10月14~18日(教養講座:AI 2041)
~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年10月14日号(転送禁止)~~~
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***デイ・ウォッチ(11~13日)
◎【詳細】ノーベル平和賞に日本被団協 被爆者の立場から核兵器廃絶訴え 日本の受賞は50年ぶり 広島 長崎の声 | NHK | ノーベル賞2024 →日本被団協さえも驚いたノーベル平和賞受賞。ウクライナや中東で核兵器の使用が取り沙汰されており、抑止を求める力になる。当事者の運動こそが、問題の所在を明らかにする。運動の記録こそが、次世代に精神をつないでいく。
◎【日本被団協にノーベル平和賞】授賞理由全文 「核のタブー」確立に貢献と評価 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →ノーベル賞委員会の受賞理由はなかなかの名文だ。「約80年間戦争で核兵器が使われていないという、励みとなる一つの事実を認めたい。日本被団協と被爆者の代表らによる並外れた努力は、核のタブーの確立に大きく貢献してきた。それゆえ、今日、核兵器使用に対するこのタブーが圧力にさらされていることは憂慮すべきことだ」。全文を掲載する。
◎衆院選、党首討論ライブ 日経記者が同時解説 – 日本経済新聞 (nikkei.com) 2024衆議院選挙 日本記者クラブ党首討論の要旨 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →総選挙モードも一気に加速。日経新聞は党首討論を全編動画で紹介し、記者が同時解説した。新機軸だ。要旨も配信しているので、投票の判断材料になる。減税や給付金の公約が飛び交うが、財源はどうするのだろうか。軍事費の増税もあるのに・・・
◎自民の杉田水脈氏、比例単独候補に入らず 来夏の参院選に立候補意向 [自民]:朝日新聞デジタル (asahi.com) →国会議員としての適性が何かと話題になる自民党の杉田水脈氏は比例単独候補に入らなかった。来年の参院選に出るというが、可能だろうか。
◎ドジャース リーグ優勝決定シリーズ進出 山本由伸が勝利投手 大谷翔平は無安打 ダルビッシュ2失点【詳報】 | NHK | #大谷翔平 DeNAがファイナルへ 日本ハムは雪辱―プロ野球CS:時事ドットコム (jiji.com) →日米ともポストスーズン突入。大谷のドジャースはリーグ優勝決定シリーズに進み、きょうはメッツ戦。日本では阪神が消え、日ハムとロッテがなお争う。阪神の次期監督は藤川氏。
*** 「今日の名言」
◎谷村新司(シンガーソングライター。2023年10月8日死去、74歳)
「鳥は飛び立つ時、向かい風に向かって飛ぶ」 「カッコつけなくなると、人ってすごくチャーミングになれると思う」 「過去はいい。人間にあるのは今だけ」 「人生と仕事は切り離すことができません。生活するためには働かなくてはいけない。それも何十年という永きにわたって。だからこそやりたいことを仕事にするべきではないでしょうか」 「どんな場所にいたって不安はある。それなら自分のやりたい場所で、夢を追いかける」 「自分のやりたいことを行動に移すかどうか。自分で答えを出すしかない。冷たいようですが、気持ちが何かに頼っていると、うまくいかなくなったとき、絶対に誰かのせいにしてしまいます」 「自分がやりたいから引き受ける。自分自身が幸せを感じられることを仕事にする。本来仕事とはそういうものではないでしょうか」 「自分を信じて動いてみる。天命と感じたものに、素直に従う。それは、とても大切なことです」 「ブレイクできたアーチストとそうでないアーチストの違いは何か。それは意志です」
*** 今週の教養 (AI2041①)
先週発表されたノーベル賞では、AI(人工知能)関連が物理学賞と化学賞を受賞した。今週はAIが人類にもたらす功罪を真正面から論じた「AI 2041」(文藝春秋、2022)を取り上げる。著者は、台湾出身で米国に移住したAI学者カイフー・リー(李開復)氏と、中国人SF作家のチェン・チウファン(陳楸帆)氏の2人。利用分野を10章に分けて、物語と解説でわかりやすく書いているが、ここではAIで誕生する「自律兵器」の功罪を紹介する。
◎自律兵器とはなにか
火薬、核兵器に続く第3の戦争革命が、自律兵器だ。時代から誘導ミサイルへの進化は序の口だった。行き着く先はAIによる真の自律性だ。捜索、交戦決断、殺害までを人間の関与なしに完遂する。現在実用化されている自律兵器の例としては、イスラエル製のドローン「ハービー」がある。特定エリアをプログラムによって俳諧飛行し、目標を見つけると、搭載した高性能爆薬ごと突入して破壊する。運用側としては、撃ちっ放しでいい。
刺激の強い例としては「虐殺ボット」というタイトルでネット上に拡散されたビデオがある。そこで描かれるのは小鳥くらいのドローンで、自力で標的を探し発見すると、少量の爆薬を対象の頭部に至近距離から撃ち込む。とても小さく機敏なので、捕まえるのも、止めるのも、破壊するのも容易ではない。これに類するものが2018年にベネズエラ大統領暗殺未遂事件を起こしている。趣味で模型工作をできる人なら1000ドル以下の費用で作れるものだった。部品はすべてオンラインで購入でき、技術はオープンソースで誰でもダウンロードできる。近い将来にロボットが低価格になれば、それを使っても同じことができるだろう。AIとロボット技術が一般化、低価格化した証拠といえる。1000ドルで政治家を暗殺できるわけだ。これは未来のあやふやな危険ではない。今そこにある明確な危険だ。
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***デイ・ウォッチ(14日)
◎第50回 衆議院選挙 きょう公示 | NHK | 衆議院選挙 →衆議院選挙がきょう公示される。今のところ自公の過半数割れの可能性は低そうだが、公示後のメディアの世論調査でどう出るか。結果次第では政界再編も予想され、何でもありの総選挙になりそうだ。
◎ノーベル経済学賞に米MITのアセモグル教授ら3氏 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →ノーベル経済学賞は「社会制度が国家の繁栄に与える影響の研究」に贈られた。導入した社会制度の違いによって経済成長に大きな差が出ることを立証した。当たり前のように思えるが、「データによって初めて説得的な形で明らかにした」と評価されている。論より証拠か。
◎中国軍、台湾囲み大規模演習 頼政権けん制、今年2回目―空母も参加、港湾封鎖訓練:時事ドットコム (jiji.com) →中国軍の台湾を取り囲む演習は、今年5月以来。統一に反対する台湾の頼総統への威圧とみられるが、習主席の本当の狙いは何だろうか。今の中国は習主席の腹一つだ。遠巻きに騒いでも意味はない。日本側はもっと習主席にアプローチする必要がある。
◎女子で初の2時間9分台 チェプンゲティッチが世界新―シカゴマラソン:時事ドットコム (jiji.com) →女子マラソンで2時間9分台が出た。ケニアの30歳。これまでの世界記録を2分ほど縮めた。シカゴマラソンの優勝は3回目という。男子の優勝タイムは、2時間2分44秒だった。
◎日本ハムがロッテに連勝 ファイナルステージ進出 パ・リーグCS | NHK | #プロ野球クライマックスシリーズ →日本ハムが逆転勝ちで北海道が盛り上がった。新庄監督は「北海道のファンはおとなしい印象が強かったけど、道民の殻を破った。選手たちが破らせた」と満面の笑みで語った。次はソフトバンク戦。アウェーでの戦いだが、福岡県は新庄監督の出身地でもある。
*** 「今日の名言」
◎日蓮(鎌倉時代の僧。1282年10月13日死去、60歳)
「冬は必ず春となる。昔から冬が秋に戻ったためしはない」 「禍(わざわい)は口より出でて、身を滅ぼす」 「命とは、人間にとって最も大切な第一の宝である。一日でもこれを延ばすことができるなら、千万両の金(こがね)より大変な価値がある」 「正月一日は、日の始まりであり、月の始まりであり、年の始まりであり、春の始まりである」 「人に物をほどこせば、我が身のためになる」 「現世の出来事に一喜一憂しがちだが、それよりも、人としての正しい生き方や素直な気持ちを持つことができるよう、常に互いに励まし合いながら、感謝を忘れることなく、後の世の救済を祈ることが重要だ」 「この世に生を受けたものすべてが尊敬をしなければならないものが三つある。主と、師と、親である」 「人の一生とはすべて夢の中のことであるから、明日に期待しないことだ」 「死ぬ瞬間のことを考えれば、やるべきことが見えてくる。まず臨終のことを習い、その後にほかのことを習うべし」
*** 今週の教養 (AI2041②)
◎自律兵器の益と害
AIは急速に進歩してきた。その進歩がごく近い未来に自律兵器を登場させる。自動運転車がレベル1からレベル3~4へ急速に進歩したのと同じことが、自律兵器に起きる。これは不可避だ。これらの殺人ボットは高性能、正確、有能、機敏、低価格であり、さらに群体を作る能力もいずれ備えだろう。チームで行動し、非常時に対応でき、ほとんど阻止不能。1万機のドローンの群体は都市人口の半分を殺害できる。理論的な費用は1000万ドルにすぎない。
自律兵器には利益もある。機械が戦争をするようになれば、人間の兵士を死なせずにすむ。責任ある軍隊が使えば、兵士をサポートして戦闘員だけを狙える。友軍兵や子どもや市民への誤射を防げる。これはレベル2から3の自動運転車が運転者のミスを減らせるのと同じ理屈だ。また暗殺者や犯罪者から身を守るためにも使える。しかし、このような利益ははるかに上回る負の面がある。最大のものはモラルだ。闘争行為で人命を奪う時には、どんな倫理でも宗教でも強い正当性と監視を求められる。国連事務総長のグテーレス氏は「人命を奪う自由や能力を機械に与えるのは倫理に反する」と述べている。
自律兵器は殺人のコストを下げる。自爆テロは大義のために自分の命を捧げる行為なので、実行へのハードルは高い。しかし自律兵器を使った暗殺は、犯人の命を費やさずに実行できる。もう一つの大きな問題は、失敗をした場合の責任の取り方だ。戦場の兵士の場合は確立されている。しかし自律兵器による場合の責任論は不明確だ。自動運転車が歩行者を死傷させた場合の責任の所在の不明確さと同様だ。このままでは侵略者の不正義や国際人道法違反さえ免責になりかねず、戦争への敷居を下げることになる。
~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年10月16日号(転送禁止)~~~
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***デイ・ウォッチ(15日)
◎北朝鮮が韓国とつながる道路を爆破 韓国軍発表 警戒強める | NHK | 韓国 → 南北朝鮮をつなぐ道路は東西に2本あるが、北朝鮮は爆破で完全に遮断して要塞化する模様だ。南北の対立は深まっている。東アジアには不穏な要素が多くなっている。
◎衆議院選挙公示 2024年10月27日投開票 最新情報 候補者一覧 小選挙区 比例 計1344人が立候補 | NHK | 衆議院選挙 各党の支持率「支持政党なし」34.4% NHK世論調査 | NHK | 衆議院選挙 →総選挙が始まった。NHKの調査では自民党支持率が高く、与野党伯仲さえ難しそうな情勢。27日までにどんな変化があるか。
◎イスラエル首相、ヒズボラに「容赦ない攻撃」 対イラン報復は軍事施設標的か:時事ドットコム (jiji.com) →ヒズボラとイスラエルの対立がますます深まっている。ヒズボラがイスラエル基地を攻撃し、4人の兵士が死亡し、イスラエルは「レバノン全土で容赦ない攻撃をする」と表明している。イスラエルは強気だが、余力はどの程度あるのだろうか。
◎株価 一時約3か月ぶり4万円台回復 日本企業の業績上向く期待感 | NHK | きょうの株価 →8月上旬に大幅下落した株価が4万円台を回復した。終値は4万円を切ったが、一時の悲観論は減っている。円安も追い風になっている。経験的に総選挙も買い材料だ。しばらく安定しそうだが、最近は振れ幅大きいので警戒感も消えない。
◎モビリティーショー開幕 スタートアップ企業との連携がテーマ | NHK | EV(電気自動車) →東京モーターショー改め「ジャパンモビリティショー」が始まった。自動車メーカーとスタートアップ企業との連携がテーマ。電動化や脱炭素の存在感が増し、デザインや性能を競ったかつてのモーターショーから大きく変化している。トヨタは水素で調理できる技術を紹介している。
*** 「今日の名言」
◎やなせたかし(漫画家。2013年10月13日死去、94歳)
「アンパンマンのテーマソングは僕の作詞だが、幼児アニメーションのテーマソングとしては重い問いかけになっている。僕はお子様ランチや、子供だましの甘さを嫌った」 「正義って、普通の人が行うものなんです。政治家や偉い人や強い人だけが行うものではない。普通の人が目の前で溺れる子どもを見て思わず助けるために川に飛び込んでしまうような行為をいうのです」 「なんのために生まれて、何をして生きるのか。アンパンマンのテーマソングであり、僕の人生のテーマソングである」 「なんのために生まれ、何をして生きるか。分からない人が結構いる。僕もそうだった」 「危難と地獄、辛酸のなかに重要な何かがある。長い人生では、一回や二回は地獄を通過したほうがかえって良いのかもしれません」 「正しいことをする場合、必ず報いられるかというと、そんなことはなくて、逆に傷ついてしまうこともあるんです。傷つくかもしれないけれど、それでもやらなければいけないときがある」
*** 今週の教養 (AI2041③)
◎自律兵器と人類
自律兵器は顔認識や歩容認識、携帯電話やIoT信号追跡によって個人を特定できる。特定の一人の暗殺はもちろん、あるグループを選んで暗殺することも可能になる。ビジネスエリートや著名人を選択的に殺すこともできる。このような複合的な問題を理解せずに機械の自律化を進めると、戦争を加速し犠牲者を増やすことになる。そして破滅的なエスカレーションを引き起こし、核戦争に至ることもありえる。AIは人間的な常識を持たず、領域をまたがる推理力を持たない。AIをどれだけ訓練しても、その行動が領域の外にもたらす影響を完全に理解させることができない。
第1次世界大戦前の英独建艦競争から冷戦時代の米ソ核兵器開発競争まで、国家は軍事的優位性を求める。自律兵器においてはその要素が多元化し、小さく、速く、ステルス性も殺傷性も高くなる。競争は激化するだろう。低コストゆえに参入障壁は低い。小国でも高い技術力があればいい。例えばイスラエルはすでに競争に参加し、蠅のような小型機など先進的な軍事ロボットを開発している。ある国が自律兵器の軍事力を増せば、それを脅威に感じる国も競争に参加してくるのは確実だ。 このような軍拡競争はどこへ向かうだろうか。カリフォルニア大学バークレー校のコンピューターサイエンス教授スチュアートラッセルは次のように述べている。「自律兵器の能力はそれを制御するAIの能力不足よりも、物理法則で制限されることになるだろう。すなわち航続距離、速度、積載量などだ。このような機敏さと殺傷力を持つプラットフォームに対して、人類は全く無防備だ」。このような多面的な軍拡競争を放置すると、待っているのは人類文明の死だろう。
~~~ 長谷川塾メルマガ 2024年10月17日号(転送禁止)~~~
◎速報→ 自民党、単独過半数割れの可能性 衆議院選挙・序盤情勢 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →有料記事。自民の単独過半数割れは、かなり予想されている。自公で過半数を取れるかどうかが焦点。
***デイ・ウォッチ(16日)
◎横浜 青葉区 住宅で男性死亡 手足縛られ 暴行加えられたか 警察 殺人事件で捜査 | NHK | 事件 千葉 白井 強盗傷害事件 押し入った人物ら 携帯電話でやりとり 闇バイトとの関連も捜査 | NHK | 事件 →首都圏ではかつて幼女連続殺害事件があり、幼い子を持つ家族を不安に陥れた。今は「闇バイト強盗殺人事件」で高齢者世帯が同じ危惧を持っている。警察の奮起が待たれる。
◎国の基金残高、過去最高の18兆円超に 「無駄遣いの温床」膨張続く:朝日新聞デジタル (asahi.com) →有料記事。国の基金はコロナ禍の補正予算で膨らみ、2019年度末に比べて、昨年度末は4倍の18.8兆円に増えている。基金はただでさえ「無駄遣いの温床」といわれる。政府は効率的で賢い支出が厳しく求められている。
◎連合、賃上げ目標「5%以上」 前年並み高水準、物価上昇に備え―格差是正を強化・25年春闘:時事ドットコム (jiji.com) →連合の賃上げ目標は前年と同じ「5%以上」。賃上げは家計の生活苦や消費引き上げに大きく寄与するだけに、もっと高い目標にしてもいいのではないか。理想を掲げなければ、現実は追いつかない。
◎太陽の活動 非常に活発になる「極大期」に NASAなど発表 GPSや一部の無線通信など不具合のおそれ | NHK | 宇宙 →太陽の活動が活発化する「極大期」に入っている、とNASAなどが発表した。11年周期で発生して1年ほど続き、GPSや無線通信に不具合が出る可能性がある。地球温暖化への影響はないのだろうか。
◎中国のパンダ2頭 米首都ワシントンに到着「パンダ外交の再開」 | NHK | アメリカ →ワシントン国立動物園へのパンダ貸し出しは、1972年のニクソン大統領訪中で始まった。去年、親子3頭が返還されたが、習主席が訪米した際に前向きな考えを示していた。CNNテレビは「米中関係ではまれに見る明るい話題」と歓迎。何でもいいから仲良くして欲しい。
*** 「今日の名言」
◎新渡戸稲造(教育者、思想家。1933年10月15日死去、71歳)
「あの黒雲の後ろには、太陽が輝いている」 「急がば回れだ。休むなかれ、急ぐなかれ」 「正しくあれ、恐れるなかれ」 「世の中には、譲っても差し支えないことが多い」 「勇気がある人というのは、心の落着きが姿にあらわれているものだ」 「武士道精神は、損得勘定をとらない。足りないことを誇りとする」 「武士道の究極の理想は平和である」 「人を泥棒と呼べば、彼は盗むであろう」 「とにかく物事には明暗の両方面がある。私は光明の方面から見たい。そうすれば、おのずから愉快な念が湧いてくる」 「武士の教育において守るべき第一の点は、品性の確立である」 「バックボーンたる精神を捨てれば、それに代わるものとして登場するのは、目に見える物質主義となるのは必然である」 「大学の教育となって来ると、単純なる良民を造るということだけでなく、良民のリーダーを造るべきである」 「自分が生まれてきたときより死に至るまで、周囲の人が少しなりともよくなれば、それで生まれた甲斐があるというものだ」
*** 今週の教養 (AI2041④)
◎自律兵器の危険性への解決策①
核兵器も存亡の危機だが、その使用は自制され、抑止論によって従来型の戦争を抑制する効果もあった。抑止論は、核兵器を持っていれば強国の干渉を阻止できるというものだ。奇襲的な先制攻撃では核兵器の使用能力を破壊されなければという条件がつくが、これがクリアされれば核戦争は相互確証破壊(MAD)に至り、先制核攻撃を行った国は報復攻撃を受ける。ゆえに核の使用は自滅行為となる。
しかし自律兵器において、抑止論は成り立たない。奇襲的先制攻撃を行っても出どころを追跡されにくいので、相互確証破壊を恐れずにすむ。ドローンの追跡困難がその例だ。通信プロトコルをハッキングすることで手がかりは得られるが、稼働中のドローンを捕獲できた場合に限る。これまで解説したように、自律兵器攻撃は急速な連鎖反応を起こし、核戦争に至る可能性がある。先制攻撃を行なうのは国家ではなく、テロリストや非国家主体かもしれない。このことも自律兵器の危険性を高めている。
人類存亡の危機を避けるための解決策はいくつか提案されている。第1は人間を関与させる方法だ。殺害の決断は必ず人間が下す仕組みにする。しかし自律兵器の優秀さは、人間を関与させないことによる速さと正確さに大きく依存している。ここを意図的に譲歩するのは、軍拡競争に勝ちたい国々にとって受け入れ難いだろう。また強制しにくく、抜け道をつくられやすい。
第2の解決策は、条約による禁止だ。これは「殺人ロボット阻止キャンペーン」の書簡が提言している。書簡にはイーロン・マスク、故スティーブ・ホーキングをはじめ、AI専門家数千人が署名している。このような運動は過去にもあり、生物学者、科学者、物理学者が、それぞれ生物兵器、化学兵器、核兵器に反対してきた。禁止は簡単ではないが、失明をもたらすレーザー兵器、化学兵器、生物兵器の禁止は一定の成果を上げているようだ。自律兵器禁止に向けた最大の障害は、ロシア、アメリカ、イギリスが時期尚早として全面的に反対していることだ。元アルファベット会長のエリック・シュミットが委員長を務めるアメリカ人工知能国家安全保障委員会(NSCAI)は2021年、自律兵器禁止の定義についてアメリカは拒否すべきという勧告を出している。
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***デイ・ウォッチ(17日)
◎俳優 西田敏行さん死去 76歳 芸能界から悼む声 北野武さん 米倉涼子さん 綾瀬はるかさんら 出身地福島でも | NHK | 訃報 →亡くなって西田敏行さんの偉大さを知った感がある。つらい時は上野動物園のゴリラを見に行き、遠くを睥睨している姿に接して、自分の悩みの小ささを感じて励まされたという。郷里・福島を近くに感じたかった思いもあるのだろう。合掌。
◎自公、過半数維持の公算大 毎日新聞・衆院選序盤情勢調査 | 毎日新聞 (mainichi.jp) 衆議院選挙:与党が過半数の見通し、自民苦戦・立民は議席増の勢い・維新は不振…読売序盤情勢調査 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) →毎日新聞と読売新聞も総選挙の情勢調査を報道した。いずれも自公の過半数維持を予想している。個別の選挙区をみると、野党が乱立している。これでは自民党が相対的に有利になる。野党は政権交代のチャンスをみすみす逃した形だ。野党共闘には時間が足りなかったというが、前の選挙から3年も過ぎている。
◎石破首相 靖国神社の秋の例大祭にあわせて「真榊」奉納 | NHK | 東京都 自民 高市前経済安保相が靖国神社参拝 | NHK | 日中関係 →石破首相はこれまでやってこなかった真榊の奉納を首相になって初めてした。ここでも変節した。中国と韓国は、慎重な行動を求めたり、失望を表明したりの談話を発表。高市早苗氏は靖国神社に参拝した。無宗教の慰霊施設は必要だろう。
◎最高裁 検事の取り調べ映像 開示認める 民事裁判で初めて | NHK | 事件 →取り調べ映像の開示はこれまで、刑事裁判に限っていたが、最高裁は民事でも認めた。裁判官4人の意見が一致した。かつては蜜月関係だったが、最近は検察の強引捜査に最高裁も懸念しているとみていいだろう。
◎千葉 市川 荒らされた住宅の不明女性保護 監禁容疑で男逮捕 | NHK | 事件 連続強盗で合同捜査本部設置へ 4都県警、指示系統解明目指す―警視庁など:時事ドットコム (jiji.com) →千葉県市川市で闇バイト事件と手口が似た窃盗事件が起きた。首都圏の警察は押っ取り刀で合同捜査本部を設置、本格的な捜査に乗り出した。事件は毎日のように起きている。全面解決はいつか。
*** 「今日の名言」
◎魯迅(中国の小説家。1936年10月19日死去、55歳)
「後ろをふり向く必要はない。あなたの前にはいくらでも道があるのだから」 「目的はただ一つしかない。前進することだ」 「自己満足しない人間の多くは、永遠に前進し、永遠に希望を持つ」 「天才なんかあるものか。僕は他人がコーヒーを飲んでいる時間に仕事をしただけだ」 「青年時代に悲観していてはいけない。徹底的に戦うのだ」 「君たちは生命の力にみちあふれている。深林に出会えば開いて平地にすることができる。荒野に出会えば樹木を植えることができる。砂漠に出会えば井戸を掘ることができる」 「思うに、希望とはもともとあるものとも言えぬし、ないものとも言えない。それは地上の道のようなものだ。もともと、地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になる」 「生活がまず一番だ。人は生活しなければならない」 「私は沈黙している時、充実を覚える。口を開こうとすると、たちまち空虚を感じる」
*** 今週の教養 (AI2041⑤)
◎自律兵器の危険性への解決策②
第3の道は、自律兵器に規制の網をかけることだ。しかしこれは、過剰にならずに有効な技術仕様を決める困難さが予想される。自律兵器の定義は何か、違反をどう監督するのか。短期的に難しい障害がいくつもある。しかし本書のテーマは長期の未来予測なので、2041年の条約を夢想させてほしい。その頃までに、未来の戦争はロボットのみ(できればソフトウェアのみ)によって戦われ、人間を犠牲しないとすべての国が合意しているかもしれない。
そして戦利品は戦後に返却する・・・ということができるだろうか。あるいは未来の戦争は人間とロボットによって行い、ロボットが使用する兵器はロボット戦闘員を停止させるだけで、人間の兵士には危害を加えないものにする・・・ということが可能だろうか? 現時点では空想にすぎないが、将来は現実的な戦略として検討されるかもしれない。
自律兵器はすでに明白な現在の危険であると認識されるべきだ。今後前例のない速さで、より知能的に、より敏捷に、殺傷性が高く、入手しやすいものになっているだろう。核兵器のような本質的な抑止力を持たないため、見えない軍拡競争によってその配備が加速する。AIの応用例として明確かつ深刻に人間のモラルに反し、人類の持続性を脅かす自律兵器の増殖と人類滅亡を防ぐために、専門家と政策決定者はさまざまな解決策を検討すべきだ。