11月18~22日(教養講座:イノベーターシップ)
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***デイ・ウォッチ(15~17日)
◎兵庫県知事選、失職の斎藤元彦前知事が再選、稲村和美氏ら破る(NHK) →斎藤氏の再選は困難とみられたが、まさかの結果となった。「県幹部の自殺理由はパワハラではなく不倫」といったSNS情報が大量に発信され、NHK国民党から立候補した立花孝志氏が「デマ情報で辞任させられた」と斎藤氏を異例の支援。若年層を中心に支持を受けた。一方、大半の市長や県議の支援を受け、有力とみられた稲村氏は、虚偽公約を流されて否定に追われた。真偽不明の情報を流し、既存勢力を「既得権層だ」とやり玉に上げる手法は、トランプ現象と酷似している。日本の選挙関係者だけでなく、有権者にも大きな教訓を残す歴史的選挙となった。今後の多角的な分析が待たれる。
◎習近平中国主席、トランプ大統領の登場で、日韓に秋波 APEC(時事) →APEC首脳会議にあわせて、首脳間の会談が相次いであり、習近平主席の柔軟姿勢が目立った。石破首相との会談では日本産水産物の輸入再開に向けた合意実施を確認。中国での日本人男児襲撃事件を巡っては、「安全確保」を約束した。韓国とは自由貿易協定の推進で一致した。トランプ大統領の誕生は、世界秩序を流動化させ始めている。
◎トランプ大統領報道官に27歳の女性(NHK) →トランプ政権幹部が次々と報道され、驚きが広がっているが、報道官は27歳のカロライン・リービット氏を任命。歴代最年少で、大統領選でも報道担当だった。トランプ氏は声明で「賢く、タフで、非常に有能なコミュニケーターだ」とした。政権1期目は報道官補佐をしていた。若手抜擢は日本も見習うべきなのかどうか。
◎韓国、野党の大統領候補に虚偽発言で有罪判決(NHK) →韓国最大野党の代表で大統領候補のイ・ジェミョン(李在明)氏が、執行猶予付き懲役1年の有罪判決を受けた。前回大統領選挙の虚偽発言で公職選挙法違反に問われていた。まだ地裁段階だが、虚偽発言のない政治家は、世界にどれほどいるのだろうかと思ってしまう。アメリカも韓国も法廷闘争が激しい。
◎三笠宮妃百合子さまが逝去、101歳(NHK) →動画付き。波乱の近現代を生き抜いた101歳。日米開戦直前に18歳で結婚。自宅が空襲にあって防空壕で生活した。終戦直前、青年将校らが戦争継続を要求する場に居合わせた。戦後は母子愛育会総裁を長く務めたが、3人いた男性の子どもに先立たれた。子爵だった父は戦後、華族制度の廃止で困窮化し、自死した。百合子さまが25歳の時だった。
*** 「今日の名言」
◎小林一茶(俳人。1827年11月19日死去、64歳)
「金がないから何もできないという人間は、金があっても何もできない人間である」 「他の富めるを うらやまず、身の貧しきを 嘆かず、ただ慎むは貪欲、恐るべきは奢り」/「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」 「梅が香や どなたが来ても 欠け茶碗」 「やれ打つな 蝿が手をすり 足をする」 「ずぶ濡れの 大名をみる 炬燵かな」 「人の世は 地獄の上の 花見かな」 「初夢に ふるさとをみて 涙かな」 「雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る」 「われと来て 遊べや親の ないすずめ」 「大根引き 大根で道を 教へけり」 「ともかくも あなたまかせの 年の暮」 「名月を とってくれろと 泣く子かな」 「うつくしや しょうじの穴の 天の川」 「露の世は 露の世ながら さりながら(露のようなこの世だとはわかっているが、それでも我が子の死はあきらめきれない)」
*** 今週の教養 (イノベーターシップ①)
多摩大学大学院の徳岡晃一郎・名誉教授の著書「イノベーターシップ――自分の限界を突破し、未来を拓く五つの力」(東洋経済新報社、2024)を紹介する。「イノベーターシップ」は徳岡教授らの造語。結果を出すために人・モノ・カネを最適管理する「マネージメント」、ビジョンを作って改革を断行する「リーダーシップ」の先にある概念と定義している。よりよい社会を目指して、イノベーションや新しい価値を創造する行為で、未来構想力、実践知、突破力、パイ型ベース、場づくり力の5つの力が必要だという。1つずつ簡単に解説する。詳しくは著書を読んで欲しい。
◎「未来構想力 ありたい未来の姿を描き出す」 未来の共通善である「真善美」の追求が基軸になる。未来への思いでモードを切り替えるため、次の3つの要点がある。①大きなトレンドを見すえる時代認識。長期の視点が問われる②社会課題をビジネスチャンスに変える心意気。近江商人が唱えた、売り手・買い手・世間の「三方よし」に「未来よし」を加える③明るい未来を描くイマジネーションで、いい意味での楽観主義が必要になる。
未来構想力を習得するトレーニングとしては、基本と上級の2種類ある。基本トレーニングは、①問題をとらえるセンスを磨く問題意識リストをつくり、常に更新する②垂直統合の思考法で、思想、ビジョン、志、戦略、戦術、技術、人間力という7つのレベルを相互に連関させて考える③世界、正義、美など抽象的な概念に対する自分の立ち位置を明確にするため、福原正大氏が提唱した「グローバル・ウィズダム・チャート」を参考にしたい。長谷川智著「ソーシャル・シンキング――自分で考え、発言する力を養う」も推薦図書のひとつだ。(注:徳岡名誉教授は、私が通った学び直し機関「ライフシフト大学」の理事長で、講義も受けた恩師)
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***デイ・ウォッチ(18日)
◎兵庫県知事当選の斎藤氏が会見、「SNSが大きなポイントだった」(NHK) →劇的な逆転勝利をした斎藤前知事が、当選から一夜明けて会見。選挙戦は孤独な船出だったが、「SNSを通じて、駅での活動に集まってくれる人が少しずつ増えていった。1つの大きなポイントだった」と述べた。大手既存メディアからは「我々も敗北した」という声が聞かれた。選挙期間中は公平重視で慎重な報道に終始してきたが、ファクトチェックなどより積極的な選挙報道を検討するだろう。
◎米がロシア領への長距離ミサイル攻撃を容認/ウクライナ歓迎、ロシア反発(時事) →アメリカはウクライナに米国製長距離ミサイルの使用を容認した。北朝鮮参戦を受けた方針転換だ。射程300キロで、ロシア・クルスク州のロシア軍や北朝鮮軍を攻撃するとみられる。プーチン大統領はミサイル使用について「事実上の対露参戦とみなす」と警告している。戦闘の局面がエスカレートする。
◎野田代表、野党連携で選択的夫婦別姓めざす(NHK) →立憲の野田代表が、選択的夫婦別姓を実現する民法改正を野党連携で目指すと明言。「法務委員長に立憲の西村智奈美氏が就任した。議論が加速すると確信している」と述べた。賛成は国会の多数派で、提出されれば可決する公算が大きいが、自民保守派が激しく反対している。「年収の壁」と並ぶ大きな焦点だ。
◎米FCC委員長に巨大テック強硬派のカー氏、トランプ次期政権人事(NHK) →FCC(連邦通信委員会)はネットやテレビなどの行政を担当する。起用されるブレダン・カー氏は巨大IT企業への規制強化を訴え、「巨大テック企業は検閲カルテルだ」と批判してきた。政権入りするイーロン・マスク氏と近く、同氏運営の「X」を優遇するのではないかという憶測も出ている。
◎戦後を代表する詩人の谷川俊太郎さん死去、92歳(日経新聞) →多彩な活動をした詩人だった。2週間前に、興味を持っていることについて、「死ぬことですね。もう92年生きてきたから、生きることはわかったような気がするんだけど、死ぬっていうのはどういう感じなのかな。想像してみるんだけど、困ったことに死んでみないとわからないんだよね」と語っていた。
◎花巻東出身の菊池雄星、母校近くに屋内自主トレ施設開設(NHK) →大リーグで活躍する菊池雄星投手が地元に貢献する。名称は「キング・オブ・ザ・ヒル」で、自主トレの様子を公開した。大谷選手もOBだが、高校野球界では新興勢力。しかし、大谷の二刀流、佐々木選手のスタンフォード大進学など発想の質やスケールが違う。菊地の地元貢献も大いに評価したい。
*** 「今日の名言」
◎斎藤茂太(精神科医、随筆家。2006年11月20日死去、90歳)
「夢中で生きることを生きる目的にしてみよう」 「人はけなげな人に、手を差しのべる」 「他人と自分を比べてしまうのは、しょうがない。ただ、幸せを他人との比較で決めるのは、もうおやめなさい」 「あなたが幸せかどうかは、あなたの気持ち次第」 「自分を幸せにできる人は、人も幸せにできる」 「大切なのは倒れないことより、すぐ起き上がることである」 「場所を変えるのではなく、自分自身が変わること」 「悲観的になるのは、自分のことばかり考えているから」 「いま何がないかより、いま何があるかで発想しよう」 「人の顔を美しくする最高の美容術は、笑いである」 「感動こそがストレスに負けない最大の秘訣、長生きのコツ」 「自分のない人ほど、自分を主張する」 「効率や損得にとらわれると、人間が小さくなる」 「本当に有能な上司は、部下にも自分にも適度に甘い」 「人生に失敗がないと、人生を失敗する」
*** 今週の教養 (イノベーターシップ②)
◎「実践知 文脈に応じて最適な判断をしていく」 実践知とは、既成概念、常識や風潮などの型にはまらず、文脈に応じて最適な判断を直感的に下していく力だ。成功、失敗や日常の経験を自分なりに解釈して、「真善美」の観点から物事の本質を捉え、次につなげる知恵としてつかみ取ることで身につく。そもそも知恵は、常識、予見、判断、自覚そして道徳的勇気が組み合わさったものだ、と都市研究家でジャーナリストのジェイン・ジェイコブズは指摘している。
実践知に求められるものとして、知恵、姿勢、洞察力の3つがある。「知恵」は豊富で多様な経験からくる。豊富な経験がなければ、ルール頼みになって思考停止してしまう。「姿勢」は本質追求である。本質を追求しない人は、表面的な対応で楽をして済ませようとする。「洞察力」は、表層的理解や一般論に終始するのではなく、自分なりの価値観、判断基準、持論、原体験さらには自分の情報網から得られるユニークな知見やアングルを持ち、他者にはない感性で問題を感じ取る力だ。
自分の経験をもとに自分としての価値観や仕事の流儀を持つことが重要になる。変化の激しい世の中で、自分としてどの方向に向かっていくのか、自分らしい正義は何かを明確にする必要がある。常識を疑い、より正しい方向へはみ出す力ともいえる。理論上は不可能だと思われても、周りのみんながやっていることと逆行しても、正当性を信じてイノベーションに突き進む力が実践知である。
実践知を習得するトレーニングも基本と上級がある。基本は3つある。①実践知シミュレーションで、著名創業者らがどう動いたのかをなぞる②名言集に学ぶ③知識創造で著名な「SECI(セキ)モデル」の活用である。このモデルは、知識の共同化、表出化、連結化、内面化の英語の頭文字をとっている。上級も3つあり、①自分のロールモデルを持って体当たりする②実践知のポートフォリオを増やす③自分の実践知からくる判断基準を言語化することである。
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***デイ・ウォッチ(19日)
◎103万円の壁、自公修正案を国民民主が評価(NHK) 政治改革法案、与党が協議機関設置を野党に提案(NHK) →与野党の政策協議が加速している。当面の焦点は、収入の壁問題と政治改革。議論は細かくなりそうでフォローが大変だが、大きな流れはつかんでおきたい。与党は謙虚か、野党は党利党略に走っていないか。政治の将来を占う重要な協議だ。
◎中国で暴走事故多発、背景に経済低迷による社会不安の指摘(NHK) →中国で無差別の暴走事故が多発している。19日も湖南省の小学校前で車が人をはね、けが人が出た。当局は個人的理由を強調しているが、経済の停滞で不安が高まり、「社会への報復」と指摘されている。経済低迷は抑圧的な政策が影響しているが、習近平主席は十分理解できていないようだ。
◎中国、8月の領空侵犯は気流による不可抗力と説明(時事) →8月に起きた中国軍用機として初めての領空侵犯。中国が「気流による不可抗力で、技術的問題」と説明していることがわかった。外務、防衛省が明らかにした。いま、なぜ明らかにするのかは不明だが、融和ムードには違いない。ここでもトランプ大統領の登場が背景にありそうだ。
◎ソニーグループ、KADOKAWA買収を視野に協議(日経新聞) →逆風が吹きまくっているKADOKAWA。時価総額は約5300億円だが、ソニーGは1兆8000億円の成長投資枠を設定しているので、買収は容易だ。アニメやゲームで相乗効果が見込まれる。ソニーGのソフト化がさらに進み、KADOKAWAは苦境を脱却できる。ウィンウィンの買収にみえる。
◎兵庫・斎藤知事、SNSの誹謗中傷抑止条例を検討へ(朝日新聞) 選挙とSNS,閣僚らも強い関心(NHK) →SNSの威力もあって当選した兵庫県の斎藤知事。SNSによる誹謗中傷を抑止する条例を検討する。知事選を受けてではなく、昨年10月に表明し、今年7月に有識者会議を設置していた。「SNSは冷静に使っていくことが大事だ」と述べており、恩恵を受けた候補者の取り組みとして注目される。選挙の当事者である閣僚らは、SNSと選挙の関係について、強い関心を示し相次いで発言した。
*** 「今日の名言」
◎樋口一葉(小説家。1896年11月23日死去、24歳)
「切ない恋の心は尊きこと、まるで神のようです」 「恋とは尊く、あさましく、無残なものです」 「世の中にあるおかしくて、あやしく、のどかで、やわらかで、悲しく、おもしろいものとは、恋でしょう」 「恐ろしきは、涙の後の女子(おんな)心なり」 「色に迷う人は迷えばいい。情に狂う人は狂えばいい。この世で一歩でも天に近づけば、自然と天が機会を与えてくれるでしょうから」 「身を捨てたつもりになれば、世の中のこと、なにも恐ろしいことはない」 「行く川の水のように、人生にも順調なときと停滞するときがあるでしょう。悪いことばかりではありません」 「上っていく道のりはたとえ違っても、最後にたどり着くところは、自分も人も同じではないでしょうか」 「皆さまが野辺をそぞろ歩いておいでのときには、蝶にでもなってお袖のあたりに戯れまつわりましょう」 「この世が滅びない限り、私の詩は人の命となっていくでしょう」
*** 今週の教養 (イノベーターシップ③)
◎「突破力 しがらみを打破する」 突破力は、高い目標に向かって進む際に立ちはだかる障害を、あの手この手で乗り越えていくアイディアと勇気である。イノベーターシップの真の目的は、イノベーションを通じて世の中を変えていくことにある。自社のビジネスモデルのイノベーション、新市場の創造、社会のインフラの変革など、今までのあり方を大胆に再構築する大きな力である。技術的なブレイクスルーに加えて、知性を総動員して人々の常識を覆し、説得する。現実の社会が作られてきた歴史や慣習、価値観や文化、既得権益構造、法律などの社会的枠組みを踏まえ、根っこに踏み込んでいくことが求められる。
日本社会はなかなか変えられないと言われているが、忖度、安住、保身という閉鎖性と関連する。日本人が真面目すぎる面もある。真面目すぎるがゆえに、目の前のことに集中しがちだ。あるべき姿を思い描き、未来からバックキャストして現実を捉える視点が持てない。対抗手段としては、しがらみ打破、リスクテイク、顧客志向が重要だ。「障子を開けてみよ。外は広いぞ」は豊田佐吉の言葉だが、過去のイノベーターたちは外の世界に目を向けてきた。忖度していないか、安住していないか、保身に走っていないか。警鐘を鳴らしながら世界を切り開きたい。
基本トレーニングは、①目的志向②シャドーワーク③ロールモデリングがある。突破力の最優先は「なぜ」をきちんと問うことにある。何のためにやっているのか、何が目的なのかをはっきりさせることだ。シャドーワークは、アウェーの環境で実戦経験を積むことだ。他流試合をすることで、異なる世界を活用する胆力が身につく。ロールモデリングは、勇気を与えてくれる手本をイメージすればいい。本田宗一郎やスティーブ・ジョブズらは代表例だ。上級トレーニングとしては、①自分の使命、ビジョン、価値を深く考える②抵抗勢力を抑えるチェンジマネジメント。しがらみに気づき対処し、データ志向で現実を見据え、共感を得ることが重要だ③相手の内発的動機をくすぐる。相手の内側から出てくるモチベーションを意識したい。
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◎速報→ 元横綱 北の富士勝昭さん 死去 82歳 幕内優勝10回 大相撲中継の解説で人気 千代の富士と北勝海を育成 | NHK | 訃報 →優勝10回の横綱、2人の横綱を育てた親方、人気の解説者だった。
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***デイ・ウォッチ(20日)
◎経済対策、自公国が合意 「103万円」引き上げ:時事ドットコム →補正予算を通すため、少数与党は国民民主と合意するしかない。問題はこれからだ。103万円の壁を要望通り178万円にすれば、7~8兆円の大減税になり、税収が減る地方からは悲鳴が上がっている。壁の解消なら対象者に給付金を出すなどのやり方があるが、有力な選択肢はまだ示されていない。何のための壁解消かという目的を明確にした上で、具体的な制度を詰める必要がある。議論が拡散して空中分解する可能性はなお小さくない。
◎トランプ氏 不倫の口止め料裁判 検察が量刑言い渡し延期に同意 | NHK | トランプ次期大統領 →アメリカで「法の下の平等」はどうなっているのだろうか。不倫口止めで5月に有罪判決を受け、今月26日に量刑が言い渡されるトランプ氏だが、検察は言い渡し延期に同意した。メディアは4年の任期後まで延期されると予測している。検察自らが「政治的裁判」と認めたことにならないか。
◎上場企業が最高益 4〜9月、金融や海運好調で車不振補う 【イブニングスクープ】 – 日本経済新聞 →日本の上場企業の業績は好調だ。4~9月期の純利益は約27兆2000億円と前年同期比15%増え、4年連続で最高となった。金利上昇や新NISAを追い風に金融が好調で、海運や鉄道も伸び、自動車や鉄鋼の不振を補った。大企業はもっと賃上げをしよう。
◎10月訪日客、331万人 最速で年3000万人突破:時事ドットコム →インバウンド客が好調だ。10月は331万人で単月として過去最高、年間では最速で3000万人を超えた。10月は韓国が前年同月比16.0%増の73。2万人でトップ。以下、国慶節の連休があった中国、台湾、米国、香港が続いた。人気観光地のオーバーツーリズムが深刻で、地方への還流が課題だ。
◎コメントプラス:朝日新聞デジタル →斎藤兵庫県知事の再選について、多くの識者がコメントをしている。考えるべき材料は多い。
*** 「今日の名言」
◎谷川俊太郎(詩人。2024年11月13日死去、92歳)
「生きているということ いま生きているということ 泣けるということ 笑えるということ 怒れるということ 自由ということ」 「どんなに深い喜びの海にも たった一粒の涙が 溶けていないということはない」 「なんにもないのになにもかもある。それこそ私の最大の贈り物。それを私は愛と呼ぶのだ」 「いやだと言っていいですか。本当にからだの底からいやなことを 我慢しなくていいですか。我がままだと思わなくていいですか」 「親にも先生にも頼らずに 友だちにも相談せずに ひとりでいやだと言うのには勇気がいる。でもごまかしたくない。いやでないふりをするのはいやなんです」 「何にもまして幸せなのは かたわらにひとりのひとがいて いつでも好きなときにその手に触れることができるということ」 「あなたのいのちはつながっている。他のすべてのいのちと」 「よるになったらほしをみる。ひるはいろんなひととはなしをする。そしてきっといちばんすきなものをみつける。みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる。だからとおくにいてもさびしくないよ。ぼくもういかなきゃなんない」 「どうしたら このこの てだすけができるだろう。あったことが なくても このこは ともだち」
*** 今週の教養 (イノベーターシップ④)
◎「パイ(π)型ベース 知見の深さと広さを併せ持つ」 パイ型ベースとは、ギリシャ文字のパイ(π)の形で表される知見の深さと広さである。複数の専門性(パイの2本の足)と幅広い教養(横棒)を兼ね備えるイメージで、イノベーションを発想するためのカギになる。
複数の専門性の一つは、自分の中に作り上げる知のダイバーシティだ。多様な知見や体験を積み重ね、統合することで生まれる。もう一つは、さまざまな領域の人とつながって外に作り上げる知のネットワークによって専門性を広げることだ。例えば日本の製造業の大企業に勤めている人が、スタートアップ、海外企業、他産業、有識者といった人々とつながることで、他分野の知見と融合したバーチャルな専門性を広げることができる。
パイの横棒になるのが幅広い教養だ。教養とは、多面的なものの見方を身につけ、目の前にある問題を様々な次元で考え、適切な質問を通して答えを導き出していく素養である。自身のしっかりとした価値観を作ることにつながる。寛容の精神で多様な価値観に理解を示しつつ、意見の異なる人たちと議論を通してより普遍的な答え、共通理解を導き出していけるかが問われる。教養は未来の正義を見通すとともに、人間の過去の過ちを示してくれる。
基本トレーニングとして5つの手法を紹介する。①1万時間トレーニング。プロになるために必要な時間を1万時間と想定し、学びたいフィールドを決めて10年間、1日3時間を勉強する②問題意識ワークシートを作成する。疑問や問題と感じることを書き出し、関連情報を体系化する③読書と書評ライティングで理解を深める④思想、ビジョン、志、戦略、戦術、技術、人間力という7つのレベルの知性を駆使して体系化する⑤幅広い体験で高質な判断力を身につける。
上級トレーニングとしては、①越境学習・越境体験をする②4S(シナリオ・スピード・サイエンス・セキュリティ)で時代認識を磨く③主観を磨く。主観とは様々な事象に対する個人の解釈に基づく見解であり、個人的な定義付け、意味付けのことだ。
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***デイ・ウォッチ(21日)
◎ウクライナ軍「ロシアがICBM発射」ロシアのプーチン大統領 「中距離弾道ミサイル」と発表 | NHK | ウクライナ情勢 →ロシアのICBM発射はウクライナ侵攻で初めて。ロシアは否定しているが、ウクライナによる米英製ミサイル発射への対抗措置とみられる。ICBMには核弾頭搭載が可能で、エスカレートしている。国連が機能不全で、世界で止め役は不在の状況なので、トランプ新大統領に期待がかかってしまう。ノーベル平和賞を妄想するか。
◎グーグルの事業分割要請 独占是正へクローム売却を―米司法省:時事ドットコム →米司法省はグーグルに閲覧ソフト「クローム」事業の分割を要求した。グーグルは裁判で争うことができるので、すぐに分割する可能性は低そうだが、巨大IT企業をめぐる当局との攻防は熾烈になっている。トランプ新大統領がどう動くか。イーロン・マスク氏の「X」を優遇する可能性も排除できない。
◎黙秘の被告に「引きこもり」「低学年」 重大事件で検事が暴言連発 [和歌山県]:朝日新聞デジタル 袴田巌さんに静岡地検検事正が直接謝罪で調整 | NHK | 静岡県 →検察2題。岸田首相襲撃犯に和歌山地検の検事が、暴言や侮辱発言を繰り返していたことがわかった。朝日新聞の特ダネで、最高裁も不適切と認めた。また、袴田さんに静岡地検検事正が謝罪する。犯人視する非常識な声明を出す一方、県警本部長はすぐ謝罪に訪れている。謝罪は当然だ。市民感覚と乖離した検察は、今や日本の大きな病だ。
◎日本生命 40年ぶり保険の利回り引き上げへ 同様の動き広がるか | NHK | 金融 →引き上げは1985年以来、実に40年ぶり。保険料が安くなるので、契約者には朗報だ。年金保険は0.6%から1%、終身保険は0.25%から0.4%になる。他社の追随は確実で、金融界は「金利ある世界」に正常化されつつある。
◎オーストラリア政府、子供のSNS禁止法案提出 違反企業に罰金最高50億円:時事ドットコム →世界で注目されるオーストラリアの実験。可決するかどうかは未定だが、16歳未満を対象にX(旧ツイッター)、フェイスブック、インスタグラム、ティックトックなどを禁止する。違反企業には最高50億円の罰金を課すというから、額は小さくない。SNS論争が高まりそうだ。
*** 「今日の名言」
◎ジョン・F・ケネディ(アメリカ第35代大統領。1963年11月22日暗殺、46歳)
「人は死に、国は興亡するかもしれない。しかし思想は生き続ける」 「今、我々に必要なのは勇気である!」 「大きな失敗を恐れない者だけが、偉大なことを成し遂げる」 「変化とは人生の法則である。過去と現在しか見ない人は、確実に未来を見失う」 「1人の有権者が民主主義に対して無知であることは、あらゆる安全を低下させる」 「国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うてほしい」 「もし自由社会が、貧しい多数の人々を助けることができなければ、富める少数の人々も守ることができないだろう」 「互いに相違点があることは認めよう。たとえ今すぐ相違点を克服できないにしても、少なくとも多様性を認められるような世界を作る努力はできるはずだ」 「富は手段であり、その目的は人間である。物質的な富は、人間の向上のために用いられなければ意味がない」 「知識が増すほど、われわれの無知が明らかになる」
*** 今週の教養 (イノベーターシップ①)
◎「場作り力 人々をつなぐ共創のハブとなる」 イノベーションのカギは、共創できる人間関係や人脈を構築する力で、これを場づくり力と呼ぶ。世の中を良くしていこうという壮大なイノベーションであれば、仲間たちとの協力や知の共有が必要になる。イノベーションの局面でも発見、量産、コストダウンなど違った能力が必要になる。大きなイノベーションは世代を超えて引き継がれないと成し遂げられない。必要なポイントは3つある。1つ目は、表面的な関係ではなく真に信頼できる関係を構築する。2つ目は、立場ではなく人としての思いに軸足を置く。3つ目は、立場を守るのではなく、お互いの意見や立場の領空侵犯を歓迎することである。
習得するための基本トレーニングとして、①発信力を高める②質問力を身につける③対話力を高める、が重要になる。上級トレーニングも3つある。①共感力で支援型リーダーシップを身につける。必要な資質は、傾聴、共感、癒し、気づき、頼りがい、コミュニティーづくりなどがある②共感力を得る。1対1で距離を縮める必要がある③自分のコンテンツを作り上げる。自分から与えるものがなければ、誰もやってくれない。与えるものがなければほかの人から何かを受け取ることもできない。ウィンストン・チャーチルは「人を得るものによって生計をなし、与えるものによって人生を築く」と指摘している。
チェックポイントを考えてみたい。「つながり力」では、話題が豊富で自分の周りに人が集まるか、自信を持って発信できる強い思いを持って仕事をしているか。「共感力」では、相手の話をじっくり聴き尊敬の念を持って反応しているか、自分の思いを丁寧に語りつつも相手の気持ちに寄り添うよう努力しているか。「コミュニケーション力」では、キーワードやストーリーを使ってメッセージ性の高い発信ができるか、場を和ませ対話を促進するような投げかけや雰囲気作りができるか、などがポイントになる。