7月15~18日(教養講座:供給サイド経済政策・経産省2040ビジョン)

◉7月14日号は休みました。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年7月15日号(転送禁止)~~~

◎ダイヤモンド・オンライン連載中「戦争と東京六大学」7回目がアップされました。今回は法政大学と明治大学です。法律専門学校をルーツとし、神田界隈を地元とする両校は、共通点が多くあります。学内で紛争があり、そこに軍部や右翼につけ込まれた戦時中の構図も似ています。戦後はリベラルな学風で輝きましたが、戦時中の両校の苦悩を描きます→法政大と明治大の権力闘争を言論封殺に利用した、右翼・軍部の「巧妙な手口」 | 戦争と東京六大学~異論はどう封殺されたか | ダイヤモンド・オンライン

***デイ・ウォッチ(11~14日)

自公、参院過半数は困難か 自民は比例区でも苦戦 朝日終盤情勢調査 [参院選(参議院選挙)2025]:朝日新聞 →朝日新聞の有料記事。参院選で自公の過半数が困難な情勢になっている。過半数維持には自公で50議席が必要だが、予測の中心値は自民34(改選52),公明9(14)の43(66)しかない。序盤の勢いがなくなっている。立憲27(22)が続き、国民民主17(4)と参政15(1)は大躍進。維新は6(5)、共産は4(7)、れいわは3(2)になっている。

自民・鶴保氏、予算委員長辞任 参院、「運のいいことに」発言【25参院選】:時事ドットコム →「運のいいことに能登地震」発言の自民・鶴保参議院議員が、予算委員長を辞任した。当初は辞任しない意向だったが、発言への批判が強く、参院選もあって白旗を上げた。勘違いでも、うっかりでもないから、誰も守ってくれなかった。

EUとメキシコ「関税30%」通告…トランプ氏「相互主義ほど遠い」「麻薬密売カルテル阻止してない」 : 読売新聞 →トランプ政権はEUとメキシコに30%の関税をかけると通告した。EUは貿易赤字、メキシコは麻薬流入が理由。EUの関税は当初20%だったが、引き上げられた。EUは巨大経済圏で、対抗措置も検討するとしており、日本の対応にも影響を与えそうだ。

日産、米国でホンダに自動車供給検討 工場の稼働率向上:時事ドットコム →経営統合が破断になったホンダと日産だが、部分提携が進んでいる。米国で日産がピックアプトラックをホンダに供給することを検討している。ソフトウエア開発などでも協業を模索している。単独では生き残れないという危機感があるのだろう。日産はホンハイとも協業を検討しており、見方をかえれば草刈り場だ。

日本政府 “中国の日本産牛肉輸入再開に必要な協定が発効” | NHK | 日中関係 →中国が日本との距離を縮めている。日本産牛肉の輸入再開に必要な検疫協定が発効した。中国は日本で「BSE」が発生した2001年から輸入を禁じている。水産物の輸入も再開を発表しており、米中対立の激化を背景に中国の軟化が目立つ。中国が軍事的威圧を止めれば、トランプ大統領の棍棒外交に苦しむ日本からもさらに接近できる状況だ。

全国学力テスト ことしの結果公表 思考力や表現力など問う「記述式」問題で平均正答率低い傾向 | NHK | 教育 →小中学生の全国学力テストで、記述式問題の正答率が低い傾向が出た。暗記中心の教育だったから、当然と言えば当然。選択式や短答式なら、評価がしやすく公平の建前も守れるので、教師側も楽だった。日本はもっと思考力と文章力を鍛えたい。

*** 「今日の名言」

◎アントン・チェーホフ(ロシアの小説家。1904年7月15日死去、44歳

「くすぶるな、燃えあがれ」 「平坦な道でもつまずくことはある。人間の運命もそんなものだ。神以外に誰も真実を知るものなどいないから」 「人間の目は、失敗して初めて開くものだ」 「ただ働くのだ。生きる意味も、幸福も、その中にあるのだから」 「優しい言葉で説得できない人は、いかつい言葉でも説得できないだろう」 「誰に打ち明けたらいいのか?誰に訴えればいいのか?誰と一緒に喜べばいいのか?人間、誰かをしっかりと愛していなければならないのだ」 「無関心とは精神の麻痺であり、死の先取りである」 「愚者は教えたがり、賢者は学びたがる」 「結婚生活で一番大切なものは、忍耐である」 「すでに生きてしまった人生が下書きで、もう一つ別の人生が清書だったらいいんだけどな」 「知識は、実践するまでは価値がない」 「教養ある人間は、他の人格を尊重し、したがって常に寛大で柔和で腰が低いものだ」

*** 今週の教養講座(経産省2040ビジョン①)

 参議院選挙では、「給付金か、減税か」が争点になっている。これは需要サイドのテーマだが、経済成長には供給サイド(主に企業活動)の活性化が必要だ。経済成長によって解決する課題は多い。経済産業省は6月、「成長投資が導く2040年の産業構造」をサブタイトルとした供給サイド強化の構想を発表している。生成AIに物語風の要約を依頼した。4回に分けて紹介する。

第1回:人口減少社会の先に、日本は何を描くのか  「日本はもう成長しない」――そんな言葉を、私たちは何度耳にしてきたことだろう。人口が減り、少子高齢化が進み、地方は過疎化し、国際競争にも出遅れる。閉塞感は社会の空気として漂い、それが次の挑戦を妨げる。だが、果たして本当にそうなのか? 「2040ビジョン」は、この思い込みに真っ向から挑む。人口が減っても、むしろ新しい豊かさを実現できる社会の姿がある。たしかに、2040年の日本は総人口が1億1千万人を割り、生産年齢人口も急減する。しかし、それを単なる衰退と捉えるのではなく、「社会構造の再設計によって乗り越えられる課題」として位置づける。

鍵となるのは、3つの要素――「成長投資」「高付加価値化」「賃上げ」だ。従来のように、安さと効率を追い求めるのではなく、質の高い製品やサービスで勝負し、適切な対価を得て、それが賃金として還元されるという好循環をつくる。コストカット型から「価値創造型」経済への転換である。もう一つの柱が「製造業X(エックス)」だ。単にモノを作るのではなく、モノにサービスやデジタル技術を組み合わせて付加価値を高め、国内外に新たな需要を生む構想である。かつての製造立国・日本の伝統を土台にしつつも、まったく異なる地平を目指すものだ。

少子高齢化という「負の現実」も、視点を変えれば「変革のドライバー」になりうる。人手不足に悩む現場では、省力化投資や自動化技術の導入が加速し、結果として全体の生産性が高まる可能性がある。高齢者が健康を保ちながら長く働ける社会が実現すれば、労働力不足の一部も補える。むしろ、この構造変化こそが、社会のあり方を見直す契機なのだ。

2040ビジョンは未来を「予測」するものではない。「こうしていこう」という意思の宣言である。経済は、人と人との信頼と希望によって動く。今必要なのは「できるかもしれない」という構想力と、それを形にする政策と行動だ。「縮む時代だからこそ、大きな発想を」――今、問われているのは数字の未来ではない。私たち自身がどんな国を選ぶのか、その想像力と意志なのだ。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年7月16日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(15日)

トランプ大統領 ウクライナに兵器供与へ“ロシア 50日以内に停戦応じなければ厳しい関税” | NHK | トランプ大統領 →トランプ大統領がロシアへの圧力を強めている。50日以内に停戦しなければ、100%の関税をかけるというディールを仕掛けた。ロシアからの輸出を受け入れている国も対象になる。パトリオットをウクライナに供与する。相変わらず強引なトランプ大統領の棍棒外交だが、平和目的なら容認したくなる心理もある。悩ましい時代だ。

中国 4-6月GDP+5.2% 不動産不況や米関税措置で景気は減速傾向 | NHK | 中国 →中国の経済成長が鈍っている。4~6月のGDPはプラス5.2%で、前期より0.2ポイント低下した。不動産不況に加え、米中の関税交渉が理由とみられる。中国の経済統計は信用できるかという問題もあるが、減速は隠せないようだ。一部で習近平主席の権力が揺らぎ始めているという見方も出ており、成長鈍化が足を引っ張ることは間違いない。

日産、追浜工場の車両生産を終了 27年度末、九州に移管―日産車体の湘南工場も:時事ドットコム →日産が追浜工場(横浜市)での車両生産の終了を発表した。生産は2027年度末までに福岡県の工場に移す。2400人の雇用はその時までは継続する。ホンハイに工場を提供して生産提携をする情報もあるが、未定。1961年に創業を始め、同社の主力工場だった。

オウム松本元死刑囚の妻宅から数千万円 家宅捜索で発見、出所の解明急ぐ:時事ドットコム →オウム真理教の松本元死刑囚の妻と次男の自宅(埼玉県越谷市)から数千万円の現金が見つかった。後継団体のアレフが次男を後継者として次男を教祖に据えようとしていたという。アレフを監視している公安調査庁の告発を受けて、埼玉県警の家宅捜索でわかった。出どころを解明する方針。

ドジャース 大谷翔平 オールスターは1番DHで先発へ | NHK  →大リーグのオールスター戦が、日本時間のきょう午前9時に始まる。5回目出場の大谷は1番DHが決まっている。菊池と山本も選ばれている。中継はテレビ朝日とNHKBS。ストライクとボールを機械で判定するシステムを初めて導入する。来季から公式戦に導入する可能性があるという。

*** 「今日の名言」

◎中野孝次(作家、ドイツ文学者。2014年7月16日死去、79歳

「日本には、ひたすら心の世界を重んじる文化の伝統がある」 「日本には、自らの思想と意志によって積極的に作りだした簡素な生の形態としての清貧の思想がある」 「私は、猫も杓子(しゃくし)も株をやって財テクをしないのは人ではないような風潮を、終始苦々しく思っていた」 「物の過剰の中で、我々の生が決して充実しないことを知った現在こそ、生産とか所有とかを根本から見直す好機だろうと、私は思っている」 「自分はこうしたプリンシプル(原則)で生きていると言える人が必要だ」 「『清貧の思想』がヒットしたのは、私自身も含めて大半の日本人が空気の底にある何かがおかしいと感じていたときに、時代の流れとは逆のメッセージを打ち出したのが刺さったのでしょう」 「心を自由にするには物や金、そして機械に囚われない心を持つことが大事だ」 「人間をダメにするのは、窮乏よりも過剰である」 「思想とは何よりもまず、自分の頭でものを考え、判断する力を持つということだ」

*** 今週の教養講座(経産省2040ビジョン②)

第2回:「安い国」からの脱却へ――賃金と投資が導く経済再生  今の日本を世界からどう見られているか、ご存じだろうか。「安全な国」「清潔な国」――それは確かに誇るべき評価だ。しかし、もうひとつ、忘れてはならない言葉がある。「安い国」。これは、長年にわたるデフレと賃金停滞の帰結にほかならない。1990年代以降、日本の実質賃金はほとんど上昇してこなかった。企業は国際競争にさらされ、価格を上げる余裕を失い、コスト削減に注力するようになった。その結果、消費者物価は抑えられ、企業物価との乖離が続いた。輸入品は高騰しても、販売価格を上げられない。輸出品も十分な価格がつかず、貿易における「交易条件」は悪化。これが実質賃金を押し下げた最大の要因だ。

経済産業省の「2040ビジョン」が訴えるのは、この悪循環からの決別である。ポイントは、国内投資の拡大と賃上げの好循環をどう実現するか。その中心にあるのが「高付加価値化」という戦略だ。安く大量に作る時代から、価値に見合った価格で売る時代へ。企業が価格転嫁に成功し、所得が増え、消費が回る――そんな経済モデルへの転換が求められている。そのためには、企業だけでなく政府の覚悟も問われる。経団連はすでに2040年度までに民間設備投資を200兆円にまで拡大するという目標を掲げ、政府もGX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタル化)を後押しする形で産業構造の再構築を支援している。

投資は未来への意思表示である。例えば、省エネルギー技術、AI・半導体、バイオ産業、宇宙産業――これら成長分野への重点投資が、「安さ」から「価値」への転換をけん引する。生産性が高まり、輸出品に付加価値がつけば、世界市場での価格交渉力も強まる。また、価格が上がれば当然、賃金も引き上げられる余地が生まれる。2040ビジョンによれば、賃金は名目で約1.9倍に増加する可能性があるという。これは単なる希望ではない。賃上げと投資を繰り返す中で、日本経済の体質を変えていく道筋なのだ。

かつて、日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称されるほどの経済力を持っていた。それを単純に取り戻すことは難しい。しかし、成熟した社会としての強み――技術力、教育水準、生活インフラ――を活かせば、安さで競う必要のない「価値で選ばれる国」になれる。「安いままでいいのか?」と、自問する時が来ている。価格で妥協せず、価値を誇れる社会へ。2040年、日本が再び誇れる経済になるかどうかは、今、私たちがどれだけ本気で投資し、賃金を上げるかにかかっている。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年7月17日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(16日)

アステラス社員に懲役3年6月 裁判所、「スパイ活動」認定―中国:時事ドットコム →帰国直前にスパイ容疑で拘束されたアステラス社員に懲役3年6月の判決が出た。スパイ活動の内容は公判で明らかにされたが、本人の意向で公表されなかった。これまで皆目わからなかったが、一定の情報が出た。日本企業の今後の活動にも関わるので、公開した方がいいのではないだろうか。

日本生命社員 出向先の銀行内部資料 無断で持ち出し 社長陳謝 | NHK | 金融 →日本生命から三菱UFJ銀行に出向していた社員が銀行の内部資料を持ち出していたため、日生の社長が陳謝した。どの金融商品を売れば高い評価を得られるか書かれた資料という。法律違反になる可能性がある。金融機関は建前と本音の落差が大きい。こうしたケースはかなりあるのではないか。

ハーバード大学留学生・研究者に聞いてみた。トランプの圧力でなぜ研究がストップするのか? | NHK | WEB特集 | アメリカ →NHKがトランプ政権と対立するハーバード大学を深く取材し、ネットで特集している。留学生は恐怖を感じ、研究者は補助金打ち切りへの嘆きが渦巻いています。世界から優秀な人材を集めてきたアメリカの高等教育が、あっという間に崩壊している。

オールスター戦は史上初のホームランダービー決着…大谷翔平の代打が「全スイングさく越え」 : 読売新聞 →大リーグのオールスター戦は同点で延長戦になり、初のホームランダービーでナ・リーグが勝った。3人が3スイングし、ホームランの多いチームが勝つ。大谷の出番が期待されたが、交代した後に帰宅していたらしい。試行したストライク・ボールの機械による判定システムも話題になりそうだ。

芥川賞 直木賞 2025 ともに該当作なし 1998年1月以来 6回目 | NHK | 文芸 →芥川賞も直木賞も該当者がいないのは、1997年下半期以来という。候補作品のレベルが低かったのか、審査員が厳しかったのか。苦しいのは8月発売の月刊誌で掲載を予定していた文藝春秋、受賞作を売ろうとした出版社・書店だろう。興行的にはまずい。

*** 「今日の名言」

◎石原裕次郎(俳優。1987年7月17日死去、52歳

「今日が雨でも、明日が晴れさえすればすぐ乾く。人生も同じである」 「人の悪口は絶対口にするな。人にしてあげたことは、すぐ忘れろ。人にしてもらったことは、絶対忘れるな」 「人間は自分がどうなるかってことさえ、その時になってみるまでわからんもんです」 「俳優、男子一生の仕事にあらず」 「人生というのは、振り返ってみて、何もないずんべらぼうより、起伏が激しいほうが楽しいと思う」 「ここは戦場だ!愛だの許すだの。そんなことより生きることが先だ」 「僕らがちっちゃいときは、家族4人で風呂に入っていた。『お母さんもおいで』なんて、親父が呼んでさ。おふくろが途中から入ってくるんだ。だから、いま当時を振り返ると、すごく微笑ましくてね。『よかったな』というイメージしか残っていないんだ」 「動物には動物の距離感がある。人間同士がうまくやっていける距離感を、僕ら団塊の世代はすし詰め教室で学びました」

*** 今週の教養講座(経産省2040ビジョン③)

第3回:地域こそ日本の未来戦略――包摂と成長の二兎を追う  かつて「地方創生」という言葉が流行語になった。しかし現実には、地方の人口減少は止まらず、若者は都市に流出し、商店街はシャッター通りと化し、農地やインフラの維持すら困難な自治体が増えている。2040年、日本の地方はどうなっているのだろうか。悲観的な未来が語られがちだが、経済産業省の「2040ビジョン」は、もう一つの可能性を示している。

その鍵は「包摂的成長」という概念にある。成長の果実を一部の大都市や特定の産業だけが享受するのではなく、あらゆる地域や人がその恩恵にあずかるという考え方だ。単なる「支援」や「保護」ではない。地域自らが強みを見つけ、成長を遂げる主体になることが前提である。具体的な施策として注目されるのが、「地域産業の高付加価値化」である。たとえば、地場産業にデジタル技術を取り入れ、オンライン販売やクラウド型業務管理を導入することで、生産性を飛躍的に高める事例が増えている。観光・農業・福祉といった分野が融合し、地域に新たな雇用と経済循環を生み出す「複合型ビジネス」の芽も育ちつつある。

GX(グリーントランスフォーメーション)を地方で推進する流れも加速している。太陽光や風力、バイオマスなど、地域資源を活かした再生可能エネルギーの導入は、地元の雇用を創出すると同時に、エネルギーの地産地消を促す。2040年には、こうしたエネルギー自治体が新たな成長モデルとして定着する可能性がある。重要なのは、地方を「支える対象」から「担う主体」へと見方を変えることだ。たとえば、テレワークやデジタルインフラの整備が進めば、大都市にいなくても高付加価値の仕事が可能になる。教育や医療もオンラインで提供されれば、都市部と地方の格差は縮まる。人が少なくても、知と技術があれば、地域は強くなれる。

地域社会の信頼関係や共助の文化といった「見えない資本」も注目に値する。超高齢化社会では、助け合いが都市以上に価値を持つ。こうした地域の資産は、災害対応や孤立防止といった面でも全国モデルとなり得る。「地域にはもう未来がない」と決めつける前に、「未来をつくる場所」としての潜在力に目を向けるべきだ。地方が元気になることは、都市にとっても利益である。2040年、日本全体の持続可能性は、地域がどれだけ挑戦を選ぶかにかかっている。

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~~~ 長谷川塾メルマガ 2025年7月18日号(転送禁止)~~~

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***デイ・ウォッチ(17日)

セブン&アイ・ホールディングス買収提案を撤回 カナダ アリマンタシォン・クシュタール【なぜ撤回?】 | NHK | 小売業 →セブン&アイHDに買収提案をしていたカナダの会社が提案を撤回した。セブン側から十分な協力が得られなかったという。セブン側のサボタージュが成功したようだが、単独で価値向上策を示せるか。提案復活の可能性もあるが、空前の買収劇に多くの教訓が語られそうだ。

イスラエル シリア首都ダマスカスの暫定政府の軍本部などを空爆  | NHK ガザ地区 “深刻化する人道危機” 国連安保理が緊急会合 | NHK  →イスラエル軍がガザに加え、シリアの軍本部やレバノンへの攻撃を繰り返している。ガザ問題で国連安保理が緊急会合を開き、イスラエル非難の演説が相次いだ。イスラエルは「ハマスが子どもを人間の盾にしている」と攻撃を正当化した。

参政代表、宮城県への謝罪拒否 水道事業巡る発言で【25参院選】:時事ドットコム →メジャーになりつつある参政党への批判が強まっている。「宮城県は水道事業を民営化して外資に売った」という神谷代表の発言に対し、宮城県知事が「事実と違う」と謝罪を要求したが、神谷代表は拒否した。外国人をめぐる事実関係でも同党は不正確な情報を発信している。尖っていればよかった今までとは違う。公党としての自覚が必要になっている。

機長がスイッチ切ったか 米報道、操縦室音声示唆―印旅客機墜落:時事ドットコム →240人が亡くなったインド機の墜落事故は、機長がエンジンに燃料を供給するスイッチを切った可能性が強まっている。副操縦士が「なぜ切ったのか」と聞いたが、機長は平静だったという。故意かどうかは不明。事故ではなく、事件の様相が濃厚だ。

元看護助手への取り調べを違法と認定、滋賀県に賠償命令 再審で無罪:朝日新聞 →警察の違法捜査がまた確定した。滋賀県の元看護助手への取り調べを違法と認定した。供述を強く誘導し、患者が自然死した可能性を指摘する捜査報告書を検察に送らなかった。滋賀県警に3100万円の賠償金支払いを命じた。起訴した検察(国)は「合理性があった」と違法性は認めなかった。

*** 「今日の名言」

◎日野原重明(医師。2017年7月17日死去、105歳

「人を許せるか否か。それは人間に与えられた試練」 「辛いことでも苦しいことでも、体験したことは間違いなくその人の強みになる」 「どんな困難に直面しても、ここから始まるのだととらえ直すことができれば、私たちはかならず前進できる」 「私たちは運命を生きるのではなく、運命を作っていくのだ」 「かつて自分ができなかったこと、やり残したことを思い切ってやることが夢を叶えるということ」 「心の良い習慣は表情や仕草に現れる。人の顔つきも、習慣なのだ」 「人のために自分を捧げる喜びを知っている人をプロという」 「人間は生き方を変えられる。繰り返す毎日の行動を変えることで、新しい習慣の選択を人間は決意できる」 「習慣に早くから配慮した者は、おそらく人生の実りも大きい」 「きりのない欲望が、あなたを幸せから遠ざける」 「未知の世界に自ら飛び込み、やったことがないことをやることによって、使ったことのない脳が働き出す」 「家族とは『ある』ものではなく、手をかけて『育む』もの」

*** 今週の教養講座(経産省2040ビジョン④完)

第4回:2040年の鍵を握るのは「人」――変化に適応できる社会へ  経済を動かすのは資本か、技術か――もちろん、それらは不可欠だ。しかし、いかなる時代でも、最終的に未来をつくるのは「人」である。どんなに高度なAIが登場しても、それをどう使うかを決めるのは人間であり、社会の変化に適応できる人材こそが、新しい時代の原動力となる。経済産業省の「2040ビジョン」が最重要視するのも、まさに「人への投資」である。

2040年の日本は、働き手が減る一方で、求められるスキルは加速度的に変化している。AI、ロボティクス、データ分析、カーボンニュートラル…。こうした分野では、これまでの経験や資格だけでは通用しない。「一度学んで終わり」の時代は終わったのだ。必要なのは、学び直し=リスキリングを通じて、常に自分の価値をアップデートしていける社会である。そこで注目されるのが「越境学習」や「越境キャリア」の考え方だ。業界や職種、年齢の壁を越えて、新しい分野に挑戦する人を支える仕組みが求められている。たとえば、地方のベテラン職人がITを学び、新しい製品開発に加わる。子育てを終えた女性がデータ分析を学んで再就職する――こうした柔軟で多様なキャリアのあり方が、2040年には「普通」になるべきなのだ。

企業もまた変わらなければならない。人件費を「コスト」とみなす時代から、人材を「資産」と捉える発想への転換が不可欠である。経済成長を持続可能にするには、従業員の成長と企業の成長を一致させる戦略が必要だ。例えば、ジョブ型雇用、スキルに基づく報酬制度、社内教育への継続的な投資などが、これからのスタンダードになる。

一方で、AIによって「仕事が奪われる」という不安も根強い。しかし、AIは「人間の代替」ではなく、「人間の能力を拡張するツール」である。定型業務をAIに任せることで、人間はより創造的な仕事に集中できる。そこでは共感力、判断力、物語を紡ぐ力など人間にしかできないスキルがいっそう重要になる。教育も変わる。学校教育だけでなく、社会人向けのオンライン講座や、企業・自治体が連携した学習支援制度の拡充が不可欠だ。学ぶ場所と時間の自由化が進めば、人生100年時代において、何度でもやり直せる社会が実現する。

2040年の日本を希望の社会にできるかどうか――その答えは、「変わり続ける人を支える社会」を築けるかどうかにかかっている。「何を持っているか」ではなく、「どれだけ成長できるか」が人と社会の価値を決める時代なのだ。