場の細かな作業まで把握していない。原発はそういうものだという認識が必要で、作業が本当に信頼できるかという問題がつきまとう。

セブン「買収価格は不十分」と書簡 カナダ社提示は6兆円 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →日経の有料記事。セブン&アイHDは、カナダ社の買収提案が約6兆円で安すぎるとする書簡を送ることを決めた。再検討を求めるが、もっと高い価格を提示したら、受け入れるのだろうか。昔なら即座に拒否だったが、M&Aをめぐる環境は株主利益を考慮する方向に変化している。どうなるか。

プーチン大統領 “BRICSの影響力拡大 欧米の国際秩序に対抗” | NHK | プーチン大統領 対アフリカで7兆円支援へ 「米欧との違い」アピール―中国主席:時事ドットコム (jiji.com) →プーチン大統領はウラジオストックで開かれている経済フォーラムでBRICSとの連携を強調。習近平首席はアフリカ諸国の首脳を集めて7兆円支援をぶち上げた。反西側包囲網に余念がない。世界の分断が進み、きな臭い。

米政府、「安保上のリスク」警告 日鉄のUSスチール買収―ロイター報道:時事ドットコム (jiji.com) →日本製鉄のUSスチール買収にバイデン政権が正式に反対する見通しだ。USスチールは買収に合意しているので、ご破算となれば、事業継続が困難になり、雇用に影響が及びかねない。ビジネスの問題は、経済安全保障という名の政治的判断ではなく、経済合理性で決めるべきだろう。

公明の山口代表が交代へ…後任は石井啓一幹事長が有力 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →8期務めた公明党の山口代表が交代する見通しとなった。衆院選が近くあり、留任の見方もあったが、自民党が世代交代することを重視し、石井幹事長(66)に交代する。どんな顔になるか。

*** 「今日の名言」

◎オーギュスト・コント(仏の社会学者、哲学者。1857年9月5日死去、59歳

「総合的な精神は共感を発達させる」 「腹蔵なく、生一本(きいっぽん)になって生きていけ」 「人類は、生者よりも死者で成り立っている」 「予知するために予見する。予見するために観察する」 「男と女、こうも違ったしかも複雑な2人の人間が、互いによく理解し愛し合うためには、一生を費やしてもまだ長すぎはしない」 「愛の本質は、個人を普遍化することである」 「人間とは、パラドックスの体現であり、矛盾の塊である。幾何学者にも天文学者にも科学者にもなりたいわけではない大衆は、すべて基本の科学のそれぞれの主要諸観念を絶えず同時的に求めている」 「生者は元来、しかも、ますます、死者に支配されるものである」 「人間の思考は学問研究でも日常生活の思考でも、神学的、形而上学的、実証的という3つの段階を経て発展する」 

*** 今週の教養 (座右の寓話⑤)

◎「コスタリカの漁師とアメリカ人旅行者」  【寓話】コスタリカの小さな漁村で、漁師とアメリカ人旅行者がこんな会話をした。「何時間ぐらい漁をしたの」「長い時間じゃないよ」「もっと漁をしたらもっと獲れるだろう。惜しいなあ」「家族が食べるにはこれで十分だ」「余った時間は何をしているの?」「ゆっくり寝て、漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房と昼寝をする。夜になったら友達とワインを飲んで、ギターを弾いているのさ。結構忙しいんだよ」 

旅行者は真面目な顔で漁師に向かってこう言った。「ハーバード・ビジネス・スクールでMBA(経営学修士)を取得した人間としてアドバイスしよう。もっと長い時間漁をして余った魚を売り、お金が貯まったら、大きな漁船を買う。漁船を増やして、大量船団をつくる。加工場を建て、コスタリカの首都に事務所を構え、やがてロサンゼルスやニューヨークにも進出する。漁獲から加工販売までを統合し、オフィスビルから指揮をとるんだ」。漁師は「何年くらいかかるんだろう」と聞いた。「15年から20年くらいだな。時期が来たら上場して株を売り、億万長者だ」「なるほど。そうなると・・・」「海岸近くの小さな村に住んで、ゆっくり寝て、日中は釣りをしたり子どもと遊んだり、奥さんと昼寝したり。夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて過ごすんだ」

【解説】2日前に紹介した「子どもをしかる父親」とよく似た寓話である。ここでは忙しさの違いに注目しよう。途上国より先進国の人、昔より今の人の方が忙しいというのは正しくない。忙しさの質が違うのだ。評論家の福田恆存は「昔は忙しさのうちに安心して落ち着いていられたのに、今は忙しさに安閑と落ち着いていられなくなった。昔は何かしていて、そのことに忙しかったのだが、今は何かしていても、そんなことはしていられないという忙しさなのである」と書いている。

発展するにつれて失われたのは、落ち着きがあり、どっしりとして、地に足のついた生活だ。人間は便利な機械を発明して暇を作り、落ち着きのある生活を得ようとした。しかし、その暇を埋め合わせる何かを発明する。人間は奇妙な生き物である。「節制」も教訓だ。節制とは度を超さないように程よくすることであり、楽しみをやめることでも、減らすことでもない。節制とは、快楽の奴隷になることではなく、快楽を自らコントロールし、快楽の主人でいられるよう努めることだ。