12月23~27日(教養講座:名言の正体)

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***デイ・ウォッチ(20~22日)

Googleに排除措置命令へ 自社アプリ優遇など独占禁止法違反疑いで 公正取引委員会 米巨大IT企業へは初 | NHK  →公正取引委員会は「命令」にこだわった。改善策を「確約」すれば命令しないケースがある。グーグルは今回、確約を申し入れたが、公取委は蹴ったようだ。欧米で巨大IT企業への批判が強まっており、日本も強い姿勢を示す必要があった。巨大IT企業規制で今後の焦点は、トランプ氏の対応だ。イーロン・マスク氏が政権入りし、同氏が経営する「X」バイアスが働く可能性がある。独占政策は資本主義の柱。ゆがむのか、ゆがまないのか。

ドイツ マーケットに車突っ込み5人死亡 200人以上けが  犯人はサウジ出身の男 | NHK  →車で5人殺し、200人以上にけがをさせる事件は、どんな様子なのだろう。犯人はサウジアラビア出身で、イスラム教に批判的な活動をし、サウジ女性の出国を支援していた。ドイツの移民政策に不満を持っていた可能性もある。欧州で「移民」は深刻なテーマだ。

「検察なめんなよ」大阪地検特捜部検事の取り調べ映像を法廷で再生  | NHK →逮捕された身で検事に怒鳴られれば、誰でも恐怖を感じるだろう。ネットでは「よくある光景」「警察の取り調べもひどい」という投稿があった。一部の不届き者というより、体質の問題だろう。検察は事実を積み重ねないと動かない。全面録画化を進め、必要に応じて開示すべきだろう。

佐久長聖、長野東が優勝 男女とも長野県勢V―全国高校駅伝:時事ドットコム →高校駅伝は長野勢が制した。ウィンタースポーツ以外の高校全国大会で、長野勢の男女同時優勝は過去にあるだろうか。特に佐久長聖は全国的強豪。強さの秘密物語を読んでみたい。今年から都道府県優勝校に加えて全国11地区代表の計58校が参加し、にぎやかだった。留学生の参加区間も制限した。

レガレイラが優勝 64年ぶり、3歳牝馬制す―競馬有馬記念:時事ドットコム →年末恒例の有馬記念は、5番人気のレガレイラが激しい叩き合いを制した。3歳牝馬の優勝は実に64年ぶり。G1で5勝のドウデュース(牡5歳)が直前に出走取消となり、武豊騎手との引退式も取りやめとなった。少し寂しい年末の風物詩となった。

*** 「今日の名言」

◎上皇陛下(平成天皇。1933年12月23日生まれ、91歳

「国民に親しまれる皇室ということは、私は言った記憶がないんですけれども、ただ国民とともに歩む皇室でなければならないと。国民の苦労は共に味わうということを昔の天皇はしていらしたわけです」(1982年)/「好きな言葉に『忠恕』があります。論語の一節に『夫子(孔子)の道は忠恕のみ』とあります。自己の良心に忠実で、人の心を自分のことのように思いやる精神です」(1983年) 「(結婚25周年で振り返ると)それまで味わえなかった心の安らぎを得られたと思います。それまで一人でしたから、心の安らぎというか安定はありませんでした」(1983年)/「天皇という立場にあることは、孤独とも思えるものですが、結婚により私が大切にしたいと思うものをともに大切に思ってくれる伴侶を得ました。皇后が常に私の立場を尊重しつつ寄り添ってくれたことに安らぎを覚え、天皇の役割を果たそうと努力できたことを幸せだったと思っています」(2013年)/「即位から30年、これまでの天皇としての務めを、国民への深い信頼と敬愛をもって行い得たことは、幸せなことでした。象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に心から感謝します。明日から始まる新しい令和の時代が平和で実り多くあることを、皇后と共に心から願い、ここに我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります」(2019年)

*** 今週の教養 (名言の正体①)

今年最後の教養講座は「名言の正体」(山口智司著、学研新書、2009)で締めくくる。「今日の名言」を毎日届けてきたが、名言にはいろいろ裏があることがわかる。

◎辞世の句ではなかった「旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる」(松尾芭蕉)  江戸の俳人松尾芭蕉は、多くの名句を残した。足の三里というツボにお灸をすえながら、江戸から東北、北陸回って岐阜の大垣にまで至る約2400キロを、5ヶ月にわたって歩き続けた。行く先々で句を読み、傑作が集められたのが「奥の細道」である。「旅に病んで」は、人生の最後の旅の途中で迎えた大阪御堂筋の旅宿で残した。芭蕉の辞世の句として知られている。

死への旅立ちを前にしたいかにも寂しい句であるが、芭蕉はその翌日に病状を持ち直した。そして以前に作った「清滝や 波に塵なき 夏の月」を推敲し、もう一句詠んでいた。それが「清滝や 波に散り込む 青松葉」である。波打つ大河の中へと、散った青松葉がひらひらと舞い込んでいく情景が目に浮かんでくる。しかし、実際には京都の清滝川付近に松の木立などはない。季節に関わらず、青いまま散っていく松の木を脳裏に浮かべ、死期が近づく自分を重ね合わせたのだろう。芭蕉がなくなったのは、その3日後のことだった。

芭蕉は「夢は枯野を」といった孤独で寂しい心持ちで旅立ったのではなく、清らかな川に流されていく松の葉に、譲り行く命の永遠を感じながら、穏やかにこの世を後にしたのかもしれない。芭蕉は「松島や ああ松島や 松島や」という有名な歌の作者と思われているフシがあるが、それは誤解である。実際の作者は相模国(神奈川県)の狂歌師・田原坊。江戸時代後期に詠んだ「松島や さて松島や 松島や」の「さて」が「ああ」に代わり、奥の細道には松島の句がないことから、「芭蕉があまりの絶景ぶりに感激して、句が思い浮かばずに詠った」と伝えられるようになった。

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***デイ・ウォッチ(23日)

ホンダ 日産 経営統合協議を正式発表 2026年8月に持株会社上場 | NHK →ホンダが社長を出して主導権を握り、最終合意は来年6月とした。焦点は日産のリストラがどこまで徹底できるかだろう。合流予定の三菱自動車も会見に同席し、3社社長は会見前、経産省を訪問した。日産買収を狙う台湾・ホンハイの防波堤を政府に期待しているのだろうか。本田宗一郎は1961年ごろ、四輪車参入を阻止しようとする通産省(当時)で「馬鹿野郎!官僚に未来がわかるのか!」と一升瓶を手に怒鳴った逸話が残る。一方、派閥争いが多い日産は「銀座の通産省」とも揶揄された。両社は宗一郎並みのアニマルスピリットを維持できるだろうか。

日産ゴーン元会長 ホンダと日産の経営統合に否定的見解 オンライン会見 | NHK  →奇しくも同じ日にゴーン元日産会長がレバノンからオンライン会見をし、「経営統合は、補完性がなく成功するとは思えない」とこき下ろした。日産への怨念を割り引く必要はあるが、合理的でまっとうな見解だ。いたずらに規模を追う必要はないだろう。「量より質」ともいう。

河野元衆院議長 政党交付金導入で企業・団体献金禁止と認識 | NHK | 衆議院 →当事者の細川元首相も自民党の河野総裁も、企業団体献金は廃止する認識だった。石破首相は「そんな認識はなかった」と言うが、分が悪い。「税金で政党を支援するなら、個人献金を集めるしかない」が当時の空気だった。自民党の本音は「選挙にはカネがかかる。いい生活もしたい」だろう。

金融庁出向の裁判官と東証元社員を告発 インサイダー関与 監視委:時事ドットコム →貸金庫窃盗など深刻な不祥事が相次ぐ金融界。金融庁出向の裁判官と東証職員がインサイダーで告発された。近く刑事処分が決まるが、なぜ倫理の根幹に関わる不祥事が起きたのか。背景を詳細に公表し、再発防止の「公共財」とすべきだろう。

「1人あたりGDP」日本は過去最低の22位、韓国を下回る…G7でも2年連続最下位 : 読売新聞 →1人当たり名目GDPは、個人の豊かさを表す指標。ドル換算で韓国に初めて抜かれた。円安の影響もあるが、根本的な理由は、日本のGDPがこの30年ほとんど伸びていないことだ。韓国は着実に成長してきた。「日本はもはや中進国」という現実を直視する必要がある。

*** 「今日の名言」

◎エドワード・モース(米の動物学者。大森貝塚を発見、日本の考古学の基礎をつくる。1925年12月20日死去、87歳

「日本人の清潔さは驚く程である」 「人々が正直である国にいることは実に気持がよい」 「私は決して札入れや懐中時計の見張りをしようとしない。錠をかけない部屋に小銭を置いたままにするが、日本人の子どもや召使いは一日に数十回出入りしても、触ってはならない物には決して手を触れない」 「海外の文筆家たちは『日本の住居にはプライバシーが欠けている』と述べている。しかし、彼らはプライバシーが野蛮で不作法な人々の間でのみ必要なことを忘れている。日本人は、野蛮な人々の非常に少ない国民である。日本人は生れながらに善徳や品性を持っている」 「この地球上の表面に生息している文明人で日本人ほど、自然のあらゆる形況を愛する国民はいない」 「子どもが誤って障子に穴を開けたとすると、四角い紙片を貼りつけずに桜の花の形に切った紙を貼る」 「外国人の筆者が一人残らず一致することがある。それは日本が『子どもたちの天国だ』ということである」

*** 今週の教養 (名言の正体②)

◎誤解された「参加することに意義がある」(クーベルタン)  このオリンピックの言葉ほど多くの場面で使われるものはないだろう。「まだ力不足ですが、参加することに意義がありますから」という趣旨とされる。しかし、「とりあえず参加しておこう」「力不足でも参加することが大事」というニュアンスの使い方は誤用である。

言葉の主とされているのは国際オリンピック委員会(IOC)の第2代会長を務めたピーエール・ド・クーベルタン。「近代五輪の父」と呼ばれる。1908年ロンドンで開催された第4回大会でのこと。国民感情のぶつかりから、競技場においてイギリスとアメリカが一触即発のムードに包まれていた。アメリカのペンシルベニアからきていたエチュルバート・タルボット司教が参加選手に「五輪で重要なことは、勝利することより、参加したことにあろう」と説教をした。

勝利のみを求めた選手たちの競技への姿勢が見苦しかったということだろう。その言葉を受けて、5日後に大会役員が集まるレセプションで、クーベルタンが「ペンシルベニアの司教が『五輪大会で重要なことは、勝つことではなく参加することである』と述べられたのは、まことに至言である。人生において重要なことは、成功することではなく努力することである。根本的なことは、よく戦ったかどうかにある。このような教えを広めることによって、より寛大な人間性を作り上げることができる」とスピーチをした。勝利か、敗北か。それはあくまでも結果にすぎない。重要なのは最大限努力してよく戦うことなのだというのがクーベルタンの伝えたかったことだ。しかし後世に残ったのは、前半で引用した司教の言葉だけだった。

「参加することに意義がある」というフレーズが広まったのは、1932年の第10回ロサンゼルス大会以降である。選手村の娯楽室に、クーベルタンの言葉として掲げられたのがきっかけだと言われている。せっかくなら、誤解のないようにクーベルタンの言葉の後半部を強調して欲しかった。

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***デイ・ウォッチ(24日)

臨時国会閉会 石破首相は「少数与党で熟議進み、法案成立」と評価 | NHK  →臨時国会が終わり、石破首相が会見した。少数与党で、最近にない展開となった。首相の対応は、国民一人ひとりが評価すべきテーマだが、予想以上にうまく乗り切ったと言えないか。「石破構文」とも呼ばれる首相の言葉は、独特の説得力がある。党内事情より世論を重視すれば、もっと安定するだろう。

日本製鉄のUSスチール買収計画 アメリカ政府委員会 “バイデン大統領に判断委ねる”  | NHK →日本製鉄のUSスチール買収は、バイデン大統領に判断を委ねた。これまでの発言通りなら「認めない」となるが、交代が決まっているこの時期にすんなりそうするだろうか。経済合理性を優先すれば買収認可だが、すでに政治問題になっており、トランプ氏に委ねる選択もありそうだ。

温室ガス「35年度60%減」 新目標、審議会が了承―政府:時事ドットコム →新しい数字は「2035年度60%減」。30年度までに13年度比で46%削減し、50年に実質ゼロとすることをすでに目指している。今回は途中の数字が決まった。35年度は60%減、40年度に73%減を目指す。数字だけではわかりにくいが、各年度の目標を踏まえて国の政策を決めていくから、影響は小さくない。

年金制度改革の方向性で報告書案示す 厚労省の審議会部会 | NHK | 年金 →生活に密着した年金問題だが、制度が複雑で、本当にわかりづらい。関心のある人は、掲載したURLを読んで欲しい。論点がよくわかる。基礎年金の充実が大きなテーマだ。

男性72.57歳、女性75.45歳 トップは静岡、最下位は岩手―22年の健康寿命:時事 →関心が高まっている健康寿命。男性は上から順に静岡(73.75歳)、石川(73.60歳)、山梨(73.47歳)、女性は静岡(76.68歳)、山口(76.43歳)、岐阜(76.20歳)。最下位の岩手は男性が70.93歳、女性が74.28歳だった。共通点を探し、教訓を公表して欲しい。

*** 「今日の名言」

◎イエス・キリスト(キリスト教の始祖。1年12月25日生まれ

「求めよ、されば与えられん。捜せ、されば見いだすだろう。門を叩け、されば開かれるだろう」 「常に与えなさい。そうすれば、人々はあなたに与えてくれるだろう」 「暗いと不平を言うより、進んで明かりを点けなさい」 「狭い門から入れ。滅びに通じる門は広く、その道はなだらかで、これに入る者は多い」 「人がその友のために命を捨てる。これより大いなる愛はない」 「人を裁くな。そうすれば、あなた方も裁かれることはない」 「己を愛するがごとく、汝の隣人を愛せよ」 「労を惜しんでわずかしか種を蒔かない者は、わずかしか刈り取れない。惜しまず豊かに種を蒔いた者は、豊かに刈り取ることができる」 「急速に得た富は減るだろう。少しずつ蓄えた者は、それを増すことができる」 「自分の善行を人前で行わないように気をつけなさい」 「もし人を許さないなら、神もあなた方の過ちをお赦し下さらないであろう」

*** 今週の教養 (名言の正体③)

◎深い意味がなかった「私はカモメ」(テレシコワ)  歴史に残る偉業が達成された時、名言は生まれやすい。だが、偉業が伝説化され、人物が神格化される過程で、人々の恣意的な解釈が行われることもままあることである。

1963年6月16日、ソ連の女性宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワ少尉が、ボストーク6号で宇宙へと旅立った。アメリカとソ連が宇宙技術を競い合い、マスコミを騒がせていた時代。女性の宇宙飛行は初めてのことであり、世界中が固唾をのんで、その挑戦を見届けた。この名言は、地球との交信の中で、テレシコワが宇宙で最初に発した言葉である。地球軌道上を回りながら、詩的に自らを表現した言葉は、日本人の心をとらえ、流行語にもなった。

だが実は、この「私はカモメ」というセリフには、そんな深い意味はなかったという。ソ連の宇宙船ボストークには、それぞれ呼び名があらかじめつけられていた。テレシコワが乗っていたボストーク6号は「カモメ」を意味する「チャイカ」と呼ばれていた。つまり、テレシコワは交信の際、「こちらはボストーク6号」という意味で「ヤー・チャイカ(こちらはカモメ号)」とコードネームを告げただけだったのである。

それが日本においては、「私はカモメ」という、いささかロマン的な訳をあてがわれてしまったため、拡大解釈されるようになった。チェーホフの作品「かもめ」の中のニーナのセリフとして有名な「私はカモメ、いいえ、私は女優」の影響も大きかっただろう。成し遂げられた偉業が大きければ大きいほど、世間は功労者の言葉から敏感すぎるほど意味を読み取ろうとしてしまう。そうなるのも英雄の宿命かもしれない。

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***デイ・ウォッチ(25日)

日中外相会談 中国外相の早期の訪日・対話で一致 日本産水産物の輸入再開求める | NHK →日中を接近させているのは、トランプ新大統領だ。同氏は目下の最大不確定要因だが、日中接近のような反作用も生んでいる。日本側は中国人ビザの緩和も打ち出した。靖国神社に参拝しそうにないハト派の岩屋外相に好感を持っているが、習主席と会わなければ意味がない。首脳会談につなげられるか。

デンマーク、グリーンランド防衛費の拡大を発表 トランプ氏が「購入意欲」を再表明する中 – BBCニュース →トランプ氏は「アメリカはグリーンランドを買うべきだ。戦略的に重要だ」とSNSに投稿し、波紋を広げている。デンマークは3000億円程度の防衛費拡大を発表した。日本は米国の要請もあって防衛費倍増を打ち出している。背後に産軍複合体の脅しがあるのではないかと思ってしまう。

全国初 自動運転「レベル4」の路線バス 松山で伊予鉄バスが運行開始 | NHK | 自動車 →地方創生策にこんなチャレンジを期待したい。松山の伊予鉄バスが、ソフトバンク系の会社と組んで、自動運転バスの運行を始めた。42台のセンサーやカメラで歩行者や車両を検知し、往復1.6キロを最高時速35キロ、15分間隔で走る。保安員が乗るが、ハンドル操作はしない。全国に広がるか。

AIでSNS投稿分析 危機の兆候、早期発見へ―金融庁:時事ドットコム →AIによるSNS分析を金融危機の予測に使うことになった。金融機関の経営危機の前に関連情報が増える一方、取り付け騒ぎにつながることもある。SNSは選挙でも影響力を増している。金融分野ではAIという武器で立ち向かうことになるが、当局の対応が最大のカギを握ることは今と変わらない。

海保機長、副機長とも誤認 進入気付いた管制官も―羽田衝突事故で中間報告・運輸安全委:時事ドットコム →今年1月2日に起きた衝撃の事故。前日起きた能登半島地震支援だったので、「今年は大変な年になりそうだ」と思った。機長と副機長の誤認は当初から報道された通りだが、別の管制官は異変に気づいていたという。日航機から全員無事脱出できたことが不幸中の幸いだ。

*** 「今日の名言」

◎チャールズ・チャップン(映画俳優、監督。1977年12月25日死去、88歳

「私は庶民の味方だ。そういう人間だ」 「下を向いていたら、虹を見つけることはできないよ」 「日本人は皆、正直で親切だ。何をやるに際しても信頼できる。日本人に非常に好感を持つようになった。やがて、こんな素晴らしい人々をつくり出している日本という国に行ってみたくなった」 「孤児院にいて、腹を空かせて街をうろつき、食べ物をあさっていた時でも、自分は世界一の大役者ぐらいのつもりでいた。つまり勝ち気だった」 「どうやろうかなどと決して心配しないこと。直感に頼るんだ」 「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ」 「人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しのお金だ」 「人間の運、不運は空行く雲と同じで、結局は風次第なんだ」 「私がほしいのは大衆の喝采だ。わずか数人で決めた賞なんて、大した名誉ではない」 「権力と威厳を持ちすぎる者は、いつでも最後は人々の嘲笑の的となる」 「無駄な1日。それは笑いのない日だ」

*** 今週の教養 (名言の正体④)

◎平等を説いたのではない「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」(福沢諭吉)   福沢諭吉の名前を聞いて思い浮かぶのは、1万円札の肖像、慶応義塾の創立者、そして明治初期の大ベストセラー「学問のすゝめ」に収められたこの名言ではないだろうか。人権派めいた強烈なメッセージだが、諭吉は決して人間は皆平等であると言いたかったわけではない。その後に続く言葉を読めば、それは明らかである。

「広くこの人間世界を見渡すに、賢い人あり、愚かなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様、雲と泥との相違あるに似たる何ぞや。その次第、はなはだ明らかなり。人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なりという。されば賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとによってできるものなり」

人は生まれながらに同じはずなのに、結果的には、賢者にもなれば愚人にもなり、貧しくもなれば富豪にもなる。生まれながらに貴賤貧富の区別はないのに、ただ学問をしっかりやり知識をつけたものは出世し、無学のものは貧乏となり、下層に属するようになるのである・・・と大意をつかめばこんなところであろうか。

現在でも「勝ち組」と「負け組」との格差が社会問題となっているが、明治時代の貧富の差とは比べ物にならない。それは学力の差から由来しているものであり、自己責任なのだ、と諭吉は厳しく喝破しているのだ。言葉だけを見れば、「人間は誰もが同じ権利を持っているんだ」と危うく感動しそうになるが、本当の意味を知れば、「頑張ったって結果を出せない人間もいるよ」「生まれた環境にもよるだろう」と反論したくなる人も少なくないかもしれない。聞こえのいい言葉だからといって油断してはならない。

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◎お知らせ→ 年末年始は休み、次号は1月6日号です。1年間、ご愛読ありがとうございました。よいお年をお迎え下さい。

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***デイ・ウォッチ(26日)

JAL 日本航空にサイバー攻撃か 欠航や遅れも システムはその後復旧  | NHK  →日本航空がサイバー攻撃を受けた。高度なセキュリティ対策をとっていると思われるが、突破された。大量の通信を送りつけてダウンさせる「DDoS攻撃」の可能性があるという。攻撃の動機があるはずだが、もうカネを受け取ったのだろうか。ITネットワークはトラブルが起きると被害はすぐに拡大する。現代社会のアキレス腱と自覚する必要がある。

来年度予算案 きょう閣議決定 一般会計総額 約115兆5000億円 | NHK | 来年度(新年度)予算 →当初予算としては過去最大で、財源の4分の1を国債に頼る。歳入では、堅調な企業業績などを背景に税収が過去最大の78兆4400億円程度を見込んでいる。国債は28兆6500億円程度発行する計画で、発行額は今年度の当初予算と比べ6兆円余り減った。

“トランプ次期大統領 WHOから脱退する準備進める” 英報道 | NHK | トランプ次期大統領 →お騒がせのトランプ氏。政権チームはWHO脱退を準備しているが、どう決断するか。1期目の時、「WHOは新型コロナウイルス対応で中国寄りだ」と脱退を国連に通知。バイデン大統領が就任初日に撤回した経緯がある。コロナ対応の遅れを批判されたため、WHOや中国をやり玉に上げていた。

カザフで航空機墜落、38人死亡…ロシアの軍事専門家「対空兵器による撃墜」との見方 : 読売新聞 →カザフスタンの航空機事故で、撃墜の可能性が浮上している。航空会社やロシア航空当局は「鳥が衝突したバードストライク」と発表したが、機体には複数の弾痕のような跡がある。ロシアの防空システムの誤射とも言われている。日本から見ると、よくわからない地域だ。

「供述、真摯に耳傾けず」 袴田さん無罪で最高検:時事 「取り調べは不適正」 静岡県警:時事 →袴田事件で最高検と静岡県警が検証結果を発表した。ともに「非」を認めているが、「何を今さら」の感が拭えない。そこまで反省をしているのだったら、再審を速やかに終えるべきだった。組織の連続性は必要だが、過ちを速やかに認める姿勢こそまともな組織だ。

NHK紅白歌合戦 曲順決まる トップバッターは紅組ME:I 白組こっちのけんと 白組最後は福山雅治 最後はMISIA | NHK | 音楽 →今年最後のメルマガらしく、紅白歌合戦で締める。すべての日本人が知っている歌が消えて久しい。今年、「神田川」や「なごり雪」は知っているが、馴染のない歌手や歌の方が多い。天童よしみが2番目というから早い。皆さんは見るでしょうか。よいお年を!

*** 「今日の名言」

◎ハリー・トルーマン(原爆投下を決断した米33代大統領。1972年12月26日死去、88歳

「16時間前、米国航空機1機が日本陸軍の重要基地である広島に爆弾1発を投下した。TNT火薬二万トン以上の威力をもつものであった。戦争史上これまでに使用された爆弾のなかでも最も大型である英国のグランドスラムの爆発力の2000倍を超えるものであった。それは原子爆弾である。宇宙に存在する基本的な力を利用したものである。太陽のエネルギー源になっている力が、極東に戦争をもたらした者たちに対して放たれたのである」 「日本の主権は日本本土諸島に限定され、日本が再び戦争を起こし、それを支持することができないよう無力化する。日本の軍事力が欧州の独裁者の力と同じほど完全に破壊されるまで、世界に平和は訪れない。我々は現在、1万4千マイルに及ぶ軍隊、物資、武器の大量移動で、日本に対して数百万の軍隊を展開するプロセスに取り組んでいる。歴史上類を見ない軍事および海軍の偉業だ」 「アメリカの若い25万人の命は、日本の都市2つ分に値すると私は思ったし、今でもそう思っている。しかし、女性や子ども、非戦闘員を抹殺する必要があるのかについては、考えずにはいられなかった」 

*** 今週の教養 (名言の正体⑤)

◎前提がある「ペンは剣より強し」(リットン卿)  権力や暴力に対して言論で立ち向かっていくというジャーナリズムの基本精神としてうたわれる。言葉や思想が人に与える影響は、武力よりも強いという意味だ。活字メディアでよく引用され広く知られているが、実は続きがあって少し意味合いが変わってくる。出典はジョージ・ブルワー・リットン男爵が1839年に書いた戯曲「リシュリュー」。ルイ13世の宰相を務め、近代フランスの基礎を築いた辣腕政治家と知られている人物である。この戯曲では、謀反を前に枢機卿のリシュリューが側近とこんなやり取りをしている。

「私がもっと若ければ、首謀者を切って捨てることができるのに」「今の枢機卿様には、剣よりももっと強い武器があるではございませんか」「そうだな、真に偉大な人間の統治下では、ペンの方が剣よりも強いのだ」――。実際に劇中で使われたセリフでは、「ペンは剣よりも強し」の前にセリフがあり、前提条件となっていた。それが「真に偉大な人間の統治下では」である。その後は、「国を救うのに剣などいらないのだ」と続け、謀反に対して、暴力でなく言論で立ち向かうリシュリューの姿が描かれている。作者のリットン卿は、ケンブリッジ大学を卒業後、ジャーナリストをへて政治家となった。日本史の教科書にも登場するリットン調査団(1932年、国際連盟より満州事変の調査を命ぜられた)の団長ビクター・リットンは、リットン卿の孫である。

我が国が軍国主義をひた走って当時、つまり剣に傾いていた時、リットン卿の孫は警鐘を鳴らしていた事実は、なんとも不思議な巡り合わせである。言論はいつでも武力に勝てるわけではない。それは健全な社会においてのみ実現するのだ。「剣はペンより強し」の時代を繰り返してはならない。わかりやすく覚えやすいフレーズだけが名言として伝わりやすい。しかし、このようにカットされた部分に、重要な前提が内包されていることもある。