4月28日~5月2日(教養講座:西洋哲学の名著)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年4月28日号(転送禁止)~~~

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***デイ・ウォッチ(25~27日)

消費税めぐり 立憲民主党 野田代表 “原則1年 食料品の税率ゼロ% 参院選公約に” | NHK | 物価高騰 →財政規律派の野田党首の立憲民主党が、「食料品の消費税は1年間ゼロ%」を参院選の公約に決めた。政界では消費減税の大合唱が起き始めており、埋没を恐れた政治決断と言える。いったんゼロにして戻せるのか、1年で可能か、社会保障財源は大丈夫か・・・疑問は尽きないが、参院選に向けて大きな論戦になることは確実だ。

韓国 最大野党「共に民主党」 大統領選公認候補にイ・ジェミョン前代表を選出 | NHK | 韓国 →韓国大統領選の野党候補に対日強硬派のイ・ジェミョン氏が決まった。最近は「歴史問題で争うこともあるが、経済や文化の面までそうする必要はない」と協調姿勢を見せている。与党は5月3日までに決める。選挙は6月3日で、短期決戦となる。

石破首相、ベトナム・フィリピン訪問へ「安全保障協力を一層強化したい」…羽田空港を出発 : 読売新聞 →トランプ関税の影響で、世界の陣取り合戦が始まっている。「脱米国」もにらんで、仲間づくりに入っているが、東南アジアは重要地域だ。米国から高関税を課せられて苦境が予想され、利害は一致している。習近平主席も狙っているが、石破首相も負けていられない。

トランプ氏、服装規定従わず 教皇葬儀に青いスーツ姿:時事ドットコム →ローマ教皇の葬儀は、黒のスーツとネクタイというドレスコードが決まっていたが、トランプ大統領は青いスーツとネクタイで物議をかもしている。バイデン元大統領も青いネクタイだった。超大国はルールに従わなくてもいいのだろうか。考えさせられる出来事だ。

ベトナム戦争終結から50年「ナパーム弾の少女」キム・フックさん 今も平和の尊さを訴え続ける | NHK | ベトナム →ベトナム戦争終結50年。ナパーム弾の攻撃を受けた全裸の少女が走っている、ピューリッツァー賞受賞の有名な写真がある。当時9歳の少女はカナダに亡命し、「平和を求める生存者である今の私を見てください。人を殺すのは止めましょう」と訴えている。

*** 「今日の名言」

◎堤康次郎(西武グループ創業者、国会議員。1964年4月26日死去、75歳

「全員が賛成したら、その計画は危ない」 「すべて成功するには、失敗の原因を外に求めず、己れに求めることが大切である」 「事業に役人の古手を連れて来ることは最もよくない。役人気質で事業は成り立たない。役人気質は日々生死の境を行く真剣な事業家のなすところではない」 「景気の良い時は抑えろ、不景気の時に動け」 「(20歳で事業を失敗したとき)体の格好は一人前だが、判断力は5歳ぐらいの子どもにすぎなかった」 「私は30歳になるまで、何をやっても成功はおさめなかった。だます人間をあまりにたくさん相手にしたからである。しかし、今になると、これが私のたいへんな得になった。それまでに経験した失敗は、人生観を見出すための月謝と思えば、安いものだ」 「日本が発展すれば中産階級が台頭し、リゾート地の需要が大きく高まる。だから中産階級が使えるリゾート地を開発することは、国のためになるのだ」

*** 今週の教養 (西洋哲学の名著①)

今週は西洋哲学の名著を紹介する。人名や書名は知っているが、読んだことがない人も多いだろう。デカルト、カント、ヘーゲル、ニーチェ、サルトルの著書を紹介する。いずれも難解だが、雰囲気の一端を味わうのも悪くない。

◎「方法序説」デカルト(1596-1650)。「近代精神確立の書」とされる。有名な「我思う、ゆえに我あり」の一節がある第4部から紹介する(岩波文庫)。

私は、それまで自分の精神の中に入っていたすべては、夢の幻想と同じように真でないと仮定しよう、と決めた。しかしそのすぐ後で、次のことに気がついた。すなわち、このようにすべてを偽と考えようとする間も、そう考えているこの私は必然的に何者かでなければならない、と。そして「私は考える、ゆえに私は存在する」(我思う、ゆえに我あり)というこの真理は、懐疑論者たちのどんな途方もない想定といえども揺るがし得ないほど堅固で確実なのを認め、この真理を、求めていた哲学の第一原理として、ためらうことなく受け入れられる、と判断した。

それから、私とは何かを注意深く検討し、次のことを認めた。どんな身体もなく、どんな世界も、自分のいるどんな場所もないとは仮想できるが、だからといって、自分は存在しないとは仮想できない。反対に、自分が他のものの真理性を疑うおうと考えること自体から、極めて明証的に極めて確実に、私が存在することが帰結する。逆に、ただ私が考えることをやめるだけで、仮にかつて想像したすべての他のものが真であったとしても、私が存在したと信じるいかなる理由もなくなる。

これらのことから私は、次のことを知った。私は一つの実体であり、その本質ないし本性は考えるということだけにあって、存在するためにどんな場所も要せず、いかなる物質的なものにも依存しない、と。したがって、この私、すなわち私をいま存在するものにしている魂は、身体(物体)から全く区別され、しかも身体(物体)より認識しやすく、たとえ身体(物体)がなかったとしても、完全に今あるままのものなのであることに変わりはない、と。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年4月29日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(28日)

中国の「越境弾圧」ICIJが調査公表 海外移住後も監視や脅迫 アメリカなど23の国で被害報告 中国政府は反発 | NHK | 中国 →「越境弾圧」という新しい言葉が出てきた。中国が海外で民主化活動をしている人らを23カ国で監視・脅迫していることがわかった。「異論」は社会の課題をあぶり出すが、中国政府は徹底的に封殺している。中国最大の悪弊であり、「独裁のジレンマ」を加速するだけだろう。

三菱商事、AI資格を管理職の昇格要件に 全社員必修へ – 日本経済新聞 →ついにここまで来た。三菱商事が管理職の条件にAI資格を加える。まず入社10年目ほどの社員に日本ディープラーニング協会のAI関連資格「G(ジェネラリスト)検定」の取得を義務化する。同協会はAI研究の第一人者である松尾豊東大教授や企業を中心に設立された。TOEICや簿記などに次ぐ昇格条件だ。

北朝鮮、ロシア派兵を内外に公表 正恩氏「条約発動で参戦」:時事ドットコム →北朝鮮の派兵は公然の事実だったが、はじめて北朝鮮が発表した。ロシアのクルスク州奪還がきっかけとみられる。亡くなった兵士は、ロシアの領土奪還を達成した英雄となる。プーチン大統領は停戦交渉を有利に進めるため、奪還が至上命題だった。5月8日から3日間の停戦を発表。交渉が動く可能性がある→ロシア 「戦勝記念日」にあわせ来月8日から3日間 停戦と発表 | NHK | プーチン大統領

自民幹事長 中国の国際交流団体トップにパンダ貸与継続 求める | NHK | 日中関係 →「パンダを下さい!」。超党派の日中友好議員連盟が訪中し、中国側に訴えた。パンダは日中友好の政治的シンボル。中国側はどう応じるか。トランプ大統領の登場で、対日姿勢が協調的になっている。パンダは中国の真意を判断するリトマス試験紙になるかもしれない。

西郷、メジャー制覇で米初V 日本女子が全5大会制覇―シェブロン女子ゴルフ:時事ドットコム →西郷真央(23)がメジャー初制覇。日本女子では史上5人目、通算6度目。メジャーは5大会あるが、これで日本勢がすべて制覇した。歴史的な優勝だ。西郷は千葉県船橋市生まれで、ジャンボ尾崎が設立したゴルフアカデミーの1期生。尾崎からは「西郷(せご)どん」と呼ばれているという。

*** 「今日の名言」

◎松下幸之助①(パナソニック創業者。1989年4月27日死去、94歳

「商売とは、感動を与えることである」 「誠実に謙虚に、そして熱心にやることである」 「世のため、人のためになり、ひいては自分のためになるということをやったら、必ず成就します」 「才能なきことを憂うる必要はないが、熱意なきことを恐れなくてはならない」 「人がこの世に生きていく限り、やはり何かの理想を持ちたい。希望を持ちたい。それもできるだけ大きく、できるだけ高く。こけたら、立ちなはれ」 「失敗すればやり直せばいい。やり直してダメなら、もう一度工夫し、もう一度やり直せばいい」 「万策尽きたと思うな。自ら断崖絶壁の淵に立て。その時初めて新たなる風は必ず吹く」 「失敗の多くは、成功するまでに諦めてしまうところに原因がある。最後の最後まであきらめてはいけない」 「逆境もよし、順境もよし。要はその与えられた境遇を素直に生き抜くことだ」 「10のサービスを受けたら11を返す。その余分の1のプラスがなければ、社会は繁栄していかない」

*** 今週の教養 (西洋哲学の名著②)

◎「純粋理性批判」カント(1724~1804)。ドイツの哲学者で、理性に重きをおく啓蒙思想の完成者。序言と第一部から引用する(筑摩書房)。

【序言】Ⅰ純粋な認識と経験的認識の区別について  我々の認識はすべて経験とともに始まる。そのことには、みじんも疑う余地がない。というのは、認識能力が対象によって呼びさまされて働かないとすれば、他に何によって呼び覚まされるというのであろうか。対象は我々の感覚を刺激し、一方では自ら観念をもたらし、また一方では我々の知性活動を作動させる。その知性活動は、諸観念を比較し、結合し分離し、そのようにして完成的な印象の生の素材を対象の認識に仕上げるのである。そして、この対象の認識が経験と呼ばれるものである。それゆえ、時間的な順序で言えば、我々におけるどんな認識も経験に先立つものではなく、すべての認識が経験とともに始まるのである。

Ⅰ 超越論的原理論  第一部 超越論的感性論  どのような仕方で、またどのような手段によって認識が対象に関係するにせよ、認識が対象に直接関係するのは直観をとおしてであり、手段としてのあらゆる思想が向かう先も直観である。しかし、直観は対象が与えられる限りでのみ生じる。このことはしかし、さらに少なくともわれわれ人間にとっては、対象が我々の心的能力をある仕方で触発することによってのみ可能なことである。

われわれが対象に触発される仕方を通して観念を得る能力(受容性)、それを感性という。それゆえ感性を介して、われわれに対象が与えられるのであり、感性のみが我々に直観を供給するのである。一方、知性によって対象は考えられ、知性から概念が生じる。しかし、思考はすべて、じかに(直接的)にであれ、めぐりめぐって(間接的に)であれ、とどのつまりは直観に関係しなければならない。すなわち、われわれ人間にあっては、感性に関係しなければならない。というのは、それ以外には、われわれに対象は与えられようがないからである。

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***デイ・ウォッチ(29日)

日米関税交渉、本格化へ 農産物輸入拡大案など浮上―赤沢再生相、30日訪米:時事ドットコム →赤沢再生相がきょう30日、2度目の日米交渉のため訪米する。焦点になりつつある農産物と米国車の輸入で「おみやげ」を用意しているようだ。しかし、相手がどう出てくるかわからない。日本得意の寝技に持ち込めるか。トランプ政権は、就任100日の29日、国内生産の自動車に対する部品関税の軽減を打ち出した→ トランプ政権 アメリカ国内で生産の自動車メーカーに輸入部品への関税負担の軽減措置 外国のメーカーも対象 | NHK | 関税

フジテレビの取材パス没収、独禁法違反の疑い 野球機構を公取委調査:朝日新聞 →日本のプロ野球と米大リーグの競争が、独禁法違反を生む事態になった。日本野球機構(NPB)は、日本シリーズ中に大リーグダイジェスト報じたフジテレビの取材パスを没収したが、公取委が問題視している。最終判断はこれからだが、高圧的な対応はすべきではないという教訓か。

スペインとポルトガル大規模停電 復旧も鉄道遅延など影響続く | NHK | スペイン →スペインとポルトガルが停電で大混乱した。便利な現代社会は、ちょっとしたトラブルで機能不全となる。フランスから電力供給を受ける送電線で不具合があったようだが、正確な原因がわからない。日本にも参考になる教訓もありそうだが、原因不明はつらい。

与党勝利、カーニー首相続投 「反トランプ」で猛追かわす―過半数は微妙・カナダ総選挙:時事ドットコム →カナダの総選挙で、カーニー首相の与党の勝利が決まった。カーニー氏はトランプ大統領への強硬姿勢が特徴で、大統領を軟化させて注目された。勝利宣言では「トランプ大統領はわれわれを支配しようとしている」と強調。米加対立の行方は今後も焦点だ。

尾上菊之助さん、大名跡「尾上菊五郎」を八代目として襲名…歌舞伎座で手打式 : 読売新聞 →尾上菊之助さんが8代目尾上菊五郎を襲名した。父の7代目もそのまま名乗るので、菊五郎が2人存在することになる。300年続く伝統ある名前で、儀式はいつもなら関係者のみだが、今回は約1900人のファンに披露した。5月の歌舞伎座は襲名披露公演となる。母は富司純子、姉は寺島しのぶ。

*** 「今日の名言」

◎松下幸之助②(パナソニック創業者。1989年4月27日死去、94歳

「とにかく考えてみること、工夫してみることである。そして、やってみることである。失敗すればやり直せばいい」 「どんなに悔いても過去は変わらない。どれほど心配したところで未来もどうなるものでもない。いま、現在に最善を尽くすことである」 「失敗することを恐れるよりも、真剣でないことを恐れたい」 「売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永久の客を作る」 「無理に売るな。客の好むものも売るな。客のためになるものを売れ」 「志低ければ、怠惰に流れる」 「人には燃えることが重要だ。燃えるためには薪が必要である。薪は悩みである。悩みが人を成長させる」 「現在与えられた今の仕事に打ち込めないような心構えでは、どこの職場に変わっても、決していい仕事はできない」 「すべての人を自分より偉いと思って仕事をすれば、必ず上手くいくし、とてつもなく大きな仕事ができる」 「学ぶ心さえあれば、万物すべてこれ我が師である」

*** 今週の教養 (西洋哲学の名著③)

◎「精神現象学」ヘーゲル(1770~1831)。ドイツ観念論の完成者と言われ、この著書は哲学史上きわめて難解とされる。感覚というもっとも身近な段階から数知れぬ弁証法的過程をへて、最高次の「絶対知」へ至る過程を考えた(ちくま学芸文庫)。

【序論】「認識=道具/媒体」説とその困難  自然な考え方(フオアシユテルング)によれば、哲学にあたっては、異なるそのものに、すなわち真に存在するものを現実に認識することへと進むに先立って、必要となる事柄がある。それはつまり、あらかじめ認識に関して理解しておくことである。その場合認識は道具であって、それを通じて絶対的なものが我がものとされるとみなされているか、あるいはそれを手段であり、これを介して絶対的なものが見てとられる運びとなる、と考えられているのである。

このような懸念を認識についてあらかじめ抱くのは正当なところであるように見える。それは一つには、感性、悟性、理性などさまざまな種類の認識が存在し、その内のあるものは他のものと比べて、この真に存在する絶対的なものの認識という究極的目的を到達しようとする際により適切なものであろうから、その限りではまた、その認識の種類の間で選択を誤ることがありうる以上、その選択について決定しておく必要があるからである。

さらにもう一つには、認識とは一定の種類のものであり、特定の範囲を伴った能力のことであるから、その本性と限界とをより詳細に規定しておかなければならない、ということである。そうしなければ、どちらの場合についても、真理の天界の代わりに、誤謬の雲海がつかまれることになるだろう。

こういった懸念は、おそらくは一箇の確信にさえ転じるに違いない。要するにしまいには、自体的(アン・ジッヒ)に存在するものを、認識を通じて意識が獲得しようとする企てのすべてが、その概念において矛盾しており、認識と絶対的なものとの間には、両者を端的に分断する境界があるとされてしまうのである。

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***デイ・ウォッチ(4月30日)

フジ・メディアHD 初の最終赤字見通し 金光社長退任へ | NHK | テレビ局 →フジ・メディア・ホールディングスは、最終損益が初の赤字(201億円)になると発表した。会長候補の金光社長が3人の社外取締役とともに退任し、役員定年制などの改革案も決めた。米国の投資ファンドや旧村上ファンド系など抜本改革を求める役者が揃い始めており、尻を叩かれた形。フジ改革は大胆に進むか、混乱に陥る可能性が大きくなった。

アメリカGDP 1月~3月 マイナス0.3% 12期ぶりマイナスに トランプ政権の関税措置による影響が色濃く反映 | NHK | アメリカ →米国のマイナス成長は3年ぶり。関税引き上げを見込んだ輸入の急増が主な要因で、景気減速のサインではないという意見の一方、景気を引っ張ってきた個人消費に陰りが出ているという見方も出ている。関税引き上げと米国景気の関係は今後も焦点だ。

トランプ大統領 就任100日 支持者集会で成果をアピール | NHK | トランプ大統領 →トランプ大統領が就任100日で演説。世界からは大ブーイングだが、「私たちの国の歴史上、最も成功した政権の最初の100日間を祝うためにここにいる」と言える根性が信じがたい。キリスト教福音派らトランプ支持層は「事実より信仰」とばかり大絶賛している。これが危うい米国の現実だ。

泊原発3号機“事実上の合格”審査書案取りまとめ 原子力規制委 | NHK | 各地の原発 →安全審査に最長の11年もかかっていた北海道の泊原発が、事実上の合格となった。北海道電力は地震や津波の評価が不十分と「叱責」されていた。北海道では半導体のラピダスやデーターセンターの建設で、電力が逼迫しかねないという懸念がある。「安全よりビジネス優先」でなければいいが・・・

決算:中国企業が初の連続減益 24年、不動産の万科1兆円赤字 – 日本経済新聞 →有料記事。中国企業の不振が長引いている。2年連続の減益は初めて。不動産バブルの崩壊や米中対立で、中国にとって経済はアキレス腱になっている。世界情勢にも影響を与える低迷だ。

*** 「今日の名言」

◎チャールズ・ケーディス(米陸軍大佐、GHQ民政局次長として憲法制定に関与。1947年5月3日、日本国憲法施行)

「米軍側としては、日本政府が新憲法を受け入れない場合には国民投票にかけろという圧力をかけたが、日本側の受け入れには選択の余地はないとみていた」 「戦勝国には天皇を東京裁判(極東軍事法廷)で裁くべきだとの意見が強かった。だが、マッカーサー元帥は、天皇家(ダイナスティー)は保持されるべきだと判断していた。ここから非戦条項を憲法本文に盛り込み、各国の理解を得ようとの考えが生まれた」 「憲法9条は、天皇制維持をほかの戦勝国に納得させるために加えられたと言っていい」 「日本政府から『戦争放棄』を憲法前文に盛り込んだらどうかとの提案もあった。しかし、GHQはこれを拒否した。『戦争放棄』は第1条にしても良いほどだった。しかし、天皇への敬意もあって、第1条は『象徴天皇としての地位』とした。だが、第1条と第9条はいわば一体であり、不可分のものだった」

*** 今週の教養 (西洋哲学の名著④)

◎「ツァラトゥストラはこう言った」ニーチェ(1844~1900)。 有名な「神は死んだ」という言葉で表されたニヒリズムの確認から始め、あるがままの人間存在の意味を考えた。

【第1部】ツァラトゥストラの序説1  ツァラトゥストラは、30歳になったとき、その故郷を去り、故郷の湖を捨てて、山奥に入った。そこで自らの知恵を愛し、孤独を楽しんで10年ののちも倦むことを知らなかった。しかしついに彼の心の変わる時が来た。――ある朝、ツァラトゥストラはあかつきとともに起き、太陽を迎えて立ち、次のように太陽に語りかけた。

「偉大なる天体よ!もしあなたの光を浴びる者たちがいなかったら、あなたは果たして幸福といえるだろうか。この10年というもの、あなたは私の洞穴をさして登ってきてくれた。もし私と、私の鷲と蛇とがそこにいなかったら、あなたは自分の光にも、この道筋にも飽きてしまったことだろう。しかし、私たちがいて、毎朝あなたを待ち、あなたから溢れこぼれるものを受け取り、感謝して、あなたを祝福してきた。見てください。あまりにもたくさんの蜜を集めたミツバチのように、この私もまた自分の貯えた知恵を煩わしくなってきた。今は知恵を求めて差し伸べられる手が、私には必要となってきた。私は分配し、贈りたい。人間の中の賢者たちに再びその愚かさを、貧者達に再びおのれの富を悟らせて喜ばせたい。

そのために私は下へ降りて行かなければならない。あなたが、夕方、海の彼方に沈み、さらにその下の世界に光明をもたらすように。あまりにも豊かなる天体よ!私も、あなたのように没落しなければならない。私が今からそこへ降りて行こうとする人間たちが言う没落を、果さなければならぬ。では、私たちを祝福してください。どんな大きな幸福でも妬まずに見ることのできる静かな眼であるあなたよ!満ちあふれようとするこの盃を祝福してください。その水が金色に輝いてそこから流れ出し、いたるところにあなたの喜びの反映を運んでいくように!御覧なさい!この杯は再び空になろうとしている。ツァラトゥストラは再び人間になろうと欲している」

――こうしてツァラトゥストラの没落は始まった。

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◎お知らせ→次回のメルマガは7日朝発行です。5、6日は祝日なので、お休みします。ご了承をお願いします。

***デイ・ウォッチ(1日)

大阪 西成区 小学生7人はねられけが 運転の男を殺人未遂疑いで逮捕 1人が大けが 6人が軽傷 | NHK | 事件 →「すべてが嫌になった」という東京に住む28歳の無職の男が、大阪でレンタカーを借り、小学生を次々はねた。「人を殺そうと思った」と話している。詳しいことはまだわからないが、現代の闇を映すような事件だ。

アメリカとウクライナ 鉱物資源合意文書に署名 安全の保証言及せず  | NHK →軍事支援の見返りにレアアースの権益を手にしたアメリカ。とりあえず異例のディール成立だ。安全保障を資源獲得に結びつける手法は、トランプ政権ならでは。問題はこれが停戦につながるか、ウクライナの利益につながるか。見通しは甘くない。

マスク氏、トランプ氏らに別れ「一緒に仕事ができて光栄だった」…低迷のテスラ経営に集中 : 読売新聞 →やはり野に置け、れんげ草。イーロン・マスク氏は政府に入ったのが間違いだった。自由な民間と、手続きや公重視の官庁は違う。テスラ車の売れ行き鈍化、株価低迷という代償は大きかったはずだが、「仕事ができて光栄だった」という。トランプチームはいつもお手盛りだ。

李在明候補の無罪判決破棄 審理差し戻し、大統領選へ逆風―韓国最高裁:時事ドットコム 韓国首相辞任、大統領選に 2日に正式表明の見通し:時事ドットコム →韓国野党の大統領候補の無罪判決が破棄され、審理差し戻しになった。6月の大統領選挙には逆風だ。李在明氏は5件の刑事事件を抱え、「司法リスク」が語られていた。過酷な韓国政治を改めて実感するが、一定の支持がある韓国首相が出馬する見通しになった。激しい選挙戦が予想される。

天皇ご一家の生活費から侍従が360万円盗む…宮内庁が20代職員を懲戒免職 : 読売新聞 →侍従の窃盗という前代未聞の事件。カネに困り、生活費にあてていたという。侍従は公務員だから、誰でもなれるのだろうか。身元調査のようなことをするのだろうか。実態を知るには、週刊誌報道を待つしかないか。

*** 「今日の名言」

◎嘉納治五郎(柔道家。1938年5月4日死去、77歳

「自分の心に生じる欲望に打ち勝つのは敵に勝つよりむずかしい」 「勝って勝ちにおごることなく、負けて負けに屈することなく、安きにありて油断することなく、危うきにありて恐れることなく、ただただ一筋の道を踏んでゆけ」 「人生には、『なに、くそ』という精神が何より必要だ」 「何事も初めからうまく行くことは少ないものだ」 「人生はいろいろな難関に出くわす。難関が次から次へとやってくるから面白いのだ。恐れをなしてはいけない」 「柔を能く、剛を制す」 「自他共栄(相手を敬い、助け合って、己だけでなく他人と共に栄えること)」 「精力善用(自らの心身の力を社会に対して善い方向に最大限に用いること)」 「時間をもっとも有効に利用した者に、もっとも立派な仕事ができる」 「教育者自身が教育の大事なることを信じ、教育を通して国家社会に働いてこそ、教育者の活動も有意義である」

*** 今週の教養 (西洋哲学の名著⑤)

◎「存在と無」サルトル(1905~1980)。   人間の意識のあり方=実存を精緻に分析し、存在と無の弁証法を問い極めたサルトルの主著。根源的な選択を見出す実存的精神分析、人間の絶対的自由の提唱などで世界に大きな影響を与えた(ちくま学芸文庫)。

【緒論】存在の探求 Ⅰ現象という観念  現代思想は、存在するものを、そのあらわす現われの連鎖に、還元することによって、著しい進歩を遂げた。それによって、哲学を悩ましているさまざまの二元論を克服し、これにかえるに現象の一元論をもってしようというのが、その狙いであった。果たしてそれは成功したであろうか?

まず存在するものにおいて内面と外面と対立させる二元論から、我々が解放されたことは確かである。もし我々が外面という言葉で、対象の真の本性をまなざしから隠すような表皮を意味するならば、存在するものの外面などは、もはや存在しない。また、その真の本性なるものも、もしそれが、当の対象の内面にあるがゆえに、予感し想定することはできても決して到達されることのないような、事物の秘められた実在であると解されるならば、そういうものはもはや存在しない。存在するものを表わすかかる現われは、内部でもなければ、外部でもない。それらの現われはすべて互いに等価である。それらの現われはすべて、他の諸々の現われを指し示すのであって、それらのうちのいずれも、特権を与えられてはいない。

例えば、力というようなものにしても、そのもろもろの効果(加速度、偏り、等々)の背後に隠されている形而上学的な、未知の種類の働きであるのではない。力はその諸効果の総体なのである。同様に電流も、隠れた裏面を持っているわけではない。電流はそれを表している物理・化学的な作用(電気分解、炭素線の白熱、電流計の指針の移動、等々)の総体より以外の何ものでもない。

これらの作用のいずれも、それだけは電流を顕示するのに十分ではない。しかしその作用は、それの背後にあるような何ものをも指示しはしない。その作用は、それ自身と、全体的な連鎖とを指示するのである。したがって、明らかに、存在と現象の二元論は、もはや哲学において市民権を得ることができないであろう。現われは、もろもろの現われの全連鎖を指し示すのであって、存在するものの全存在を独占するような隠れた実在を指し示すのではない。