6月23~27日(教養講座:企業版生成AI活用の基本)

~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年6月23日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(20~22日)
◎アメリカ イランの3つの核施設攻撃 本土攻撃は初めて トランプ大統領「目的はイランの核濃縮能力の破壊」 | NHK | 米イラン対立 イラン攻撃B2、本土から直行 グアムに移動せず―米紙:時事ドットコム →アメリカがイランの核施設を攻撃した。バンカーバスターを搭載したB2ステルス爆撃機を米本土から直行。強硬なイスラエルに引きずり込まれた。イランが核開発を断念すれば目的を達するが、報復の構えを示している。戦闘を始めるのは簡単だが、終わるのは難しい。アメリカとベトナム、アフガニスタン、イラクとの戦いは、泥沼化した。同じ轍を踏まない保証はない。
◎核施設攻撃「修復可能」 放射能レベル上昇確認されず:時事ドットコム イラン、対米報復必至 基地攻撃やNPT脱退、ホルムズ封鎖も:時事ドットコム →焦点はイランの対応だ。「核施設は修復可能」としており、甚大な打撃を強調する米国とは差がある。報復は中東の米国基地への攻撃やNPT脱退などが予想される。イランは相当ダメージを受けているはずで、「窮鼠猫を噛む」暴発もゼロではない。
◎【米のイラン攻撃 日本国内の動き】首相 邦人の安全確保指示 | NHK | トランプ大統領 →邦人保護は当然だが、日本はどんなスタンスで臨むのか。日本はアラブ社会でマイナスのイメージはなく、西側とアラブを仲介できる立場だったが、公式・非公式でどう動くのか。石油は中東に依存している。アメリカとイスラエルの動きを追認するだけでは国際社会の信頼を得られない。
◎【全議席 確定】都議選 都民ファースト 第1党に 自民党は過去最低議席に 国民民主党と参政党が初議席 | NHK | 都議選 →12年に1回、参院選の前哨戦となる東京都議会選挙。NHKが午後8時まえから全国ネットで特集した。自民党は過去最低、公明党は8回続いた全員当選を逃し、国政与党は大敗した。参院選の結果次第では、大連立など大きな地殻変動があってもおかしくない。
◎アメリカ国防総省 日本含むアジア同盟国 “国防費GDP比5%に” | NHK | アメリカ 米、防衛費3.5%要求 GDP比 日本に非公式打診 2プラス2見送り:朝日新聞 →米国は、アジア同盟国の国防費について、「GDP比5%」を要求。日本には非公式に「3.5%」を打診している。関税は一方的に上げるわ、国防費はこうしろと要求するわ、どういうつもりだろう。世界秩序は大きく揺れている。今後の対米政策は政治の大きな焦点になるだろう。
◎「TOKIO」国分太一氏の無期限活動休止を発表 コンプライアンス違反 所属事務所 「ザ!鉄腕!DASH!!」降板 | NHK | テレビ局 →TOKIOの国分太一さんがコンプライアンス違反で活動を無期限休止すると発表した。ところが何をしたのかについて、関係者のプライバシーを理由に明らかにしておらず、もやもや感が残る。プライバシーも重要だが、「公益」もある。公表の仕方はあるだろう。
*** 「今日の名言」
◎ハンソン・ボールドウィン(米のジャーナリスト、沖縄戦を取材。1945年6月23日、沖縄戦が終結)
「沖縄戦は、米軍にとって史上最大の激戦の1つになった」 「太平洋戦争中、日本軍で最もよく戦ったのは、沖縄防衛部隊であった」 「沖縄戦はその規模、広がり、苛烈さにおいて、バトル・オブ・ブリテンすら、影の薄いものとした。これほど凄惨な、独特の死闘が行われたことは、後にも先にもない。これほど短期間のうちに米国海軍がかくも多くの艦艇を失ったことはなかったし、これほど狭い地域でかくも短期間内に、これほど米軍の将兵の血が流されたこともない」 「沖縄は、人間の忍耐力と勇気の叙事詩であった。日本軍の攻撃は創意に満ち、決死的であった。これに対し、米軍が防衛に成功し、沖縄攻略に成功したのは、卓越した補給、作戦計画、およびその断固たる実施によるものであった」 「太平洋戦争を通して、日本には2人の名将がいる。陸軍のウシジマ(満中将)と、海軍のタナカ(頼三少将)である」
*** 今週の教養講座(企業版・生成AI活用の基本①)
生成AIのビジネス利用が注目されている。企業としてどう活用するかは、競争力に直結する時代になっている。「ハルシネーション」と呼ばれる間違いや情報漏えいなどのリスクはあるが、だからと言って使わないリスクも大きい。今の生成AIは、80~90点だが、残り10~20点を埋めるには、何が必要だろうか。基本を考えてみた。
第1回:生成AIの「得意・不得意」を知る——導入前に押さえる基礎理解 企業に生成AIを導入する際、最初に押さえておくべきは「生成AIが何を得意とし、何が不得意か」という理解です。生成AIとは、人間が行うような創造的作業を模倣し、自然な言語や画像などを自動生成する技術を指します。とりわけ注目されているのが、ChatGPTなどの大規模言語モデル(LLM)です。これらは、膨大なテキストデータから学習し、自然な文章を生成したり、質問に答えたりすることができます。
得意な領域としては、「要約」「文章の草案作成」「アイデア出し」「定型文の自動化」などが挙げられます。例えば、会議録を簡潔にまとめたり、社内報の原稿案を出したり、FAQの回答例を生成したりする作業は、生成AIが高いパフォーマンスを発揮する場面です。人間の手でゼロから作るよりも早く、一定の品質でアウトプットを得ることができます。
一方で、不得意な点も明確です。もっとも大きな弱点は「事実確認」ができないこと。生成AIは過去の膨大なデータからパターンを学び、それをもとに「もっともらしい」出力を生成します。そのため、正しくない情報や架空の事実をあたかも本当のように述べることがあります。この現象は「AIの幻覚(ハルシネーション)」と呼ばれ、特に医療・法務・金融といった正確性が問われる分野では注意が必要です。
また、感情や倫理を判断する能力は持っていません。たとえば、社内で発信するメッセージにおいて、受け手の感情に配慮したトーンが求められる場面では、人間の判断が不可欠です。さらに、著作権のある内容を模倣するリスクもあります。生成された内容が誰かの著作物と酷似している場合、法的トラブルに発展する可能性もあります。生成AIの導入にあたっては、その機能と限界を正しく理解し、「どこまで任せ、どこから人間が担うか」を明確にしておくことが重要です。過信せず、使いどころを見極める冷静な判断が、企業活用の第一歩となります。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年6月24日号(転送禁止)~~~
◎ダイヤモンド・オンライン連載中「戦争と東京六大学」4回目です。戦争は突然起きるわけではありません。異論を封殺する法制度や事件が、言論空間を縮小し、社会がモノトーンになっていきます。東京六大学野球連盟の発足から敗戦までの20年間に何があったのか。世界を見渡せば、異論封殺が昔話ではないことがわかります。未来を考える手がかりは歴史の中にあります→戦争は突然起こるわけではない、戦前の六大学を巻き込んだ「文化戦争」の3つの時期 | 戦争と東京六大学~異論はどう封殺されたか | ダイヤモンド・オンライン
***デイ・ウォッチ(23日)
◎イラン カタールの米軍基地にミサイル攻撃 “米攻撃への報復” | NHK | イラン アメリカ、イランによるホルムズ海峡封鎖の阻止を中国に要請 – BBCニュース →イランがカタールの米軍基地にミサイル攻撃をした。迎撃した情報もあり、被害は不明。示唆していた米国への報復だが、米国は攻撃を受ければ、さらに激しい反撃をすると明言していた。エスカレートするのだろうか。米国が中国にホルムズ海峡封鎖阻止を要請したという情報もある。世界は衝撃の事態を受けて、息を潜めて立ちすくんでいるように見える。
◎核施設被害、割れる見解 米軍のイラン空爆:時事ドットコム 核不拡散「瓦解の危機」 地下の損害把握困難―IAEAトップ:時事ドットコム →トランプ大統領がイラン攻撃の戦果について、「核施設を完全に破壊した」と強調したが、軍当局は慎重だ。一定の打撃を与えたが、「分析中」「破壊の程度は不明」という声がある。写真で見ても穴ができているが、破壊とは言えそうもない。
◎沖縄 慰霊の日 沖縄戦から80年で戦没者追悼式 平和の礎 ひめゆりの塔など各地で祈り【詳しく】 | NHK | 戦後80年 →6月23日は沖縄の「慰霊の日」。式典では石破首相が挨拶をし、玉城知事の平和宣言、小学生の「平和の詩」が読み上げられた。戦没者名を刻んだ「平和の礎」には342人が追加された。日本は重い代償を払って非戦平和国家になったとしみじみ感じる。その重みは増している。
◎全国のスーパー コメ平均価格 5キロ3920円 前週より256円値下がり | NHK | コメ →コメ価格が3ヶ月ぶりに3000円台に下がった。銘柄米も下がっている。備蓄米を随意契約にした小泉農水相の評価は高いが、都議選の投票には結びつかなかった。参院選ではどうか。
◎ウルフ・アロン、新日本プロレス入団 来年1月4日デビュー:時事ドットコム →柔道金メダリストのウルフ・アロンが、新日本プロレスに入団し、来年1月にデビューする。五輪金メダリストのプロレス転向は初めて。昨年のパリ五輪後から決めていたという。曙ら最近の大相撲出身者は大成しなかったが、今度はどうか。ウルフ・アロンは29歳と若く、いきもいいので、活躍を期待できそうだ。
*** 「今日の名言」
◎加藤清正(戦国時代の武将。1611年6月24日死去、49歳)
「お前たちは、どちらも大切な我が家臣。使うところはその人物の器に従う」 「普段から武士道の心がけを練っていなかったならば、いざという場合に潔く死ぬことはできにくいものだ。よくよく、心を武に刻むことが肝要である」 「武士は常に、自分を至らぬ者と思うことが肝心だ」 「人は一代、名は末代。あっぱれ武士の心かな」 「不平があれば、国に帰って戦争の準備をしたらどうか。それができないならば、工事に励むほかないだろう」 「表と裏、両面の心がけ、どれもおろそかにしてはならない」 「晴れると見れば、にわかに雲が出てきて、大雨になることもあります。測りがたきは人の心にございます」 「普請(工事)の際には、川守りや年寄りの意見をよく聞け。若い者の意見は優れた着想のように見えても、よく検討してからでなければ採用してはならない」 「「自分は一生の間、人物の判断に心を尽くし、人相まで勉強した。でも、結局はよくわからなかった。ただ言えるのは、誠実な人間に真の勇者が多いということだ」
*** 今週の教養講座(企業版・生成AI活用の基本②)
第2回:「業務のどこで使うか」を見極める——現場での活用ポイント 生成AIを社内で活用する際に重要なのが、「どの業務に導入すべきか」の判断です。AI技術は魔法のようにすべてを解決してくれるわけではありませんが、適切な場所に使えば劇的な効果を発揮します。企業のなかには、すでに複数部門で導入・検証を進めているケースも増えてきました。
たとえば、広報・マーケティング部門では、商品説明文のたたき台作成やSNS投稿案の作成、広告キャッチコピーのアイデア出しなどに活用されています。定型文や発信系のコンテンツを迅速に量産できる点がメリットです。営業部門では、顧客対応メールの雛形、提案資料の要約作成、架電トークスクリプトの草案などで利用されており、コミュニケーション効率の改善に寄与しています。
また、人事・総務などの管理部門では、社内通知文、社則やマニュアルの文案作成、評価コメントの案出し、さらには面接質問例の作成など採用全般でも幅広く活用可能です。事務作業の効率化と標準化が図れます。重要なのは、「AIに任せる業務の切り出し方」です。判断の基準は、①ルールが明確、②情報の整理が可能、③繰り返し作業が多い、④創造的な要素が含まれる、などです。完全自動化ではなく、「AIに下書きを作らせて人間が確認・修正する」体制を整えることで、業務品質を保ちつつ効率を高めることができます。
導入初期は、いきなり全社に広げるのではなく、1部署・1業務からスモールスタートし、効果を検証しながら段階的に展開するのが現実的です。実際に使う社員の声を聞き、改善点を洗い出すことで、現場に合った活用法が定着します。生成AIは、業務そのものを根本から見直すきっかけにもなります。「なぜこの業務をしているのか」「本当に人がやるべきなのか」といった問いを促し、働き方改革や組織風土改革にもつながる可能性を秘めているのです。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年6月25日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(24日)
◎イスラエルとイランの停戦合意 予定どおり戦闘終結するか焦点 | NHK | イラン →トランプ大統領は日本時間24日午前7時、イスラエルとイランが停戦に合意したとSNSに投稿した。イランが米軍基地を攻撃した直後の公表で、目まぐるしい展開だ。その後、イスラエルはイランが停戦合意に違反してミサイル攻撃をしていると主張。トランプ大統領はイスラエルに爆弾を落とすなと警告するなど、停戦になったのかどうか、よくわからない。トランプ政権はいつも詰めが甘く、世界を右往左往させている。
◎株価 一時600円以上値上がり 多くの銘柄に買い注文 | NHK | きょうの株価 円相場 値上がり 中東停戦合意で警戒感和らぎ買い戻しの動き | NHK | 株価・為替 →中東でめまぐるしい動きが続いているが、市場は事態の割に底堅い。大事にはならないと予想しているのか、トランプ政権の言動に一喜一憂しないと学習したのか。24日のNY株は上昇した。
◎参議院選挙:立民、蓮舫氏を参院比例選に擁立…反対論押し切り都議選での議席増貢献を評価 : 読売新聞 →立憲民主党は昨年の都知事選で惨敗した蓮舫氏を参院選比例選に擁立する。連合などに反対論があったが、都議選で貢献したとして執行部が押し切った。参院選の女性候補擁立では、国民民主党で山尾志桜里氏をめぐってゴタゴタがあった。事情は違うが、どう出るか。
◎フジ男性アナを書類送検 オンラインカジノで賭博容疑―警視庁:時事ドットコム →フジテレビ社員のオンライカジノで企画担当部長が逮捕されたが、アナウンサーが同じ容疑で書類送検された。担当部長はフジテレビから懲戒処分を受けた後も賭け続け、アナウンサーと同じ番組を担当していた。真面目な社員もいるはずだが、フジテレビの倫理感はマヒしている。
◎日産社長、業績不振を陳謝 株主総会、新経営陣を承認―神奈川の工場閉鎖「未定」:時事ドットコム →日産の株主総会が開かれ、株主から厳しい質問が相次いだ。巨額の報酬を受け取って退任した内田前社長から直接説明を求める声も出た。会社側は、ホンダとの協業は継続する方針を示した。国内工場のリストラに関心が集まるが、具体的には明らかにしなかった。再建の展望ははっきりしない。
*** 「今日の名言」
◎アリアナ・グランデ(米国の歌手。6月26日は32歳の誕生日)
「決して、深刻に考えすぎちゃだめよ」 「愛を植えて、平和を育てるの」 「あなたが最高の気分になれば、他のみんなだって最高の気分になれる」 「誰にでも、自分のことを嫌っている人かいる」 「あなたのことをまだまだ一人前ではないと言う人はたくさんいるけれど、あなたはもう十分一人前」 「人生は美しい。一瞬一瞬を大事にしなきゃ」 「少しでもいい。私たちが愛を与えれば、多分世界を変えられる」 「すべての人はそれだけで美しいし、完璧だし、素敵だ」 「あなたが何かに情熱を持っているのなら、それは間違いなく上手くいく」 「人と違っていてもいいに決まっている」 「ネガティブは全部遮断して、ただ愛するのよ」 「何かを信じることをやめるべきじゃない。否定するような人には耳を貸すべきではない」 「私は今までした人生の選択のどれにおいても後悔はしてない。どんな選択からも何か新しいことを学んできた」 「いつだって明日はあるし、明日は常によくなっていく」
*** 今週の教養講座(生成AIの活用方法③)
第3回:「プロンプト力」が成果を分ける——使い方次第で精度が変わる 生成AIの性能を最大限に引き出すには、「プロンプト(指示文)」の工夫が欠かせません。同じAIでも、入力する内容によってアウトプットの質は大きく異なります。「聞き方」が成果を決めるといっても過言ではありません。
たとえば、「報告書を書いてください」では曖昧すぎて、抽象的で使いづらい出力になります。一方、「営業会議の議事録を800字で要約し、冒頭に結論を明記。文体は敬体でお願いします」と指示すれば、実務に耐える文章が得られます。よいプロンプトを作るには、いくつかのポイントがあります。第1に「目的」を明確にする。何のために、誰に向けて、どんな場面で使うのかを伝えることで、AIの出力精度が向上します。第2に「文体・トーン」を指定する。たとえば「親しみやすい語り口」「専門用語を避けて」「箇条書きで要点を」などの指示が有効です。第3に、「構成や長さ」も重要です。「3つのポイントに分けて」「500字以内で」「見出しをつけて」など、具体的な形を示すことで意図に合った出力が得られやすくなります。
企業での活用では、プロンプトの「型」を部門ごとに整備しておくことも有効です。たとえば「営業メール文案用プロンプト」「社内報原稿生成用プロンプト」など、よく使うパターンを共有することで属人性を減らし、業務の再現性を高められます。プロンプトの型は生成AIに聞くことで、大量に入手できます。プロンプト設計力は、今後のビジネススキルの1つとなるでしょう。AIとの対話を通じて「考える力」「伝える力」「問いを立てる力」が磨かれ、単なる自動化ではなく、人間の知的生産性を高める手段としてのAI活用が実現します。一方、依存しすぎるリスクに注意する必要があります。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年6月26日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(25日)
◎イスラエルとイラン停戦合意 トランプ大統領の“戦闘終結”時間過ぎる イラン側は核開発進める構え | NHK | イラン 「広島、長崎と本質的に同じ」 イラン空爆でトランプ氏:時事ドットコム →イスラエルとイランは攻撃を止め、平穏になった。しかし、イランは核開発の姿勢を変えていない。イスラエルはガザとの停戦を守らなかった前例もある。ガラスのような停戦で、事態の見極めにはまだ時間が必要だ。トランプ大統領はイラン攻撃を「ヒロシマ、ナガサキ」に例えた。
◎NATO首脳会議 2日目協議 国防費などの割合 GDPの5%に引き上げで一致 | NHK | NATO →欧州はトランプ大統領のご機嫌取り路線に徹底するようだ。関税引き上げを迫られ、防衛費も5%に上げる。ロシアの脅威があるとはいえ、引き上げありきは、かえって緊張を高め、経済をおかしくしないか。米国製の軍備売り込みの思惑が透けて見える。
◎フジHD、新経営陣に会社提案11人 「物言う株主」に勝利 株主総会:時事ドットコム →フジHDの株主総会があり、会社提案の取締役が選任された。ファンド側は株主の委任状争奪戦を仕掛けたが、盛り上がらなかった。フジの懸案はスポンサーが戻るかどうか。劇的な改革要素は少なく、オンラインカジノ問題も表面化している。簡単ではないようだ。
◎森友文書 改ざん後も うそを重ねるよう強いられた経緯明らかに | NHK | 森友学園問題 →NHKがクローズアップ現代で特集した。近畿財務局は改ざんに抵抗したが、佐川氏率いる財務省理財局が主導して安倍首相を守ろうとしていた。安倍氏を高く評価する人も一部いるが、「モリ・カケ・サクラ」、旧統一教会、アベノミクスによる金融政策のゆがみ、検察人事や学術会議への介入など民主主義を空洞化させた責任は重い。財務省は情報をすべて開示し、佐川氏の責任を追及しないと、消費税議論への影響も出てくるだろう。
◎TOKIO、解散を発表 国分さんのコンプラ違反受け:時事ドットコム →このままTOKIOを続けても、マイナスが大きいと判断したのだろう。いまだに国分氏のコンプライアンス違反の内容はわからない。週刊文春はテレビ局ディレクターを全裸にするハラスメントキャンプなどを報じているが、核心ははっきりしない。
◎「ドラえもん」など手がける広告大手ADK、韓国ゲーム大手の傘下に : 読売新聞 →国内広告3位のADKが、韓国のゲーム大手の傘下に入る。親会社の米ファンドが株式を売却する。「ドラえもん」など手がけているが、東京五輪汚職事件で社長らが逮捕されていた。韓国は1人あたりGDPで日本を上回っており、韓国傘下に入る日本企業は増える可能性がある。
*** 「今日の名言」
◎トーベ・ヤンソン(フィンランドの小説家、ムーミンの原作者。2001年6月27日死去、86歳)
ムーミンの登場人物スナフキンの言葉=「今日、僕らは飛びっきり特別なことをしなくっちゃ!だって、すばらしい天気になりそうだもの」 「自然を感じるだろ…?強い風の前に立って自分達に向かって進んでくる雨を感じるのはなんて素晴らしいんだ」 「大切なのは、自分のしたいことを自分で知ってることだよ」 「何か試してみようってときには、どうしたって危険が伴うんだ」 「あんまり大袈裟に考えすぎないようにしろよ。何でも大きくしすぎちゃ駄目だぜ」 「『そのうち』なんて当てにならないな。いまがその時さ」 「本当の勇気とは自分の弱い心に打ち勝つことだよ。包み隠さず本当のことを正々堂々と言える者こそ、本当の勇気のある強い者なんだ」 「だれかを崇拝しすぎると、ほんとうの自由は得られないんだよ」 「穏やかな人生なんて、あるわけがない」
*** 今週の教養講座(企業版・生成AI活用の基本④)
第4回:導入リスクとガイドライン整備——情報漏洩・誤情報・著作権問題 生成AIの業務活用においては、利便性だけでなく「リスク管理」も欠かせません。特に企業利用では、情報漏えいや誤情報、著作権侵害といったリスクが現実の課題となります。これらを見落とすと、企業の信用や法的責任に関わる深刻な問題に発展しかねません。
まず最大のリスクは「情報漏えい」です。生成AIに入力した情報は、外部サーバーに送信される場合があります。たとえば顧客情報や未公開の製品情報などを不用意に入力すれば、第三者に漏れる危険性があります。多くのAIサービスでは、入力内容が再学習に利用される可能性があるため、業務上の機密情報の取り扱いには細心の注意が必要です。
次に注意すべきは「誤情報の生成」です。AIは過去のデータに基づいて回答を作るため、出典が不明なまま不正確な内容を出力することがあります。特に法律、医療、経理など、正確性が求められる領域では、AIの出力を鵜呑みにせず、必ず人間が内容を確認・修正するプロセスが必要です。さらに、著作権や倫理上の問題もあります。AIが生成したコンテンツが他人の著作物に酷似している場合、著作権侵害に問われる可能性があります。また、差別的な言い回しや攻撃的表現など、無意識に不適切な出力が含まれることもあり、チェック体制が不可欠です。
こうしたリスクに対応するために、企業は「利用ガイドライン」の整備を進めるべきです。たとえば、「入力禁止事項の明示」「出力の確認ルール」「社内での共有方法」などを明文化し、社員教育と合わせて運用する必要があります。さらに、特定部門における利用事例やトラブル事例を社内で共有することで、リスク感度を高めることができます。生成AIは道具です。便利である一方、取り扱いには知識と責任が伴います。安全な活用を推進するには、ルールづくりと現場の意識向上の両輪が求められます。
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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年6月27日号(転送禁止)~~~
***デイ・ウォッチ(26日)
◎教員ら児童盗撮事件 女児の着替えなど校内とみられる画像も | NHK | 事件 →小学校の教員グループが、女子児童の下着を盗撮し、共有していたことがわかった。名古屋市と横浜市の教員が逮捕された。教員のわいせつ事案はたまにあるが、複数教員が共謀した犯行は聞いたことがない。秘匿性の高いアプリを使っていた。子どもたちは誰を信じていいかわからなくなる悪質事件だ。
◎JOC 日本オリンピック委員会 新会長に橋本聖子氏 女性は初 | NHK 日本陸連 新会長に女性初 有森裕子氏 | NHK →スポーツ団体のトップに2人の女性が就任。ジェンダー平等の歯車がまた回った。JOC会長は橋本聖子氏、日本陸連は有森裕子氏。オリンピックメダリストの著名人だ。運営の透明性を高める役割が期待される。橋本氏は裏金参議院議員だが、会長選初の投票で選ばれた。
◎フジHD社長の賛成率82% SBI北尾氏27%―株主総会:時事ドットコム →フジHDの取締役選任投票で、会社側は全員が80%以上だったが、ファンド側は最高の北尾氏でも27%だったことがわかった。一時は関心を集めたが、惨敗に近い。理由はいろいろあると見られるが、不動産部門を切り離せという主張は現実性を欠いていた印象だ。
◎次期FRB議長発表、夏か秋 トランプ氏が検討―米紙:時事ドットコム →トランプ大統領が目の上のたんこぶ視しているパウエルFRB議長の後任を前倒しで発表するようだ。利下げに慎重で怒っているが、金融政策の独立は、資本主義の知恵で、どの国も尊重している。司法に続いて金融にも過剰介入したいのだろう。
◎長崎市長「大変遺憾」 トランプ氏原爆発言:時事ドットコム トランプ氏原爆発言、論評避ける 林官房長官:時事ドットコム →トランプ大統領がイランへの攻撃を原爆になぞらえた「ヒロシマ・ナガサキ発言」について、波紋が広がっている。日本政府は「原爆では大勢の被害者が出て、今でも苦しんでいる人がいる。イランとイスラエルの戦闘も規模は違うが同様」としたうえで「引用は不適切だ」か「非常に悲しい」くらいのコメントをすべきではないか。
*** 「今日の名言」
◎キャサリン・ヘプバーン(米の女優。2003年6月29日死去、96歳)
「降参しちゃダメ。自分の轍(わだち)で、自分の道を作るのよ」 「道を選んだら、決してあきらめない」 「人生はつらいもの。最後には死んじゃうんだから。不平を言わない」 「言い訳をしない」 「正しいか間違っているかなんて、どうでもいい。重要なのは逃げ出さないことだけ」 「生きているだけで楽しいってことを、私は忘れたことはないわ」 「もしあなたが変わりたいなら、変えなければいけないのは、あなた自身」 「常に自分が興味のあることをすれば、少なくとも1人は満足する」 「愛するとは与えてもらうことではなく、与えること。それがすべて。自分でやっていけるだけのお金は稼いだから、独りでいるのは怖くない」 「美しい女より、不器量な女のほうが男についてよく知っているものよ」 「男女は本当にお互いうまくいくのかしらと、ときどき思う。もしかすると、隣同士の家に住んで行ったり来たりするのがいいのではないかしら」 「すべてのルールに従っていたら、すべての楽しみを逃しちゃう」 「修練のない人生なんて、人生じゃない」
*** 今週の教養講座(企業版・生成AI活用の基本⑤)
第5回:生成AIは「補助者」——人間の創造性と判断力がカギ 生成AIがもたらす変化は大きく、さまざまな業務を効率化・高度化しています。しかし、最も重要なのは「AIは人間の代わりではなく、あくまで補助者である」という認識を持つことです。使う側の人間が主導権を握ることが、生成AI活用の成否を分けます。
AIは膨大な知識と高い言語処理能力を持っていますが、そこに「意図」や「責任」はありません。出力される文章はあくまで確率的に予測されたものであり、それが適切かどうか、正しいかどうかを判断するのは人間の役割です。これは、最終的な判断を要する業務において極めて重要な視点です。たとえば、社外向けの発信文書にAIを使う場合、言葉遣いや表現の細かいニュアンスが問われます。生成AIが作った草稿に対し、「この文で顧客はどう感じるか」「社内の意図と合っているか」といった観点で人間が目を通し、修正する必要があります。
また、AIの活用が広がるにつれ、「人間が考えなくなるのではないか」という懸念も生まれています。しかし見方を変えれば、AIと共に作業することで、「自分の考えを言語化する力」「問いを立てる力」が鍛えられる機会にもなります。AIを活かすには、人間の創造力や判断力が欠かせないという事実は変わりません。これからの時代に必要なのは、「AIに使われる人」ではなく「AIを使いこなす人」です。生成AIを活用する現場では、単なる技術スキル以上に、「何を任せ、何を人が担うべきか」を見極める思考力と判断力が問われます。
AIを最大限に活かす組織をつくるには、現場と経営が連携し、継続的に試行錯誤を続ける姿勢が欠かせません。生成AIは単なる業務効率化の手段にとどまらず、人間の働き方そのものを再定義するきっかけとなる可能性を秘めているのです。