11月25~29日(教養講座:三島由紀夫の「小説読本」)
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***デイ・ウォッチ(22~24日)
◎COP29閉幕 途上国の気候変動対策支援資金 2035年までに少なくとも年間3000億ドルで合意 途上国から非難の声 | NHK | COP →気候変動対策を話し合う毎年恒例のCOP。会期を2日延長し、2035年までに日本円で46兆円を投入することで合意。途上国の反発も恒例だ。温暖化は人類最大の課題だが、合意はわかりづらくて関心を呼ばず、効果もはっきりしない。会議取材の報道は簡単ではないが、メディアには工夫を期待したい。トゥーンベリさんは怒っている。
◎経済対策を決定、非課税世帯に3万円 補正予算13.9兆円 – 日本経済新聞 →最近は経済対策の安売りが続いている。必要な経済政策があれば、補正予算を組んで機動的に実施すればいい。「経済対策」の看板を掲げるから、無駄に規模を膨らませ、のちに問題になる事業もかき集めてしまう。経済対策は、景気が極端に落ち込んだ時に限るべきだろう。
◎【詳しく】大谷翔平 MVP受賞 2年連続3回目 DH 指名打者で大リーグ初 発表の瞬間 妻の真美子さん デコピンと | NHK | #大谷翔平 →予想通り、大谷選手が2年連続のMVPに輝いた。指名打者では大リーグ初。今年は、ドジャース移籍、通訳の事件、結婚、一刀流、本塁打と盗塁50以上、ワールドシリーズ制覇と盛りだくさんの年となった。野球にすべてを賭ける強烈な姿勢からは学ぶことも多い。
◎Xアカウント凍結で刑事告訴 稲村氏側「虚偽通報あった」―兵庫県知事選:時事ドットコム 兵庫県知事選 県議が候補を告訴 “SNSの虚偽投稿で名誉毀損” | NHK | 選挙 →兵庫県知事選の波紋が広がっている。批判の対象はNHK党の立花氏。違法でないとは言え、都知事選の掲示板悪用以来、民主主義を空洞化させ、公共の福祉を害している。警察だけに判断を委ねず、国民的な議論が必要だろう。
◎中国 日本人の短期滞在ビザ免除措置を30日から実施と発表 滞在期間30日に延長 2025年末まで | NHK | 中国 →トランプ効果で中国が対日姿勢を激しく軟化させている。30日以内の短期ビザは、2000年3月のコロナ禍以降、停止していた。昨年春からシンガポールや欧州各国を緩和しているが、日本は停止したままだった。ビジネス客や観光客の訪中が増え、中国の経済浮揚につながる。
◎【詳しく】 大関 琴櫻が初優勝 大相撲九州場所 豊昇龍との相星決戦を制し14勝1敗の成績 | NHK | #大相撲 →大関同士の相星決戦となったが、琴櫻が初優勝を飾った。来年初場所は綱取りをかけるが、豊昇龍も綱取りの有資格者。久しぶりに強い大関が帰ってきて、来年は実力伯仲の年になりそうだ。
◎サッカー天皇杯 ヴィッセル神戸が優勝 5大会ぶり2回目 | NHK | #サッカー →かつては元日開催、最近は12月が多かったので、今回は少し早めの決勝だ。71大会ぶりの関西対決となったが、ヴィッセルが5大会ぶり2回目の優勝を果たした。Jリーグでも首位になっているので、2冠の可能性も高い。
*** 「今日の名言」
◎伊集院静(小説家。2023年11月24日死去、73歳)
「幸せだけの人生などない」 「人は自分だけのために生きているのではない」 「私は知っている、不運な人生などない」 「人生にも仕事にも、先が見えない時がある。目の前に闇しか広がっていないように映るものだ。でもそれは誰しも同じなのだ」 「人間というのは哀しいかな、辛酸を味わう時に真の姿が見えることが多い」 「己以外の、誰かの、何かのために懸命に、生き抜くことだ。そうすれば君に見えてくる。世の中が、人間の生が、いかに哀しみであふれていることか」 「相手を思いやり、あなたが幸せであればそれだけで私はうれしいと感じることが恋愛だ」 「大切な感情を最初に学べる場所が恋愛」 「世の中の肌触りを覚えるには、理不尽と出逢うのがいい」 「誰しもが辛い時間と遭遇しているのが人生だ」 「前妻(夏目雅子)は27歳の若さでこの世を去りました。医師から『明日死んでもおかしくない』と言われ、209日間の入院でしたが、その間、私は仕事を休み、妻の傍らに寄り添いました。何で俺だけこんなふうになるんだろうなと思いました」
*** 今週の教養 (小説読本①)
三島由紀夫著「小説読本」(中央公論新社、2016)から、「わが創作方法」を紹介する。1963年に「文学」に掲載された一文だ。著名な「文章読本」は2023年4月にこの欄で紹介したが、今回は小説の書き方である。いかにも文学的で、わかりづらい表現もあるが、読んで何かを感じられればいい。
小説は芸術というジャンルで怪しげな、最も自由で、雑然たる文学形式だということになっている。それは生成発展するのが構成上の特徴をなすところの、最もダイナミックな文学上のジャンルだということになっている。その「自由だ」という前提が、各種の問題を孕んでいるのだが、いやしくも芸術が、制作者と享受者との間の何らかの約束事なしに成立しえないものならば、小説はこれについて既定の約束事を一つも持たず、その都度、作者の個性に応じて約束事が作り出される。最も重要な、特色ある点は、制作者も享受者もあたかも約束などはじめからないふりをするという約束があるということであろう。
小説形式が伝統的に、ロマン主義的な無形式と個性尊重を抜け切れない以上、当然の成り行きで、個性が先行するところには、古典的普遍的な方式があるべきはずはない。しかし、小説ほど方法意識にわずらわされる宿命を負ったジャンルも珍しいのである。なぜなら、古典的な方式が当然の前提になっていれば、その先の作業は完全に自由だが、小説がもし本来の使命に従って完全に自由であろうと欲するなら、いやでも方法論が確立されていなければならないからである。
すべての自由の問題に潜む逆説は、そのまま小説の問題に当てはまる。小説の制作自体は決して知性を重視する主知的な作業ではあり得ないが、小説が方法論において、他のどのジャンルよりも主知的たらざるを得ないのはこのためである。これは小説のジャンルの自由から発生した結果であるにもかかわらず、それ自体一つの形式主義に他ならず、「自由の生んだ形式主義」という弊害も生まれがちなのである。この点で私は、いわゆる新しい小説というものにいつも懐疑的たらざるをえない。
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***デイ・ウォッチ(25日)
◎斎藤知事 公職選挙法違反を否定 PR会社にポスター制作費約70万円支払い「SNS運用は 斎藤事務所が主体的に」 | NHK | 兵庫県 →斎藤兵庫県知事の選挙運動で、公職選挙法違反の疑いが浮上し、物議をかもしている。ポスター制作費として70万円を払ったPR会社社長が「運用戦略を立案した」と投稿した。公選法では、PR会社が主体的に企画立案を担うと買収の疑いがあるという。ただ、実態はグレーゾーンで認定が難しそうだ。NHK党の立花氏の方が悪質だろう。それにしても斎藤知事の話題は絶えない。
◎「103万円」引き上げ幅焦点 ガソリン減税、防衛増税も議論―与党税調:時事ドットコム →自公の与党税調が始まった。今年は国民民主との調整も加わるので、複雑になる。テーマも「103万円の壁」「ガソリン減税」「防衛増税」など盛りだくさん。この日開かれた全国知事会は「壁解消の減収分は、国が全額負担しろ!」と気勢をあげた。年末までにどこまで決着できるのだろうか。
◎基礎年金3割底上げ案提示 安定財源の確保課題―厚労省:時事ドットコム →今年は年金改革も並行して議論されている。今後、就職氷河期で非正規雇用になった人たちの年金が大幅に減り、困窮する高齢者が増える可能性がある。基礎年金の引き上げが不可欠だが、ここでも財源が問題だ。今年は働く高齢者の年金減額緩和、高所得者の保険料増額も議論されている。年金も盛りだくさんだ。
◎共同通信「“生稲氏が靖国参拝”は誤った報道」訂正しおわび | NHK →共同通信が誤報を認めた。生稲氏が靖国神社を参拝したという報道で、韓国側が佐渡金山の追悼式に不参加を決めたので、影響は小さくない。参拝姿を見た報告があったが、本人への確認をしておらず、勘違いだったというから甘い取材だった。
◎池袋暴走事故の飯塚幸三受刑者が刑務所で死亡…妻子亡くした松永拓也さん「彼は深い後悔を滲ませていた」 : 読売新聞 →大きな関心を呼んだ池袋暴走事故。運転していた旧通産省工業技術院長(93)が刑務所で亡くなった。「上級国民」の言葉も生まれたが、被害者側は「複雑な思い。未来の糧にしたい」とコメントした。高齢者運転のあり方という問題提起を生かしたい。
◎HIS子会社 雇用調整助成金を不正受給の疑い 東京労働局が調査 | NHK | 東京都 →HISの子会社で雇用調整助成金の不正受給の疑いが浮上した。来月予定していた決算発表を延期し、グループ各社を調査するというから、広がる可能性もあるようだ。
*** 「今日の名言」
◎三島由紀夫(小説家。1970年11月25日死去、45歳)
「崇高なものが現代では無力で、滑稽なものにだけ野蛮な力がある」 「力を持たない知性なんて、屁の役にも立たない」 「好奇心には道徳がないのである。もしかするとそれは人間の持ち得るもっとも不徳な欲望かもしれない」 「やたらと人に弱みをさらけ出す人間のことを、私は躊躇なく無礼者と呼びます」 「男の虚栄心は、虚栄心がないように見せかけることである」 「空虚な目標であれ、目標をめざして努力する過程にしか人間の幸福が存在しない」 「3000人と恋愛をした人が、1人と恋愛をした人に比べて、より多くについて知っているとはいえないのが、人生の面白味です」 「センスとは相手の気持ちを読みとること」 「個性は、はじめは醜い、ぶざまな恰好をしているものだ」 「あらゆる文章は形容詞から古くなっていく」 「人間、正道を歩むのはかえって不安なものだ」 「本当の美は人を黙らせる」 「どうも日本人は、改革の情熱よりも、復興の情熱に適しているところがある」
*** 今週の教養 (小説読本②)
◎主題の発見 私が一つの長編小説を書くときの創作方法は次のようである。第一は主題を発見することである。小説が「珍しい材料」を料理して出来上がると思っている人は世間にまだずいぶん多く、中にはある題材を提供してくれて、いつまでたっても私がそれを小説化しないのに腹を立てている人もいる。
材料はどこにでも転がっているのである。ただ、ある時点における私の内的な欲求に、ぴったり合う材料というものはなかなか見つからない。私たち小説家は、懐中電灯を手にして暗闇の道を探し歩いている人のようなものだ。あるとき、路上のビール瓶のかけらが、懐中電灯の光りを受けて強くきらめく。その時私は、材料とともに主題を発見したのである。
ある材料が私に及ぼす魅惑は、初めのうちはなぜそれがそんなに魅力があるのかまるで分からないが、無意識のうちに、その時の私の内的欲求がちょうどそれに相応するものを、その材料の中に見つけ出しているからである。その不可解な魅惑は、材料自体の属性であるというよりも、私自身の内的欲求がそこへ投射されたものである。私はそこに、我知らず、ひとつの「主題」を発見したのである。
私はしかし、その主題をあいまいな未発見の形のままにしておいて、直ちに制作に取り掛かるということはほとんどない。まずその材料を吟味し、ふるいにかけ、エッセンスを抽出しようと骨折る。そして自分が無意識にそれに惹かれていた気分を徹底的に分析して、まずすべてを意識の光りの下へ引きずり出す。材料を具体性から引き離し、抽象性まで煮詰めてしまう。その作業は同時に、主題を自分に引き寄せ、自分を徐々に主題に同一化してゆく作業である。それには時間がかかり、短くて半年、長ければ数年を要する。その過程で、自分がどうしてもその抽象化された主題に同一化することができなければ、制作を放棄する他はない。
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速報→ イスラエルとレバノンが停戦合意 アメリカ バイデン大統領が演説で発表 | NHK | アメリカ →イスラエルとヒズボラが停戦で合意し、バイデン大統領が発表した。米仏が動いていた。対決一辺倒から緊張緩和に向かえば朗報だが、ネタニヤフ首相はイランとの対決に言及しており、楽観はできない。
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***デイ・ウォッチ(26日)
◎10%の対中追加関税表明 麻薬流入に対抗、カナダ・メキシコには25%―トランプ氏:時事ドットコム →公約通り、関税引き上げをぶち上げた。ディールの側面もあるだろうが、産業・雇用政策ではなく、移民・麻薬対策の狙いだ。実施されれば、影響は大きい。高関税は物価が上昇し、国内外で得をする人はほとんどいない。関税戦争はブロック経済による分断を進め、戦争の誘因にもなる。一方、議会乱入事件などの起訴が取り下げられたというが、釈然としない。憲法で決まっているという。「法の下の平等はないのか」「大統領なら何でもいいのか」と言いたくなる→検察がトランプ氏への起訴取り下げ求める 議会乱入事件など | NHK | トランプ次期大統領
◎与野党、政活費廃止で一致 企業献金禁止で隔たり―政治改革協議開始、行方不透明:時事ドットコム →政治改革をめぐる初協議があり、企業団体献金が与野党対立の焦点になってきた。政策活動費の廃止では一致。野党が企業献金禁止で一致すれば、自民党を数で押し切ることも可能だが、ここでも国民民主がカギを握りそうだ。投票権を持たない企業・団体の献金は、根本的に矛盾だろう。
◎小型ロケット「イプシロンS」燃焼試験で爆発 火災発生 去年に続き2回目 JAXA状況調べる 種子島宇宙センター | NHK | 宇宙 →主力ロケット「イプシロンS」の燃焼試験が、また失敗した。去年7月に秋田県で行われた試験では、57秒後に爆発したが、今回は49秒後だった。スペースXでロケット事業を成功させているイーロン・マスクはすごいと感じてしまう。
◎アマゾンジャパンに立ち入り ECサイト出品で独禁法違反か―公取委:時事ドットコム →巨大IT企業への風当たりが世界的に厳しい。公取委はECサイトの出品をめぐって独禁法違反の疑いを持っているが、これまで2回立ち入り調査をしており、その他でも同様の事例がたくさんあるはずだ。競争なき独占企業は必ず消費者の利益を軽視する。当局だけでなく消費者の監視も必要だ。
*** 「今日の名言」
◎親鸞(浄土真宗の宗祖。1262年11月28日死去、89歳)
「どのような悪人でも、念仏だけで往生できる」 「1人でいて悲しいときは2人でいると思いなさい。2人いても悲しいときは、3人いると思いなさい」 「明日があると思っていると、桜の花が今晩じゅうにはかなく散ってしまうように、機会を失うものだ」 「非人(乞食など下層階級の人)を差別する者こそが、真の意味での非人である」 「善人ですら極楽浄土へ行くことができるのだから、まして悪人が行けるのは当然のことである」 「煩悩という色眼鏡をかけて物事を見ている私たちは、阿弥陀如来の救いのお働きに気付くことができないが、救おうとしてくださる広大な慈悲は怠ることなく、この私にも向けられている」 「人間というのは、契機がなければ1人の人間だって殺せない。だが、契機がありさえすれば、100人、1000人、殺したくないと思っていても、殺すこともあるのだ」 「ただ念仏のみが、真実の言葉である」
*** 今週の教養 (小説読本③)
◎環境を研究する 第二は環境を研究することである。私はこの材料ないし主題で小説を書くことに決めた。次の作業は一度抽象化された主題を、できるだけ精密な具体性の中にひたす作業である。かなり低級な作業で、できる限り人の話を聞き、足を使い、どんな小さな具体性をも見逃さないように再読する。ニュース系の小説であれば、裁判記録や警察の調書まで調べ上げ、全く架空の物語であっても、主要な登場人物に具体性を与えるために、その職業の細目、生活の細目を念入りに調べ上げる。その人物が社員であれば、該当する会社に頼んで1日オフィスの椅子に座らせてもらったりする。
この段階で私がもっとも力を入れるのは、風景や環境のスケッチである。我々は日常生活で自分の周囲の人物にそれほど綿密な注意を払わない。したがって、ある地方の職業人の話をいかにつぶさに聴いても、その生活感覚はつかめても、すでに彼自身にとって慣れっこになっている環境の影響力は具体的につかめない。小説がフィクションなるのはまさにこの点であって、実際の生活にあっては鈍磨している環境の描写を精密にして、読者がその環境描写を通じて登場人物への感情移入ができるように手助けしてやらなければならない。
私はそのために小説の背景となる場所をゆっくりと歩き周り、どんなつまらぬ人物にも注意を向け、文字でスケッチを取る。その時の私の印象は、未知の場所であるから新鮮であり、そこに住む人たちの印象とは全く違う。小説は新鮮な印象と鈍麻した生活感覚とを、なんとかうまく縫い合わせ、配合させて、そこに現実より強烈な現実を作り出さなければならない。この2つのもののバランスがうまくとれた時に、小説はリアリティ獲得するものである。参考書を買い込むのもこの段階である。述語、方言、特殊社会の用語、隠語などは、作品の世界の自律性を保証する大切な要件であるから、この段階でよく研究しておかなければならない。
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***デイ・ウォッチ(27日)
◎イスラエルとレバノン 停戦合意発効 中東地域の緊張緩和が焦点 | NHK | イスラエル・パレスチナ レバノンでの停戦受け ガザ地区で停戦の動き進展するか | NHK | イスラエル・パレスチナ →イスラエルとレバノン・ヒズボラの停戦合意で、住民は大歓迎している。しかし、懐疑論もある。2006年にも停戦したが、再び戦闘になったからだ。次はガザ・ハマスとの停戦が期待されるが、目立った進展はまだない。トランプ氏の登場もあって、バイデン大統領が最後の気力をふり絞っている。
◎公取委、アマゾンの出品者にアンケート実施 値下げ強要疑いの問題で:朝日新聞デジタル →巨大IT企業との取引で煮え湯を飲まされている会社や個人は多い。公取委がアマゾンとの取引でアンケート調査を実施するというが、いいアイデアだ。もっと広い分野で個人も対象にすれば、多くの苦情が集まるだろう。独占には様々なレベルでの圧力も有効だ。
◎検事正、袴田さんに直接謝罪 「つらい心持ち、大変申し訳ない」―再審無罪確定で・静岡地検:時事ドットコム →静岡県警本部長に続いて、静岡地検検事正が袴田さんに頭を下げた。「犯人視することはない」と言ったが、検事総長談話を否定したのかどうか。「いまさら検察にどうこう言うつもりは毛頭ございません。無罪が確定して今は大変喜んでおります」という姉の秀子さんのコメントが重い。
◎保有国債、含み損13.6兆円 金利上昇で過去最大―日銀中間決算:時事ドットコム →日銀がアベノミクスの副作用の打撃を受けている。国債を買い込んで財政支援や金融緩和をしたのはいいが、いつまでもできない。金利を上げ始めたところ、国債の含み損が拡大している。バズーカを放った黒田前総裁は退任して、もう知らない。後任の植田総裁が苦しんでいる。
◎女川原発2号機 運転差し止め訴訟 1審に続いて住民側訴え退ける判決 仙台高裁 | NHK | 各地の原発 →原発の避難計画の実効性について、自治体の本音は懐疑的だ。浜岡原発では東京都まで自動車で避難する自治体があるが、単純計算で東名高速は数珠つなぎで、東京での駐車場確保は困難だ。仙台高裁は「避難計画で対処できない事象が発生する具体的な危険性を立証していない」と原告側の訴えを退けた。住民感覚とは乖離している。
◎東京 文京区 マンション火事は猪口邦子議員の自宅 2人死亡 亡くなったのは夫と長女か 確認を進める | NHK | 東京都 →東京・文京区にある猪口邦子参院議員の自宅マンションで火災があり、夫の猪口孝氏と長女が亡くなった模様だ。孝氏は著名な国際政治学者で、東大名誉教授。何があったのだろうか。
*** 「今日の名言」
◎白洲次郎(実業家、吉田茂側近。1985年11月28日死去、83歳)
「日本でいけないのは、すぐ人の脚をひっぱることだね」 「西洋人とつき合うには、すべての言動にプリンシプルが絶対に必要である」 「我々は戦争に負けたが、奴隷になったのではない」 「今の日本の若い人に足りないのは勇気だ。そう言ったら損する、ってことばかり考えている」 「熱意だよ。日本でも明治維新の時の政治家とか実業家は、熱意があったからあれだけの仕事ができたんだ」 「我々の時代に馬鹿な戦争をして、元も子もなくした責任をもっと痛烈に感じようではないか」 「(日本国憲法制定をめぐるGHQとの攻防の際、若き日の大蔵省官僚・宮澤喜一に対して)自分は必要以上に(主張を)やっているんだ。占領軍の言いなりになったのではないということを国民に見せるために、敢えて極端に行動しているんだ。為政者があれだけ抵抗したということが残らないと、後で国民から疑問が出て必ず批判を受けることになる」 「マスコミの論調をそのまま世論だとお思い召さるな。国民はそんなに軽率でもないし、一方的でもありません」
*** 今週の教養 (小説読本④)
◎構成を立てる 第3は、構成を立てることである。これはかなり機械的な作業で、最初に細部に至るまで構成がきちんと決まることはありえず、しかも小説の制作の過程では、細部がそれまで眠っていた、ある大きなものを目覚めさせ、それ以後の構成の変更を迫ることが往々にして起こる。
従って構成を最初に立てることは、一種の気休めにすぎない。この頃からいまだ書かれざる小説は、すでに何かつるつるした円球のような形を持ってきており、その入り口や出口はなかなか見つからない状態になる。それを無理に構成しようとする努力は、多くは徒労に終わり、大雑把に序破急を決め、大きな波形を想定しておく程度にしておいた方がよい。 私はしかしどちらかというと演劇的な構成を愛するので、序の段階から徐々に葛藤が始まり、クライマックス至る構成は、大抵の私の小説に共通なものである。少年時代にラディゲの「ドルヂェル伯の舞踏会」から、クライマックスの極度の強め方を学んだ私には、平面的な展開を喜ばない癖が頑固に残っている。ラディゲのクライマックスの設定は、はなはだ建築的なものであり、私は最初の構成からクライマックスについてだけは、絶えず計算をし続けている。とにかくそれは、高まらなければならない。最後には天井に手が届かなくてはならないのだ。そのためにはどこで膝を曲げ、どこで腰のバネを利かして飛び上がるか考える。
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***デイ・ウォッチ(28日)
◎臨時国会 召集 少数与党 補正予算案や政治資金規正法の再改正などで論戦へ | NHK | 国会 →臨時国会が始まり、きょうは石破首相の所信表明演説がある。少数与党になり、新しい政治文化をつくることができるかが焦点だ。自民一強は、政府優勢・国会軽視だったが、もう過去の話だ。与党も、野党も、有権者も、旧来の感覚では政治を再生できない。国会中心の時代は、民権の時代でもある。
◎参院政倫審、27人が出席希望 自民、年内完了目指す―裏金事件:時事ドットコム →衆議院ではあれだけ嫌がったのに、参院では全員が政倫審に出席を希望している。当然、来夏の参院選を意識しての動きだ。みそぎの手段か、真相究明の場か。自民党は年内開催を希望しているが、与野党の政策協議の政局も絡んで曲折がありそうだ。
◎大阪の繊維大手「ユニチカ」祖業の繊維事業から撤退を正式発表 | NHK | 小売業 →ユニチカの前身は、1964年の東京五輪で女子バレーを制した「東洋の魔女」のニチボー(貝塚)。経済に栄枯盛衰はつきものだが、戦後経済を引っ張った繊維は完全な斜陽産業だった。銀行が430億円の債権放棄に応じ、官民ファンドが支援する。
◎住商、米ファンドが名乗り ヨーカ堂売却、1次入札 選定作業に着手・セブン&アイ:時事ドットコム →ヨーカ堂グループ売却に住友商事や米国ファンドが名乗りを上げた。2026年2月までに売却というから息の長い話だ。グループにはロフト、赤ちゃん本舗もある。住商はスーパーのサミットを展開しており、小売業の足場を強化できるか。セブンイレブンの買収もからんで複雑な展開になりそうだ。
◎読売333、米紙「TOPIXなどに代わる選択肢として新たな株価指数」 : 読売新聞 →読売新聞が新しい株価指数「読売333」を発表した。日経平均やTOPIXは株価や時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすいが、こちらは構成銘柄の値動きを均等に反映する。連動した金融商品ができれば、投資家の選択肢が広がる。
*** 「今日の名言」
◎水木しげる(漫画家。2015年11月30日死去、93歳)
「好きなことに情熱を注いで、人生を生き切ること」 「やりがいや充実感は結局、自分が好きなことの中にしか見つからない」 「成功や栄誉や勝ち負けを目的に事を行ってはいけない」 「才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ」 「打ち込めることを真剣に探そうとすると、真面目な人たちには案外それが見つからないものです。見つけるには好奇心を大事にすればいい」 「成功しなくてもいいんです。全身全霊で打ち込めることを探すこと」 「運なんてものはない。あるのは突撃力だけ」 「本気で人を幸せにしようと思ったら、自分が傷つくことくらい覚悟しなくちゃいかん」 「金なんか、飢え死にしない程度にあったらええ」 「戦争で片腕を失っても絶望なんてしなかった。生きてるんだから」 「私が漫画で食えるようになったのは40歳を超えてから」 「まず寝ることが幸福の基本。好きなだけ眠らずして何が人間か! 仕事を減らせ」 「寝る時間を犠牲にしていた連中は、早々とあの世に行ってしまった」
*** 今週の教養 (小説読本⑤)
◎書き始める 第4に書き始めることである。書き始めるのと同時に、今までのすべての準備、すべての努力は、一旦ご破算になる。あれほど明確に手のひらにつかんでいたはずの主題は、再びあいまいになり、主題はいったん身を隠し、すべての細部に地下水のようにしみ入っていく。最後に滝になってなだれ落ちるために。
しかし、書き出す前はあれほど容易に見えたすべてのことが、何という困難で満たされてしまうことか。今までの意識的な計算のうちには、確かに自分の技量の範囲の計算も含まれていたはずなのに、これについては、我々は計画中に、知らない自分を夢見るという過ちを犯すものらしい。私は図らずも自分の技量に全然適合しない材料を選んでしまうこともある。それがこんな時になって気がつくのは、それまで夢を振り切れないからだ。しかし自分の技量の限界をよく知り、決してそれについて夢を見ない作家は、果たして幸福だろうか。
ここへきてはもう方法論もくそもない。私は細部と格闘し、言葉と戦って、一行一行を進めるほかはない。そして物語の展開に行き詰まった時、いつも私を助けるのは、あの詳細なノートに書きつけられた、文字による風景のスケッチである。それは文字を通して、それを見た時の感動を私の中によみがえらせ、今私は再びその風景に直面して、そこから何かある「具体的なもの」を取り入れるのである。それが、地下を流れながら監視している気難しい「主題」を満足させた時に、小説は再び動き始め、息を吹き返し、・・・こうして何十度、何百度となく、死からよみがえりつつ、一路、終末へ向かっていくのである。