9月18~22日(教養講座:知っておきたい社会の法則)

2023.09.22メルマガ

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年9月18日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(15~17日)

副大臣・政務官に女性ゼロ 法務柿沢氏、財務神田氏:時事ドットコム (jiji.com) →ブラックジョークか、54ものポストに女性ゼロ。自民党は「候補者がいない」というが、これがジェンダー平等への本音に見える。前回は11人もいた。閣僚に5人登用したが、これでは帳消し以上で支持率にもマイナス材料。「誰でもいいから5人くらいは入れましょうよ」とアドバイスする側近はいなかったか。

【速報中】ラグビーW杯 日本 イングランドに敗れる 1勝1敗に | NHK | ラグビーW杯 2023 →前半は9-13の接戦で後半注目されたが、次第に突き放された。最終的に12-34、トライは0対4だったので、力の差は大きかった。

大谷翔平 今季終了もベンチに姿 “右ひじ数日中何らかの処置” | NHK | 大谷翔平 →やはり疲れていたか。西洋医学ではひじと脇腹は別々の症状になるのかもしれないが、体が悲鳴を上げたまたま肘と脇腹に痛みが出たのではないか。大谷は試合に出たかったが、どこかで静養した方が良かったのではないか。そんな気がした。大谷の活躍は日本で最も明るいニュース。来季に期待したい。

ビッグモーター本社を家宅捜索 街路樹問題で器物損壊容疑 警視庁:朝日新聞デジタル (asahi.com)  ビッグモーター、スポンサー選定へ 目標は10月末、経営再建めざす:朝日新聞デジタル (asahi.com) →ビッグモーターをめぐる動きが急だ。刑事事件に発展し、身売りをする。創業者一代であえなく消滅しそうだ。

*** 「今日の名言」

◎トミー・レメンゲザウ(パラオ前大統領。第一次世界大戦後、ドイツの植民地から日本の委任統治へ。1944年9月15日からペリリュー島で日米が戦闘)

私たちパラオの社会には、いまも多くの日本語が使われています。料理などには日本語の語彙が非常に多く、我々は日本料理を日常的に食べています。日本が残したその文化は、パラオ社会と深く絡み合いながら、第2、第3、第4世代にまで伝えられています」 「私の祖母の家系には日本人の血が入っています。祖母の父が日本人だったのです」 「パラオ語には3千以上の日本語の語彙が残っていると言われています。しょうがない、直らないなど。美味しいはよく使いますね。疲れたも。電話、選挙、大統領などよく使います」 「パラオで多くの人が天皇陛下(現上皇)と握手を交わしました。日本では近づくことは大変難しいと聞いていますが、パラオで歓迎会が開かれた時、陛下は参加者やパフォーマーたちと一人ずつ握手してくれました。皆が感激していました。陛下の訪問によって日本の方々がパラオにより注目し、日本からのツーリストも増えました。陛下が訪れたのと同じ場所に訪れたいという波及効果を生んでいます。戦争を二度と起してはならないという天皇陛下のメッセージは明確です。天皇陛下には引き続きご活躍してほしいところですが、お身体を休め、ご家族とゆっくり過ごされることも大切でしょう」

*** きょうの教養 (知っておきたい法則①)

今週は「知っておきたい社会の法則」を紹介する。学者らの研究によって、いろいろな法則が明らかになっている。自然科学の法則は、実証されてから定着することが多いので、そのまま真理・真実となる。しかし、社会科学の法則は、条件によって異なり、必ずしも真理とはいえない。だからこそ面白いといえる。社会科学の中でも役立ちそうな政治、経済、経営に関わる法則を主に取り上げる。

◎タキトゥスの罠  政治法則の一つで、政府が信用を失っている時は、何を言おうと何をしようと、民衆に悪く思われることをいう。古代ローマ時代の歴史学者タキトゥスが述べたとされる。政府に対する信頼が大きく失われている時には、真実であろうと嘘であろうと、民衆がすべて嘘だとみなす政治をさす。政府の言うことが全く信用されない状態を意味する。

中国の習近平国家主席がこの罠にはまりかねないという指摘がある。国内で政府批判は封じられているが、コロナ対策をめぐって白紙の紙を掲げて抗議する動きがあった。中国国民は経済成長を評価して共産党を支持してきたが、経済低迷が深刻化すれば、離反も予想される。過去の指導者と比べるとどうだろうか。毛沢東は建国の父で、好き嫌いはあるが、権力を握り、権威のある指導者だった。個人崇拝を確立して文化大革命という悲劇を引き起こしたが、天安門に写真が掲げられ、権威はいまも保っている。鄧小平は毛沢東ほどの権威はなかったが、改革開放で豊かな社会にした。最大の汚点は民衆を弾圧した天安門事件だが、死ぬまで権力を握っていた。習主席は毛沢東になろうとしていると言われているが、本当は2015年に亡くなったシンガポールの初代首相リー・クアンユーではないかという説がある。中国の知識人や官僚の間では、民主主義的独裁といえるシンガポールの政治は評価が高い。

タキトゥスは今のベルギーに生まれた。ローマ帝政期の政治家として地位を上り詰め、多くの著作も書いた。理想は共和政期の自由な国で、権力が集中する元首政を嫌った。軟弱に堕していくローマを批判し、対比して純粋・素朴の気風を保っている周辺諸部族を評価した。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年9月19日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(18日)

ウクライナの大聖堂や歴史地区、ユネスコの「危機遺産」に指定 – CNN.co.jp 東部2集落相次ぎ解放 ロシアの戦力分散―ウクライナ軍:時事ドットコム (jiji.com) →ウクライナ関連の大きなニュースはしばらくなかったが、日本国内が祝日でニュースが少なく、相対的に浮上した。文化遺産が危機に瀕し、東部ではウクライナ軍が前進しているという。しかし、基本的に膠着状態で終わりが見えない。

中国 先月の日本からの輸入水産物 金額 去年同月比67%余 減少 | NHK | 中国 →中国の制裁は確実に実施されている。日本の水産物の買い手を見つけなければならない。

柳条湖事件から92年 中国、反日感情の高まり警戒:時事ドットコム (jiji.com) →日本ではほとんど話題にならない満州事変の勃発日。14年近い戦争の起点となった日で、忘れてはならないだろう。中国では「国辱の日」と呼ばれ、事件現場に近い遼寧省瀋陽市の「九・一八歴史博物館」では式典が開かれ、午前9時18分に3分間の警報が鳴らされたという。

*** 「今日の名言」

◎ルース・ベネディクト(アメリカの文化人類学者。1948年9月17日、61歳で死去)

「人生でもっとも幸せな興奮状態とは、大切に思う人のため、そして非常に軽蔑する悪に対して皆のために戦う価値があることだと確信することである」 「美徳とは、人に感謝することを積極的に行いだしたときに生まれる」 「人種差別とは、ある民族集団が先天的劣等を本質的に非難され、別の集団は先天性な優越に運命づけられているという教義である」 「人種差別は、今日、世界中の誰もがさらされている思想である。それに賛成するのか、反対するのか、私たちは選ばなければならない。そして、未来の歴史は、私たちが下す決定によって異なってくる」 「人種偏見の傲慢さとは、人類について科学的に知られていることに逆らう傲慢さだ」 「人種差別は、歴史の目に焼き付けられている。権力者の利益のために少数派が迫害される数多くの例として」 「誰も、フィルターをかけずに世界を見ることはない。しかし、私たちがそれをかけて世の中を見ているフィルターは、見ることができない」 「キリスト教的な欧米文化は『罪の文化』であり、日本の文化は『恥の文化』である」

*** きょうの教養 (知っておきたい法則②)

◎中進国の罠  自国経済が中所得のレベルで停滞し、先進国入りがなかなかできない状態をさす。具体的には、新興国が低賃金の労働力などを原動力として経済成長し、中所得国の仲間入りを果たした後、人件費の上昇や後発新興国の追い上げ、先進国との先端イノベーション格差などにあって競争力を失い、経済成長が停滞する。

中所得国とは、一人当たりの国内総生産(GDP)が、3000ドルから1万ドル程度の国。1万ドルに達した後に中心国の罠に陥る国・地域が多くなっている。2万ドルにはなかなか達しないことになる。歴史を振り返ってみても、低所得国から中所得国になる国は多くあるが、高所得の水準を達成できた国は比較的少ない。

この罠を回避するには、規模の経済を実現するとともに産業の高度化が欠かせない。必要な技術の獲得や人材の育成が重要。社会の変革も不可欠で、金融システムの整備、腐敗や汚職の根絶などが大きな課題になる。東アジア地域では、韓国や台湾が1990年代後半にかけてこの罠に陥り伸び悩んだ。その後、電機やITなどを核に産業を高度化し高所得国入りを果たした。

2022年の日本の1人当たりGDPは、3万3822ドルで、世界31位。1990年代は一桁の順位だったので、多くの国に追い抜かれた。韓国は3万2250ドルと迫っている。アメリカは7.6万ドルで7位、英独仏は4万ドル台。中国は1万2814ドル、タイは7651ドルで、中進国の罠の位置にある。中国は2019年に1万ドル超えてから伸び悩んでいる。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年9月20日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(15~17日)

地方で31年ぶり上昇 全国平均2年連続プラス―コロナからの回復続く・基準地価:時事ドットコム (jiji.com) →日本全国ですべての用途の地価が上がったのは31年ぶり。バブル崩壊の衝撃は、地価下落とそれに伴う不良債権の拡大だが、今回の基準地価でバブルの後遺症は完全になくなった。各種値上げが相次いでおり、緩やかなインフレ時代の到来と言えるだろう。

東京 八重洲 建設現場で鉄骨落下 2人死亡 事故が起きた状況は | NHK | 事故 →東京は再開発の高層ビルラッシュで似たような工事が相次ぐ。かつての建設現場は広い場所が多かったが、今は歩道のすぐ脇も少なくない。事故現場近くを歩いたことがあるが、何か落ちてこないかと恐かった。歩行者が巻き込まれる事故がいずれ起きないかと心配だ。

保険金不正、本格調査へ立ち入り 損保ジャパン・ビッグモーターに―金融庁:時事ドットコム (jiji.com) →大きな節目。金融庁調査には数カ月かかるというから、結果が出るころにはビッグモーター問題も忘れられているのではないか。損保ジャパンの桜田謙悟会長は経済同友会代表幹事を務めた重鎮だが、責任をめぐって進退問題がくすぶり続ける見通し。

ノーベル賞 受賞有力者に 日本の2人含む 23人発表 英 学術会社 | NHK | イギリス →今年は10月2日がノーベル賞ウィーク。イギリスの学術会社が事前予想を発表したが、いろいろな会社があるものだ。日本からは筑波大学の柳沢正史さんと川崎市産業振興財団の片岡一則さん。2人の詳しい経歴はNHKの記事をご覧ください。

イーロン・マスク氏、X全面有料化も視野 自動投稿対策 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →発言するたびに波紋を呼ぶイーロン・マスク氏。SNSの常識をどんどん覆していくが、利用者への功罪は?

*** 「今日の名言」

◎豊臣秀吉(戦国時代の武将。1598年9月18日、61歳で死去)

「信長公は勇将であるが良将ではない。剛を持って柔に勝つことを知ってはおられたが、柔が剛を制することをご存じなかった」 「主従や友達の間が不和になるのは、わがままが原因だ」 「いつも前に出ることがよい。そして戦のときでも先駆けるのだ」 「財産を貯め込むのは、良い人材を牢に押し込むようなものだ」 「人と物を争うべからず、人に心を許すべからず」 「人の意見を聞いてから出る知恵は、本当の知恵ではない」 「やるべき事が明確であるからこそ、日夜、寝食忘れて没頭できる」 「一歩一歩、着実に積み重ねていけば、予想以上の結果が得られる」 「負けると思えば負ける、勝つと思えば勝つ。逆になろうと、人には勝つと言い聞かすべし」 「敵の逃げ道を作っておいてから攻めよ」 「降参した者を殺してはいけない」 「(イエズス会の日本における布教最高責任者のポルトガル人に追放を命じる際)なぜかくも熱心に日本の人々をキリシタンにしようとするのか。なぜ神社仏閣を破壊し、坊主を迫害し、彼らと融和しようとしないのか。牛馬は人間にとって有益な動物であるにもかかわらず、なぜこれを食べようとするのか。なぜポルトガル人は多数の日本人を買い、奴隷として国外へ連れて行くようなことをするのか」

*** きょうの教養 (知っておきたい社会の法則③)

◎トゥキディデスの罠  ハーバード大学の政治学者グレアム・アリソンが、古代アテネの歴史家にちなんで定義した造語。当時、陸上の覇権国スパルタと海上交易をおさえる新興のアテネが、長年にわたるペロポネソス戦争を起こした。戦争の原因はスパルタの恐怖心で、最終的にスパルタが勝ったが、ポリス社会は衰退に向かった。

既存の覇権国家と挑戦する新興国がぶつかり合って戦争状態になっていく現象をさす。今起きている米中対立が典型だ。 2015年にオバマ大統領がアメリカで開催した米中2国間の首脳会議で、南シナ海などで急速な軍拡を進める中国の習近平主席との対話で用いた。「一線を越えてしまった場合、もはや後戻りすることは困難になる」という牽制の意味合いがある。

命題が正しければ、中国が台頭すれば必ずどこかでぶつかり合い、米中戦争は不可避という結論になる。中国が後発なので、既存の覇権国とぶつかる時に問題になるのが中国のやり方だ。中国は既存の国際秩序の壁を感じている。G7を中心とした政治構造、国際貿易や投資、知的財産権保護のルールなどは先進国が作ったので、中国にとって不利と考える。中国はそれにチャレンジしようとしているが、経済力や技術力が本当にあるのか、国民のコンセンサスがあるのかという問題がある。アメリカ以上に中国の対応が焦点となる。

ハーバード大学の研究によると、20世紀に日本が台頭した際の日露戦争、太平洋戦争などもこれにあたる。国際的には古くはイタリア戦争、英仏戦争、米ソ間の冷戦などがある。過去500年間の覇権争いは16事例あり、うち12は戦争に発展したが、20世紀初頭の英米関係や冷戦など4つは新旧大国の譲歩により、戦争を回避した。日本は米中が譲歩する環境作りを求められている。

~~~ 長谷川塾メルマガ 2023年9月21日号(転送禁止)~~~

***デイ・ウォッチ(20日)

ゼレンスキー大統領 安保理会合に出席 ロシア外相と非難の応酬 | NHK | ゼレンスキー大統領 →ロシアに圧倒的な非があり、ウクライナが徹底抗戦したいのは当然だが、多くの市民が日々犠牲になっていることも忘れてはならない。世界全体を見れば、G7の主張は残念ながら国数としては少数派だ。犠牲者を減らすための一時停戦に持ち込めないのか、国連の存在が問われている。

オリックス パ・リーグ3連覇 阪急時代含め15回目 | NHK | プロ野球 →強いオリックス3連覇。阪神との関西対決なるか。そうなれば阪神がすべてホームゲームの様相で、阪神有利?

マイナンバー誤登録、デジタル庁や国税庁に行政指導 – 日本経済新聞 (nikkei.com) →デジタル庁への行政指導は初めて。マイナ問題は一斉点検中で今は下火だが、いずれまた焦点になる。

青森の駅弁メーカー弁当で体調不良 1都23県の295人に 保健所 | NHK | 青森県 →個人で食べる駅弁や飲食店での食中毒は表面化しないこともあるが、今回は数が多く発覚した。駅弁は生もの。青森で作った弁当が全国各地で売られていたことはちょっとした驚き。

中国で拘束の日本人「刑事拘留」に スパイ事件として捜査 | NHK | 中国 →37日以内に逮捕するかどうか決める。容疑は不明。要人の消息不明も相次いでいる。秘密体質が変わらない限り、国際社会から信頼を得るのは困難だろう。邦人の拘束は今回を含め17人で、今も5人が中国国内にとどめられているという。

*** 「今日の名言」

◎塩川正十郎(財務相などを務めた政治家、東洋大総長。2015年9月19日、93歳で死去)

「(1989年の天安門事件発生で官房長官として)日本に亡命を求めてくる中国人が出てくれば厄介なことだ。中国側に警備要請してはどうか」 「(小選挙区制度について)能臣も姦雄(かんゆう)も存在しなくなった。政治屋が跋扈する」 「(財務相時代、一般会計は厳しいやりくりをしているのに特別会計で放漫な支出をしていることについて)母屋でおかゆをすすっている時に、離れですき焼きを食っておる」 「(「国民年金だけで生活できるか?」と質問されて)ほんなん、できるかいな。ぼくらはあんたらと生活のレベルが違うやないか。毎月100万はかかるよ」 「(2003年に82歳で政界を引退する際)人生のホイッスルが鳴るまで、まだ若干のロスタイムが残っているのではないか」 「(内閣官房機密費についてテレビ番組で問われ」国会議員の外遊の際に餞別として渡された。一部の野党を買収するための国会対策費にも使われていた。マスコミ懐柔の為に一部有名言論人に配られていた。/(その後、国会で追及されると)忘れた」

*** きょうの教養 (知っておきたい法則④)

◎弱い紐帯の強み  アメリカの社会学者マーク・グラノベッターが1973年に発表した社会的ネットワークに関する仮説。会社の同僚、家族や親友、仲間といった社会的に強いつながりを持つ人々(強い紐帯)よりも、友達の友達、ちょっとした知り合いなど社会的に弱いつながりを持つ人のほうが、新しくて価値の高い情報をもたらしてくれる可能性が高いという。強い紐帯は団結というパワーにはなるが、生活環境やライフスタイル、価値観などが似通っているため、自分と同じ情報を持つことが多い。一方、弱い紐帯の人々は、自分と異なる環境や生活スタイル、価値観を持っている。利害関係も薄いので、情報を提供するハードルも低くなる。

ホワイトカラー男性の転職に関する調査では、16.7%が高頻度で会う人(1週間に少なくとも2回会う)からの情報をもとに転職したのに対し、 83.3%がまれにしか会わない人からの情報をもとに転職をしたことがわかっている。期間限定のプロジェクトチームや新規事業の探索で組織横断的なメンバーを集めたり、異業種から人材を集めたりすることはよくある。弱い紐帯のメンバーを取り入れることで、多面的な情報交換を可能にし、高い創造性が発揮されることを期待しているからだ。産官学連携は能力や役割の多様性を高めてイノベーションを起こす試みといえる。

ビジネスパーソンのキャリア自律が叫ばれており、会社を離れて多様な経験をする意義は大きい。知識や情報にとどまらず、生き方についての示唆も得られる。人生100年時代といわれる現在、会社の存在を相対化して、自分らしさを追求する手段にもなる。企業としては、SNSを効果的に活用すれば、多くの人と簡単にコミュニケーションを継続維持できる。フューチャーセンターと呼ばれる組織をつくり、専門の枠を超えて集まって中長期的な課題解決を図ったり、異なる部門間や事業所間でチームを作ったりする方法もある。成果は偶然の要素に左右されることも多い。一定の目的意識を持って参加することが重要になる。

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***デイ・ウォッチ(21日)

ニュース対価の算定根拠開示を 公正取引委員会がヤフーやLINEに – 日本経済新聞 (nikkei.com) →新聞業界はネットにニュースを流しているが、料金は安い。ネットの伸長で部数が減り、経営が揺らいでいる。新聞業界の関心事だが、報道機能を維持できるかどうかは民主主義に関わる社会問題でもある。ニュース配信で、新聞もネットも共倒れしては意味がない。まずは対話が必要だ。

東芝、JIP傘下で再出発へ 74年の上場に幕―TOB成立:時事ドットコム (jiji.com) →名門企業が非上場になる。日本連合が支える形だが、これで長い混乱に終止符を打たないと…。

ポーランド首相“ウクライナに武器送らない”農産物めぐり対立 | NHK | ポーランド →ポーランドとウクライナがもめている。ポーランドは積極的に武器を供与してきたが、国内の農家保護のためにウクライナからの輸入を禁止し、対立している。対ロシアで理念的に一致していたが、ポーランドは議会選挙を控え、経済的利害を優先している。対ロシアのフェーズが転換するのか。

神宮外苑の再開発 イコモスが会見“外苑の緑地は都心で貴重” | NHK | 東京都 →神宮外苑の再開発が国際的な話題になってきた。ジャニーズ問題が英BBCの報道で動いたように、日本は国際的に急かされないと真剣に考えないのか、と思えてくる。

“ひつぎに顔を入れないで”CO2中毒で死亡事故 注意呼びかけ | NHK | 事故 →ひつぎのドライアイスが二酸化炭素を発生させ、中毒死を起こす。対策は、室内の換気を十分に行う、1人きりにならない、気分が悪くなったらすぐ棺から離れることだという。

*** 「今日の名言」

◎山内溥(任天堂元社長、中興の祖。2013年9月19日、85歳で死去)

「世間にはよく成功した人間を尊敬する人がいるけれど、それが僕には不思議でしようがない。たまたま運が良かっただけの人をどうして尊敬できるんでしょうかね」 「私は、人間には持って生まれた運、不運があるということだけは固く信じる。やはり運がいいとか悪いということは絶対あり得ると思うし、ついている、ついていないということもあると確信している」  「ヒット商品をつくる秘訣なんてない。ただいえることは、ある種の能力があって、ひたすら目的に向かってそればかり考え続けておれば、いつか花が開くときがくる。気持ちを持続しておくことが大切だ」 「全くの新製品を作るためには、常識的な発想では人々を納得させることはできない。新製品に必要なのは、社会通念や習慣を変えるようなものでなければならない。そのためには非常識の発想が必要なんです」 「みんながこうするから自分もそうするなんていうのは論外です。我が道を行くという考え方、そのためには、他人に煩わされないで、自分の時間を多く持つことが大切だ。人と同じことをやっていたのでは、同じ考えしか出てこないんです」 

*** きょうの教養 (知っておきたい法則①)

◎年収と幸福度の法則  ノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のダニエル・カーネマン名誉教授は「年収7万5000ドルまでは収入が増えるほど幸福度は比例して大きくなる。それ以上増えても幸福度はほぼ変わらない」と科学的に明らかにした。2015年に同賞を受賞した同大学のアンガス・ディートン教授も似た研究結果を発表している。日本円にしてかつては約800万円だったが、現在は円安で1000万円を超える。

日本の内閣府が2019年に実施した「満足度・生活の質に関する調査」では、幸福度は年収100万円未満なら5.01で、700~1,000万円の6.24と1.23の差が開いていた。一方、1000~2000万円は6.52だが、幸福度は3000万円以上になると下降する。1億円以上は700~1000万円より低いことが明らかになっている。

いろいろな年収を経験した人の証言がある。美容師、ドラッグストア、医療の新規事業開発といった仕事をして200~1000万円を体験し、1500万円から1億円の友人を持つ。「600~800万円が生活でストレスを感じない。我慢もしながらたまに贅沢する。だからこそ贅沢が楽しく感じられる」と述べている。800万円を超えると「同じ水準で遊べる友人が少なくなる」「欲があまりなくなる」という。友人を見て1000万円を超えると「付き合う層が青天井になり、再び自分がみじめになる」「収入を安定して得ることが難しくなり、収入を維持するストレスがかかる」と言う。1億円の友人には「同じ感覚で対等に遊べる友人を見つけるのが大変で、孤独」と話している。

幸せの因子は4つという説がある。1つ目が「自己実現と成長」。夢や目標、やりがいを持ち、実現しようと成長していくことが幸せをもたらす。2つ目が「つながりと感謝」で、人を喜ばせること、愛情に満ちた関係、親切な行為が幸せを呼ぶ。3つ目は「前向きと楽観」。自己肯定感が高く、いつも楽しく笑顔でいられることが幸せという。4つ目に「独立とマイペース」で、他人と比較せず自分らしくやっていける人は、そうでない人よりも幸福になるという。