9月16~20日(教養講座:倫理資本主義)

2024.09.20メルマガ

~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年9月16日号(転送禁止)~~~

◎速報→ トランプ前大統領と関係するゴルフ場周辺で発砲 “トランプ氏は無事” | NHK | トランプ前大統領 

***デイ・ウォッチ(13~15日)

衆院解散・裏金対応で論戦 自民総裁選9氏が討論会:時事ドットコム (jiji.com)  立憲民主党代表選挙 4人の候補者が自民党総裁選挙の候補者をそろって批判【9月14日の動き】 | NHK | 立憲民主党代表選 →裏金問題の行方は総選挙の大きな争点。自民党の9氏は再調査に全員否定的だが、小泉氏らは政治活動費の改革には前向きだ。立憲の4氏は自民の後ろ向きの対応を厳しく批判する。今回は党員投票だが、近くある総選挙の有権者は関心を持つ必要がある。日経新聞の世論調査で石破氏の人気が上昇、小泉氏と逆転した。自民支持層では高市氏が2位に入った。情勢は流動的だ。

「第四の被ばく」米軍医報告書 “重度の白血球減少” 指摘 | NHK | 核兵器関連 →第五福竜丸に続く「第4の被ばく」の実態がNHKの調査報道で明らかになり、15日のNHKスペシャルで放送された。1958年、海上保安庁の測量船が米国の水爆実験で被ばくし、乗員が翌年、白血病で亡くなった。被ばく量は「微量」と処理され、封印された。個人の尊厳より日米関係が優先された。

岐阜県に一部抹消命令 警察の個人情報収集「違法」―賠償も増額・名古屋高裁:時事ドットコム (jiji.com) →岐阜県警が風力発電の勉強会関係の住民情報を中部電力の子会社に提供していた。裁判所は違法と認めたが、当然だろう。警察と中部電力の「なあなあの関係」が明らかになった。思想・良心の自由は憲法19条、集会・結社・表現の自由は21条で保障されている。

日鉄のUSスチール買収計画、ホワイトハウス高官「大統領選後まで判断下されない可能性」…米紙報道 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →日本製鉄のUSスチール買収問題は、先送りされそうだ。事実とすれば、賢明な判断だろう。自由な企業間競争が原則として社会の利益となる。買収しなければ、現地の製鉄所は閉鎖の可能性があり、雇用に悪影響を及ぼす。現実は冷静に見たい。

小泉法相 “批判にも耳を傾ける姿勢を” 検察庁幹部会議で | NHK | 法務省 →高圧的な取り調べなどで批判が相次いでいる検察。小泉法相が「国会などで厳しい批判がある。耳を傾ける姿勢を」と異例の忠告をした。裏返せば、「耳を傾けない」という不満がある。検察は独善的な組織風土が目立つが、政府の一機関に過ぎないと自覚する必要がある。

ボーイング、16年ぶり大規模ストライキ 経営再建に新たな波乱 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →ボーイングがさえない。相次ぐトラブルや経営不振で話題になっているが、今度は賃上げをめぐって16年ぶりのストライキとなった。前回のストは50日を超えた。一般メーカーなら影響は小さいが、中大型旅客機のメーカーはエアバスと2社のみ。ボーイングの低迷は安全にも影響しかねない。

*** 「今日の名言」

◎ルース・ベネディクト(米国の文化人類学者。1948年9月17日死去、61歳

「キリスト教的な欧米文化は『罪の文化』であり、日本の文化は『恥の文化』である」 「人生でもっとも幸せな興奮状態とは、大切に思う人のため、そして非常に軽蔑する悪に対して皆のために戦う価値があることだと確信することである」 「美徳とは、人に感謝することを積極的に行いだしたときに生まれる」 「人種差別とは、ある民族集団が先天的劣等を本質的に非難され、別の集団は先天性な優越に運命づけられているという教義である」 「人種差別は、今日、世界中の誰もがさらされている思想である。それに賛成するのか、反対するのか、私たちは選ばなければならない。そして、未来の歴史は、私たちが下す決定によって異なってくる」 「誰も、フィルターをかけずに世界を見ることはない。私たちが世の中を見ているフィルターは、見ることができない」

*** 今週の教養 (倫理資本主義①)

今週はマルクス・ガブリエル(1980~)の著書「倫理資本主義の時代」(2024、ハヤカワ新書)を紹介する。ドイツ・ボンで生まれた著者は「新しい実在論」を提唱し、「哲学界のロックスター」として世界的に注目されている。本書は今年6月、まず日本語で出版された。「はじめに」から一部紹介するが、詳しくは本文を読んで欲しい。

◎世界の現状  私たちは先例のない危機の時代に生きている。新型コロナウイルスが世界を襲い、あちこちで戦争が頻発している。多くの国々は急速な軍備増強に資金をつぎ込んでおり、それは新たな対立につながるだろう。世界が平和的に共存することは、ますます不可能になっているようだ。

国内的にも国際的にも経済格差が拡大している。異常気象や急激な自然環境の悪化という形で生態学的危機が表面化している。すべてが大規模な移民発生につながっており、政治的混乱を引き起こしている。一方、科学技術の発達によって人工知能システムを筆頭にデジタル技術が社会に浸透している。それは富と雇用を生み出すだけでなく、自動化による雇用創出や私たちを取り巻く社会的世界のさらなる加速化を引き起こしている。社会の変化があまりに速くなっているため、メディア、政治、市民社会は世界全体で何が起きているのかもはや把握できなくなっている。誰もが夢遊病者のように世界的大惨事に向かってふらふらと歩いているようだ。

多くの危機は、およそ人間にはコントロールできないかのようで、近代という文明モデルは重圧にさらされている。このモデルは簡単に言うと、科学技術の進歩と経済的進歩を組み合わせれば、誰もがより良い生活を送ることができるという発想に基づいている。できるだけ多くの人のための富の創造と自由民主主義社会を組み合わせれば、平和と幸福が訪れると。

現状を見る限りこの約束は果たされていない。このモデルの巻き添え被害と欠点は、恩恵を上回る。だから今多くの思想家や政治家らが、全く新しい発想を求めている。本書で現代の問題に対処するためには、新たな社会契約が必要だと主張していく。私たちが身を置く危機の時代を乗り越えるには、「新しい啓蒙」が必要なのだ。新しい啓蒙は、道徳的な人間の進歩を、モノやサービスの社会経済的生産手段と、豊かさや繁栄と早急に再統合しなければならないという考えを出発点とする。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年9月17日号(転送禁止)~~~

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***デイ・ウォッチ(16日)

安倍晋三氏と旧統一教会会長、自民党本部で選挙支援確認か 写真入手:朝日新聞デジタル (asahi.com) →有料記事。安倍晋三氏が2013年の参院選直前、自民党本部で旧統一教会会長と撮った写真が見つかり、1面トップで特報した。元産経新聞政治部長で自民党の比例区候補だった北村氏の支援を確認する場だったようだ。自民党は党としての関係を否定していたが、覆される。萩生田氏も写っているが、記憶にないと言っている。旧統一教会など宗教団体の一部は選択的夫婦別姓などに反対している。自民党保守派が同調している一つの背景とみていいだろう。

トランプ氏、再び暗殺未遂 ゴルフ中警護が発砲、本人は無事―銃で狙った58歳男拘束・米:時事ドットコム (jiji.com) →米大統領選はまさに命がけだ。銃社会の宿命というには重すぎる。逮捕された男はウクライナ支援をし、トランプ氏が世界を危うくしていると不満を持ち、複数の逮捕歴もあったという。熱狂的支持者のいるトランプ氏には強烈な反発者も現れる。

米エミー賞 真田広之さん主演男優賞「SHOGUN 将軍」作品賞受賞 あわせて18の賞を受賞 最多の受賞記録 | NHK | アメリカ →「SHOGUN 将軍」が作品賞や主演男優賞など18部門で受賞。過去最多受賞で喜ぶべきだが、賞の意義から考えると、幅広い受賞作品を誕生させて話題作りをした方がいいのではないかと思ってしまう。徳川家康や三浦按針がモデルで、西洋と東洋の出合いの物語。

1ドル=139円台まで値上がり 円高進む アジア外国為替市場 | NHK | 株価・為替 →円相場が1年2ヶ月ぶりに139円台になった。米国の利下げが予想され、日米の金利差縮小でさらに円高が進む見通しだ。休場明けの17日の日本株はさらに下落しそうだ。市場はなお落ち着かない。

渡辺守成氏が立候補 IOC会長選、日本人初:時事ドットコム (jiji.com) →渡辺氏はIOC委員で、バッハ会長の続投に異を唱えた硬骨漢。「五輪は平和の象徴」と強く訴える。7人が立候補したというからどうなるかわからないが、会長に就任すれば、日本人の新しい顔になるだろう。東海大を経てジャスコに入社。国際体操連盟の会長も務める。

JR中央線快速電車と青梅線 来春からグリーン車の運行開始へ “座って通勤”のニーズに応えようと | NHK | 鉄道 →首都圏の主要JR線には導入されているグリーン車。来年春から中央線(東京-大月間)と青梅線に登場する。最近では私鉄でも指定席のある電車が走っている。大動脈の中央線で遅かったのは、なぜだろう。

*** 「今日の名言」

◎豊臣秀吉(戦国時代の武将。1598年9月18日死去、61歳

「主従や友達の間が不和になるのは、わがままが原因だ」 「いつも前に出ることがよい。そして戦のときでも先駆けるのだ」 「財産を貯め込むのは、良い人材を牢に押し込むようなものだ」 「人と物を争うべからず、人に心を許すべからず」 「何事も、つくづくと思い出すべきではない」 「人の意見を聞いてから出る知恵は、本当の知恵ではない」 「やるべき事が明確であるからこそ、日夜、寝食忘れて没頭できる」 「一歩一歩、着実に積み重ねていけば、予想以上の結果が得られる」 「負けると思えば負ける、勝つと思えば勝つ。逆になろうと、人には勝つと言い聞かすべし」 「戦わずして勝ちを得るのは、良将の成すところである」 「戦は6、7分の勝ちを十分とする」 「敵の逃げ道を作っておいてから攻めよ」 「降参した者を殺してはいけない」

*** 今週の教養 (倫理資本主義②)

◎企業の目的は善行である  新しい社会をつくるには、全面的な革命や社会の体制変更は必要ない。必要なことは、「善」に関する全く新しいビジョンを掲げ、社会のあらゆる部分で大胆なイノベーション起こしていくことだ。新たな善のビジョンは、現実的でありながら理想主義的で、実際の社会活動に即してより良い未来を目指すものでなければならない。新たな秩序は、現状の良い部分を維持しつつ、進歩という発想に照らして改良しなければならない。進歩は前向きな社会的変化だ。前向きな変化は、万人が拘束力のある善のビジョンを共有した時に初めて実現する。そのようなビジョンを大至急生み出す必要がある。

現代社会において、安定と良い生活の条件を生み出す上で、経済は重要な役割を果たす。企業の経済的成功の鍵を握るのは善行であるという発想を、ビジネスモデルの土台としなければならない。ノーベル賞経済学者フリードマンの「企業の目的は利益追求である」というキャッチフレーズに背を向け、ギアチェンジする時だ。企業の目的は善行によって利益を得ることである、と。この基本的論拠はとても単純だ。売り上げがほぼ同じ会社が二つあるとして、環境に悪影響を及ぼし、従業員を搾取し、有害な職場を生み出している企業と、反対の企業では、後者のほうが良い会社だと誰もが考える。利益は善行やお互いの尊重で生み出される方が好ましいことを示す極めてシンプルな思考実験だ。

カントが「最高善」と呼んだ概念を使いながら説明していく。オックスフォード大学のメイヤー名誉教授は最近、そのような原理、彼の言葉で言えば「道徳律」に基づいて資本主義を改革できると主張している。市場メカニズムによって人間の諸問題を解決するのに役立つというのが資本主義の約束だった。資本主義が機能しているか否かは、個人的および集団的道徳原理、倫理生活によって判断すべきである。企業の目的は善行であるというスローガンは、倫理資本主義という提案につながる。それは単なる夢想ではない。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年9月18日号(転送禁止)~~~

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***デイ・ウォッチ(17日)

「都道府県地価調査」 上昇率上位 沖縄 北海道 熊本 地方都市や観光地でも 全国的に上昇基調強まる | NHK | 国土交通省 →地価調査で上昇率の上位を地方が占めた。住宅地の上位10位は沖縄県と北海道、商業地は熊本県や長野県、北海道など。半導体工場周辺や観光地で激しく上昇している。上昇エリアは都市部から地方の一部に拡大している。

【解説人語】安倍氏と旧統一教会会長並ぶ写真 記者が語る取材と意味:朝日新聞デジタル (asahi.com) →朝日新聞の編集委員が、安倍氏と旧統一教会のスクープ写真について、動画で背景を語っている。新聞の新しいチャレンジといえる。今後、増えてくるだろう。 ◎岸田首相、旧統一教会との関係「再三説明」 面談報道は言及避ける:朝日新聞デジタル (asahi.com)

アマゾン 従業員に週5日出社を要請 対面の利点大きいと判断 | NHK | アメリカ →アマゾンが在宅勤務より対面出社を優先する。チームの結束力を優先するという。IT企業は在宅勤務やオンライン会議を率先して定着させるのが一般的だが、アマゾンは逆行する。在宅か、対面か。論争が起きそうだ。

デブリ取り出し、作業中断 カメラ映らず、再開未定―東電:時事ドットコム (jiji.com) →デブリの取り出しが中断した。カメラが撮影できないという。放射能が強いからではないだろうか。自民党総裁選では原発再稼働が前提になっているが、候補者はこうした現実をどう考えているのだろうか。廃棄物の最終処分や福島第一の廃炉など原発をめぐる根本問題は何も解決されていない。

「もふもふ」「まったり」浸透、8割気にせず 国語世論調査 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →恒例の文化庁調査。「まったり」「がっつり」「もうもふ」「きゅんきゅん」は定着しているようだ。本を1か月に1冊も読まない人は62.6%。前回5年前の47.3%から大幅に増えて過去最高となった。日本人ビジネスパーソンの学習不足はかねて顕著だが、本を読まない日本人の先行きは暗い。

*** 「今日の名言」

◎GHQのプレスコード(1945年9月19日発令

検閲の対象としたのは次の30項目。1. 連合国軍最高司令官・総司令部への批判/2. 極東国際軍事裁判への批判/3. GHQが日本国憲法を起草したことの言及と成立における役割の批判/4. 検閲制度への言及/5. アメリカ合衆国批判/6. ロシア(ソ連)批判/7. 英国批判/8. 朝鮮人批判/9. 中国批判/10. その他連合国非判/11. 連合国一般批判/12. 満州における(ソ連による)日本人取り扱いについての批判/13. 連合国の戦前政策批判/14. 第三次世界大戦への言及/15. 冷戦に関する言及/16. 戦争擁護の宣伝/17. 神国日本の宣伝/18. 軍国主義宣伝/19. ナショナリズム宣伝/20. 大東亜共栄圏宣伝/21. その他の宣伝/22. 戦争犯罪人の正当化・擁護/23. 占領軍兵士と日本女性との交渉/24. 闇市の状況/25. 占領軍批判/26. 飢餓の誇張/27. 暴力と不穏の行動の煽動/28. 虚偽の報道/29. GHQ・地方軍政部への不適切な言及/30. 解禁されていない情報の公表。

*** 今週の教養 (倫理資本主義③)

◎SNSの問題   SNS産業は、ビジネスモデルとして成功しているように見えるが、同時に民主主義の大幅な後退を引き起こしている。極悪な国家や民間組織が陰謀論を拡散し、選挙を不正に操作することで、間接的に地政学的対立を引き起こしてきた。SNSが経済的成功をおさめたのは、倫理的ビジョンがあったためだ。SNSは人と人を結びつけ、情報を共有して世界をより自由な場所にすることを約束していた。だが、それが果たされていない。規制を受けない社会的接続性が何をもたらすかは、予測不可能、制御不可能だ。SNSが自らの技術的経済的手段を使って、道徳的進歩と法的監視を実現する戦略を考えなければ、遅かれ早かれ終焉を迎えるだろう。

私はかねてフェイスブックとツイッターの終焉を予測していたが、実際には考えていたよりも早く実現したと考えている。ツイッターは進歩的思想、ジャーナリズム、国家機関が有能な情報を共有したり収集したりできるプラットフォームだという認識が広まっていた。しかし、知名度が高まったのはトランプ氏が活用したからだ。ツイッターはフィルターバブル現象や確証バイアスを生み出す典型だ。ツイッターを使っていると、ニュースや現実と接しているような気になるが、実際には自分が生み出した現実、自分の社会的政治的信念の幻影を見ているにすぎない。

SNS会社は、自らのビジネスモデルが引き起こす可能性のある巻き添え被害や影響を研究するのに相当な資金を投資すると想像してみよう。収益を拡大させるだけでなく、よりよい社会や世界を生み出すはずだ。人間は自分自身と集団が幸福になることに強い関心を抱いている。富が善行によって生み出され、企業のリーダーが世界を良くすることを目標にしている世界が望ましいと思っている。

新しいSNSを作ることもできるだろう。自己規制がしっかりしていて、ヘイトスピーチを監視して削除したり、ユーザーがマナーを守って投稿できるようネット上でAIを使ってサポートしたりする。既存の報道機関と協力して質の高い情報を共有する。最大の目的は、デジタルツールを使って民主的な公的領域の質を高めることだ。政治学者、文化評論家、倫理学者らを採用し、ソフトウェア技術者と共に自社のデジタルインフラを開発し、常に更新していく役割を担わせる必要がある。現在のSNSの失敗に関する研究を踏まえて構築すれば、暗黒時代に道徳的進歩を実現する確かな貢献ができるだろう。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年9月19日号(転送禁止)~~~

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***デイ・ウォッチ(18日)

【速報中】米FRB 0.5%の利下げ決定 利下げは4年半ぶり 利下げ幅は通常の2倍 | NHK | 金融 →FRBが4年半ぶりに利下げを決めた。下げ幅は、直前に浮上した市場の予想通り0.5%と大幅になった。インフレの収束と雇用情勢の悪化が背景にある。短期的には各種マーケットへの影響、中期的には米国経済の動向が焦点だ。年内も0.5%の利下げが予想されている。

ヒズボラ ポケベル爆発 なぜ レバノン12人死亡2700人以上けが “イスラエルによる犯行だ” 報復を示唆 | NHK レバノン 18日も各地で通信機器が爆発 “14人死亡”保健省 | NHK →レバノンで17日、ヒズボラが配ったポケベルが相次いで爆発、12人が死亡した。イスラエル諜報機関の新型攻撃という見方が強い。18日には無線機器が一斉に爆発し、14人が死亡した。戦闘拡大の様相だ。

運航会社社長を逮捕 26人乗せ沈没、業過致死容疑―知床観光船事故・海保:時事ドットコム (jiji.com) →2022年4月の知床観光船事故で、国交省・海上保安庁が運航会社社長を逮捕した。なぜ今、なぜ北海道警ではないのかという気もする。国交省は17日に高速船の浸水を隠したJR九州子会社の担当者を解任し、自動車会社の型式認定不正を厳しく追及している。安全のためならいいのだが。

補償法案、国の謝罪明記 被害者本人に1500万円―強制不妊で骨子了承・超党派議連:時事ドットコム (jiji.com) →国会の超党派議連が、旧優生保護法の補償法案を決めた。今年7月に最高裁が違憲判決を出してから2ヶ月でのスピード合意だ。国会は議員立法でもっと国民の期待に応えてもいい。やればできる。田中角栄はたくさんの議員立法を成立させた。

公明代表選 石井啓一幹事長が無投票で当選 15年ぶりに代表交代へ | NHK | 選挙 →公明党代表が15年ぶりに交代する。今度も無投票。党内民主主義はあるのだろうか。石井氏は66歳で、東大工学部を出て旧建設省に入省した元官僚。七三に分けた髪型や慎重な言動が官僚風だ。朝4時に起きて味噌汁に焼いたモチを入れて食べるのが習慣という。真面目そうだ。

中国 襲われた男児の容体は「深刻な状態」現地日本総領事館 | NHK | 中国 →中国・深圳で10歳の日本人男児が襲われた。動機は不明だが、男児は「深刻な状態」という。今年6月には蘇州でも同様の事件があった。日本人社会に動揺が広がっている。

*** 「今日の名言」

◎山内溥(任天堂元社長。2013年9月19日死去、85歳

「どうして面白いソフトがつくれるのか、結局は誰もがわからないんです。解答が出せるとすると、だれでもそのようにすればできるわけでしてね」 「いまソニーがゲームで成功したといわれています。でもそれは、たまたまいま成功しているだけで、ついこの間までは失敗していました」 「これまでのマイクロソフトはツキ過ぎだった。人間も企業もツキはいつか必ず落ちるもんでしょ。ゲイツも決して神様ではなかったということが、そう遠くない将来に証明されることになるだろう」 「海外戦略ですが、誰でもできるものをつくっていてはだめだということです。だれでもつくれるものは、価格競争に巻き込まれる。自分のところしか出せないものがつくれたら最高です。大衆の懐勘定と折り合いがつき、多くの人たちが初めて体験するような珍しさと楽しさとおもしろさを味わわせることができれば、円高でも何でも戦えます」 「これからのゲームは交換・収集・育成・追加の4つがキーワードになる」 「倒産の危機も経験して、借金をすることがいかに惨めなことかを痛切に感じた。借金をしないことだけは、集団指導体制なっても申し送りたい」

*** 今週の教養 (倫理資本主義④)

◎必要なことは革命ではなく、大胆な改革  自由民主主義という文明のモデルと、よりよい生活の条件を整える手段としての市場経済が、内部からも外部からも攻撃を受けている。生き延びるためには、一連の倫理的改革が必要だ。人類は、核戦争社会、スーパーインテリジェントなAIシステム、ウイルスや細菌、環境破壊など存続の脅威や自滅につながりかねない状況に直面している。前向きなビジョンが必要だ。

現行システムで取り組むべき最初の大胆な改革は、その長所を認めることだ。過去200年の間に人類が実現したものの価値をしっかり認める必要がある。極度の貧困を抜け出した豊かな社会があり、産業革命の過ちや戦争について、道徳的な洞察を得ることもできる。資本主義が引き起こした労働者の搾取、植民地、ジェンダー格差をはじめとするさまざまな差別を批判できるのは、近代の文明化のおかげである。

企業は国連が作成した「持続可能な開発目標(SDGs)」を達成できるように自らを律する責任がある。「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「働きがいも経済成長も」「平和と公正をすべての人に」、さらには「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさを守ろう」といった人間以外の生物の命への配慮も含めた高尚な価値観や理想が含まれている。

AIの新たな倫理についての考え方も示す。前向きな社会変革、道徳的進歩に寄与するAIシステムを開発すべきだ。中立的な価値観を掲げるが、実際には社会システムを崩壊させる既存のAIとは違うものをデザインすることは可能だ。異なる文化、社会領域の人間たちがどのようにものを考え行動し生活するかを理解し、人類共通の何かを見つけるのに役立つAIシステムを研究し開発することは可能である。そのためには産業界を改革し、人文科学、社会科学、文化研究そして何より哲学や倫理学の専門家を招集し、企業活動の中で善行によって社会を改善して行く方法を見つける必要がある。現実の人間のニーズを満たし、道徳的に進歩した未来の社会の要請に適用するように、経済をボトムアップで規制するような新たな倫理を生み出し、実行していくことだ。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年9月20日号(転送禁止)~~~

◎速報→ ドジャース 大谷翔平 今シーズンの通算盗塁数「50」に到達 | NHK | #大谷翔平

***デイ・ウォッチ(19日)

兵庫県議会 斎藤知事の不信任を議決 知事は今後の対応明言せず | NHK | 兵庫県 →斎藤知事に対する不信任決議案が可決されたが、議会解散を否定していない。週刊文春は知事の座にこだわる背景として、相続をめぐって親族と絶縁し、父の商社勤務時代にパリで生まれた夫人が「辞任は非を認めることになる」と反対している事情を報じている。カネとプライドが邪魔をしているのだろうか。

【詳報】東北新幹線 JR東日本“時速315キロで走行中に連結部分外れた” 東京~新青森 約5時間運転見合わせ | NHK | 鉄道 →はずれるはずのない新幹線の連結器。衝突して重大事故になる可能性もあった。故障は考えにくく、人為的操作か何らかのミスがあったのか。JR東日本は今年になってトラブルが相次いでいる。日本の安全神話がいたるところで綻んでいる。

東京メトロ“整備不正”で国交省が特別保安監査 京王電鉄でも | NHK | 鉄道 →メトロや京王電鉄でも車軸の不正が発覚した。国道交通省が頑張っているのか、鉄道会社がたるんでいるのか。日本の運輸関係は不正だらけだ。これも安全神話の崩壊の一つ。

中国・深センで刺された男児死亡 邦人社会で不安拡大―日中関係に影響必至:時事ドットコム (jiji.com)  経済悪化で社会不安 刃物による襲撃相次ぐ―中国:時事ドットコム (jiji.com) →中国・深圳で襲われた10歳の男児が亡くなった。容疑者は44歳の男性で動機は不明だが、近来にない悲劇。事件のあった9月18日は93年前に満州事変の発端となった柳条溝事件の起きた日で、中国では「国辱の日」とされる。中国政府は速やかで誠実な情報開示が必要だ。

円急落、一時143円90銭台 東京株は1000円超上昇も:時事ドットコム (jiji.com) →FRBの利下げでマーケットが複雑に反応した。0.5%の大幅利下げで、これまでなら日米の金利差縮小で円高だが、今後の利下げは緩やかとみて円安に振れた。この結果、日本株は輸出企業の業績向上の連想で大幅に上昇した。8、9月は株も為替も乱高下したが、不安定な相場はこれで一服か。

*** 「今日の名言」

◎道元(曹洞宗開祖。1253年9月22日死去、53歳

「ただ雪が消え去れば、自然と春は到来するものだ」 「志のある人は、人間は必ず死ぬということを知っている。志のない人は、人間が必ず死ぬということを本当の意味では知らない。そこに差がある」 「仏性(我々がもつ仏としての本質)は、夜が明けてくると山鳥が夜明けを知らせて鳴き、春になれば早咲きの梅が春を知らせて芳しくにおう、そのうちにあるのだ」 「心身にへばりついた妄執をきれいさっぱり落とせたら、どんなにいいだろうか。坐禅はその第一歩である」 「自己を知るとは、自己を忘れることである」 「何事も一心不乱にやれば、宇宙の真理を体で感じとることができる」 「時間は怒涛のように流れもするし、飛躍もすれば、逆回りもする。過去現在未来というふうに流れはしない」 「生死の中に仏があれば、生死はない」 「行雲流水。行く雲のように、流れる水のように自由に場所を変え、とらわれることなく生きてゆこう」

*** 今週の教養 (倫理資本主義⑤)

◎子どもの投票権と公的領域  本書では子どもへの投票権の付与を含めた真に普遍的な選挙権についての思考実験を示す。世界人権宣言によると、あらゆる人には自分が統治される方法に貢献する権利がある。政府の正当性を支えるのは普遍的で平等な選挙権だ。しかし、18歳あるいは16歳未満は、まだ大人ではなく、完全な合理性を身に着けていないというパターナリズム的な子どもに対する理解がある。どうしたら彼らを民主的代議制に含めることができるだろうか。まず若者を、それから子どもたちを、どうすれば社会経済的、政治的により良い未来の創造に本当の意味で参画させられるだろうか。人文科学と社会科学の研究成果を組み合わせながら、子どもたちの選挙権を実現するための具体的ビジョンを策定する必要がある。

倫理資本主義というビジョンによって、自由民主主義を救うだけでなく、もっと良いものにしたいと本気で思っている。本書は一般読者の方に主張を理解していただけるようにわかりにくい哲学用語や技術用語は使わないようにした。「新しい啓蒙」というビジョンには公的領域という概念が含まれている。政治的意思決定の中心に誰もがその人ならではのローカルな知識を持ち寄るという考えだ。だから、社会、政治、経済と密接に関わり、できるだけ平易な言葉で語る新しいタイプの哲学が必要なのだ。そうすることで初めて私たちは集団として思考の質を高めていくことができる。

本書はまず日本語で出版することにした。2013年に初めて来日して以来、多くの西洋人と同じように、私は日本の伝統文化、現代文化の素晴らしさに深い感銘を受けてきた。日本が乗り越えてきたいくつもの近代化の波は、日本経済に世界有数の生産性をもたらした。日本の高い生産性と創造性は、活発な倫理的思考を伴っている。日本の多層的社会(東アジア地域特有のマインドセットという中核をさまざまなレベルの近代化や西洋との統合が進んでいる)のありようから多くを学んできたこともあり、まず日本の読者に向けて語ることにした。